ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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今回はD×Dよりもはぐれ勇者をベースに書いてみました。

それではどうぞ!


番外編 イッセーの変化!?

[リアス side]

 

 

「ん・・・・・朝・・・・・」

 

窓から入ってきた朝の日差しで私は眼が覚めた。

ベッドから上半身を起こすと、そこにはいつもの光景。

この家に住むオカ研のメンバーが大集合して、同じベッドで就寝を共にしている。

 

旧魔王派との一件が終わり、駒王学園の体育祭の二日後。

 

アーシアが無事に帰ってきて、旧魔王の末裔達と激戦を繰り広げたイッセーも生きて帰ってきてくれた。

二人が帰ってきてくれて本当に良かった。

 

だけど・・・・・

 

私はふとイッセーの右腕に視線を移す。

 

生々しい火傷の跡。

イッセーはその事についてはあまり語ってはくれなかったけど、あの時使っていた大剣が原因だと考えられている。

 

 

情けない・・・・・

自分が情けなさすぎて嫌になる・・・・・。

 

私はイッセーの主として、イッセーを守らなければならないのに私はいつも守られてばかり。

ライザーの時もコカビエルのときも。

今回の件でもそう。

私はいつもイッセーに負担を強いている・・・・・。

 

これでは、王失格だわ・・・・・

 

それでもイッセーは私を責めることはしないでしょう。

彼は優しいから。

 

でも、私はその優しさに甘えるわけにはいかない。

 

もっと・・・・・もっと強くならないと・・・・・

 

眠っているイッセーの頬を撫でる。

 

「イッセー・・・・私、絶対に強くなる。あなたに相応しい王になってみせるわ」

 

その時だった。

ふと室内が僅かに明るくなったのは。

 

「―――え?」

 

輝きを放っていたのはイッセーで、

 

「う・・・・・っ・・・・・」

 

微かな呻き声を発しながら、イッセーの体に変化が現れた。

逞しい青年から幼い子供の身体へと――――

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?

 

 

突然のことに呆然とする私の目の前で、みるみるイッセーの身体は小さくなっていく。

最終的には小猫よりも一回りくらい小さくなったところで止まった。

以前、イッセーのお母様に見せてもらったアルバムに載っていたイッセーと同じ姿。

 

ど、どういうこと・・・・・・?

 

私は目の前で起きた出来事に、頭がついてこず、完全に思考が止まった。

 

「うーん」

 

幼い姿になったイッセーはゆっくりと体を起こした。

まだ眠いのか、目を擦るイッセーは辺りをキョロキョロと見渡すと私と眼があった。

 

「え、えーと・・・・・・・イッセー・・・・・・?」

 

何て声を掛ければいいのか分からなかった私はとりあえず名前を呼んでみた。

 

キョトンとするイッセーはそんな私に一言。

 

「おねえちゃん―――だれ?」

 

 

[リアス side out]

 

 

 

 

 

 

 

[木場 side]

 

 

僕達オカ研メンバーとアザゼル先生は朝早くからイッセー君の家に集まっていた。

 

ちなみにだけど、イッセー君のご両親は昨日から旅行に行っているためここにはいない。

福引で温泉旅行が当たったらしい。

 

この場にいる全員が真剣な面持ちだ。

 

なぜ、僕達がここに集まっているのかというと、それは部長が緊急召集をかけたから。

そして、その原因は部長の膝の上でキョトンとしている幼い子供となってしまったイッセー君だ。

 

なんでこんなことに・・・・・?

 

昨日は普通に生活していたし、体育祭でもアーシアさんと走っていた。

僕も話をしたりしていたけど、疲れているところ以外は至って普通だったはずだ。

 

いったい何が原因なんだ?

 

アザゼル先生が小猫ちゃんに問いかける。

 

「小猫、イッセーの体の状態はどうだ?」

 

「一通り見てみましたが、今のところ気の流れは乱れてません。正常です。ただ」

 

「ただ?」

 

アザゼル先生が聞き返す。

 

「ただ、イッセー先輩の気の量が明らかに減っています」

 

気の量が減る?

どういうことだろう?

 

「イッセー先輩に教わったことですが、生物には体を維持するにはそれなりの気の量が必要らしいです」

 

「なるほどな。つまり、イッセーは先の戦いで限界を超えて気を使いまくった。その影響が今になって出た、ってことか」

 

アザゼル先生が顎に手をやりながらどこか納得したように言う。

 

限界を超えての気の使用。

イッセー君はそこまで無茶をしていたというのか。

 

小猫ちゃんが頷く。

 

「本来、生物は気を操ることなんて事は出来ません。私のように仙術を扱えるか、イッセー先輩のように特殊な戦闘技術を身に付けていない限りは。通常なら、無意識に必要な分の気を体内に取り入れつつ、それを消費したり循環させたり、しているので肉体に変化が生じることはないのですが・・・・・・・」

 

つまり、今のイッセー君は体を維持するのに必要な分の気がないために、今の姿になったということだね。

 

先生が息を吐く。

 

「そんなになるまで無茶しやがって、と言いたいところだが、イッセーがこうなったのは俺に責任がある。リアスのところに旧ベルゼブブと旧アスモデウスが現れる可能性を考えておきながら、そっちに十分な戦力を送ってやれなかった。ドライグ、イッセーの精神状態はどうなっている?」

 

先生がそう言うとイッセー君の左手の甲に宝玉が現れる。

 

『比較的落ち着いている。だが、体が縮んだせいか、精神も幼児化している。更には記憶も失っている状態だ』

 

なんてことだ。

記憶まで・・・・・・。

 

『おまえ達、あまり自分を責めるなよ? 今回、相棒がこうなってしまったのは、あの形態になるのが初めてだったこと、相手が魔王クラスの実力を有していたこと、そして、あの剣を使ったこと。様々な要因が重なった結果だ。それに相棒自身はおまえ達が自分を責めることを望んではいない』

 

ドライグはそう言ってくれてはいるけど・・・・・

 

アザゼル先生が再び大きくため息をつく。

 

「とにかく、今はイッセーを元に戻すことが先決なんだが・・・・・こんな現象は俺も初めてだ。リアス、俺の方でも色々知り合いを当たってみる。こっちでも何か試してみてくれ」

 

そう言い残すと先生は転移用魔法陣で帰ってしまった。

 

 

 

 

 

 

アザゼル先生が去った後、僕達は頭を悩ませていた。

イッセー君は僕達の名前も忘れてしまっているようだから自己紹介だけはしておいたんだけど・・・・・・

 

何かを試せと言われても、どうすればいいんだろう?

 

うーん、と頭を悩ませる僕達の視線が幼くなったイッセー君に集まった。

 

本人は何のことか分からず、かわいく首をかしげるだけだったけど、これは女性陣には強烈なインパクトを与えたようで

 

 

『か、かわいい』

 

 

女性陣の声が重なった。

 

確かに、今のイッセー君は僕からみてもかわいいと思う。

普段の勇ましいイッセー君とのギャップがすさまじい。

 

「ふむ、これが幼いイッセーか。なんというか、これはこれでいいものだな・・・・・」

 

ゼノヴィアが言う。

 

「た、たしかに。イッセー君ってエッチなところ以外はカッコいいってイメージがあったからこれは驚きだわ」

 

レイナさんもゼノヴィアの意見に賛同する。

・・・・・レイナさん、涎垂れてますよ?

 

僕は部長に尋ねる。

 

「僕達はどうします?」

 

「まずは私達にできることを考えましょう。何か思い付いた人はいるかしら?」

 

部長が皆を見渡しながら言う。

 

僕達にできること、か。

 

すると、朱乃さんが挙手した。

 

「イッセー君の記憶を戻すというのはどうでしょう?」

 

――――っ!

 

朱乃さんに視線が集まる。

 

なるほど、そういう考えがあったか。

 

「ナイスよ、朱乃! そうね、イッセーの記憶が戻れば何か案が出るかもしれないわ!」

 

朱乃さんのアイデアに部長が嬉々とした表情で言った。

 

確かに、気を使うことに長けているイッセー君なら、この状況を打開する方法が出てくるかもしれない。

 

「でも、どうやって記憶を戻すんですか?」

 

「決まってますわ。イッセー君が好きなものといえば――――おっぱいです」

 

 

・・・・・・・・・

 

 

朱乃さんのその言葉でイッセー君の記憶を取り戻す作戦が始まった。

 

 

[木場 side out]

 

 

 

 

[リアス side]

 

 

朱乃の発言で始まったイッセーの記憶を戻す作戦。

 

た、確かにイッセーは女性の胸が大好きだけど・・・・・・・。

本当にそれで記憶が戻るのかしら?

 

祐斗とギャスパーには別の方法を探るために冥界に行ってもらっているのだけど、アザゼルでも見たことがないと言うくらいだから、そちらの方は難しいでしょうね。

 

「朱乃、言っていることは分かるけど、実際には何をするつもりなの?」

 

「まずは服を脱ぎます。そして、イッセー君に触ってもらうの」

 

『!?』

 

朱乃の発言にこの場の全員が目を見開いて絶句していた。

 

「ちょっと、正気なの!?」

 

「もちろんですわ。イッセー君が好きなものを見せていくことで何か刺激が生まれるかもしれませんわ」

 

刺激って・・・・・。

何か別の刺激が生まれそうな気もするのだけれど・・・・・・。

 

まぁ、一理あるといえばそうなのかもしれない。

やってみる価値はあるわね。

 

「分かったわ。じゃあ、服を脱いでみましょうか」

 

「え!? 本当に脱ぐの!?」

 

イリナさんが驚愕しているようだった。

まぁ、彼女は天使ですもの仕方がないような気もするわ。

 

「無理にとは言わないわ。それで戻る確証もないわけだし」

 

「うぅ~、イッセー君を元に戻すためにも、ここは・・・・」

 

すると、ゼノヴィアが一歩前に出た。

 

「別に構わないよ。裸になるだけで記憶が戻るなら安いものだ」

 

そう言って服を脱ぎ捨てるゼノヴィア。

あなた、相変わらず豪快ね。

 

「わ、私も脱ぎますぅ!」

 

「ボ、ボクも!」

 

アーシアと美羽もそれに続いて服を脱いでいく。

二人のイッセーへの思いは凄まじいものがあるわね。

 

私も負けていられないわ!

 

 

 

それから数分後。

 

部屋ではイッセー以外が下着姿になっていた。

結局、イリナさんもイッセーを元に戻すため、と一肌脱いでくれた。

 

普段のイッセーなら鼻血を出して喜んでいる状況なのでしょうけど、今のイッセーはあまり反応を示さない。

というより、「何をしてるんだろう?」といった表情でこちらを見ている。

 

まぁ、今のイッセーはどう見ても四~五歳。

反応しないのは仕方がないことかもしれないわね。

 

「あらあら。これは困りましたわね。では、イッセー君」

 

次は実際に触れてもらうつもりなのだろう。

朱乃がそれをしようとした時、

 

「何? 朱乃お姉ちゃん」

 

「――――!」

 

朱乃がそこで固まってしまった。

 

「あ、朱乃? どうしたの?」

 

私が尋ねると、朱乃は顔を赤らめながらニヤけさせていた。

 

「うふ、うふふふふふ。・・・・・・朱乃・・・・お姉ちゃん・・・・・・いい響きですわ」

 

「ちょ、朱乃?」

 

「リアス。あなた達も一度呼んでもらえばいいですわ。そうすれば私の今の気持ちが分かります」

 

朱乃にそう言われ、私は膝に座っているイッセーの方を見る。

 

イッセーは私の視線に気づいたのか、キョトンとしながらこちらを見てきた。

 

「え、えっと・・・・イッセー?」

 

「どうしたの? リアスお姉ちゃん」

 

 

――――――!

 

 

イッセーに「お姉ちゃん」と言われた瞬間に私の中に電撃が走った。

 

こ、これは・・・・・・

 

私は朱乃の手を取る。

 

「私、あなたの気持ちが分かったわ!」

 

「でしょう!」

 

あぁ・・・・何かしら、この気持ち・・・・・

心が満たされるような・・・・・・・

 

朝は突然のことでそこまで思考がいかなかったけれど、これは・・・・・・

 

「あ、あの・・・・お二人共どうされたんですか?」

 

アーシアが怪訝な表情で尋ねてきた。

他の皆も同じような感じだった。

 

そんなアーシアに私は顔をニヤけさせながら言った。

 

「アーシア、イッセーに話しかけてごらんなさい」

 

「? それじゃあ・・・イッセーさん?」

 

アーシアがよく分からないといった感じでイッセーに声をかける。

 

すると―――

 

「アーシアお姉ちゃん?」

 

「はうっ・・・・・こ、これは・・・・・・!」

 

フフフ、アーシアも分かったようね。

イッセーに「お姉ちゃん」と呼ばれることの新鮮さ! 素晴らしさ! そして、この快感!

そう、小さくなったイッセーの破壊力は想像を遥かに超越している!

 

もうダメ!

あのイッセーがこんなにも可愛くなるなんて!

 

 

それから、他の皆も本来の目的を忘れて、イッセーの名前を呼んでは「お姉ちゃん」と呼ばれ、一人残らず撃沈していった。

 

 

 

 

 

数十分後。

 

 

ぐぎゅるるるるるるるる・・・・・・・

 

 

イッセーのお腹から可愛らしい音が鳴った。

 

「お腹すいた・・・・」

 

イッセーがお腹を押さえながら言うので時計を見てみると、時刻は昼の一時前。

色々考え事をしていたから、すっかり忘れてたわ。

 

「もうこんな時間だし、一旦止めて、お昼にしましょうか」

 

「そうですね。お兄ちゃんも限界みたいですし・・・・・何にします?」

 

「そうねぇ・・・・・。とりあえず早く出来るものの方が良さそうだし・・・・・・スパゲッティにでもしましょう」

 

 

というわけで、今日のお昼はミートスパゲティ。

脱いでいた服を着て、調理開始。

 

余程お腹が空いていたのか、お昼が出来たときは表情をパァと明るくさせていた。

 

あぁ、どうしてこうも一つ一つの仕草が可愛いのかしら。

見れば、皆も私と同じような表情をしていた。

 

 

すると、

 

「う、うーん」

 

何やらイッセーが難しい顔をしながら、手こずっているのが分かった。

 

「どうしたの?」

 

「・・・・うまく食べられない」

 

そこで私達はハッとなる。

 

小さくなったとしてもイッセーの右腕の傷は消えていない。

つまり、今のイッセーは右腕を上手く使えない状態だった。

 

一人で頑張って食べようとしたのだろう。

動かない右腕で食べようとして、スパゲティを服に落としてしまう。

 

「ごめんなさい・・・・・」

 

悪いことをしたと思ったイッセーがしょんぼりとした顔で謝ってきた。

私はそんなイッセーの頭を優しく撫でてあげる。

 

「いいのよ、イッセー。あなたの腕のことを考えていなかった私が悪いの。まずは服を拭いて、それから私が食べさせてあげる。・・・・無理はしないで私達を頼ってちょうだい」

 

あなたはいつも私達を助けてくれる。

そのお返しというわけではないけれど、今の私達ではこういうことでしか、あなたにお礼が出来そうにない。

だから、あなたにはもっと私達を頼って欲しい。

心からそう思う。

 

「ありがと、リアスお姉ちゃん」

 

 

 

 

 

 

昼食後も私達は色々と試してみた。

 

朱乃の案―――私達の胸を触らせたり、イッセーが持っているエッチな本やビデオも見せてみた。

しかし、イッセーの記憶が戻ることはなかった。

 

更には小猫の仙術で気の巡りを良くしてみたのだけれど、それでもイッセーに変化はなく、ただ時間が過ぎていった。

 

 

そして、今は入浴の時間。

 

「はい、体洗うからそのままね」

 

「はーい」

 

美羽のお願いに元気よく返事をするイッセー。

 

お風呂に入る前、誰がイッセーの体を洗うかで少し揉めたのだけど、最終的にはじゃんけんで決めることになり、美羽が勝者となった。

 

美羽はプラスチックの容器のポンプを数回押してボディーソープを手の上に出すと、両手を擦り合わせるようにして泡立てた。

そして、そのままタオルを使うことなく、手でイッセーの体を洗っていく。

 

子供の体はとても繊細だから傷つけないように美羽も配慮しているみたいだった。

 

イッセーがくすぐったそうに体をよじるけど、美羽は「我慢だよー」と言って泡を擦り付けていった。

 

「うふふ、微笑ましいですわね」

 

「そうね。こうしてみていると本当の姉弟みたいね。まぁ、普段から仲の良い兄妹だったけれど」

 

「そうですね。イッセーさんと美羽さんはとても仲が良いです」

 

「・・・・・小猫お姉ちゃん・・・・・小猫お姉ちゃん」

 

小猫、イッセーに「お姉ちゃん」って言われたことが相当嬉しかったみたいね。

昼からずっと言い続けているもの。

 

「はい、綺麗になったよ」

 

美羽がシャワーを止めてイッセーに告げた。

すると、イッセーはニコッと笑って、

 

「ありがと、美羽お姉ちゃん」

 

「――――っ」

 

あ、美羽が固まったわ。

イッセーの可愛さだけじゃなくて、普段は自分が妹の立場だから、そう言われるのが新鮮なんだと思う。

 

「うぅ、もう可愛いすぎるよ!」

 

美羽がガバッとイッセーを抱き締めた。

 

美羽ったら、衝動を抑えきれなかったのね。

まぁ、気持ちは分かるわ。

私だって同じ立場なら抑えきれる自信は無い。

 

 

 

「ひゃん!」

 

突然、美羽が声をあげた。

 

何事かと思ってそちらを見てみると――――

 

「やっ・・・・・そこっ・・・・・・・ふわぁぁぁっ」

 

胸をイッセーに吸われている美羽の姿がそこにあった。

 

「なっ・・・・・イッセー!?」

 

私が名前を呼んでも返事が返ってこない。

それほと夢中だというの!?

 

「ほ、ほら、イッセー君! お姉ちゃん困ってるから! 止めよう、ね?」

 

レイナが美羽を助けようとイッセーの肩を掴んだ。

 

すると、イッセーはグルンと首を後ろに回して、レイナに飛び付いていった。

 

「キャッ」

 

「大丈夫か、レイナ?」

 

ゼノヴィアがレイナに尋ねて安否を確認する。

 

「ええ、私は大丈夫。それよりも・・・・・・あんっ、い、イッセー君!?」

 

嬌声をあげるレイナ。

ま、まさか・・・・・・・

 

「あっ、・・・・・そんな・・・・・らめぇぇぇ」

 

レイナも美羽と同じく、イッセーに胸を吸われていた。

 

いくらイッセーが女性の胸を好きでも、ここまで激しく求めてきたことはなかったのに・・・・・

それに昼間もそこまでの関心は示さなかった。

なぜ、今になって?

 

「リアス、これはどういうことてしょう?」

 

「分からないわ。今、考えているところよ。それよりも早くレイナを助けた方が良いのではなくて?」

 

レイナの表情は恍惚としたものとなっていて、体をビクンッと跳ねさせている。

 

流石に止めさせた方が・・・・・

 

「・・・・・! 待ってください、部長」

 

「どうしたの、小猫?」

 

「・・・・・イッセー先輩の気が増大してます」

 

 

『!?』

 

 

小猫の言葉にこの場にいる全員が驚愕した。

 

イッセーの気が増大している?

それってつまり―――

 

「イッセーの体が元に戻ろうとしているということ?」

 

「・・・・・・おそらくですが、胸から気を吸収しているんだと思います」

 

「つまり、イッセー君を元に戻すには私達の胸を吸わせれば元に戻る、ということですね」

 

そんなバカな、と言いたいところだけど、あり得ないことではないのかもしれない。

現にイッセーの気が増大しているんだし・・・・・。

 

イッセーは無意識にその行為に出たのかしら?

理由は分からないわね。

 

でも、こうなったらやることは一つ。

 

「皆、自分の胸をイッセーに差し出すのよ!」

 

自分でも何という指示を出したのかと思う。

それでも、可能性があるのなら!

 

「よし、任せろ! レイナ、交代だ!」

 

「ふぇ、ゼノヴィアさん・・・・・?」

 

「イッセー! 今度は私の胸・・・うわっ」

 

その声に反応してイッセーはレイナの胸から口を離してゼノヴィアの胸に飛び付く。

その勢いにゼノヴィアは足を滑らせ、尻餅をついてしまった。

頭を床に打たなかったのは不幸中の幸いね。

 

「イタタタ・・・・・イッセー、そんなに慌てなくても!?・・・・・いきなり・・・・あ、ああ・・・・・ん」

 

ゼノヴィアもイッセーに胸を吸われて甘い吐息を漏らしていく。

 

「あの、リアスお姉さま」

 

「どうしたの、アーシア?」

 

「ほ、本当に良いのでしょうか? 私のは・・・・その・・・・・皆さんと比べて・・・・小さいですし・・・・・」

 

「・・・・・私もです・・・・・」

 

アーシアと小猫が自分の胸を手で抑えながら、呟いた。

まぁ、確かに二人の胸は私たちほど豊かではないけれど、そのあたりは大丈夫じゃないかしら?

 

 

 

この後、私達の全員が胸を吸われていくことになった。

 

 

[リアス side out]

 

 

 

 

 

 

んあ・・・・・・?

 

ここは・・・・・・?

 

確か、昨日はスゴく疲れたから直ぐに寝て・・・・・

 

あれ?

ここ、俺の部屋じゃなくね?

 

視界には白い湯気が見えた。

ここは・・・・・・風呂か?

 

俺、いつの間に風呂に入ってたんだよ?

 

つーか、なんか、頭に軟らかいものが当たってる。

スゴく軟らかくてプニプニしてて、気持ち良い。

 

頭を動かしてみると、コリッとしたものが当たって―――

 

 

ガバッ

 

 

俺は慌てて飛び起きる!

 

後ろを見てみると、美羽が俺の下敷きになっていた!?

しかも、全裸だ!

 

いや、ここは風呂だ。

全裸なのは当たり前・・・・・そうじゃねぇ!

 

辺りを見れば部長や朱乃さん、アーシア、家に住んでるオカ研メンバーが風呂場の床に倒れていた!

 

何でこんなことになってるんだ!?

 

しかも、皆どこか表情が恍惚としているような・・・・・

 

と、とりあえず、皆を起こそう!

 

「お、おーい、美羽? だ、大丈夫か?」

 

俺はまず、一番近くにいた美羽を抱き起こす。

すると、美羽の体がビクンッと跳ねた。

 

え?

何、今の反応・・・・・

 

「お、おい? み、美羽?」

 

俺が再び声をかけると美羽の目がうっすらと開いた。

 

「あ・・・・お兄ちゃん・・・・・元に戻ったんだね・・・・・よ、よかった・・・・・・・」

 

元に戻った?

どういうことだよ?

 

うーん、分からん。

 

それにしても、目のやり場に困るな。

皆、全裸だし。

とりあえず、目覚めから良いものを見せてくれてありがとう!

脳内保存しました!

 

いやいや、そんなことしてる場合じゃねぇ!

皆を起こさないと!

 

それから俺は皆を起こして、一人ずつ上の階に運んだ。

 

 

 

 

 

 

「大変申し訳ありませんでしたぁ!!」

 

兵藤家のミーティングルーム。

ここに、オカ研部員全員とアザゼル先生が集まっていた。

 

そして、俺は女子部員全員に土下座している。

 

皆の意識が戻った後、俺はそれまでの経緯を聞いて唖然となった。

 

まさか、俺が幼児化していて、皆のお、おっぱいを吸って元に戻っていたなんて・・・・・

更には女子部員全員に対してそれをしたと知ったときは衝撃を受けたとかいうレベルじゃなかった。

 

しかも、俺にはその時の記憶が全く無い。

それゆえに誰にどう謝ればいいのか分からないでいた。

 

アザゼル先生がため息をつきながら言う。

 

「まさか、女の胸を吸って元に戻るなんてな・・・・・・。今日一日、知り合いのところを駆け回ったのは何だったんだか・・・・・・」

 

「僕とギャスパー君は冥界にある図書館を駆け回ったよ」

 

マジか、木場とギャスパーまで・・・・・

 

「す、すまん・・・・・俺もここまでのことは初めてで・・・・・・自分でも驚いているんだ」

 

昔、錬環勁気功の使い過ぎで一時的に身長が縮んだことはあったけど・・・・・・

まさか、幼児まで戻るなんて初めてだ。

おまけに記憶も失ってたみたいだし・・・・・・

 

「まぁ、何にせよ元に戻ったんだ。これで良しとしようぜ。そもそも、おまえの体が幼児化したのは俺の責任でもある」

 

うぅぅ・・・・そう言ってもらえると俺も助かります・・・・。

 

男組は俺が元に戻ってめでたしめでたし、という感じだけど、女性陣はそうはいかない。

ゼノヴィア以外は今も顔を赤くして俺から視線をそらしている。

 

俺、どれくらいやらかしたんだろう・・・・・・

想像すると怖くなってきた。

 

部長が口を開く。

 

「ま、まぁ、イッセーが元に戻ってくれたのは嬉しいし、イッセーに胸を差し出すように言ったのは私だけど・・・・・・でも、あそこまで・・・・・・」

 

あそこまで!?

それはどこまでですか!?

 

つーか、今とんでもないこと言いませんでしたか!?

発案者は部長ですか!?

 

「そうですわねぇ・・・・私もあんなに激しくされるなんて、思ってもいませんでしたから・・・・」

 

「私、いっぱい吸われてしまいましたぁ・・・・・」

 

「・・・・・私もです」

 

「・・・・・ボクなんて三回くらい」

 

「私は子育ての練習が出来たと思っているから別に構わないが」

 

「ゼノヴィア・・・皆があなたみたいに剛胆じゃないのよ。私なんて堕ちかけたんだから・・・・・」

 

「アハハハ・・・・・私、あっという間に・・・・・いかされ・・・・・」

 

うおおおおおおおおおおおい!?

なんか想像以上のことをしていたみたいなんですけど!?

どんだけ、おっぱい求めてるんだよ!?

 

ヤバイって!

謝って済む問題なのか!?

 

どうすれば良いのか分からず混乱する俺!

 

死んで詫びるしか無いんじゃないのか!?

 

「あ~あ、やっちまったなぁ、イッセー」

 

先生が俺の肩をポンと手で叩いた。

 

「先生。俺、どうすれば・・・・・」

 

「そりゃあ、決まってるだろう。こいつらに対して、それ相応の責任を取るしかないわな」

 

「せ、責任ですか?」

 

「おうよ。おまえが責任取ってくれるなら、こいつらも今回のことは水に流してくれるんじゃないか?」

 

先生の言葉を聞いて、俺は皆の方へと視線を戻す。

 

皆、顔が赤いのは相変わらずだけど、今度は目を合わしてくれた。

 

「え、えーと・・・・・お、俺で良ければ・・・・・・?」

 

と、言ってしまったけど・・・・・俺なんかで良いのかよ?

そんなことを考えていると、皆の表情がパアッと明るくなった。

 

あ・・・・・なんか、俺で良かったっぽいな・・・・・。

 

 

「あーやれやれ。今日一日でかなり疲れた。俺は帰って寝るわ」

 

「僕とギャスパーもそろそろ帰るよ。それじゃあまた」

 

「お休みなさいですぅ」

 

こうして、三人はこの空間に俺だけを残して去っていった。

 

部屋に微妙な空気が漂う。

 

き、気まずい・・・・・・

 

「あ、あの」

 

この空気をなんとかしようと声をかけようとしたら、部屋に魔法陣が展開され、アザゼル先生が再び姿を現した。

 

何事かと思い、この場の視線が先生に集まる。

 

「あー、イッセー。言い忘れていたんだが、人間界の時間で明日の夕方五時からおまえが主人公の特撮物『おっぱいドラゴン』の第一話が放送される。しっかり見ておけよ?」

 

・・・・・・・・

 

固まる部屋の空気。

 

そういえば、ギリギリまで皆には教えないようにと言われてたから、皆はまだ知らないんだった。

 

そして―――

 

『ええええええええええええええっ!?』

 

我が家に女性陣の驚愕の声が鳴り響いた。

 

 

 

 

その後、俺は新番組について皆から問い詰められ、俺がおっぱいを吸ってしまった件は一時の間、皆の頭から抜けることになった。

 

 

 

 

 




というわけで番外編3はイッセーが幼児化する話でした。
はぐれ原作では縮んだ時の記憶はあったみたいですが、今回は丸々失っていることにしました。


次話から新しい章に入りますが、更新はかなり遅くなると思います。


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