ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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2話 体育祭の練習です!!

イリナが転校してから数日。

 

「はいはい! 私、借り物レースに出まーす!」

 

元気いっぱいに手をあげるイリナ。

 

イリナは持ち前の明るさのおかげで男女問わず人気が高く、すでにクラスに溶け込んでいた。

 

今はホームルームの時間で、体育祭で誰がどの競技にするのかを話し合っているところだ。

 

 

・・・・・はぁ。

 

とうの俺は机に突っ伏して、ため息をついていた。

 

 

イリナも俺の家に住むことになったんだ。

まぁ、夏休みに地上六階、地下三階という豪邸と化した家は部屋もたくさん余ってるから、一人や二人増えたところで、とくに問題はない。

 

ただ、一つ気づいたことがある。

 

 

それは家の女子率が上がると意外に肩身が狭いということだ。

 

母さん以外、美少女だらけ!

男子高校生としては理想の住まい!

 

・・・・・なんて思ってたけど、現実はそこまで甘くない。

 

 

例えば、アーシア、ゼノヴィア、イリナの三人が集まって女子トークをし始めたとしよう。

恐ろしく会話に入りづらい!

ここに小猫ちゃんやレイナまで入り込むと俺の接触できるスペースはない!

 

そのグループに入ることを諦めて、お姉様のもとへ行くと、部長と朱乃さんもやっぱり女子トークお姉様バージョンをしているんだ。

そこへ俺が「部長~」「朱乃さ~ん」と甘える感じで入り込んでも空しくなる。

 

 

確かに、異世界でも女の子に囲まれて過ごしたこともある。

城ではメイドさんもいたし、アリス達もいた。

 

だけど、俺は向こうでは客人扱いってのもあったから、そこまで肩身が狭くなるってことは無かったんだよなぁ。

あの時は右も左も分からない状態だったから、質問ばっかりしていたし。

 

 

はぁ・・・・・。

俺ってここまで甲斐性無しだったのか・・・・・。

こんな調子でハーレム王になれるのかね?

 

まぁ、だからと言って皆と仲が悪いとかではない。

普段は仲良く過ごしている。

 

女の子には女の子の生活があるってことで納得はしてるさ。

 

 

つーか、ここのところ、ずっと美羽に甘えてるような気がする・・・・。

女子トークについてけない俺の心情を察してか、俺のことを気遣ってくれている。

 

昨日なんて膝枕してくれたんだ。

 

うぅ・・・・妹の優しさが身に染みます!

 

 

「兵藤」

 

ふいに桐生に呼ばれた。

奴は現在、黒板の前に立ち、体育祭の競技について書き込んでいるところだ。

 

「脇のところ、破れてる」

 

「え? マジか」

 

と、桐生の言うように自身のワイシャツの脇を見るが、とくに破れてるところは無い。

 

ここで俺は自分のミスに気づいた。

だが、もう遅い。

 

「はい! 決まり!」

 

俺の名前がチョークで黒板に書き込まれていく!

 

「騙しやがったな、桐生!」

 

やられた!

 

完全に油断してた!

 

文句を言うが、奴はいやらしく笑うだけだった!

 

「あんたは二人三脚よ。相方は―――」

 

桐生がそこまで言いかけると、数人の手が挙がる。

 

美羽とアーシア、レイナにゼノヴィアだ。

 

 

四人はお互いを見合う。

 

「ほう、随分と強敵が揃ったものだ」

 

「そうね。でも、これは譲れないわ」

 

「ボクだってそうだよ」

 

「私もイッセーさんと走りたいです!」

 

うおおおおお!?

 

なんか四人の間で火花が散ってる!

 

四人は教室の後ろの方へと移動する。

 

そして―――

 

「「「「ジャンケン、ポン! あいこでしょ!」」」」

 

 

壮絶なジャンケン大会が始まった!

四人とも必死の表情だ!

そこまでして、俺と二人三脚したいですか!?

俺としては全然嬉しいけどね!

 

「「「「あいこでしょ! あいこでしょ! あいこでしょ! あいこで・・・・・・・しょ!」」」」

 

つーか、長いよ・・・・・

 

中々決まらないのな。

 

 

「四人とも盛り上がってるところ悪いけど早く決めてね。今日中に選手を決めないといけないから」

 

桐生がそう言うが・・・・・

 

「「「「あいこでしょ!」」」」

 

四人の耳には全く入っていないようだった。

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

それから五分後。

 

「それじゃあ、兵藤の相方はアーシアで決まりね」

 

桐生がそう言いながら、黒板にアーシアの名前を書いていく。

 

そう、永遠に続くかと思われた四人のジャンケン大会を見事制したのはアーシアだった。

 

よくもそこまであいこが続いたな!

 

 

「くっ・・・・・あそこでパーを出さなければ・・・・・っ!」

 

ゼノヴィア、めちゃくちゃ悔しそうだな。

自分の右手を見ながら過去の自分を責めてるよ。

 

正々堂々やって負けたものは仕方がないよな。

 

 

すると、アーシアが顔を少し赤くしながら俺のところに近づいてきた。

 

「イッセーさん、よろしくお願いします!」

 

「おう! よろしくな、アーシア!」

 

こうして、俺とアーシアは二人三脚のパートナーに決定したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

次の日。

 

今日から学園全体で体育祭の練習が始まっていた。

 

俺のクラスも体操着に着替えて、男女合同で各自が出場するの競技の練習をしていた。

 

「勝負よ、ゼノヴィア!」

 

「望むところだ、イリナ!」

 

イリナとゼノヴィアはグラウンドで駆けっこしていた。

二人はリレーの練習をしているんだけど・・・・・。

 

あいつら、互いに負けたくない競争心からか、グラウンドを爆走してるよ。

めちゃくちゃ速い。

流石は悪魔と天使。

 

ちなみに、美羽とレイナはグラウンドの端の方で障害物競走の練習をしている。

なぜか、網が体に巻きついていて、エロいことになっているのだが・・・・

 

「・・・・しかし、高速で動かれると、おっぱいの動きが把握しづらいな」

 

「そうだな」

 

「やはり、運動のときは適度な速さが一番だ」

 

と、俺と松田、元浜の三人は走る女子のおっぱいの動きを観察していた。

 

大きいのも、小さいのも、女子が動くたびに揺れるから目が離せないぜ!

 

体操着最高!

 

 

「お、兵藤」

 

「おう、匙じゃん」

 

匙が俺に話しかけてきた。

手にはメジャーやら計測するものを持っていた。

 

「何やってんだ?」

 

「揺れるおっぱいを観察だ」

 

「あ、相変わらずだな、おまえ・・・・。戦闘の時とのギャップが激しすぎないか?」

 

そう言いながら嘆息する匙。

特に戦闘時も平常時も変わらないと思うんだけどなぁ。

 

「修行にはなれたか?」

 

俺が尋ねると匙はため息をつきながら首を横に振った。

 

「いや、全然。あの修行、キツすぎるぞ・・・・・。今も体が重たくて仕方がない」

 

今の匙の体には美羽の魔法によって、常時、重力の三倍の負荷がかけられている状態だ。

 

以前、十倍でやってみたところ、次の日には体が動かなくなったらしい。

 

学園での生活もあるため、負荷を軽めにしてるんだが・・・・

 

それでも、かなりキツいようだ。

 

「まぁ、がんばれ。それを乗り切ったら、数段上のステージに進める。俺にもできたんだ、匙だってできるさ」

 

「ああ。俺、絶対に強くなって、今度こそ会長を勝利に導く!」

 

「その意気だ!」

 

 

うんうん。

 

この調子ならこいつは直ぐに強くなれると思う。

 

「ところで、兵藤はどの競技に出るんだ?」

 

「俺はアーシアと一緒に二人三脚だ」

 

「くっ! 相変わらずうらやましい野郎だ! 俺はパン食い競争だよ」

 

へー、匙はパン食いに出るのか。

 

それも面白そうだけど、俺はアーシアちゃんとの二人三脚の方が良いな。

仲良し小良しで走り抜きますよ。

 

うらやましがる匙のもとへメガネの女子が二人登場。

 

「サジ、何をしているのです。テント設置箇所のチェックをするのですから、早く来なさい」

 

「我が生徒会はただでさえ男子が少ないのですから、働いてくださいな」

 

ソーナ会長と副会長の真羅先輩だ。

二人が匙を呼んでいる。

おおっ、二人のメガネがキラリと光ってるぜ。

 

「は、はい! 会長! 副会長!」

 

匙はあわてて二人のもとへと走っていく。

うーん、生徒会は厳しそうだな。

 

 

そういえば、副会長もグラマーな体型をしてるんだよなぁ。

というより、生徒会メンバーも美少女揃いなんだよな。

 

うん、いいおっぱいしてるぜ!

 

 

『(・・・・ヴリトラか)』

 

ん?

 

どうしたよ、ドライグ。

 

『(相棒はこの間のゲームの際、あの小僧の背後に現れたものを覚えているか?)』

 

あー、そういえば匙の後ろに黒い蛇みたいのがぼんやりと浮かんでいたっけな。

 

木場が驚きの表情を浮かべていたのを良く覚えてるよ。

 

『(あれはヴリトラが小僧の闘志によって反応したのだろう。・・・・幾重に刻まれ、魂が薄まろうとも宿主の強い思いがあれば話は別だということか・・・・)』

 

それって、匙に封印されているヴリトラの意識が戻ったということか?

 

『(いや、そこまでではない。あの時の、一時的なものだろう。だが、今後次第ではヴリトラの意識が戻ることもありうるな)』

 

なるほど・・・。

 

『(使い魔にティアマット、近くにはファーブニルとヴリトラ。そしてタンニーンにも出会った。相棒は各龍王に縁があるのかもしれんな)』

 

龍王に縁がある、か。

確かにそうかもしれない。

今後も他の龍王と接する機会がくるかもな。

 

 

「アーシア! 夏休みの間におっぱい成長したぁ?」

 

「キャッ! 桐生さん! も、もまないでくださいぃ」

 

あ!

エロメガネ娘がアーシアにセクハラしてやがる!

目を離すとすぐこれだ。

 

アーシアがエロくなったらどうしてくれる!

 

・・・・まぁ、それはそれで良いかな、と思う自分もいるが・・・・・。

 

 

さて、そろそろ俺達も練習を始めるとするか。

 

俺はクラスごとに用意された競技用道具から二人三脚用のひもを取り出した。

 

「アーシア、俺達も練習しようぜ!」

 

「は、はい!」

 

じゃれついていた桐生にペコリと頭を下げたアーシアは、俺のもとへと駆け寄ってきた。

 

俺とアーシアはぴったりくっつき、足首にひもを結ぶ。

 

「よし、さっそく行くぞ、アーシア!」

 

「は、はい!」

 

アーシアは恥ずかしそうにしながらも俺の腰に手を回す。

 

うーん、アーシアの髪からいい匂いが・・・。

しかも、ぴったりとくっついているから、アーシアの柔らかい体が・・・・。

 

いかんいかん!

雑念を振り払わないと!

今は練習に集中しなければ!

 

息を整えて、俺達は互いに頷き合った後、足を一歩前へ踏み出した。

 

「せーの、いち、に――――」

 

声を出して、動き出すが―――――

 

ガクン!

 

足を取られて、バランスを崩した!

 

「きゃっ」

 

「アーシア! 危ない!」

 

倒れそうになるアーシアを急いで掴まえて体勢を立て直す。

 

「・・・やっぱり、俺がアーシアに合わせるしかないよなぁ」

 

と、俺が考えていると、アーシアが顔を紅潮させていた。

何かに耐えている様子だ。

 

どうしたんだ、アーシア?

 

 

ムニュ

 

 

あれ?

 

右手が何か柔らかいものを――――――――――

 

 

って、俺、アーシアのおっぱい揉んでるぅぅぅぅぅっ!!

 

さっき、とっさに掴んだところはおっぱいだったのか!

 

 

むぅ・・・、質量が増している・・・・

 

桐生が言っていた通り、確かにアーシアは夏休み中に成長したようだ。

 

いやいやいや、何を冷静に分析してんだよ!

 

俺はアーシアのおっぱいから手を離す!

 

「ゴ、ゴメン! わざとじゃないんだ!」

 

「だ、大丈夫です。平気です。で、でも、触るときは一言言ってからにしてください・・・・。私も心の準備が必要ですから・・・・」

 

一言いえばOKなんですか!?

 

「と、とりあえず、再開しよう」

 

「は、はい。でも、すみません。私、運動はそこまで得意じゃないので」

 

気落ちするアーシア。

 

「いいって。要は息を合わせること。コンビネーションだ」

 

「コンビネーション?」

 

可愛く首をかしげるアーシア。

うーん、やっぱりアーシアには癒されるなぁ。

 

「そう、コンビネーション。まずはゆっくりでいいから一緒に声を出して、一歩一歩動いてみよう」

 

「分かりました! よろしくお願いします!」

 

こうして俺達はまず息を合わせて歩くことから始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

その日の放課後。

 

今日は教室の掃除当番だったんで、部室には遅れて顔を出すことになった。

 

俺は同じ掃除当番だった美羽とアーシアを連れて部室に入る。

 

すると、先に来ていた部長を含めたほかのメンバーは顔をしかめていた。

 

「どうしたんですか?」

 

俺が尋ねると、部長が言う。

 

「若手悪魔のレーティングゲーム。私達の次の相手が決まったの」

 

へぇ。

もう決まったのか。

 

グレモリー対シトリーの一戦を皮切りに例の六家でゲームが行われている。

部長達もシトリー以外の家と戦うことになっていた。

 

・・・・まぁ、俺は出られないわけだけど。

 

「それで、次の相手は誰なんです? あ、もしかしてサイラオーグさんとかですか?」

 

確かにあの人が相手なら、こういう空気になるかもしれない。

あの人は会合で集まった若手悪魔の中でも纏うオーラが別格だったからな。

 

だけど、部長は首を横に振った。

 

「まぁ、サイラオーグを今の段階で相手にするのは正直言って辛いのだけど・・・・。今回はそういうのではないの」

 

部長はそこで止めると、一旦息を吐く。

 

そして、次の対戦相手の名を言った。

 

「次の対戦相手は―――――ディオドラ・アスタロトよ」

 

「―――――っ!!」

 

このタイミングであいつが相手か・・・・。

 

悪い冗談としか思えない対戦相手に俺は思わず言葉を失った。

 

 


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