ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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お久し振りです!!

活動報告では試験を乗り切ってから執筆を再開すると書きましたが、息抜きに1話だけ書いてみました。

今回からリアスVSソーナです。

それではどうぞ!!


11話 開幕です!!

決戦当日。

 

ゲームが始まるまであと三時間ほど。

ゲームに出場するメンバーは各自、体を動かしたり、シミュレーションをしたり、リラックスするなりしている。

 

 

美羽はアーシアとギャスパーの三人で雑談している。

あの二人はその方が緊張が和らぐだろう。

 

 

俺はというと、自分の部屋で悪魔のお勉強だ。

教育係の人から宿題を出されたので今、ノートにペンを走らせているところだ。

まさか、宿題を出されるとは思ってなかったぜ。

ゲームをリアルタイムで観戦するためにも早く終わらせないと。

 

 

「えーと、なになに・・・・元七十二柱で断絶した家はどこか・・・・・」

 

 

あー、これ教えてもらった記憶がある。

何処だったかな。

俺は過去に書いたノートを開いてそのページを探す。

 

 

コンコン

 

 

すると、部屋のドアがノックされた。

 

『・・・・イッセー先輩、今良いですか?』

 

「小猫ちゃん? いいよ、入ってきて」

 

 

ガチャ

 

 

俺が許可すると小猫ちゃんがドアを開けて入ってきた。

そして、俺の側に寄ってくる。

 

「・・・・失礼します。・・・・・? イッセー先輩は何をしてるんですか?」

 

小猫ちゃんは俺の手元を覗きこんで尋ねてきた。

 

「グレモリーの教育係の人から出された宿題だよ。これを終わらせないと皆のゲームを観戦出来ないからね」

 

「どのくらい終わったんですか?」

 

「う~ん、だいたい半分くらいかな。一度習ったところだし、皆のゲームが始まる前には終わると思うよ」

 

「そうですか」

 

小猫ちゃんはそう言うと側にある椅子に座る。

それから、何も言わずにじっと俺の方を見てくる。

 

緊張してるのかね?

 

俺は手を動かすのを止めて小猫ちゃんと向き合う。

 

「小猫ちゃん、俺に話しがあるんじゃないの?」

 

「・・・・はい」

 

俺の問いに小猫ちゃんは頷く。

 

 

 

「今回のゲームで私は・・・・・猫又の力を使います」

 

 

 

「っ!」

 

小猫ちゃんの一言に俺は少し驚いた。

小猫ちゃんは続ける。

 

「・・・・このままでは私は皆のお役に立てないかもしれません。だから使おうと思います」

 

決意の眼差しだった。

これまで否定していた自分の力を受け入れる覚悟を決めたようだ。

 

「・・・・だから、その・・・・私が猫又の力を使うところを見ていてくれますか?」

 

顔を赤くしながらそう言う小猫ちゃん。

少しモジモジしてるな。

 

あー、もう!

小猫ちゃんの上目使いが可愛すぎ!

保護欲が掻き立てられるよ!

 

「小猫ちゃんのお願いは断れないよ。小猫ちゃんが頑張るところしっかり見る。だから―――頑張れ!」

 

「・・・・はい!」

 

うん、元気の良い返事だ。

 

小猫ちゃんの決意を聞いたところで俺はひとつの提案をする。

 

「そうだ、小猫ちゃん。今度、気の扱い方を教えようか? 小猫ちゃんの種族は気を扱う仙術に長けているんだよね?」

 

「そうですが・・・・イッセー先輩が教えてくれるんですか?」

 

「うん。俺が使う技は『錬環勁気功』っていう気を扱うものなんだ」

 

「れんかん、けいきこう・・・・? 聞いたことがないです」

 

「まぁ、マイナーものだからね・・・・。でも、話を聞いてると仙術ってのはこれと良く似てるみたいだし、基本くらいなら教えてあげられると思うんだ。それにこの技は格闘術がメインなところもあるから小猫ちゃんのスタイルに向いてると思う。だから、小猫ちゃん、俺と一緒に修行してみない?」

 

「よろしくお願いします」

 

俺が尋ねると小猫ちゃんは即答した。

 

「私は少しでも強くなってリアス部長の、皆のお役になりたいんです・・・」

 

「OKだ。じゃあ、詳しい話はまた今度といこうか。今は目先のゲームに集中しないとな」

 

「分かっています。ゲームに出られないイッセー先輩の分まで頑張ります」

 

「おう! よろしく頼むぜ、小猫ちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲーム五分前。

 

グレモリー本邸の地下にゲーム場へ移動する専用の魔法陣が存在する。

俺以外の眷属がその魔法陣の上に集まり、もうすぐ始まるゲーム場への移動に備えていた。

 

アーシアとゼノヴィア以外は駒王学園の夏の制服姿だ。

アーシアはシスター服、ゼノヴィアは出会った頃に着ていたあのボンテージっぽい戦闘服だ。

二人ともそちらの方が気合いが入るらしい。

 

ジオティクスさん、ヴェネラナさん、ミリキャス、アザゼル先生が魔法陣の外から声をかける。

 

「リアス、頑張りなさい」

 

「次期当主として恥じぬ戦いをしなさい。眷属の皆さんもですよ?」

 

「がんばって、リアス姉さま!」

 

「まぁ、俺が教えられることは教えた。あとは気張れや」

 

皆に声をかけていく中、俺は木場に近づく。

 

「木場、匙には気を付けろ。あいつがこのゲームにかける想いは半端じゃない。どんなことをしてでも勝つつもりだ」

 

「・・・・そうだね。彼には特に気を付けるよ」

 

木場は真剣な面持ちで頷く。

 

 

すると、魔法陣が輝きだした。

移動する準備が出来たみたいだ。

 

 

「皆、頑張れよ!」

 

俺は最後にエールを送る。

これが俺が今できる唯一のことだ。

 

そして光が皆を完全に包み込み、皆は転移していった。

 

ついにゲームが始まる!!

 

 

 

 

 

 

[木場 side]

 

 

 

魔法陣でジャンプして到着したのは―――テーブルだらけの場所だった。

周囲を見渡してみれば、どうやら飲食フロアらしく、テーブル周辺にファストフードの店が連なっていた。

 

ここは見覚えがある。

 

 

「駆王学園近くのデパートが舞台とは、予想してなかったわ」

 

僕の隣に来ていた部長が言う。

 

そう、ゲームの舞台は僕たちがよく通うデパートだった。

 

そのとき店内アナウンスが聞こえてきた。

 

『皆さま、このたびはグレモリー家、シトリー家の「レーティングゲーム」の審判役を担うことになりました、ルシファー眷属『女王』のグレイフィアでございます』

 

アナウンスはフェニックス戦のときとおなじくグレイフィアさんだ。

 

『我が主、サーゼクス・ルシファーの名のもと、ご両家の戦いを見守らせていただきます。どうぞ、よろしくお願い致します。さっそくですが、今回のバトルフィールドはリアスさまとソーナさまの通われる学舎「駒王学園」の近隣に存在するデパートをゲームフィールドとして異空間にご用意しました』

 

ゲーム会場が見知った場所だから、やりやすいとは思う。

だけど、それはシトリーの方も同じこと。

地理的アドバンテージは互いに五分といった感じだ。

 

『両陣営、転移された先が「本陣」でございます。リアスさまの本陣が二階の東側、ソーナさまの「本陣」は一階西側でございます。「兵士」の方は「プロモーション」をする際、相手の「本陣」まで赴いてください』

 

僕達グレモリー眷属唯一の兵士であるイッセー君がいないから、プロモーション出来るのはシトリー眷属の匙君と仁村さんだけだ。

二名しかいないが、こちらの数が不利な分、プロモーションされたら非常に厄介なものとなる。

 

部長もその辺りは既に考えているだろう。

 

『今回のゲームでは特別ルールがございます。各陣営に資料が送られていますので、ご確認ください。回復品である「フェニックスの涙」は各陣営に一つずつ支給されます。なお、作戦時間は30分。それまでは両チームも接触は禁止となります。――――それでは、作戦時間です』

 

 

アナウンス後、すぐに作戦会議を開く。

時間は三十分。

一分たりとも無駄に出来ない。

 

「今回のゲームは屋内戦を想定したもののようね。・・・・・今回の特別ルールは『バトルフィールドとなるデパートを破壊しつくさないこと』・・・・つまり、派手な戦闘は行うなってことね」

 

部長が送られてきたルールの紙を見ながら言う。

 

「なるほど、私や副部長にとっては不利な戦場だな。範囲の広い攻撃ができない」

 

ゼノヴィアの言うとおりだ。

朱乃さんの広範囲に及ぶ雷やゼノヴィアのデュランダルによる聖なる斬戟波動も使えない。

 

二人の攻撃は強力な分、周囲への影響も大きい。

今回のゲームでは自身の持ち味を活かせないことになる。

 

「困りましたわね。大質量による攻撃戦をほぼ封じられたようなものですわ」

 

朱乃さんが困り顔で頬に手を当てていた。

僕も息を吐きながら意見を言う。

 

「ギャスパーくんの眼も効果を望めませんね。店内では隠れられる場所が多すぎる。商品もそのまま模されるでしょうし、視線を遮る物が溢れています。闇討ちされる可能性もあります。・・・・・・困りましたね。これは僕らの特性上、不利な戦場です。派手な戦いができるのがリアス・グレモリー眷属の強みですから、丸々封じられる」

 

部長が僕の言葉に首を横に振った。

 

「いえ、ギャスパーの眼は最初から使えないわ。こちらに規制が入ったの。『ギャスパー・ヴラディの神器使用を禁ずる』だそうよ。理由は単純明快。まだ完全に使いこなせないからね。眼による暴走でゲームの全てが台無しになったら困るという判断でしょう。しかもアザゼルが開発した神器封印メガネを装着とのことよ。―――本当、用意がいいわね」

 

ふと、ギャスパー君を見てみるとさっそくメガネをかけていた。

似合ってるよギャスパー君。

 

それにしても、イッセー君が抜けるだけでも数的に不利なのに、更にギャスパー君まで規制が入るとなると、かなり厳しい状況だ。

 

更には特別ルールでグレモリーの強みが出せないと来ている。

 

いつものように立ち回れるのは僕と小猫ちゃんだけになるだろう。

 

「では、ギャスパー君には魔力とヴァンパイアの能力だけで戦うことになりますね」

 

僕の言葉に部長は頷く。

 

「そういうことね。修行で神器の扱いが向上したとはいえ、まだまだ使いこなしているというほどではないもの。暴走したら大変なことになるわ。・・・・・まぁ、これに関しては何となく予想はしていたから大した問題ではないわ。―――ギャスパー、イッセーから例の物は受け取っているわね?」

 

「はい。ここに転移する前に渡されました」

 

「よろしい。いざという時にはそれを使ってもらうわ。お願いね、ギャスパー」

 

「はい! 僕、頑張りますぅ!」

 

ギャスパー君が気合いの入った返事で答える。

 

彼はイッセー君達と出会ってから劇的に変わったと思う。

少し前のギャスパー君ならこんなに良い返事はしなかっただろうからね。

 

 

「今回のゲーム、私達にとってはかなり不利なものよ。でも、不利な状況下で敵を倒してこそ私達の評価は上がるわ」

 

部長が不敵な笑みを浮かべながら言う。

 

「あらあら、ずいぶんと燃えてますわね」

 

「当然よ。だけど、燃えているのは朱乃、あなたもでしょう? ・・・・いえ、私とあなただけじゃないわ。この場にいる全員が同じ気持ちのはずよ」

 

部長の言葉に全員が頷いた。

 

そうだね。

 

今回はイッセー君が僕達の戦いを見ることになる。

無様なところは見せられない。

 

まぁ、部長達は他の想いもあるみたいだけどね。

 

小猫ちゃんも今までにないくらい気合いが入ってる。

ゲームの前にイッセー君と何やら話していたようだけど、それが原因かな?

 

 

部長がポンッと手を叩く。

 

「おしゃべりするのはここまで。作戦会議を始めましょう。まずは戦場の把握からね。・・・・ここが、デパートをそのまま再現しているとしたら、立体駐車場の車も再現されているのかしら? だとしたら、厄介ね」

 

その言葉を聞いて僕は進言する。

 

「部長、屋上と立体駐車場を見てきます。近くに階段がありますから、確認してきます」

 

「そうね。お願い、祐斗」

 

僕はその場を足早にあとにして、屋上と立体駐車場の様子を見に行った。

 

 

 

 

 

 

 

僕が偵察に行ってから約10分後。

 

「ただいま戻りました」

 

「ごくろうさま。祐斗。さっそくだけど、どうだったか教えてくれる?」

 

「はい」

 

僕は細かく記されている地図に書き込みをしながら、車の配置など細かく報告していく。

 

「やはり車も再現されているわね。だけど、台数が思ったより少ないのは救いね。隠れるところも少ないし、ある程度の強力な攻撃もできるわ」

 

部長が地図を見ながらそう言う。

 

それを聞いて朱乃さんも意見を述べる。

 

「そうなると、立体駐車場から攻めるのは私とゼノヴィアちゃんが向いてますわね」

 

「そうね。朱乃とゼノヴィアには立体駐車場から侵攻してもらうわ。店内からは祐斗と小猫。ルール上、店内でも普段通りに立ち回れるのは二人だけでしょうし」

 

部長はそう言うとギャスパー君に視線を移す。

 

「ギャスパーはコウモリに変化して、デパートの各所を飛んでちょうだい。序盤、あなたにはデパート内の様子を逐一知らせてもらうわよ」

 

「りょ、了解です!」

 

 

それからも作戦会議は続き、細かい戦術を決めていった。

そして、一応のプランは固まった。

 

 

 

 

 


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