ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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3話 妹との日常です!!

美羽が俺達の家族になってから一月が経った。

美羽は俺が通う中学に入ることができ、学年も同じだ。

学校側には異世界のことは隠しつつも美羽が身寄りがなく、家の養女として迎え入れたことを伝えるとそれを信じてくれたようで、何の問題もなく中学に通うことが出来るようになった。

ちなみにだが、まだクラスには顔出しはしていない。

理由は今が八月で夏休みだからだ。

なので、クラスの皆と授業を受けるのは夏休み明けからとなる。

 

正直言うと、夏休みに入ってくれたのは俺も助かっている。

もし、そうでなければ俺の体の変化についてあれこれ聞かれかねないからな。

最悪、体調不良を言い訳に休むっていう手段もあったけど。

 

「お兄ちゃん、そこのエックスは二乗だよ」

 

「え? マジで?」

 

今、俺と美羽は受験に向けての勉強をしている。

美羽はこっちの世界に来てから日が浅いので受験勉強が大変なものになると思われたけど、なんと中学の範囲をこの一ヶ月足らずでほぼマスターしてしまった。

今では美羽の方が俺より勉強ができ、俺に教えることが出来るほどだ。

 

うぅ………俺、自分が情けないよ………。

 

「それにしても、美羽は頭が良いな。どうやって勉強したんだ? もしかして裏技があるとか?」

 

「そんな裏技なんてないよ。ボクは普通に勉強しただけだよ」

 

いやいや、おかしいって!

普通にやって、三年分を一ヶ月でマスターするってどんだけだよ!?

中学三年間の勉強ってここまで簡単だったっけ!?

それとも、俺の頭が悪すぎるのか!?

くそぅ、妹に抜かされる気分ってこんな感じなのか………。

 

「そ、そんなに落ち込まないでよ、お兄ちゃん! お兄ちゃんは少し勉強が苦手なだけで、それ以外は誰にも負けてないよ!」

 

俺が沈んでいると、美羽が慰めてくれる。

ていうか、美羽に『お兄ちゃん』って呼ばれるのがすごく心に響く。

シスコンの知り合いがいるけど、そいつの気持ちが少し分かった気がする。

もうね、美羽に『お兄ちゃん』って呼ばれるだけで色々と元気になる!

幸せな気分になるんだよ!

 

「ありがとな。俺もがんばるぜ!」

 

「うん! 一緒にがんばろ!」

 

それから暫くして。

本日の勉強会(ほとんど美羽に教えられていたけど………)は終わったので、俺はうーんと背中を伸ばしていた。

 

俺は息を吐きながら、首をぐりぐり回す。

 

「疲れたぁ………」

 

今日は数学をメインにやったけど、俺にとっては三年ぶりの数学だ。

久しぶりにやると、基本がすっぽり抜けてたりするから簡単な問題でも手間取ってしまったよ。

………まぁ、初見の美羽はとっくにマスターしてしまったけどね。

それでも、この一ヵ月でだいぶ思い出してきた。

 

美羽が湯飲みにお茶を注いで渡してくれる。

 

「はい、お茶」

 

「お、ありがとう」

 

俺は湯飲みに口をつけながら、時計を見ると時刻はもう夕方だった。

夕飯まではまだ時間があるか。

ずっと座りっぱなしだったし、散歩がてらに外出するとするかね。

 

「今からコンビニ行くけど、美羽はどうする?」

 

「あ、ボクも行くよ」

 

俺達は軽く支度をして、一階のリビングに降りた。

キッチンでは母さんは夕飯の支度をしており、俺は料理中の母さんに声をかけた。

 

「母さん、俺達、今からコンビニ行くけど何か買ってきてほしいものある?」

 

「あら、イッセー。調度良いところに来たわね。パンと牛乳をきらしてたから買ってきてちょうだい」

 

「パンと牛乳ね。了解。じゃあ、行ってくるよ」

 

「行ってきます、お母さん」

 

「二人とも気を付けてね」

 

 

 

 

俺達は家を出て、近くのコンビニに向かう道を歩いている。

夏だけあって、夕方になってもまだ暑い。

 

周囲から聞こえてくる蝉の鳴き声をぼんやりと聞く俺だったが、隣にいた美羽は鼻歌を歌っている。

えらくご機嫌だな。

 

「んふふ~♪」

 

「どうした?何か良いことでもあったのか?」

 

「お兄ちゃんとお出かけなんて楽しいもん。ご機嫌にもなるよ」

 

「お出かけって………。すぐそこのコンビニなんだけどな」

 

この一ヶ月で分かったことなんだが、美羽は非常に甘えん坊だった。

特に俺に甘えてくる。

俺としてはこうして甘えてくることは、すごく嬉しいことなんだけどね。

それだけ俺に心を開いてくれているってことだしな。

父さんと母さんともすぐに心を開くことができたし、向かいの家の鈴木さんとも仲良くなっていたみたいだ。

これなら、学校に通ってもすぐに友達ができるだろう。

誰とでもすぐに仲良くなれる、そこは美羽の良いところだ。

 

そうこうしてるうちにコンビニに着いた。

だけど………。

 

「う、う~ん」

 

俺達は中には入らずコンビニの前で立ち止まっている。

理由は美羽が中々、前に進んでくれないからだ。

 

俺は半目で言った。

 

「一ヶ月経ってもまだ慣れてないのか………自動ドア」

 

「だって、ボクがいたところにこんなのなかったんだもん!」

 

「それ言うの何回目だよ………十回以上は聞いたぞ?」

 

「うぅぅ」

 

そんな呻き声をあげながら美羽は俺を涙目で見てくる。

かわいいな、ちくしょう!

 

「分かった、分かったって! ほれ、いつもみたいに俺の腕に掴まれって。それなら良いだろ?」

 

そう言って俺は腕を美羽に差し出した。

自動ドアを通るだびにこれじゃあ、この先不安になるぜ………。

 

「良いの?」

 

「まぁ、いつものことだしな」

 

「ありがとう!」

 

そう言って俺の腕に抱きつく美羽。

そうすると、当然美羽の胸が当たるわけでして

 

 

むにゅぅぅ

 

 

うおぉぉぉぉぉぉ!

妹おっぱいが俺の腕を!

俺の腕を挟んでる!!

いつものことだけど、やばい!

これはやばい!!

至るに福と書いて至福!

しかも、目遣いで俺を見る美羽がすごくかわいいからダブルパンチだよ!

 

落ち着け、俺………!

美羽は義理とはいえ俺の妹。

しかも、シリウスから託された守るべき存在だ。

手を出す訳にはいかん!

しかも、ここはコンビニの前。こんなところで欲情するわけにもいかん!

静まれ、俺のムスコよぉぉぉぉぉ!

 

「ど、どうしたの!? お兄ちゃん、すごい鼻血だよ!」

 

「ハッ!」

 

またか!

理性と本能がぶつかってオーバーヒートを起こしたみたいだ。

 

「だ、大丈夫だ。も、問題ないよ………。とりあえず店員さんにティッシュ貰うか………」

 

俺達はコンビニに入り、レジの店員さんにティッシュを頼むことにした。

 

「す、すいません。ティッシュ貰えますか?」

 

「また、あなたですか………」

 

美羽とコンビニに来るたびにこれだから、すっかり顔を覚えられてしまったようだ………。

 

 

 

 

なんとかコンビニで買い物を済ませ、今は二人でアイスを食べながら公園のベンチでのんびりしている。

ちなみに、俺が食べているのはソフトクリームで美羽が食べているのはガ○ガ○君だ。

美羽のお気に入りだそうだ。コーラが好きらしい。

家の冷蔵庫には美羽専用でガ○ガ○君が常備されているから、違うのを食べれば良いのに………。

 

それにしても家の親、娘に甘すぎるだろ!もっと息子のことも大切にしてくれよ!

 

「やっぱりガ○ガ○君は最高だね!」

 

まぁ、喜んでくれてるから良いんだけどさ。

美羽が公園から見える建物を指差して聞いてきた。

 

「ねぇ、お兄ちゃん。あそこに見えるのが駒王学園?」

 

「そうそう。あそこが俺達が来年受験するところだよ。結構でかいだろ?」

 

「そうだね。………ボク、合格できるかな?」

 

「美羽なら楽勝だよ。むしろ、俺の方がヤバイかもな」

 

いや、本当。

学力的にはギリギリなんだよね、俺。

体育なら余裕なんだけどな。

 

「さて、そろそろ帰るか。夕飯も出来てるころだろうしな」

 

アイスを食べ終えると結構良い時間なので帰ろうとした時だった。

 

「あ、お兄ちゃん。アタリだった」

 

そう言って美羽はアタリバーを俺に見せてくる。

確かにアタリだ。

美羽は満面の笑みを浮かべて言ってくる。

 

「もう一回、コンビニに行こ♪」

 

どうやら、もう一回鼻血を出す覚悟をしないといけないようだ。

 

『相棒もすっかり兄らしくなったな。妹に欲情するところ以外は』

 

うるせーよ!

仕方ねぇだろ!

美羽はな、顔は幼いけど体は大人なんだぜ!

スタイル抜群なんだよ!

エロの権化と呼ばれる俺が欲情しないわけねぇだろ!

俺も必死で堪えてるんだよ!

性欲の塊と呼ばれた俺が、ここまで我慢してるんだ、すごいことだろ!?

 

『はぁ………。それさえなければ、最高の相棒なんだが』

 

ドライグよ、諦めてくれ。エロこそ俺の力の源なんだがらさ。

エロこそ力、エロ正義だ!

師匠もそう言ってただろ?

 

『ちっ、あのジジイめ。相棒に余計なことを教えよって』

 

いや、エロいのは師匠に会う前からだけどね。

 

『泣いていいか?』

 

落ち着け、ドライグ!

こんなことで泣いていたらこれからどうなる!?

死ぬぞ!

 

『うおぉぉぉぉん! 誰か助けてくれえ!』

 

あ、泣いてしまった…………。

ごめんね、ドライグ。

 

「早く行こうよ、お兄ちゃん!」

 

俺がドライグと話していると美羽が手を引っ張ってきた。

 

「分かったよ。そんなに慌てなくてもガ○ガ○君は逃げないって」

 

苦笑する俺。

全く………本当に美羽は可愛いな!

 

『それにしても、この娘も大分馴染んできたみたいだな』

 

そうだな。

まだ、不安なところもあるみたいだけど、これから慣れていけば良いことだしな。

兄である俺がしっかりサポートしてやらないとな。

 

『そうだな。あの娘も色々と抱えこんでいることもある。相棒が支えてやることだな。俺も少しは力になるさ』

 

ありがとな、ドライグ。

やっぱりおまえは最高の相棒だよ。

 

そんな会話をしなから俺達は再びコンビニに向かった。

自動ドアを怖がった美羽が俺に抱きついてきて、俺がまた鼻血を出したのは言うまでもない。

 

 

 

 

「今日はなんか疲れたな」

 

家に帰った後、夕食を済ませた俺は風呂に入っている。

とりあえず、頭をあらうか………。

 

「あれ? シャンプーがきれてる」

 

何回押しても出てこないところを見ると、中身が切れたらしい。

替えのシャンプーあったかな?

替えのシャンプーは洗面台の下にあるはずだが………。

俺はシャンプーの替えを探そうと風呂の扉を開けた。

そこに―――――。

 

「「え?」」

 

目の前には裸の美羽がいた。

眼福です!

なんて言ってる場合か!

 

「美羽………?」

 

「お風呂、入ろうかと思って………」

 

ですよね!

それしかないですよね!

 

「あー、じゃあ、美羽が先に入るか? 上がったら呼んでくれれば良いからさ」

 

美羽がこっちに来てから、こういうバッタリイベントが起きないように気を付けていたんだが………ミスった。

美羽と気まずい雰囲気になるのは色々な意味で不味い。

いくらスケベな俺でも、そこだけは避けたかったんだ。

………が、イベントが発生してしまった以上はしょうがない。

今はこの状況を何とかせねば!

 

すると、美羽から返ってきたのは予想外の言葉だった。

 

「ボ、ボク………お兄ちゃんと一緒に入るよ! 背中流してあげる!」

 

「へ………」

 

ええええええ!?

マジですか!

そんなことが起こっても良いんですか!?

 

「い、いや、気持ちは嬉しいけど」

 

「………ダメ、かな」

 

そんな上目遣いで俺を見ないでくれ!

そんな風に言われたら、俺は………!

 

「ダメなんかじゃないって! お願いするよ! というかお願いします!」

 

こう答えるしかないじゃないか!

 

 

………というわけで。

 

 

「どう? 痒いところはない?」

 

「大丈夫だよ。気持ちいいよ」

 

俺は今、妹に頭を洗われています。

 

「はーい、流すよー」

 

「お、おう」

 

「次は体を洗うね」

 

「わ、分かった」

 

あぁ、力の加減が調度よくて気持ちいい。

それにしても、なんで美羽はこんなことを?

いままでは美羽と風呂に入ったことは一度もなかったし。

まぁ、裸で鉢合わせしたのも初めてだったけど………。

しばらく美羽に体を洗われていると背中にタオルとは違う柔らかい感触が伝わってきた。

この感触、覚えがある!

 

「み、美羽? まさか、おまえ………」

 

俺がおそるおそる振り替えると案の定、美羽のおっぱいが密着していた!

「よいしょ、うんしょ」と可愛い仕草でおっぱいを上下にうごかしていくぅぅぅぅぅ!

 

「美羽ちゃん!? そんな知識をどこで!?」

 

まさか、あっちの世界ではこういう洗い方だったのか!?

いや、少なくとも俺は知らん!

こんな、間違った知識は兄として俺が何とかしなければ!

お兄さんエロエロだけど、そういうのは時には厳しいよ!

 

俺が妹を注意しようとしたときだった。

 

「お兄ちゃんがもってるエッチなビデオでやってたから…………。こうすれば喜ぶかなって」

 

原因は俺か!

俺が原因だから注意しにくい! 

それにしても美羽、俺のビデオ見たの!?

ちゃんと隠してあったはずなのに!

 

たしかに喜んでるよ!

俺のムスコはフィーバーしてるよ!

 

「いかん………ひ、貧血だ………」

 

色々我慢していた俺にとって、今回のイベントは少々刺激が強かったらしい。

美羽のおっぱいの感触に喜びながらも、真っ白に燃え尽きたのだった。

 

 

 

 

「ここは………」

 

目を覚ますと俺の部屋にいた。

天国でもなければ地獄でもない。

間違いなく、俺の部屋だ。

 

すると、俺の視界に美羽の顔が入ってきた。

 

「目が覚めた? 大丈夫?」

 

あぁ、涙のあとがある。

どうやら俺が気絶したせいで泣かせてしまったらしい。

 

「ああ、大丈夫だよ。悪かったな、心配かけて………」

 

「ゴメンね、ボクのせいで………」

 

すごく落ち込んでいるが、美羽のせいではない。

俺はあの時、間違いなく幸せだった………!

 

そういえば、美羽が風呂に俺の背中を流した理由を聞いてなかったな。

 

「なぁ、美羽。なんで俺の背中を流すって言い出したんだ?」

 

俺の問いに美羽は顔を俯かせて言った。

 

「………ボク、こっちの世界に来てからお父さんやお母さん、特にお兄ちゃんにはお世話になりっぱなしだし………。何かお礼をしなきゃって思って………。でも何をしたらいいのか分からなくて」

 

なるほど………そんなことを考えてたのか。

まさか、そんなことで悩んでるなんて思ってなかったな。

 

俺は美羽をこっちに連れて来てから、美羽を守ることだけを考えていた。

美羽が少しでもこちらの世界に慣れるように、少しでも明るく幸せになれるように。

ただそれを願い、美羽を見守ってきた………つもりでいた。

俺は美羽の悩みに気づいてやることが出来ていなかったんだ。

それがこの結果だ。

 

俺は美羽の頭を撫でて言う。

 

「美羽の気持ちはよく分かったよ。ありがとな。だけど、俺達は家族なんだからさ、そんなに気を使う必要なんてないんだ。美羽が幸せでいてくるなら、それだけで十分だよ」

 

「………でも、それじゃあ、ボクは皆になにもしてあげられないよ?」

 

「そんなことはないさ。例えば美羽は俺に勉強教えてくれているだろ? それに父さんと母さんだって美羽には色々と助けられてるところもあるんだぜ?」

 

「本当?」

 

「ああ、本当だよ。今度、二人にも聞いてみるか? 多分俺と同じことを言うと思うよ」

 

俺の言葉を聞いて、美羽は少し泣きそうな顔をしていたけど、目元を拭い笑顔を見せてくれた。

どうやら、自分の中の悩みは解決したみたいだ。

 

「ねぇ、お兄ちゃん。一つお願いししても良い?」

 

「どうした?」

 

「今日、お兄ちゃんと一緒に寝てもいい?」

 

な、なんて可愛いお願いなんだ!

んもぅ、美羽ちゃんてば、本当にお兄ちゃんっ子なんだから!

でも、お兄ちゃんは嬉しいぞ!

感涙すらするね!

 

「ああ、いいよ」

 

俺は美羽のお願いに笑顔でそう返した。

 

もう夜も遅いし、そろそろ寝る時間だ。

俺はベッドに横になり、布団を開けると、美羽も中に入ってくる。

俺の胸に頭をくっつけて丸くなる美羽を見て、俺は呟く。

 

「こうして、美羽と寝るのは美羽がこっちに来て以来か」

 

まぁ、あの時は寝たって感じじゃないけど。

 

 

美羽が家族になってから一ヵ月。

こうしてみると時が経つのは本当に早い。

 

「なぁ、美羽。あれ………美羽?」

 

「スー………スー………」

 

健やかな寝息を立てる美羽。

寝るのはや!

寝つき良すぎるだろう!?

ベッドに入って一分も経ってないけど!?

でも、それだけ安心してくれているってことなのかな?

そう考えるとつい微笑んでしまう。

 

俺は美羽の頭を撫でながら、目を閉じ、夢の世界へと旅立った。




美羽は立派なおにいちゃん子になりました!

あと、1~2話くらいでプロローグは終わる予定です。


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