ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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第四章 停止教室のヴァンパイア
1話 久しぶりの再会です!!


俺は今、悪魔の仕事で、あのダンディな男性のところに来ている。

 

「おー、よく来てくれたな悪魔君」

 

「どうも。いつもご指名ありがとうございます」

 

俺が魔法陣で転移して来ると男性は快く迎えてくれた。

 

「いやー、なんかすいません。ご無沙汰になってしまって………」

 

エクスカリバーだのコカビエルだのとドタバタしてたからここに来るのは久々なんだ。

 

「なに、気にすることはないさ。悪魔君も色々あったみたいだしな」

 

「………そう言ってもらえると、助かります。それで、今日の依頼というのは?」

 

俺が尋ねると、男性は棚から一つのゲームを取り出した。

 

「おお! それって、この間発売されたばっかりの格闘ゲームじゃないっすか!」

 

それは二日前に発売された最新のゲーム。

 

俺も今度、買おうと思っていた代物だ。

 

「おうよ! 今日は君と対戦したくて、呼び出したわけだ」

 

「了解っす! 早速やりましょう!」

 

 

 

 

 

 

「あちゃー! また負けた!」

 

「ふっふっふ。君に勝つために、買ってからすぐにやりこんだからな。もうストーリーは全てクリアしている」

 

「マジっすか!?」

 

やりこみすぎだろ。

 

この人、暇なのか?

 

奥の棚を見ると最新のゲーム機から何世代か前の古いゲームが納められていた。

 

確か、最後に来たときには無かったはずだ。

 

「随分、揃えましたね。マニアでもここまで揃えてる人は中々いませんよ」

 

「集めだしたらコレクションしたくなる質でね。周りからは『おまえのコレクター趣味は異常だ』と良く言われるよ」

 

「へぇ」

 

「さぁ、もう一戦しようか悪魔君。いや―――赤龍帝、兵藤一誠君」

 

そう言いながら男性は黒い翼を出しながら立ち上がる。

 

翼の枚数は六対十二枚。

 

「望むところですよ―――堕天使総督、アザゼルさん」

 

 

 

 

軽い自己紹介を終えた俺達はソファに座り、向かい合っていた。

 

「とりあえず、お茶だ」

 

「どうも」

 

渡されたお茶を飲む。

 

このお茶、旨いな。

 

「じゃあ、目的を聞かせてもらうぜ、アザゼルさん。なぜ、この町に潜伏していたのかを」

 

「いいだろう。まぁ、大した理由はない。コカビエルが妙な動きをしていることを察知してな。目的が分かるまで監視してただけさ」

 

「あの白龍皇は?」

 

「ヴァーリのことか」

 

「ヴァーリ? あいつはアルビオンって名乗ってたけど?」

 

俺がそう言うとアザゼルさんは苦笑いする。

 

「俺が直接手を下すのは色々とマズいんでな。今回はあいつに事態の収拾を頼んだんだ。まぁ、おまえさんがコカビエルのやつを倒したみたいだがな」

 

あー、なるほど。

 

確かに、悪魔の領地に堕天使のトップが出てくるのは後々面倒なことになりそうだよな。

 

アザゼルさんの言うことに嘘は無いだろう。

 

すると、今度はアザゼルさんが俺に尋ねてきた。

 

「ところで、なんで俺の名前が分かったんだ?」

 

「会った時に上位の堕天使ってことは分かってましたし、情報をくれた人がいるので」

 

「情報? 誰が?」

 

「あ、気になります?」

 

アザゼルさんは頷く。

 

そんなに気になるなら、ここに呼んでやろう。

 

俺は携帯を開き、とあるところに電話をかける。

 

「あ、もしもし? イッセーだけど。………ああ、そうそう。俺の用事は済んだからもういいぜ………OK、分かった」

 

少し話した後、電話を切る。

 

そんな俺を訝しげに見てくるアザゼルさん。

 

「いったい誰に―――」

 

アザゼルさんが口を開いた時だった。

 

部屋に魔法陣が展開される。

 

これは転移用の魔法陣だ。

 

 

そして、そこから現れたのは―――

 

 

「見つけましたよ、総~督~!」

 

「ゲッ! レイナーレじゃねぇか!」

 

そう、魔法陣から現れたのは、レイナーレことレイナだった。

 

今日は可愛らしい水色のワンピースを着ている。

 

レイナは部屋に現れるとアザゼルさんに詰め寄る。

 

「全く、何してるんですか! コカビエル様があんなことするから、悪魔側や天使側に謝罪の書状を送ったり、報告書を書いたりで忙しいんですよ!? その上、総督が仕事を私達に丸投げするから、忙しさが倍になったんですけど! あなたは一人でのんびりゲームですか!? 忙しすぎて、うちの部署から病院に行った人が何人でたことか! だいたい、総督はそんなんだから―――」

 

おお!?

 

レイナがキレてる!

 

転移してきて早々のマシンガントーク!

 

これには流石の総督様もたじたじだ!

 

つーか、仕事を丸投げしてきたのかよ。

 

何してんだよ、あんた。

 

レイナの怒りも最もだ。

 

「わ、悪かった。すまん、ゆるして―――」

 

「いいえ、まだです! 前もそんなこと言ってたじゃないですか! 今度という今度は許しません!」

 

「いや、その………ほら、赤龍帝もいることだし」

 

「あっ………」

 

あ、俺をダシにしやがった。

 

「ごめんね、イッセー君! なんか見苦しいところ見せちゃって!」

 

レイナが両手を合わせてゴメンのポーズをとりながら謝ってくる。

 

「いや、俺は気にしてないけど………。それより、あれはいいのか?」

 

「え?」

 

俺が指を指す方には、そろりそろりと忍び足でこの場から逃げようとするアザゼルさんの姿。

 

「あ………」

 

レイナと目があった瞬間、ダッシュで逃げやがった!

 

俺はてっきりレイナも追いかけるのかな、と思ったんだけど何やら落ち着いている。

 

「フフフ。甘いですよ総督!」

 

レイナがそう言った瞬間、玄関の方から声が聞こえてきた。

 

「ゲッ! 今度はシェムハザかよ!」

 

シェムハザって副総督じゃなかったっけ?

 

サボりの総督を連れ戻しに態々ここまで来たのかよ。

 

「ゲッ!、じゃありませんよ、アザゼル! さぁ、帰りますよ!仕事が大量に残っているのですからね!」

 

「分かった! 分かったから、引っ張るなー! つーか、何でロープで縛るんだよ!」

 

「こうでもしないと、また逃げるでしょう!」

 

「ちょ、やめ、ギャアアアー!!」

 

玄関から聞こえる絶叫。

 

何があった!?

 

レイナが玄関に向かう。

 

リビングに一人、残される俺。

 

何があったのか凄く気になるんだけど、俺はここにいた方がいいのかな?

 

「シェムハザ様」

 

「ご苦労様です、レイナーレ。アザゼルは私が連れていきます。あなたは赤龍帝とゆっくりしていって下さい。色々と話がしたいと思いますし」

 

「いや、しかし………」

 

「気にすることはありません。あなたはここ数日、ろくに休めて無かったでしょう? たまには休暇を取ってください。あぁ、それから、この部屋は好きに使ってくれても構いませんから。副総督である私が許可します」

 

「は、はぁ………」

 

「その服も久しぶりに彼と会うために、新しく買ったのでしょう?」

 

「な、なぜそれを!?」

 

「いやー、若いって良いですね。それでは、私はこれで」

 

「ちょ、シェムハザ様!?」

 

そこで、アザゼルさんとシェムハザさんの気配が消えた。

 

どうやら、帰ったらしい。

 

数分後にレイナが戻って来ると、なぜか顔が真っ赤に染まっていた。

 

 

 

 

アザゼルさんが連れ去られて、数分後。

 

俺とレイナは二人、アザゼルさんの部屋にいた。

 

「じゃあ、改めて。久しぶりだね、イッセー君」

 

「おう。久しぶりだな、レイナ。そのワンピース、凄く似合ってるよ」

 

「そ、そう? ありがとう」

 

「ああ。それにしても見違えたよ。纏うオーラが以前よりも強くなってたからな」

 

ドーナシークと戦った時のレイナの力は本当に弱くて、下級堕天使の中でも弱い方だった。

 

それが今のレイナからは少なくとも中級堕天使クラスの力を感じられる。

 

「うん。あの後、アザゼル総督に頼み込んで鍛えてもらってるの。おかげでほら!」

 

レイナが背中から黒い翼を広げる。

 

その枚数は四枚。

 

「へぇ、すごいな。そこまでレベルを上げるなんて思わなかったよ」

 

「ありがとう。でも、イッセー君だってパワーアップしてない?」

 

「そりゃあ、俺も毎日、ティアとスパーリングしてるからな」

 

「ティアって?」

 

あー、そうか。

レイナはティアのことを知らないんだった。

 

「えーと、五大龍王の一角、ティアマットって言えば分かるかな?」

 

俺がそう答えるとレイナは笑顔のまま固まった。

 

どうしたんだ?

 

「………イッセー君、体大丈夫? それって毎日死にかけるんじゃ………」

 

「死にかけるってことはないかな。疲れるけど」

 

「相変わらず、とんでもないね………」

 

レイナは嘆息する。

 

うーん、なんか引かれてるような………。

 

この話題はここで止めよう。

 

「そういえば、最近忙しいのか?」

 

「そう! そうなのよ!」

 

ずいっと顔を近づけてくるレイナ。

 

顔近いって!

 

「今、アザゼル総督に鍛えてもらう代わりに秘書的なことを任されてるのだけど、これが本当に大変なの!」

 

「お、おう」

 

「最初は凄く嬉しかったけど、あの人、すぐにサボって神器の研究したり、どっか行ったりするのよ! 毎回これだから、たまったものじゃないわ!」

 

………レイナってこんなキャラだったっけ?

 

かなりストレス溜まってるのかね。

 

やばい、またマシンガントークが始まりそうだ。

 

「お、落ち着けって」

 

「あ、ゴメンなさい………。私ったら、イッセー君に愚痴を………」

 

「苦労してるんだな………」

 

この後、俺達は夜遅くまで話したあと、それぞれの家に帰ることになった。

 

夜も遅いから泊まっていけば、と提案したんだけど、仕事が残っていると言ってレイナは帰っていった。

 

 

 

 

翌日、部室にて。

 

俺は部長に昨日のことを報告していた。

 

「そう。堕天使側も大変なのね………」

 

堕天使の総督が自分の領地で勝手なことをしてたから怒るのかなと思ってたけど、部長は怒るどころか堕天使側に同情していた。

 

まぁ、昨日のレイナや副総督のシェムハザさんの様子を見ていると相当苦労してるみたいだしなぁ。

 

あれでよく部下がついてくるよな。

 

悪い人じゃないとは思うけど。

 

「しかしどうしたものかしら………」

 

「何がですか?」

 

「アザゼルのことよ。彼は神器に深い興味を持っているという話だし………。もしかしたら、イッセーの神器を狙って………」

 

部長の考えていることは分からなくはないが、それは無いと思う。

 

あの人はただのサボりだ。

 

部長の不安を聞き、木場が口を開く。

 

「大丈夫ですよ、部長。いざという時は僕がイッセー君を守ります」

 

なんで、瞳を輝かせてるの?

 

木場、正直キモいぞ。

 

「………いや、気持ちは嬉しいけどさ………。なんでそんなことを?」

 

「君は僕を助けてくれた。僕の大切な仲間だ。仲間の危機を救わないでグレモリーの騎士は名乗れないさ」

 

言ってることは理解できる。

 

確かに木場は俺にとっても大切な仲間だ。

 

でもな、おまえの口調はどこかがおかしい………

 

そんな俺の気も知らずに木場は続ける。

 

「確かに今の僕では君の足下にも及ばない。だけど、禁手に至った僕ならイッセー君の役に立てる時がいつか来ると思えるんだ。………ふふ、少し前まではこんなことを言うキャラじゃなかったんだけどね。君と付き合っているとそれも悪くないと思ってしまったよ。それに………なぜだか、胸の辺りが熱いんだ」

 

「お、おい木場。もうそれ以上言うな。頭痛がしてきた………」

 

マジで勘弁してくれ!

 

蕁麻疹が出来ちまったじゃねぇか!

 

一部の女子の間では俺と木場がいかがわしい関係になってるとか噂されてんだぞ!

 

俺はBLなんか真っ平ゴメンだからな!

 

「そ、そんな………」

 

気落ちするな!

余計に気持ち悪いから!

 

それよりも俺は一つ気になることがあったのでそれを部長に尋ねる。

 

「レイナから聞いたんですが、三大勢力の会談があるんですよね?」

 

「ええ、そうなのよ」

 

俺の問いに部長は頷く。

 

三大勢力の会談。

 

それは一度、三大勢力のトップが集まり、現状について話し合うという会談が行われるということ。

 

会談のきっかけは、もちろんコカビエルの襲撃だ。

 

「ちなみに、私達グレモリー眷属も事件に関わった者として、会談に出席する予定よ」

 

それは初耳だ。

 

いや、考えてみれば当然か。

 

俺達は事件の当事者だからな。

 

「はぁ………。会談前で只でさえピリピリしてるのに、アザゼルは一体何を考えているのかしら」

 

部長、まだ気にしてたんですね。

 

気にしなくても良いと思うんだけどなぁ。

 

というより、真面目に考えない方が良いと思う。

 

「アザゼルは昔から、ああいう男だよ」

 

突然、この場の誰でもない声が聞こえてきた。

 

声がした方へと視線を移してみると、そこには見覚えのある紅髪の男性がにこやかに微笑んでいた。

 

朱乃さん達が跪くのにつられて俺もその場に跪ずく。

 

アーシアとゼノヴィアは頭に疑問符をあげている。

 

「お、おおお、お兄様!?」

 

驚愕の声を出す部長。

 

現れたのは部長のお兄さんにして、現魔王の一人、サーゼクスさん。そして、その後ろにはサーゼクスさんの女王、グレイフィアさんが控えていた。

 

「やあ、愛しの妹よ。そして、その眷属達。楽にしてくれたまえ。今日はプライベートで来ているのだからね」

 

「プライベート?」

 

すると、ゼノヴィアがサーゼクスさんの前に出た。

 

「あなたが魔王か。私はゼノヴィアというものだ」

 

「ごきげんよう、ゼノヴィア。デュランダル使いが妹の眷属になったと聞いたときは耳を疑ったよ」

 

「ああ。私も自分が悪魔になるとは思わなかった。破れかぶれでなったとはいえ、本当にこれで良かったのかと思う時があるよ。………そもそも、私はなぜ悪魔になろうと考えたのだ? 確かあの時は、えーと………」

 

何やらゼノヴィアが自問自答しだしたぞ。

あいつ、何やってんの?

 

それを見てサーゼクスさんは愉快そうに笑う。

 

「いや、リアスの眷属は愉快な者が多い。ゼノヴィア、君の力を是非ともグレモリーのために役立ててほしい」

 

「伝説の魔王ルシファーに言われては私も後には引けないな。我が聖剣デュランダルにかけて、やれるだけやってみよう」

 

「ふふ、ありがとう、ゼノヴィア」

 

ゼノヴィアとサーゼクスさんの顔合わせが終わったところで部長が尋ねる。

 

「それで、お兄様はなぜここに?」

 

すると、サーゼクスさんは一枚のプリントを出した。

 

「なっ!?」

 

部長が目を見開く。

 

あれはもしかして―――

 

「もうすぐ授業参観だろう。勉学に励む妹の姿が見たくてね」

 

「そ、それを伝えたのはグレイフィアね!? 黙っていたのに!!」

 

部長はグレイフィアさんにそう言うと、グレイフィアさんはさも当然のように答えた。

 

「はい。サーゼクス様はこの学園の理事をしています故、私にも当然学園の情報は入ってきます。むろん、サーゼクス様の女王ですので、主へ報告も致しました」

 

「私はこれに参加する為だけに魔王の仕事は全て片付けてきた!」

 

サーゼクスさんは親指を立て、ウインクする。

 

………やっぱり、この人はシスコンだ。

 

めちゃくちゃ部長のこと愛してるよ。

 

『それは相棒も同じことだろう』

 

………否定はできない。

 

「ああ、それから後で父上も来られるよ」

 

「はぁ………」

 

部長が大きなため息をつく。

 

まぁ、思春期だからね。

 

親にはそういうのに来てほしくないんだろうな。

 

アーシアや美羽は来てほしいみたいだけど………。

 

二人は例外かな?

 

「お兄様は魔王なのですよ? 一悪魔を特別視するのは………」

 

部長がそう言うとサーゼクスさんは首を横に振った。

 

「いやいや、実はこれは仕事の内でもあってね。三大勢力の会談を学園で行おうと思っている。授業参観に来たのはその視察も兼ねているんだよ」

 

「「「!?」」」

 

この情報にはオカ研の全員が驚いた。

 

レイナからもその情報はなかったしな。

 

「そういうわけで、私は前乗りしてきたわけだが………、この時間帯で宿はとれるのかな?」

 

時計をみると結構遅い時間だった。

 

流石にこの時間に宿をとるのは難しいだろうな。

 

そこで、俺は一つ提案をした。

 

「それなら、俺に良い考えがあります」

 

その提案にサーゼクスさんはにんまりと笑みを浮かべた。

 

 


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