ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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17話 ドラゴンとは

美羽達にあの場を任せた俺達は目的地であるアグレアスの庁舎を目指した。

 

公園を越えてから約十分ほどが経過。

後ろの方からは爆発音から雷鳴、地響きまで聞こえ、美羽達が激戦を繰り広げているのが、背中でも感じられた。

 

アーシアが心配そうな表情で俺を見る。

 

「イッセーさん、美羽さん達は…………」

 

「心配してくれてありがとな。でもな、あいつらとは約束した。一緒に家に帰るってな。だったら、大丈夫だ。美羽達も、俺も。もちろんここにいる皆も」

 

そう言って俺はアーシアの頭を優しく撫でた。

 

他の皆も時折、俺の方を見てくるけど、心配ないと目で伝えた。

約束した以上、美羽もアリスも約束は守る。

多少の無茶はしても、約束を破るようなことはしない。

 

まぁ、そうなると俺も約束を破るわけにはいかないんだけどね。

父さんと母さんとも約束したし。

 

そんな会話をしながら、進むこと更に数分。

俺達は高層ビルの前に辿り着いた。

曲線を使った特徴的なデザインの高層ビル、これがアグレアスの庁舎だ。

 

俺達は庁舎から少し離れた場所で辺りの様子を伺うことにした。

 

庁舎の周囲には量産型邪龍が大量に待ち構えていた。

建物の回りも空も黒一色だ。

中にはグレンデルやラードゥンの量産型までいて、かなり厳重に守られている感じだった。

 

「………さて、どうしたものかしらね」

 

庁舎に飛び込む一手を思案するリアス。

 

「予想の範囲内ではあるけどな。奇襲されれば、本陣をガッチリ固めるのは当たり前だし。………俺が天撃(エクリプス)で吹っ飛ばそうか? もしくはEXAで殲滅するとか?」

 

「いえ、イッセーには出来るだけ温存してもらいたいからEXAは使わない方が良いわ。あれは消耗が大きい………そういえば回復できたわね」

 

途端に頬を赤らめるリアス!

 

そうだね!

ここにリアスいるから消耗しても回復できるよね!

 

こんな事態にこんなこと考えるのもどうかと思うけど…………リアスのおっぱいで回復したいから、撃っちゃおうかな!

一帯ごと、邪龍共を殲滅しちゃおうかな!

 

なんて緊張感ゼロの思考に走る俺だったが、小猫ちゃんが鼻を押さえながら言った。

 

「………臭い。というか、気づかれてますね」

 

小猫ちゃんがとある一点を指差す。

無数の邪龍の間から細長い蛇タイプで黒い鱗のドラゴンが姿を現した。

量産型とは比べようにならないほど、濃密で強大なオーラを纏う邪龍――――――ニーズヘッグが俺達の前に現れた。

 

ニーズヘッグは建物の影に隠れている俺達の方を向くと、口を開く。

 

《グヘ、グヘへへへへ。出てこいよぉぉぉぉっ、いるんだろぉぉぉぉっ》

 

やっぱ、気づかれてるな。

それなら話は早いか。

 

俺達は頷き合うと皆がそれぞれ得物を手にした。

 

俺は生身のまま、ニーズヘッグの前に姿を見せる。

近くに来て分かったんだが…………ニーズヘッグの体から異臭が漂ってくる。

小猫ちゃんが鼻を抑えるわけだ。

他の皆も一様に嫌な顔になっていた。

 

ドライグが皆に聞こえる声で言う。

 

『ニーズヘッグか』

 

ドライグの声を聞いて、ニーズヘッグは醜悪な笑みを見せる。

 

《おめ、ドライグだろ? グヘへへ、見ない間に随分ちっこくなっちまったもんだ》

 

俺は一歩前に出ると、ニーズヘッグに話しかける。

 

「おまえがニーズヘッグ、か。おまえか、うちの家族に手を出したのは。父さんと母さんを襲い、ディルムッドとオーフィスを傷つけた」

 

《あぁ? あの娘か? そだよ、ルシファーの息子にうめぇドラゴンの卵があるって聞いてよ? そこに行く前におめのおっとうとおっかあを拐って行けって言うもんだから、その通りにしたのよ。そしたらよ、あの娘が邪魔しやがってよ?》

 

「それで大勢であいつをやったと」

 

《ルシファーの息子がよ、念の為って、量産型の邪龍をくれたんだぁ。でよ、あんまり時間かけるなって言われてたからよ? あの娘をボッコボコにして、オーフィスのところに行ったわけよ》

 

ニーズヘッグは醜悪な笑みをより一層深くする。

 

《でよ? オーフィスに卵くれって言ったら、ダメだっつーのよ。でも、美味そうな卵なもんだから、俺も強引にいっちまってよぉ。俺よ、オーフィスをぶ、ぶ、ぶん殴っちまった! で、でよ、オーフィスに仕置きでもされっかと思ったけど、されないもんだから、つい調子に乗ってオーフィスさ、もっともっと殴っちまった》

 

嬉々としてニーズヘッグはあの映像に映っていた通りの内容を話す。

 

こいつが…………こんな奴が俺の家族を?

父さんも母さんもこいつのせいで恐怖を植え付けられた。

ディルムッドは片腕を千切られて、死ぬ一歩手前までいった。

オーフィスも全身の骨を砕かれて、重症を負った。

ディルムッドと卵を守るために無抵抗のまま、こいつの暴力を受け続けた。

 

ニーズヘッグは楽しげに、愉快そうに口から毒液のような涎を撒き散らしながら続ける。

 

《あの無限の龍神さまがぜーんぜん抵抗さしてこねぇもんだから、楽しくなっちまってよぉぉぉぉっ! 殴って殴って蹴って蹴って踏んづけて噛んじまったよぉぉぉぉっ!》

 

不愉快な言葉を吐く邪龍に俺は一歩、また一歩と近づいていった。

 

奴の足元に立った瞬間――――――俺は領域(ゾーン)に突入した。

 

《グベェッ!?》

 

高く舞い上がるニーズヘッグの巨体。

領域状態の俺が放ったアッパーが奴の顎を抉り、上へと打ち上げたんだ。

 

背中から地面に叩きつけられるニーズヘッグ。

衝撃で地面に大きなクレーターが咲き、瓦礫でニーズヘッグの巨体が埋まる。

 

俺は無様な姿を曝す邪龍に告げた。

 

「来いよ、ド三流のクズドラゴン。俺の家族に手を出したツケ、利子つけてきっちり返してもらう」

 

一泊おいて、瓦礫をはね除けてニーズヘッグが火を噴いた。

 

《い、いでええええええええ! いでぇぇぇえええええええええよぉぉぉぉぉぉ!》

 

あいつの顎、変形してるな。

骨でも砕けたかね。

 

ニーズヘッグは頭に乗っていた瓦礫を落とすと、怒りの形相で俺を睨む。

 

《な、なにすんだ、こ、このクソちび悪魔がよぉぉおおおおお! 殺す! 食い殺してやっからなぁぁぁぁぁぁ!》

 

奴は怒りのまま、巨大な腕を振り下ろしてくる。

 

こいつは領域(ゾーン)状態の俺の動きに着いてくることが出来ていない。

どれだけ腕を振り回そうとも当たらなければ意味はない。

ニーズヘッグが腕を振る度にブゥゥンという音がするが、どれもが虚しく空振った。

 

こいつがディルムッドを傷つけた腕か。

こいつがオーフィスを殴った腕か。

 

こんなもんが――――――。

 

俺は避けるのを止める。

そして、振り下ろされた豪腕を片手で受け止めた。

 

………軽い。

軽すぎる。

 

俺は奴の指を両手で掴み―――――ニーズヘッグの巨体を持ち上げた!

 

「らぁっ!」

 

ニーズヘッグを空へと投げ飛ばす。

奴は翼を広げて、その場に留まるが、俺は既に奴の懐。

 

超至近距離から気を練り上げた拳を奴のデカい腹にぶちこんだ!

一発、二発、三発。

重く入っていく拳は回転速度を上げて、奴の肉体を破壊する!

ニーズヘッグは避けることすら出来ずに、俺の拳をくらい続けた!

 

俺がニーズヘッグを相手している傍らで、仲間達は量産型の邪龍の相手をしていた。

 

騎士王形態の木場が聖魔剣とグラムの二刀流で戦場を駆け、ゼノヴィアは二つに別れたデュランダルとエクスカリバーで破壊の嵐を起こす。

 

闇の獣と化したギャスパーは周囲に無数の闇の怪物を解き放ち、殲滅に入る。

 

イリナのオートクレールと小猫ちゃんの放つ火車は邪龍を浄化し、消滅させる。

 

レイナとレイヴェル、ロセは空を飛び、上から光の弾丸と火球、魔法のフルバーストで邪龍を焼いていく。

 

リアス、朱乃のコンビは後方から滅びの龍と雷光の龍を飛ばし、一斉に邪龍を屠っていた。

 

アーシアはリアスの傍らでいつでも皆の回復できるように回復のオーラを手元に溜めている。

 

ここまで多くの邪龍と戦ってきた仲間達の攻撃は猛烈で、頼もしいものだった!

 

皆も本当に強くなった。

初めて出会った時よりも強く逞しくなった。

今までの修業の成果が十分すぎるほど、この場では活かされている。

 

そんじゃ、俺もこいつを………目の前の邪龍を片付けますかね。

 

何度も同じ場所を殴り続けたことで、ニーズヘッグの腹には大きな穴が空いた。

傷から夥しい量の血が流れ出る。

 

《いでぇぇぇえええええええええよ! やりやがっだなぁぁぁぁぁぁっ!》

 

「喚くな、クソ邪龍! てめぇのやったこと、思い出しやがれぇぇぇぇぇ!」

 

《ぐぶぅっ!》

 

怒りの鉄拳を奴の顔面にめり込ませ、勢いに乗せて撃ち抜く!

ニーズヘッグの体が仰け反って体制を崩したところで、特大の気弾をぶちこんだ!

 

気弾は回転しながら奴の腹に命中。

墜落した後も気弾に押し潰されていく!

 

《げぇぇぇぇっ!》

 

悲鳴をあげ、だらしなく血反吐を吐くニーズヘッグ。

 

ドライグが聞いてくる。

 

『鎧は使わないのか?』

 

悪いな、こいつは俺の我が儘だ。

このクソ邪龍は俺の手で直接殴らないと気が収まらないんだよ。

 

それにこの程度の三流ドラゴン、赤龍帝が出るまでもないだろう?

ここはただの兵藤一誠で十分だ。

 

俺はニーズヘッグの尻尾を掴む。

 

「なぁ、どんな気分だ? 自分は痛い目に遭わないとでも思ってたんだろう? どんな気分だ? ちっぽけな俺に手も足も出ないこの状況によっ!」

 

力任せに奴の巨体を持ち上げ―――――叩きつける!

尻尾を振り回して地面に、建物に何度も!

 

こんなもんじゃ済まさない。

こいつはディルムッドの気持ちもオーフィスの気持ちも踏みにじったんだ。

自分のやったこと、後悔させてやるよ!

 

叩きつける度にニーズヘッグの体から血飛沫が飛び、奴は悲鳴をあげる。

 

「俺は大事なもんに手を出されて大人しくしているほど、優しくはない。特におまえみたいな下衆にはな。―――――うちの家族、泣かせんじゃねぇよ!」

 

赤いオーラを纏った拳が奴の顔面を撃ち抜き、庁舎の内部にふっ飛ばす!

 

建物の中からよろよろと這い出てきたニーズヘッグ。

俺の攻撃を一方的に受け続けた結果、満身創痍、ズタボロの姿に。

 

そろそろトドメを刺そうかというところで、ニーズヘッグの体が淡い光に包まれる。

そして、何事も無かったように立ち上がった。

 

《グヘへへへへ! 復活だぁぁぁぁ!》

 

嫌な笑みを浮かべるニーズヘッグ。

 

今の今まで受けていた体の負傷、ダメージが完全に消えていた。

 

「そういや、おまえらクリフォトはフェニックスの涙を持っていたな」

 

そう、奴らは外道と言える方法でフェニックスの涙を量産していた。

 

ニーズヘッグは意気揚々と手の中にある複数の小瓶―――――フェニックスの涙を見せびらかしてきた。

 

《便利なもんだなぁ、今の傷がすぐに治るなんてよぉぉぉぉ! もう許さねぇぇぇぞぉぉ、絶対になぁぁぁ!》

 

怒りと共に体中からどす黒い瘴気まで発し始めたニーズヘッグ。

 

なるほど、ディルムッドが死にかけた訳だ。

この瘴気をまともに受ければ、悪魔であっても体に異常をきたす。

アザゼル先生の言った通りだな。

 

そんなことを思い出していると――――俺の意思に関係なく鎧が展開された。

 

…………ドライグ?

 

『悪いな、相棒。ニーズヘッグのあのような姿を見ているとな、無性に怒りが沸いてきたのだ。ここからは俺も交ぜてもらおうか』

 

ドライグは奴にも聞こえる声でそう言った。

 

ったく、ドライグも参加ですかそうですか。

まぁ、良いさ。

 

ありがとよ、相棒!

 

赤き龍の鎧を纏う俺は復活したニーズヘッグの前に立つ。

 

「フェニックスの涙? そんなもん関係ないな。とことんまで潰してやるよ。―――――本物のドラゴンの力、見せてやる」

 

そう告げて、ニーズヘッグの方へ一歩踏み出した時だった―――――。

 

俺達のニーズヘッグの間に一人の男が割り込んできた。

 

「―――――ドラゴンらしい言葉だ。高揚してくるではないか」

 

黒いコートを着た男性―――――クロウ・クルワッハが現れた。

 

こいつ、なんでここに来ている?

疑問を感じる俺だったが、奴は構わずにニーズヘッグに詰め寄った。

 

「ニーズヘッグ………なんと、稚い気のことか」

 

瘴気を放つニーズヘッグの姿に嘆くクロウ・クルワッハ。

 

ニーズヘッグがクロウ・クルワッハを視界に捉えて言う。

 

《グヘへへへへ! クロウの旦那じゃねぇか! さっき会った時は思わずビビッちまったけどよ、一緒によ、俺とよ、こいつさ、食って―――――》

 

 

ドゴンッ!

 

 

ニーズヘッグが言い終える前に鈍い音が響く。

見れば、クロウ・クルワッハの右腕が巨大なドラゴンの腕と化していて、それをニーズヘッグの顔面に打ち込んでいた。

 

これにはニーズヘッグも虚を突かれたようで、間抜けな顔をしていた。

 

《い、いでぇぇぇよ!? いでぇぇぇじゃねぇかよ!? なんで俺を殴るんだよぉぉぉぉっ!》

 

口から血を撒き散らしながら喚くニーズヘッグにクロウ・クルワッハは目を細め、首をコキコキと鳴らす。

 

「………貴様が、貴様達が、あまりに小賢しい真似をするものだからな。俺はオーフィスを通してドラゴンを見ようとした。それを邪魔するならば―――――消し炭にするしかあるまい?」

 

クロウ・クルワッハは庁舎の最上階―――――リゼヴィムがいると思われる場所を見上げ、奴に向かって言う。

 

「リゼヴィム・リヴァン・ルシファー、見ているか? 多くの邪龍を手懐けたことで勘違いしたようだな。―――――真のドラゴンとは、生まれた時から死ぬ時まであるがままに思うがままに我が儘に生きるっ! それが、ドラゴンなのだ!」

 

断言するクロウ・クルワッハ。

 

あるがままに、思うがままに、我が儘に生きる…………か。

 

こいつはドラゴンというものを追い続けて長年生きてきた。

邪も天も神も関係なく、自由に生きる。

それがドラゴン。

 

説得力がありすぎるぜ。

 

ふいにクロウ・クルワッハが俺に視線を向け、庁舎の最上階を指差した。

 

「――――行け」

 

「いいのかよ?」

 

「赤龍帝、用があるのはあのルシファーの息子だろう? このような場所で時間を食っている暇があるのか?」

 

「………そりゃそうか」

 

納得した俺は奴の横に立って、ドラゴンの翼を広げる。

 

「そんじゃ、あとは任せるわ。―――――ドラゴンの面汚しに鉄拳制裁してやってくれ」

 

俺がそう言うとクロウ・クルワッハはフッと笑んだ。

 

こいつが笑うところ初めて見たかも………。

 

俺は振り返り、量産型邪龍と戦っている皆に言う。

 

「俺は先に行く! 皆、無茶はするなよ!」

 

『おうっ!』

 

邪龍を蹴散らしながら応じる皆!

頼もしいことだよ!

 

俺が飛び上がろうとすると、ニーズヘッグが攻撃型の魔法陣を展開し始めた。

 

《い、行かせねぇぞぉぉおおおおお!》

 

俺に攻撃魔法を放つつもりなのだろう。

 

しかし、俺は奴を横目に言ってやった。

 

「俺に攻撃する暇がおまえにあるのか?」

 

既にニーズヘッグの相手は交代している。

 

ニーズヘッグを阻むのは黒いコートの男。

 

「貴様の相手は俺だ」

 

俺達の間に入ったクロウ・クルワッハは強烈なオーラを解き放ち始めた。

 

「―――――久方振りだ、見せてやろう」

 

全身から凄まじいプレッシャーとオーラが解放され、この一帯を大きく揺らし始めた!

ここで戦闘をしているオカ研メンバー、量産型の邪龍達ですら、この変化に視線をクロウ・クルワッハに向けるほど!

 

全視線を集める中、クロウ・クルワッハの体に変化が訪れる!

腕が、足が、背中が、腹が、頭が本来の姿―――――ドラゴンの姿に戻っていく!

 

黒と金色のオーラを全身から放ちながら、両翼をバッと雄大に広げる一体のドラゴン。

元の姿を解き放った最強の邪龍が口から火の粉混じりの息を吐いた。

 

『―――――邪龍最凶と謳われたこの俺の力をな』

 

王道ともいえる姿をした漆黒のドラゴン。

威風堂々としたその姿は思わず見入ってしまうほどだ。

 

クロウ・クルワッハの真の姿にニーズヘッグは巨体を大きく震わせた。

 

《ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃっ!》

 

情けない悲鳴を上げるニーズヘッグ。

 

クロウ・クルワッハが纏うオーラは本物。

圧倒的強者のそれだ。

 

俺は………逆に高揚してしまっていた。

 

これがドラゴンを追い求めたドラゴンの姿!

長き時の中で研鑽し続けて得た力!

 

クロウ・クルワッハは震えるニーズヘッグの手元を指差す。

そこにはフェニックスの涙が入った小瓶いくつか握られていた。

 

『そのフェニックスの涙をとやらはいくつある? 十か? 二十か? このクロウ・クルワッハを前にしたのだ。存分に使うがいい。―――――だが、俺は貴様を百以上殺し続けてやろうッ! せいぜい、意識が燃え尽きぬよう繋ぎ止めておくのだなッ!』

 

なんとも迫力のある声だ。

その深く重みのある声を聞けば誰でも畏縮してしまうだろう。

 

ニーズヘッグもあまりに桁違いの相手に震えが止まらないでいた。

しかし…………、

 

《ガ、ガァアアアアアアアアアアッ!》

 

涙と涎を撒き散らしながら、無様な格好でニーズヘッグは果敢にもクロウ・クルワッハに襲いかかる。

 

邪龍最凶のドラゴンは意にも介さず、真正面から豪快な拳でニーズヘッグを吹っ飛ばしてしまう!

吹っ飛ばされたニーズヘッグは幾つもの建物を倒壊させていく。

 

………半端じゃない威力だな。

まともに受ければアウトじゃないか?

 

ここでクロウ・クルワッハの戦いを見てみたい気持ちでもあるが………そんな時間はないか。

 

俺は上空に意識を向けるが、少しだけクロウ・クルワッハの方に視線を向けた。

 

「クロウ・クルワッハ―――――あんたとなら真正面から戦ってみたい。誰の邪魔の入らない、一対一で」

 

俺の言葉にクロウ・クルワッハは笑みを浮かべて、

 

『それは楽しそうだ』

 

そうして俺達は互いの相手の元に繰り出していく。

クロウ・クルワッハはニーズヘッグ、俺は―――――。

 

 

リゼヴィム―――――首洗って待ってろ………ッ!

 

 




なんとなく思い付いたので書いてみました。


~あとがきミニストーリー~


イッセー「ディルムッド、唐揚げ食べるか?」

ディルムッド「うん! ………おに、お兄ちゃん………」

イッセー「カハッ」

吐血するイッセーだった。


~あとがきミニストーリー 終~

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