ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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先日活動報告に投降した美羽のイラストを初めてPCで描いてみました。


【挿絵表示】



14話 祭りの直前

「ぜーはーぜーはー………ゲッホゲホッ!」

 

肩で息をしながら咳き込む俺。

鎧なんてあちこち割れてるし、体のあちこちから真っ赤な血が流れてる。

 

全身ボロボロの俺を見て、美羽が悲鳴をあげた。

 

「お兄ちゃん!? ケガしてるの!?」

 

「いや、大したことないさ。ちょっと妨害にあっただけだよ」

 

「妨害って………」

 

「美羽の気を追ってここに来るまでの間、俺の複製やら邪龍やら魔獣の群れに襲われてな。そいつらを相手にするのに時間がかかっちまった。それより、美羽は無事か?」

 

俺が通ろうとすると、待ってましたと言わんばかりに出てくるんだもんな。

数で圧倒してくるから、マジでヤバかった。

 

美羽は俺に駆け寄ると自身のフェニックスの涙を振りかけようとするが、俺はそれを拒んだ。

 

フェニックスの涙は瞬時に傷を癒してくれる回復ツールだ。

これぐらいの傷で使うには勿体なさすぎる。

使うならもう少し後、その時までとっておくべきだ。

 

美羽は頷くと涙の使用をやめ、俺に回復魔法をかけてくれた。

もちろんフェニックスの涙やアーシアの回復速度には劣るが、それでも俺の傷を確実に治してくれる。

 

回復が終わり、傷が塞がった俺は美羽の頭を優しく撫でた。

 

「ありがとな。助かったよ」

 

「ううん………ボクのために無茶をしたんでしょ………? ボクのせいで………」

 

「良いんだよ。妹のために無茶が出来るのは兄貴の特権みたいなもんだ。それに、おまえを失う方が俺は辛い。………さて」

 

俺は美羽にそう告げると、優雅にティーカップに口をつけているアセムへと視線を移した。

 

「アセム、俺の妹に手を出すなんて良い度胸してんじゃねぇか…………と、言いたいところだが、特に手を出したわけじゃないみたいだな」

 

テーブルに置かれた二つのティーカップ。

一つはアセム、もう一つはアセムの向かいの席に置かれている。

そして、そこは先程まで美羽がいた場所だ。

 

あの紅茶はアセムが出したんだろうけど…………まったりし過ぎだろ!

 

アセムが言う。

 

「そりゃそうだよ。最初から彼女に攻撃しようなんて考えてないんだもん。今回はちょっとお話ししてみたかっただけだし。彼女を連れてきた時点で来るとは思ってたけど、かなり早かったねー。僕の予想だと結構時間かかると思ってたんだけど」

 

「美羽が連れていかれたって聞いてのんびりしてられるか」

 

「うはーシスコン全開じゃん」

 

否定はしない。

 

美羽が拐われたのなら、火の中、水の中、どこへだって追いかける。

地獄の果てまで追いかけて取り戻してやるぜ。

 

それが妹を愛する兄の勤めなり!

 

『シスコン…………』 

 

ふっふっふっ、今更だなドライグ!

付き合いの長いおまえなら分かるだろう?

 

『それはそうだが…………流石に今回は無茶苦茶し過ぎだ。ここに来るまでにEXAまで使ったではないか。あれはアセムまで取っておくんじゃなかったのか?』

 

使わなかったらここまで来れなかっただろうが。

それに出来るだけ消耗は抑えたしまだまだ余裕はあるぞ?

 

………まぁ、EXAだけじゃアセムに届かないことは前回で判明してるしな。

 

『アレの調整はまだ終わっていないのだろう?』

 

今もアザゼル先生がやってくれてるよ。

あと少しで終わると思うんだけど…………。

 

とりあえず、それに関しては先生からの連絡待ちだな。

 

俺はアセムに訊いた。

 

「なんで美羽を狙った? いや、なんで美羽と話をしようと思ったと訊いた方が良いか」

 

「おろろ? その口調だと僕達の会話は聞いていたみたいだね?」

 

「まぁな」

 

美羽のインカムを通して二人の会話は聞かせてもらった。

まぁ、こっちは足止め役の邪龍やら何やらとやりあってたから一言一句全てを聞き取れたわけじゃないけどね。

それでも要所要所は聞き取れることができた。

 

色々聞きたいことはあるが、その前になんで美羽なのか。

俺が一番気になったのはそこだった。

 

アセムが言う。

 

「一言で言うなら彼女は………いや、君達二人は特別だったからかな」

 

「特別?」

 

「そう、特別。理解しているか知らないけど、君達は今のアスト・アーデを象徴する存在なんだよ? 長年争いあった者達が手を取り合う世界。それが今のアスト・アーデだ。違う世界の人間とは言え、人間側で戦い続けた勇者くんと魔王の娘たる彼女」

 

アセムは俺と美羽を指さす。

 

「親友を魔族に殺されても、恨むでもなく、憎むでもなく未来のために力を振るった勇者くん。実の父を失い家族を失っても、父と彼の想いを受け止め、前を歩くことを決意した美羽ちゃん。普通なら互いに剣を向けあってもおかしくないだろう。でも、君達は違う。全てを理解した上で受け止め、信頼し合っている。君達はあの世界の象徴なのさ。だから、話してみたかった。―――――良い目だよ」

 

アセムの言葉に俺達兄妹は顔を見合わせた。

 

俺と美羽が向こうの世界の象徴、か。

そんな風に思ったことなんてなかったけど…………言われてみればそうなるのかもしれない。

 

俺も………美羽を託された時、思ったことがあった。

実の父を死に追いやった俺はいつか、この子に――――――ってな。

 

でも、美羽は違っていたんだ。

 

俺とシリウスの想いを受け止め、俺と歩んでいくと言ってくれた。

頼ってくれる。

心からの笑顔を見せてくれる。

俺の家族になってくれた。

 

俺にとって美羽は託された存在であると同時に本当に大切な――――――。

 

俺は視線をアセムへと戻す。

 

「それにしては俺の時と随分雰囲気が違うみたいだけどな」

 

俺と初めて会った時と今回では口調は同じでも雰囲気がまるで違う。

愉快犯的なアセムはここにはなく、何かを見据えるような…………そんな目だ。

 

すると、アセムは机の上のクッキーに手を伸ばしながら、意味深な笑みを浮かべて、

 

「さて、そうだったかな? ………どちらにしろ、僕は君の敵でこの世界に仇なす存在だ。君にとって僕は倒すべき存在じゃないかな?」

 

「―――――っ!」

 

アセムの体を薄く包むオーラの膜。

ごくわずかに視認出来る程度なのにこのプレッシャー。

 

その時、アセムの左手に何かが現れる。

 

それを見て俺は目を見開いた。

 

「それは…………っ!?」

 

アセムの左手に現れたのは――――――黒く染まった赤龍帝の籠手。

僅かに形状が異なるが、紛れもなく赤龍帝の籠手だった。

 

アセムは右手で籠手の表面をなぞりながら笑む。

 

「これはね、君の複製をベースに『システム』の中を探って得た僕専用の神器さ」

 

ドライグが驚愕の声を出す。

 

『貴様…………、まさか俺の複製を!?』

 

「いやいや。この籠手は何かを封じたものじゃない。これには僕自身の力が籠められていると言うべきかな。ほら、ロキだってレーヴァテイン作ってたじゃん? あんな感じだよ。勇者くんの複製をベースって言ったけど、参考にしたの形状くらいだし。中身は全くの別物と考えてくれて構わないよ」

 

「………そんなもん作ってどうする気だよ?」

 

こいつは武器なんてもたなくても十分すぎる程の力を持っている。

美羽との会話を訊いた感じじゃ、やろうと思えばマジで神々ですら手玉に取れそうな感じだ。

 

更に力を求めた理由って一体…………?

 

驚愕すると共に怪訝に思う俺。

 

しかし、アセムから発せられた言葉は俺の予想外のもので――――――。

 

「これはね、君と戦うときのことを考えて作ったのさ」

 

「なに………?」

 

「今はまだまだだけど、いつか君は届く。君は素質があるしね。ま、これの真価はその時までのお楽しみってことで。―――――来なよ。ここにいるのは世界を滅ぼすかもしれない悪い神様さ。止めてみなよ、僕を」

 

「…………」

 

俺は一度瞑目した。

 

今のこいつの姿は誰か…………そう、あいつだ。

ロスウォードに似ているところがある。

全く同じという訳にはいかないけど、どこかあいつを連想させる。

 

ドライグ、本日二回目だ。

いけるな?

 

『俺は問題ない。しかし、どう戦う? 奴の力は底が見えん。奴が全力を出せばどうなるか………』

 

そんなことは百も承知だ。

それでもやるしかないだろ。

 

俺は赤いオーラを纏って奴の前に出る。

 

鎧はEXA形態―――――今の俺の最強形態だ。

 

…………アザゼル先生、急いでくれよ?

 

俺は一度大きく息を吸った。

 

「おまえの真意、今度こそ見せてもらうからな」

 

「アハッ♪ 届かせてみなよ、その拳」

 

 

 

 

[アザゼル side]

 

 

イッセー達が冥府に入って数時間が経つ。

 

俺は兵藤家地下にある部屋にいた。

ここには俺以外にオカ研メンバー、シトリー眷属、シスター・グリゼルダ、ジョーカーがいる。

 

ついに教会のクーデター組の指定した時間となった。

 

俺は一歩前に出て今回の件の概要を説明する。

 

「この一戦は教会のクーデター組とのケンカだ。場所はこの転移魔法陣の先に設けたレーティングゲーム用のバトルフィールドで行う。相手も了承済みだ。よって、おまえらは派手に暴れることが出来る」

 

今回のフィールドは普通のやつと違ってちょいと特製なんだけどな。

まぁ、使うことにならないのが一番良いのだろうが…………本音を言えばデータを取るためにも使いたいところ。

 

ソーナが言う。

 

「深夜零時ちょうどに開始となっています。相手方もこちらの魔法陣を通ってフィールドに来るでしょう」

 

匙がそれを受けて言う。

 

「しかし、相手もよく了承しましたね。転移先が実は牢獄だったとか、結界だったとか、あるいはフィールド自体が罠だとか、そういうのは考慮しなかったんでしょうかね?」

 

匙の言うことも一理ある。

 

なんせ、場所を選べると言うこちらにとって有利な条件だ。

やろうと思えばいくらでも細工を施すこともできる。

 

だがな、

 

「おまえらはそれを思い付いたとして今回の一件に実行したか? 俺は思い付いたが結局は実行しなかった。つまりはそういうことだ。あっちもこちらが正々堂々、真正面から来ると踏んでいるのさ。ここでこじれれば禍根は深く残るからな。さっきも言ったが、これはケンカだ。ストレートな奴らにはストレートで応えれば良いんだよ」

 

こいつらは意識してなのか無意識なのか、そこのところを理解している。

向こうもそれが分かっている。

 

ストラーダがリアス達に直接挑戦状を叩きつけたのは案外、その辺りを確認するためでもあるのかもな。

 

そして、ストラーダとクリスタルディが信じたからこそ、付き従う戦士達も真っ向から挑んでくる。

 

俺は一度大きく息を吐いた。

 

「おまえらばかりに貧乏くじを引かせて申し訳ないと思っている。たが、ストラーダとクリスタルディ、この両名がただイタズラに不満を抱いた戦士をここまで連れてきていないだろう。戦士達の憤りを俺達にぶつけたいのが本音だろうが、枢機卿三名の真意は他にある。…………ヴァチカン本部からある程度の情報は得ていてな。あいつらは本当の大馬鹿野郎だったよ」

 

俺は苦笑しながらリアス達にそう告げた。

 

…………ストラーダとクリスタルディ。

何か狙いがあると思って調べてみれば案の定。

 

どこまでもストレートに来やがるぜ。

 

ソーナが視線で自身の『女王』である真羅を促した。

 

真羅が魔力で宙に大きな鏡を出現させると、そこには今回のフィールド全体が写し出されていた。

 

「フィールドのモデルは駒王町です。学園を中心に半径十キロの周辺地域を再現したフィールドが戦場となります。フィールドの形成にはロスヴァイセ先生のご協力がありました」

 

そう、今回のフィールドにはロスヴァイセの論文から得られた情報を元に色々と術式を織り込んでいる。

 

ロスヴァイセが言う。

 

「例のトライヘキサ用に研究中の封印術の応用を今回のバトルフィールドに用いています。…………良い結果が得られれば良いのですが…………」

 

ロスヴァイセが少々不安げだが…………。

 

まぁ、今回に関しては問題はないだろう。

一応、いくつかのテストをしてからの実装だ。

 

問題なのはトライヘキサという未知の怪物にどれだけ有効なのかだが…………。

それに関しては全く分からん。

なんせグレートレッド級と考えられる相手だ。

その効果は『聖書の神』しか分からないだろうな。

 

その『聖書の神』もとっくに死んじまったがな…………。

 

真羅が報告を続ける。

 

「相手は中隊規模の部隊を二つに分けるようです。主にエヴァルド・クリスタルディとヴァスコ・ストラーダをリーダーとした二つの部隊となります」

 

ソーナが続く。

 

「私達も二つにチームを分けます。エヴァルド・クリスタルディ側に『ジョーカー』デュリオ・ジェズアルドさんを中心として、シスター・グリゼルダさん、紫藤イリナさん及び『御使い(ブレイブ・セイント)』の参戦メンバー。そこにサジ以外の私達シトリーがサポートに入ります」

 

「そうなると私達グレモリーと匙くんがヴァスコ・ストラーダ氏の部隊を相手するということになるわね」

 

そこに俺が追加の報告を入れる。

 

「黒歌、ルフェイ、刃狗(スラッシュ・ドッグ)が裏でのサポートに入る」

 

裏のチームプレーもこれだけいりゃ、かなり豪華だろう。

それに強力な助っ人もいる。

 

クリフォトが来たら、その時は一網打尽にする構えだ。

 

すると、ソーナの前に出てくる者がいた。

 

―――――木場だ。

 

「ソーナ前会長、僕もジョーカー側に付いてもいいですか?」

 

「…………エクスカリバー、ですね?」

 

「はい。クリスタルディ氏は元エクスカリバーの使い手と聞いています」

 

「ええ。現役を退いたとはいえ、数少ない天然のエクスカリバー適合者です。話では若かりし頃には三本のエクスカリバーを同時に使いこなしていたと聞いています」

 

ソーナの言葉にシスター・グリゼルダは頷いた。

 

「エクスカリバーのレプリカを教皇聖下から賜った唯一の方でもあります」

 

エクス・デュランダルを鍛え直す際、アーサーの持っていた最後のエクスカリバーが加わったことで、七つに別れていたエクスカリバーは一つになった。

 

それを天界が解析してその力を再現したのがクリスタルディが持つレプリカだ。

力は本物の五分の一にも満たないだろうが、奴なら性能以上の力を発揮できるだろう。

 

ちなみにストラーダもデュランダルのレプリカを持っている。

こちらも性能は本物に劣るが使い手が奴だからな。

 

そんなことを考えている俺の前で木場はソーナに訴えた。

 

「………戦わせてください。僕はもう一度エクスカリバーを、エクスカリバーの使い手を超えたいと思っています。復讐ではありません。これは…………挑戦なんです!」

 

『聖剣計画』の被験者だった木場。

エクスカリバーに適合できず棄てられ、リアスに拾われた。

コカビエルのバカがやらかしてくれた件ではフリードが扱うエクスカリバーに打ち勝ったが…………。

 

再びエクスカリバーの使い手が目の前に現れたことで、残っていた火が大きくなったか。

憎悪ではないが、どこか危なっかしい奴の目をしている。

 

木場の願いに苦慮するリアスとソーナ。

 

そこへ第三者の声が入り込む。

 

「やらせてあげてもよろしいのでは?」

 

肯定を促す意見と共に現れたのはヴァーリチームの一員、アーサー。

 

今回、こいつはヴァーリと共に冥府へは向かわず、今回はこちらに参加することになっている。

 

アーサーは笑みを浮かべて言った。

 

「剣士のこだわりは剣士にしか癒せませんよ。ねぇ、木場祐斗くん?」

 

「…………」

 

無言の木場。

しかし、両者の間には通じるものがあったようだ。

 

アーサーは胸に手を添えて言う。

 

「代わりと言っては何ですが私がヴァスコ・ストラーダとの戦いに参戦いたしましょう。長年、興味がありましたから。最強のデュランダル使いと称されたご老体の力にね」

 

アーサーはグレモリー側に参加か。

まぁ、イッセーもいないし、その上、木場まで抜けるとなれば誰かをそちらに回す必要があると思っていたから良いんだけどよ。

 

………アーサーめ、この状況をガッツリ楽しむつもりだな?

バトルマニア揃いのヴァ―リチームメンバーだから、この聖剣祭りとも言えるケンカに参加してくるのは分かるけどよ。

 

こいつ、助っ人の戦いぶりとか見たら挑戦しに行くんじゃね?

そんでもって、向こうも喜んで受けてしまいそうだ。

 

アーサーの意見を聞いたリアスは大きく息を吐いてからソーナに言った。

 

「………ソーナ、そっちに入れてあげてちょうだい」

 

「いいのですか、リアス?」

 

確認されたリアスは木場に真っすぐに告げた。

 

「祐斗、今度こそあなたの気持ちに決着をつけてきなさい」

 

「はい、ありがとうございます」

 

 

 

[アザゼル side out]

 

 

 

 

 

 

[三人称 side]

 

 

リアス達『D×D』メンバーと教会のクーデター組が用意された駒王町を模したフィールドに転移した直後のこと。

 

彼らは気づかなかった。

この時、既に彼ら以外の存在がこのフィールドに入り込んでいることに。

 

彼は気配を完全に消し、とある建物の上から彼らの様子を眺めていた。

 

「いよいよ始まりますね。ふふふ………この剣祭り、一剣士として見逃すわけにはいきません。父上に頼んでせっかく来たのです。ええ、楽しみます! 今日は存分に楽しみますぞ!」

 

男――――――『覗者(ヴォアエリスムス)』ヴァルス。

今日、彼はアセムに頼み込み、一人でこのフィールドに潜入していた。

目的はただ一つ、『D×D』と教会の戦士達の一戦を観戦するため。

それだけである。

 

魔法も扱うとはいえ、彼も一人の剣士。

聖剣が集うこの戦いに興味を惹かれたのである。

 

彼の傍にはコンビニのビニール袋。

中にはチーズかまぼこ、ビールと楽しむ気満々だ。

 

元デュランダルの使い手ヴァスコ・ストラーダと元エクスカリバーの使い手エヴァルド・クリスタルディ。

聖魔剣の木場祐斗、現デュランダルの使い手ゼノヴィア・クァルタ、オートクレールの使い手紫藤イリナ。

そしてそこに聖王剣のアーサー・ペンドラゴンまで加わる。

 

まさに聖剣祭り。

 

「父上によるとリゼヴィム殿が横槍を入れるとのことですが………。いやはや、本当に空気の読めない方だ。無粋にもほどがあるでしょう。そんなことだから………彼は――――――。討たれる覚悟もない者が余計な真似をするからあのようなことになるのです。彼はそろそろ用済み、ということでしょうか、父上?」

 

ヴァルスは造られた夜空を見上げながら、チーズかまぼこを食す。

 

その時―――――――。

 

 

「まさか、そんな………!」

 

 

彼は気づいてしまった。

自分の失態に。

 

それは彼にとってあまりに大きな失態で――――――――――。

 

 

 

「ターミ〇ーター返すの忘れたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

[三人称 side out]

 

 


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