ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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3話 新学期スタート! 色々暴露します!

冬休みも終わり、駒王学園も三学期へと突入。

 

進路関係もあり、自由登校となった三年生以外はいつも通りの登校だ。

 

今日は始業式のため、昼で授業は終わりとなる。

そして、昼からは新体制のオカルト研究部が始動する!

 

部室には一年生と二年生が集い、新部長のもと、活動方針を決めることに。

レイヴェルが淹れてくれたお茶を全員が受け取り、話し合いがスタート。

 

………のはずなんだが、部室には沈黙が漂っていた。

 

というのも、新部長アーシアが中々音頭を取ってくれないからだ。

 

訝しげに感じた俺がアーシアに声をかける。

 

「部長? 三学期はどうするんだ?」

 

「…………」

 

あらら………。

こりゃ、自分が呼ばれてるなんて思ってないんだろうなぁ。

 

「アーシアぶちょー。おーい」

 

俺はアーシアに手を振りながら改めて声をかけてみる。

 

すると、ようやく気づいたようで慌ててアーシアが立ち上がる。

 

「す、すいません! 私のことだとは思ってなくて…………」

 

「まぁ、始まったばかりだしな。ついこの間までリアスが部長だったし」

 

それに、先代部長であるリアスとアーシアはかなり対照的だ。

どちらも優秀であるが、リアスは先陣を切るタイプで、アーシアは誰かを支えるタイプ。

今のアーシアではちょっと勝手が分からないのかもしれない。

 

アリスが言う。

 

「まぁ、ほんなに気張らない方が良いんじゃない? 空回りすることもあるし。私だって、昔は――――」

 

「おまえのは参考にならないから、止めなさい。アーシアに悪影響が出そうだ」

 

「ひどい! 私の華麗なるサボり術を披露しようと思ったのに!」

 

「せんでいい! つーか、アーシアに何教えようとしてんだ!?」

 

「まずはイッセーを顎で使うところから!」

 

「おぃぃぃぃ! マジでなに教えようとしてんだぁぁぁぁぁ!」

 

こいつ、サボることしか考えてねぇのか!

よくそれで王女務まったな!

 

「えー、ダメー? それじゃあ、私の華麗なる交渉術は? こちらが優位に立てる必勝法」

 

「なにそれ。超知りたい」

 

この時、部室にいるメンバーの想いは一致したそうな。

 

まぁ、その話をこの場でしたら長くなりそうだし、かなり脱線するから、また今度。

 

それから新副部長である木場のサポートもあり、話は進んでいく。

その中で前任の部長、副部長のリアスと朱乃の話が出てきた。

二人とも部活を引退したとはいえ、二人の気配が近くに感じられないからだ。

 

「お二人は気が向いたら顔を出すと言ってました。ソーナ前会長と真羅先輩も連れて三年生の教室でお話しするそうです」

 

小猫ちゃんがそう教えてくれた。

 

木場も続く。

 

「リアス前部長は基本的なことは僕達に一任するそうだよ。顔を出すと新体制の邪魔になりそうだから、僕達の方針が決まった頃に行くようにすると言っていたよ」

 

なるほどなるほど。

つまり、それまでは三年生で思い出を語りつつ、俺達の様子見ってところか。

 

ま、その方が良いのかもしれない。

リアスがいると、何かと聞いてしまいそうだしな。

 

「どうしても聞きたいことがあれば、相談にも乗ってくれると思うし、ここはボク達で頑張っていこうよ」

 

「そうだね。美羽さんの言う通りだよ」

 

美羽の言葉に全員が頷きを返す。

 

リアス達が卒業してもいなくなる訳じゃない。

二人は卒業後、大学部に通うことになっているが、大学部は高等部からものすごく近い場所にある。

歩いて着く距離だ。

二人とも来ようと思えばいつでも来られる。

 

もっと言えば、家に住んでるからいつでも会えるしね。

家に住んでいない木場とギャスパーだって、リアスの眷属なんだし、しょっちゅう顔を会わせることになる。

 

先輩二人は良いとして、問題は次―――――新入生だ。

 

アーシアが部長席に視線をやりながら、口を開く。

 

「リアスお姉さま達の卒業もそうですけど、新一年生の新入部員さんが入ってくるんですよね…………。なんだか、一年って早いです。私がここに転入してきたのが去年の春頃でしたし…………」

 

アーシアと出会ったのが、去年の春、四月の暮れだった。

あと数ヵ月であれから一年となる。

 

「うーん、分かっていたけど、一年って早いよなぁ」

 

「わかる。歳を食うごとに早さが増してるわよねぇ」

 

「俺なんか、一年がモーリスのおっさんが振るう剣並みの早さに感じるぞ」

 

「そうそう。私なんか、目の前をリーシャの狙撃が通り抜けるくらいに感じる~」

 

「イッセーくんもアリスさんも若いんですし………。それに表現が独特すぎるよ………」

 

俺とアリスの会話にツッコミを入れる木場。

 

はい、新学期初の木場のツッコミいただきましたっと。

 

「そんなカウントしてたの!?」

 

「心の声読むなよ!?」

 

ま、まぁ、とにかく、一年って経つのが早いよね!

 

それで話を戻すけど、新入部員のことだ。

 

「新入部員って確保するのか?」

 

生徒会もそうだけど、オカルト研究部も悪魔、天使、堕天使の集まりだ。

一般生徒とか入ってきたらどうするんだろう?

そもそも、入れていいのか?

 

俺の疑問に小猫ちゃんが答えた。

 

「候補はいます」

 

「あ、いるんだ。誰?」

 

「ルフェイさんとベンニーアさんです」

 

なるほど、と俺は相づちを返した。

そういや、ルフェイに関しては転入の話が上がってたな。

俺の専属魔法使いとして同居してるし、年頃の女の子が家にいるだけってのは不健全かなって話があったんだ。

兄のアーサーからも勧められているそうだし。

 

そうなると一つ疑問が出てくる。

 

俺はその疑問を美羽に投げ掛けた。

 

「ディルムッドはどうするんだ? あいつも十五………ルフェイと同い年なんだろう?」

 

そう、見た目からは想像できないが、あいつ、実は十五歳の女の子だったんだ!

見た目はスタイル抜群のお姉さんなのにだ!

しかも、あの言葉遣い!

誰も中三だなんて思わねぇよ!

 

………まぁ、意外に純情と言うか、乙女の恥じらいは残してたけど。

おっぱい見られたりしたら泣くし。

 

この間、トイレに行ったら、あいつが入っててだな。

パンツを下ろして座っている状態のところに出くわしたわけだ。

あいつが鍵を閉め忘れたのが原因でもあるんだが………泣いちゃったんだよね。

後で美羽に怒られた。

 

「ディルさんも少し考えてるみたい。一応、勉強見てあげてるけど、レベル的には問題ないんじゃないかな? あとはディルさんの意思次第って感じ」

 

マジでか。

あいつ、勉強出来たのか………。

 

もし、あいつが駒王学園に入学したらどうなるんだ………?

まず、制服姿は………似合うだろうけど、モデルにしか見えん。

つーか、クラスでやっていけるのか!?

 

「ディルさんの制服姿、見てみる? 画像あるよ?」

 

「あるのか。ちょっと拝見………」

 

俺は美羽から携帯を受け取り、画面を覗いてみた。

 

そこに映し出されているのは制服姿のディルムッドなんだが………。

 

それを見たメンバー………アリス、アーシア、小猫ちゃんは沈黙した。

 

 

 

 

数時間に及ぶ話し合いを終えて、一息つく新オカ研メンバー。

 

方針としては『いきなり改革なんてしないで、その都度臨機応変に対応していこう』ということで決まった。

 

結局はリアスの頃の体制を維持ということになるのだが、仕方がないだろう。

新部長のアーシアもまだ自信がなく、皆の意見を聞くことしか出来ない。

 

今日はまだ初日だし、これからだろう。

 

ただ、アーシアがアリスに人の引っ張り方を聞こうとしたのは阻止した。

何を教えるかわかったもんじゃないからな。

 

さて、オカ研の方はこれで良いとしてもう一つの方が気になるな。

 

今日、この場にゼノヴィアとイリナはいない。

理由は選挙活動のためだ。

 

ゼノヴィアは既に行動を開始していて、旧校舎の別室でイリナと選挙の相談をしている。

イリナは完全なサポート役。

更にクラスメイトの桐生もサポート役としてゼノヴィアについている。

桐生も別室で選挙活動の話し合いに参加中だ。

 

本格的な活動は明日かららしいが、どうするのかね?

 

そんなことを思っていると、部室の扉が勢いよく開かれる。

 

現れたのは別室にいるはずのゼノヴィア、イリナ、桐生。

 

桐生が高らかに宣言する。

 

「ゼノヴィアっちの勝負服をセレクトしたわ!」

 

「ふっ、似合うかな?」

 

ニヒルに決めるゼノヴィアの格好は中世ヨーロッパ貴族が着てそうな衣装だった。

しかも男用。

 

「男装………。ゼノヴィアには結構似合ってると思うよ? でも、なんで、それをチョイスしたんだ?」

 

「ふっふっふっ、ゼノヴィアっちなら、この衣装が似合うし、会長っぽいじゃん」

 

「すまん、俺にはどこぞのエレガント閣下に見える」

 

「そう? まぁ、良いじゃん。これで校門前に立って演説決めれば女生徒からは黄色い声援が貰えるわ」

 

いやー………コスプレはダメだろう。

普通にアウトだろう。

つーか、その格好だと『私は敗者になりたい』的な感じに見えるぞ。

割りと本気で。

 

すると、美羽が、

 

「それじゃあ、『あえて言おうカスであると!』的な感じは?」

 

「使いどころ間違ってる! なんで、そのセリフ出てきた!?」

 

「昨日見たから。『ガ○マは死んだ! なぜだ!』は?」

 

「坊やだからさ! って、ダメダメ! 確かに演説ではあるけど、内容的にボツ!」

 

美羽め、夜遅くまでディルムッドとテレビを見ていると思ったら、なんて懐かしいものを!

 

 

~そのころのディルちゃん~

 

 

「やらせはせん! やらせはせんぞぉぉぉ!」

 

「むっ! ディルちゃん、中々やるにゃん!」

 

「あはは………ディルムッドさんってこんな感じだったかな?」

 

テレビゲームで対決するディルムッドと黒歌。

 

そして、その様子を見守るルフェイだった。

 

 

~そのころのディルちゃん、終~

 

 

なんて会話をしていると、桐生が言った。

 

「まぁ、演説はともかく、ゼノヴィアっちも魔力で魅力(チャーム)とか出来れば無敵なんだけどね~」

 

「いや、それはまずいだろ。一般生徒にそんな―――――」

 

…………ん?

 

あ、あれ…………?

 

今、こいつ、なんて言った…………?

 

「………き、桐生さん………今、魔力とか魅力とか言った?」

 

「言ったけど?」

 

んー………平然と返されてしまったぞ。

 

落ち着こう、ステイクール。

桐生は一般生徒で、俺達のことを知らないはずだったよな………?

 

それを前提として………俺は視線をゼノヴィアに向けた。

 

「説明願おうか」

 

「桐生は私の常連だぞ。むろん、私達の正体も知ってる」

 

「…………うん、思ってた通りの答えだわ。いつから?」

 

俺の問いに桐生は思い出すかのように口にしていく。

 

「十二月に入った頃だったかしら。駅前でチラシもらって、試しにやってみたら、ゼノヴィアっちが出てきたのよ。で、話したらリアス先輩が登場して、あれこれ話して事情を知ったのよ」

 

十二月………先月か。

 

確かに俺達は駅前でチラシを配ったりしているから、学園の誰かが俺達を召喚することも考えられた。

その場合、俺達の主であるリアスが出て何とかすることになっていたが…………。

 

どうやらこの様子だと知っていたのは教会トリオとリアスのみって感じだな。

木場も少し驚いてたし。

 

桐生がカラカラ笑いながら言う。

 

「心配しなくていいって。誰にも話したりなんかしてないし、松田や元浜には言ってないから。リアス先輩や友達のアーシア達の頼みだし、誰かに話すわけにはいないじゃないの。その辺、案外口が硬いわよ、私」

 

「ああ、まぁ、おまえが口硬いのは知ってるよ」

 

俺と美羽のこと、なんだかんだで黙っててくれてるし。

 

ただ、俺が思っていることは―――――

 

「桐生()俺達のこと知ってたんだなぁ」

 

俺は窓の外を見ながら言った。

 

その言葉に美羽、アリス、レイヴェル以外のメンバー、つまり、俺の眷属以外のメンバーが首を傾げている。

 

レイナが訊いてくる。

 

「イッセーくん。今、桐生さん()って言った?」

 

「言った」

 

「それって、他にもいるってこと…………だよね?」

 

そう、その通り。

俺達のことを知っている一般人はいる。

 

その人物とは――――――

 

「うちの担任の坂田先生。あの人、俺の常連になったんだぁ」

 

「「「えええええええええええええ!?」」」

 

 

~そのころの坂田先生~

 

 

「バッカ、おめ、ちげぇよ! ペガサス流星拳の構えはこうだって!」

 

「おまえこそ違うって! あれはペガサス座の軌跡を描いてんだよ! おまえのメチャクチャじゃねーか! あと、この間のラーメン代、そろそろ返せよ!」

 

校舎裏でペガサス流星拳の構えについて議論するアザゼル先生と坂田先生だった。

 

 

~そのころの坂田先生、終~

 

 

ちなみに坂田先生の依頼は毎週発売されるジャンプを届けること。

あと、糖分が切れたときに甘いものを届けることだ。

 

「そういうわけで、あの人も俺達のこと知ってるから」

 

「いやいやいや、そういうことは早く言ってほしかったよ」

 

「すまん。俺達も衝撃過ぎて言うの忘れてたわ」

 

もっともなことを言う木場に謝る俺。

 

うん、もう少し早く言うべきだったわ。

 

ちなみに坂田先生が俺達のことを知ったのは今月からだ。

 

「まぁ、先生も口が硬いらしいから、大丈夫だって」

 

俺はそう言ってこの話題を締めくくった。

 

 


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