ある日のこと。
俺はリアスと朱乃の三人で駒王町から離れた町の大型ショッピングモールに来ていた。
クリスマスも終わり、年末に入るとのことであちこちの店で年末特売セールの旗が掲げられている。
今日、ここに来たのは年末の買い出し………もあるが、以前の約束を果たすためでもある。
赤龍帝眷属の親睦会で温泉旅行に行く直前に、二人と約束したあれだ。
二人をアザゼル先生お手製の俺専用バイク『スレイプニル』に乗せてデート。
買い出し自体は地元のショッピングモールでも十分なんだけど、デートということでスレイプニルに乗って三人で離れた町まで来たんだ。
来るときは朱乃をサイドカーに乗せて、リアスが俺の後ろに座ったんだけど…………。
抱き付かれたときにおっぱいが密着して…………しかも、リアスが頬を染めながらも押し付けてきたもんで…………。
『………やっぱり、イッセーの背中は大きくて温かいわ』
なんて言われたりして、運転中、元気になりっぱなしだった。
今日買ったのは年末の食糧から日用品、そんでもって二人の服がメイン。
二人の下着も撰ぶことになったのだが………美羽とアリスの時みたく、中に連れ込まれた。
スタイル抜群の二人が目の前で生着替えして、下着姿を見せてくる光景は圧巻で………眼福でした!
脳内メモリーにインプット済みです!
そして、二人の服を選ぶついでに俺の服も選んでもらったりもした。
二人とも流石にセンスが良く、次から次へと服を取ってきて、俺に合う物を選んでくれた。
まぁ、少々言い合いにもなってたけど………そこは何とかしておさめた。
俺、頑張ったよ。
今は買い物を一通り終えて、ショッピングモール内のカフェで一休み中だ。
「これで買い物は全部?」
俺が訊くとリアスがティーカップに口をつけて言う。
「ええ。後は帰るだけよ。だけど………」
「せっかくですから、もう少しドライブに行きたいですわ」
リアスに続き、朱乃がそう言った。
俺としては別に構わない。
美少女連れてドライブなんて男冥利に尽きると言うもの。
スレイプニルの中には色々収納できる空間があって、かなりの量を詰め込める。
前回の温泉旅行の時もそこに鞄を詰めた。
今日買ったものだって、そこに入れておけばドライブの邪魔にはならない。
俺はその申し出を受けた。
「了解。もう少し遠くまで行こうか」
「うふふ、お願いしますわ。今度は私がイッセーくんの後ろですわよ?」
「分かっているわ、朱乃。ここは平等にいきましょう」
リアスも朱乃もニコニコ顔で頷いた。
買い物中なんて学園の二大お姉さまの姿はそこになく、年頃の女の子、完全な乙女モードだったんだよなぁ。
紅髪のお姫さま、大和撫子なお姉さん………本当の顔は超乙女な女の子です!
それから、三人でたわいのない話をしていたところ、リアスが思い出したように言った。
「そういえば、朱乃。近々、神社の大掃除をすると言ってなかったかしら?」
「神社の大掃除?」
俺が聞き返す。
すると、それには朱乃が答えた。
「イッセーくんも以前、来たことがあるでしょう? ミカエルさまからアスカロンを受け取った時に」
あー、あそこか。
神主が亡くなった後、無人になった神社。
リアスが朱乃のために確保した場所で、朱乃が家に住むようになる前まではあそこに住んでたんだっけな。
俺があの神社を訪れたのはミカエルさんからアスカロンを受け取ったあの時だけ。
そもそも、呼び出される前まではあんな場所に神社があったことすら知らなかった。
朱乃が続ける。
「あの神社は先代の神主が亡くなってからはあまり人が来なくなりましたが、それでも近くに住む人達が訪れることもあります。特に年が明けた後は初詣に来る人もいるのですよ」
「なるほど。それで大掃除」
「管理しているのは私ですので、定期的に行ってはいるのですが………最近は忙しくて」
夏休みに入ってからは若手悪魔の会合に修行、レーティングゲーム。
おまけに今では対テロリストチーム『D×D』のメンバーだもんな。
「そこで、比較的時間のある冬休みの間に大掃除をしようと考えたのです。一応、明日する予定なのですが………」
「俺も手伝おうか?」
「助かりますわ。流石に一人でするのは大変ですので」
「それじゃあ、明日は手の空いてるメンバーで神社の大掃除といきましょう。私も手伝うわ」
リアスの言葉に俺と朱乃は頷いた。
この後、ショッピングモールをぶらりと歩いた後、駐車場へ。
買った物をスレイプニルの収納空間に入れていくんだが、大量の紙袋が入る入る。
まるで四次元ポケットのようだ。
来るときはリアスが俺の後ろだったので、今度はサイドカーに座る。
ヘルメットを被せて、こちらは準備オーケー。
それで、今度は朱乃の方なんだが………。
とうの朱乃は上目使いでこちらを見ていてだな…………。
うん、行きのリアスと同じだわ。
俺は朱乃に近づくと―――――抱き上げた。
そう、お姫さま抱っこだ。
以前、レイヴェルにしたことなんだが、リアスも朱乃もそれがご所望のようで…………。
どうにも女の子にとって、お姫さま抱っこは一種の憧れらしい。
今の朱乃の満足そうな表情ときたらもう…………可愛い!
俺はそのまま朱乃をスレイプニルのシートに乗せて、ヘルメットを被せてあげる。
俺もヘルメットを被って、スレイプニルに乗り、エンジンをかけた。
「よっしゃ、ちょっとだけドライブしてから帰ろうか」
「うふふ、その間、私はイッセーくんに抱きついていますわ」
おぉぅ!
朱乃のおっぱいが………おっぱいが背中にぃぃぃぃ!
服の上からでも分かるこの柔らかさ!
なんという柔らかさなんだ!
女の子とタンデムはやっぱり最高だよ!
つーか、甘えてくる朱乃が………乙女顔で…………!
俺は背中に伝わる感触に元気をもらいながら、スレイプニルを走らせた。
▽
翌日。
俺は袴姿に竹箒という格好で例の神社の庭にいた。
袴ってのはあまり着たことないけど、意外と動きやすいもんだな。
今日、神社の大掃除に来たメンバーは俺、リアス、朱乃、小猫ちゃん、レイナ、アーシア、イリナ、美羽、アリス、レイヴェル、ディルムッド、ティア、そしてオーフィス。
それから木場とギャスパーの野郎二人。
つまり、ゼノヴィアを除くオカ研メンバー+α(ディルムッド、ティア、オーフィス)だ。
ゼノヴィアはグリゼルダさんに呼ばれて町の教会に行っている。
………どうやら、ゼノヴィアがグリゼルダさんから呼び出されたらしい。
ゼノヴィアはどうにも行きたくなさそうな顔をしていたが、電話から聞こえるグリゼルダさんの声に屈した結果、呼び出しに応じることに。
………ゼノヴィア、本当にグリゼルダさんに弱いな。
まぁ、グリゼルダさんも妹と色々話したいこともあるのだろう。
どんな話をしてるんだろう?
~そのころのクァルタ姉妹~
「聞いてくれ、シスター! この間、イッセーと子作りしたぞ!」
「…………」
グリゼルダは無言で目を開いた。
この後、ゼノヴィアは色々と問いただされることになる。
………が、後日、一誠も問いただされることになるのは言うまでもない。
それから、一つゼノヴィアの言葉を訂正しておこう。
一誠と教会トリオは
練習止まりである。
~そのころのクァルタ姉妹、終~
まぁ、なんだかんだで、仲の良い姉妹だと思うし、微笑ましい会話になっているだろう。
ちなみにロセは学校。
教職なので俺達学生とは違い、今日もお仕事だそうだ。
社会人は学生と違って休みが少ないから大変だよな。
俺は俺と同じく袴姿で箒を持つ木場に訊いてみる。
「木場はここに来たことあるのか?」
「毎年、年末になると大掃除するからね。去年は部長と小猫ちゃんと僕の四人で朱乃さんを手伝ったかな」
「初期オカ研メンバーで手伝ってたわけか。毎年、着替えてるのか?」
「神社は神聖な場所だからね。それなりの格好をする必要があるんだ。掃除も魔力ではなく、こうして自分の手を動かして綺麗にするんだよ」
あー、やっぱりそういう感じなんだ。
まぁ、神聖な場所で魔力使うってのもなぁ。
色々とバチが当たりそうだよね。
ここは特殊儀礼済ませてるから、大丈夫だとは思うけど。
「まぁ、ここは特殊儀礼すましてあるから何かバチが当たるというわけでもないんだけどね」
と、俺が思ったことと同じことを木場も補足した。
その時だった。
「お待たせ、お兄ちゃん、木場くん」
美羽の声がしたので、振り返ると――――――巫女服姿のオカ研女性陣(ゼノヴィアは除く、ギャスパーは含む)の姿だった!
白衣に緋袴という白と赤のコントラスト!
清潔で神々しい雰囲気を醸し出している!
巫女服と言うと俺は黒髪のお姉さんを思い浮かべるんだけど、黒髪美少女である美羽、朱乃、レイナの三名はバッチリだな!
長い黒髪と巫女服が最高のマッチングを果たしている!
しかし、黒髪ではないメンバーもすごく似合っていてだな。
清楚な中にも色気があって、リアスやアリス、ティアに関しては色気が半端じゃない。
アーシアや小猫ちゃん、それにオーフィスも巫女服を着ているわけだが、こちらは色気よりも可愛らしさがプッシュされていると言ったほうが正しいだろう。
「我も着てみた」
「おう。可愛いぞ、オーフィス」
頭を撫でてやると抱っこをせがんでくる龍神さま。
俺は求められるままに抱っこすることに。
「どうだ、私も着てみたぞ。このような服を着るのは初めてだが………似合うか?」
ティアがそう訊いてくる。
さっきも言ったが、巫女服姿のティアから感じる色気は半端じゃない。
大人のお姉さんのそれだ。
青い髪と巫女服の組み合わせはどこか神秘的でもある。
「ティアって元々が神秘的な雰囲気持ってるからさ、不思議な感じがするな。あなたは女神さまですか?」
「私は龍王だぞ? だが………フフフ、褒めてもらえるのは素直に嬉しいぞ」
ティアは笑みを浮かべて、俺とオーフィスの頭を撫でる。
ああ………やっぱり、ティアは俺達のお姉さんなんだなぁ。
もう一人のお姉さんとは違うぜ。
「ひっどーい! 私だって皆のお姉さんよ! ――――――とうっ!」
さりげに俺の心を読みながら、登場するのは巫女服姿のイグニス!
建物の中から跳躍して、華麗に着地を決める!
が………こいつだけ皆と巫女服が違う。
胸元が大きく開いた白衣に、ミニスカートのような袴!
エロさに特化した巫女服姿のイグニスだった!
「イグニスお姉さん、巫女服バージョンで参☆上!」
うん、来ると思ってたよ。
ティアがいる時ってイグニスも出てくるからなぁ。
何気にこのお姉さんコンビはセットなんだよね。
ティアが息を吐きながら言う。
「イグニス………そういう格好は美羽達のような娘が着るからこそ魅力があるのではないのか? 歳を考えろ、歳を」
ティアからの鋭いご指摘だ。
まぁ、俺はお姉さんが着ても問題ないとは思うんだけどね。
イグニスもかなりの美女だし。
ティアの指摘にイグニスは――――――不敵な笑みを浮かべていた。
「確かに。その意見に関してはティアちゃんの言う通りだわ。――――――だから、今日は皆をビックリさせてあげる。女神パワーを侮っちゃダメよ♪」
刹那、イグニスの体が赤く輝いていく――――――。
放つ光は少しづつ強くなっていき、目を開けられない程のものになった。
光りが止み、ようやく目が開けられるようになった俺の視界に映ったのは赤い髪のお姉さん――――――ではなく、赤い髪の少女だった。
「イグニスお姉さんロリッ娘バージョン!」
「「「「ええええええええええええええええええええッ!?」」」」
俺達の絶叫が境内に響く!
だって、ダイナマイトボディのお姉さんがロリッ娘になったんだぞ!?
見た目はオーフィスに近く、ツルペタおっぱいだ!
赤髪の少女はブイサインしながら、説明しだす。
「説明しよう! イグニスお姉さんは女神パワーによってロリッ娘に変身する技を得たのだ! ちなみにこの巫女服は私の体に合わせて調整可能! イグニスちゃんって呼んでね☆ ブイブイ☆」
「ちょ、え、おま、なんで!?」
「新しい趣味!」
「趣味!?」
「ロリッ娘の可能性を探ろうと思ったのよ。例えば――――――」
赤髪の少女――――――イグニスちゃんがミニスカートの裾を指で摘まんで持ち上げた。
スカートの下には何もなく――――――。
「ロリッ娘がこうすると背徳感があっていいでしょ☆」
俺は同意せざるを得なかった。
▽
「えーい!」
「我、イグニスに負けない」
ドタドタドタドタドタドタ
と、廊下を雑巾がけするロリっ娘二人。
ロリイグニスとオーフィスが雑巾がけで競争していた。
普段から女神さまと龍神さまは仲良かったけど、まさかこんなことになるとは…………。
可愛いんだよ?
可愛いんだけどね、それ以上に驚きが大きすぎる。
あとロリイグニスが走る度にスカートが捲れて…………。
あの駄女神、マジで履いてないから時たま見えるんだよね…………。
木場なんか、気を使いすぎて建物の外で落ち葉集めてるし。
ドタドタドタドタドタドタ…………ドンッ!
…………ん?
なんだ、今のドンッて音は…………?
気になったので、そちらを見てみると――――――
「いったーい! 滑っちゃったー!」
ロリイグニスがひっくり返っていた!
雑巾がけで転ぶことはあるよ!
でも、今の格好でそれはマズいだろう!?
丸見えになってますけど!?
ロリイグニスは俺の視線に気づいたのか、イタズラな笑みを浮かべて、
「うっふふふ~。イッセーのエッチ♡ ロリっ娘の体に興奮してるのかな~?」
「おまえ、ここ神社! 神聖な場所なんだよ!?」
「私、女神だもん。問題ないもん」
「駄女神に訂正しろい!」
ええい、この駄女神め!
ロリっ娘姿になってから、やりたい放題…………いや、前からやりたい放題ではあったか。
と、とにかくだ!
この駄女神は放置しておけん!
ここは――――――
「ティアァァァァァ! この駄女神なんとかしてぇぇぇぇぇ!」
俺は柱を磨いているティアに泣きついた!
暴走する駄女神を何とかできるのは頼れるお姉さんことティアしかいない!
「やれやれ………これも使い魔の仕事か?」
「頼れるお姉さんがティアしかいないの! ティア姉ぇぇぇぇぇぇ!」
「よしよし、泣くな泣くな。あの駄女神はお姉ちゃんが何とかしてやるから、な?」
ティアは俺の頭をポンポンと撫でた後、ロリイグニスの襟を掴んでズルズル引きずっていく。
ロリイグニスが引きずられながら抗議の声をあげる。
「えー! ティアちゃん、私をどこに連れていくつもり!?」
「おまえは下着を履け」
「下着を履かないのがポイントなのにー! ロリっ娘のノーパンよ!? イッセーなんてスカート捲れる度にガン見してたんだから!」
それ言っちゃう!?
つーか、俺が見てるの分かってたの!?
「バカ者。イッセーならロリだろうがなんだろうが、女の体はいつでもガン見だろう」
ティア、それはフォローなの!?
だとしたら、フォローになってないよ!?
事実だけど!
女の子はガッツリ見ちゃうけど!
すると、ロリイグニスが思い出したかのように言う。
「そういえば、ティアちゃんってイッセーに『ティア姉』って呼ばれるとほっぺた赤くなるよね~? さっきもすんごい嬉しそうだったし~」
「…………そ、そんなこと…………ないもん」
…………『もん』って言った!?
ティアが『もん』って言ったよ!
照れてる!
完全に照れてる!
そんなにうれしかったですか、ティア姉!
「うぁぁぁぁぁぁぁ! や、やめろぉぉぉぉぉ! そんな風に呼ばれると…………デレてしまうぅぅぅぅぅ!」
「うぉい!? ティアァァァァァ!? デレるの!? あと、俺の心の声読むの止めてくんない!?」
ロリイグニスを引きずったまま走り去っていくティア!
あ、あのティアがあんな…………。
う、うーむ、そんなに嬉しかったのか…………。
よし、今度からティアはティア姉と呼ぶことにしよう。
デレるらしいからな。
「ティアマット、デレる?」
「あ、ああ。らしいな。………って、オーフィスは何食べてるの?」
「バナナ。イッセーも食べりゅ?」
もぐもぐしながらバナナを差し出してくるオーフィス。
龍神さまも自由だよね。
「あら、イッセーくん。ちょうど良いところに」
と、ここで朱乃が俺を呼び止めてきた。
「今から倉の整理をしようと思うのですけど、手伝ってもらえますか?」
▽
本殿とは少し離れた場所に倉がある。
ここには祭具から木像、絵巻、屏風、縁起書、古い書簡、出土物などが修められているらしい。
神主がいなくなったとはいえ、元々は大きい神社だから貴重なものが結構あるとのことだ。
倉に入ると中は木製の棚がいくつかあって、そこに木箱が置かれている。
「この箱はこっちでいいの?」
「ええ、そこにお願いしますわ」
朱乃の指示通りに本殿から運んできた物を木箱にしまって、整理していく。
俺は箱を置いてから、一息吐いた。
「神社の大掃除も中々に大変だな」
「ですが、去年までよりは随分と捗っていますわ。今年はイッセーくん達がいますから」
朱乃は笑顔でそう言う。
まぁ、去年はこれを四人でやってたんだ。
今年は俺を含めそれなりの人数が集まっているし、それを考えると大分楽なんだろう。
朱乃が棚の上の方を指差して言う。
「あそこの箱を取っていただけますか?」
「えーと、あれか。梯子とかある?」
「ええ」
俺は朱乃から梯子のある場所を聞いて、それを見つけたんだが…………かなりボロい。
この神社って全体的に綺麗で備品とかの状態も良かったはずなんだけど、この梯子だけかなりボロい。
木の色が変色していて、今にも朽ち果ててしまいそうな雰囲気だ。
ギリギリ使えるかと言ったところか。
「これしかなったんだけど…………」
「もう一つ新しいものがあったはずなんですが…………誰か使っているのかしら?」
頬に手を当てて、首を傾げる朱乃。
多分、他のメンバーが持っていってしまったのだろう。
無いものは仕方がない。
これ使うか。
俺は梯子を棚にかけて、登っていく。
足をかける度にギシギシいってるけど、まぁ、大丈夫だろ。
ふいに朱乃が呟いた。
「…………そういえば、イッセーくんはアーシアちゃん達ともしたのですよね?」
「へ………? あ、まぁ………うん」
俺は言葉を詰まらせながらも頷いた。
な、なぜにこのタイミングでそんなことを…………?
確かにアーシア達としちゃったけど…………。
そして、例のごとく翌朝にはバレたけど…………。
戸惑う俺を見上げながら、朱乃は言った。
「次は―――――私とお願いしますわ」
「っ!」
突然の言葉に目を見開く俺!
今にも壊れそうな雰囲気の梯子を何とか降りることに成功した俺は木箱を床に置いて、朱乃と向かい合う。
朱乃も潤んだ瞳で俺を見上げていて―――――
「リアスも、アーシアちゃんもイッセーくんと交わったのよね? 私も………イッセーくんに愛されたいですわ」
「あ、朱乃………?」
「それとも………私は魅力がありませんか?」
「そ、そんなことないぞ! エッチだし、可愛いし十分過ぎるほど魅力的だ!」
だけど、展開が急すぎないかい!?
ほら、今だって俺の手を取って自分の胸に誘導してるし!
朱乃に誘導された俺の手は巫女服の上―――――ではなく、その隙間へと入れられていく!
指に伝わるこの感触!
こ、これは…………!
「下着………つけてないの?」
「巫女服は下着を着けないのが基本ですわ」
基本なんですか、そうですか…………。
いや、しかし…………この手に伝わる柔らかいものは………!
あぁっ…………人差し指が何かコリッとしたものに当たったよ!
その瞬間、朱乃の体がピクンと跳ねた。
「んっ………イッセーくんの手、温かくて………。ねぇ、イッセーくん。このまましてみない?」
朱乃の言葉が理性を揺さぶってくる!
薄暗く、狭い空間!
目の前には巫女服を着た黒髪美少女、朱乃!
しかも、ここには俺と朱乃しかいない!
俺はゴクリと喉を鳴らして、朱乃の巫女服に手をかける。
スルッと何の抵抗もないままに白衣が朱乃の肩を流れていき―――――
ガララッ
と、いきなり倉の扉が開いた!
来たな、お約束!
いったい誰が――――――
「いるのか、朱乃? 近くに寄ったから、様子を見に来たのたが………」
立っていたのはスーツを着たガタイの良い男性。
朱乃のお父さん――――――バラキエルさんだった。
この時、俺は血の気が引いていくのが感じられた。
…………お、終わった。
イグニス姉さん、まさかのロリ化です。