ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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最近、眠すぎて筆が進まないぃぃぃぃぃ!


15話 理不尽   

俺は膝をついた。

その光景のあまりの衝撃に。

 

なんでだ……なんでなんだ……!

 

なんで……こうなる……!

 

 

「ラズル、食べる?」

 

「おう! 食う食う!」

 

「のどかなところね~」

 

「安らぎますね。なんとも美しい場所です」

 

 

俺は仲間にその場を任せ、教会トリオを連れて第四天まで上がってきた。

襲いくる邪龍を退け、トウジさんを助けるという想いでだ。

 

それなのに……!

 

 

「……ふぁぁ。……眠い」

 

「あらあら、ごはん食べたら眠くなっちゃった?」

 

「お腹を満たすと眠くなるものです。ベルはまだまだ子供ですから、なおさら」

 

「ま、こればかりは仕方がねぇな」

 

 

その光景に俺は心の底から叫んだ。

 

 

「おまえら、ピクニックかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

第四天――――エデンの園に心からの悲鳴が響く!

 

だってそうじゃん!

 

ここまでほぼシリアスだったじゃん!

少なくとも敵は!

 

なのになんで、ここに来てピクニック!?

 

シート広げて、のんびりお弁当食べてさ!

 

ベルに至ってはヴィーカの膝を枕にして眠り始めたよ!

 

こいつら緊張感なさすぎだろう!?

 

「おまえら、バカだろ! 絶対バカだろ!」

 

俺達に気づいたヴィーカがこちらに手を振ってくる。

 

「あら勇者くん。おひさ~。登場早々にツッコミとはやってくれるわね。流石よ」

 

「いや、登場早々にボケてる奴に言われたくねぇ! なんでピクニック!?」

 

「だって、ここに来たのはこのためだもの」

 

「はぁっ!? ピクニックするために第四天まで上がってきたのか!?」

 

「もちろん。こんな綺麗な場所でピクニックなんてそうできるものじゃないわ」

 

「つーか、俺達、今日はオフだから。戦う気はねぇぞ? 今日の俺は―――――」

 

ラズルはそう言うと―――――ごつい一眼レフのカメラをどこからか取り出した。

 

馴れた手つきでピントを合わせていき、

 

「今日の俺は『破軍』のラズルじゃねぇ………ただのお兄ちゃんだ。 だからさ―――――」

 

 

パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ

 

 

「撮りまくるぜぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

 

眠ってるベルに連写しだしたよ!

 

あれぇぇぇぇぇぇぇ!?

 

こいつ、強いやつと戦うことが趣味じゃないの!?

前回が前回だけに、俺見たら仕掛けてくると思ってたんですけど!?

 

心の中で叫んでいるとヴァルスが言ってきた。

 

「ラズルはこう見えてもシスコンですからね。オフの時の彼はこんな感じですよ。そして、私も―――――」

 

ヴァルスはラズルの横に立つ。

 

すると―――――。

 

「私も今日は一人の兄です!」

 

 

パシャシャシャシャシャシャシャシャ

 

 

凄まじい勢いで連写し出した!

 

「おまえもかいぃぃぃぃぃぃ!」

 

ヴァルスもシスコンなの!?

 

新事実に俺が驚愕するなか、ヴィーカが苦笑する。

 

「まぁ、二人はこの子を溺愛しているから。普段はこんな感じよ」

 

ヴィーカは眠ってるベルの頭を撫で、頬に触れた。

 

そうですか……普段はこんな感じなのね。

 

ラズルとヴァルス……この二人、バトル以外は妹のことしか頭にないのね。

 

「まぁ、私もなんだけど」

 

 

ピロリン ピロリン

 

 

「おまえもか!? つーか、おまえはスマホかい!」

 

「だって、この体勢だもの。こっちの方が撮りやすいじゃない。勇者くんも覚えがあるんじゃないの?」

 

た、確かに覚えがある!

美羽が俺の膝上に頭を乗せて寝たときは携帯で撮っていた!

 

くっ……俺とこいつらは同類ということか!

妹萌え……妹ラブなのか!

 

ベルちゃんの寝顔、可愛いもんね!

その気持ちだけは理解できる!

 

俺が共感していると、ラズルが一冊の本を出してきた。

 

ま、まさか……まさか……それは!

 

「ベルの写真集だぜ!」

 

「なんとぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

ヤバい!

わかっていたけど、こいつはヤバい!

 

写真の中のベル………可愛すぎんだろぉぉぉぉぉぉぉ!

 

いや、俺も負けてらんねぇ!

ここは退けない!

 

負けられっかよぉぉぉぉぉぉぉ!

 

「俺だってなぁ、美羽の写真持ち歩いてるんだい!」

 

展開する美羽の写真!

携帯の中にもいっぱい入ってる!

 

シスコンドラゴンなめんな!

 

『おっぱいドラゴンではないのか!?』

 

ドライグの的確なツッコミ!

 

それじゃ、おっぱいシスコンドラゴンで!

 

『長すぎるわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

 

「俺はおっぱいも好きだけど、美羽も好きなのぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

 

 

~ そのころの美羽 ~

 

 

「…………」

 

「美羽さん? どうかしましたか?」

 

「えーと、多分だけど………お兄ちゃんがボクの自慢をしてるなぁって」

 

「それは……妹センサー的な感じですか?」

 

「うん」

 

美羽は巨大な魔法を放ちながらも、妹センサー全開で一誠を感じ取っていた。

 

「あいつ、何してんのよ!? イリナさんのお父さまは!?」

 

アリスのツッコミが響く―――――

 

「…………妹センサー? 赤龍帝にはそのような力があるのか?」

 

クロウ・クルワッハは三人の攻撃をいなしながら、首を傾げていた。

 

 

~そのころの美羽、終~

 

 

 

「話には聞いていたが………あれが異世界の悪神の下僕………?」

 

「アットホームよね……。というか、この世界の強い人ってシスコンが多い…………?」

 

「皆さん目が輝いてます」

 

ゼノヴィア、イリナ、アーシアがそう感想を述べていく!

 

だよね!

アットホームだよね!

嫌になるよ、こんなアットホームな敵!

しかも、バカみたいに強いし!

 

ゼノヴィアが言う。

 

「このまま通っても良いのか?」

 

「い、良いんじゃないのか? やる気なさそうだし………」

 

向こうも今日は戦う気ないみたいだし。

つーか、オフって…………。

 

お花畑でピクニックとかアットホームにもほどがある。

 

まぁ、ここで足止めされないのはありがたい。

 

…………しかし、こいつらの中に肝心のアセムがいない。

 

映像にはアセムの姿もあったはずだが…………。

 

「いやー、お待たせお待たせ。思ったよりも時間かかっちゃったよー」

 

無邪気な声と共にひとつの気配がこの場に現れる。

 

振り向くと、そこには白いパーカーを着た白髪の少年がいた。

 

少年は俺の顔を見るとニッコリと笑んだ。

 

「やぁ、勇者くん。この間ぶりだね」

 

「アセム……! 出やがったな、この野郎」

 

「そんな虫が出たみたいに言わないでよー。それからそんなに敵意剥き出しにされても、今回、僕達は手を出す気はないよ?」

 

そう言うアセムからは敵意は感じないが、不気味な雰囲気は醸し出していた。

 

不用意に手を出せばやられる。

そう思わせるほどの不気味さを目の前の神は持っていた。

 

後ろの三人もアセムの登場に身構える。

 

手を出さないとは言っているが、気を抜けばどうなるか分かったものじゃない。

 

俺は三人に言う。

 

「イリナ、ゼノヴィア、アーシア。三人とも先に行け。こいつには聞きたいことがある」

 

「イッセーさん………?」

 

アーシアが心配そうな表情でこちらを見てくる。

 

俺が無理をしないか心配なんだろうな。

 

俺はアーシアの頭を優しく撫でてやる。

 

「大丈夫。俺もすぐに追いかけるからさ。イリナはこんなところでのんびりしている場合じゃないだろう? ゼノヴィアとアーシアはイリナをサポートしてやってくれ」

 

「イッセーくん………。分かったわ! 私、絶対にパパを助ける!」

 

「私も付き合うぞ! イッセー、待っているからな!」

 

「イッセーさん! 後で合流しましょう!」

 

駆けていく三人。

 

イリナ、絶対に親父さんを守れよ?

 

俺もすぐに駆けつけるからさ。

 

俺は三人の背中を見送った後、アセムに視線を戻す。

 

「アセム、おまえの目的はなんだ? どうして、おまえらはこんなところまで来た? リゼヴィムと一緒になって天界に攻め込んで来た………ってわけでもないんだろう?」

 

こいつもヴィーカ達も今回は手を出さないと言っている。

おそらく、嘘ではない。

 

だけど、そうなるとこいつらの目的が分からない。

 

まさかと思うが本当に第四天までピクニックしにきた………というのもおかしいだろう。

 

いや、ヴィーカ達は全力でピクニックしてるけどさ。

 

だけど、少なくともアセムは何か目的があったようだ。

 

それはいったい―――――。

 

アセムは口元を笑ませながら、言った。

 

「僕の目的は天界の最上階。第七層にある『システム』を見ることさ」

 

「な………にっ!?」

 

驚愕に目を見開く俺。

 

『システム』を見る!?

 

通信でアザゼル先生と可能性の話としてアセムが第七天に入れるかどうかを話していたけど、本当に行きやがったのか!?

 

アセムは続ける。

 

「僕が興味を持ったのはね、『システム』の神器のプログラムさ。様々な能力を有した神器、特に神をも屠る力を秘めた神滅具。これらを作り出した聖書の神の力は興味深かったからね。これを機に一度見ておこうと思ったわけ」

 

「第七天はセラフの人達が結界を張っているはずだろう!? そんなことが………!」

 

天界が襲撃を受けてからミカエルさん達セラフはすぐに結界の構築に取りかかった。

 

結界が間に合ったかどうかは分からないけど、少なくともこいつが着いた頃にはミカエルさん達と鉢合わせするはずだ。

 

それなのに――――――。

 

「出来るから、僕はここにいるんだけど?」

 

「っ!」

 

こいつ、平然と言いやがった!

 

アセムは指を立てて言う。

 

「君の疑問はもっともだと思うよ? でもね、世界は広い。『絶対』なんてほとんどないくらいだ。そして、今回はそのパターン。天界の長でも僕の存在を認識できなかったみたいだよ。まぁ、僕が認識できないようにちょっと工夫したんだけど」

 

「おまえは第七天に侵入したというのか! だが、入った者は強制転移で飛ばされるはずだ!」

 

アザゼル先生もそう言っていた。

 

しかし、こいつは、

 

「あー、あれ? あんなの一時的に解除すれば良い話だよ。ただ、騒ぎになるとゆっくり見ることが出来なくなるから、今回は天使長同様、『システム』に僕の存在を認識できないようにしたけどね。おかげで思ってたより時間がかかってねぇ。流石に疲れちゃったよ」

 

アセムは肩をぐりぐり回しながら息を吐いた。

 

つまり、こいつはありとあらゆる者達から自分を認識できないようにしたということか!?

 

そんなことが可能なのかよ!?

 

だが、こいつの力は未知数。

もしかしたら、本当に聖書の神を越えて………。

 

『いや、下手したら更に上の次元に立っているかもしれん。天龍すら越えた………。流石に無限だった頃のオーフィスやグレートレッドには届いていないだろうが、それでもこいつの力は異質だ』

 

ドライグまでアセムの力を不気味に感じているようだ。

 

すると、俺の横に赤い粒子が集まっていき、人の形を成した。

 

イグニスが実体化したんだ。

 

イグニスは髪を払うと口を開く。

 

「こうして会うのは初めてね、アセムくん」

 

イグニスの登場にアセムは目を丸くするが、顎に手をやり興味深げにイグニスを見た。

 

「君は………そうか、この感覚。あの剣に宿っている者。僕達アスト・アーデの神でさえ存在を忘れた神。原初の神とはあなたのことか」

 

「ええ、今は(・・)イグニスと名乗っているわ」

 

「今は………ということは本来の名前があるんだね?」

 

「その通りよ。まぁ、その辺りは良いでしょう。現段階では明かすわけにはいかないもの」

 

そう言うとイグニスは俺の方に視線を送った。

 

イグニスが本当の名前を明かしていないのは俺がイグニスの力を十分に扱いきれていないからだ。

 

イグニスにとって本来の名前を明かす時は、自らの封印を解く時。

そのレベルに俺が達しない限り、イグニスは名前を明かすつもりはないようだ。

 

イグニスはアセムに問う。

 

「ねぇ、アセムくん。あなたはなぜ、リゼヴィムに手を貸すの? なぜ、悪神達に手を貸したの? ―――――元々、善神だったはずのあなたが」

 

「なっ………!?」

 

アセムが元々、善神………だと!?

 

「どういうことだよ!?」

 

明かされる新たな事実に驚愕する俺。

 

アセムは悪神じゃないのか!?

 

イグニスが言う。

 

「彼は本来、人々を導き、栄えさせる神よ。神としてはかなり若かったから、特に世界に影響を与えたというわけでもなかったけれど」

 

「それ、早く言ってくんない!?」

 

「忘れてた☆」

 

「おい!」

 

「テヘ☆」

 

舌を出してウインクするイグニス。

 

こ、この駄女神ぃ………なんつー肝心なことを忘れてやがる!

 

色々言いたいことはあるけど、もうこの際、それは置いておこう!

今更だし!

 

「だったらなんで、ロスウォードなんて作った!? アスト・アーデを崩壊させるようなことをしたんだ!? 前に聞いた話と繋がらなくないか!?」

 

「それよ。そこが分からないの。だから、今、こうして改めて聞いているわけ」

 

師匠は悪神達がロスウォードを作ったと言っていた。

 

そして、アセムは吸血鬼の町では自分がロスウォードを生み出した、自分は創造主と言った。

ほかの悪神に話を持ちかけられ、面白そうだったからというふざけた理由つきでな。

 

俺の中にいたというロスウォードの力の欠片が反応したのだから、そこに間違いはないと思う。

 

もし、イグニスの言うことが正しいというのなら、もう訳がわからん。

 

アセムはしばし黙りこんだ後、小さく口を開いた。

 

「あなたは原初なんでしょう? 僕に何があったのか知っているはずでは?」

 

「残念ながら全てを知っているわけではないわ。私だって万能じゃないもの。ロスウォードくんが世界で暴れまわるまで、私は神層階の最奥にいた。よって、ある程度の過程と結果しか知らないの。あなたに何が起きて、何が目的で動いたのかまではわからないわ」

 

「そうですか。………僕からも一つ訊いても?」

 

「ええ」

 

「原初。あなたは世界についてどう思う?」

 

「いきなり大雑把すぎる質問ね」

 

「それは申し訳ない。だけど、原初。あなただからこそ僕は問いたい。あなたは世界をどう捉えている? この世界も………アスト・アーデも含めて」

 

いつになく真剣な表情のアセム。

 

イグニスは瞑目してしばし黙る。

 

そして、目をゆっくり開いた。

 

「世界はままならないもの。力があっても、知恵があっても、想いがあっても、思い通りにはならない。個人の意思ではどうしようもない。一言で言えば理不尽。それはどこの世界も同じ」

 

確かにそうだ。

俺は今までその理不尽を見てきたし、実際に体験してきた。

 

どんなに願っても、どんなに力をつけても叶わないことがある。

アスト・アーデでも、この世界でもままならないことの方が多い。

 

世界は理不尽だ。

 

しかし、イグニスはそこから続けた。

 

「世界はありとあらゆる理不尽に満ちているわ。だからこそ、人々は互いの手を取り、想いを繋げることで理不尽に立ち向かう。一人では無理でも皆で力を合わせれば立ち向かえる」

 

「それはあまりに甘い考えだ。そう簡単に人々が手を取り合うことは難しい」

 

「そうね、あなたの言う通りだわ。人も神もそれぞれに感情があり、考えがある。分かり合うのは難しいでしょうね。だけど、不可能じゃない。私はその可能性を信じるわ」

 

「それでも全てを乗り越えられるとは思えない」

 

「当然よ。それが理不尽というものだから。でも、いくつかの理不尽は減らせると思わない?」

 

「………」

 

イグニスの考えにアセムは再び黙りこんだ。

 

近くにいるヴィーカ達はどこか複雑そうな表情でアセムに視線を送っていた。

 

互いに手を取り、分かり合うことで理不尽に立ち向かう、か。

身に覚えがある話だ。

 

だから、イグニスの言うことは理解できる。

人は想いを繋げることで未来を切り開いていけるんだ。

 

アセムが口を開く。

 

「あなたの考えは分かった。その上で僕は宣言しよう。――――僕はこの世界において、理不尽の一つになる」

 

「なんだと………?」

 

すると、アセムの背後にヴィーカ達が立ち――――その場に跪いた。

 

その光景は今までのふざけた雰囲気と違い、こちらに畏れを抱かせるものだった。

 

「これから僕達はこの世界の神々を相手に暴れるとしよう。北欧、日本、ギリシャ、インド。あらゆる神話勢力を攻める」

 

「正気か………!?」

 

「正気さ。この世界の神々はリゼヴィム・リヴァン・ルシファーを危険視しているようだけど――――真に警戒すべきは誰かを教えよう。まず僕達を影から監視している者。あそこから攻めようか」

 

口調もオーラも変わったアセム。

なんて濃密なオーラを放ってやがる………!

 

それに気になることを言ったな。

 

アセムを監視している者だと?

そんな奴がいるのか?

 

それは一体――――――。

 

アセム達の足元に魔法陣が展開される。

 

ここから離れるつもりか!

 

「逃がすかよ!」

 

こいつをこの場で逃がせば、どうなるか分かったもんじゃない!

 

アセム………こいつは危険だ。

ここで逃がせば、どこかの神話勢力が相当な被害を受けちまう!

 

俺は鎧を天武に変える!

 

領域(ゾーン)に突入し、アセムに殴りかかろうとして―――――

 

「今の君では僕の相手にならない。ここで戦うべきではないと思うよ?」

 

「っ!?」

 

気づけば、アセムは俺の懐に入っていた。

 

馬鹿な。

いつの間に………!

 

俺はこいつから目を離していなかった。

それなのにこうも簡単に懐に入られた。

 

しかも、領域に入った状態でだ。

 

アセムは俺の胸に手を当てる。

 

「ほら、こうすれば―――――君の心臓に手が届きそうだ」

 

 

ゾクッ

 

 

凄まじい悪寒を感じた俺は咄嗟に後ろに飛んで距離をとった。

 

嫌な汗が背中を伝う。

心臓は激しく脈打ち、全身が警報をならしていた。

 

なんだよ、今の感覚は………!

心臓を握られた気分だ………!

 

クソッ、ここでビビって逃げるわけにはいかねぇ!

 

ドライグ、あれをやる!

サポート任せた!

 

『仕方あるまい! やるぞ!』

 

俺は全身の気を高めて――――――

 

『ECLIPSE!!』

 

『XENON!!』

 

『AGIOS!!』

 

籠手の宝玉から音声が鳴り響く。

 

そして――――――

 

「融合進化ァ!」

 

『EXA Promotion!!!!』

 

天撃、天武、天翼の三形態が融合を果たす!

現段階における最強形態!

 

「アセム! ここでおまえを倒すぞ!」

 

俺の力にアセムは楽しげな笑みを見せた。

 

 

 


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