ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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サブタイが浮かばない~


4話 皆、頑張ってます!

俺は初代とヴァーリを見送った後、他のメンバーの修業を見て回っていた。

 

騎士王を限界まで使った木場は流石に領域の修行はキツいため、今は軽い筋トレをこなしているところだ。

 

「おっ、イッセーか」

 

「木場くんの修行は終わったの?」

 

ゼノヴィアとイリナが歩み寄る俺に気づく。

 

「ああ、木場も限界だからな。次はゼノヴィアだ」

 

俺も自身の修行も行うが、基本はいつもと同じく指導側だ。

特に剣士組である木場、ゼノヴィア、イリナの三人に領域に自在に入れるようにするための修行をつけている。

 

修行形式は一対一。

剣士組の三人をローテーションしながらの指導だ。

 

剣士組の他にも色々な組があり、魔力魔法組にはリアス、朱乃、ロスヴァイセさん、アーシア、レイヴェルそしてレイナといった後衛のメンバーが主だ。

 

黒歌が付き添っている小猫ちゃんとギャスパーの組。

小猫ちゃんにも領域の修行をつけてやりたいところだが、今は白音モードの方を優先してもらっている。

小猫ちゃんの新しい力はその特性上、邪龍対策になるからだ。

 

邪なものを浄化………スケベな俺が触れたら浄化されるのだろうか?

それは恐ろしいな………。

 

で、美羽とアリスの組もあるんだが、こちらはと言うとだ、

 

「はぁぁぁぁぁっ!!」

 

「やぁぁぁぁぁっ!!」

 

離れたところで激戦を繰り広げていた!

 

実はこの二人、もう領域に入れるんだよね。

恐ろしいスピードで会得しやがった!

 

アリスは前回、ヴィーカに敗北したことから尋常じゃないレベルのメニューをこなし、美羽もそれに付き合う形で修行に打ち込んだ。

 

その結果、二人の成長がとんでもないことに………。

 

「これならどう!」

 

アリスが槍の穂先に白雷を纏わせて横凪ぎに振るう。

 

放たれた白雷が弧を描きながら美羽を襲い、防御魔法陣の上からでもダメージを与えていく。

美羽のジャージが焦げ、ボロボロになるほどだ。

 

しかし、美羽も負けてはいない。

 

素早く新たな魔法陣を縦横無尽に展開し、風の弾丸を斉射していく!

バスケットボール大の弾がアリスへと降り注いだ!

 

巻き起こる爆煙。

離れている俺達の元にまで砂塵が飛んでくる。

 

辺りが茶色く染まる中、白い閃光が俺の視界に写った。

 

「そこよ!」

 

その声が聞こえたと思うと、今度は暴風がこのフィールドに吹き荒れた。

周囲を覆っていた砂塵を一瞬で吹き飛ばす。

 

視界が開け、目に写ったのは衝突するアリスの槍と美羽が展開した分厚い防御魔法陣。

 

二人とも息を荒くしているが、不敵な笑みを浮かべ、

 

「よく見切ったわね」

 

「アリスさんの方こそ。ボクの攻撃が中々当たらないんだもん」

 

そう言うと二人は大きく後ろに跳び―――――再びぶつかり合う。

 

轟く雷鳴、全てを切り裂くような風の刃。

 

いつも仲の良い二人とは思えないほどの激しい戦い。

 

これ、修行だよな…………?

修行と言うより殺し合いに見えてしまうんだけど…………本気の。

 

ふと隣を見るとポカーンとするゼノヴィアとイリナ。

 

「なんというか………別次元ね」

 

「あ、ああ。正直、今の私で勝てる気がしない」

 

自信を無くさないで!

そんなに落ち込むなよ、ゼノヴィア!

いつもの無駄に自信のあるおまえはどこに行った!?

 

俺は苦笑しながら言う。

 

「ま、まぁ、あいつらは元々が最上級悪魔クラスはあったんだ。そいつが領域に突入すればああなるさ。…………それにしても激しすぎるような気もするけど」

 

ケンカしたわけじゃないよね?

 

修行する前は二人で仲良く宿題してたし。

 

う、うーん…………やっぱ、対テロチームに所属してるってことで気合い入れてんのかなぁ?

 

などと考えていると、イリナが天使の羽を羽ばたかせて俺の元に近寄る。

 

「見て見てイッセーくん!」

 

そう声を弾ませながらイリナは空中でくるりと軽やかに飛び回ると、特撮ヒーローのようなポーズを決めた。

 

そこで、俺はイリナの変化に気づく。

 

「あっ、イリナの翼が四枚になってる」

 

「よくぞ、気づいてくれました!」

 

イリナはそう言うとえっへんと胸を張る。

 

うーむ、相変わらず良いおっぱいだ。

 

「うふふ、今朝、私の天使としてのレベルが上がったという天啓が降りたの! いざ、翼を出してみたら、この通り! ああ、これも日頃の私の行いを見守ってくださったミカエルさまからの恩恵なんだわ!」

 

あー、すんごくお目々を輝かせてお祈りポーズしてら。

 

そっかそっか、イリナの天使としての格が上がりましたか。

ま、当然と言えば当然だと思うけど。

 

イリナも俺達と共に激戦をくぐり抜け、強敵達に打ち勝つために修業を積んできたんだからな。

それに、仮にもミカエルさんのA(エース)だし。

 

ゼノヴィアが感心するように頷いた。

 

「これで天使として扱える力が広がったんじゃないか?」

 

「ええ。天界で保管している聖なる武器なんかも使用許可が容易になったわ。今まではいくつか審査が必要だったのだけれど、今ならそれらを省略できるの!」

 

そんな審査が必要だったんだ。

初めて知ったぞ。

 

でも、これでイリナは天界のアイテムを呼び寄せやすくなったわけだ。

 

ゼノヴィアが目元を手で覆う。

 

「うぅ………自称天使などと言われていた友人がようやく羽ばたきはじめたか! 友としてこれほど誇らしいこともないぞ…………!」

 

いや、それ言ってたのおまえ!

 

「もう、ゼノヴィアったら、大袈裟よ! 照れるじゃない!」

 

イリナも突っ込めよ!

なっちゃいないよ!

 

「「はぁぁぁぁぁっ!!」」

 

 

ドッゴォォォォォォォォォォンッ!!

 

 

二人が熱い友情を繰り広げている横で爆音が聞こえてきた。

 

ほんっと激しいなぁ…………。

 

 

で、更にその近くでは――――――

 

 

「よいではないか♪ よいではないか♪」

 

「あーれー」

 

イグニスとオーフィスがなんかやってる!?

 

おまえら、その着物と帯どっから持ってきた!?

 

つーか、どこで覚えたその遊び!?

 

 

 

 

ゼノヴィアとイリナの相手を終えた後。

 

俺の視界に眩い光が入り込んでくる。

 

顔をそちらに向ければ、上空に輝く天使が一人。

十枚にも及ぶ純白の翼を広げ、右手には巨大な炎の塊、左手には極太の氷の槍。

その頭上には雷雲が生じており、雷鳴を轟かせていた。

 

―――――ジョーカー・デュリオ。

 

デュリオの神器『煌天雷獄』は天候を操り、自然に存在する火、風、水、土、いかなる属性をも支配する能力を持つ上位神滅具。

 

デュリオの眼下にいるのは黒いジャージ姿の匙。

全身に黒い炎を纏い、デュリオと対峙している。

 

匙も俺達の修業に参加している。

禁手に至るために。

 

神滅具所有者の相手、もしくはグレモリー眷属と修業すれば、禁手に至れるのではないか、そうソーナが提案して皆も応じて協力している。

龍王の力を持つ匙が禁手に至れば、かなりの戦力になるだろう。

 

しはらく、匙とデュリオの手合わせを見守っていたのだが、ついにデュリオの容赦のない炎、氷、風、雷の各種属性にる連続攻撃で匙の黒い炎が打ち消されてしまい、決着がつくことに。

 

匙の能力はラインによる各種様々か付加能力、黒い炎による直接攻撃、炎の壁による封殺と多彩だ。

パワー重視の俺と比べるとテクニック方面が強い、

 

ただ、流石は天界の切り札と称されるジョーカー。

デュリオは匙の攻撃をかわし、あるいは払い、その動きを完封してみせた。

 

イリナが言う。

 

「ジョーカーは性格的にあまり自分から攻撃を繰り出すタイプではないと聞いているわ。やろうと思えば大掛かりな攻撃もできるでしょうけど」

 

修業中のデュリオは回避しながら相手の虚を突く難易度高めの戦法を選んでいるようにも見える。

 

多分、あれがデュリオなりの修業なんだろう。

自らに制限をつけて、その中で動く。

聞けばデュリオは接近戦が苦手のようだから、そこを克服したいんだろうな。

 

匙が戦闘後のストレッチで体をほぐした後に俺達の元にやってくる。

 

「やー負けた負けた。まだまだ俺じゃ天界の切り札さまに一泡吹かせられないぜ!」

 

悔しそうではあるが、色々と課題を見つけたって顔だな。

 

俺は匙にタオルを放る。

 

「おつかれさん。どんな具合だ?」

 

「少しずつ力が着いている実感はある。…………けど、中々に至れないもんだな」

 

まぁ、最近では禁手のバーゲンセール状態になってるけと、元々は禁手自体が稀有な現象だ。

世界の流れに逆らうほどの強い意思と、劇的な変化が己の中で生まれないと至れない、って先生が言ってたのを思い出す。

 

ま、そう簡単に至れるものじゃないってことだな。

 

匙が俺達のほうに向けて言う。

 

「今日も特訓に参加させてくれてありがとな。じゃあ、俺は『学校』に行ってくる!」

 

匙が言う『学校』とはソーナがようやく建てることができた誰もが通えるレーティングゲームの学舎、その第一号だ。

 

まだ、生徒募集はしていないが、オープンスクールを実施しており、冥界全土から興味を抱いた親子が訪れているそうだ。

連日、人も入っているようで、シトリー眷属は大忙し。

 

匙に言う。

 

「リアスも今度の休日に手伝いに行くって言ってたから、俺達も行くぜ」

 

「それは助かる。いやー、初心者の俺達じゃ十分に対応できなくてさ。いちおう、今日からサイラオーグの旦那も駆けつけてくれるし、講演する講師の方も呼んだんだ」

 

「そういや、この間通信で張り切ってたな、あの人」

 

サイラオーグさんもかなりノリノリだった。

どんな風に教えればいいか、相談も受けたっけな。

 

「じゃ、また今度頼むぜ!」

 

匙は別れの言葉を残して転移の魔法陣へ消えていった。

なんか、すごくイキイキしてるな、匙のやつ。

 

空から降りてきたデュリオ。

 

懐からドーナツを取り出してモグモグしていた。

そういや、食べ歩きが趣味だっけ?

 

「俺って、スイーツ補給がないと生きていけないんだよね」

 

ジョーカーは自由だな。

 

すると、俺のところに飛び付いてくる者達がいた。

 

「あー! つーかーれーたー!」

 

「うーごーけーなーいー! おーなーかーすーいーたー! おーふーろーいーれーてー!」

 

模擬戦を終えた美羽とアリスだった。

二人ともジャージがボロボロで、大事なところしか隠せていない。

ほぼ全裸に近い姿だった。

 

そんな二人が後ろから俺に抱きつき、ヘトヘトの体を支えていた。

 

「ハハハ…………、おつかれさん」

 

俺は苦笑して二人の頭を撫でてやった。

 

 

 

 

皆の特訓も一段落し、汗を流した後は、ミーティングタイムだ。

 

「以上が、私達ウィザード組からの報告。私の必殺技は溜めの時間を減らせずじまい。朱乃は腕輪なしでも堕天使化が可能になりつつあるわ」

 

リアスと朱乃からの報告を受けて、今回のミーティングも終わりとなる。

 

「…………」

 

リーダーたるデュリオは…………半分寝ていた。

 

毎度、特訓に顔をだすものの、ミーティングタイムとなると眠気にうっつらうっつら支配されてしまう。

 

イリナがゴメンなさいのポーズをする。

 

「ジョーカーがこの手のものに参加するだけ奇跡だってシスター・グリゼルダも仰っているから許してあげて?」

 

リアスも息をついて、と苦笑する。

 

「いいわよ、イリナ。実力は本物でしょうから、今更疑うつもりもないし、注意もしないわ」

 

俺もうんうんと頷いて言う。

 

「そうそう。まだ半分意識あるだけマシだって。こいつらなんて、ほら」

 

俺は自分の両隣を指差す。

 

「スー…………スー…………」

 

「スピー…………」

 

俺にもたれ掛かる美羽とアリス。

美羽は俺の肩に、アリスは俺の膝に頭を乗せて絶賛熟睡中であります!

ミーティング中も寝息がこだましてました!

何度か揺すったけど起きませんでした!

ほんっとごめんなさい!

 

つーか、こいつら、ミーティングが始まる前からこれだもん!

参加する気ゼロじゃねえか!

 

レイナが言う。

 

「ま、まぁ、あれだけ激しく動いてたから…………。それにしても気持ち良さそうに寝てるわ」

 

「お二人が羨ましいです」

 

アーシアは美羽とアリスに羨望の眼差しを向けていた。

 

他のメンバーも苦笑する者と美羽達を羨ましがる者がいてだな…………。

 

うちの眷属、真面目に参加しているのは俺とレイヴェルしかいねぇ…………。

こういうのって『女王』が『王』をサポートしたりするんだよな?

全然ダメじゃん。

 

「レイヴェル…………おまえには苦労をかけるよ」

 

「アハハハ…………お任せください」

 

うん、うちのレイヴェルちゃんもこの反応だよ。

ほんっとゴメンね。

 

リアスが俺達を見渡しながら話題を切り替えた。

 

「先日伝えた通り、今度の休日にソーナの建てた学校へ行くわ。オープンスクールの手伝いにね。ただ、その前に講師の方を迎えることになったの。今夜、兵藤家を訪れるそうよ」

 

講師?

あー、匙が言ってた人かな?

 

にしても、今日か…………えらく急だな。

 

疑問に思う俺だが、とある視線に気づく。

―――――ロスヴァイセさんが俺の方に視線を送っていたんだ。

 

俺がそちらを向くと、ロスヴァイセさんはさっと視線を外してしまう。

 

う、うーん…………これってこの間のことが原因だよな?

 

 

――――わ、私の・・・・彼氏になってください。

 

 

いきなり言われて戸惑ったけど、まさかロスヴァイセさんがあんなことを言ってくるとは…………。

しかも、皆の前で。

 

「「…………」」

 

な、なんか、リアスと朱乃が切なそうな表情で見てくるんですが…………。

 

え、な、なに?

 

教会トリオもひそひそと話し出す。

 

「見ろ、やはり間違いない」

 

「それって、ロスヴァイセさんも参戦ってこと?」

 

「そ、そんな…………」

 

「アーシア、ライバルが増えること自体は問題ではない。ようは自分達がどう仕掛けるかだ。今度、三人で突撃しよう」

 

おいぃぃぃぃぃぃっ!

 

突撃ってなに!?

 

ゼノヴィア、おまえ、また何か企んでるな!?

またお仕置きするぞ!?

 

「と、突撃って…………」

 

「それがダメなら拉致でもいい」

 

「そ、そんな拉致だなんて! て、天使の私がそんなこと…………」

 

「既にエロ天使と化しているイリナがそんなこと言っても説得力はないぞ。イッセーの部屋に行くときは常にノーブラじゃないか。戦意満々だね、イリナ」

 

「そ、それは、ノーブラ健康法だもん!」

 

「そんな風に情けなく目を泳がすぐらいなら、腹を決めるんだ。アーシア、イリナ、こういう時は―――――」

 

ああっ、なんか円陣組んで更に話し合い始めた!?

 

って、イリナ、やっぱりノーブラだったのか!

どうりで妙に弾みと動きがあるおっぱいだと思ったぜ!

着けるもの着けてなきゃプルプル動くよね!

 

その横からは黒歌と小猫ちゃんの会話が聞こえてきた。

 

「白音。やっぱ、あんたも攻勢に出なさいよ。そんなんじゃ、いつまでもお子さま扱いよ? 小鳥ちゃんを見習ってドーンとぶつかってみないと。子供を作るのはダメでも妊娠しなきゃ大丈夫よ♪」

 

「……………………」

 

「あ、今、それならって思ったでしょ? エロエロにゃ。エロエロにゃ」

 

「え、エロエロじゃ、ありません!」

 

「猫又はエロくてなんぼよ?」

 

「もう、姉さまなんて知りません! ギャーくん、あっち行こう!」

 

「え? あ、うん」

 

あーあ、こっちはこっちでまた…………。

小猫ちゃんがギャスパー連れてあっち行っちゃったよ。

 

黒歌も余計なこと言わんでいいって…………。

 

木場が苦笑いしながら、俺の肩に手を置く。

 

「がんばってね」

 

うん、俺、頑張る。

 

身がもつかどうか分からないけど…………。

 

「むにゃ、天界モンブラン食べ放題…………」

 

寝言を放つデュリオ。

 

幸せそうですな、リーダーは。

 

「よいではないか、よいではないか。我、帯を引っ張る」

 

「あ~れ~♪ やん、これ楽しい♪」

 

うちの龍神さまと女神さまは自由だな!

 

 

 


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