ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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2話 学生生活も頑張ってます!

十二月、それは二学期の終わり。

 

 

そして――――――

 

 

「どうだった? き・ま・つ・テ・ス・ト」

 

そう訊いてくるのは松田。

 

期末テスト。

学期最後の行事にして学生なら誰もが嫌うもの。

 

そして、今。

テストの結果を一通り知ったところで、俺の席に悪友二人が来ていた。

 

俺はふふんと鼻を鳴らして自慢げに言う。

 

「今回は結構良かったぜ? 一応平均八十越えだ」

 

正確には八十一。

今回の期末テストで過去最高の点数を叩き出していた。

 

美羽やリアス、朱乃に徹夜で勉強を見てもらい、先輩に貰った過去問を解いたのが功を奏した。

 

いやー、やっぱり過去問は必要だわ。

今までは過去問収集とかしてなかったしな。

 

もちろん、三人の教え方が上手かったのもあるけど。

 

松田は悔しがり、元浜は眼鏡をくいっと上げる。

 

「くっそぉ、俺と同じぐらいだと思ってたのに!」

 

「ほほう、やるではないか」

 

ふっふっふっ、もう赤点は取らないぜ!

俺はやればデキる子だからな!

 

まぁ、それでも美羽には及ばなかったけど。

 

「美羽ちゃんはどうだった?」

 

「ぼちぼちかな。平均八十後半だったよ」

 

「それはぼちぼちとは言わないと思う」

 

いや、松田よ。

美羽にとってはこれがぼちぼちなんだ。

 

だって、一ヶ月足らずで中学三年分の勉強をマスターする頭脳の持ち主だぞ?

俺みたいに徹夜で勉強せずにこれだからすごいんだよ。

 

つーか、今回のテスト、ほとんど俺の勉強見て終わっていたような・・・・・。

 

「へぇ、あんたも中々にやるじゃん」

 

ひょっこり現れたのは金髪の美女―――――制服姿のアリス。

 

そう、こいつはつい最近・・・・・というか今日から正式にこの駒王学園の生徒となった。

しかも、このクラスの。

 

どうやら、リアスに裏から手を回してもらって、このクラスにしてもらったらしいんだが・・・・。

 

当然、アリスの転校は学園中の噂となった。

なんせ女優顔負けの金髪美女。

スタイルだってスレンダーで良い(胸はまぁ・・・・)

 

そんなアリスが突然、この駒王学園に入ってきたんだ。

注目されないはずがない。

 

今朝、教室に入ってきた時は盛り上がるを通り越して、男女問わず全員が魅了されていたほどだ。

 

だが・・・・問題は起きた。

 

というより、アリスが起こした。

 

自己紹介の時にこいつ・・・・・

 

 

『アリス・オーディリアです。そこの兵藤一誠の嫁ってことでよろしくお願いします』

 

 

なんて言いやがった!

 

いや、合ってるよ!?

合ってるけどね、時と場所を考えてほしかった!

 

そうなると動き出すのが学園の男子共!

 

もうあちこちから鋭い殺気が・・・・!

 

今だってほら・・・・

 

「ぬぅぅぅぅん! やっぱ、ゆるせぇぇぇぇん!」

 

「おまえはあれか! 俺達から次々に女神を奪ってそんなに楽しいかぁぁぁぁ!」

 

松田元浜がキレてる・・・・。

 

もう、こいつら怖いよ・・・・何してくるか分からん雰囲気だもん。

いや、こいつらに限った話ではないけどさ。

 

とりあえず、だ。

 

「美羽、アリス。二人とも俺の側を離れないでね」

 

この二人が側にいれば、委員会もそれ以外の男共も襲ってこないから。

 

今の委員会連中はマジで怖い。

かつてないくらいの殺気を放ってるから。

 

「オッケー! こんな感じかしら?」

 

アリスは面白そうに笑うと俺に抱きついてきた!

 

「「「「あぁぁぁぁぁぁあああっ!?」」」」

 

絶叫をあげる男共!

 

こ、こいつ、分かっててやってやがる!

なんて質の悪い!

アリスめ、俺を困らせてそんなに楽しいか!?

 

「大丈夫。骨は拾ってあげるから」

 

「俺に死ねと!?」

 

ひでぇ!

なんてやつだ!

 

おまえ、俺の『女王』なの分かってる!?

もう少し、俺を支えてくれない!?

 

はぁ・・・・ま、そんなこと言っても今更か。

 

とにかく、今日からアリスも駒王学園の生徒だ。

ちなみに歳も誤魔化してるっぽいです、はい。

 

「あんたがOKなら私もOKでしょ」

 

うん、俺の心を読んでかこんなこと言ってくるし。

 

つーか、俺の場合仕方なかったからね!?

向こうでの三年がこっちでは一瞬だったんだからよ!

 

・・・・そんなことを言ってもこいつは聞かないか。

 

「へいへい。ま、よろしく頼むぜ、十七歳のアリスさん?」

 

「任せなさいな、十七歳のイッセーくん?」

 

こいつ、絶対に俺より歳上になりたくなかっただけだろ・・・。

 

ま、うちのクラスにいてくれた方が俺としても面倒を見やすくて良いけどね。

 

すると、教室の端っこにいる女子達が賑やかにしていた。

 

「ん? 何かあったのか?」

 

俺が視線を向けると、それに気づいたアーシアが駆け寄ってくる。

 

「イッセーさん! ゼノヴィアさんがすごいんです!」

 

続くようにイリナが言う。

 

「期末試験の結果なんだけど、ゼノヴィアったら全教科平均で九十点突破してるのよ!」

 

「マジっ!?」

 

九十点台ってかなりのもんだぞ!?

しかも、外国からの転入というハンデつきでその結果かよ!

 

ゼノヴィアってパワープレイのせいでお馬鹿に見られがちだが、なんだかんだで頭が良いんだな・・・・。

 

いや、これは努力の結果というべきか。

 

吸血鬼の領地に行った時も単語帳で暗記してたもんなぁ。

 

ゼノヴィアは特に偉ぶる様子も見せずに言う。

 

「自分がどれぐらい出来るのか試したくなっただけだよ。流石に国語だけは一番点数が低かったけどね」

 

ただ、その国語も俺より少し下なだけで大差ないという・・・・。

 

うーん、これは見事しか言いようがない。

 

「私はゼノヴィアやアーシアさんよりもちょっと低かったけどね」

 

恥ずかしそうに言うイリナだが、それでも平均点は俺より上!

アーシアも二学期の中間テストから平均八十後半をキープ!

 

アーシアも日本に来てから一年も経っていないというのに、国語の成績も良い!

 

「アーシアすごいね。私もまだまだってところかな?」

 

レイナもそう言って会話に参加するが・・・・テスト結果をみればアーシアとイリナの中間くらいだった!

 

やっぱ、オカ研メンバーって全員頭良いな・・・・。

で、俺が一番の劣等生・・・・オカ研の劣等生、ね。

 

今回のテスト結果に満足していたが、これでは足りないと言うことなのか!

 

さっきまでの自分が恥ずかしい!

 

だって、ゼノヴィアよりも遥かに下の点数で自慢してたんだもん!

 

俺が自分自身に嘆いているとメガネ女子の桐生が、

 

「あんたらの子供、父親に似たら悲劇よね」

 

なんてからかってきやがった!

 

うるせーやい!

確かに女子の方が圧倒的に成績は良いよ!

 

すると、この場にいる女性陣は、

 

「そんなことないよ。お兄ちゃんだって頑張ればデキる子だもん」

 

と、美羽。

 

「なに、教育と環境次第ではどうにかできるさ」

 

「うんうん、その通り!」

 

「愛があれば良い子に育ちます!」

 

ゼノヴィアもイリナもアーシアもそのように返す!

 

「イッセーくんって決して勉強ができないわけじゃないと思うな。ほら、咄嗟の判断力とかすごいし。子供にもその辺りは受け継がれるかも?」

 

レイナもそう言ってくれる!

 

君達、嬉しいけど場所を選んで!

ほらほら、まーたクラス中の視線が集まってきてるから!

男子共の殺気に満ちた視線が!

アリスとの一件で膨らんだ殺気が更に!

 

俺がクラス中の男子共から殺気を向けられる中、ゼノヴィアが力強く頷いた。

 

「しかし、これで私の目標実現に弾みがついた。やはり、真剣に取り組んでみるべきだな」

 

目標、か・・・・。

 

ゼノヴィアが勉強に真剣に取り組んでる姿をよく見かけるんだが・・・・それ以外にも色々行動しているみたいなんだよね。

たまに部活休んで生徒会の仕事を手伝うようになってたし・・・・リアスとソーナのもとを訪れて何か相談しているようだった。

 

それは別にオカ研が嫌になったとか、シトリーの方が居心地が良くなったとかではなく、ゼノヴィアに出来た『目標』なるものが関係しているようだが・・・・。

 

この件はリアス、朱乃、アーシア、イリナ、そしてソーナしか知らず、他のメンバーは知らないんだ。

リアス達に聞いても「ゼノヴィアが話すまでは内緒よ」と返されるだけだった。

 

ゼノヴィア本人も「まだ秘密だ」と教えてくれなかったし。

 

まぁ、そこまで言うなら俺はゼノヴィアが話してくれるまで待つけどね。

 

そんなことを思っていると松田と元浜がふいに聞いてきた。

 

「そういや、イッセー。冬休みはどうするんだ?」

 

「そうだぞ。そろそろ予定を訊きたいところだ。どうなんだ? どこか行けそうか?」

 

冬休み・・・・。

期末テストを終えた駒王学園ももうすぐ冬休みに入る。

 

俺も学生だ。

悪友二人と遊びたい気持ちはあるが―――――

 

「いやー、すまん。オカ研の部活動ありそうだし、まずはリアス部長に都合を訊かないことにはな・・・・」

 

「うちって、結構忙しいもんね」

 

と、美羽も続く。

 

悪魔稼業もあるが、一番の理由は俺達は『D×D』参加メンバーであること。

いつどこで『クリフォト』が動き出すか分からない状況だ。

俺達は常時出撃できるように構えておく必要がある。

 

松田が更に訊いてくる。

 

「大晦日と三が日でもダメか?」

 

「うーん、流石にそこは空きそうだけど、まだ分からないな」

 

俺は曖昧にそう返す。

 

今年の元旦は三人て「今年こそ彼女ができますよーに!」って拝んだよなぁ。

俺は叶ったと言えるが・・・・・。

 

元浜が息を吐く。

 

「最近、忙しそうだな。この間は久し振りにカラオケに行ったが・・・・」

 

「あの時の美羽ちゃんノリノリだったな。ウルトラソウル」

 

「アハハハ・・・・・」

 

松田の感想に苦笑する美羽。

 

あれは吸血鬼の領地に行く前だったか。

俺と美羽、松田、元浜の四人でカラオケとボーリングに行ったんだが・・・・最近で遊んだのはそれぐらいだ。

 

休日を修行に費やす今の俺はこいつらにとって付き合いにくい友人となっているのは間違いない。

ただ、それでもこいつらは友人として接してくれる。

それは嬉しかった。

 

松田が言う。

 

「うーむ、イッセーがそういうことなら、この冬休みはコンクールに向けての素材を探すとするかな」

 

現在、松田は写真部に所属している。

コンクールとは来年に開かれる写真のコンクールのことだろう。

 

「松田くん、コンクール出すの?」

 

「まぁ、せっかく入ってるし。良い成績は残したいなーって。あ、美羽ちゃん、モデルしない!?」

 

「う、うーん・・・・」

 

「美羽の写真を撮っていいのは俺だけだ」

 

「ちょっとくらい良いだろ、このシスコン!」

 

却下だ。

 

などと話していると、元浜が思い出したかのように言った。

 

「そういや、話は変わるが、最近ロスヴァイセちゃんを図書室でよく見るって噂、知ってるか?」

 

「あー、知ってる知ってる。なんか、本を見てはため息をついてるって話だろ? えーと、聖書関連の本だって聞いたな。何か知ってるか、イッセー?」

 

ロスヴァイセさんが聖書関連の本を・・・・?

 

俺達は聖書関連とは縁が深い。

一度、その辺りのことも勉強する必要がある。

 

でも、北欧出身とはいえ、ロスヴァイセさんは才女だし、聖書は既読のはず。

正直、俺なんかよりも知識は広く深い。

 

それが今更どうして?

 

つーか、ロスヴァイセさん無茶するなぁ。

聖書関連の本を読めば悪魔である俺達は頭痛がするのに・・・・。

 

あ、でも、ロスヴァイセさんならその手の防御魔法も習得してそうだな。

聖剣を短時間とはいえ、手にできる魔法とかも使っていたし。

 

改めて認識しておきたいことでも出来たのか、それとも気になることがあったのか・・・・・。

 

「うーん、わからん」

 

「そうか。オカ研のおまえなら知っていると思ったんだが・・・・ロスヴァイセちゃんのファンはけっこう心配しているから、解決できるならオカ研の皆で話してみてくれよ」

 

「おう、了解だ」

 

ロスヴァイセさんの悩み。

そういや、ロスヴァイセさんから相談とか受けたことないな。

 

まぁ、俺で解決できるようなことなんて限られてくるけどさ。

 

「オカ研繋がりといえば、次は誰が新部長なんだ? そろそろ決めておかないとリアス先輩も引退できないだろえ?」

 

元浜がそう口にし、俺と美羽は顔を見合わせた。

 

そっか、もうそんな時期なんだな。

 

この時期ともなると、新しい世代へ受け継ぐ部活動も出てくる。

このクラスにも新部長もしくは副部長に任命された奴がいる。

 

当然、オカ研にも世代交代があってもいい頃だ。

流石にリアスが卒業してからも部長、なんてことはあり得ないしな。

 

そうなると気になるな。

 

誰が新部長で、オカ研を引張っていくんだ?

俺達二年の中で一番オカ研のことを把握しているのは木場だけど・・・・。

 

リアスがそんなストレートに選択するだろうか?

 

だけど、そうなると想像がつかないな。

 

ロスヴァイセさんのことといい、オカ研の新部長のことといい、年の瀬を目の前に何かが起こりそうな気が・・・・する。

 

そうこうしている内にチャイムがなり、生徒は各自の席につく。

 

ガララッと教室の扉が開き、先生が入ってきた。

 

「テメーら席つけー。兵藤ー、イチャイチャは即刻止めろー」

 

「してませんよ!?」

 

今は普通にしてるでしょーが!

 

しかし、俺の抗議をスルーして先生は本を開く。

 

「ブリーチ二十巻を開け」

 

「ねぇ、イッセー。私、そんなの持ってないんだけど。見せてくれない?」

 

「俺も持ってねーよ」

 

真面目に受け止めるアリスに俺はそう返したのだった。

 




とうとうアリスが駒王学園の生徒になりました!

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