ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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書いてたら少し長くなりました!

色々と詰め込みすぎたかなぁ・・・・


番外編 赤龍帝眷属、温泉へ行く! 後編

ティアとイグニスが参加したことにより、急遽、六名での親睦会となった『第一回赤龍帝眷属親睦会』。

 

いやはや、まさかこの二人もこの旅館を予約していたとは・・・・ここ数日、全く気づかなかった。

リアス達とは違い、二人とも普通にしてたし。

 

発案がイグニスで、出費はティア。

なんだかんだで良いコンビしてるような気がするよ、俺達のお姉さんは。

 

つーか、ティアも貯金あったのな。

 

そういや、アジュカさんの仕事の手伝いしてるとか言ってたな。

それで稼いでるのか?

 

そんなことを考えながら、俺達は旅館の外にある足湯へ。

 

旅館で借りたサンダルを脱いで湯に足をつけると、冷えた足がじーんとしながら温まっていく。

 

アリスが息を吐く。

 

「ふぅ、足湯ってのも中々良いものよね。向こうにはこんなの無かったし、初めての体験だわ」

 

確かにアスト・アーデの町には公衆浴場みたいなのはあったけど、こういうのは無かったな。

 

・・・・男湯から女湯を覗こうとしてアリスに殴られたっけ。

 

「ぷはぁ! ビールが美味しい!」

 

「おいおい、こんな時間から酒かよ? 夕食の時も飲むんだろう?」

 

「いいではないか、イッセー。こんな機会は中々ないのだぞ?」

 

「そーそー! ティアちゃん分かってる! ほら、ティアちゃんの分も買ってきておいたから」

 

「お、気がきくな。いただくとしよう」

 

イグニスから受け取った缶ビールを受け取るティア。

蓋を開け、イグニスと乾杯してる。

 

浴衣姿でお酒を飲む美女二人。

後ろに見える海も合わさって絵になるな。

 

それを見てアリスがゴクリと喉を鳴らしているのが見えた。

 

「飲みたいんだろ?」

 

「え、あ、いや・・・・アハハハ、まぁね」

 

「いいよ。財布貸してやるから買ってきな」

 

そう言って俺は懐から小銭入れを出してアリスに手渡す。

 

「いいの?」

 

「どうせ、こっちの世界では俺が未成年だからって気を使ってたんだろ? 変な遠慮すんなって」

 

「やった! ふふふ、ありがと、イッセー! 愛してる!」

 

おおっ、なんかすっごいテンション上がってる。

そんなに飲みたかったのか・・・・・。

 

残像が残るほどの猛ダッシュで旅館の中に入ってしまった。

 

あいつ、本当に酒が好きだなぁ。

前みたいに酒に飲まれなければ良いけど・・・・。

酒に酔ったアリス・・・・なんというか、エロいんだよね。

 

アリスが飛び込んで行った旅館の入り口を見ながら美羽が微笑む。

 

「アリスさん、ここに来てからすごく楽しそうだね」

 

「あいつにとっちゃ、何もかもが新鮮だろうからな。中学の時の美羽もあんな感じだった」

 

「そうだっけ?」

 

「そうだよ。目に写るもの全部に反応してただろ?」

 

機械類に対してはあれだったけど・・・・。

自動ドアとか、ね?

 

「でも、アリスさんが楽しいのはそれだけじゃないと思うな」

 

「分かりますわ。多分、アリスさんも私達と同じ気持ちだと思います」

 

「・・・・?」

 

首を傾げる俺。

 

「皆で来たからか?」

 

「それもあるよ。でもね、お兄ちゃんと一緒に来れたことが一番嬉しいんだよ。他の人だったら、ここまで楽しめなかったかもしれない」

 

美羽の意見にレイヴェルも頷いて同意した。

 

俺と一緒だから、か。

 

・・・こうして面と向かって言われると、ちょっと恥ずかしいけどさ。

 

俺は美羽とレイヴェルを抱き寄せて、二人の頭を撫でる。

 

「それは男冥利に尽きるってもんだな。俺もおまえ達と一緒で楽しいよ」

 

「えへへ・・・・」

 

美羽もレイヴェルも頬を染めながら嬉しそうに笑んでいた。

 

ったく、二人とも可愛すぎだ。

 

俺達三人の姿にイグニスが微笑む。

 

「あら、三人ともラブラブね。微笑ましいわ」

 

「イッセーの周りにいる女は皆そうなるさ。スケベではあるが楽しいからな」

 

「スケベなところもイッセーの魅力よ?」

 

「そうかもな。・・・・そういえば、イッセー。ドライグはどうした? アルビオンと和解したそうだが?」

 

ティアはビールに口をつけながら、訊いてくる。

 

あー、ドライグね・・・・。

 

あいつは―――――

 

「今もアルビオンとお話し中だよ。昔話に花咲かせて、こっちには不参加だそうだ」

 

一応、赤龍帝(・・・)眷属の集まりだから、赤龍帝たるドライグにも参加してもらいたいところだったんだが・・・・ま、宿敵と和解したばかりだしな。

向こうは向こうで楽しんでいるのだろう。

 

ってか、ここのところ、ずーっとアルビオンと話してるような気がする。

流石のヴァーリも苦笑してたぞ。

 

「・・・・変われば変わるものだな」

 

全くだ。

 

俺とティアがうんうんと頷いてると、レイヴェルの耳元に魔法陣が展開した。

小型の通信用魔法陣だ。

 

レイヴェルは魔法陣から聞こえてくる声に頷きながら、しばしの問答を繰り返した後、魔法陣を切った。

 

レイヴェルはふぅと息を吐く。

 

「どうしたの?」

 

「大公アガレスさまからですわ。この辺りにはぐれ悪魔が潜伏しているとの情報でして、それの討伐または捕縛を命じられました」

 

えー・・・・このタイミングではぐれ悪魔かよ。

勘弁してくれよ・・・・せっかく温泉旅行に来たってのに・・・・。

 

ティアが言う。

 

「このあたりを縄張りにしている者もいるのだろう? なにも休暇中のイッセーに依頼しなくてもいいじゃないか。というより、三大勢力の誰かにやらせろ。貴重な時間を使わせるな」

 

おおっ、ティアも休みを妨害されるとのことでお怒りだ!

 

本音を言えば、流石の俺も今は働きたくないかな・・・・。

ティアの言うように今は貴重な休暇。

 

今日一日は美羽達とキャッキャッウフフな一日を過ごしたい!

 

ティアの迫力ある意見にレイヴェルは困り顔になりながらも答える。

 

「私もそう伝えてみたのですが、そのはぐれ悪魔の実力的に難しいそうでして・・・・。そこで私達に命がくだったのです」

 

「ほぉ、そのはぐれ悪魔は少なくとも上級クラスはあるということか?」

 

「そのようですわ。そのはぐれ悪魔による被害も増加しているとか」

 

マジでか。

そいつは見逃せないな。

 

美羽が問う。

 

「人間を襲っているの?」

 

はぐれ悪魔は人間を襲って食らう者もいる。

 

俺がリアスの眷属になったばかりの時とかはそういう奴も結構見てきた。

どれもが人間の形をしてなくて、怪物と化していた。

 

もし、今回もそのケースなら、今日中に解決する必要があるだろう。

 

「え、えっと、襲っているといいますか、なんといいますか・・・・。幸いにも死傷者は出ていないようですわ」

 

あ、けが人も死者も出てないんだな。

それは良かった。

 

しかし、随分言いにくそうだな。

 

一体どういう被害が出ているのだろう?

 

「その・・・・被害に遭っているのは観光客・・・・女性の方でして。浴衣姿の女性がいつの間にか身に付けている下着を盗まれるそうなのです」

 

「なっ・・・・!?」

 

下着を盗むはぐれ悪魔だと!?

しかも、浴衣姿の女性が身に付けているものを・・・・!?

 

俺がレイヴェルの知らせに驚愕していると後ろの方から―――――

 

 

「私の下着が無くなってる!?」

 

「あっ、私も! やけにスースーすると思ったら!」

 

 

なんて悲鳴が聞こえてきた!

 

なんてこった!

マジで気づかぬ内に下着を盗まれているのか!

 

俺は拳をワカワナと震わせる。

 

こんな被害が増えるようでは浴衣姿の女性が減ってしまう!

温泉地に来て、浴衣姿の女性が見れなくなるじゃないか!

浴衣女性を見るのも温泉旅行の醍醐味なんだぞ!

 

これは・・・・これは死活問題だ!

 

俺は拳を強く握りしめ立ち上がった!

 

「今すぐそいつをぶっ飛ばしに行くぞ! そんな俺の楽しみを奪うような奴は許せん!」

 

「自分の欲望が出てる・・・。でも、ボクも女の子を困らせるような人は許せないかな。せっかくの旅行が台無しになるし」

 

「同感ですわ。せっかくのお休みですけど、ここは私共で解決しましょう!」

 

流石は我が眷属!

 

俺に続いてくれるか!

 

「はぁ、私も動くとするか。速攻で終わらせなければ、夕食の時間に間に合わんからな」

 

「そうね。楽しみの蟹を奪うような人は―――――燃やすしかないわね」

 

最強の龍王と最強の女神も出陣だ!

 

こりゃ、はぐれ悪魔死ぬな。

 

俺は皆を見渡して拳を振り上げた。

 

「よし! 赤龍帝眷属、出撃だ!」

 

「「「おおー!」」」

 

全員が拳を振り上げた!

 

 

その時だった。

 

 

「さっきからしつこいのよ、あんた達!」

 

その怒声と共にズッシャァァァと地面に顔から落下してきた男二人。

 

いかにもチャラそうな兄ちゃんだが・・・・

 

「「ひぇぇぇぇぇ!」」

 

と、体をブルブルと震わせていた。

 

その視線の先には缶ビールを握りしめた物凄い剣幕のアリス。

 

今一状況を呑み込めない俺はアリスに問う。

 

「・・・・なにしてんだ?」

 

「こいつら、さっきから私を誘ってくるのよ。こっちは連れがいるって言ってるのに」

 

あー、ナンパされたのか。

 

どうりで戻ってくるのが遅かったわけだ。

 

で、ここで震えているチャラい兄ちゃん二人はしつこく迫ったせいで、アリスの怒りに触れたと。

 

アリスは震える兄ちゃん二人を一瞥した後、俺の腕を組んで―――――

 

「この通り、私には夫がいるの。分かったらさっさと失せなさい。次は―――――殴るわよ?」

 

と、ニコニコ顔で告げたのだった。

 

 

 

 

 

 

旅館から少し離れたところに小さな山がある。

 

そこにはぐれ悪魔の根城があるらしい。

 

その情報を受けた俺達はその山を訪れていた。

 

「さっきのアリスさん、すごかったね・・・・迫力が」

 

「私は他のことに驚きましたわ」

 

美羽とレイヴェルが苦笑しながら、さっきの出来事を思い出していた。

 

アリスがプンスカしながら言う。

 

「だって、しつこいんだもの。あの手の男は退くことを知らないのかしら?」

 

アハハ・・・・アリスは女優顔負けに美人だからな。

男としては是非ともご一緒したかったんだろう。

向こうの世界でも言い寄ってくる王族は結構いたようだし。

 

まぁ、でも・・・・うちの嫁に手を出すとは許せん!

 

俺も軽く締めとけば良かった!

 

すると、アリスは美羽にばつの悪そうな顔で言う。

 

「美羽ちゃん・・・・。さっきはその・・・・ゴメンね?」

 

「え? なんのこと?」

 

「いや、なんか・・・・美羽ちゃん差し置いて・・・堂々と言っちゃったし」

 

恐らくアリスは俺のことを『夫』と言ったことを気にしているのだろう。

 

どうにもうちの女性陣の中では美羽が『正妻』ということになってるらしく、絶対的な存在らしい。

それはアリスも同じように感じているようなんだ。

 

「ボクは気にしてないよ? だって――――」

 

美羽はそう言うと俺とアリスに抱きついてきて、

 

「ボクもアリスさんもお兄ちゃんのお嫁さんだもん♪」

 

ぐはっ!

 

なんて可愛いこと言ってくれるんだ!

 

うぅ、俺はこんな可愛いお嫁さんをもらえるなんて、俺は幸せ者だ!

 

俺も二人を抱きしめて宣言する。

 

「おう! 二人は俺のお嫁さんだ! アリス、次ナンパされたら俺に言え! 旦那として何とかしてやる!」

 

「イッセー・・・・・。うん、わかったわ。ありがと、イッセー」

 

さっき、すごい剣幕を浮かべていた人とは思えないほど頬を染めながらモジモジするアリス。

 

うーむ、浴衣姿も相まって可愛さ倍増だな!

 

「・・・・・」

 

後ろではレイヴェルが何か言いたそうにしていたのだが・・・・。

 

「ここだな」

 

俺がレイヴェルに声をかけようとする前にティアが言った。

 

目の前には小さな洞窟。

人払いの結界が入り口に張ってある。

 

中には・・・・はぐれ悪魔らしき気配も感じる。

 

どうやら、ここらしいな。

 

俺達は頷き合うと洞窟の中へと入っていく。

 

奥へと進むとあちこちに火が灯されていて、入口付近よりも明るい。

 

更に奥に進むと家具が置かれているのが見えた。

 

あれは・・・・タンスかな?

 

やけに収納用の家具が多い。

 

その時―――――

 

「誰だ!」

 

若い男性の声が洞窟内にこだました。

 

そちらを見ると眼鏡をかけた華奢な男性がこちらを睨み付けていた。

 

悪魔の気配。

 

おそらく、こいつが件のはぐれ悪魔だ。

 

はぐれ悪魔は俺達に指を突きつけると叫ぶ。

 

「貴様ら、私を掴まえにきたんだな!? ふん、返り討ちにしてくれる!」

 

体にオーラを纏わせていくはぐれ悪魔。

肉体が膨れ上がり、身につけていた服がビリビリと破れていく。

最終的には俺よりも一回り大きい巨漢となった。

 

・・・・なるほど、確かにそれなりの実力は持っているらしい。

 

上級悪魔クラスはあるようだ。

 

俺ははぐれ悪魔に問う。

 

「おまえ、なんで主を裏切ったんだ? おまえ程の実力者なら主も重宝しただろうに」

 

報告によれば、このはぐれ悪魔は主を殺しておらず、突然姿を消したと言う。

こいつの主だった上級悪魔も特に眷属を強いたげるようなことはしない穏やかな人柄だとも聞いている。

 

良い主に恵まれ、なに不自由しなかったはずなのに、こいつは主のもとを去り、こんなところにいる。

 

俺の問いにはぐれ悪魔は―――――

 

「・・・・確かに我が主には悪いことをしたと思っている。しかし、私には夢が出来てしまったのだ」

 

「夢? それは一体・・・・」

 

「―――――死ぬ時は女性の下着の中で死にたい」

 

「・・・・は?」

 

こいつ・・・なんて言った?

 

え、えーと、女性の下着の中で死にたい?

 

自身の耳を疑う俺だったが、はぐれ悪魔は熱烈と語り始める。

 

「特に! 湯上がりの女性が身につけた物は良い! あのほんのりと残る女性の残り香! その中で死ねるなら本望と思わないかね!?」

 

「いえ、思いません。俺、死ぬなら女の子のおっぱいに囲まれて死にたいです」

 

「くっ! 貴殿はおっぱい派だったか! 確かにそれも分かる! だが、私は・・・・女性が身につけた下着の中で死にたいと思ったのだ!」

 

それからも、はぐれ悪魔は長々と語り出した。

 

要約するとこうだ。

 

このはぐれ悪魔は大昔に人間から転生して永く主に仕えてきたのだが、唯一不満があったそうだ。

 

それは周囲に男しかいなかったこと。

 

上級悪魔の眷属となれば、戦いにも駆り出されるし、いつか戦いの中で命を落とすかもしれない。

 

長い悪魔の生とはいえ、死ねばそこまで。

 

そこで、このはぐれ悪魔は思ったそうだ。

 

――――いつか死ぬのであれば、女性の残り香が残る下着に囲まれて死にたい、と。

 

どうやら、このはぐれ悪魔は匂いフェチらしい。

ただ、実際に女性を襲うのは善心が痛んだらしく、やむを得ず下着を盗む行為に出た。

 

この場にいる女性陣はそれを聞いて―――――

 

「変態!」

 

アリスが自らの肩を抱いて叫んだ!

 

うん、確かに変態だ!

どこか心根は優しい人だと思えるから、よけいに残念だよ!

 

美羽とレイヴェルなんて顔を青くして俺の後ろに隠れ出したよ!

 

俺は目元をひきつらせながら、はぐれ悪魔に告げる。

 

「え、えーと・・・・とりあえず、大人しく捕まってくれないか? 誰一人殺してないのなら、軽い罰で済むだろうし」

 

「断る! ここで捕まればせっかく集めた下着達はどうなる!?」

 

「持ち主に返すんだよ!」

 

「嫌だ! 私は最後まで戦うぞ!」

 

もうやだ、この人!

 

なんでこうも頑ななの!?

 

すると、はぐれ悪魔は俺の後ろ―――――美羽に視線を向けた。

 

「ふむ、そこの女人・・・・良い香りがしそうだな。どれ」

 

はぐれ悪魔は一つ頷くと、手元に魔法陣を展開。

 

魔法陣の輝きがこの洞窟内を照らし――――弾けた。

 

しかし・・・・

 

「・・・・?」

 

特に変化がみられない。

 

はぐれ悪魔に視線を向けられた美羽にも何もない。

 

アリスもティアも訝しげに首を傾げている。

イグニスやレイヴェルも同様だ。

 

全員が疑問符を浮かべている中、はぐれ悪魔はニヤリと笑みを浮かべた。

 

「ふふふ、これは可愛らしいデザインをしているな」

 

その手には―――――一枚の白いパンツ。

 

俺は目を見開いた。

 

そのパンツには見覚えがあった。

 

そのパンツは・・・・・!

 

「ああ! それボクのパンツ! 返してよ!」

 

美羽が真っ赤になりながら叫んだ!

 

そう、あれは美羽のパンツだ!

 

あの野郎、美羽からパンツを剥ぎ取りやがったな!?

 

はぐれ悪魔は笑みを更に浮かべる。

 

「これぞ私が編み出した魔法『スティール』よ! この魔法の前ではどんな女性の下着でもこうして剥ぎ取れる! さて、どんな香りがするのか。さっそく――――」

 

はぐれ悪魔は美羽のパンツを顔に近づけていき―――――

 

その瞬間、俺の中で何かがキレた。

 

「なにさらしとんじゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

必殺ライダーキックがはぐれ悪魔に炸裂した。

 

 

 

 

 

 

「うぅ・・・・とんでもない目にあったよ・・・・」

 

涙目になりながらそう呟く美羽。

 

あの後、俺ははぐれ悪魔をフルボッコにして冥界に転送してやった。

文字通り、洞窟内に血の雨を降らせてな。

 

あの変態野郎、俺の美羽からパンツを奪っただけでなく、嗅ごうとしやがったんだぞ!?

 

どこの変態龍王!?

 

とにかく、元の顔が分からないほどに往復ビンタくらわせて徹底的に締め上げてやった。

 

ちなみに、これまで奪われてきた下着も冥界に送ったので、後で持ち主に返されるだろう。

 

「はぁ、あんなことになるなら、俺一人で行けば良かったな」

 

マジでそう思う。

 

下手すりゃ、美羽にトラウマを刻むことになるところだった。

 

「でも、ギリギリのところでお兄ちゃんが何とかしてくれたし、もう平気だよ?」

 

「そっか・・・・。それなら良いんだけど・・・・」

 

うん、せっかくの温泉旅行が台無しにならずに済みそうだ。

 

ほんっと、ギリギリのところでパンツ取り返せたもんな。

 

「それにしても、良い湯加減だね」

 

美羽はお湯をちゃぷちゃぷしながら言う。

 

今、俺達がいるのは部屋に備え付けられていた露天風呂だ。

 

はぐれ悪魔を冥界に転送した後、俺達は旅館に戻り、夕食を取った。

 

蟹鍋に、お刺身に、地元の料理の数々!

どれもが絶品で箸が止まらなかったよ。

美羽もアリスもレイヴェルも、目をキラキラさせながら、いっぱい食べていたな。

ティアとイグニスのお姉さんコンビも出された日本酒を飲みながら陽気になってたっけ。

 

それからは本日のメインイベントとも言えるお風呂だ!

 

もちろん混浴!

 

さっきは眷属の三人と背中を流しあったんだぜ!

俺も三人の体を余すところなく隅々まで洗わせていただきました!

 

そして、現在。

 

美羽は俺の胸に背中を預け、アリスとレイヴェルは俺の両サイドに座った状態。

俺はアリスとレイヴェルの肩に手を回して露天風呂を満喫しているところだ。

 

露天風呂から見える景色も、この湯加減も最高だ。

 

だが、やはり密着する三人の肌の感触が何よりも良い!

 

ふと視線を下にやるとお湯に浮かぶ美羽の豊かなおっぱい!

右にやれば、小柄な体型だがボリュームのあるレイヴェルのおっぱいが!

更に左にやれば、アリスの透き通るようなキレイな肌!

うなじがたまらん!

 

ここは理想郷か、桃源郷か!

 

もうね、温泉最高!

混浴万歳!

 

駒王町にいるお母さま!

福引きを当ててくれてありがとうございます!

 

このご恩は一生忘れません!

 

美羽が言う。

 

「今頃ティアさん達もお風呂かな?」

 

「多分な。イグニスのやつ、結構飲んでたけど・・・・大丈夫かな?」

 

 

 

~そのころのイグニスさん~

 

 

 

 

「いつ見てもティアちゃんの髪ってキレイね。肌もスベスベだし」

 

「なにを言う。おまえもキレイな髪をしているじゃないか」

 

「おっぱいだって大きくて、お湯に浮いてるし。えーい、揉んじゃう!」

 

「あっ、馬鹿・・・・調子に乗り・・・んんっ・・・そ、そこ・・・・酔っているのか?」

 

「うふふふー♪ それはどうかなー?」

 

「あんっ・・・す、吸うなぁ・・・」

 

 

いつもよりパワーアップしているイグニスさんだった。

 

 

 

~そのころのイグニスさん、終~

 

 

 

「今頃ティアのおっぱいでも揉んでるんじゃない?」

 

「アハハハ・・・・あり得そう」

 

「イグニスさんですものね」

 

お酒が入ってるからもしかして・・・・・。

 

ティア、大丈夫かな・・・・?

いつも軽くあしらってるけど・・・・。

仮にイグニスがパワーアップしていたとすると・・・・心配だ。

 

「あーあ、明日には帰るのよね。一泊ってあっという間だったなぁ。あと何日かここにいたいわ」

 

それは分かる。

 

一泊ってのは一瞬なんだよね。

もう少し、こうしていたいところなんだが・・・・そうもいかないか。

俺達ってそんなに休んでいられないし。

 

美羽が微笑む。

 

「でも、良い思い出にはなったよね。確かに短いとは思うけど、また皆で来ればいいよ」

 

「お、それじゃあ、『第二回赤龍帝眷属親睦会』の開催も考えておくか? 定期的にこうして俺達だけで旅行するのもありだろ」

 

「うん! 今度はどこに行こうか?」

 

「そうだな―――――」

 

それから俺達は次、こうして旅行する時の候補地を挙げていった。

美羽もアリスもレイヴェルも、今からウキウキしているようで、次から次へと意見が出てくる。

 

今回の温泉旅行は三人から日頃の忙しさを忘れ去れさせる良い機会になってくれたようだ。

 

さて、山だの海だの温泉巡りだの、色々な意見が出ているけど、次はどこにしようかね?

 

こいつは改めて会議を開く必要がありそうだ。

 

俺は楽しげに語り合う三人を見ながらふっと笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

お風呂からあがり、布団を敷いた俺達。

 

どの位置に布団を敷くのか、修学旅行ではよくある話し合いをしたのだが――――

 

「えーと・・・・なんで?」

 

密着してくる三人。

 

最初は色々話し合って、自身が寝る位置を決めてたのだが・・・・。

少し時間が経つと三人とも布団からコロコロと転がり出て、俺の布団に入ってきた!

 

俺の右サイドを固めるレイヴェルが頬を染める。

 

「あ、あの・・・・こういう機会も滅多にないものですから・・・・。ダ、ダメでしょうか?」

 

「いや、ダメってことはないけど・・・・。布団をくっつければ良いんじゃないか?」

 

今の現状はこうだ。

 

俺の左サイドには美羽。

右サイドにはレイヴェル。

そして、レイヴェルの更に外側にアリス。

 

俺を中心に計四人が一枚の布団に入っている状態だ。

 

どう見ても定員オーバー。

 

一番外側のアリスなんて布団からはみ出てるよ!

 

「まぁ、そんなことは気にしない気にしない」

 

「おまえ、また風邪引くぞ?」

 

「その時はイッセーに看病してもらう。頼んだわよ、旦那様」

 

「ダーメーだ。ちゃんと布団は被れ」

 

ったく・・・・言うこと聞かないとおっぱい揉んじゃうぞ?

 

俺がやれやれとため息をついていると、レイヴェルがボソリと言った。

 

「あ、あの・・・・」

 

「ん? どうした?」

 

「わ、私も・・・・」

 

「私も・・・?」

 

「私も・・・・娶って・・・いただけますか・・・?」

 

レイヴェルは今までにないくらい顔を赤くしながらそう言った。

 

娶る・・・・娶るってことはつまり――――

 

「わ、私もイッセーさまのことをお慕い申しています。その・・・主としてもですが・・・一人の男性としても心から・・・・」

 

レイヴェルは俺の浴衣をギュッと握って――――

 

「わ、私もイッセーさまのお嫁さんにしていただけますか・・・・?」

 

・・・・逆プロポーズされた。

 

これははぐれ魔法使いの一件の後にマネージャーとしての誓いを立てた時と似ているようで違う・・・・そこから更に踏み込んだものだった。

 

よっぽど緊張しているのか、俺の浴衣を握るレイヴェルの手か震えている。

耳まで赤く染まり、呼吸も大きくなっていた。

 

俺は上半身を起こしてレイヴェルの方を向くと、暫しの沈黙を後、口を開いた。

 

「・・・・レイヴェル」

 

「は、はい!」

 

レイヴェルも慌てて上半身を起こして、正座して俺と向かい合った。

 

「出来の悪い俺のことだから、色々と問題もあるかもしれない」

 

レイヴェルが生粋のお嬢様なのに対して俺は平民育ちの庶民だ。

上級悪魔になったとはいえ、悪魔の世界の知識も、貴族悪魔としての知識もまだまだ足りない。

 

そんな俺だから、レイヴェルに迷惑をかけることもあるだろう。

 

だけど―――――

 

俺はレイヴェルに近づいて、

 

「俺、頑張るよ。だからさ、俺のお嫁に来てくれるか?」

 

プロポーズをプロポーズで返した。

 

目を見開くレイヴェルだが、次第に目元から雫がポロポロと零れ落ち始める。

 

そして、涙を流しながらも、かつてないくらいに幸せそうな笑顔で―――――

 

「はい! ふつつか者ですが、よろしくお願いしますわ!」

 

「よかったね、レイヴェルさん!」

 

「イッセー。あんたも物怖じしなくなったわね。昔は押しに弱かったくせに」

 

「アハハハ・・・・」

 

ま、まぁ、なんと言いますか・・・・美羽のお陰でその辺りの根性もついたのかな?

 

今でもパワフルな女性陣には負けるけど。

 

それでも、女の子の想いを受け止めるだけの度胸は以前よりも着いたと思うよ。

 

ってか、今思ったけど、レイヴェルを嫁にもらうってことはライザーが俺の義兄になるのか・・・・。

なんか変な感じだ。

今のライザーなら別に嫌って訳じゃないんだけど。

 

そんなことを考えていると、美羽に抱きつかれているレイヴェルは人指し指を合わせて、モジモジしながら言う。

 

「え、えっと、それでですね・・・・。もうひとつ・・・・」

 

「ん?」

 

「み、美羽さんもアリスさんも・・・・イッセーさまのご寵愛を受けてますし・・・・わ、私も」

 

レイヴェルは息を吸い込んで、大きな声で言った。

 

「わ、私も――――――大人の女性にしてください!」

 

大人の女性・・・大人の女性・・・美羽とアリス・・・。

 

ここまでキーワードを並べられて分からないほど俺は鈍感ではない。

 

ただ・・・・

 

「良いのか? レイヴェルって、貴族のお嬢さまだし、フェニックス家の一人娘だろう? 約束したとは言え、まだ嫁入り前だし・・・・そういうのはノリでするものじゃないぞ?」

 

「ノリではありません。イッセーさまだからこそです。それに・・・・お父さまもお母さまもお兄さま達も・・・・相手がイッセーさまなら問題ないと思いますわ」

 

マジでか。

俺、フェニックス家の人からすごい信頼されてるんだな・・・・。

ま、まぁ、そうでなきゃ、大切な一人娘を俺に預けようなんてしないと思うけどさ・・・・。

 

そういや、レイヴェルの親父さんから孫をお願いされたっけな。

 

ハハハ・・・・。

 

ふむ、ただひとつ問題がある。

 

これは毎回恒例とも言って良い。

 

正直、今回はレイヴェルがいるからと、配慮して持ってきてないんだよね、アレ。

 

しかし――――――

 

ふと見るとレイヴェルが美羽から何かを受け取っていた。

 

「これは?」

 

「学生の間は赤ちゃんはお預け、だよね?」

 

美羽がニッコリと微笑みながら俺の方を見てくる。

 

な、なんて用意の良い妹なんだ・・・・!

 

つーか、するつもりだったの!?

 

確かに温泉旅行で、旅館でってのは憧れるが・・・・。

 

あれ!?

 

アリスもなんか鞄をごそごそし出したよ!?

 

それってまさか―――――

 

「なるほどね、このタイミングでするのね?」

 

「なんでおまえも持ってんの!?」

 

「事前に美羽ちゃんから受け取ってた。・・・・する機会もあるかなって」

 

おまえもかいぃぃぃぃぃ!

 

え、ちょっと待って・・・・アリスが出したやつとレイヴェルが受け取ったやつと美羽が握っているやつを合わせると―――――四箱!?

 

「一個は予備で・・・・」

 

「それにしても多くない? ねぇ? それにしても多くない?」

 

「お兄ちゃんなら出来るよ!」

 

「どんな信頼!?」

 

流石に全部使いきるのは無理だからね!?

 

俺、干物になっちゃう!

 

「まぁ、なんとかなるんじゃない? ・・・・私と美羽ちゃんの時は使いきったし」

 

確かに使いきったね!

あの時は朝までしてたもんね!

 

でも、君達分かってる!?

 

俺、帰りの運転あるからね!?

 

「あ、あのイッセーさま・・・・」

 

レイヴェルは受け取った箱と俺を交互に見てくる。

 

その目には期待するような何かがあってだな・・・・。

 

美羽が言う。

 

「今日の主役はレイヴェルさんだよ?」

 

「優しくしてあげなさいよね。・・・・わ、私達は後でいいから」

 

アリスも顔真っ赤でそう続けた。

 

よし・・・・ここは覚悟を決めよう。

 

俺はレイヴェルの浴衣に手をかけて、ゆっくり脱がしていく。

 

『第一回赤龍帝眷属親睦会』は夜の部へと突入した―――――。

 

 

 

 

~そのころのリーアたん~

 

 

 

「はっ・・・・この感じ・・・・まさか!」

 

「どうしたんですの?」

 

「ええ、朱乃。おそらく、イッセーがまた・・・・。この意味分かるわよね?」

 

「っ! そうですか・・・・。リアスの勘が正しければ後輩に先を越された、ということになりますわね」

 

「そうね。祝福してあげたい気持ちもあるけれど・・・・本音を言えば、悔しいわ」

 

「そうですわね・・・・」

 

「「はぁ・・・・」」

 

ため息をつくリアスと朱乃であったが・・・・リアスは(ニュー)タイプへと順調に覚醒しつつあった。

 

 

 

~そのころのリーアたん、終~

 

 

 




次回は新章に入るか番外編をやるか悩んでいます。

・・・・が、新章で書く予定の一部を公開!




―――――目覚めなさい


―――――ここにはアリスちゃんのおっぱいと


―――――リアスはちゃんのおっぱいと


―――――おっぱいドラゴンがいるのだから!


           《真焱の女神》イグニス



―――――俺をあの時の俺だと思うなよ?

―――――俺はまだまだ進化する!

       《異世界帰りの赤龍帝》兵藤一誠




ー ECLIPSE ー


ー XENON ー


ー AGIOS ー


そして―――――




まぁ、あくまで予定です(笑)

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