ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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書いてたら長くなったので、三編構成にしました(笑)

今回もほのぼのしてます。


番外編 赤龍帝眷属、温泉へ行く! 中編

兵藤家を旅立って数時間後。

 

俺達は目的地に到着していた。

 

言っとくけど、音速は出してないからな?

ちゃんと日本の法定速度は守ってここまで来たよ。

 

旅館は木造の純和風で、古いけどボロいという印象はない。

むしろ古風で趣を感じる。

歴史のありそうな所だった。

 

「見て見て! 海が綺麗だよ!」

 

「私、人間界の海って初めて見ましたわ!」

 

「良い眺めじゃない」

 

俺がチェックインしている間にテンションを上げていく眷属の三名。

 

さっそく盛り上がっているようで。

 

「お部屋へご案内します」

 

旅館の人に案内され、俺達の部屋へと向かう。

 

階段を上がり、長い廊下を進んでいく。

 

観光客も結構来ているようで、部屋にたどり着くまでに多くの人とすれ違った。

 

・・・・どうにも注目されてるんだよね。

 

理由はもちろん、美羽達だ。

 

全員が美女美少女なので、観光客・・・・主に男性からの視線が集まってくる。

 

よーし、変な奴が言い寄って来ないように注意しておくか!

これも主の勤めだ!

 

案内された部屋はパンフレットに載ってた通りの綺麗な和室だった。

真新しい畳が敷かれ、冷蔵庫にテレビ、テーブルが備え付けられている。

 

部屋に入った俺達がしたこと、それは―――――

 

荷物を置いた俺達は部屋の奥に進み、扉を開ける。

 

「「「おおっ!」」」

 

視界に入ってくるのは海が見える露天風呂!

うーん、見事な眺め!

檜の良い香りが漂ってくる!

これを俺達で一日独占できるというのだから、最高だ!

し、しかも、これは混浴出来るんじゃないのか!?

だって、美羽が手握ってきてるし!

温泉旅館で一緒に温泉に入るってのは、いつもとは違う興奮があるな!

 

母さん、ありがとう!

当ててくれて、ありがとう!

感謝、感激、感動だよ!

 

待て、落ち着け俺!

今は昼を過ぎた頃、風呂にはまだ早い!

お風呂タイムまで待つんだ!

 

俺は今からお風呂タイムが待ち遠しくて仕方がなかった。

 

 

 

 

お風呂は夕食の後に入ることにした俺達。

夕食までにはまだ時間があるということなので、それまではのんびり過ごすことにした。

 

 

そして、現在―――――

 

 

「ふっ。私の勝ちね、イッセー。大人しく負けを認めなさいよ」

 

「おいおい、勝負ってのは最後まで分からないもんだぜ?」

 

「ふふん、そんなこと言ってもこの状況をどうやって覆すのよ? 私とあんたの差は歴然。勝てると思ってるの?」

 

「勝ってみせるさ。俺には――――――切り札がある」

 

不敵な笑みを浮かべながら対峙する俺とアリス。

 

互いの視線がぶつかり、バチバチと火花を散らせている。

 

俺は右手を高く上げて、最高の切り札を召喚する!

 

「うおりゃぁぁぁぁ! 必殺のドローフォーじゃぁぁぁぁい!」

 

繰り出される一枚のガード!

 

この圧倒的な差を埋める必殺の切り札!

 

アリスが悲鳴をあげる。

 

「うっそぉぉぉぉぉ!? え、これ何枚!? 何枚引けばいいのよ!?」

 

「えーと・・・・ボクとレイヴェルさん、それから今ので・・・・十枚だね」

 

「えええええっ!? ちょ、イッセー! なんてことしてくれたのよ!? 私、もうあがりだったのにぃぃぃぃ!」

 

美羽の報告に絶望の表情となるアリス。

 

俺達がやっているのは修学旅行では定番中の定番―――――『宇野』。

 

今回の旅行は俺達、赤龍帝眷属の親睦を深めるという名目もあるので、一応持ってきておいたんだ。

 

部屋の雰囲気を味わった俺達は各自浴衣に着替え、この『宇野』大会を始めることに。

 

現在、美羽→レイヴェル→俺→アリスの順にカードを出しているのだが・・・・。

 

美羽とレイヴェルが出したドローツーとドローフォー。

そこへ俺のドローフォーが加わり、ラスト一枚だったアリスのカードは一気に増えることに。

プラス十枚でアリスのカードは十一枚だ。

 

このゲームって公式ルールみたいなのがあるらしいんだけど、その辺りはよく分からないんだよね。

なので、俺達はいわゆるローカルルールでゲームを進めていた。

 

俺は枚数が増えに増えたアリスを見て高らかに笑う。

 

「ふっはっはっはっ! 言っただろ、勝負は最後まで分からないと!」

 

「うぅぅぅぅ! すぐにやられる悪役みたいに笑ってぇ! 覚えてなさいよ、この借りは必ず返すから!」

 

などと言いながらアリスがカードを出し、次に美羽、レイヴェルと順にカードを出して再び俺に回ってくる。

 

ふっ・・・・これはもう、アリスを倒せと言わんばかりに順調じゃないか。

 

俺は手元のカードを見ながらニヤリと笑う。

 

そんな俺の様子にアリスはごくりと喉を鳴らし―――――俺はカードを出した。

 

「ほーれ、スキップ」

 

「鬼ぃぃぃぃ!」

 

「ふははははははっ!」

 

泣き叫ぶアリスと悪役のように笑う俺。

そんな俺達に苦笑する美羽とレイヴェル。

 

「これ終わったら、卓球するわよ! 卓球!」

 

 

 

 

 

 

というわけで、

 

 

「とりゃぁぁぁぁ!」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

アリスの希望で温泉旅行定番の卓球大会開幕。

 

旅館の一階にある卓球場で俺とアリスは激戦を繰り広げていた。

 

その動きは明らかに常人の域を遥かに超えていて、通りががった人が「なにあれ、すごい」なんて言葉を残していく程だ。

 

まぁ、俺達悪魔ですから。

それも鍛えてるだけあって並の悪魔のレベルすら超えているんだよね。

 

ちなみに、このラケットも卓球台もピンポン玉も美羽が魔力でコーティングしてくれている。

普通に使ったら間違いなく壊れるからな。

 

「二人とも頑張って」

 

「これ美味しいですわ」

 

俺とアリスが激しい攻防戦を繰り広げている横では美羽とレイヴェルがマッサージチェアに座りながら、売店で買った黒ごまアイスを食べていた。

 

ほのぼのしてるぜ!

 

・・・・・にしても、あれだな。

 

激しい動きで乱れていくアリスの浴衣。

その隙間から見える白い肌。

うなじが、胸元が、太ももがまぶしい!

 

眼福です!

 

俺がアリスの綺麗な太ももに見とれていると、アリスが鼻を鳴らす。

 

「ふふん♪ 中々やるじゃない! でも、これならどうかしら!」

 

その瞬間、アリスの動きが劇的に変化!

 

すさまじいスマッシュが放たれ、ビュンッという風を切る音と共にピンポン玉が俺の横を通りすぎていった!

 

「あ、このやろ、雷の魔力で強化しやがったな!?」

 

「己の全てをかけて相手を倒す。それが戦いよ!」

 

「かっこいいこと言ってるけど、たんなる反則だからね!?」

 

「テヘッ☆」

 

クッソォ・・・・・なめとるな、こいつ。

 

そこまでして勝ちたいか!?

 

「そんなズルッ子に育てた覚えはないぞ!」

 

「いや、育てられた覚えもないわよ!?」

 

アリスにツッコミで返された俺は飛んでいったピンポン玉を拾おうとして振り向き―――――

 

ピンポン玉が壁にめり込んでいるのを見つけた。

 

「ちょ、おいいいいいいっ! おまえ、どんだけ力入れた!? めりこんでるって!」

 

「あちゃぁ、力の加減ミスったかも」

 

「なに呑気にしてんの!? 見つかったら怒られるの俺だからね!?」

 

「眷属の不始末は主の不始末!」

 

「ひでぇ! また俺に擦り付けるつもりか!?」

 

なんて奴だ!

 

こ、こうなったら道は一つしかねぇ!

 

俺はマッサージチェアでくつろぐ美羽のもとに駆け寄り――――

 

「お願い! バレない内に魔法で直してくれぇ!」

 

美羽に泣きついた。

 

 

 

 

 

 

「もう、二人とも羽目を外しすぎだよ? 楽しむのは良いけど限度があるからね?」

 

「「はい・・・・ごめんなさい」」

 

部屋に戻った後、俺とアリスは正座した状態で美羽に注意されていた。

 

うぅ・・・・年長者二人が揃って情けねぇ。

多分、端から見た時の俺達って母親に叱られる子供みたいな感じなんだろうな。

 

美羽がすごく大人に見えてしまう。

 

美羽が部屋の時計に視線を送る。

 

「それなりに時間潰せたけど、夕飯にはまだ時間があるね」

 

「そうなんだよな。・・・・こうなったら、一度風呂に入るのもありか?」

 

「だね。お兄ちゃん、一緒に入るよね? 背中流してあげる」

 

「おっ、それなら俺も美羽の体を洗ってやろうか? こんな感じで」

 

「わっ!」

 

美羽の体に手を伸ばしてこちらに引き寄せると、あぐらをかいた俺の上にすっぽりと美羽が収まる形に。

 

俺は浴衣の上から美羽の体をくすぐり始める。

 

「ひやぁん! くすぐったいよぉ。お兄ちゃん、ここに着いてからテンションあがりすぎ・・・・ふぁんっ!」

 

体をくねくね捩らせながら、甘い吐息を漏らす美羽。

 

うーむ、頬を染めながら弱々しく抵抗してくるところが可愛い!

 

・・・・ただ一つ気になることが。

 

「なぁ、美羽? 浴衣の下って何も着てないのか?」

 

俺がそう問うと、美羽はきょとんとした表情で、

 

「そうだけど?」

 

やっぱりか・・・・。

 

いや、確かに修学旅行の時も美羽は浴衣の下には何も着ていなかった。

 

おそらく、浴衣の下に下着を着けるのは邪道派閥なんだろうな。

 

「美羽、最低でも部屋から出る時はちゃんと下着をつけなさい」

 

「え? なんで?」

 

俺の言葉に聞き返してくる美羽。

 

俺は大きく息を吐いた後、語り出す。

 

「考えても見ろ。浴衣の下は肌。ということはだ・・・・何かの拍子で浴衣が気崩れたら他の男に美羽のおっぱいを見られるかもしれないじゃないか!」

 

もし、さっき美羽が卓球をしていたら!

アリスのように浴衣が気崩れていただろう!

そうなったら、その動きの一つ一つに大きく揺れる美羽のおっぱいなんて容易にさらけ出されていたはずだ!

 

揺れる胸、胸の谷間を流れる汗、艶やかな肌、綺麗なピンク色の乳首!

想像するだけでもう・・・・!

 

俺以外の男が美羽のおっぱいを見るなんてこと・・・・許しません!

お兄さんは許しませんよ!

 

「とにかく、そういうことだ」

 

「アハハハ・・・・まぁ、お兄ちゃんがそう言うならそうするよ。・・・・ボクもお兄ちゃん以外の男の人に見られるのはちょっと、ね?」

 

おおっ、分かってくれたか!

流石は我が妹!

 

などと俺達が戯れている時だった。

 

「やれやれ、どこに行ってもおまえ達は変わらんな」

 

第三者の声が部屋に聞こえてきた。

 

見上げると、そこに立っていたのは浴衣を着た二人の女性。

 

一人は青く長い髪を持ち、もう一人は燃え盛る炎のように鮮やかな赤色の髪色をした女性。

どちらもかなりの美女。

 

・・・・・っていうか、毎日会ってるよね。

 

「ティア!? イグニス!? 何してんの!?」

 

現れたのはお姉さんコンビだった!

 

イグニスは基本的に俺の側にいるから良いとしても、ティアはなんでここにいるんだ!?

 

つーか、なんで二人とも浴衣!?

 

驚く俺達を置いて、ティアとイグニスは遠慮なく座っていく。

 

ティアが室内を見渡しながら言う。

 

「ふむ、中々に良いところじゃないか。窓から見える眺めも申し分ない」

 

「そうなんだよ・・・・って、そうじゃなくてだな」

 

「なんだ? 私達が混ざることに不満か?」

 

「いや、不満じゃないけどさ・・・・。なんでここにいるの?」

 

「今回は赤龍帝眷属の親睦会を兼ねた旅行と聞いてな。そういうことなら、是非参加させてもらおうと思った次第だ」

 

ティアの言葉にイグニスがうんうんと頷きながら続く。

 

「私達、眷属じゃないけど、ティアちゃんはイッセーの使い魔だし、私はイッセーの剣でもあるんだから参加してもオーケーかなーって。・・・・というより、蟹が食べたい!」

 

絶対、最後のが本音だろ・・・・。

そうですか、原初の女神様は蟹をご所望ですか・・・・。

相変わらず欲望に正直なやつ!

 

いや、二人の参加が嫌なわけじゃないよ?

むしろ全然ウェルカムだ。

 

だけど、こうして二人がいることは自然と問題が生じる。

 

「あのさ・・・・俺達、四人でここ予約してあるんだ。部屋もそれ用だし、何より二人分の食事は出ないぞ?」

 

もし、二人がこの部屋に無断で宿泊するなんてことがバレたら旅館の人になんて言われるか・・・・。

 

仮に宿泊許可が出ても二人分の食事が出るか・・・・。

 

流石に夕食抜きの二人の目の前で美味い飯を食うのは気が引ける。

 

すると、ティアは二ヤリと笑った。

 

「その心配は無用だ。なぜなら・・・・私達もこの旅館で部屋を取っているからな!」

 

「なにぃ!?」

 

驚愕する俺達!

 

美羽やアリスがこっちを見て来るんだが、俺はぶんぶんと首を横に振る。

 

俺も初耳なんだって!

 

イグニスが手を挙げて言う。

 

「発案は私でーす! 宿泊費はティアちゃんもちだけど♪」

 

「貯金は十分にある。それぐらいはお安い御用だ」

 

「「イエーイ!」」

 

テンション高めにハイタッチするお姉さん二人。

イグニスはともかくティアがここまでノリノリとは・・・・これはこれで珍しい。

 

レイヴェルが苦笑する。

 

「まさかお二人も参加するとは・・・・予想すらしていませんでしたわ」

 

「なに、参加と言っても食事を共にするぐらいだ。就寝は私達の部屋でするさ。・・・・若い者たちでしたいことも色々あるだろう?」

 

「ふふふ・・・」

 

意味深な笑みを浮かべるティアとイグニス。

 

若い者たちでしたいことって・・・・・。

 

あー、うちの眷属三人の顔が真っ赤に・・・・。

特に経験のないレイヴェルはすごい狼狽えぶりだ。

 

お姉さん二人はいつでもどこでも余裕だなぁ。

 

ティアは膝を叩いて言う。

 

「ま、そういうことだ。少しの間、お邪魔させてもらおう」

 

「OK。ま、こういうのは人数が多いほど楽しいしな。ティア達の夕食はこっちに持ってきてもらえるよう旅館の人に頼んでみるか」

 

「それも心配ない。もう頼んだ」

 

「はやっ!」

 

なんて行動のはやさ!

 

流石はお姉さん、先手先手を行くな!

 

イグニスがテーブルに置いてある茶菓子をポリポリ食べながら訊いてくる。

 

「イッセー達はどうするの? 夕食まで時間あるから、私とティアちゃんは外の足湯にでも行こうと思うのだけど」

 

足湯か。

 

それも良いな。

 

俺は膝を叩いて立ち上がる。

 

「よっしゃ! それじゃあ、足湯行くか!」

 

そんなこんなで、俺達の親睦会はティアとイグニスも急遽参戦することに。

 

俺達は足湯に向かうべく、部屋を後にした。

 


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