ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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すいません、滅茶苦茶早く書けました(笑)


番外編 赤龍帝眷属、温泉へ行く! 前編

テロ対策チーム『D×D』が結成された次の日のこと。

 

兵藤家のリビングにて。

 

「イッセー。今度の休日は暇?」

 

と、母さんが訪ねてきた。

 

母さんはちょうど買い物から帰ってきたところで、テーブルには買い物袋から出された食品が並べられている。

 

母さんの手元に目をやると何かの雑誌・・・・いや、あれはパンフレットか?

他にもチケットらしきものが握られていた。

 

俺は母さんに問う。

 

「それ温泉? どうしたの?」

 

「いえね、買い物の帰りに商店街で福引きを引いたのだけれど、当たったのよ。温泉旅行、一泊二日」

 

「また当てたんだ。母さんってそういうの強いな」

 

「そりゃあ、日頃の行いが良いからよ」

 

あ、自分で言ったよ、この人。

 

母さんはこういう福引きとかではよく当たりを引く。

宝くじもほぼ毎回、一万円くらいなら当ててたりする。

 

この人の運の良さは一種の異能なんじゃないかと思うときがあるんだよね。

 

「前も温泉旅行当ててなかった?」

 

「そうそう。だからね、今回はイッセーに譲ろうと思うのよ。どう?」

 

「どう、と言われてもな・・・・。まぁ、俺は空いてるけどさ。ちょっと、それ見せてよ」

 

俺は母さんからチケットとパンフレットを受け取って内容に目を配らせる。

 

ふむふむ・・・・料理は海の幸、と。

おおっ、蟹もついてんじゃん!

蟹鍋だ!

 

部屋は和室で、露天風呂付き!

 

部屋からは海が見えるのか、そいつはいい!

 

で、人数は・・・・・四名一組か。

 

「四名一組・・・・俺が行くとしてあと三人。誰を誘うか」

 

「アリスさんなんて良いんじゃない? こっちに来てから遠出したことなんてほとんどないでしょう?」

 

あー、なるほど。

 

冥界にはちょくちょく行ってるけど、普通に人間界で遠出したことってないな。

 

いいとこ、隣町くらいだ。

 

うん、母さんの言う通り、これは良い機会かもしれない。

 

「よし、アリスは連れていこう。どうせ暇だろうし」

 

などと呟いていると、後ろから声をかけられた。

 

「呼んだ? というか、『どうせ』ってなによ、『どうせ』って」

 

アリスが半目でこちらをジトーと見てきていた。

 

どうやら、俺の呟きはバッチリ聞かれていたらしい。

 

俺はパンフレットをアリスに見せながら事情を説明する。

 

「母さんが温泉旅行を当ててな。四人一組なんだ。アリスはこっちの世界に来てこういうところに行ったことないだろ? 良い機会だから誘おうと思ってたんだよ」

 

「へぇ、温泉・・・・。わぁ、この料理美味しそう。良いわね。お言葉に甘えて連れていってもらおうかしら」

 

アリスはパンフレットに載っている色鮮やかな料理に心を踊らせているようだ。

 

とりあえず、アリスは決まりっと。

 

あとの二人だが・・・・・。

 

どうするか・・・・・。

 

すると、パンフレットを眺めていたアリスが思い付いたように言った。

 

「ねぇ、これ行けるのは四人までなのよね?」

 

「ん? ああ、そうだよ。俺とおまえは確定として、あと二人だ」

 

「それじゃあさ、美羽ちゃんとレイヴェルさんを誘えば良いんじゃない? ほら、私達の眷属ってちょうど四人だし。赤龍帝眷属の親睦を深めるって名目でもアリだと思うわ」

 

あー、なるほど。

そういう考えもあるな。

 

これから、俺達は『D×D』として忙しくなるし、こんな旅行も滅多にできるものじゃないだろう。

特に異世界に絡む案件が出てきた場合の忙しさは半端じゃないはずだ。

なにせ、うちのメンバーは四人中三人が異世界関係者だからな。

 

それに、俺達、赤龍帝眷属だけで出掛けたりすることってしたことないしね。

 

眷属の親睦を深める。

アリスの意見は俺もアリだと思う。

 

俺も眷属の三人にはくつろげる時間を作ってあげたかったし。

 

「あ、いたいた。アリスさん、このコスプレ衣装なんだけど・・・・」

 

「イッセーさま。今度、冥界で行われるイベントについてお話が」

 

と、図ったかのように美羽とレイヴェルが登場。

 

つーか、美羽が持ってるきわどいメイド服はなに!?

 

「み、美羽ちゃん! そ、その話は今はなし!」

 

アリスが慌てて美羽からメイド服を取り上げるが・・・・それ、おまえの!?

 

アリスがメイド服!?

 

それは是非見てみたい!

 

後でお願いしてみよう!

 

おっと、少し脱線したな。

話を元に戻そうか。

 

「二人ともちょうど良いところに来てくれた。実は―――――」

 

俺は温泉旅行について二人にも声をかけてみた。

 

で、二人とも即OK。

 

こうして俺達、赤龍帝眷属だけの温泉旅行兼親睦会が決定した。

 

 

 

 

 

 

出発当日の朝。

 

「全員集まってるな?」

 

俺は家のガレージ前に集合している美羽、アリス、レイヴェルの点呼を取る。

 

三人とも・・・・特にアリスとレイヴェルは人間界で初の遠出になるので、わくわくしてるようだ。

 

目元に若干隈が・・・・眠れなかったのな。

 

俺と美羽はぐっすり眠れたので、すこぶる快調だ。

 

「えーと、とりあえず現地まではこいつで行く」

 

俺は後ろに着けていたものをポンポンと叩く。

 

それはバイクだ。

 

全長が三メートル近くある超大型のバイク。

SFに出てきそうな近未来的な曲線のボディで、カラーは俺をイメージした鮮やかなメタリックレッド。

サイドには赤龍帝の紋章が描かれていて、なんとも中二心を擽られるデザインとなっている。

 

こいつがアザゼル先生お手製俺専用バイク『スレイプニル』。

 

スレイプニルって名前はオーディンのじいさんが乗ってる軍馬から取っているとのこと。

 

で、その性能なんだが・・・・・普通に音速を超えて走ることができる。

しかも、空は飛べるわ、水上は走れるわ、次元の狭間に飛び込めるわで、ハイスペックだ。

 

見た目も性能もお化けなバイクなんだ。

 

正直、普通の高校生が乗るようなバイクではない。

 

大体、俺はまだ大型の免許は持っていないんだが・・・・このバイクは明らかに大型の部類に入る。

 

外国ではどうか分からないけど、少なくとも日本ではアウトだ。

 

それを先生に言ったところ、

 

 

『人間の法律は悪魔には適用されないのさ!』

 

 

と、胸を張って言われた。

 

うーん・・・・あの人、この町に住んでるけど大丈夫か?

 

美羽が言う。

 

「すっごく目立つよね」

 

見た目ハデだし、何よりデカいからな。

 

つーか、音速超える時点で色々とおかしい。

 

だけど、そこは先生。

手は打っていてだな。

 

俺はシートの前に着いているいくつかのボタンを指差した。

 

「ここのボタンを押すと透明になって、ここを押すと人間の認識に入らなくなるらしい」

 

つまり、視界に入っていてもそれが気にならなくなるということだ。

 

「・・・・本当に多機能だね」

 

「だろ? これでも先生に言って機能を減らしてもらったんだぜ? 最初はボタンを押したらミサイルが出てきてだな・・・」 

 

「うん、すっごく多機能! ミサイルなんていらないよね!?」

 

「だから、先生に言って作り直してもらったんだよ。あの人、無駄な機能を付けすぎだ」

 

実は他にも色々と機能が着いていたりした。

 

一番ヤバかったのはサテライト兵器だったか。

 

ボタンを押すとレーダーみたいなのが出てきて、『半径一キロ範囲にいる友軍は退避してください』なんて音声が流れてきた。

 

で、それを見た俺は―――――

 

 

『はずせぇぇぇぇえ! マジではずせぇぇぇぇえ!』

 

 

と絶叫したのは今でも鮮明に覚えている。

 

つーか、サテライト兵器ってなに!?

 

いや、サテライト兵器自体は知ってるよ!

アニメとかでも出てくるし!

 

だけど、バイクにサテライト兵器の起動スイッチをつけた意味は!?

 

いらないよね!?

 

・・・・・まぁ、そんな感じでこのバイクを受けとる際に色々とあったんだよね。

 

ちなみに、このスレイプニル。

燃料は俺のオーラなので環境にやさしい。

 

つまり、スレイプニルはエコな乗り物なのだ。

 

すると、レイヴェルが言う。

 

「転移魔法陣で行くものと思ってました」

 

レイヴェルの言う通り、転移魔法陣で行った方が確実で速い。

 

いくらこのバイクの性能がぶっ飛んでいても、転移魔法陣で行けば一瞬だしな。

 

今回、バイクで行くと言い出したのは俺のちょっとしたワガママだ。

 

「先生が昇格祝いで作ってくれたしな。俺もこいつに乗って遠出がしたいと思ってたんだよ。あ、人数的には問題ないからな? この間、先生に頼んでサイドカー着けてもらったから、四人で乗れる」

 

バイクの横に接続されたサイドカーを指差す。

 

こちらも本体に合わせたデザインとなっていて、全体的に見た時の迫力が凄いことに。

 

・・・・正直、「超かっけぇ!」と思っている俺がいる。

 

いやー、こういうのに乗るのって憧れはあったんだよ!

 

色々と無駄な機能は着いていたけど、先生、ありがとう!

 

「今更だけど、ボク達だけ旅行って他の皆に申し訳ないね」

 

美羽が苦笑しながら言う。

 

うっ・・・・それは・・・・。

 

現にリアス達に「いいなぁ」って感じで見られてたもんな。

 

その時、この場に現れる者がいた。

 

リアスと朱乃だ。

 

「気にしないでいいわ。眷属との親睦を深めることも大切なことよ。存分にはねを伸ばしてきなさい」

 

「うふふ、こちらは任せてくださいね?」

 

「その代わり」

 

「次は私達と行ってもらえると嬉しいですわ」

 

おおう、交互に言われてしまった!

 

ま、まぁ、美羽達だけってのもね。

 

「了解。今度は二人と行こうか」

 

俺の返しに二人は頬を染めて嬉しそうにしていた。

 

ハハハ・・・・こりゃ、アーシアやゼノヴィア達とも約束させられそうだ。

 

うーむ、どこに連れていってあげようか?

 

時計を見ると良い時間になっていた。

 

「さて、そろそろ出発するわけだけど・・・・三人はどうする?」

 

「どうするって?」

 

「サイドカーに座るか、俺の後ろに座るか。そこは三人に任せるよ」

 

俺がそう言った瞬間。

 

三人の目の色が変わった。

 

「アリスさん、レイヴェルさん」

 

「ええ、分かっているわ」

 

「僭越ながら私も参加しますわ」

 

 

 

そして――――――――

 

 

 

「「「じゃんけん・・・・ポンッ!」」」

 

 

 

壮絶なジャンケン合戦を繰り広げ始めた!

 

この光景に見覚えがあるぞ!

 

あれは・・・・・そう、体育祭の二人三脚、俺とのペアを組むときにも同じことが起こった!

 

三人のあいこ続いていく!

 

「くっ・・・・美羽ちゃん、今日は譲らないのね!」

 

「お兄ちゃんの後ろに乗ったことがないからね! 今日は久しぶりにいかせてもらうよ!」

 

「いつも遅れを取っていますから、今日ぐらいは勝ちに行きますわ!」

 

な、なんか熱いなぁ・・・・。

 

燃えてる・・・・。

 

楽しい旅行日なのに、目がマジだ。

 

それからしばらく・・・・約五分ほど、じゃんけんの攻防戦が続いた。

 

その勝者は――――――

 

「やりましたわ! 私が勝ちました!」

 

レイヴェルだった。

 

右手をチョキのまま天に向かって突き出して、すごく爽やかな顔をしてるな。

 

敗者となった美羽とアリスは心底悔しげに自ら出したパーに対してぶつぶつうらみごとを吐いていた。

 

俺は苦笑しながら言う。

 

「そんなに落ち込まなくても、また乗せてやるって。とりあえず、美羽とアリスはサイドカーに乗ってくれ」

 

「「はーい」」

 

二人は返事をして順にサイドカーに乗車。

 

乗車した二人にヘルメットを渡す。

 

で、レイヴェルにも乗車しようとしたのだが・・・・・ここで一つ問題が発生した。

 

「え、えーと・・・・」

 

バイクに乗ろうとして、四苦八苦するレイヴェル。

どうも、この手のものに乗るのは初めてらしい。

いや、レイヴェルの身長に対して、このスレイプニルというバイクが大きすぎるのも一つの原因か。

 

それでも何とかして乗ろうとする姿は可愛らしく思えてしまった。

 

ただ、このままだと転びそうなんだよなぁ。

 

「レイヴェル、ちょっと待った」

 

俺はレイヴェルに近づくと――――――抱き抱えた。

お姫様抱っこで。

 

「「あぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」

 

リアスと朱乃が叫ぶ!

 

そんなにショックか!?

 

俺はレイヴェルを抱き抱えた状態からシートに乗せて、ヘルメットを被せてあげる。

 

「今度、練習するか?」

 

「あぅっ・・・・は、はい」

 

めちゃくちゃ顔真っ赤になってるな。

上手く乗れなかったのが恥ずかしかったのか、お姫様抱っこが恥ずかしかったのか。

 

ただ言えることは、うちのレイヴェルちゃん可愛い!

 

まぁ、また乗る機会があるかもしれないし、練習は必要かな。

 

「「じゃんけん、ポンッ! あいこでしょ! あいこでしょ!」」

 

うおおおおおい!

 

なんで、リアスと朱乃はじゃんけんしてるの!?

 

「朱乃、これは譲れないわ!」

 

「こちらの台詞ですわ!」

 

「「お姫様抱っこは譲れない!」」

 

いやいや、俺のお姫様抱っこごときで争わないで!

まだどこに行くかさえ未定なのに!

 

とりあえず、滅びの魔力と雷光は抑えよう!

滲み出てる!

滲み出てるって!

 

「お兄ちゃん、女の子にも色々あるんだよ?」

 

「そ、そうか・・・・色々あるのか、そうなのか」

 

俺は乙女心の難しさを改めて実感しながらもヘルメットを被り、バイクにまたがった。

 

エンジンをかけると、ドッドッドッと大きなエンジン音が鳴り始める。

 

「レイヴェル、しっかり捕まっておけよ?」

 

「は、はい!」

 

レイヴェルは俺の腰に手を回して、しっかりと抱きついてくる。

 

うおおっ、レイヴェルのおっぱいが!

レイヴェルのおっぱいが押し当てられて!

相変わらずボリューミーなことで!

 

お兄さん、朝から色々元気になっちゃうぜ!

 

「それじゃあ、行ってくる!」

 

俺はリアスと朱乃に手を振った後、スレイプニルを走らせたのだった。

 

 




というわけで、今回は赤龍帝眷属一行の温泉旅行です!

アザゼル発明のイッセー専用バイク『スレイプニル』も出せました。

次回は後編です!

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