ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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前回の後書きで番外編を書くといっていましたが、上手く書けなかったので三章に入ることにしました。

番外編を楽しみにしていた方、申し訳ないです。

それでは、三章の一話、どうぞ!


第三章 月光校庭のエクスカリバー
1話 一騒動起こりそうです!!


どうも、イッセーです。

 

突然ですが、俺は今、どうすればいいのか分からず困っています。

その理由は………。

 

「うぅん」

 

艶かしい声を出しながらリアス部長が俺の横で寝ている。しかも、全裸で………。

 

この間から部長は俺の家に住むことになり、俺達と一緒に生活するようになったんだ。

 

とりあえず、俺の現状はこうだ。

今、俺の横では部長が全裸で、しかも俺を抱き枕のように抱いて寝ている。

そして、部長の胸が俺の体に押し付けられていて、俺の腕は部長の太ももで挟まれている。

 

この状況、どうすれば良いんだろう………。

まず、部長の体を脳内保存か。

目に焼き付けておこう!

 

あと、十五分ほどで修業に行く時間だけど、もう少しこのままでいたい!

だって、このシチュエーションを楽しみたいんだもん!

 

そんなことを考えていると部長の目が開いた。

 

「あら、イッセー。起きていたのね」

 

「ええ、まぁ。というより、部長。なんで俺のベッドに?」

 

「ゴメンなさいね。イッセーを抱き枕にして寝たい気分だったのよ。あなたが寝ていたからお邪魔させてもらったの。………イヤ、だったかしら?」

 

「い、いえ!部長と同じベッドで寝れて大変嬉しいです!」

 

「そう、よかったわ」

 

部長はそう言うと俺に抱きついてくる。

 

うおおおおおっ!

部長の胸が!

太ももが!

 

そして、俺の耳元で囁く。

 

「このまま、起きる時間までこうしているのも、素敵と思わない?ちょっとエッチなことも下僕とのコミュニケーションになるのかしらね」

 

そ、そんなこと囁かれたら、俺………っ!

 

ライザーの一件以来、部長の俺への態度が変わったような………。

なんかこう、積極的になったような気がする。

学校への登下校も俺の隣を歩こうとするし、昼休みも俺と過ごそうとしてくるようになったんだ。

全然嬉しいけどね!

 

まぁ、それを見て松田と元浜が俺を襲ってくる訳だけどね。

 

「部長………俺も、男なんで………」

 

「襲いたくなっちゃう?」

 

悪戯っぽい口調で部長が返してくるが、頬はほんのり赤くなっている。

 

「いいわよ。私はイッセーになら何でもしてあげるわ」

 

「っ!」

 

俺の思考がピンク色の方向へ飛びかけた時だった。

 

「イッセーさーん。起きていらっしゃいますか?そろそろ早朝トレーニングの時間ですよー」

 

アーシアの声だ!

 

ライザーの一件以来、アーシアも自分を鍛えるため、修業に参加している。

部長とアーシアは基礎体力作りをメインとした修業だ。

それで、朝は俺と部長、アーシアの三人で走っているんだけど、俺達が出てこないから起こしに来てくれたんだな。

 

って、そうじゃないだろ!

この状況、見られたらマズいって!

 

「イッセーさん?まだ、眠ってますか?部長さんも起きてこないのですが………」

 

「お、起きてるよ!ちょっと下で待っててくれ!」

 

部長が同居するようになってアーシアは部長に対して、何やらライバル心を抱いている様子なんだ。

よく分からないけど、部長も受けて立っているようだった。

 

まぁ、二人とも普段は仲が良いけどね。

 

「アーシア、もう少し待ってなさい。私もイッセーも仕度をしないといけないから」

 

ぶ、部長ぉぉぉぉ!?

何やってるんですか!?

 

 

バンっ!

 

 

勢いよく開け放たれる扉!

アーシアはベッドの上にいる俺達を見て、涙目になる。

しかも、頬まで膨らませているし。

 

アーシアを見るなり部長は体をより俺に密着させる………部長!?

 

「おはよう、アーシア」

 

ヤバい!

アーシアが全身を震わせている!

あれ?

こんな感じのシチュエーション、前にもあったような………。

俺がそれを思い出したときはすでに遅かった。

 

「私も裸になります!仲間外れなんて嫌です!」

 

あー、今日も賑やかだ。

 

 

 

 

「いただきます」

 

修業を終えた俺達は今、朝食をとっている。

 

「お兄ちゃん。顔が疲れてるけど、何かあったの?」

 

隣の席にいる美羽が俺の顔を覗きこみながら聞いてきた。

 

美羽………隣の部屋であれだけドタバタしてたのに気付かなかったのね。

いや、あの現場を見られるよりはマシだけどね。

 

「大丈夫だよ。それより、美羽は寝不足なのか?すごく眠たそうだけど?」

 

「エヘヘ。昨日遅くまでマンガを読んでて、それで………」

 

あー、それ俺もしたことあるな。

中学の時とかは結構多かったっけ。

 

「ほどほどにな?寝不足は美容の大敵らしいぞ?」

 

「うん。次は気を付けるよ」

 

「ちなみに、何を読んでたんだ?」

 

「お兄ちゃんに借りたドラグ・ソボール全巻。面白かったよ」

 

原因は俺か!

 

あれ全巻読んだのかよ。

50冊近くあるんだけど………。

 

「うん。旨い。リアスさんも料理が上手なんだねー。和食を作れるとは」

 

「ありがとうございます。お父様。日本で暮らすのも長いものですから、一通りの家事は覚えましたわ」

 

今日の朝食のうち、何品かは部長が修業から帰ってから作ったらしい。

マジで旨い!

 

「いやー、確かに美味しいですよ、部長」

 

「ありがとう、イッセー」

 

あ、アーシアが頬を膨らませて拗ねてるな。

 

「アーシアちゃんに続いて、リアスさんまで家に住みたいと聞いたときは驚いたけど、食事の準備まで手伝ってもらえて助かるわ」

 

「当然のことですわ、お母様」

 

「アーシアちゃんもお掃除やお洗濯を手伝ってくれるから本当に助かるわ」

 

「お世話になってるんですし。当然のことです」

 

頬を染めながらそう言うアーシア。

誉められて凄く嬉しそうだ。

機嫌も直ってる。

母さん、ナイスプレー!

 

部長とアーシアは俺がティアと修業をしている間、先に帰って色々と家事をこなしてくれている。

 

母さんも本当に助かっているようだ。

すると、部長が何かを思い出したように言った。

 

「あ、お母様。今日の放課後、部員達をこちらに呼んでも良いでしょうか?」

 

「ええ、良いわよ」

 

初耳だな。

美羽もアーシアも聞いてなかったみたいだし。

 

「部長、なんで家で?」

 

「今日は旧校舎が年に一度の大掃除で定例会議が出来ないのよ」

 

へぇ、そうなんだ。

それで、俺の家でオカ研と悪魔の会議をするわけね。

 

「お家で部活なんて、楽しそうです」

 

「じゃあ、ボクはお茶とお菓子を用意するよ」

 

二人ともノリノリだな。

 

「ええ。二人ともお願いね」

 

 

 

 

というわけで放課後。

部員の皆は俺の部屋に集まっていた。

俺達はまず、オカルト研究部としての会議を行った。

それで今度、河童の取材に行くことが決まった。

美羽のテンションがかなり上がっていたよ。

 

そして、今は悪魔としての会議。

その月の悪魔稼業の契約者数についての結果を部長から発表されていた。

ちなみに美羽はさっき母さんに呼ばれて出ていったから部屋にはいない。

 

「じゃあ、まずは契約者数から。朱乃が十一件、小猫が十件、祐斗が八件、アーシアは三件よ」

 

「すごいじゃないか、アーシアさん」

 

木場はアーシアの契約件数を聞いて素直に感心していた。

 

「………新人さんにしたらいい成績です」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

アーシアは嬉しそうに俺達に頭を下げる。

 

アーシアは流石だな。

 

どうやら、アーシアには癒しを求めてくる依頼者が多いらしい。

 

まぁ、アーシアは話しているだけで癒しているからな。

 

 

「そしてイッセー………九件」

 

うんうん。

木場や小猫ちゃんの件数を考えるとまずまずだ。

 

ん?

なんだ?

皆が俺を見てるんだけど………。

 

「え? なに? 何か変か?」

 

「いやー、なんていうか………」

 

「思っていたより普通で逆に驚いてます」

 

そういう反応!?

 

「イッセー君の規格外さを知っているからね。契約件数も規格外の数字になるものと期待してしまってね」

 

そうなの!?

皆、頷いてるし!

 

つーか、俺そんな風に思われてたの!?

なんか、ゴメンね!

期待を裏切っちゃって!

俺は悪くないけどね!

 

「まぁ、契約を取りはじめて間もないのだから、これだけ取れていれば十分よ。これからも頑張ってね、イッセー」

 

「おっす!これからも頑張ります!」

 

この調子でドンドン契約をとって、上級悪魔を目指すぜ!

 

『相棒なら直ぐだろう。というよりも既に実力は上級悪魔を超えている。いっそのこと魔王でも目指したらどうだ? まぁ、勇者と呼ばれた相棒が魔王を目指すなどおかしな話だがな』

 

魔王ねぇ。

俺に魔王が務まるとは思えないけどな。

 

部屋の扉がノックされて開かれる。

 

「お邪魔しますよー。皆さん喉が乾いたでしょう?お茶とお菓子を持ってきたわ」

 

母さんと美羽がお菓子を持ってきた。

 

確かに少し喉が乾いたからありがたい。

 

「ありがとうございます、お母様」

 

「いいのよ。皆さんも学校の部活と悪魔のお仕事のお話なんでしょう?これくらいお安いご用よ」

 

母さんも父さんも悪魔については完全に馴れてるからな。

 

悪魔の会議って言っても特に驚くことがない。

本当に馴れてるよな。

 

「そうそう。それと、良いもの持ってきたのよ」

 

母さんが取り出したのはアルバム。

あれはまさか!

 

「お母様、それは………」

 

「これはねぇ、イッセーの成長記録よ」

 

母さんがそう言った瞬間、部長の目の色が変わった。

 

部長がアルバムに興味を持ってる!

なんとかしなければ!

 

「祐斗、イッセーを抑えなさい」

 

「ごめんイッセー君、部長の命令だから」

 

「この裏切者め! だがな、おまえに俺が止められるかよ!」

 

木場が俺を羽交い締めにしようとしてきたので、逆に十字固めを決めてやる。

 

「ちょ、イッセー君。ギブ、決まってるから!」

 

タップする木場。

 

「うるせぇ!男の友情を裏切るようなやつにはこうだ!」

 

「うっ!」

 

よし。

これで木場は暫く動けまい。

 

「フッフッフッ、甘いですよ部長。木場が俺を止められるとでも?」

 

ニヤリと笑って俺は部長に言う。

 

どこの悪役だよ。

 

「甘いのはあなたよ、イッセー!今よ美羽!」

 

「了解! とう!」

 

部長の命令で今度は美羽が俺をベッドに押し倒す。

 

「美羽!? 卑怯ですよ部長!」

 

「いくらイッセーでも美羽が抱きついては引き剥がせないでしょう?」

 

くそ!

俺のことを良く分かってらっしゃる!

さすがは王と言ったところか!

 

「イッセー。私はね、小さい頃のイッセーに凄く興味があるの。以前、美羽に聞いたときから気になっていたのよ」

 

ここで明かされる新事実!

美羽も俺のアルバムを見たと!?

 

俺に抱きついている美羽を見る。

すると、美羽はニッコリと笑顔で頷いた。

 

「ボクもお母さんに見せてもらったよ!凄くかわいかった!」

 

「そういうわけで、私はどんな手を使ってでもこのアルバムを見るって決めていたの」

 

部長、なんでそんなかっこ良く決めてるんですか!?

 

あー!

俺のアルバムが開かれていくぅぅぅぅぅ!

部員の全員が俺の赤裸々な過去を見ていくぅぅぅぅぅ!

 

美羽が抱きついているから動けるわけもなく、俺は皆がアルバムを開いていくのをただ見るしかなかった………。

 

 

 

 

「で、これが小学生のときのイッセーなのよー」

 

「あらあら、全裸で。かわいらしいですわ」

 

「朱乃さん!?母さんも見せんなよ!」

 

「イッセー先輩の赤裸々な過去」

 

「小猫ちゃんも見ないでくれぇぇぇ!!」

 

あー、もう!

最悪だ!

オカ研のメンバー全員に見られてしまったよ!

 

「小さいイッセー、小さいイッセー!」

 

「私、部長さんの気持ちよくわかります!」

 

「分かってくれるのね、アーシア!嬉しいわ!」

 

なんか、部長とアーシアが大興奮してるんですけど………。

 

部長、息を荒立てないでくださいよ!

そんなにガキの頃の俺が気に入りましたか!?

アーシアと部長が二人だけの世界に入っちまった!

ちくしょう!

木場までニコニコ顔で見ていやがる!

 

「木場!おまえは見るな!」

 

「ハハハ。いいじゃないか、イッセー君。僕も楽しませてもらっているよ」

 

「………よし。今度、全力の模擬戦をしよう。ライザーにぶち込んだ技を体験させてやるよ」

 

「………遠慮しておくよ。死んでしまうからね」

 

木場は顔を真っ青にしながらそう言う。

遠慮するなよ、木場。

 

木場はアルバムを見ながら言った。

 

「でも、いいお母さんじゃないか」

 

「まぁ、それはそうなんだけどな」

 

ただ、こんなことはできればやめてほしい。

 

俺が死んでしまう………精神的に。

 

「イッセー君これは?」

 

「すまん、この状態じゃ見えないんだが………」

 

俺がそう言うと木場は俺の状態を確認する。

 

俺は美羽に抱きつかれてベッドに押し倒されている。そして美羽は寝不足のせいか、そのまま寝てしまった。

 

「スー………スー………」

 

爆睡してるよ。

あ、ヨダレまで垂らしてる………。

そういうわけで俺は身動きが取れない状態にある。

 

「相変わらず仲が良いね。それで、これなんだけど」

 

木場はアルバムをこちらに向けて一枚の写真を指差す。

 

そこには園児時代の俺と同い年と園児、そしてその子のお父さんらしき人が写っていた。

 

この男の子、よく遊んだ記憶がある。

ヒーローごっことかしたっけな。

確か、小学校に上がる前に親の転勤で外国に行っちゃったんだよな。

それっきりで、会うこともなければ連絡もしたことがないんだよな。

 

ただ、木場が指しているのは正確にはその子ではなく、親御さんが持っている剣を指差しているようだ。

 

「これに見覚えは?」

 

いつもの木場と少し声のトーンが違う。

この剣に何かあるのだろうか?

とりあえず、俺は正直に答える。

 

「いや、全く覚えが無いな。かなり昔のことだし・・・」

 

「こんなことがあるんだね。思いもかけない場所で見かけるなんて・・・・」

 

そう呟きながら木場は苦笑する。

ただ、その目ははっきりとした憎悪に満ちていた。

 

「木場、その剣は?」

 

「これはね・・・・聖剣だよ」

 

この時、俺は嫌な予感がした。

また、騒動が起きそうだ。

 

 

 


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