ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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6話 終わらせます!!

「ふふふ………。狩りを終えて油断した獲物は一番狩りやすい。これは戦いの基本よ。こちらは多少の駒を『犠牲(サクリファイス)』にしてもあなた達を狩れれば十分よ。駒を一つ失うだけでそちらには大打撃なのだから」

 

「狙いは良いけど、甘いぜ。ライザーの女王」

 

巻き起こる煙と埃を払って俺はライザーの女王に告げる。

 

「なっ!?」

 

向こうは相当驚いているな。

 

不意を突き、直撃を確信したのにも関わらず、俺も小猫ちゃんも平然としているんだからな。

 

まぁ、狙っているのも分かっていたからわざと隙を見せたんだけどね。

 

実際、攻撃も当たる直前に防いだし。

 

「狩りを終えた後が一番油断する、か。―――それはあんたの方だ」

 

 

ドォォォォォォンッッ!!

 

 

今度はライザーの女王を雷撃が襲った。

 

そして、黒焦げの状態で体から煙をあげながら落下してくる。

 

上空には巫女服姿の朱乃さん。

 

「ナイスタイミングです、朱乃さん」

 

「ええ。イッセー君の合図が良かったのですわ」

 

敵は俺達が最も油断すると思われるタイミングで仕掛けてくる。

 

今回はそれを利用させてもらった。

 

おかげでライザーの女王に大ダメージを与えることが出来た。

 

ただ、直前に不完全ながらも魔力障壁を張ったおかげで、リタイアにならずにすんだようだけど。

 

「あのタイミングで障壁を張れるとは思わなかったよ」

 

「くっ………よくもやってくれたわね………ッ」

 

地に伏せながら女王は睨んでくる。

 

すると、懐から一つの小瓶を取り出した。

 

なんだ?

 

「あれは………フェニックスの涙!」

 

朱乃さんがそう呟いた。

 

あれが部長が言っていたフェニックスの涙か。

 

女王が自身に中身を振り掛けると傷があっという間に消えていった。

 

アーシアの神器みたいだ。

 

「あなた達、覚悟してもらうわよ。この私に恥をかかせたのだから」

 

女王は立ち上がって俺達に敵意を向けてくる。

 

すると、朱乃さんが俺の前に降りてきた。

 

「予定通り、彼女の相手は私が引き受けます。イッセー君と小猫ちゃんは祐斗くんの救援へ向かってください。私も修行の成果を見せつけてやりますわ」

 

朱乃さんの体から金色のオーラが発せられる。

 

纏うオーラが修業前とは明らかに違う。

 

「了解です。朱乃さん、ここは任せます!」

 

そう言って、俺と小猫ちゃんは運動場に向かって走り出す。

 

その直後に背後から激しい爆音と雷鳴が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

「待たせたな、木場」

 

運動場の隅にある体育用具を収める小屋の物陰に隠れていた木場を見つけた俺達はそこに駆け寄った。

 

「二人とも、無事みたいだね」

 

「当たり前だろ。この通り、俺達は無傷だよ」

 

俺は両手を広げてケガがないことを示す。

 

すると、木場が何かに気づいたようで、尋ねてきた。

 

「イッセー君、神器は使わないのかい?」

 

「まぁ、使う必要もなかったしな」

 

「流石だね」

 

お互いの無事が分かったところで現状を確認しておくか。

 

「とりあえず、俺達からの脱落者は無し。相手は兵士が六名、戦車が一名、脱落だ。女王は朱乃さんが戦っているけど、勝てると思う」

 

「じゃあ、残りは兵士が二名、僧侶が二名、騎士が二名、戦車が一名。そして王のライザーだね」

 

「そうだな。それで向こうは王以外の戦力を運動場に投入してきたみたいだな」

 

運動場からいくつか気配がするし。

 

木場や小猫ちゃんも気が付いたようで、俺の言葉に頷いた。

 

「イッセー先輩、祐斗先輩、どうしますか?」

 

「俺としては隠れるのが面倒だな」

 

「同感だね」

 

小猫ちゃんも頷く。

 

よし、話は纏まったな。

 

俺は運動場に姿を出して大声を出した。

 

「おーい! 隠れるのは面倒だから出てきてやったぞー!」

 

「イッセー先輩、軽いです」

 

「ははは………。まぁ、イッセー君らしいかな」

 

後ろで二人が何か言ってるけど気にしないでおこう。

 

すると、甲冑姿の女の子が出てきた。

剣を持っていることからして騎士だな。

 

「まさか、正面から堂々と出てくるとは………。正気とは思えん。だが、私はお前達みたいな馬鹿が大好きだ!」

 

うん。

俺が言えたことじゃないけど、あの娘も結構、馬鹿だと思う。

 

「私はライザー様の騎士、カーラマインだ!グレモリーの騎士よ、名を名乗れ!」

 

「名乗られてしまっては騎士として名乗らないといけないね。僕はリアス・グレモリー様の騎士、木場祐斗。騎士同士の戦い…待ち望んでいたよ!」

 

そう言って騎士同士の戦いに入る木場とカーラマイン。

 

木場、お前も剣士バカだったのな。

 

火花を散らして、剣と剣がぶつかり合う。

 

なんか、二人とも生き生きしてるな。

 

こうなると俺と小猫ちゃんが暇だ。

 

「暇そうだな」

 

「まったく、頭の中まで剣で塗りつぶされた者同士の戦いなど、泥臭くて堪りませんわ。カーラマインったら兵士達を犠牲にする時も渋い顔をしていましたし。主の戦略が気に入らないのかしら?」

 

顔の半分にだけ仮面をつけた女性と、ドレスを着た金髪縦ロールの美少女が現れた。

 

仮面の方が戦車でドレスの方が僧侶だったな。

 

それにつられて、隠れていたライザーの眷属が次々に姿を現し、俺達を取り囲む。

 

「やっと、全員出てきたな」

 

「随分と余裕だな。もしや、お前がライザー様が言っていたリアス・グレモリーの兵士、赤龍帝か?」

 

「ライザーがなんて言ってたのかは知らないけど、俺がリアス・グレモリー様の兵士で今代の赤龍帝、兵藤一誠だ。ライザーには俺が赤龍帝だって言ってなかったはずだけど………」

 

「ああ、ライザー様も後で知って驚いていたよ。………私はライザー様の戦車、イザベラだ。突然で悪いんだが、お前にはここでリタイアしてもらう」

 

イザベラさんがそう言うと僧侶と思わしき人が俺と自分達をドーム状の結界で閉じ込めた。

 

小猫ちゃんが結界を破壊しようと殴り付けるもびくともしない。

 

かなり強固に作られているようだ。

 

「お前を倒すのに邪魔が入られると困るのでな。ここでお前には私達全員の相手をしてもらう」

 

俺一人を集中砲火したいわけね。

 

すると、ドレスを着た娘が前に出てきて手に炎を作り出す。

 

「私も今回は参戦させて頂きますわ。あなたはこちらにとって要注意人物ですので」

 

「なんか、俺って凄い警戒されてる?」

 

「ええ。お兄様はあなたを危険視されていましたわ。神器を使わずに上級悪魔を越える力を有しているんですもの。警戒して当然ですわ」

 

………ん?

 

この娘、最初の方で何て言った?

 

お兄様って言わなかった?

 

「………質問良いか?」

 

「? なんでしょう?」

 

「今、お兄様って言った?」

 

「ええ。言いましたわ」

 

………何だろう。

 

俺達の思考が一瞬、止まった。

 

「つまり、君はライザーの妹だってこと?」

 

「そうです。私はレイヴェル・フェニックス。正真正銘、フェニックス家の娘ですわ」

 

あの焼鳥、自分の妹を眷属にしたのかよ!

 

見渡すとライザーの眷属全員が苦笑いしてるし!

 

すると、イザベラさんが説明してくれた。

 

「ライザー様曰く、『妹をハーレムに入れることは世間的にも意義がある。ほら、近親相姦に憧れるやつっているじゃん?俺は妹萌えじゃないから、形だけってことで』とのことらしい」

 

「私にはその考えは分かりませんわ」

 

はぁ、とため息をつきながらレイヴェルは肩を落とす。

 

あの焼鳥はバカなのか!

 

まぁ、妹が可愛いのは理解できるけどね!

 

レイヴェルのことを理解できたところで、アナウンスが流れた。

 

『ライザー・フェニックス様の「女王」一名、「騎士」一名、リタイア』

 

どうやら、木場と朱乃さんは勝ったらしいな。

 

レイヴェル達は今のアナウンスに驚いているようだけど。

 

「さて、どうする?そっちの女王は俺達の女王が倒した。俺達は未だに無傷。そっちは半分も駒を失ってるぞ?」

 

「ええ、正直驚いていますわ。まさか、ユーベルーナまで失うことになるなんて思いもしなかったので。だけど、あなたは肝心なことを忘れていらっしゃいますわ」

 

「そっちは不死身だって言いたいんだろ?」

 

「ええ、そうです。いくらあなた方が強くても不死を倒すことは不可能です」

 

「だけど、フェニックスを倒す方法は無い訳じゃない。何度も倒して精神をへし折る。もしくは―――神や魔王クラスの一撃を叩き込めば良いんだろう?」

 

「あなたにそれが出来るとでも?」

 

「出来るさ」

 

俺が間髪入れずに答えるとレイヴェルは目を見開いて驚いている。

 

「そう、ですか。でしたら、尚更あなたをお兄様のところに行かせるわけには行きませんわね」

 

レイヴェルがそう言うとライザーの眷属は全員、戦闘体勢に入る。

 

そこで俺はあることに気付いた。

 

ライザーが動きだしている。

 

向かっているのは旧校舎か。

 

「なるほどな。俺を足止めしている間にライザーが部長を倒すって算段か」

 

「気付いたようですわね。その通りですわ。リアス様を倒してしまえばこちらの勝ちですもの」

 

レイヴェルが言うことは正しい。

 

今の部長の所にはアーシアもいる。

 

アーシアが防御術式を覚えたとはいえ、ライザーの攻撃を防ぎきれるとは思えない。

 

となると、部長はアーシアを守りながら戦うことになる。

 

今の部長ではそれは無理だ。

 

そして、レーティングゲームは王が倒れたら負けになる。

 

 

ドゴォォォオン!!

 

 

旧校舎の方から爆発音が響く。

 

ライザーが部長達を攻撃したようだ。

 

グズグズしている暇はないな。

 

俺は上空に飛び上がると、俺を閉じ込めていた結界を思いっきり殴り付ける。

 

儚い音と共に結界は崩れ去った。

 

「結界が………っ!」

 

レイヴェル達は相当驚いているな。

 

まさか、こうも簡単に結界が破壊されるとは思わなかったのだろう。

 

着地した俺の所に木場達が駆け寄ってくる。

 

「悪いけど、俺は行かせてもらうよ。部長に守るって約束したからな。木場、朱乃さん、小猫ちゃん、ここを任せて良いか?」

 

「もちろんですわ」

 

「了解です」

 

「イッセー君、部長は頼んだよ」

 

「ああ、任せろ!」

 

俺は木場達にこの場を任せて部長の元へと急いだ。

 

 

 

 

[リアス side]

 

 

 

今、私は旧校舎の屋根の上でライザーと対峙している。

 

アーシアには回復のオーラを送ってもらっている。

 

想定外だったわ。

 

まさか、ライザー自ら私達の本陣に攻めてくるなんて。

 

「リアス。君にはさっさとリザインしてもらう」

 

「いいえ。リザインするのはあなたの方よ、ライザー。あなたの眷属はもう半分にまで減ったうえに女王まで失った。それに対してこちらは無傷。もうそちらには余裕がないはずよ」

 

「ああ。確かにそうだ。まさかユーベルーナがやられるとは思わなかったからな。どうやら君達を見くびりすぎていたようだ。だからこそここで君を倒して、このゲームを終わらせる」

 

ライザーは本気みたいね。

 

不味いわね。

 

私一人ではライザーを倒すことができない。

 

それにこの場にはアーシアもいる。

 

いくらアーシアが防御魔法を覚えたとしてもライザーの攻撃は防ぎきれないだろう。

 

そうなると、私はアーシアを守りながら戦うことになる。

 

それではこちらが完全に不利。

 

皆のところに合流するのも難しい。

 

ここは時間を稼いで皆の助けを待つしかないようね。

 

「リアス、君の考えていることは分かっているぞ。少しでも時間を稼いで救援を待つつもりなのだろう?」

 

やはり読まれている。

 

「少なくともあの赤龍帝の小僧はすぐに来ることはできまい」

 

「どういうことかしら?」

 

「俺の残った眷属全員であの小僧を抑えている。強力な結界までかけさせてな。あの小僧なら切り抜けることはできるだろうが、そこにはレイヴェルもいる。いくらあの小僧でもそれだけしておけば手こずるだろう」

 

ライザーの言葉に私は驚いた。

 

まさか、ライザーがそこまでしてイッセーを警戒していたなんてね。

 

「さぁ、リザインしろ、リアス!」

 

「誰がするものですか!」

 

ライザーの放った炎と私の放った滅びの魔力がぶつかる。

 

滅びの魔力がライザーの体を消し飛ばし、炎が私の肌を焦がす。

 

魔力障壁で防いでも衝撃までは消しきれない。

 

ケガはアーシアの回復で何とかなるけど、疲労は徐々にたまっていく。

 

それに対してライザーは攻撃を受けても再生し続ける。

 

このまま行けばこちらが先に力尽きてしまう。

 

「なかなか頑張るじゃないか。なら、これはどうだ!」

 

そう言ってライザーはアーシア目掛けて巨大な炎を放つ。

 

あれはアーシアでは防ぎきれない!

 

私は咄嗟にアーシアの前に立って魔力障壁を展開する。

 

だけど、魔力障壁はライザーの炎の勢いに負けて崩れ去ってしまう。

 

「あああああ!」

 

ライザーの炎を受けてしまい、全身を高熱が襲う。

 

「部長さん!!」

 

アーシアがすぐに回復してくれたおかげで傷は治ったけど、今のでかなりのダメージを受けてしまった。

 

体がしびれて思うように動かない。

 

「フッ、これでチェックメイトだな。今ので君はかなりのダメージを受けたはずだ。リザインしろリアス」

 

「だれが!眷属の皆が頑張っているのに私が諦めるわけにはいかないわ!」

 

どれだけダメージを受けたとしても私は絶対に諦めない!

 

「そうか………。それじゃあこれで終わりにしてやる!」

 

ライザーはさっきよりも大きい炎を私たち目掛けて放った。

 

ライザーの魔力が向かってくる。

 

避けないといけないのに体が言うことを聞かない!

 

このままじゃ………!

 

私は咄嗟に目を瞑ってしまった。

 

だけど、いつまでたっても攻撃は来ない。

 

「大丈夫ですか?部長」

 

目を開けると私の前にはイッセーがいた。

 

イッセーが今の攻撃を防いでくれたのだ。

 

「アーシアは無事か?」

 

「はい! でも………部長さんが私を庇って………!」

 

「そうか………。部長少し失礼します」

 

イッセーはそう言って私の胸に手を当てる。

 

イッセーの手が青白く輝いたと思うと私の体が少し軽くなった。

 

「部長の気の流れを調整しました。アーシアの神器はケガとかには有効ですけどこういうことはできませんからね。しばらくすれば動けるようになると思います。………すいません、部長。遅くなってしまって」

 

イッセーは申し訳なさそうな顔で頭を下げる。

 

「部長はここで休んでいてください。後は俺がやりますから」

 

そう言うと立ち上がって私に背を向ける。

 

ライザーがイッセーを忌々しそうに睨みながら言った。

 

「まさかこんなに早く来るとはな」

 

「ああ。あんたの眷属の相手は仲間にしてもらってるよ」

 

「ふん。あそこにはレイヴェルもいる。レイヴェルはユーベルーナに匹敵する力を持っている。貴様の仲間もそう長くはもつまい」

 

「俺の仲間を舐めるなよ?もたないどころか絶対に勝つぞ」

 

イッセーは自信に満ちた笑みを見せる。

 

「ほう。だが、俺がここで貴様を倒せばリアスの勝機は消え、俺の勝利が決まる!」

 

「俺は部長に守るって約束したんだ。ここで負けて約束を破るわけにはいかねぇんだよ。俺はここでおまえを倒して部長を守りきる!」

 

そう言うイッセーの背中はとても頼もしく感じた。

 

そして私は気付いてしまった。

 

これまで私の中にあったこの気持ちの意味を。

 

 

 

「さぁ、覚悟しろよライザー。――――― 一瞬で終わらせてやる」

 

 

 

私は彼のことを―――――――

 

 

 

 

 

[リアス side out]

 

 

 

 

 

 

 

「一瞬で終わらせる、か。大きく出たな赤龍帝の小僧」

 

「ああ。終わらせてやる」

 

俺は体からオーラを滲ませて、殺気をライザーにぶつける。

 

「っ! 神器を使わずにこの重圧………! だが、こっちは不死のフェニックス! 負ける道理はない!」

 

ライザーが体から炎を発する。

 

「火の鳥と鳳凰! そして不死鳥フェニックスと称えられた我が一族の業火! その身で受け燃え尽きろ!」

 

そう言ってライザーから尋常じゃない量の炎が溢れ出る。

 

確かに熱いな。

 

普通の悪魔なら一瞬で炭にされるだろう。

 

『ああ。フェニックスの炎はドラゴンの鱗にまで傷をつける。まともに受けるのは不味いだろうな。だが―――』

 

ああ、そうだな。

 

「そんな、ちんけな炎で俺がやられるかよ!」

 

錬環勁気功を発動させて瞬時に間合いを詰めて殴り飛ばす。

 

「ぐぁ! このクソガキがぁああ!!!」

 

ライザーは負けじと殴り返してくるが、そんなものは俺に効かない。

 

俺の気を纏った蹴りや拳が当たるたびにライザーの体は大きくのけぞる。

 

接近戦は不利と見たのかライザーは上空に飛び、俺を見下ろす。

 

「くたばれ!」

 

そして、無数の炎を放つ。

 

一発一発がかなりの熱量を持っている。

 

俺は気弾を放ってそのすべてを消し去った。

 

「何だと!?」

 

驚愕するライザーを無視して、俺は悪魔の翼を広げてライザーに突撃する。

 

ライザーも俺から逃れようとするけど、無駄だ。

 

俺は飛行速度をさらに上げてライザーに追いつく。

 

そして、ライザーの腹部にアッパー。

 

殴った衝撃がライザーを突き抜ける。

 

「ごふっ!!」

 

今のでかなりのダメージはあるだろう。

 

だけど、今の攻撃ではフェニックスの不死を超えられない。

 

だから、俺は放つ。

 

フェニックスを倒すことができる一撃を。

 

禁手が使えない今、それができる技はただ一つ。

 

俺はライザーをさらに上空に放り投げた後、右の拳を脇に構える。

 

そして、このゲームが始まってからずっと溜めておいた力を解放。

 

拳から凄まじい光が発せられ―――――

 

 

キイィィィィィィィィン!

 

 

甲高い音と共に光がどんどん膨れ上がる。

 

ライザーもこの技の危険性を感じたらしく、逃げようとするもさっきのダメージがまだ残っているせいでその場から動けないようだ。

 

やるなら今だ。

 

「ライザー。これで終わらせてやる」

 

「ま、待て!分かっているのか?この縁談は、悪魔達の未来の為に必要で、大事な物なのだぞ!? それを潰す事がどれほど罪深いか、理解しているのか!!」

 

「知るかよ、そんなこと。部長がこのゲームに勝てばこの縁談を破棄しても良いんだろ?おまえもそれに同意したじゃねぇか」

 

それに、と俺は続ける。

 

「おまえは一度でも部長の気持ちを考えたことあるか? グレモリーなんて関係ない、リアスという一人の女の子として見てほしいっていう部長の気持ちを考えたことがあるのかよ!」

 

拳から放たれる光は周囲を照らしていく。

 

「おまえは自分のプライドを守るためだけに部長を傷つけたんだろ?だったら俺がすることはただ一つ。おまえを倒して、部長を助ける。それだけだ!」

 

俺は拳をライザーに突出し、左手で手首を掴む。

 

狙いを定める。

 

この一撃は絶対に外さない!

 

「アグニッッ!」

 

俺の拳から放たれる極大の気の奔流。

 

神器無しの状態の俺が放てる最大火力。

 

火の神の名を冠する必殺技。

 

「破壊力はドライグのお墨付きだ。消し飛びやがれ!」

 

「クソおおおおおおおおお!!!!」

 

絶叫を上げながらライザーは光に呑まれていった。

 

『ライザー・フェニックス様、リタイア。よってこのゲーム、リアス・グレモリー様の勝利です!!』

 

ライザーがリタイアしたアナウンスがされ、俺達の勝利が決まった。

 

 


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