「あらあら、そんなことがあったのですね。妬けてしまいますわ」
「アハハ・・・・」
赤面しながら苦笑するレイナ。
まぁ、俺としてはレイナの気持ちを改めて知ることが出来たし、今までよりもずっと絆を深くできたかなって思ってる。
こうして膝の上にお座りしてくるし!
あー、やっぱりレイナの体も柔らかいなぁ!
水着姿だから肌と肌が密着して・・・・女の子の香りが・・・・たまらんよ!
「ま、これからも色々あると思うけど、よろしく頼むよ」
俺もレイナも互いに助け合いながら、これからの苦難を乗り越えていこう。
それが『家族』ってもんだろ?
「色々って・・・・・」
あれ?
やたらと恥ずかしそうにしてるんだが・・・・。
レイナちゃん、何か勘違いしてないかい?
「レイナ?」
「な、なんでもない! ちょ、ちょっとトイレ行ってくるね!」
そう言うとレイナは膝から降りて向こうの方へと行ってしまった。
噛むぐらい我慢してたのかね?
「うふふ。レイナちゃんったら」
朱乃は朱乃で意味深な笑みを浮かべてるんだが・・・・。
すると、レイナのと入れ違いでこの地下プールを訪れる者がいた。
「にゃー、疲れたわ」
黒い着物のエロエロお姉さんの黒歌だった。
けだるそうな様子でプールサイドに入ってくる。
その後ろにはルフェイもいて、こちらは「ど、どうも」と丁寧に頭を下げてきた。
ソーナや朱乃が顔を険しくしているのは、未だ黒歌に思うところがあるからだろう。
「ただいまにゃー」
黒歌がふらふらしながら、俺に抱きついてきた!
もにゅんと大迫力のおっぱいが!
気崩れた着物のからきめ細やかで白い肌のおっぱいがこれでもかと主張してる!
「赤龍帝ちーん♪ ちかれたにゃー。癒してー」
そんなことを言いながら頬擦りしてくるよ!
くっそぉ、黒歌め!
なんて、ありがたいことをしてくれる!
こいつ、家に居候するようになってから、明らかに密着度を高めてきているんだが・・・・。
うん、これからも居候してくれてかまわんよ!
ま、まぁ、これを見ると朱乃が不安げな顔をするんだけど・・・・。
朱乃って、身内以外の女性が俺に近づくと不安がるんだよね。
そこが可愛く思ってしまうんだが!
「つーか、黒歌。おまえ、ヴァーリに呼ばれてあっちに行ってたんだろう?」
俺がすりすりしてくる黒歌にそう問う。
レイヴェル達が拐われて、はぐれ魔法使いの集団と一戦交えた時、黒歌達はヴァーリのところに戻っていた。
ヴァーリがこいつらを呼び戻すってことは、向こうでもそれなりのことが起こったのだろう。
すると、黒歌は息を吐きながら言う。
「そうなのよー。もうさー、アジ・ダハーカが襲ってきてねー。大変だったのよー」
『っ!?』
この場にいる全員がその言葉に驚いた。
アジ・ダハーカ。
先生が言っていた滅んだ邪龍の一匹。
相当凶悪なドラゴンだと言っていた。
ソーナが言う。
「千の魔法を操り、ゾロアスターの善神の軍勢に牙を向いた伝説の邪龍。英雄スラエータオナが封印に近い形で滅ぼしたと伝えられていますね。・・・・そのドラゴンもグレンデル同様に現世に甦った、ということでしょうか・・・・」
グレンデルに続き、アジ・ダハーカときたか。
『禍の団』、グレイフィアさんの弟は滅んだ邪龍を復活させている・・・・・?
『・・・・ここが正念場かもしれん。赤龍帝として、な』
ドライグが覚悟を持った声音でつぶやく。
そこまでのレベルの話だってことだな。
黒歌はほっぺを離して、目元を厳しくさせる。
「あの邪龍・・・・殴っても蹴っても斬っても笑って向かってきたわ。血を全身から噴き出しながらね。倒れる気配が全くなかったの。・・・・あれはまともじゃない。個人的には戦っちゃいけない部類だと思うにゃ」
こいつがチーム総掛かりでも倒れなかったのか・・・・。
グレンデル以上、そう考えていいかもしれないな。
・・・・・待てよ。
「なぁ、全身から血を噴き出しながらって言ったな」
「にゃ? そうだけど?」
「そいつの血から何か生み出されなかったか? 小型のモンスター的な」
「・・・・あれが何か知ってるの?」
やっぱりか。
恐らくグレンデルの時と同じやつに違いない。
なんだ?
邪龍以上に胸騒ぎがする・・・・・。
この感覚はいったい何なんだ?
俺は首を横に振って息を吐いた。
「悪いが今のところ全くわからん。グレンデルも同じだったから、もしかしたらって思ったのさ」
「そう。・・・・まぁ、あれとの戦いを喜んで迎えたヴァーリもどうしようもないバカちんにゃ」
呆れた口調で黒歌はそう言う。
それは分かる。
あいつ、骨の髄までバトルマニアだもんな。
もう少し、他のことにも興味もとうぜ、ライバルよ。
「赤龍帝ちんはあんなドラゴンになっちゃダメよ?」
「わーってるよ。俺は俺だ。ヴァーリとも邪龍とも違う。おっぱいドラゴンだぜ?」
『それはそれで泣けるんだが・・・・』
「良い子にゃ」
『俺の意見は無視か』
ドンマイだ、ドライグ。
あと、おっぱいドラゴンでごめんね。
すると、ルフェイが俺に尋ねてきた。
「そういえば、赤龍帝さまは禁手を別の次元へと昇華させていますよね?」
「そうだよ。第二階層の天武、天撃と第三階層の天翼。前者は俺のパワーアップに主眼を置いた形態で、後者は俺が持ってるイグニスの力を引き出すことに主眼を置いた形態になってる。・・・・それがどうかしたの?」
「ヴァーリ様は覇龍を昇華させて自分だけの覇龍としていましたから、赤龍帝さまはどうするのかなと気になってしまって」
覇龍を昇華、か。
ヴァーリの新しい力――――白銀の極覇龍。
鎧を纏った先生と互角にやりあえる最上級死神プルートを瞬殺したとんでもない力。
消耗が激しすぎるけど、その出力、パワーは俺のどの形態よりも上だった。
あの力の波動はよく覚えてる。
「覇龍は考えてないかな。あの力は俺には向いてないと思うし・・・・。それに、俺は今のままの力を高めていきたいと思ってるんだよね」
禁手の進化。
こいつは俺が可能にしたイレギュラーな現象。
まだまだ伸びる余地は――――進化する余地はあるんだ。
だったら、俺は今の力を更に伸ばしていきたい。
俺の言葉にルフェイは微笑む。
「それをヴァーリさまが聞けば喜びそうです」
「ハハハ・・・・確かに」
「ですが、神器の中に眠る歴代の思念・・・・怨念は何とかされた方が良いと思います。やはり、危険なものだと思いますから」
ルフェイの言うことは最もだ。
覇龍は使わないにしても、あの歴代赤龍帝の怨念は何とかすべきだ。
また、俺をそっち側へと引っ張るかもしれない。
でもね・・・・・
「実はもう解決してるんだぁ・・・・」
俺は遠い目をしながらそう言った。
『ううっ・・・・・』
そして、ドライグが泣いた。
俺達の反応に皆が怪訝な表情で見てくる。
あぁ・・・・思い出したくなかったよ。
これは俺とドライグにとって、語りたくなかったことだ――――
▽
サイラオーグさんとのレーティングゲームが終わって少し日が経った頃のこと。
俺は神器の奥、歴代の赤龍帝達がいるあの白い空間に意識を潜らせていた。
「新しい可能性が見つかったのに、相変わらずこっちは変化なしだな」
テーブルを囲むように座る歴代達を見て、ため息をつく。
無表情だし、虚ろなは瞳はどこを見ているのやら・・・・。
いや、どこも見ていないのかもしれないな。
『仕方があるまい。それだけ歴代の怨念は強い。ちょっとやそっとじゃ、変わらんさ』
ちょっとやそっとじゃ変わらない、ね。
でもさ――――
「イグニスにおっぱい揉まれてた子は微妙に変化あったろ」
あれは修学旅行で京都に行く新幹線の中でのこと。
今みたいに意識を神器の奥に潜らせて、歴代の怨念と向き合おうとした時だ。
ひょっこり現れたイグニスが歴代の女性赤龍帝のおっぱいを次々に揉んでいったんだよね。
おかげでエルシャさんは軽くイカされたし・・・・虚ろな表情だった子もどこか恍惚とした表情に・・・・。
ドライグも唖然としていたのをよーく覚えてる。
『それは・・・・うぅっ・・・・』
泣くなよ、ドライグ。
気持ちは分かるけどさ。
でも、思うんだ。
「あのイグニスのアホみたいな行動が怨念を解く鍵になるんじゃないのか・・・・・?」
そう呟いた時だった。
「そのとーり!」
パンパカパーン!
ファンファーレがこの空間に響き渡る。
それと同時に姿を現したのはイグニス。
「どんな悩みもちゃちゃっと解決! 最強のお姉さん、ここに見参!」
・・・・・なんか、変なポーズしてる!
どこのヒーローだよ!?
あれか!?
悪の秘密組織に改造されたやつか!?
だったら全く似てねーよ!
もう少し再現できるようになってから来なさい!
って、そんなことはどうでもよくてだな。
俺は歴代を指差しながらイグニスに問う。
「なんとかできるのか?」
「もちろんよ。とっくに解決する方法は見つけてるわ」
マジか!
そんないつの間に!
無駄におっぱいをもみもみしていなかったと言うことなのか!
くっ・・・・不覚にも頼れるお姉さんだと思ってしまったぜ!
こちらに送ってくるブイサインとドヤ顔!
最強のお姉さんは伊達じゃない!
しかし、イグニスは表情を厳しくさせて冷静な声音で言う。
「でもね、これは私だけじゃダメなの。イッセーの協力は必須よ」
「この人達は俺の先輩だ。だったら、現赤龍帝の俺が解決しないとダメだろ?」
「そう、それもあるわ。だけどね、イッセーがここでしないとあなたは新しい一歩を踏み出せないのよ」
「・・・・?」
それって、例の新しい可能性のことか・・・・?
まぁ、何にしても俺がやらなきゃいけないってことには変わりがない。
俺は掌に拳をぶつけて言った。
「やるぜ。もうあんな怨念なんざ、俺は聞きたくない。それに・・・・あの人達も本当はあんなの望んでなかったはずだ」
歴代の赤龍帝達は守りたいもののために力を求め、そして呑まれてしまった者もいる。
その結果、その守りたかったものまでも自分の手で壊してしまった。
そんなのは悲しすぎる。
「だからさ、あの人達を俺は助けたい」
俺の言葉にイグニスは微笑む。
「よろしい。だったらさっそく始めましょうか」
イグニスが指をならす。
すると―――――
十字架がいくつもこの空間に出現した。
『おい、あれはなんだ・・・・?』
「何って・・・・磔台だけど?」
・・・・・・
『「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」』
俺とドライグの叫びが響く!
は、磔台!?
「な、なんで、磔台!?」
「えっと、とりあえず・・・・」
イグニスは歴代の男性一人のうでを掴むと―――
「こうするのっ!」
な、投げたぁぁぁぁぁ!?
宙を舞う男性!
磔台に衝突、そのまま縛り付けられた!
それからイグニスは歴代の男性達を次々に磔台目掛けて投げていく!
つーか、なんで男だけなんだ!?
「イッセー、女の子達はこっちよ」
ふと見ると磔台から少し離れたところに大きなベッドが置かれていた。
十人以上は余裕で寝れるくらいの大きさだ。
・・・・なんでベッド?
どっから持ってきたんだよ・・・・・。
とりあえず俺は言われるまま、女の子達をベッドに運んだが・・・・・なんか、すっごく悪いことしてるような気がする。
「あのさ・・・・これ、どうするつもりだよ?」
うん、想像がつかない。
これ・・・・歴代の怨念を解く話をしていたのに方法が全く見えてこない。
というか、完全に別のことさせる気だろ・・・・これ。
イグニスはテンション高めに言った。
「よくぞ聞いてくれたわ! 今からするのはね、歴代の怨念を解くと同時にあなたの新しい扉を開く特訓をするの!」
「は、はぁっ!?」
え、この人何言ってんの?
俺が戸惑うなか、上からウィーンという機械音と共に大きなプレートが降りてきた!
どっから持ってきたんだよ!
「この空間はね、私がせんき・・・共有してるからこれくらい何とでもできるのよ」
『おい、今、占拠と言いかけただろ! 占拠したのか!?』
「まーまー、細かいことは気にしない気にしない」
『気にするわ! 貴様、一体なにをした!?』
「もー、静かに! また、縛っちゃうわよ?」
『・・・・アレダケハカンベンシテクダサイ』
あのドライグが屈した!?
なんで片言!?
それに縛るって・・・・おまえは何をされたんだ!?
「さぁ、イッセー。ここに書かれていることを読んでみて」
「え、えっと、『兵藤一誠、鬼畜化プロジェクト! ~あの子もこの子もアハーンウフーン~』・・・・・ってなんじゃこりゃ!?」
なにこのアホみたいなタイトル!?
テレビ番組なら絶対に視聴率悪いだろ!
俺だったら見ねーよ!
つーか、鬼畜化プロジェクトってなに!?
「これはね・・・・あなたを鬼畜にする計画よ」
「説明になってねーよ! もう少し噛み砕いてくんない!?」
それでも理解できるか不明だけど!
俺の言葉にイグニスは「しかたないわねー」と話始めた。
「まず、イッセーの回りにいる女の子。美羽ちゃんは当然、アリスちゃんもリアスちゃんも、他の女の子達もそう。皆がイッセーに好意を抱いているのは分かってる?」
「う、うん・・・・」
ま、まぁ、あそこまで積極的にアプローチされたらね・・・・。
「それで、この間の京都でイッセーは美羽ちゃんとしたでしょ? あれを受けて皆はより積極的になったのも理解してるわよね?」
「そ、そうだな・・・・」
確かに。
修学旅行から帰ったその日の夜なんて軽く襲われかれたし・・・・・。
皆、可愛くて良い子だから嬉しいんだけどね・・・・パワフル過ぎる。
エロの権化と言われた俺が着いていけないレベルの時もある。
「この先もイッセーを求めてくるでしょう。そして、イッセーもそれに応えると思うわ。だけどね、その時イッセーは本当に皆を気持ちよくできる?」
「え?」
「美羽ちゃんだけでも手一杯だったのに、この先、3P、4P、5P・・・・・下手すれば10Pの時だってあるかもしれない」
「おぃぃぃぃぃぃ! あんた仮にも女神だろ! とんでもないこと言ってるの分かってる!?」
「あ、ティアちゃんと私入れたらもっといくわね」
聞いてねぇ!
この駄女神、人の話聞いてねぇ!
「仮にそうなった時、イッセーは皆を気持ちよくできる自信はある?」
「うっ・・・・それは・・・・」
美羽の時で結構ヤバかったから・・・・そうなると俺、死ぬかも。
そんな俺を見てイグニスはプレートを叩いて熱烈に語り出す!
「そこでこの鬼畜プロジェクト! イッセーの内側に眠る鬼畜を呼び覚ますのよ! 今のあなたはまだリミッターがかかってる。それを外すことであなたはベッドの上では無敵になれる!」
内側に眠る鬼畜ってなんだよ!?
意味がわからねぇ!
ツッコミが止まらない俺の肩にイグニスは手を置き、優しい瞳で言う。
「大丈夫。あなたには才能があるわ。この間のレーティングゲームで確信できた。あなたは――――真の鬼畜になれる」
「あれはあんたがやらせたんだろうがぁぁぁぁぁぁ!」
「さぁ! 開きましょう! 新しい可能性が扉を! 今、ここで!」
「うわぁぁぁぁぁん! この人、話聞いてくれないよ! ドライグゥゥゥゥゥ!」
『・・・・・俺は・・・・逃げる』
あっ、あいつ、奥に逃げやがった!
相棒を見捨てる気か!
ちくしょう!
今度、アスカロンの代わりに籠手にエロ本入れてやろうか!
つーか、誰かこの駄女神止めてぇぇぇぇぇぇ!!!
いや、それもあるけどさ・・・・
「・・・・ま、まぁ、そのプロジェクトについては分からないけど分かった。で、それと歴代の怨念を解くのにどう関係するんだよ?」
そもそも、俺達はレーティング怨念を何とかしたいって話をしていたはずだ。
どう見ても関係ないよね。
すると――――
「とりあえず、イッセーは女の子達を気持ちよくさせて、怨念を消し去りなさい。私は男の子を担当するから」
そう言うと、イグニスの体を炎が覆い――――
イグニスの服装が何故か軍服に変わっていた。
マントを羽織り、手には鞭。
おいおい・・・・・それってまさか・・・・・
パシィンッ!
俺の思考がそこに行き着いたと同時にイグニスが鞭をしならせ、男性の一人に一撃を加えた!
「おいぃぃぃぃぃぃ! あんた何やってんの!?」
「こうすることで、意識が戻るのよ」
アホだ!
アホがいる!
そんなんで戻るか!
そんなんで歴代の意識が覚醒すると思ってんのか!
「・・・・・
・・・・・ん?
今、声が聞こえたような・・・・・。
イグニスも聞こえたのか、笑みを浮かべていた。
「もう一押しね。さぁ、さっさと起きないか! 二等兵!」
ベチンッ!
再びしなる鞭!
鋭い一撃が男性に!
その時、俺の目の前であり得ない光景が!
「あああああっ! 何という一撃! これは!・・・・これはいいぃぃぃぃぃっ!」
あれぇぇぇぇぇ!?
さっきまで無表情だった人がイグニスの鞭で目覚めちゃったよ!
覚醒早々にとんでもないこと言ってるよ!
目が覚めた男性にイグニスは近より、男性の顎をくいっと上に上げさせる。
「ようやく起きたわね。じゃあ、教えてもらおうかしら? あなたは何で力に呑まれたの?」
なるほど。
意識を目覚めさせた後に話を聞いてあげて、それで怨念を消し去ろうというのか。
起こし方はともかく、流れとしては悪くないのかもしれない。
イグニスに問われた男性はポツリと呟くように語り出した。
「・・・・僕には親友がいました。昔からの友人です。何をするにも一緒。通う学校も、成績も、趣味も何もかもが同じでした」
「それで?」
「親友だと思ってました。あの時裏切られるまでは・・・・!」
そうか。
この人はその親友に裏切られて、力を暴走させたんだ。
それだけ深く傷つけられたのかもしれない。
しかし――――
「あの野郎! 僕より先に童貞捨てやがった! くそったれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
そんな理由で!?
使ったんか!?
そんな理由で覇龍使ったんか!?
最低だよ、この人!
ってか、ドライグに聞いてた話と違う!
「よく言った! 軍曹ぉぉぉぉぉ!!!!」
バシィン! バシィン!
何度も振るわれる鞭!
二等兵じゃないのか!?
その階級はいったいどういう基準なんだよ!
「あふんっ! あぁああああ! ダメな僕をもっとぶってください! 女王さまぁぁぁぁぁ!」
「バカ者ぉ! 教官と呼べぇぇぇぇぇぇ!!!」
「失礼しました、教官んんんんんんっ!!」
ただのSMプレイじゃねぇかぁぁぁぁぁ!!!
なにこれ!?
「むぅ、あれを見たまえ、イッセーくん」
「あ、ベルザードさん。いたんすね」
いつの間にか横にいたベルザードさんの指す方向にはSMプレイ中の軍服姿のイグニスと歴代の男性。
「あの男性の怨念が薄まってきているだろう?」
「えっ!?」
そう言われて目を凝らしてみる。
あっ、ホントだ!
さっきまで黒い霧みたいなのが渦巻いてたのに、もうほとんど消えてる!
マジか!
SMプレイで怨念って消えるもんなの!?
「的確なポイントに的確な一撃。それらが快感を生み出し、怨念を吹き飛ばしているのだろう」
ベルザードさんが考察をくれる。
はぁぁぁ・・・・・
もうツッコミに疲れました・・・・。
キリがねぇ。
ガックリ肩を落としていると、手を引っ張られた。
「イッセーくん。こっちこっち」
「え、エルシャさん?」
俺はエルシャさんにベッドの上に連れてこられると、なにやらメモらしきものを渡された。
「イグニスさんからの特訓メニューよ。あなたは今からこの歴代の女の子達を怨念から解放するの。同時に内に眠る鬼畜を解放する・・・・らしいよ?」
「疑問形になってるんですけど・・・・」
「いやー、私もよく分からないのよね。とりあえず、おっぱいだって」
テキトーじゃないか。
なんだよ・・・・とりあえず、おっぱいって。
そりゃあ、俺はおっぱいドラゴンだけどさ・・・・。
「んぉぉぉぉ! 女王さまぁぁぁぁぁ!」
「何度も言わせるな! 教官と呼べぇぇぇぇぇぇ!!!」
後ろから聞こえてくるイグニス達のなんとも楽しそうな声。
あの駄女神・・・・ノリノリじゃないか。
なりきってるじゃないか。
こんな状況で俺は・・・・
いや、でもイグニスの言ってることは分からなくもないような気もするし・・・・・歴代の女の子達も怨念から解放してあげたい。
俺は・・・・俺は―――――
新たな道へと踏み出した。