ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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先日、R-18の方で美羽&アリスの回を投稿しました。


3話 あの時のやり直しを

と、そんなことがあったそうだ。

 

ミルたん、マジで何者なんだろう・・・・。

 

ただの人間ってレベル通り越してるよね。

 

錬環勁気功のほとんどさわりの部分しか教えてないのに、なんつー技開発してんだよ・・・・。

山一つ消えたって・・・・。

 

俺は・・・・とんでもない戦士を発掘してしまったのかもしれない。

 

あー、そうそう、美羽か代価としてもらった限定フィギュアだけど、あれは俺の部屋に飾られている。

まぁ、俺の昇格祝いも兼ねてるそうなので、ありがたく受け取っておくよ。

 

俺達は場所を移して、兵藤家地下プール場のプールサイドに設けてあるテーブル席で会話を続けていた。

 

魔法使いの書類のこともあるが、休憩ということでここに来ている。

時期も冬なので温水仕様だ。

 

俺は海パン一丁。

 

レイヴェルは泳がないのか、水着の上にTシャツを来てしまっているが・・・・・やっぱりレイヴェルも大きいよね!

服の上からでもそのボリュームがうかがえるぜ!

 

朱乃は肌色成分が多めの水着!

おっぱいがこぼれてしまいそうだ!

眼福です!

 

ソーナは柄の可愛いワンピースタイプの水着。

これはかなりレアだ!

 

「家族以外の男性に水着姿を見せたのはイッセーくんが初めてかもしれませんね」

 

なんと!

家族以外の男でソーナの水着を見たのは俺が初ですか!

 

匙、ゴメン!

とりあえず、ごめんな!

 

頼むから、呪いとかかけないでくれよ・・・・・?

 

ロリっ子死神のベンニーアは水着に着替えることなく、テーブルの下に潜っていた。

 

《あっしはここが一番落ち着くんですぜ》

 

と、俺達の足元でくつろいでる。

 

・・・・・やっぱり、変な子だ。

 

それで、この百メートルある地下プールで泳ぐのは―――

 

「イリナには負けん!」

 

「ゼノヴィアには負けないわ!」

 

先にプールに入っていたゼノヴィアとイリナが壮絶な水泳対決を繰り広げていた。

 

悪魔と天使のデッドヒート。

えらい勢いの水音と共に水しぶきを激しく立てている。

 

「どちらも頑張ってくださーい!」

 

プールサイドではスク水姿のアーシアが二人を応援している。

やっぱり、アーシアのスク水は可愛いな!

 

・・・・で、そのすぐ近くのプールには

 

『アーシアたんのスク水。俺様、アーシアたんの浸かったプールの水を飲み干したい』

 

パンツ龍王こと、ファーブニル。

黄金に輝くでっかいドラゴンが温水プールに浸かっていた。

 

・・・・・あの野郎、マジで変態だ。

 

ファーブニルの頭部にはオーフィスが座り、更にオーフィスの頭の上にはラッセーがいて・・・・・

 

なんだ、そのドラゴン三段構えは!?

 

「我、この三体合体なら、グレートレッドに挑戦できる、と思う」

 

できるか!

そもそも合体してねーよ!

三体のドラゴンが積み重なっただけだよ!

 

おい、ドライグさんよ。

何とかならないのか、あのパンツ龍王は?

 

『俺様、何も見えない』

 

ダメだ、こりゃ。

現実逃避してるよ・・・・。

 

気持ちは分かるけど。

 

「お茶持ってきたよ」

 

レイナがトレーにお茶を乗せて持ってきてくれた。

 

レイナは黄色のビキニに腰にパレオを巻いている。

露出は朱乃程ではないが、ついつい、おっぱいに目がいってしまう!

腰も細いし!

 

「サンキュー」

 

「イッセーくんも大変だね。魔法使いの選考もまだ決まりそうにないんでしょ?」

 

「まぁね。でも、レイナもレイナで忙しいだろ? 先生の監視役とか。あとグリゴリの仕事もしてるし」

 

そう考えればレイナって滅茶苦茶忙しいよなぁ。

俺の忙しさなんて足元にも及ばなさそうだ。

 

レイナは苦笑しながら言う。

 

「ほとんどアザゼル先生のことだけどね。あの人、勝手にグリゴリのお金使い込むし、変なUFO 作るし・・・後始末が大変よ・・・・」

 

アザゼル先生・・・・・あんた、どんだけレイナに苦労かけさせてんだよ。

 

「だから、今はすっごく肩の荷が降りた気分よ! 最高よ! 今が私のバカンスだわ!」

 

おおっ・・・レイナがはしゃいでいる・・・・。

 

過去にないくらいのはしゃぎようだ。

 

ま、まぁ、それだけ大変だと言うことだろう。

 

「俺にできることがあるなら、何でも言ってくれよ?」

 

アザゼル先生を絞めるなら、眷属総出でいこうじゃないか!

ついでにティアもつける!

あの人には色々と世話になったからな!

そのお返しをしてやるよ!

 

と、個人的なものもあるけど、レイナを手伝ってあげたいのは本音だ。

 

すると、レイナは少し頬を赤らめながら・・・・

 

「それじゃあ・・・・」

 

「ん? 何か頼みごと? じゃんじゃん言ってくれよ」

 

すると・・・・

 

「え、えと・・・・膝の上に座っていい?」

 

うーむ、そうきたか。

 

膝の上に座るって・・・・・小猫ちゃんみたいなことを言うな。

 

「良いよ? てか、そんなので良いのか?」

 

「う、うん。小猫ちゃん達を見てると私も座りたくなっちゃって」

 

ハハハ・・・・・俺の膝の上って本当に何なんだろうね?

 

小猫ちゃんが来て、レイヴェルが来て、ついにはレイナもお座り希望とは・・・・。

 

「それじゃあ、少しお邪魔するね」

 

そう言うと――――レイナは俺の膝上に座ってきた。

 

おおっ、レイナから伝わってくるこの肌の感触!

スベスベだ!

 

以前、先生から堕天使の女性は男を魅惑するためにエッチな体つきになると聞いたことがあるが・・・・わかる!

朱乃もレイナも良い体してるよ!

 

興奮する自分を抑えつつ、俺はレイナの頭を撫でてあげた。

 

照れてる顔がこれまた可愛いな!

 

そんな俺達を見ていた朱乃が頬に手を当てながら言う。

 

「あらあら、羨ましいですわ。イッセーくん、後で私にもしてくださる?」

 

「え? まぁ、良いけど・・・・・。俺の膝の上ってそんなに人気?」

 

「もちろん。今では隙あらば、ですわ。まぁ、その点で小猫ちゃんに勝てた試しがありませんが・・・」

 

うん、小猫ちゃん素早いもんな。

誰よりも速く、気づいたら膝の上に乗られているなんて良くあるし。

 

「それにしても、最近はレイナちゃんも積極的になってますわね」

 

朱乃のその言葉にレイナの体がビクッと震えた。

そして更に顔が赤くなり、ついには耳まで真っ赤に。

 

実は俺とレイナは少し前にデートをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

いつものように早朝の修行を終えた俺は、汗を流した後、一人湯船に浸かっていた。

 

「あぁ~、今日の修行もハードだったなぁ」

 

ついつい年寄りのような声を漏らしてしまう。

 

お湯が体にじんじんと染み込んでくるようなこの感覚が疲れた体には程よく気持ちいい。

 

ちなみにだが、今日はいつもの大浴場じゃなくて、もう一つある一般家庭サイズの方を使用している。

いつも父さんが使ってる方だな。

 

広い大浴場を一人で占有するのもいいんだけど、たまにはこじんまりした風呂にも入りたくなる。

こっちはこっちで落ち着くんだ。

 

そんで、温泉の素を入れて一人で温泉気分!

うん、超庶民的だ!

 

なんだかんだで大豪邸に住むことになった俺だけど、やっぱりこっちの方が合ってるのかもしれないな。

 

「暫くはこっちの風呂にしようかな・・・・・」

 

などと呟きながらお湯を体にかけていると――――

 

『イッセーくん? 入ってる?』

 

と、洗面所の方から声をかけられた。

 

声から察するに・・・・・

 

「レイナか? ああ、入ってるよ」

 

『そっか』

 

「あ、もしかして使うのか? だったらすぐに上がるから―――」

 

俺がいい終える前に浴室の戸がガララッと開かれた。

 

「お邪魔します」

 

んー・・・・・

 

レイナちゃん、入ってきちゃったよ・・・・・。

 

大浴場の方で何度か一緒にってのはあったけど、こっちの狭い風呂では初めてだ。

 

「え、えーと・・・・こっち?」

 

「うん。たまにはいいよね?」

 

「あ、うん。俺は良いけど・・・・・」

 

レイナはそれでいいのか!?

 

俺、がっつり見ちゃいますよ!?

全裸のレイナ見ちゃってるよ!?

ぷるんぷるん揺れるおっぱいに釘付けになってますよ!?

 

いや、今までに何度も見てきてるけど!

それとは状況が違ってて、これはまた・・・・・眼福です!

 

想わぬ状況に少々驚きながらもおっぱいから目が離せない俺。

 

それを受けてか、少し恥ずかしそうにしながらも体を洗っていくレイナ。

 

眼前の光景を脳内保存している内に、流し終わったようでレイナは湯船に入ってくる。

追加で一人入ったことでザバァという音と共にお湯が溢れ出ていった。

 

「はぁ、いいお湯ー」

 

「レイナがこっちの風呂に来るのって珍しいな。俺も久々だけどさ」

 

「本当は大浴場の方に行くつもりだったんだけどね。イッセーくんがこっちに来るのが見えたから。たまにはこうするのも良いかなって。最近は皆バラバラに入ってるしね」

 

そういや、最近は美羽とアリスと三人だけで入る時間が続いてたな。

ま、他の皆も最近は忙しくて別々で入ることが多かったし、リアスも吸血鬼の領土に行ってるから仕方がないんだけどね。

 

・・・・・まぁ、そのおかげで色々できてしまったが。

 

眷属になってから、美羽が以前よりも俺を求めてくるようになった。

それは妹として可愛がってほしいとかじゃなくて、一人の女の子として見てほしいって意味で。

それに釣られてなのか、アリスも同じように求めてくるし・・・・。

俺も二人から潤んだ目で懇願されたら、抑えられなくなって・・・・・。

 

うーん、いつから二人ともあんなにエッチな性格になったんだろう・・・・。

 

「こうして密着するのは初めてかも」

 

レイナが少し恥ずかしそうに言う。

 

確かにレイナと風呂に入ったことはあるけど、ここまでぴったりくっついて入るのは初めてだな。

 

うぅ・・・・このむにゅっとした肌の柔らかい感触!

お湯に浮かぶ大きくて丸いおっぱい!

 

やっぱり女の子とこうして密着して風呂に入るって最高だ!  

 

しかも、狭いだけにあちこち当たってるから―――――

 

「あ、あの、イッセーくん・・・・おしりに・・・・あ、当たってる」

 

耳まで真っ赤にしながらレイナが呟いた!

 

「ご、ごごごごごめんっ! こ、これは勝手に!」

 

し、しまったぁぁぁぁぁぁ!!

 

おい、何やってんだ!

反応しすぎだろ!

いや、これで反応しない方がおかしいとは思うけどさ!

もう少し落ち着け!

慎みを持て!

 

「わ、私は気にしてないから・・・・・」

 

明らかに気にしてるよね!

 

ほんっとごめんなさい!

うちの愚息がごめんなさい!

もう、心の中で百回くらい土下座してます!

 

「ま、まぁ、それはともかく、こうしてイッセーくんを追いかけてきたのはお願いというか、話があったからなの」

 

「話?」

 

なんだろう?

態々風呂にまで追いかける必要がある内容?

 

うーん、ダメだ。

考えても分からないや。

 

すると―――

 

「こ、今度ね・・・・その、一緒に出掛けて・・・・デートしてくれないかなって」

 

 

 

 

 

 

次の日。

 

駅前の広場、そこにある銅像の横で俺はいた。

 

今日はレイナとデート!

 

お天道様も配慮してくれたのか、空は雲一つない快晴!

気温もここ最近に比べると暖かく、絶好のデート日和といえるだろう!

 

ありがとう、神さま!

 

おっと、お祈りしたら頭痛が・・・・

うん、俺って悪魔だから当然だよね。

アーシアとゼノヴィアみたいに特例じゃないしね。

 

それじゃあ、魔王さまに感謝しとこう。

 

まぁ、それはおいといてだ。

 

今日、態々こうして待ち合わせをしたのには訳がある。

もちろん、デートなので家を一緒に出るより、こうして待ち合わせをした方が雰囲気があるってのもある。

ただ、この待ち合わせにはそれ以上の理由があるんだ。

 

「イッセーくーん!」

 

振り向けばレイナが向こうの方から手を振りながら走ってきていた。

こちらも手を振ってそれに応じる。

 

俺のところに到着すると、レイナは両ひざに手をつき肩を上下させる。

そこから一度深呼吸して、呼吸を整えると手を合わせてゴメンのポーズを取った。

 

「ゴメンね! 支度に手間取っちゃって!」

 

「俺もさっき来たところだし、女の子を待つのも良いもんだよ」

 

白のニットワンピースに、茶色のロングブーツ。

 

うんうん、季節に合わせたコーディネートで良く似合ってる!

それから、僅かに覗かせる太股も良いよね!

 

俺がまじまじと眺めていると、レイナはモジモジしながら上目使いで訊いてきた。

 

「ど、どうかな?」

 

「いいね。可愛いし、良く似合ってるよ」

 

「よかった。ありがとう」

 

俺が感想を述べるとレイナは胸に手を当ててほっと息を吐いた。

 

「さて、二人とも揃ったし、さっそく行くとするか」

 

「そうね。まずはお昼にする?」

 

時計を見ると十二時を少し回っていた。

昼食を取るにはちょうど良い時間だろう。

 

「レイナは何が良い?」

 

「この前、小猫ちゃんと行った喫茶店があるの。そこのサンドイッチが美味しかったから、そこにしない?」

 

「オッケー。それじゃあ、レッツゴーだ」

 

俺は頷くとレイナの手を取った。

 

「あ・・・・」

 

「ん? どうかした?」

 

レイナが頬を赤くしていたので、尋ねてみると「何でもないよ」と返してきた。

何やら嬉しそうだな。

 

ま、レイナが良いならこのまま行くとしようか。

 

 

 

 

 

 

レイナに連れられて入ったのはレトロな喫茶店だった。

 

「静かで良いところでしょ?」

 

「雰囲気は嫌いじゃないけど・・・・よく見つけたな」

 

町の端の端じゃん。

立地も悪いからか、客なんて俺達を含めて数人しかいない。

 

「小猫ちゃんと色々食べ歩きで見つけたの」

 

あー、そういや、そんなことしてたっけ。

 

休日になると町の美味しいもの探しの旅に出かける二人をよく見かけな。

 

「やぁ、いらっしゃい、レイナちゃん。今日は小猫ちゃんと一緒じゃないのかい?」

 

そう言ってテーブルに水の入ったグラスを置いたのはこの店のマスターらしき男性。

歳は・・・・六十代くらいかな?

中々にダンディーな人だ。

 

って、レイナと小猫ちゃん、常連さんになってる・・・・。

 

「あ、マスター。今日は・・・・」

 

レイナが言い終える前にマスターは俺の方を見てニッコリと笑った。

 

「今日はデートかい? いやー、中々に格好いい男の子じゃないか」

 

「ハハハ・・・・ど、ども」

 

「うんうん、良いなぁ。僕も若い頃を思い出すなぁ。若い男女の交際。青春だよー」

 

この人、見た目と合わないくらいテンション高いな・・・・。

フレンドリー過ぎるぞ。

 

「僕の時はねー、駅前で待ち合わせして、彼女の手を引いて、それで―――」

 

しかも、昔の自分について語り始めたよ!!

すいません、そんなこと聞いてません!

注文取ってもらって良いですか!?

 

しかし、マスターのお話はまだまだ続く!

 

「初めてキスをした時は夕暮れの公園でね。辺りには誰もいない。僕達だけ。そこでね、僕の方から―――」

 

そんなにこと細かく語らないで!

つーか、長いよ!

 

「うんうん・・・・」

 

ちょっと、レイナちゃん!?

なんかかなり真剣に聞いてない!?

 

注文は!?

美味しいというサンドイッチは!?

 

ここは俺が話を止めるしかないのか!?

 

いや・・・・ここまで熱烈に語ってくれているマスターを止めるのは・・・・・。

レイナも聞き入ってるし・・・・・。

 

誰か!

誰か助けてください!

俺はお腹が空きました!

もうペコペコです!

 

その時だった。

 

「あなた!」

 

店内に女性の声が響いた。

 

振り返ると店の奥からエプロンをかけた女性がツカツカとこちらへ歩いてきた。

 

その女性はマスターの頬をギュゥゥと引っ張る。

 

「まーた、そんな昔のことを若い子に話して! 恥ずかしいから止めてくださいと言ったでしょう?」

 

「いてててて・・・・しゅ、しゅみません・・・つい」

 

涙目で謝るマスター。

 

うん、やっぱりこの店、賑やかだわ。

賑やかすぎるな。

 

女性は引っ張るのを止めると俺達に言う。

 

「うちの人がごめんなさいね。注文はいつものでいいかしら?」

 

「あ、はい。それで・・・・」

 

「あなた、お客様からの注文よ。ちゃっちゃとしてもらえる?」

 

それだけ言い残すと女性は店の奥へと戻っていった。

 

マスターが頬を撫でながら苦笑する。

 

「今のが僕の奥さんでね。僕の初恋の人でもあるんだ」

 

「へぇ。それじゃあ、さっきの話の?」

 

俺が訊くとマスターは頷いた。

 

ということは、この人は俺達ぐらいの時からあの女性と一緒にいるってことなのかな?

 

「まぁ、今では完全に尻に敷かれてしまってるけどねぇ。それでも、後悔したことなんてないよ」

 

そして、俺とレイナの肩に手を置いて優しい目で言った。

 

「好きな相手の手はね、何があっても離しちゃいけないよ? 何年、何十年経ってもね。互いを想う気持ちさえあれば愛は続いていくものさ」

 

――――っ

 

分かってはいるけど、人生の先輩から言われるとやっぱり説得力があるな。 

 

手を離すな、か。

 

俺は――――

 

「あーなーたー!」

 

「す、すいませーーーーん!!」

 

アハハハハ・・・・・なんとも賑やかなご夫婦なことでで。

 

 

 

 

 

 

喫茶店を出た俺達はそれからショッピングへ。

洋服を買ったり、小物を買ったり・・・・・下着も選んだかな。

 

ま、まぁ、そんなわけで一日デートを楽しんだ俺達。

 

家へ帰る途中、俺達は公園に寄っていた。

 

夕方の人気のない公園。

ここは以前も二人で来たことがある。

 

そう――――レイナが堕天使であることを明かしたあの公園だ。

 

あの時のレイナは泣きながら俺に光の槍を投げてきたっけな。

 

なんてことを思い出してると俺の前を歩いていたレイナが振り返って俺の方を見てきた。

 

「イッセーくん、今日は私のお願いを聞いてくれてありがとう」

 

「いいさ。俺も楽しかったしな」

 

「でも・・・・あの時のやり直しがしたいって言ったときには驚いてたよね?」

 

あの時のやり直し。

 

俺とレイナの初めてのデートの終わりは最悪だった。

俺は殺されかけるし、レイナは泣いてたし。

 

今日のデート、待ち合わせをしたりしたのはあの時の再現って意味もあったんだ。

まぁ、全部が全部あの時のままって訳じゃないけどね。

 

「ごめんなさい」

 

ふいにレイナが謝ってきた。

 

「あの時が切っ掛けだよね。イッセーくんが私達と・・・・超常の存在と関わるようになったのは」

 

「そうなる、かな」

 

一応、ドライグから話は聞いていたし、一年の時から学園にいる悪魔の存在には気づいていたけど・・・・・。

レイナとの接触がなければ、今みたいに三大勢力とか他の神話勢と深く関わることなんてなかったかもしれない。

リアス達と接触したのもあれが切っ掛けだったしな。

 

「でも、なんで謝るんだ?」

 

「私があんなことしなかったら・・・・イッセーくんを危険なことに巻き込まなくて済んだのかなって時々思うの。だから・・・・」

 

すると―――レイナの足元に水滴が落ちた。

 

レイナが顔を上げると涙が頬を伝っていて、

 

「ずっと謝りたかったの・・・・でも、言い出せなくて。今になって遅すぎるよね・・・・・ごめんなさい・・・・ごめん、なさい・・・・」

 

そんなことを気にしていたのか・・・・。

 

俺は買い物袋を置くと、指でレイナの涙を拭った。

 

「謝る必要なんてないさ。あの始まりがあったからこそ、今の生活がある。父さん、母さん、美羽はもちろん。アーシアが来て、リアスが来て、オカ研の皆が家に住むようになった。レイナとの出会いがなかったら、今みたいに賑やかな生活はしてないと思うぜ?」

 

まぁ、賑やか過ぎるのはたまにキズだが・・・・。

 

いつの間にか俺のコレクション全部見られてたし、皆でエロゲーしてたら後ろから単語の意味を聞かれたりするし・・・・。

 

色々とプライバシーは無くなった気がするが、それでも今の生活に満足している。

 

俺はレイナの背中に手を回した。

 

「だからさ、謝らないでくれよ」

 

「・・・・・でも」

 

「おっと、それ以上は言わせないぜ? それ以上言ったら凄いことしちゃうからな?」

 

「・・・・イッセーくん、キャラ変わった?」

 

「変えたのさ。俺はレイナに泣いてほしくないからな。そのためなら少しくらいキャラも変えるよ」

 

「・・・・鬼畜キャラ?」

 

「そ、それはちょっと違うけど・・・・」

 

イグニスが「目指せ、鬼畜道!」なんてこと言って俺に変な修行させてきたけどさ。

今回のはそれとは関係ございません!

 

ま、まぁ、それはまた今度改めてだ。

 

「とにかく、そういうこと。レイナが気にする必要なんてないし、今となってはあの出会いに感謝してるくらいなんだよ」

 

「・・・・そっか。ありがとう、イッセーくん」

 

レイナは泣くのを止めて微笑みを浮かべてくれた。

うん、やっぱり笑顔じゃないとね。

せっかくの美人さんが台無しになるからな。

 

と、ここで俺の携帯が鳴った。

 

この着信音から察するに母さんか。

 

「もしもし、母さん?」

 

『あ、イッセー? 今どこにいるの? もうすぐ夕飯の時間よ?』

 

「あ、もうそんな時間? 分かったすぐに戻るよ。今日の夕飯はなに?」

 

『今夜はカレーよ。レトルトだけど』

 

「レトルトかよ!」

 

『冗談よ。アリスさんと一緒に作ったわ。食べないとアリスさんに振られるわよー』

 

「はいはい・・・・」

 

そう言って俺は携帯を切った。

 

アリスのカレーね。

あいつも料理頑張ってるなぁ。

苦手なものを克服しようとしているのは良いことだ。

 

・・・・・今日のカレーはジャガイモがかなり小さくなっているだろうけど。

 

「イッセーくんのお母さん? なんて?」

 

「今夜はカレーだから、早く帰ってこいってさ。いつの間にか真っ暗だしそろそろ帰ろうか」

 

いつの間にか夕日は沈み、あたりは真っ暗だ。

流石にこの時期は日が沈むのが早い。

 

「そうね。・・・・でも、その前に一つだけ良い?」

 

そう言うとレイナは改まった表情で俺と向かい合った。

 

「さっきの今で言うのもなんだと思うんだけど・・・・・」

 

そう言うとレイナは俺の胸に手を当てて、踵を上げた。

 

俺達の唇が重なる――――

 

「ん・・・・」

 

ほんの僅かな時間。

 

唇を離すとレイナは一歩下がる。

 

「私もね、イッセーくんのこと・・・・好きよ」

 

二度目の告白だった。

一度目の時とは違う、レイナの想いが籠った言葉で。

 

俺はレイナの手を両手で握って言った。

 

「俺も・・・・この手は離さないよ」

 

「うん・・・・!」

 

 

それから俺達はまた手を繋いで家路についたのだった。

 

 

 


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