ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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13話 召喚! 黄金龍君!

俺の眼前では信じられないような現象が起きていた。

 

俺の攻撃によって良く言ってもズタボロになったグレンデル。

 

奴があの状態から立ち上がったこともそうだが・・・・。

 

奴の全身から噴水のように噴き出す青い血。

それが染み込んだ床が――――盛り上がり、頭や腕、足とはっきり分かるものが出来上がっていく。

最終的には二メートルほどの高さにまで大きくなった。

 

その姿は完全に小型のドラゴン。

 

それが八体。

 

今の現象には見覚えがあった。

 

「眷獣・・・・・だと!?」

 

そう、今の現象はあいつの―――――ロスウォードの眷獣が誕生するのと同じものだ。

 

まず頭に浮かんだ可能性としては、グレンデルもロスウォードと似たような能力が使えるということ。

 

しかし・・・・

 

『いや・・・・・違う。奴にはそんな能力はなかった。どういうことだ・・・・・?』

 

ドライグに完全否定された。

 

・・・・・だったら、どうしてだ!?

 

なんで、奴が眷獣を生み出したんだよ!?

 

突然のことに混乱する俺だが、小型のドラゴンの一体と目があった。

 

 

ドクンッ

 

 

「――――――っ!?」

 

いきなり、胸の奥が熱くなった。

 

なんだ・・・・これ・・・・・は・・・!?

体の内側が焼けるように・・・・熱い・・・・っ!

息が詰まる・・・・・!

 

あまりの苦しさに俺はその場に膝をついてしまった。

 

「お兄ちゃん!?」

 

「イッセー!?」

 

側にいた美羽とアリスが倒れそうになる俺を驚きながらも支えてくれる。

 

しかし、それでもこの苦しみが和らぐことはなく・・・・・

 

「はっ・・・はっ・・・・なん、だよ・・・・これ・・・・っ」

 

呼吸が乱れて、鎧まで解けてしまう。

 

ふと下を見ると赤いものが、俺から零れ落ちているのがわかった。

 

・・・・・・血だ。

 

 

「イッセー君!?」

 

俺の異変に朱乃達や冷静なソーナまでもが驚いているようだった。

 

ヤバい・・・・頭痛が・・・・目眩がする・・・・っ!

 

苦しむ俺を横目にグレンデルが銀のローブの男に問う。

 

『あぁ? んだ、こいつら? おい、おまえら、俺の体に何しやがった?』

 

グレンデルは知らない・・・・・?

それにおまえら・・・・?

 

ローブの男が答える。

 

「それはあなたの血を媒介にして作り出した魔獣の類いですよ。あの方に術の確認をするように言われていたのですが発動には問題なさそうですね。問題はどれほどの力を発揮するかですが」

 

『あぁ、あのガキかよ。勝手なことしやがってよぉ』

 

あの方・・・・・ガキ・・・・?

 

そいつが全ての黒幕・・・・?

 

 

 

――――やつは・・・・・まで・・・・ろ――――

 

 

 

頭の中に声が響いた。

上手く聞きとれなくて、何を言っているのか分からない。

 

ただ、敵意、殺意の籠った声だった。

覇龍を使った時に歴代の赤龍帝達は呪詛が籠ったような声を出すが、それとは違ってて・・・・殺意の強さも桁違いに強い。

 

それにこれは小型ドラゴン・・・・・いや、違う。

この場にいない者に向けられている・・・・・?

 

グレンデルが舌打ちをしながら言う。

 

『おい、あいつらは全員、俺がぶち殺すんだよぉ。こいつらは邪魔だ』

 

「ダメですよ。これも私が受けた指示なのですから。あなたは赤龍帝と戦えれば十分でしょう? それとも、また骸と化したいですか?」

 

『ちっ・・・・そいつを言われちまったら従うしかあんめぇよ。だがよ、ドライグとの殺し合いはやらせてもらうぜ』

 

「ええ。存分に」

 

骸?

どういうことだ?

 

苦痛に襲われながら疑問を抱える俺だが・・・・・・

 

そんな俺の元に小型ドラゴンが数体、その大きな顎を開いて襲いかかってきた!

 

クソッ・・・・体が動かねぇ・・・・っ!

 

「何してるのよ、あんたは!」

 

動けない俺の襟首を掴んでアリスと美羽が一度後方に下がる。

 

「あれの足止めをして!」

 

アリスの指示にゼノヴィアとイリナ、二人の剣士が飛び出し、一体の小型ドラゴンへと斬りかかる!

 

「イッセーはやらせん!」

 

「ええ! 幼馴染みは守ってみせるわ!」

 

ゼノヴィアが天閃と破壊の組み合わせで、剣速と威力を高めた剣戟を繰り出し、その首を斬り落とした!

そのまま宙に飛んだ頭を高速の斬戟で細切れにしていく!

 

動きが止まったところをイリナが氷の仕様にした量産型聖魔剣で本体を氷漬けにして完全に動きを封じた!

 

二人とも元教会コンビだけあって流石のコンビネーション。

あっという間に一体倒しやがった。

 

 

しかし―――――

 

 

パキンッという音と共に氷に亀裂が入った。

 

次第にそのヒビは大きくなり・・・・・遂には頭部を失った小型ドラゴンが氷の中から出てきてしまった。

 

「こいつも奴らと同じなのか・・・・!」

 

ゼノヴィアが剣を構えて舌打ちする。

 

「二人とも!」

 

「そこを離れてください!」

 

そこに撃ち込まれるのは朱乃とロスヴァイセさんの二人から放たれる特大の雷光と魔法のフルバースト!

 

ゼノヴィアとイリナは大きく横に飛んで回避。

 

まともに受けた小型ドラゴンは完全に塵一つ残さず消え去った。

 

そこから復活する気配はなし、か。

 

やっぱり、あいつらもロスウォードの眷獣と同じだ。

塵にするくらいの攻撃を与えないと止まらない。

 

それを見たソーナが口を開く。

 

「あれは・・・・・もしや、あなた達が向こうで戦ったという?」

 

「ええ。あれは頭が無くなろうと胸を貫かれようとも動き続ける怪物ですわ。今のように完全に消滅させなければ倒すことは出来ません」

 

朱乃が自分の体験を語った。

 

今ので一体は倒せたが、まだ七体もいる。

加えてグレンデルだ。

 

グレンデルは体が半壊しているような状態なのに戦意は未だに衰えていない。

 

『さっきの続きといこうぜぇ! ドライグゥゥゥゥゥ!』

 

グレンデルがこっちに向かってきた!

しかも、速い!

あいつ、本当に化け物かよ!

 

クソッ・・・・体が・・・・さっきの影響か・・・!?

力が入らねぇ・・・・!

 

この場の全員が体勢を整えようとするが、俺を守りながらじゃ、グレンデルの相手はキツイ!

 

しかも他の小型ドラゴンも一斉に向かってきている!

 

このままじゃ・・・・!

 

「私がイッセーさんを守ります!」

 

力の入らない体を無理矢理動かそうとした時だった。

思いもよらない者が前に出た。

 

―――――アーシアだ。

 

「アーシア!? ダメだ、下がれ!」

 

俺が驚愕しながらも、そう叫ぶがアーシアは首を横に振った。

 

そして、力強く呪文を唱え始めた!

アーシアの前方に金色に輝く魔法陣が出現する!

 

「――――我が呼び声に応えたまえ、黄金の王よ。地を這い、我が褒美を受けよ」

 

その呪文を受けて、魔法陣はいっそう輝きを強くした!

 

いきなりの光景にグレンデルと小型ドラゴン達も動きを止めている。

 

よく見るとその魔法陣は龍門だった。

金色の龍門。

 

まさか――――――

 

「お出でください! 黄金龍君(ギガンティス・ドラゴン)! ファーブニルさんっ!」

 

アーシアが呪文を唱え終わった瞬間、呼び声に応じた者が姿を現す!

 

黄金の魔法陣より出現したのは―――――金色の鱗を持つ、巨大な四肢動物のドラゴン。

雄大なオーラを放つ、全長十数メートルはある翼のないドラゴン。

 

って、ファーブニル!?

先生と契約してた、あの五大龍王の!?

 

驚く俺にソーナが説明してくれる。

 

「アザゼル先生は前線を引かれましたからね。龍王との契約を解除したそうです。ただ、そのまま返すのもなんだからとアーシアさんとの契約を促したそうです」

 

先生が前線を引くのは知ってたけど・・・・・いやはや、まさかアーシアに龍王と契約させるとはなぁ。

 

そういや、アーシアは魔物使いの才能があるって聞いたな。

それで、アーシアの壁役になる強い魔物を探してるってのも聞いてたが・・・・・。

 

ソーナは続ける。

 

「リアスから聞いていた通り、契約を結べたようですね。龍神オーフィスの加護を得られたのも納得できます」

 

「そういえば、別れ際にそんなことも・・・・」

 

「先生によるとアーシアさんのオーラにオーフィスの神通力らしきものが付与され始めたそうです。直接の能力向上はないものの、ご利益によって運勢やドラゴンとの相性が底上げされていたそうです。オーフィス自身も加護を与えている自覚は無かったようですから、無自覚のうちにアーシアさんに感謝の念を送っていたのでしょう」

 

へぇ、そんなことになってたのか。

 

「・・・俺には? いつも後ろに付いて来てるんだけど・・・・」

 

「・・・・イッセーくんの場合は加護というよりも憑かれたと言った方が適切でしょう」

 

何それ!?

 

俺、憑かれたの!?

龍神さまに憑かれちゃったの!?

 

ちょっと待て・・・・。

 

イグニスさんよ。

あんたは俺に加護とかないの?

女神なんだし、少しくらいなら・・・・・ね?

 

『加護がほしいの? じゃあ、おっぱいあげるわ』

 

それは加護じゃないと思うんですけど!

 

ダメだ!

聞いた俺が間違ってた!

 

ま、まぁ、とにかく、アーシアはファーブニルと契約を結べたんだな!

スゲーよ!

 

ファーブニルの角に巻いてある布らしきものはきっとまじないなんだろうな。

 

「アーシアって何か代価を支払ったのか? 龍王との契約だし、何かありそうなんだけど」

 

俺の場合はティアを使い魔にする際、戦闘を通して納得してもらったんだけど・・・・。

 

アーシアが戦って契約したってのはないだろう。

つーか、そんなアーシアは想像できん。

 

「・・・・そ、それは・・・・私の口からは・・・・」

 

俺の問いにソーナが口ごもる。

 

え、何その反応・・・・・。

 

まさかと思うが――――

 

「まさか命とか!? 何年か分の命を差し出したとか!?」

 

「いえ、そういうわけではないのですが・・・・・確かに代償は大きかったようですが・・・・」

 

「なっ!? それなら、尚更聞かないといけない! アーシアは俺の家族なんだ! 教えてくれ! アーシアは一体、何を犠牲にしたんのかを!」

 

「・・・・・ツ・・・・です」

 

「ゴメン、聞こえない! ハッキリとお願いします!」

 

頬を赤く染めるソーナに俺は再度問い出す!

 

すると、アーシアが恥ずかしさ満点で叫んだ!

 

「パンツです!」

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「なぁぁぁぁぁにぃぃぃぃぃぃ!?」

 

 

パンツ・・・・・!

 

アーシアのパンツだと!?

 

あ、あの角に巻かれている布!

あれ、女物のパンツだ!

 

ファーブニルが重い口を開いた。

 

『お宝、おパンティー、いただきました。俺様、おパンティー、うれしい』

 

 

 

・・・・・おパンティー

 

 

 

なんてこった・・・・・こいつは・・・・・こいつは―――――

 

 

 

変態だ!

 

 

 

 

 

パンツを代価に契約に応じる龍王だと!?

 

おかしい!

おかしいよ!

グレンデルよりおかしいよ!

 

「先生は何を与えてたんだ!? パンツか!? 先生もパンツなのか!?」

 

「先生はきちんとした宝物を与えていたようですよ」

 

それを聞いて安心した!

 

『安心できるかぁぁぁぁぁ!!! どうなっている!? なぜだ! 何があったんだ、ファーブニルよ!?』

 

ドライグさんが叫んだ!

 

いや、全くもってその通りだよ!

 

恥ずかしさに耐えながらアーシアはパンツ龍王に頼み込んだ。

 

「ファーブニルさん! イッセーさんを守っていただけますか?」

 

『いいよ。――――お宝、ちょーだい』

 

「・・・・わ、分かりました。契約の対価ですね・・・」

 

アーシアは恥辱に耐えながら、ポシェットから――――水色の可愛らしいパンツを取り出した。

 

それを見てゼノヴィアとイリナが叫ぶ!

 

「あれはアーシアのお気に入りのパンツだ!」

 

「アーシアさん、それあげちゃうの!?」

 

お気に入りだったのか!

 

レイナもアーシアの両肩を掴んで言う。

 

「お宝ならもっと他の物があるでしょ!?」

 

ごもっともだよ!

 

『アーシアたんのおパンティー、お宝。これ以上ないお宝』

 

うぅ・・・・!

それも・・・・・ごもっとも!

 

確かにアーシアのおパンティーはお宝だ!

 

「そこで納得しない!」

 

「ゴフッ!」

 

アリスパンチが俺の後頭部を捉えた!

動けないってのに容赦ねぇな!

 

「アーシアが差し出すことはない! 私のをやろう!」

 

イリナがゼノヴィアを制止する。

 

「待って、ゼノヴィア! その戦闘服の下にパンツ穿いてないじゃないの!」

 

「くっ! ファーブニル! 私の戦闘服じゃ不服か!?」

 

戦闘服を脱ごうとするゼノヴィア!

ゼノヴィアのアーシアへの友情は凄まじいものがある!

 

というより、それはそれでお宝だと思うぞ!

 

『俺様、金髪美少女のおパンティーがいい。パンツシスターのお宝欲しい』

 

「うちのアーシアちゃんはパンツシスターじゃありません!」

 

俺は力の入らない体で叫んだ!

 

酷いよ!

こんなのあんまりだ!

 

リアスとアリスはスイッチ姫の称号得ちゃうし、今度はアーシアがパンツシスターだなんて!

 

クソッ!

このままじゃ、俺はパンツによって守られることになるのか!

 

『相棒! 今すぐティアマットを呼べ! あんなのに守られるくらいなら、ティアマットに守られる方が遥かにマシだ!』

 

「いや、それもダメだ!」

 

ティアだって龍王なんだぞ!

ドラゴンに誇りを持ってるんだぞ!

 

同じ五大龍王がパンツ龍王だなんて知ったら、そのショックは計り知れない!

 

俺はティアを傷つけたくないんだ!

 

「え、ダメだった? もう呼んじゃったんだけど・・・・」

 

「・・・・・え?」

 

美羽の言葉に聞き返す俺。

 

俺達とグレンデル達の間に魔法陣が展開される。

 

それは青い龍門で―――――

 

「・・・・グレンデル、か。確か滅ぼされたはずだが・・・・。イッセー、無事か?」

 

ティアがこちらを振り向いたのはファーブニルがおパンティーを受け取るのと同時だった。

 


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