ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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14話 合格発表! そして・・・・・

冥界での騒動を終えてから数日が経った日のこと。

 

俺達は部室でとんでもないことを先生から聞かされていた。

 

「総督を更迭された!?」

 

そう、アザゼル先生が総督を辞職したというのだ。

これには事情を知るレイナ以外は驚きを隠せないでいた。

 

「何やらかしたんスか!? 横領でもしましたか!?」

 

「ちげーよ! 黙ってオーフィスなんざをここに引き連れてきたから、それでだよ」

 

「あっ、そっちか・・・・・。それじゃあ、今の先生の肩書きは・・・・・?」

 

てっきり、組織の金を使い込んでたのかと思った。

なんかしてそうだし。

 

俺の問いに先生は首をひねる。

 

「三大勢力の重要拠点であるこの地域の監督ってところか。グリゴリでの役割は特別技術顧問だな」

 

「・・・・・総督から監督」

 

小猫ちゃんがぼそりと呟いた。

なんだか、あんまり変わらないような・・・・・・。

 

「ま、そういうこった。グリゴリの総督はシェムハザがなったよ。副総督にはバラキエル。あー、これで俺は趣味に没頭できるな。さっぱりしたぜ」

 

んー、肩書きと役職が取り払われて益々自由になったんじゃ・・・・・。

またなんかやらかしてくれそうな気がする。

例の性転換銃みたいな感じの。

 

心配する俺の肩にレイナは手を置くと微笑んで言った。

 

「大丈夫よ。私も役職が変わって、アザゼル元総督の監視役になったから」

 

「おい、レイナーレ! そんなこと聞いてねぇぞ!?」

 

「シェムハザ新総督からのご命令でして。総督という役職が無くなればあなたは前よりも色々しでかすだろうとのことです」

 

「あの野郎! 俺の自由を奪う気か!」

 

うーむ、流石はシェムハザさんとレイナだ。

 

先生のことをよーく分かっている!

先手を打つのが早いこと早いこと。

 

そんなやり取りをしていると、先生は書類を三通取り出した。

 

「先日の昇格試験の結果が先程発表された。忙しいサーゼクスの代わりに俺が代理で告げる」

 

――――っ!

 

マジでか!

つーか、事前連絡もなしにいきなり発表!?

 

「まず、木場。合格! おめでとう、今日から中級悪魔だ。正式な授与式は後日だ」

 

おいおいおい!

心の準備する間もなく始めてるよ!

 

つーか、木場は合格か!

流石だな!

 

木場に書類を渡した先生は次に朱乃の名を呼んだ。

 

「次に朱乃。合格! おまえも中級悪魔だ。一足早くバラキエルに話したが、伝えた瞬間男泣きしてたぞ」

 

「・・・・・もう、父様ったら」

 

赤面しながら書類を受けとる朱乃。

男泣きするバラキエルさんの姿が目に浮かぶな。

 

そして、最後の一枚。

 

「最後にイッセー」

 

「は、はい!」

 

うわー、緊張する・・・・・・。

 

実技はともかく、筆記と戦術がなぁ。

いや、全く自信がないというわけではない。

 

それでも、ところどころで怪しいところがあってだな・・・・・。

 

「・・・・・・・」

 

書類を手に取ったまま黙り込む先生。

 

な、なんで黙ったままなんだ・・・・・・?

 

 

ゴクリ・・・・・・

 

 

俺が生唾を飲み込むと先生は――――

 

「おまえも無事に合格。本当に飛び級するとは大したもんだ。おめでとう、上級悪魔の赤龍帝が誕生だ」

 

先生は笑みを浮かべながらそう告げた。

 

合・・・・・・格・・・・・・。

 

う、受かったのか、俺・・・・・・・?

 

戸惑う俺だが先生は頷いてくれた。

 

――――っ!

 

や、やった。

 

「よ、よっしゃぁぁぁぁああああっ!!」

 

俺は両手をあげて大声を張り上げてしまった!

 

やった!

俺、本当にやったんだ!

 

「おめでとう、お兄ちゃん!」

 

美羽が俺に抱きついて、祝福してくれた!

俺も美羽をしっかり受け止め抱き締める!

 

「ああ! 受かったぞ! 俺も今日から上級悪魔だ!」

 

頑張って良かった!

本当に良かった!

 

「流石はイッセーだわ」

 

「おめでとうございます!」

 

「おめでとう!」

 

「おめでとう!」

 

「おめでとう、イッセー君!」

 

「まぁ、イッセー先輩ですから。おめでとうございます」

 

「私がマネージャーをしたのですから、受かってもらわないと困ります! で、でも、おめでとうございますわ!」

 

リアス、アーシア、ゼノヴィア、イリナ、レイナ、小猫ちゃん、レイヴェルが賛辞をくれた!

 

「ありがとう! 皆のお陰だ!」

 

皆が助けてくれなかったらダメだったもんな。

マジで皆の力があったからこその合格だ!

 

帰ったらアリスや父さん達にも知らせてやらないとな。

 

先生は喜ぶ俺の肩に手を置いて言った。

 

「ま、おまえのことだ。最上級悪魔も案外すぐかもしれないな」

 

「マジっすか!?」

 

「力量だけは十分だからな。今後も実績を積んでいけばそのうち上がれるさ。さて、合格したことで近くに上級悪魔昇格の儀式が行われる。リアスを通して通知がいくだろうから流れを確認しておけよ?」

 

「は、はい!」

 

俺は興奮気味にそう返した。

 

 

 

 

 

 

それから数日が経った。

 

今日、俺は正式に上級悪魔として昇格する。

 

俺はオカ研メンバーとリアスの両親、俺の親、アリス、ティア、アザゼル先生と共に冥界を訪れていた。

ここにいる全員が儀式を受ける俺の関係者として招待されている。

 

通知が来てからは家でリアス達と一緒に儀式についてのレクチャー、及び概要の説明を受けた。

一応、全て頭に叩き込んではいるが・・・・・・緊張するぜ。

 

こういう厳かな儀式に出たことってあまりないからな。

特に今日の主役は俺だ。

途中で頭から抜けないようにしっかりと再確認しておかないと。

 

そういうわけで、今はグレモリー城内にある式場で実際に体験をしながら一連の行為を確認しているところだ。

 

リアスが式場の祭壇前に立ち、俺にレクチャーしてくれている。

 

「――――で、魔王様が読み上げた承認証をあなたに渡すから、あなたは教えた言葉で返すの。次に私があなたに王冠を被らせるわ。これは眷属から『王』が出たことを認める儀式なの。そして、最後に『王』の登録をする石碑に移動して、魔王様のお言葉の後に手で触れればOKよ」

 

うーむ、こうやって聞くだけならやってることは単純で簡単なんだが・・・・・・。

今日は式場に関係者たけでなく報道陣まで駆けつけるそうだし・・・・・。

 

「そんなに緊張しなくても大丈夫よ。いつものイッセーでいれば問題ないわ」

 

「いつもの俺、か・・・・・」

 

俺は既に正装を済ませている。

同様にリアスも紅色のドレスに身を包んでいる。

 

いや、もっと言えば招かれた俺の関係者は全員が正装だ。

眷属にしかり、他のメンバーにしかり例外はない。

俺の両親も正装に身を包んでいる。

 

俺とリアスは会場では、更に儀式用の正装に着替えるみたいだけどね。

 

「お嬢様、一誠様、お時間です」

 

と、グレイフィアさんが報告してくれた。

 

ついに時間か・・・・・。

 

今からグレモリー城にある城下町の駅から列車に乗車して首都リリスまで移動となる。

 

よし、ここまで来たんだ。

無様な姿だけは晒さないよう気を引き締めていこう。

 

 

 

 

 

 

魔王領の駅に到着し、厳重な警戒の中で儀式を行う式場までリムジンでの移動となった。

リムジンを囲うように警備の車が並走してくれているんだが・・・・・。

 

「厳重過ぎじゃね?」

 

式場に向かう道中で俺が漏らした言葉がそれだった。

 

正直言うと、転移で移動すればいいじゃんなんてことも思ってる。

 

こんなことされると余計に緊張しちまうよ・・・・・。

 

「ま、上級悪魔への昇格だからな。冥界にとっても一大イベントになるのさ。一般の民衆にもおまえの姿を見せておく必要がある」

 

先生はそう言うが・・・・・・。

 

そういや、ここに来るまでにも報道陣の人達に詰め寄られたな。

あの時はボディーガードの人が手際よく案内してくれたから助かったけど・・・・・。

 

程なくして式場に到着。

 

俺とリアスは途中で皆と別れて、別室で準備することに。

俺は係りの人に連れられて儀式用の正装に着替えさせられる。

髪もオールバックで、男用の化粧までしてもらった。 

 

リアスも儀式用の煌びやかなドレスに着替え、化粧をしていた。

髪もアップにして、唇に紅も塗られている。

 

うーむ、流石はリアス。

化粧が入ると一段とキレイになるな。

 

「どうかしら?」

 

俺の視線に気づいたリアスが自身の格好に目を配らせる。

 

「キレイだよ。スゴくね」

 

「ありがとう」

 

時間になり、俺とリアスは式場の入り口前に移動。

俺はリアスの後ろに立ち、開場したら彼女に付き従う形で入場だ。

 

そして、ついに儀式が始まった。

 

入場の演奏と共に門が開き、俺達は歩みを進める。

 

立派で華やかな式場にはお偉いさん方が立ち並び、拍手をしてくれる。

来客の方には俺と共に来たメンバーに加え、シトリー眷属やサイラオーグさん、ライザーまでもがいた。

 

ライザーのやつ、来てくれたのか。

 

そんでもって、会場内にヴァーリ達の気配もするな。

あいつらも祝いに来てくれたのかね?

 

祭壇に向かい、そこで待ってくれていたのは魔王の格好をしたサーゼクスさんをはじめとした魔王の方々。

 

サーゼクスさんは俺と向かい合うと微笑みを送ってくれる。

 

「待っていたよ、イッセー君。君なら必ずこの場に来られると思っていた」

 

 

 

 

 

 

「――――以上、リアス・グレモリー眷属たる汝、兵藤一誠を上級悪魔とする」

 

色々と前置きが終わった後、承認証の授与が行われる。

サーゼクスさんが承認証に書かれていることを述べ、俺は片膝をついて承認証を受けとる。

 

「謹んでお受けいたします」

 

と、リアスに教えられた通りに返す。

 

俺は一度立ち上がった後、係りの人に承認証を手渡してから、次にリアスと向かい合い片膝をつく。

 

リアスが係りの人から王冠を受け取り、俺の頭部に被せていった。

流石に本格的な王冠のようで、結構な重さがあった。

 

それと同時に盛大な拍手が巻き起こる。

 

王冠の儀式が終わり、次が最後の儀式となる。

 

サーゼクスさんが再び祭壇の前に立つと手を挙げた。

すると、頭上より黒光りする大きな石碑が降りてくる。

 

この石碑に触れることで上級悪魔、『王』としての登録が済むらしい。

 

「さぁ、新たな『王』、兵藤一誠。石碑の前へ」

 

サーゼクスさんの言葉に従い、俺は前に出る。

 

右手にオーラを纏わせて石碑に触れる―――――

 

 

ドクンッ!

 

 

俺の心臓が高鳴った。

 

こいつは―――――『悪魔の駒』が反応しているのか?

 

石碑は赤く輝くと俺の手形を一度浮かび上がらせる。

その後、元の状態に戻っていった。

 

どうやら、これで登録は済んだらしい。

 

最後にサーゼクスさんから小箱を受け取った。

中には十五個の『悪魔の駒』。

 

これが俺の『悪魔の駒』・・・・・・・。

 

チラリと来客の方に視線を移すと美羽とアリスが真剣な表情でこちらを見ていた。

 

この儀式が終わったら早速使うことになりそうだ。

 

ここで俺の出番は終わりとなり、来賓の方々の言葉が続いた後、儀式は無事に終了した。

 

 

 

 

 

 

儀式を終え、控え室。

 

俺は椅子に座り、コップに注がれた水を一気に飲み干した。

 

「ぷはー! 生き返る!」

 

「お疲れさま、イッセー。そして、おめでとう」

 

「ありがとう、リアス。・・・・・俺、きちんとできていたかな?」

 

「もちろんよ。立派だったわ」

 

リアスがそう言ってくれるなら安心だ。

 

と、ここで控え室に皆が入ってきた。

どうやら会場の方も解散になったようだ。

 

皆に祝福されるなか、父さんと母さんは目元を潤ませていた。

 

「ううっ! イッセーの晴れ舞台は感動するなぁ!」

 

「ええ、お父さん。うちの息子は父親より出世しているようで感動するわ! 上級悪魔ってことはお給料も良いのでしょう? 一生安泰ね! あとは孫の顔を見せてくれれば文句はないわ!」

 

「またそれかよ! 今は昇格のことだけ祝ってくれないかな!?」

 

俺は苦笑しながらそう言った。

 

ったく、そこまでして早く見たいのか!

今は学生なんだからもう少し待ちなさいよ!

 

やれやれ、俺の両親はどこでもマイペースというかなんというか・・・・・・。

 

さて・・・・・俺には早速やるべきことがあったな。

 

俺は机に置いた小箱――――十五個の『悪魔の駒』を見る。

それを察したのか、美羽とアリスが俺の前に出てきた。

 

・・・・・なんか、二人ともワクワクしてない?

 

ま、いっか。

 

俺は二人と視線を交わした後、皆を見渡しながら言った。

 

「何となく気づいているかもしれないけど、俺はこの二人を眷属にすると決めた。これは二人の意思であり、俺の意思でもある」

 

「そんなことだろうとは思ってたがな。で? 二人をどの駒にするのかは決めているのか?」

 

アザゼル先生の問いに俺は頷きを返す。

 

そして、二人の方に再び視線を戻して、それを告げた。

 

「美羽には俺の『僧侶』、そしてアリスには俺の『女王』となってほしい」

 

そう、それが俺が出した結論だった。

かなり迷ったけどね。

 

ロスヴァイセさんの例を見てみると美羽は『戦車』でも良かったんだけどね。

ただ、美羽は結界や幻影といった魔法も使える。

『僧侶』はサポート役としても輝くから、幅広く魔法を使える美羽には適役だと思ったんだ。

 

次にアリス。

アリスはその戦闘スタイルから『騎士』にしようかと思った。

だけど、アリスは槍術だけでなく雷の魔力も使える。

『女王』はその特性上オールラウンダーが適役。

そこで機動力と破壊力、そして魔力を兼ね備えたアリスを『女王』とすることにしたんだ。

 

 

俺は箱から『僧侶』の駒を取りだし、美羽と向かい合う。

 

ちなみにこの駒は変異の駒だ。

変異の駒は複数の駒を使うであろう資質を宿した者を一つの駒で済ませてしまう特異な駒。

美羽の実力や潜在能力を考えるとどう考えても駒一つじゃ足りないだろうからな。

それに俺がレーティングゲームに出ることになった場合、美羽ほどの実力で駒価値が3で済むというのはデカい。

 

「美羽、俺に力を貸してほしい。俺の『僧侶』になってくれ」

 

俺がそう言うと、美羽は満面の笑みを浮かべて頷いてくれた。

 

「もちろんだよ。ボクを・・・・・・お兄ちゃんの眷属してください」

 

美羽が了承し、俺から駒を受け取った。

 

すると、駒は赤い光を発し――――美羽の胸の中へと入っていった。

 

これで美羽は俺の眷属となった。

 

 

次はアリスだ。

 

俺は『女王』の駒を取り出すと、美羽と同様にアリスに言った。

 

「アリス。俺の『女王』としてその力を貸してほしい。また俺の背中を預けさせてくれ」

 

「・・・・・・・」

 

 

・・・・・・あれ?

 

アリスから返事が返ってこない。

駒を受け取る仕種もなく、ただ俯いたまま黙ってる。

 

俺の眷属になるのが嫌になったとか・・・・・・?

 

いつまでも黙ったままのアリスに皆も怪訝な表情を浮かべていた。

 

そんな中、美羽がアリスの肩に手を置く。

 

「そんなに固くならなくても大丈夫だよ、アリスさん。お兄ちゃんに自分の気持ちを伝えようよ」

 

「そ、そうね・・・・・・」

 

美羽に言われ、アリスは一度大きく深呼吸した。

 

顔を見ると頬は赤くなっているものの、その瞳にはすごい決心が宿っているようにも見えた。

 

アリスは顔を上げるとその口を開く。

 

「眷属になる前に言っておきたいことがあるの」

 

「言っておきたいこと?」

 

「そう。私・・・・・まだ、あんたに自分の気持ちをハッキリ伝えてなかったから」

 

なんだなんだ、いきなり改まってさ。

 

ってか、アリスの気持ち?

 

「あんたってさ、バカでスケベだしドスケベだし、あげくの果てにはおっぱいドラゴンだし・・・・・・しかも、私の・・・・・を吸ってくるし」

 

酷ぇ・・・・・不満のオンパレードじゃん!

ゴメンね、スケベで!

つーか、最後のは俺だけに非があるとは思えないんだが!?

 

アリスの気持ちって俺への不満だったのか!?

 

「でも、いざと言うときはカッコ良くて・・・・・やるときはやるってところが良くて・・・・・・。そんなあんたが私は好き」

 

「――――っ」

 

目を見開く俺にアリスは息を吐いた後、真っ直ぐな瞳で言った。

 

「私、アリス・オーディリアはあなたの側で、あなたと共にこれからの道のりを歩んでいくことを誓います。――――私は兵藤一誠を愛しています」

 

アリスは俺に近づくと、俺の頬に手を当て――――唇を重ねてきた。

 

その時を待っていたかのように、俺が手にしていた『女王』の駒が眩く赤い光を放ち、室内を照らした。

 

『女王』の駒がアリスの中に入っていく――――

 

光が止むと同時にアリスは唇を離し、数歩後ろに下がった。

 

「「「「・・・・・・・・・・・」」」」

 

突然の光景に皆はポカーンと口を開けて呆然としているのだが・・・・・・。

 

正直、俺も驚いている。

まさか、アリスがこんな大胆に告白してくるなんて・・・・・・。

ま、まぁ、確かに家に来てからはかなり大胆になってきてたけどさ・・・・・・。

それでもこれは想定外の告白だった。

 

 

当の本人、アリスはというと・・・・・・・

 

「あぁぁぁ・・・・・・言っちゃった・・・・・・皆の前で言っちゃったよぉぉ・・・・・・」

 

手で顔を覆い、皆から顔を見られないようにしていた。

耳まで真っ赤になってるし・・・・・・。

 

「やったね、アリスさん! 練習通りに出来てたよ! 頑張ったね!」

 

「うぅ・・・・・美羽ちゃん・・・・・。うん・・・・私、頑張ったもん。ちゃんと伝えられたよ・・・・キ、キスだってしたもん・・・・・・」

 

涙目になってるアリスとそのアリスを抱き締めてる美羽。

 

これじゃあ、どっちが歳上か分かったもんじゃないな。

 

「な、なんて大胆なの・・・・・・!」

 

「まさかの公開告白&公開キス! すごいわ、アリスさん!」

 

なんか、他の女性陣がざわついてる!

 

「いやぁぁぁぁっ!! 恥ずかしいから言わないでぇぇぇええ!」

 

悲鳴をあげるアリス!

頭から湯気出てる!?

 

「お父さん!」

 

「ああ、分かってるぞ、母さん! 孫二人は確定だな! 美羽、アリスさん! 是非とも励んでくれ!」

 

あんたらはどんだけ孫が欲しいんだよぉぉぉおお!?

つーか、励んでくれとか言うな!

 

今のアリスにはトドメにしかならねぇよ!

 

「ハハハハハッ!! 昇格早々に修羅場かよ、イッセー。面白いから録画していいか?」

 

あんたは何してんだ、このラスボス元総督!

そのビデオカメラどっから出した!?

 

 

はぁ・・・・・

 

どうやら、昇格は果たしたものの、俺の周辺環境は変わらないらしい。

これからもツッコミの日々が増えそうだ。

 

ま、それはそれで良しとするか。

 

俺は抱き合ってる美羽とアリスを背中から抱き締め、笑顔で言ってやった。

 

「これからもよろしくな、二人とも!」

 

 

 

 

 

 

 

 

美羽とアリスを俺の眷属にした後、俺達はグレモリー城で開かれた祝賀パーティーで夕食を楽しんだ。

 

そして現在。

時刻は既に夜の十二時だ。

 

冥界から帰ってきた俺は風呂を済ませ、あとは寝るだけの予定だった。

 

しかし、浴場で美羽とアリスに夜にアリスの部屋に来てほしいと言われたんだよね。

なんでも相談があるとか。

 

まぁ、二人とも悪魔になった訳だし、今後について色々と話したいこともあるのだろう。

時間を指定してきたのは気になるが・・・・・・どうも他の皆が寝静まるのを待ってたみたいなんだ。

 

あまり聞かれたくない話なのかね?

 

そんなこんなで、俺はアリスの部屋の前に立っていた。

 

 

コンコンコン

 

 

「お兄ちゃん? 入ってきてよ」

 

部屋をノックすると、中から美羽の声。

 

扉を開けて部屋に入ると―――――

 

「待ってたよ」

 

「い、いらっしゃい・・・・・・」

 

下着姿の美羽とアリスがベッドの上でちょこんと座っていた。

 

突然のことに思考が停止する俺。

 

ドアの前で固まっていると二人はこちらに近づいてくる。

 

アリスがドアを閉め、美羽が俺の手を取りベッドの方まで誘導する。

 

そして、俺は二人にベッドへと押し倒された!

二人が俺の上に覆い被さる!

 

「ちょ、え、えーと・・・・・・何事?」

 

何とか思考を再開させた俺は二人に尋ねる。

 

 

すると――――

 

 

「今日はお兄ちゃんが上級悪魔になって、ボク達がお兄ちゃんの眷属になった特別な日だから――――」

 

「・・・・・・私達に・・・・・イッセーを刻み込んでほしいの」

 

「・・・・・・・・」

 

 

 

な、ななななんだとぉぉぉぉぉおおおお!?

 

 

刻み込むって・・・・・この場合・・・・・つまり、そういうことだよな!?

 

いや、確かに記念すべき日ではあるが・・・・・。

 

「って、おまえらのその下着・・・・・・」

 

俺は二人が身に付けている下着に視線をやった。

 

美羽はピンク色の可愛らしいデザインの下着。

対してアリスは淡いグリーンで花の刺繍がされた大人っぽいデザインの下着。

 

その下着には見覚えがあった。

 

俺が気付いたことが嬉しかったのか美羽がニッコリと微笑んだ。

 

「うん。これは三人で買い物に行った時にお兄ちゃんが買ってくれた下着だよ?」

 

そう、これは俺達が三人で買い物に出かけた際、俺が二人に買った下着だ。

試着室の中に引きずり込まれて、似合ってるかどうかを聞かれたんだが・・・・・・。

 

そういや、「その時のために選んでほしい」なんてことを言われてたな。

本当に実行してくるとは・・・・・・・。

 

儀式後の告白といい、今の状態といい、アリスって本当に大胆になったな。

マジでそう思う。

 

今思い出したけど・・・・・俺、アリスの告白に対してちゃんと返事を返してなかったな。

 

ま、まぁ、あの時は周りがね・・・・・・。

 

少し時間が経っているけど、俺もアリスにはしっかり返事をしなければならないな。

 

「アリス」

 

「何よ・・・・・・?」

 

「俺も・・・・・・・おまえのことが好きだよ」

 

「っ!」

 

俺の突然の言葉に目を見開くアリス。

 

「怒りっぽいけど、努力家で優しくて、どこまでも真っ直ぐなアリスが俺は好きだ。・・・・・・書類を溜め込むのはどうかと思ったけどな」

 

「最後のさえなければ、かなりときめいたのに・・・・・」

 

「ま、俺も色々言われたからな。それの仕返しだ」

 

ニッと笑う俺にアリスはプクッと頬を可愛く膨らませる。

こういうところは昔から変わらないようで。

 

「・・・・・それで、どうなのよ? 私達を・・・・・・抱いてくれるの?」

 

「そうしたいところだけど・・・・・俺の手元にアレないし・・・・・・。アリスだって駒王学園に通うつもりなら、子供作るのはマズいだろ?」

 

「それは・・・・・そうなんだけど・・・・・・」

 

アリスがそう呟いた時だった。

 

「問題ないよ。持ってきてるから」

 

美羽が何処からか箱を取り出した。

その箱には見覚えがある。

修学旅行の時に美羽が持ってたアレの箱だ。

 

この展開は頭の隅で予想はしていた。

 

 

 

ただし、今度はそれが三つ(・・)

 

 

 

・・・・・・・あ・・・・・・・れ・・・・・・・?

 

なんか増えてない?

 

「それって・・・・・・何回戦するつもりだ?」

 

「・・・・・一人で一箱はいけるかなって・・・・・・あとは予備で・・・・・・」

 

「えっ!? わ、私も一箱!?」

 

「・・・・・一応、ね?」

 

いや・・・・・・そう言われましても・・・・・・。

 

美羽って俺よりも性欲強いよね、実は。

修学旅行の時もそうだったし・・・・・・。

 

つーか、アリスもなんだかんだで一箱受け取るのかよ・・・・・。

 

「お兄ちゃん。今日はアリスさんを先にしてあげてね。ボクはアリスさんの後でいいから」

 

「お、おう・・・・・?」

 

美羽は俺の上から退くと、アリスには何やら耳打ちする。

 

途端にアリスの顔が真っ赤になっていくが・・・・・・何を言われたんだ?

 

すると、アリスは再び俺の上に四つん這いになった。

 

そのまま恍惚とした表情で――――

 

「イッセー・・・・・・。私、イッセーが欲しいの・・・・・お願い」

 

 

 

 

 

この日、俺達は朝までお互いを求め合った――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤龍帝眷属

 

王  兵藤一誠

女王 アリス・オーディリア

僧侶 兵藤美羽(変異の駒)

 

 

 

 

 




これにて補習授業のヒーローズは完結となります!

アリスはイッセーの『女王』、美羽は『僧侶』として落ち着きました。

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