ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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14話 死神と壮絶バトル中です!

俺が駐車場に駆けつけた時には既に激戦模様だった。

 

木場はジークフリートとタイマンでやりあってるし、他の皆も死神と激しいバトルを繰り広げていた。

 

と、言ってもこのレベルの死神が相手なら皆も余裕で倒せるだけの実力はある。

美羽やアリスだっているしな。

 

ただ、ここも数が多い。

この駐車場を埋め尽くさんばかりの数だ。

 

俺は後方から魔法攻撃を放ってる美羽の側に降り立つ。

 

「美羽!」

 

「お兄ちゃん! そっちは終わったの?」

 

「ああ、ホテル周辺の死神共は片付けた。残るはこの駐車場のみだ」

 

目の前にいるレベルの死神が相手なら短時間で片付けることが出来るだろう。

 

 

ただし、問題は―――――

 

 

 

ドゥゥゥゥゥン

 

 

 

上空で何かが衝突し、その振動がこちらにまで伝わってくる。

 

見上げるとそこには黄金の鎧を纏った先生と、装飾がされたローブに身を包む何者か。

顔には道下師が被りそうな仮面をつけ、手には大鎌。

 

明らかに他の死神とはレベルが違う。

俺がここに来る前に感じたのはあいつの波動だ。

 

曹操にやられたばかりで人工神器が回復しきっていないらしいが、それでも先生に鎧を使わせる程の相手。

 

・・・・・・何者だ?

 

そう相手の死神を観察していると近くで滅び魔力で作った龍を操りながら、リアスが言った。

 

「あれはハーデスに仕える死神の一人。最上級死神のプルート。伝説にも残る死神をハーデスは送り込んできたのよ」

 

最上級死神で、伝説にも残る存在・・・・・・。

 

そんな奴まで送り込んできやがったのか!

 

驚愕する俺にリアスは続ける。

 

「冥府は・・・・・いえ、ハーデスは本当に私達悪魔が目障りみたいね。今回のこと、冥府側はどういう話にするつもりかわかるかしら?」

 

「いや、全く。ってか、そもそもテロリストと組んでるのはハーデスだろう?」

 

俺がそう言うとリアスは首を横に振った。

 

そして、ため息を吐きながら答えを言う。

 

「私達がテロリストの首領オーフィスと結託して、同盟勢力との連携を崩そうとしたですって」

 

「はぁっ!?」

 

予想外の言葉に仰天する俺。

 

なんだそりゃ!?

でっち上げるにしても酷すぎるだろ!?

 

「そういう理由で私達をここで消すみたいよ。全く無茶苦茶にもほどがあるわ・・・・・・!」

 

紅いオーラを荒々しくさせて、リアスも激怒しているようだ。

 

ハーデスの野郎・・・・・・ふざけやがって・・・・・・!

 

そんなに冥界――――悪魔と堕天使が気に入らねぇってのかよ!

 

この借り、いつか返さねぇとこの胸に渦巻く怒りは収まらねぇぞ・・・・・・!

 

 

ギィィィィンッ!!

 

 

怒りに拳を震わせる俺の視線の先では木場とジークフリートが剣戟を繰り広げていた。

 

木場の聖魔剣とジークフリートの魔剣が衝突し、火花を散らす。

 

ジークフリートは既に禁手となっている。

自前の腕以外に背中からは四本の龍の腕が生えていて、六本の腕にそれぞれ剣が握られている。

 

「あの六本腕の英雄もどきは私が相手しようと思ったんだけどね。木場くんが自分がやるって」

 

と、アリスが槍で死神を蹴散らしながら俺の近くに寄ってきた。

 

そうか、木場が言い出したのか。

まぁ、京都では二度も剣を交えた相手だし、納得出来ると言えばそうかな。

 

「ノートゥング! ディルヴィング!」

 

ジークフリートの魔剣が煌めく!

 

魔剣の一本を横に薙ぐと剣戟と共に空間に大きな裂け目が生まれ、他の魔剣を振り下ろせば地響きと共に駐車場に大きなクレーターが作り出される!

 

切れ味重視と破壊力重視の魔剣か!

 

「次はこれでどうかな! バルムンク! ダインスレイブ!」

 

ジークフリートが他の二本の魔剣を振るうと片方の剣から放たれた禍々しい渦巻きが空間を削りながら木場に迫り、それを避けた木場の足元から巨大な氷の柱が生えてくる!

 

木場は獲物を聖剣に変えると素早く龍騎士団を生み出して、その内の一体を蹴り、氷の柱をやり過ごす!

 

氷の柱に呑まれた龍騎士はバキンッという儚い音と共に散っていく。

 

複数の魔剣を握ってるだけあって、技が多彩だ!

しかも、威力もある!

 

残った龍騎士がジークフリートに斬りかかるが、魔剣を軽く振るっただけで崩れていく。

 

「なるほど、これが君の新しい禁手か。君の能力を反映できるという点は面白い。だが――――」

 

ジークフリートは途中から魔剣を振るうことを止めて、体捌きだけで龍騎士達を受け流していく。

 

「技術はまだ反映出来ていないようだ。速度だけでは僕には通じない!」

 

流石に龍騎士の弱点を見抜いたか。

 

ジークフリートは迫る最後の龍騎士を受け流そうとした。

 

 

 

その時――――

 

 

 

その龍騎士は今までとは違う、軽やかな動きを見せ、ジークフリートの龍の腕を斬り落とした!

 

同時にジークフリートは体を大きく仰け反らせ、苦痛の表情となった!

 

「・・・・・ぐっ・・・・・! なぜ・・・・・!」

 

自分を斬った龍騎士に目をやるジークフリートはそれを見て目を見開いた。

 

なぜなら――――

 

「流石のあなたも僕が龍騎士の鎧を纏うとは思わなかったようですね」

 

その龍騎士の中から木場が現れた!

 

それと同時に龍騎士団に指示を送っていた木場の姿が消えていく!

 

「あちらの僕は魔力で生み出した幻術。あなたなら龍騎士団の弱点を直ぐに見抜くと思いました。――――だから、僕はそれを逆手に取った」

 

「僕が油断する瞬間を待ったというのか!」

 

ジークフリートは自分のミスに憤慨しているようだ。

 

しかし、どうやらそれ以上に驚くことがあるらしい。

 

ジークフリートは斬られた龍の腕に目をやりながら言った。

 

「このダメージ・・・・・君は龍殺しの力も得たのか!」

 

っ!?

 

マジか!

木場がそんな力を!?

 

木場は手に持つ聖剣を前に突き出して話す。

 

「ええ。『龍殺しの聖剣』。あなたの神器がドラゴンを冠する以上、これに抗うことはできない」

 

「龍殺しの魔剣、聖剣は神器で造り出すことが一番困難だと言われているが・・・・・・そうか、君はそれを可能にしたのか。大した才能だ」

 

ジークフリートもこれには称賛を送るしかなかったようだ。

 

いやはや、俺も驚かされた。

まさか木場が龍殺しの力を得てたなんてな。

 

いつの間にそんなものを・・・・・・。

 

「京都であなたと戦った後、アザゼル先生に相談したんだ。そして、先生の指導の元、修行したらなんとか発現に成功した。まぁ、かなり苦労はしたけどね」

 

ジークフリートの話だと、龍殺しの力を発現させるのが一番難しいんだろ?

京都の後ってことはそれほど時も経ってないのに・・・・・・。

 

やっぱ、木場ってスゲぇ!

 

つーか、あいつハイスピードで新しい力を得ていくよな!

その才能が羨ましいぜ!

 

アリスも隣で「やるぅ」って感心してるしな。

 

「赤龍帝――――イッセー君との修行がどこまでも僕を高まらせてくれる。彼がいたから僕はここまで来れたと言っても過言じゃない。一度、彼に修行をつけてもらうことをオススメするよ。ただし、本気の彼とやれば何度も死にかけるけどね」

 

木場の言葉を聞いてアリスが嘆息する。

 

「イッセー・・・・あんた、本気でやるにしても限度があるでしょ」

 

「アハハハ・・・・・・」

 

だって、そうしないと木場に悪いし・・・・・・。

 

ジークフリートは息を吐く。

 

「そうだね、それも考えておこう。けれど、君達にはこれを退けてもらおうか!」

 

ジークフリートの周囲に霧が発生し、そこから死神の大群が!

 

ゲオルクが霧を通して外部から死神を召喚したのか!

 

つーか、今に至るまで結構な数倒したのに、まだいんのかよ!?

 

「いかに君達が強いと言ってもこれだけの数だ。さて、君達はどう戦う?」

 

ジークフリートは愉快そうに笑んでいた。

 

質より量ってか。

あちらは何体やられても、その鎌が俺達に通ればそれで良し。

鎌に斬られれば生命力が削られる。

そうなれば、いくら俺達でも倒れる。

 

「・・・・・あらあら、これはちょっと大変ですわね」

 

空中を飛んで雷光を飛ばしていた朱乃も俺達のもとに合流してきた。

 

軽く見積もっても俺達を囲む死神の数は千以上。

フィールド全体を埋め尽くすほど。

 

「確かに多い。・・・・・けれど、ちょっと私達を舐めてるわね」

 

アリスが槍を構えて一歩前に出る。

 

俺もそれに同意する。

 

「だな。俺達がどれだけ死線を潜り抜けたと思ってんだ。俺達を潰したきゃ、最低でもこの倍は連れてくるべきだったな。―――美羽、まだいけるな?」

 

「もちろん。こんなところで死ぬわけにはいかないよ。だって、まだお兄ちゃんのお嫁さんになってないし、赤ちゃんも産んでないもん!」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

一瞬、時が止まった。

 

 

 

 

 

この流れでそれ言う!?

 

 

アリスが声をテンパらせて言う。

 

「み、みみみ、美羽ちゃん!? あ、ああ赤ちゃんって!?」

 

「え? そのままの意味だけど・・・・・。お父さんとお母さんには孫を見せるって約束したし・・・・・。お兄ちゃんのお嫁さんになって、ウェディングドレス姿も見せるって約束したし・・・・・ね?」

 

なんてこと言いながら美羽は俺を見てくる!

 

い、いや、確かにそういう話もあったけど!

 

 

「ウェディングドレス・・・・・そこまで話が進んでいただなんて・・・・・!」

 

「流石は美羽ちゃんですわ。私達の一歩も二歩も前にいますわね」

 

「・・・・・イッセー先輩は私とも約束してくれましたから・・・・・・・ふふふ」

 

「はわわわ・・・・・、イッセーさんのお嫁さん・・・・! ウェディングドレス・・・・・! 美羽さんも小猫ちゃんもすごいですぅ!」

 

「イッセー君のお嫁さんかぁ・・・・・私もそうなれば、総督の面倒みなくて済むし・・・・その後も・・・・・・」

 

「イッセー様と美羽さんが・・・・・! こ、ここここの場合、マネージャーの私はどうすれば!?」

 

 

 

えっ・・・・・ちょ・・・・・なにこの状況!?

 

 

死神の大群よりもお嫁さんの方に意識が傾き始めたぁぁぁあああ!?

 

小猫ちゃんは頬を赤らめて笑んでるし・・・・・。

 

ってか、レイナは寿退職考えてないかい!?

 

 

「お嫁さん・・・・イッセーのお嫁さん・・・・・イッセーと結婚・・・・・・イッセーとの子供・・・・・・」

 

アリスも何やらぶつぶつ呟き始めたよ!

意識が完全に自分の世界に引きこもちゃったよ!

 

おーい、帰ってこーい!

 

目の前に敵!

敵いるから!

 

つーか、子供はまだ早いよ!

 

 

「なんだ? お嫁・・・・? 何かの暗号か?」

 

ジークフリートが真剣に考え始めた!?

 

お嫁ってそのまんまの意味だよ!

深読みしすぎ!

 

あれか、さっき木場にやられたから慎重になってんのか!?

 

 

『大丈夫よ、皆! イッセーに言えば全て解決するもの! さぁ、小猫ちゃんのように言いましょう! 「お嫁さんにしてください」って!』

 

この駄女神ぃぃぃぃいいい!!

 

この状況で楽しんでるだろ!

 

ドライグ!

そいつを止めるんだ!

 

『無理だ。そんなことをすれば・・・・・俺は・・・・・・ガクガクブルブル・・・・・』

 

サマエルの時以上に声が震えてるぞ!?

 

一体、おまえは何をされたんだ!?

 

 

イグニスの言葉に反応したのか、リアス、朱乃、アーシア、レイナは俺に詰め寄ってきて――――

 

 

 

「「「「私もお嫁さんにしてくださいっ!」」」」

 

 

 

 

美少女達から同時に逆プロポーズされるという最高の光景なんだけど・・・・・・・

 

 

おかしい・・・・・!

 

色々、おかしいよ!

 

 

だって、皆の目にはこの状況映ってないもん!

目の前の死神達が映ってないもん!

俺達に向けられる殺気も軽く受け流してるよ!?

 

皆、俺しか見てねぇ!

メチャクチャ嬉しいけど!

 

 

アリスは未だブツブツ言ってるし、レイヴェルも思考が停止しているのかボーゼンとしてる。

 

 

つーか、こんなことしてる場合か!?

 

こんなことしてる間にも死神が迫ってきてるんだよ!?

戦ってるの木場と先生だけだよ!?

 

 

ええいっ!

 

ここはハッキリ答えるしかないのか!

 

「わかった! 皆は俺が嫁にもらう! だから、絶対にここを突破しよう!・・・・・・・・な?」

 

小猫ちゃんに答えたようにプロポーズを受ける俺!

 

どんな状況であれ、皆からのプロポーズだ!

断るわけがない!

 

 

 

すると――――

 

 

 

ドォォォォォォォォォン!!!

 

 

 

周囲にいた死神達がごっそり消え去った!

 

「ふふふふ・・・・・・! ついに・・・・・・!」

 

「ええ・・・・! 確かに聞きましたわ!」

 

「はい! 私もしっかり聞きました!」

 

おおっ!?

 

皆のオーラが爆発的に膨れ上がってる!?

今の一撃はリアスと朱乃か!?

 

ノーモーションなのにスゲェ威力だ!

 

かなりの数が減ったぞ!

 

 

バンッ!  バババババババンッ!!

 

 

その音と共に上空に浮いてた死神が次々に落ちてきた!

 

見ればレイナが持つ二丁銃の銃口から煙が上がっていた!

 

「総督!」

 

レイナが空中でドンパチやってる先生に叫んだ。

 

「なんだ! こっちは死神様と超絶バトル中だ、クソッタレ!」

 

「私、近いうちに退職するかもー♪」

 

「それは今言うことなのかぁぁぁあああ!?」

 

先生!

 

ごもっともな意見です!

 

 

「皆! 早く終わらせてここから出ようね!」

 

「「「「もちろんっ!」」」」

 

 

美羽の言葉に元気よく返した女性陣。

 

彼女達の活躍により、死神達は瞬く間に殲滅されてしまうのであった。

 

 


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