ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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7話 試験当日! いざ、試験会場へ!

試験日当日。

 

俺達は兵藤家の地下にある転移用魔法陣に集結していた。

 

格好は駒王学園の制服だ。

レーティングゲームの時も着てたし、もうこれがグレモリーのユニフォームみたいなもんだな。

 

鞄の中には筆記用具に推薦状などの受験に必要なもの。

加えて事前確認用のノートが入っている。

試験開始ギリギリまではこのノートで覚えたことをおさらいするつもりだ。

 

雰囲気的には高校受験と同じだな。

 

試験会場となる昇格試験センターに行くのは俺と木場と朱乃、マネージャーのレイヴェル。

先生や他のメンバーも冥界までは付いてくるそうだが、会場近くのホテルで待機するとのこと。

 

転移はまず、受験者だけが一気に会場に行くそうで、その後、受験者以外のメンバーはホテルにジャンプするそうだ。

 

「そういや、ギャスパーは?」

 

見渡すが、ギャスパーの姿だけがない。

 

先生が答える。

 

「あいつなら、一足早くにここで転移して、冥界――――グリゴリの神器研究機関に行ったよ」

 

「あいつ一人でですか?」

 

「そうだ」

 

マジか。

 

ギャスパー一人で行動するなんて珍しいから少し驚いたぞ。

 

「バアル戦が終わってすぐにな。あいつ、俺のところに頭下げに来たんだよ。『先輩達のように強くなりたい! 僕ももっと皆さんのために力を使えるようになりたい』ってな」

 

――――っ。

 

ギャスパーがそんなことを・・・・・・。

 

「それだけの決心をしてグリゴリの門を叩いたんだ。引きこもりで臆病だったあいつがだ。生半可な決断じゃないだろう。今頃、研究員の指導のもと、自分の神器と向き合い始めているはずだ」

 

そっか・・・・・。

あいつ、そこまでの覚悟を・・・・・・。

 

あいつも男だってことだな。

あいつなら、きっと強くなって帰ってくるはずだ。

 

頑張れ、ギャスパー!

俺も頑張るからよ!

 

「で、ギャスパーは分かったんですけど、こいつらどうするんです?」

 

俺が指差す方向にはオーフィスと黒歌達。

 

まさかと思うが試験会場にまで付いてくるんじゃないだろうな?

オーフィスの目的は俺を見ることみたいだし。

 

「流石に会場に行くのはマズイから、俺達と共にホテル直行だ」

 

ま、そうだろうな。

 

いや、まてよ。

ホテルはOKなのか?

 

「それに、おまえらの試験が終わったら、一度サーゼクスのもとにオーフィスを連れていくつもりだ。良い機会だしな。オーフィスもおまえが行くなら、それに付いていくそうだ」

 

なるほど。

ってことは俺達は試験が終わったら、その足でサーゼクスさんのところに行くわけね。

 

「了解です。オーフィスをサーゼクスさんに会わせることに意味があるんですよね?」

 

「ああ。少しでも良い方向に向かわせたいからな。無理だと思われていた話し合いが出来る。これだけでも大きな一歩だ。オーフィスは何を考えているのかは分からん。だからこそ、話し合いで戦いを避けられる可能性があると俺は見ている。うまくいけば『禍の団』を瓦解させ、分散できるだろう。そうすれば各個撃破も可能になる。それにオーフィスの『蛇』を失えば、奴らの打倒も早まるだろうさ。この案件を申し出てきたヴァーリには感謝してるぜ」

 

ヴァーリ、か。

オーフィスが家に来たのも元々はヴァーリが先生に話を持ちかけたのが始まりだ。

 

だけど、俺にはその意図が読めない。

 

「あいつはなぜオーフィスを家に? その理由がさっぱり分からないんですけど・・・・・」

 

俺の言葉に先生は目を細め、ぼそりと呟く。

 

「あいつは・・・・・オーフィスを隠そうとしたのかもな。――――脅威から」

 

「・・・・・・脅威?」

 

それに隠す?

 

オーフィスが誰かに狙われてるってことか?

 

まぁ、テロリストの親玉だし、全勢力から狙われてるんだろうけど・・・・・・。

ただ、オーフィスを倒すことが出来ないから、どこの勢力も下手に手を出せない訳だが・・・・・・。

 

というか、オーフィスの脅威になる存在ってなんだ?

 

『私かも。おっぱい揉んだし』

 

イグニス・・・・・。

 

あんたはオーフィスの脅威というより、全女の子の脅威でしょうが!

なに、最強の龍神様の乳揉んでんだよ!?

 

『てへ☆』

 

てへ☆・・・・じゃねぇよ!

 

このシリアスブレイカーめ!

 

などとツッコミを入れているとイグニスは急に真剣な声音になる。

 

『でも、真面目な話をすると考えられるのはあるんじゃない?』

 

なに?

心当たりがあるのか?

 

『いえね、オーフィスが倒したいって言ってるのはグレートレッドなのでしょう?』

 

そうだな。

初めてオーフィスと出会った時に俺もオファーを受けたっけ。

 

『思い出してみて。京都でのことを。曹操がしようとした実験のことを』

 

京都の・・・・・曹操の実験・・・・・・。

 

『ドラゴンイーター、か・・・・・・』

 

ドライグが呟いた。

 

ドラゴンイーター・・・・・・そういや、曹操が言ってたな。

 

グレートレッドを呼び寄せてドラゴンイーターがどれくらいの効果をもたらすか試すって。

 

『そう。「グレートレッドに影響を与えるのでは?」と考えられる存在がいる。だったら、それはオーフィスちゃんにも同様とは考えられない?』

 

――――っ!

 

つまり、オーフィスを狙ってるのは・・・・・・曹操だってことか?

 

『それは分からないわ。でも、一つの可能性よ』

 

『なるほど。考えられない話ではないな』

 

ドライグもイグニスの意見に同意する。

 

曹操がまた動き出すのか・・・・・?

 

いや、今のはただの推測だ。

確証はない。

 

だけど、警戒はしておくべき、か・・・・・・。

 

 

「イッセー君、そろそろ行くけど・・・・・大丈夫かい? 怖い顔をしているけど・・・・?」

 

「いや、何でもない。大丈夫だ」

 

木場に声をかけられて、思考を切り換える。

 

とにかく今は試験だ!

 

気合い入れていくぜ!

 

俺達受験組は転移用魔法陣の上に乗る。

 

「お兄ちゃん、頑張ってね!」

 

「しくじらないでよ?」

 

美羽とアリスが声をかけてくれる。

 

それに続いてリアスも言った。

 

「イッセーなら必ず合格できると信じてるわ」

 

「おう! それじゃあ、行ってくるよ!」

 

俺達はリアス達に別れを告げて、転移の光に包まれていった。

 

 

 

 

 

 

光が止むとそこは広いフロアだった。

 

足元には転移用の大型魔法陣が淡い輝きを放ってる。

 

ここが試験会場の昇格試験センターか。

 

目の前にはカッチリと正装をしたスタッフの人が立っていた。

 

「ようこそお出で下さいました。リアス・グレモリー様のご眷属の方々ですね? 話は伺っております。一応の確認を出来るものをご呈示ください」

 

えーと、確かスタッフの人にグレモリーの紋様が入った印と推薦状を見せるんだったな。

 

俺達は推薦状と紋様の入った印をスタッフに見せる。

 

「確認が済みましたので、どうぞこちらへ」

 

確認を終えたスタッフに案内され、石造りの廊下を進む。

 

豪華って感じはしないけど、シンプルで厳かな雰囲気の場所だな。

 

「ここはグラシャラボラス領にある昇格試験センターなんだよ」

 

と、木場が歩きながら教えてくれた。

 

ここってグラシャラボラス領なのか。

 

そういや、試験会場のこと知らなかったよ。

・・・・・・試験勉強だけで、精一杯だったもんで。

 

グラシャラボラス領といえば四大魔王の一人、ファルビウムって人の御家の領地だ。

 

この人だけ話したことがないんだよなぁ。

 

ただ・・・・・・『働いたら負け』という精神の持ち主であることは聞いている。

 

なんで、魔王になったの!?

 

「戦術家でもあるファルビウム・アスモデウス様に倣って、昇格試験センターを造ったそうです」

 

朱乃もそう言うが・・・・・・・『働いたら負け』の精神の人が戦術家ってのもなぁ・・・・・。

 

「術式に精通したアジュカさんのアスタロト家の領地に試験センターがあると思ったけどな」

 

「アスタロトの領地にも試験センターはあるよ。本来ならアスタロトで行われる昇格試験だろうね。上流階級の悪魔が通うほど名門と呼ばれる学校もあるほどさ。部長もアスタロト領の学校か魔王領にある学校か迷ったそうだからね。結局は魔王領にしたそうだけど」

 

「それじゃあ、グラシャラボラス領で試験を行う理由は?」

 

「それは、ディオドラが起こした事件でアスタロト家は失墜してしまったから・・・・・・」

 

先導するスタッフに聞こえない声で木場は教えてくれた。

 

そうか・・・・・ディオドラの野郎の一件が尾を引いてるのか。

 

あいつのせいでアスタロト家は危機的状況になった。

次期魔王の輩出権利も失ったという事情も聞かされたそうだ。

 

スタッフに連れていかれたのは広い受付らしき場所があり、受験者達が受付の人と話していた。

 

「こちらが中級悪魔の試験を受けられる方の窓口、あちらの端にあるのが上級悪魔の試験を受けられる方の窓口となっています」

 

ほうほう、俺はあの一番端の・・・・・・・・。

 

 

あれ?

 

あそこの窓口だけ、受験者が誰もいないんですけど!?

 

目をパチクリさせる俺に木場が苦笑しながら言う。

 

「昇格試験に臨める悪魔なんて、今の冥界では少ないからね。上級悪魔ともなるとその数は限られてくるよ。五、六人いれば多い方なんじゃないかな?」

 

それで多いのかよ!?

つーか、俺がその中の一人ってこと!?

 

でも、今の冥界は戦がないから、昇格しようとすれば大きな契約を取るかレーティングゲームで活躍するかのどちらかだ。

 

そんな中で昇格試験を受けられた俺達は特例なんだと思う。

 

それにしても、上級悪魔の受験者少なくない!?

 

「イッセー君、試験開始前に一つ」

 

木場が真剣な表情で俺の隣に立った。

 

「どうしたよ、改まってさ」

 

「君と出会えてよかった」

 

「何を言い出すかと思ったら・・・・・・。突然どうしたんだよ?」

 

「君がいなければ僕は昇格なんて出来なかったと思うからね。伝えておきたかったんだ」

 

「また大袈裟な・・・・・。俺がいなくてもおまえなら十分強くなれただろう?」

 

「いや、僕はイッセー君の背中を見てなかったらここまで来れなかったと思う。君と肩を並べる男になりたい、その一心で僕はここまで歩いてこれた」

 

大袈裟な・・・・・って言いたいけどこいつの目は本気だ。

本当にそう思ってるんだろうな。

 

俺は息を吐いて、木場に拳を差し出す。

 

「ま、何にしてもだ。一緒に合格しようぜ」

 

「もちろん。合格したら君は上級悪魔で僕は中級悪魔だけど、いつかは追い付いてみせるよ」

 

木場は笑んで、俺と拳を合わせる。

 

「うふふ。熱い友情ですわね。私も混ぜてもらおうかしら」

 

朱乃もニッコリ微笑んで俺達の拳の上に手を乗せる。

 

「全員で合格しよう!」

 

「「はい!」」

 

俺の言葉に二人は同時に返す。

 

「皆さん、書類を取ってきましたわ! あちらのスペースで記入しましょう!」

 

レイヴェルの先導のもと、俺達は受付用の書類に記入することに。

 

ついに試験が始まる!

 

 


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