ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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この章は少し短くなるかもしれません。


6話 姉心

休日でも試験勉強に取り組む俺達。

 

リビング近くの空き部屋を勉強専用の部屋にして、棚には教科書やら参考書やらが納められている。

大半が俺の上級悪魔の試験対策用のものなんだけど・・・・・。

 

そんな環境下でリアス達に教わりながらノートに文字を書いていく。

木場や朱乃も同様。

 

そして、その様子をじーっと見てくるゴスロリ少女が一人。

オーフィスだ。

 

あれから数日が経つがオーフィスは部屋の端で俺達に視線をずっと向けているんだ。

母さんに渡された茶菓子をポリポリ食べながら。

 

一応、家に住む条件の一つとして、オーフィスと黒歌達には俺達の勉強を邪魔しないように言ってある。

向こうもそれを守ってか、特にこれといったことはしてこないし、問題を起こしたりもしていない。

 

ただ、落ち着かないんだよね・・・・・・。

流石に毎日ずっと視線を送られると、少し辛いものがある。

いや、何もしてこないんだけどさ。

 

黒歌とルフェイとフェンリルは地下の屋内プールで遊んでいる。

この二人と一匹には家から出ないように申しつけてある。

 

承諾してくれたんだけど、ルフェイはともかく黒歌がなぁ・・・・・・・。

あいつはどこかで抜け出しそうだ。

 

「イッセー様。この分野の問題ですが、まだ点数が安定してませんわ」

 

と、レイヴェルが俺の解答用紙を見て指摘する。

 

うーむ、元七十二柱の各御家の名前やら特徴はバッチリだし、人間界へ住むときのルールも覚えた。

それから断絶した家の生き残りの保護方法も当然覚えた。

このあたりは普段の悪魔の仕事でリアスを見てきてるからいける。

他の基本問題とちょっとした応用問題なら、大体解ける。

 

問題は冥界の政治と経済、それに領地の自治・・・・・。

そのあたりは上級悪魔の試験だけあって流石に難しい。

上級悪魔は自分の領地を持って治めたりもするから、当然と言えば当然なんだけどね。

 

「試験日もすぐだし、そこを集中的にやった方が良いかな?」

 

「そうですね。ただ、他の分野も怪しいところが幾つかありましたので、ここから先はイッセー様が苦手としている箇所をピックアップして取り組みましょう。まず――――」

 

そう言ってレイヴェルはパラパラとページを捲っていく。

 

本当に丁寧に教えてくれるよなぁ。

俺が苦手としてるところもチェック済みだし、分かりにくいところは噛み砕いて説明してくれる。

面倒見のいい娘だ。

 

 

「小猫ちゃん、大丈夫?」

 

「・・・・・大丈夫だよ、ギャー君」

 

気遣うギャスパーに小猫ちゃんは微笑んで返していた。

 

今日は体調がいいのか、小猫ちゃんは俺達と一緒に中間テストの勉強をしている。

 

・・・・・まだ顔が心なしか赤い。

 

あれから小猫ちゃんと俺は出来る限りの顔を合わせないようにしていた。

もちろん、小猫ちゃんの症状が収まるまでの我慢だ。

 

少し触れるだけでも、理性が本能に負けてしまう状態だからな。

なんとかしてあげたいけど、俺では逆効果になる。

 

俺も小猫ちゃんと普通に話せなくて寂しいが、小猫ちゃんも耐えてるんだから、俺も耐えないと。

 

 

と、アーシアが立ち上がり、オーフィスのもとへ。

 

「あ、あの、お菓子ばかりだとあれですから。これ、紅茶です」

 

紅茶の入ったカップをオーフィスに持っていった!

アーシアちゃん、勇気あるな!

 

オーフィスは無言でカップを受けとり、紅茶に口をつける。

 

アーシアはそれを確認するとニッコリ笑った後、戻ってきた。

 

「勇気あるな、アーシア・・・・・」

 

「そ、そんなに怖い方じゃないような気がしまして・・・・・。昨夜も美羽さんとイリナさん、イグニスさんとトランプしてましたし・・・・・」

 

「はぁ!?」

 

俺はその話に驚き、美羽とイリナの方を見る。

 

イリナは自信満々な笑みを浮かべてVサインを送ってきた。

 

「うん、誘ってみたの。最強のドラゴンとトランプできたわ」

 

「結構盛り上がったよね」

 

「ねー」

 

こ、この娘達、スゲぇ・・・・・・。

 

いや確かに少しの間接してきて、悪いやつって感じはしなかったけど・・・・・・。

いや、何を考えてるのか分からないって言った方が正しいか。

 

何にしてもトランプをやろうとは思えないかなぁ・・・・・。

 

 

あれ?

 

 

さっき、イグニスも参加したって言った?

 

まさかと思うが・・・・・・

 

「な、なぁ・・・・・イグニスもいたんだよな」

 

「いたわ」

 

「何か・・・・・した?」

 

「・・・・・・うん」

 

「ゴメン、詳しく頼む」

 

「え、えーと、トランプした後にオーフィスさんの胸を・・・・・・揉んでたよ」

 

「・・・・・・ついでに私達も揉まれたわ。私、危うく堕天しかけたんだけど・・・・・」

 

二人の報告を訊いてガックリと肩を落とす俺。

 

・・・・・・・イグニスェ・・・・・・・

 

あの駄女神・・・・・・後で説教してやる!

 

つーか、見境なしかい!

手当たりしだいに女の子に手出しやがって!

 

スケベな俺でもそこまで酷くはないぞ!?

 

木場が苦笑しながら言う。

 

「・・・・・イグニスさんの件はともかく、伝説に聞くウロボロスとは大分印象が違うね」

 

朱乃も同意し、頷いていた。

 

「混沌、無限、虚無を冠するドラゴンとは程遠い印象ですわよね」

 

『無限』と言われた『龍神』、か。

 

確かに今の光景だけを見てるとそんな風には思えない。

『禍の団』のトップだと訊いたときも「マスコットの間違いじゃねぇの?」なんてことを少し思ってしまったしな。

 

龍神、ドラゴンの神と称される存在らしいが、グレートレッドの方がドラゴンの神って感じがする。

 

ちらりとオーフィスに視線を向けると、相も変わらず俺の方をじーっと見ている。

 

この龍神様は俺から何を得ようとしている・・・・・?

 

 

 

 

 

 

それから少し経ち、昇格試験を目前に控えた深夜のことだった。

 

試験勉強を切りの良いところで切り上げた俺は試験に備えるために早めに寝たんだけど、深夜にトイレに行きたくなった。

そんでもって、今はトイレから部屋に戻る途中。

 

すると、上の階からいつもと違う空気が。

 

訝しげに思った俺は階段を上がって上の階、その部屋へと向かう。

 

その部屋の扉が少しだけ開いていて、部屋の中の様子が伺えた。

 

その部屋は小猫ちゃんの部屋。

そして、そこには黒歌がいた。

 

 

・・・・・・一応、気を消しておくか。

 

 

 

「ふふん♪ 一目で白音が発情期に入ったってわかったにゃん。あの男の遺伝子が欲しくてたまらないのかにゃ?」

 

「・・・・・姉さまには関係ない事です。出てってください」

 

「まぁまぁ。なんだったら、赤龍帝を落とす方法を伝授してあげてもいいにゃん♪」

 

ったく、黒歌のやつ何やってんだよ・・・・・・。

 

つーか、俺を落とす方法って・・・・・・ありがたいけど、今の小猫ちゃんには危険なことだ。

下手に刺激してもらっちゃ、困る。

 

小猫ちゃんが正常な時って言うか、そういうのが出来る時なら可!

 

・・・・・・まぁ、それは置いといてだ。

 

とにかく、今の小猫ちゃんにエロエロなことは吹き込まないでほしいところ。

 

ただ、どのタイミングで入室するか・・・・・・。

 

俺が入ってしまったら小猫ちゃんを刺激してしまわないだろうか・・・・・・?

 

そんなことを苦慮していたら――――

 

「んふふ♪ 部屋の中を覗いているいやらしいドラゴンさんがいるにゃ~?」

 

っ!?

 

バレた!?

気は完全に消してたぞ!?

 

「気は消してたみたいだけど、猫又だから匂いでわかっちゃうにゃん♪」

 

あちゃー、そっちか・・・・・。

そういや、小猫ちゃんも嗅覚が鋭かったな・・・・・・。

 

だけど、バレてるなら話は早い。

 

俺は迷わず小猫ちゃんの部屋に入室した。

 

「・・・・・イッセー先輩」

 

「お邪魔するよ、小猫ちゃん。・・・・・黒歌、今の小猫ちゃんに色々吹き込むのはやめろ」

 

「色々って何のことかにゃー? ハッキリ言ってくれないと分からないににゃん」

 

「その顔は分かって言ってるだろ!? おまえはスケベ親父か!?」

 

「むっ、それはヒドイにゃん。まぁ、私は白音の様子を見に来ただけよ。様子を見て発情期に入っちゃってることはすぐにわかったし。姉としては当然でしょ♪」

 

黒歌は可愛くウインクするけど、小猫ちゃんは表情を険しくする一方だ。

 

「この状態はとても敏感にゃん。こうするとね―――」

 

黒歌は小猫ちゃんの腕を引っ張り、俺の方に突き出してくる!

 

俺の胸に飛び込む小猫ちゃん。

 

「・・・・・・っっ!」

 

小猫ちゃんは途端に切ない表情をして目元を潤ませる。

 

「・・・・・にゃぁぁぁ・・・・先輩・・・・・・」

 

小さく官能的な声をあげて、さっきまでぶるぶると振り回していた尻尾が俺の腕に巻き付いてくる。

 

「どんなに我慢しても好きな男の肌に触れてしまえば、途端に子作りはたくなってしまうのよ。赤龍帝、白音はあんたの子供が欲しくてたまらない状況になっているのにゃ」

 

いや、そんなこと言われても・・・・・・。

 

俺としては今の小猫ちゃんに大きな負担をかけたくはない。

小猫ちゃんが死ぬようなことは絶対に避けたいことなんだ。

 

うぅ・・・・小猫ちゃんが体をすりすりしてくる!

 

理性が本能に流されてしまったのか、エロい表情で俺の服を脱がしてくる!

つーか、自分のも脱ぎ始めてるし!

 

小猫ちゃんのちっこいおっぱいがぁぁぁぁあああ!!!

 

「イッセー先輩・・・・・・私の体じゃ、ダメですか・・・・・?エッチできませんか・・・・・? 私は十分に先輩を受け入れられます・・・・・。いろんなところがちっこいですが、女の子の体です。だから・・・・・先輩の赤ちゃんが欲しいです・・・・・・」

 

そんな切ない瞳で迫らないでくれぇぇぇえええ!!

色々元気になっちゃうでしょぉぉぉおおおお!!

 

落ち着け、俺!

俺が小猫ちゃんを抱けば小猫ちゃんは死ぬ!

 

今は我慢だ!

我慢するんだ、俺!

 

俺は小猫ちゃんの肩を掴んで落ち着かせようとした。

 

しかし、小猫ちゃんがバランスを崩し倒れそうになった!

 

「危ねぇ!」

 

俺は間一髪、小猫ちゃんの下に回りその体を受け止めることに成功!

いやー危なかった・・・・・・。

 

小猫ちゃんはどこも打ってないと思うけど・・・・・・。

 

「大丈夫、小猫ちゃ――――」

 

そこまで言いかけた時、今の状況に気づく。

 

小猫ちゃんの顔が俺の眼前にあって、互いの息づかいが聞こえる距離にあった。

さっき、小猫ちゃんが俺と自分の服を脱がしてたから、互いの肌が直で当たってる。

 

トクンという小猫ちゃんの鼓動まで聞こえてくる!

 

小猫ちゃんは覆いかぶさるように抱き着いてきた!

 

「・・・・鳥娘には負けたくない。先輩をとられたくないです・・・・・・。マネージャーができなくても、先輩の欲求を満たすことはできると思います・・・・・」

 

何気ない素振りを見せていたが、レイヴェルの事を気にしていたのか・・・・・。

 

そういえば、試合の前にもそんなことあったか。

レイヴェルに俺を取られたくないって。

 

俺としては先輩冥利に尽きるんだけど、発情期と相まってその想いが強くなったのか・・・・・?

 

小猫ちゃんが俺のことを想ってくれるのは嬉しい。

 

でもな・・・・・・。

 

「そいつは間違ってるよ」

 

「先輩・・・・・・?」

 

小猫ちゃんは火照った顔を上げて聞き返してくる。

 

俺は小猫ちゃんの頭をやさしく撫でながら言った。

 

「小猫ちゃんはレイヴェルと違う。小猫ちゃんには小猫ちゃんの良さがあると思うぜ? それからもう一つ。俺は自分の欲求を満たすために小猫ちゃんを抱くなんてことはしない」

 

俺は一拍置いた後にハッキリと言った。

 

「俺が女の子と一緒になる時は、互いの準備が出来てからだ。今、俺が小猫ちゃんを抱いちゃったら、小猫ちゃんは後々後悔すると思う。俺だってそんなのは嫌だ」

 

今の小猫ちゃんは本能の赴くままに動いてるだけ。

そんな状態でして良いことじゃない。

 

小猫ちゃんは俯くと小さな声を漏らす。

 

「・・・・・・私じゃ、ダメですか?」

 

「ダメなもんか。だけど、今の小猫ちゃんじゃダメなんだ。俺は小猫ちゃんを死なせたくないし、後悔もさせたくない」

 

 

だから――――

 

 

俺は小猫ちゃんの小さな体をギュッと抱き締めた。

 

強く・・・・・だけど、やさしく包み込むように。

 

「今はこれで我慢な? 俺も今は我慢するからさ」

 

「・・・・・先、輩・・・・・」

 

瞳にうっすらと涙を浮かべる小猫ちゃん。  

だけど、さっきよりも僅かに瞳の色が良くなってる。

 

少しは理性を取り戻してくれたかな?

 

黒歌が感心したかのような口振りで言う。

 

「へぇ。赤龍帝ちんのことだから、タジタジになると思ってたんだけど、耐えちゃうんだ。これは予想外にゃん。女の子を知ったのかにゃ?」

 

「うるせーよ」

 

まぁ、当たってるけど!

 

黒歌は俺達の方へと近づくと、しゃがみこみ、小猫ちゃんの首筋をちょんと突いた。

 

すると、小猫ちゃんの体がビクンと一度だけ跳ねる。

 

途端に小猫ちゃんの体から全ての力が抜けていき、へたりこんでしまった。

 

黒歌は小猫ちゃんを俺から引き離して、横に寝かせる。

 

「残念だったわね、白音。赤龍帝ちんったら思ったより意志が強いみたい。まぁ、どのみち、そんな体で子を宿せば母子共に死ぬにゃん。どうしても欲しいのなら、私みたいにコントロールできるようになるまで待つべきにゃん。ねぇ、赤龍帝」

 

「なんだよ?」

 

「私の方がお得よ?」

 

「は?」

 

いきなり訳のわからんことを言ってきたな。

 

お得?

 

「白音はまだ無理だけど、私なら全然余裕にゃん。私と交尾してみない?」

 

「は、はぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「前にも言ったでしょ? 私、ドラゴンとの子供が欲しいのよ」

 

確かに言われたけど!

前回、ロキの一件で家に来たときに言われたけど!

 

この状況で言うか!?

 

た、確かに黒歌の体つきはエロくて、おっぱいの感触も最高だけど!

 

「・・・・・・ダメッ!」

 

話を聞いてたのか、小猫ちゃんは力の入らない体を必死に揺り動かして、黒歌から俺を守るように抱きついてきた。

 

「・・・・・私の先輩です。・・・・姉様には絶対にあげません!」

 

小猫ちゃんの必死の叫びだった。

 

うぅっ・・・・・そこまで俺のことを想ってくれいるなんて・・・・・!

 

お兄さん、感動して涙出そう!

 

その様子を見ていた黒歌は呆気にとられた後、ふっと小さく笑んだ。

 

「・・・・・ちょっと、そこの黒猫さん?」

 

第三者の声。

 

首だけ振り返れば、ドアのところにレイヴェルが立っていた!

 

「ありゃ、フェニックスのお嬢さん」

 

レイヴェルはツカツカと黒歌に近づき物申す。

 

「小猫さんは今とても体調が優れませんの。小猫さんに何かすると言うのなら、たとえ小猫さんのお姉さんでもクラスメートの私が許しませんわよ!」

 

おおっ!

レイヴェルが黒歌にキレてる!

しかも、小猫ちゃんを心配してのことだ!

 

二人の友情が見えた気がしたぜ!

 

レイヴェルに物申され、再び呆気にとられる黒歌だが、

 

「白音の友達かにゃ? ふーん、いつの間にかこの子を心配する子が次々増えてるのね」

 

そう言って一瞬、小猫ちゃんの方に視線を移した。

 

それは今までの少しふざけたようなものとは違っていて――――

 

黒歌は部屋を出ていこうとする。

 

そして、すれ違い様に俺の耳元に囁いた。

 

「白音のことを想ってくれてありがとね、赤龍帝ちん」

 

――――やさしい声だった。

 

それだけ言うと黒歌はレイヴェルをのけて退室していく。

 

「貴重な猫魈、これからも大事にしてね♪ そうじゃないと種族的に危機にゃん♪」

 

後ろでに手を振って去っていった。

 

 

 

・・・・・・あいつ、やっぱり小猫ちゃんのことを・・・・・・。

 

 

 

俺は去っていく黒歌の背中を見て、ふっと笑った。

 

あいつもああ見えて不器用なのかね?

 

「小猫さん、大丈夫ですか?」

 

小猫ちゃんの体調を気遣うレイヴェル。

 

「レイヴェル、どうしてここに?」

 

俺が問うとレイヴェルは頬を染めて恥ずかしそうに答えた。

 

「・・・・・そ、その、私は小猫さんのクラスメートですし・・・・・・小猫さんの様子を見に来るのも私の役目かなと・・・・・。そ、それに! まだ日本に慣れない私の面倒を見るのが小猫さんの役目ですもの! 早く復調していただかないと困ります!」

 

レイヴェルも小猫ちゃんが心配だったのな。

 

普段は口喧嘩が多い二人だけど、やっぱり良い友達だと思えるよ。

 

にしても、レイヴェルも素直じゃないねー。

 

「・・・・・二人ともゴメンなさい。先輩、私のせいで・・・・」

 

申し訳なさそうに小猫ちゃんは俺とレイヴェルに謝る。

 

小猫ちゃんの表情からは赤みが消えていて、正常に戻っている。

 

・・・・・一応、確かめとくか。

 

「ちょっと触るよ」

 

「はい」

 

小猫ちゃんの了承をとって、俺は小猫ちゃんの頬に触れる。

 

触れること十数秒。

 

小猫ちゃんが興奮する様子はない。

 

「やっぱりか・・・・・。小猫ちゃん、体の調子はどう?」

 

俺が訊くと小猫ちゃんは自身の変化に気づいたようで、額やらお腹に手を当てたりして、驚きの表情を浮かべた。

 

「・・・・普通に戻ってます」

 

「は、発情期が止まりましたの・・・・・? いったい何が・・・・・・」

 

レイヴェルも驚いている様子だった。

 

黒歌が何かしらの術で発情期を止めたようだ。

 

「ふぅ・・・・・やっぱり不器用だな、あいつ」

 

「「?」」

 

俺の呟きに後輩二人は頭に疑問符を浮かべていた。

 

 

 

 


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