ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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第二章 戦闘校舎のフェニックス
1話 日々の光景と悩む部長です!!


俺、兵藤一誠の朝は早い。

起床は朝の五時。

ジャージに着替え、キッチンで水を飲んだ後は外に出て修業を行う。

悲しいことに俺は戦闘方面の才能は皆無だった。

だからこそ、毎日、生死の境をさ迷うような目にあいながらも力を求めた。

あの地獄の修行があったからこそ今の俺がある。

そして、今の力を維持・向上させるには日々の鍛錬が必要だ。

 

「真の意味で強くなるには近道なんてない、か………」

 

そんな師匠の言葉を思い出しながら、俺は玄関から走り出す。

まずは隣町まで十キロのランニング。

それが終わったら腕立てや腹筋などの基本トレーニング。

その次は錬環勁気功の修業として、木に垂直に立って、それを維持する修業。

感覚を研ぎ澄ませ、自分と周囲に漂う気のコントロールを行っていく。

もちろん、人に見られないようにしている。

基本的な修業はこんな感じだ。

 

そして、最近は更に―――――

 

「イッセー、迎えに来たぞ」

 

俺のすぐ横に転移してきたのはティアだ。

 

「おう。今日もよろしく頼むよ」

 

 

 

 

 

 

「でえええええあッ!」

 

ティアが俺の拳をかわして、地面に大きなクレーターが出来た。

振り抜いた拳の勢いがそのまま衝撃波となって、周囲の木々を激しく揺らす。

 

俺とティアは使い魔の森の近くにある山に来ている。

そこで、俺はティアに修業相手になってもらっていた。

 

「鋭い攻撃だが、まだまだ甘いぞ、イッセー!」

 

ティアはそう言って俺に魔力弾に放ってくる。

 

「くっ!」

 

俺は間一髪でそれをかわして、気弾を大量に放つが、それはティアのブレスで相殺される。

 

元の世界に戻ってきてから、俺がしていたのは先程語った基本的な肉体作りのみ。

今みたいな組手もしておきたかったんだが、俺の相手になってくれる奴がいない。

美羽が相手として立候補してくれたこともあるけど、美羽はこの世界の勉強もあったからな。

俺としてはそちらに時間をつぎ込んで欲しかったので、美羽との模擬戦はほとんどしたことがない。

美羽の力を把握するために軽い手合わせをしたぐらいだ。

もし美羽が誤って魔法を暴発させたら、という心配から確認をしたが、特に問題はなかった。

むしろ、美羽が超高レベルの魔法の使い手だということが分かったかな。

 

ちなみにだけど、今の俺は神器を一切使っていない。

錬環勁気功だけでティアの相手をしている。

 

俺が神器を使用していない理由は二つ。

一つ目は、赤龍帝の籠手はその能力上、所持者の力量が高いほど、より高い効果を得られるということ。

つまり、生身の俺が強ければ強いほど、籠手の効果が大きいということだ。

 

二つ目は神器が無くても戦えるようにすること。

ドライグの話では異能を封じる神器があるらしい。

もし、そんな相手と戦った時に神器が封じられたら、俺には生身で戦うしかない。

だから、生身の状態でも戦えるようにしておく必要があるということだ。

 

それから、こいつは神器を使わない理由とは関係ないが、ティアと生身でやりあっているのは戦いの感覚を完全に取り戻すため。

先日の堕天使との一件で認識した―――――今後、また戦いに巻き込まれる可能性があるということ。

それは悪魔に転生とか、そういうのは関係なしに、俺が力を呼び寄せる赤龍帝だからだ。

美羽をこちらの世界に連れてきてから数年、何事もなく平和な日々を過ごしていたから油断していたが………もう二度と油断はしない。

 

『まぁ、現段階でも相棒は相当強いがな』

 

ドライグはそう言ってくれるけど、俺はまだまだだと思う。

現に神器なしだとティアにはかなり劣るしな。

 

『奴は龍王最強を誇っているからな。それは仕方がないだろう。それに相棒よりも経験量が遥かに多い。相棒が遅れをとるのは当然のことだ』

 

だからといって、現状で満足するわけにはいかないだろ。

………俺はもう自分の無力さに嘆きたくないからな。

 

「いくぞ、ティア!」

 

俺は呼吸を整え、再びティアに向かっていった。

 

 

 

 

ティアと三十分ほどのガチンコバトルを終えた後、時刻はもうすぐ七時になろうとしていた。

家に帰った俺は汗を流した後、リビングに向かった。

 

「あ、イッセーさん。おはようございます。朝の修業お疲れさまでした。お茶をいれますね」

 

そう言ってお茶を渡してくれるアーシア。

いやぁ、朝から美少女の笑顔が見られるなんて幸せだなぁ!

朝食の手伝いをしていたのか、アーシアはエプロンを付けていてだな………なんか幸せな気持ちになるよね!

アーシアちゃん、マジで可愛いです!

癒されます!

 

「おう。ありがとな、アーシア。………美羽はまだ寝てるのか?」

 

リビングを見渡すと美羽はまだいない。

まだ、寝てるのか?

 

「美羽を起こしてくるよ」

 

「分かりました。では、私は朝食の用意をしておきますね」

 

アーシアはそう言うと母さんと共にキッチンに立ち、朝食の準備を再開する。

俺は楽し気に話す母さんとアーシアの姿を見ながらリビングを離れて、二階の美羽の部屋へと向かった。

 

「おーい、美羽ー。朝だぞー」

 

ドア越しに声をかけてみるが返事がない。

ドアをノックしても、反応がないところを見るにまだ夢の中のようだ。

 

俺はドアを開けて部屋に入り、ベッドを見ると、美羽は猫みたいに丸くなって寝ていた。

実は美羽は朝が弱い。

一時、俺と早朝の修行に取り組んでいた時期もあったんだけど………朝が弱すぎるせいもあり、今に至る。

まぁ、美羽は美羽で家の中でも出来る簡単な魔法の練習はしているようだけどね。

 

とにかく、流石に学校を遅刻させるわけにもいかないので、今回は起こさせてもらう。

 

「美羽、起きないと遅刻するぞ?」

 

俺が美羽の体を揺らしながら言うと、少し反応があった。

美羽は寝ぼけた声で、

 

「うーん………後、五………二十分………」

 

そんなことを言いながら寝返りをうつ美羽!

五分から二十分に延長されたよ!

どれだけ眠いんだよ!?

あっ、よく見たらベッドの隅に漫画が詰まれてる!

美羽め、昨日遅くまで読んでたな!

 

と、ここで俺はあることに気付く。

―――――美羽のパジャマのボタンが全部外れている!

しかも、ノーブラなもんで美羽が呼吸をするたびにおっぱいが揺れる!

 

えぇい、朝からなんて刺激的な光景を見せてくれる!

眼福じゃないか!

 

そんな感じで妹おっぱいに見とれていると―――――美羽に腕を掴まれた。

そして、そのままベッドの中に引きずり込まれる!

 

「むぐっ!?」

 

美羽が俺の頭を両腕でがっちりホールド。

俺の顔に美羽のおっぱいが押しつけられる!

すごく柔らかくて、温かくて、良い匂いがして………一生このままで良いかなって思えてしまう!

 

だけどね?

流石にここまで押し付けられていると呼吸が出来ないわけでして………。

 

「むぐぐぐ………み、美羽………。そんなに力を入れられると………い、息が………」

 

「えへへ~。ダメだよぅ。お兄ちゃん、そんなところ~」

 

ダメだ!

全く聞いてねぇ!

美羽は未だに夢の中!

お願い、美羽ちゃん!

お願いだから起きて!

お兄ちゃん、幸せだけど、このままじゃ昇天する!

天に召されてしまう!

 

いや………おっぱいで窒息死というのはある意味幸せなのか?

美羽のおっぱい。

おっきなおっぱい。

可愛い妹おっぱい。

………そう考えると、このまま死ぬのもありかもしれない。

 

そんなことを考えていると、

 

「イッセーさん、朝食の用意が出来ました。美羽さんは起きました………か?」

 

ドアのところにアーシアが!

バッチリこの状況を見られてるよ!

 

「ち、違うんだアーシア! こ、これは別に朝からそういうことをしているわけでは!」

 

俺が説明しようとした時だった。

 

「わ、私もイッセーさんに抱きつきます!」

 

ええええええええええええ!?

アーシアちゃん、いつからそんな大胆な娘に!?

 

「美羽さんだけなんてズルいです!」

 

アーシアはそのまま、ベッドにダイブしてきたのだった。

 

この後、俺はやっと起きた美羽とアーシアに経緯を説明。

顔を真っ赤にする二人を宥めるのに苦労することとなった。

 

 

 

 

朝、教室にて。

 

「アーシアちゃんに美羽ちゃん、おっはよー!!」

 

「二人とも、おはよう。二人は今日もかわいいな」

 

登校した俺達三人に気付いた松田と元浜が挨拶をしてきた。

 

「おはようございます、松田さん、元浜さん」

 

「松田君、元浜君、おはよー!」

 

アーシアと美羽が挨拶を返すと、二人は感無量の表情になりながらしみじみと口を開く。

 

「元浜君!」

 

「ああ! 分かるぞ松田よ! 美少女達から挨拶! 朝から生き返る思いだ!」

 

まぁ、その気持ちは分かる。

俺も毎日、生き返る思いをしている!

今日みたいに疲れることもあるけど………。

それでも、嬉しいことには変わりない。

 

そういえば、こいつら俺に挨拶は?

 

「なぁ、俺もいるんだけど」

 

俺がそうそう言うと般若の形相で俺を睨んできやがった!

 

「うるさいわ! この裏切り者め!」

 

「そうだ! 美羽ちゃんだけでも羨ましいのに、アーシアちゃんがホームステイだと!? ふざけるな!」

 

「おまけにオカルト研究部にまで入部だと!? おまえがあの美女美少女軍団と同じ部活に入るなど言語道断! 今すぐ退部するか、俺達を紹介しろ!」

 

「そうだ! あるいは誰か可愛い娘を紹介しろ!」

 

「「お願いします!!!」」

 

そう言って俺にしがみついてくる二人。

しかも、目にはうっすら涙。

 

「おまえら怒るか泣き付くのか、どっちかにしろよ! つーか、離れろ!」

 

何で朝から男にしがみつかれなきゃいけないんだよ!

むさ苦しい!

 

「俺達と同じエロ三人組であるおまえだけが女の子に囲まれる生活なんて間違っている!」

 

そんなこと言われてもなぁ。

ほとんど、成り行きみたいなところもあるし………。

紹介しろって言われても………。

 

「知り合いに乙女ならいるんだが………」

 

「マジか! その娘で良い! 頼むから紹介してくれ!」

 

「イッセーよ、俺も頼む!」

 

そこまで言うなら仕方がない………。

俺は携帯を取りだし、電話帳を開き、とある人物に電話をかけた。

 

「あ、もしもし。俺です、イッセーです。えっと、俺の友人が会ってみたいそうなんですが………。あ、良いですか? ………分かりました。ありがとうございます。では、また」

 

俺は電話を切り、話した内容を軽くメモをして、松田と元浜の方を見る。

二人とも目が真剣だな………。

 

「で? どうだったんだよ、イッセー!」

 

「あぁ、まぁ、会ってくれるそうだ。このメモの場所にこの時間に待ち合わせだそうだ。友達も連れてくるってよ」

 

メモを受けとる元浜と松田。

すると、まるで神様でも崇めるかのように俺を見てきて、

 

「ありがとうございます! イッセー殿!」

 

「この恩、一生忘れません!」

 

おお、二人とも舞い上がってるが、ここまで喜ばれると少し罪悪感が………。

いや、嘘は言ってない。

乙女は紹介した。

それで良いって言ったのはこいつらだ。

俺は悪くない………はず!

 

「で、その乙女の名前は?」

 

「………ミルたん」

 

 

 

 

 

 

放課後。

俺は今、オカルト研究部の部室で木場と将棋をしていた。

 

「木場。王手で詰みだ」

 

「あ………。これで二勝三敗。イッセー君の勝ち越しだね。僕も将棋には結構自信があったんだけど」

 

「まぁ、ギリギリだけどな。今の勝負だって、俺も危なかったところが結構あったし」

 

将棋は俺の勝ちで終わりか。

 

「祐斗先輩に将棋で勝てるイッセー先輩はかなり強いです。………すごく意外ですけど」

 

小猫ちゃんにそう言われるけど………誉められてる気がしないのはなぜだろう。

 

「ああー! また、負けたぁぁぁぁぁぁ!」

 

悲鳴を上げたのは美羽だ。

どうやら、部長とチェスの対戦をして負けたらしい。

 

頭を抱える美羽を見て微笑む部長。

 

「フフッ。美羽ったら序盤はいい線いってるのだけれど、詰めが甘いわ。最後の最後のでいつもミスをしているんだもの」

 

「うぅぅ………」

 

涙目で唸る美羽。

まぁ、初心者だからしょうがないって。

 

「部長、今度はイッセー君とやってみませんか? 彼、チェスも強いかもしれませんよ?」

 

 

 

 

それから少しして、

 

「ふぅ。正直、危なかったわ」

 

息を吐き、ソファの背もたれにもたれる部長。

木場の提案で俺と部長はチェスを一戦だけやってみたが、結果は俺の負けに終わった。

 

「イッセー、あなた、本当に初心者なの? 私がここまで苦戦するのはソーナくらいよ」

 

「チェスはルールくらいで、やったことはないです。まぁ、将棋は得意なんで。それでですかね」

 

昔、父さんや死んだ爺ちゃんと結構してたから将棋には自信がある。

ただ、チェスは将棋と違って取った駒は使えない。

この違いが難しいところでもある。

 

「駒と駒の組み合わせが上手いから、すごく厄介だったわ。イッセー。あなたは将来、良い王になれそうね」

 

おおっ、部長からお褒めの言葉が!

俺の上級悪魔への道は一歩前進した………かも!

 

「イッセーさん、スゴいです!」

 

「流石はお兄ちゃん」

 

アーシアと美羽がそう言ってくれる。

ありがとうよ!

 

「美羽とアーシアはイッセーに一筋ね。二人が羨ましいわ………」

 

「部長? どうかしました?」

 

「いえ、何でもないわ」

 

笑顔でそう言ってくれたけど、どこか部長の表情が暗いような気がした。

 

 

 

 

 

その日の夜。

夕食を済ませた俺は自分の部屋のベッドで一人、横なっていた。

 

美羽とアーシアは風呂だ。

アーシアが家に来てからは女の子同士で風呂に入っているようで、二人とも仲良くやれている。

本音を言えば、二人と一緒にお風呂に入りたい!

美少女二人と混浴したい!

………が、流石になぁ。

美羽とは何回か一緒に入ったことはあるが、今はアーシアもいるしな。

なにより、我が家の風呂では狭すぎるのだよ………!

 

「決めた! 俺は上級悪魔になったら、でかい風呂のある家に住んでやる! そして、美少女達と混浴するんだぁぁぁぁぁぁ!」

 

などと言いながら、ベッドの上でゴロゴロしていた時。

突然、俺の部屋に魔法陣が描かれた。

 

「この文様はグレモリーの………ってことは」

 

魔法陣から現れたのは部長だった。

なんの連絡もなしに部長が来るのは珍しい。

 

「あ、部長。どうしたんですか?」

 

俺が尋ねると部長は何も言わず、ただこちらをじっと見てくる。

少しの間、無言が続くのだが………。

 

え、なに?

俺、何か怒られるようなことしたか?

もしかして、この間の契約活動でヘマをやらかしたとか?

いやいやいや、そんなはずはない。

俺はただミルたんとアニメ全話視聴していただけのはず!

怒られるようなことでは………よくよく考えると怒られることのような気がしてきた。

 

「お、俺、何かやらかしました?」

 

「………イッセー」

 

「は、はい」

 

「今すぐ、私を抱きなさい」

 

………。

 

予想外過ぎる発言に部屋が静まりかえる。

 

今、部長は何て言った?

俺に部長を抱けって言った?

俺の聞き間違い………だよな?

部長はいきなり、そんなこと言う人じゃないし。

 

「す、すいません部長。………今、なんと?」

 

俺が聞き返すと、部長は無言のまま俺を押し倒して馬乗りになった!

なんだなんだ、この状況は!?

 

「ち、ちょっと、部長!?」

 

「お願い………。祐斗は根っから騎士だからダメだろうし、あなたはこういうことに興味あるでしょう?」

 

「え、えーと………すいません。どういうことなのか、思考が全く追い付かないんですけど」

 

「………イッセー!」

 

「は、はい!」

 

「至急、私の処女を貰ってちょうだい!」

 

おおぅ、こういう時、どうすれば良いのか分かんないぜ!

 




うーん。

文章が雑になったような・・・・

次回はもっと上手く書けるように頑張ります!

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