ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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19話 ゲーム終了! 学園祭に色々お楽しみです!

気付いたら、俺は真っ白な世界にいた。

 

ここは・・・・・神器の中か?

 

ふにふにと頭に気持ちいい感触があって、程よい寝心地だ。

 

「気づいた?」

 

ふと、顔を上に向けるとイグニスが微笑んでいるのが見えた。

 

「イグニス? ここは・・・・・」

 

「私の中よ。ドライグも歴代の子達もいないでしょ?」

 

そう言われればそうか。

 

って、俺、イグニスに膝枕されてたのか・・・・・・・。

 

「私の膝枕はどう?」

 

「スゲー気持ちいいよ。安らぐ」

 

「ふふふ」

 

イグニスは俺の頭を撫でる。

 

こうして見てると女神って感じがするんだけどなぁ。

美人だし、こんな感じに母性があるところもあるし。

 

普段が残念すぎる・・・・・・。

 

「むっ・・・・今、失礼なこと考えたわね?」

 

うっ・・・・・鋭い・・・・・・。

 

「い、いや? そ、そんなことはないぞ?」

 

「疑問形になってるわよ」

 

「ハハハハ・・・・・・・」

 

まぁ、親しみやすいお姉さんってことには違いないかな。

色々ツッコミどころは多いけど。

 

俺が苦笑していると、イグニスが言う。

 

「お疲れさま、イッセー。素晴らしい戦いだったわ」

 

「最後はただただ殴り合っただけだけどな。二人ともボロボロになった」

 

最後は小難しいテクニックなんて捨てて、ただ殴り合った。

俺達は必死だったけど、周りから見ればドロドロの試合に見えたかもね。

 

俺がそう言うとイグニスは首を横に振った。

 

「それがいいんじゃない。夢を、想いを真っ直ぐにぶつけ合う。たとえ、ボロボロになって血塗れになってでも、その姿は美しいものよ。――――あなた達の魂は本当に綺麗だった」

 

 

――――――っ。

 

 

・・・・・・いつもの駄女神はどこに行ったんだよ?

 

急に女神っぽいこと言い出すなんてな。

 

 

 

でも・・・・・凄く嬉しい。

 

 

俺達の想いが応援してくれていた皆にも届いているような気がしたから。

 

「イッセー、あなたはサイラオーグに言ってたわね。希望を見せる人だと。・・・・・でも、それはあなたも同じよ。こっちの世界でもあれほどまでにあなたを応援してくれる人達がいる。あなただって希望を見せる人なの」

 

そう言うとイグニスは手元に赤く輝く球を作り出した。

 

それを俺の胸に当てる。

 

「それは・・・・・・?」

 

「これはあなたの可能性を私が集めたもの。あの時、僅かに漏れた可能性の欠片よ」

 

あの時って・・・・・・リアスとアリスのおっぱいをつついた時ね・・・・・・。

 

あの時、僅かに動いたらしいけど・・・・・その時に例の領域から解き放たれたものがこれか。

 

「これには私の力も少し混ぜてあるの。いつも頑張ってるご褒美よ。それにこの力はそのうち必要になってくると思うしね」

 

赤い球が俺の体に入っていく。

 

 

 

ドクンッ

 

 

 

その瞬間、俺の胸が強く脈打った。

 

こいつは―――――

 

「これからも励みなさい。あなたならこれを使いこなせるわ。いつかは本当の私も―――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで俺は目が覚めた。

 

視線の先には見知らぬ天井。

 

「ここは・・・・・・?」

 

周囲を見渡せば真っ白な部屋で、俺は包帯にくるまれていた。

 

どうやら、試合が終わった後、俺は病院に運ばれたらしい。

 

ケガはアーシアが治療してくれたのか治っている。

だけど、消耗が激しいな・・・・・・・。

 

「目が覚めたか」

 

聞き覚えのある声が聞こえた。

 

声がした方を振り向くと同じく包帯姿のサイラオーグさんがいた。

 

「同じ部屋だったんですね」

 

「ああ。病室なら余っているだろうに。サーゼクス様かアザゼル総督が、体力が回復するまでの話し相手としてマッチングしてくれたようだな」

 

「みたいですね」

 

まぁ、入院生活って暇だしね。

話し相手がいるのはありがたい。

 

「・・・・・負けたか」

 

サイラオーグさんがそう呟く。

 

「・・・・・悪くない。こんなにも充実した負けは初めてかもしれない。だが、途中からはよく覚えていない。気がつけばここにいた」

 

「俺も無我夢中だったので所々記憶が抜けてますよ」

 

「それでも、一つだけハッキリしている。――――最高の殴り合いだった」

 

「ですね。あれだけボロボロになったってのに、気分が良いんです」

 

お互いに笑みを浮かべ、笑う。

 

そこへ入室してくる者がいた。

 

「失礼するよ」

 

紅髪の男性、サーゼクスさんだ。

 

「サーゼクスさん」

 

「やあ、イッセー君、サイラオーグ。素晴らしい試合だったよ。私も強くそう思うし、上役も全員満足してくれたよ。二人の将来が実に楽しみになる一戦だった」

 

サーゼクスさんは激励を俺達に送ると、近くの椅子に腰をおろした。

 

「さて、イッセー君に話があるんだ。サイラオーグ、少し彼と話してもいいだろうか?」

 

「俺は構いませんが・・・・・席を外しましょうか?」

 

「いや、構わないよ。君もそこで聞いておいて損はないかもしれない」

 

サーゼクスさんは真面目な顔で言う。

 

「イッセー君。君に昇格の話がある」

 

 

・・・・・・・・

 

 

一瞬、何を言われたのか分からず、フリーズする俺。

 

「昇格? えーと、俺がですか?」

 

サーゼクスさんは頷く。

 

「正確には君と木場君と朱乃君だ。ここまで君達はテロリストの攻撃を防いでくれた。三大勢力の会談テロ、旧魔王派のテロ、神のロキすら退けた。そして、先の京都での一件と今回の試合。これらが重なり、君達の昇格が決定された。おめでとう。これは異例であり、昨今では稀な昇格だ」

 

今まで強敵と戦ってきたのが評価されての昇格ということか。

 

 

マジか・・・・・・。

 

 

いつかは昇格したい。

そう思ってはいたけど、こうも早くその話がくるなんて・・・・・・。

 

「俺が昇格・・・・・」

 

俺の呟きにサーゼクスさんが朗らかに微笑む。

 

「君はそれだけのことをしてきたということだよ」

 

その言葉にサイラオーグさんも頷く。

 

「受けろ、兵藤一誠。おまえは冥界の英雄になるべき男だ」

 

「うむ。詳細は今後改めて通知しよう。きちんとした儀礼を済ましてからの昇格といきたいのでね。会場の設置や承認すべき事柄もこれから決めていかないといけない。それでは、これで失礼するよ。二人とも体を休めてくれ」

 

それだけを言い残すとサーゼクスさんは退室していった。

 

残された俺とサイラオーグさん。

 

「ふぅ・・・・・・」

 

「どうした? いきなりの昇格と聞いて現実味がわかないか?」

 

「うーん・・・・・まぁ、そんなところですかね。・・・・・でも、今は・・・・・・・・」

 

 

 

 

グゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・

 

 

 

 

俺の腹が盛大に鳴った。

 

「・・・・・・とりあえず腹が減りました」

 

 

 

この後、俺とサイラオーグさんは盛大に笑った。

 

そして、置かれていたバナナを仲良く分けた。

 

 

 

 

 

 

 

[アザゼル side]

 

ゲームの解説が終わった後、俺は要人用の観戦室に足を向けていた。

部下から「例の者」が姿を表したという報告があったからだ。

流石に解説中に抜け出せるわけがなかったのでこのタイミングとなってしまったが・・・・・・

 

要人用の観戦室は個室となっていて、オーディンの爺さんは「ヴァルハラ」専用、ゼウスやポセイドンのオヤジは「オリュンポス」専用と、各神話ごとに専用の部屋が用意されている。

 

俺が向かうのはその内の一つ。

 

と、俺がお邪魔するつもりだった部屋から「例の者」が護衛と共に出てきた。

 

五分刈りの頭、丸レンズのサングラスにアロハシャツ、首には数珠というラフな格好だ。

 

まぁ、その点に関しては俺も人のことは言えないがな。

 

俺は「例の者」―――――帝釈天に話しかけた。

 

「これは帝釈天殿、ゲームはいかがでしたかな?」

 

「よー、正義の堕天使さん! イカしたゲームだZE! 現魔王派と癒着しているあんたにとってみれば『教え子』が勝ってよかったんだろ? グレモリーチーム、ありゃ常軌を逸したメンツが集い過ぎだ。並のチームじゃ相手にできんだろ」

 

常軌を逸したメンツね・・・・・・。

 

それは否定しない。

 

今のグレモリー眷属はイッセーを筆頭に猛者が揃っているからな。

 

だが、こいつが言うと皮肉にしか聞こえねぇ。

 

全勢力のトップ陣でも最高クラスの実力者。

戦いの神『阿修羅』に勝った武神、天帝。

 

俺はどうしても訊きたいことがあった。

 

京都で起きた英雄派のテロに関することだ。

 

「訊きたいことがある。」

 

「HAHAHA! ンだよ、正義の堕天使兄さん! 俺様で良かったらなんぼでも答えてやンぜ?」

 

「神滅具所有者のことを、曹操の事を俺たちよりも先に知っていたな?」

 

イッセーからの報告では初代孫悟空は曹操のことを知っていた。

 

こいつの配下である孫悟空が知っていたということは、こいつも曹操のことを知っている。

 

――――こいつは俺達が知らないところで、あの小僧と接触を持っていた。

 

帝釈天は意味深に口の端を愉快そうに笑ました。

 

「だとしたら、どうすんよ? 俺様があいつをガキの頃から知っていたとして何が不満だ? 報告しなかったこと? それとも・・・・・通じていたことか?」

 

・・・・・・・この野郎、自分からバラしやがった・・・・・・!

 

「インドラ・・・・・・ッ!」

 

俺は怒気の含んだ声でその名を呼ぶが、帝釈天は不敵に笑う。

 

「HAHAHA! そっちの名で呼ぶなんて粋なことをしてくれるじゃねぇか。そんな怖い顔をスンナや。それだったら、冥府の神ハーデスのやってることなんざ、勢力図を塗り替えるレベルだぜ?」

 

ハーデスのことも知ってるのか・・・・・・。

 

こいつ、どこまで「通じて」やがる・・・・・・?

 

帝釈天は俺に指を突きつけてくる。

 

「一つ言っとくぜ、若造。どこの勢力も表面は平和、講和なんてもんを謳ってやがるがな、腹の中じゃあ『他の神話なんて滅べ、クソが!』って思ってンだよ。オーディンのジジイやゼウスのクソオヤジが例外的に甘々なだけだぜ。信じる神が少なきゃ、人間どもの意思を統一できて万々歳だからな! だいたい、てめぇらの神話に攻め込まれて、民間の伝説レベルにまで落とした神々がどれくらいいると思う? ――――神ってのは人間以上に恨み辛みに正直なンだぜ?」

 

そんなことはわかってんだよ。

 

どこの神々も建前で協力体勢を呑んでも、腹の中では全く違うことを考えている。

 

だがな、今はその建前が大事な時期なんだよ!

 

勢力図が変われば人間界は簡単に滅ぶんだからな・・・・・!

 

帝釈天は息を吐く。

 

「ま、表向きは協力してやんよ。確かにオーフィス達は邪魔だからな」

 

オーフィス達、か。

 

そこには曹操も入っているのか?

 

「あー、そうそう。あの乳龍帝に言っておいてくれ。最高だったぜってな。・・・・・・だが、もし、世界の脅威になるようなら、俺が魂ごと消滅させてやるってよ。『天』を称するのは俺達だけで十分だ」

 

帝釈天はそう言って、去っていった。

 

 

世界の脅威、ね。

 

 

そいつは問題ないと思うぜ?

 

誰かがあいつの逆鱗に触れない限りはな。

 

 

 

[アザゼル side out]

 

 

 

 

 

 

「一列になってお並びくださーい!」

 

ウェイトレス姿の可愛らしい格好のアーシアが、廊下に並ぶ生徒達を整列させていた。

 

喫茶店に並ぶ長蛇の列だ。

 

オカルト研究部の出し物はお化け屋敷、占い、喫茶店、オカルト研究の発表など。

旧校舎を丸ごと使った出し物は大盛況だった!

 

我が部の美少女達に憧れるのは男子だけじゃなく、女子もいるから、男女ともにかなりの数だ。

 

「はーい、チーズ」

 

と、喫茶店で写真を撮っているのはウェイトレス姿のリアス。

 

部員と写真を撮れるシステムを作ったら、それがまた大当たりでソッコーで話題の的に。

 

俺?

 

指名なんてこないよ。

 

うちには木場がいるからな!

 

あのイケメンフェイスに勝てるわけねぇだろ!

クソッタレめ!

 

「やっほー。来たわよ、イッセー」

 

「大分賑わっているようだな」

 

声をかけてきたのはアリスとティアだ。

 

「来てくれたんだな」

 

「当たり前じゃない。私もこの学園に来るかも知れないんだし、こういうのはしっかり見ておかないとね」

 

「うむ。私はアリスの付き添いだが、こういうのも悪くない。今日は楽しませてもらう」

 

うん、しっかり楽しんでいるよね。

 

その手に握ったワタアメだとか、唐揚げだとかは屋台で買ってきただろ。

 

気になるのは、ティアの脇に抱えられた大きな箱だが・・・・・。

 

「それは?」

 

俺が指差して尋ねるとアリスが自慢げに答えた。

 

「これはね、野球部のバッティングコーナーで得た景品よ! 一撃でホームランを出してやったわ!」

 

「場外まで飛んでいってたな」

 

おいおい!

一般の人間がアリス相手に三振取れるわけねぇだろ!

 

少しは手加減しようぜ!?

 

・・・・・・・ま、楽しんでるなら別にいいか。

 

「お兄ちゃーん、こっちも手伝ってよー」

 

「あー、わかったわかった。それじゃあ、二人とも楽しんでいってくれ」

 

美羽に呼ばれた俺は二人にそう言うとお化け屋敷に使っている教室に入った。

 

そう、俺はこの時間、お化け屋敷のフランケンシュタイン役。

メイクもしている。

 

ギャスパーはドラキュラ役だが怖いどころか可愛くなっていた。

 

そんで、美羽は雪女!

 

白い着物を着て、メイクをしているんだが・・・・・・こちらは妙に色気があってだな。

薄い着物の隙間から覗かせる美羽の太ももやら胸元がエロいことに・・・・・・。

 

眼福だ!

 

・・・・・だが、この姿を他の男子に見せるとなると・・・・・・・!

 

「ボク、あと10分くらいしたら喫茶店だから、もうすぐ抜けるね」

 

「了解。・・・・・変なことされたらすぐに言えよ? その時は・・・・・俺が絞める!」

 

そりゃあ、美羽に手を出そうってんなら、お兄さん怒るからね!

 

「・・・・・お客さん絞めたらダメだよ」

 

『シスコンめ』

 

『恋人同士になったからいいのかな・・・・・?』

 

相棒二人が何か言ってた。

 

 

 

 

 

 

それから少し時間が経った頃。

 

場所は変わって一階奥のチケット売り場。

 

現在、作ったチケットが売り切れていて、レイヴェルが作ってくれている。

 

机にはチケット売りきれの札を出しているんだが、向こうの方にはチケットの再販をまだかまだかと待つお客さんの姿。

 

まぁ、チケットが出来るまで待ってなさい。

 

そんなわけで今の俺はちょっと休憩してる。

 

で、隣にはアザゼル先生。

 

「先生のUFOはどうですか?」

 

「こっちもそれなりに人は来てるな。さっき、UFOの研究家が来てな。中々充実した議論が出来た」

 

・・・・・・全力で楽しんでるな、この人。

 

教師の仕事はしてるのだろうか?

 

まぁ、どうせ後でロスヴァイセさん辺りに説教されるんだろうなぁ。

 

「それで、サイラオーグさんを支援していた上層部が手を引いたってのは?」

 

俺は先生から試合後の上役の動きを聞かされていたんだ。

 

どうやら、サイラオーグさんを支援していた上役が何人か手を引いたらしい。

 

「ああ。ま、俺から言わせれば手を引いた奴らは馬鹿だと思うがね。おまえとあれだけ打ち合えるってのは、ほとんど魔王と打ち合えるって言っているようなもんだぜ? それを理解してない奴がいるってことに俺は驚いたね。サイラオーグとの手を切っていない奴はそこんところを理解しているんだろうな」

 

それでも、サイラオーグさんは上へのパイプをいくつか失ったことになるのか・・・・・・。

 

「大王次期当主の座は?」

 

「そこは変動なしだ。滅びを持たないとはいえ、あれだけの実力者だ。民衆からの支持もある。大王家の連中があいつを気に入らなくても、そう簡単には下ろせないさ」

 

なるほどね。

 

聞いた話だと大王家はサイラオーグさんを嫌ってるみたいだから、今回のゲームに敗北したことで何かしらしてくるかと思ったんだけど・・・・・・どうやら、杞憂に済んだらしい。

 

「ま、そういうことだ。今回の敗北で上へ上がるのが少し遅くなるだけのこと。あいつなら直ぐにでも戻ってくる」

 

そうだな。

 

あの人なら――――――。

 

「おーい! アザゼル先生ー! 知り合いからUFOの写真を送ってもらったぞー!」

 

と、向こうの方から丸眼鏡をかけたおじさんが手をブンブン振って先生を呼んでいた。

 

あの人が研究家かな?

 

「マジでか! よーし、さっきの続きといこうか!」

 

先生はテンション高めにおじさんの方へと歩いていった。

 

うん、あの人が一番楽しんでいるように見える!

つーか、絶対教師の仕事してねー!

 

「イッセー様、新しいチケットができましたわ」

 

「おっ、サンキューな」

 

どうやら、チケットの追加生産が完了したらしい。

 

チケット売り場の売り切れ札を取り払った瞬間、客がダッシュしてきた。

 

急ぎすぎだろ!

必死か、おまえら!?

 

「はい、占いの券ですね」

 

レイヴェルは学園祭を楽しめているようだ。

 

レイヴェルがチケットを売りながら言う。

 

「・・・・・イッセー様」

 

「ん?」

 

「試合、感動しました・・・・・・。最後、相手選手を抱き締めるイッセー様を見ていたら、私もつい泣いてしまって・・・・・・」

 

頬を赤くするレイヴェル。

 

おいおい・・・・・・どうした、突然・・・・・・。

 

「ま、まぁ、俺も気分が盛り上がっていたというか何というか・・・・・。改めて言われると恥ずかしいかな」

 

「そ、そんなことはないと思います! そ、そうですわ! 私、打ち上げのケーキを作ります!」

 

「おっ、いいね。レイヴェルのケーキは美味いからな。楽しみにしてるよ」

 

俺がそう言うと、レイヴェルは顎に手をやり大胆に言う。

 

「と、当然ですわ! 特別でしてよ!」

 

まぁ、これでこそレイヴェルだな。

 

そんなことを思っている間にチケット売り場に並ぶ列は長蛇の列と化していた。

 

こりゃ、しばらくは忙しくなりそうだ。

 

「イッセー! 親友優待とかないのか!」

 

「倍の金額出すから!」

 

しっかり並べよ、悪友共。

 

 

 

 

 

 

「だあー、疲れたー」

 

 

学園祭の終盤。

 

チケット販売を終えた俺は部室で一人、ソファーに寝転がっていた。

 

校庭ではキャンプファイヤーを焚いて、その周囲では男女が楽しそうに踊っていた。

 

俺は・・・・・・もう疲れた。

 

チケット売りだの喫茶店のウェイターだのお化け屋敷だのでもうヘトヘトてす。

バアル戦の疲れも残っているから余計にね。

 

ちなみにだが、アリスやティアの他にサーゼクスさんやセラフォルーさんも来ていた。

・・・・・・が、顔を見せてからすぐにグレイフィアさんと会長に引きずられていった。

 

魔王二人が引きずられていくその光景は何とも言えないものがあった。

 

とりあえず、今は横になってゴロゴロしてる。

 

このまま瞼を閉じれば一瞬で夢の中だろう。

 

皆もまだ戻ってくる様子はないし・・・・・・少し寝るか。

 

 

その時、部室の扉が開いた。

 

 

入ってきたのはリアスだった。

 

「あら、イッセー。お疲れさま」

 

「お疲れ。大盛況だったな」

 

「ええ。大変だったけど楽しかったわ。最後の学園祭、もう思い残すことがないくらいよ」

 

そっか。

 

リアスと朱乃は三年生だから、今年が最後になるんだな。

 

俺が上体を起こすと、リアスは隣に座る。

 

「・・・・・・・」

 

しばし無言が続く。

 

いや、リアスは何か言い出そうとしてるけど顔を赤くして言い出せないといった感じだ。

 

何か悩みが・・・・・・?

 

なんてことを考えている俺の視界にカレンダーが映る。

 

今日は日曜日。

明日は代休で休みか。

 

ふと見るとリアスの視線もカレンダーと俺を行き来していた。

 

 

 

・・・・・・・あ、そういうこと。

 

 

 

 

そういえば、約束だったな。

 

リアスに言う。

 

「リアス。明日、二人で出掛けようか」

 

明日は俺もリアスもフリーなのは分かってる。

 

「え?」

 

虚をつかれたかのように目を丸くするリアス。

 

俺はそんなリアスを見て微笑みながら言った。

 

「ほら、この間約束しただろ? ゲームが終わったらデートしようって。明日は休みだしちょうど良いんじゃないかな?」

 

「それは・・・・・・そうだけど。良いの? イッセー、疲れてそうだし・・・・・・」

 

「大丈夫だよ。これくらい一晩寝たら吹っ飛ぶさ。それに―――――俺がリアスと出掛けたいんだ」

 

「――――っ」

 

俺の言葉にリアスは一瞬、目を見開く。

 

我ながら強引なお誘いだとは思うが、リアスと出掛けたいってのは本心だ。

 

 

リアスの反応は―――――

 

 

 

リアスは俺の肩に頭を乗せると腕を組んできた。

 

そして、

 

「うん・・・・・・!」

 

顔を覗き込むと頬を赤くして、凄く幸せそうな笑顔をしていた。

 

こうなると完全に甘えモードなんだよね。

普段のお姉さまが完全に何処かへと行ってしまってる。

 

そこが可愛いんだけどね!

 

さて、今日は帰ったら明日のデートのプランを考えないとな。

 

「リアス、何処か行きたいところは―――――」

 

リアスの頭を撫でながら尋ねようとした。

 

 

その時だった。

 

 

ガチャ

 

 

「あ、イッセーさん。先に戻られていたのですね・・・・・・はうっ! イッセーさんがリアスお姉さまと・・・・・!」

 

アーシア達が入ってきたぁぁぁあああ!!

 

このタイミングでかよ!

 

何時もながらに凄いタイミングで入ってくるよね!

 

「あらあら。ずるいわ、リアス。私もイッセー君の隣に行きますわ」

 

そう言って朱乃がリアスの反対側へと座る。

 

そして、腕を組んできた!

 

 

むにゅぅぅぅ

 

 

朱乃のおっぱいが俺の腕を挟んでるぅぅぅぅうう!!

 

最高だ!

 

たまらんぜ!

 

「ちょっと、朱乃! 今、良い雰囲気だったのに、どうして入ってくるのよ!」

 

「私だってイッセー君と良い雰囲気になりたいですわ。ねぇ、イッセー君、あのこと覚えてる?」

 

「あのこと?」

 

はて?

 

朱乃とも何か約束したかな?

 

「負けたらお仕置き。私は相手の女王に負けてしまいましたから、イッセー君のお仕置きが欲しいですわ」

 

そ、それかよぉぉぉぉぉおおおおお!!!

 

おいおいおい!

 

あれを朱乃にもしろってか!

 

「あ、朱乃!? それはお仕置きなの!? ご褒美の間違いじゃないの!?」

 

リアスもそのツッコミはおかしい!

 

的確じゃないよ!

 

「鬼畜なイッセー君を体験したいのよ」

 

「だったら、私もイッセーのお仕置きを受けるわ! 私もあの獅子にやられそうになったもの!」

 

リアスゥゥゥゥゥウウ!?

 

自分が何言ってるか分かってる!?

 

冷静になってくれ!

 

「ふむ。お仕置きか・・・・・。私も負けてしまったからな。イッセーのお仕置きを受けようじゃないか!」

 

ゼノヴィア!?

 

なんでそんなに堂々としてるの!?

 

「わ、私もあまり役に立てなかったので・・・・・・お仕置きを受けますぅぅぅううう!!」

 

アーシア!?

 

アーシアも活躍してたよ!

 

皆のケガを治してたじゃん!

 

「・・・・・・私も最後に油断してしまいました。お仕置きを受けないといけません」

 

小猫ちゃんまで!?

 

油断することは誰でもあるって!

 

無理にお仕置きを受けようと思わないで!

 

「私も体験したいんだけど、試合には出てないしね・・・・・」

 

「うーん、ボクも出てないし・・・・・」

 

「私は多分堕ちちゃうから・・・・・見学かしら?」

 

レイナと美羽とイリナもそこで相談しないで!

 

「私は・・・・・遠慮しておきます」

 

流石はロスヴァイセさん!

 

よかった!

 

ようやくまともな人がいた!

 

『決まりね! 出場したロスヴァイセちゃん以外の女の子達はイッセーのお仕置きフルコースよ!』

 

おいぃぃぃぃぃぃ!!!

 

勝手に仕切るな、この駄女神!

 

当店ではそんなコースは扱っておりません!

 

「す、凄いです、イッセー先輩」

 

「うん。これからイッセー君はどうなるんだろうね?」

 

そこの男子二人!

 

傍観してないで助けてくれよ!

 

「家庭科室をお借りして、ケーキを作ってきましたわ!・・・・・・あれ? 皆様、どうかされたんですか?」

 

レイヴェルが大きなケーキを持って入室してくる。

 

ケーキを作ってくれたんだな!

 

ありがとう、レイヴェル!

 

でも、この状況への質問はやめてくれ!

 

『それじゃあ、お仕置きは今夜開催するわ! 場所はイッセーの部屋! 参加者は集まるように!』

 

「「「「おおーーーーー!!」」」」

 

イグニスの掛け声に女性陣が拳を上げた。

 

 

 

俺、この先どうなるんだろう・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 




というわけで、第十章学園祭のライオンハートは完結です!

原作の流れに沿いつつオリジナル要素も入れてみましたがいかがだったでしょうか?

次回は番外編を書きたいと思いますが、今のところ内容は考えていません!(申し訳ない!)
書けたら投稿します!

次章は昇格試験です!





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