ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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9話 ゲーム開幕!!

大歓声の中、俺達が目の当たりにしたのは広大な楕円形のフィールドの上空に浮かぶ二つの浮島だ。

 

フィールドに浮かぶ浮島の一つにサイラオーグさん達バアル眷属が揃っている。

 

『さぁ、グレモリーチームの皆さんも陣地へお上がりください』

 

アナウンスがそう促す。

 

どうやら、あの浮島が各陣営の陣地となるらしい。

 

俺達は浮島に繋がる長い螺旋階段を登り、上へと辿り着く。

 

俺達と向かい合う形でバアル眷属が見える。

 

かなりの距離があるけど・・・・・・このフィールド全体を使った空中大決戦的な感じかな?

 

陣地には人数分の椅子と謎の台。

それから、一段高いところに設けられた移動式の魔法陣らしきもの。

それ以外は特にない。

 

あちら側も俺達と同様のようだ。

 

今夜のゲームはどんな方式なんだ?

 

と考えていると―――――

 

「お兄ちゃーん! リアスさーん! 皆、頑張ってーーー!!」

 

何処からか美羽の声が聞こえてきた。

 

声がした方を振り向き、美羽を探してみると・・・・・・いた。

 

俺達の陣営の右手側の観客席に。

 

他にもイリナやアリスもいるんだが・・・・・・全員、学ランを着てハチマキをするという格好をしていた!

 

確かに応援団と言えばその格好が浮かぶけども!

 

ってか、アリスもよく着たな!

 

「イッセー! 負けたら承知しないわよーーーー!」

 

ノリノリか!

 

心配する必要なかったな!

 

とりあえず、応援ありがとよ!

 

 

あー、リアス達も苦笑してるし・・・・・。

 

もう笑ってやってくれ。

 

俺が美羽達に手を振っていると一人いないことに気づく。

 

レイナがいないんだが・・・・・席を外してるのか?

 

レイヴェルは美羽達と少し離れた席にいるようだが・・・・・。

 

ここで会場にアナウンスが響く。

 

会場に設置された超巨大モニターに映り込んだのはイヤホンマイクを耳につけたド派手な格好の男性だった。

 

『ごきげんよう、皆様! 今夜の実況は私、元七十二柱ガミジン家のナウド・ガミジンがお送りいたします! どうぞよろしく!』

 

おおー、実況つきなのか。

 

流石はプロ仕様のゲームだ。

 

『今夜のゲームを取り仕切る審判役にはリュディガー・ローゼンクロイツ!』

 

宙に魔法陣が出現。

 

そこから銀色の長髪に正装という出で立ちのイケメンが現れた。

 

「「「キャアアアアアアッ!! リュディガー様ぁぁぁあああ!!」」」

 

うおっ!?

 

女性を中心に凄まじい歓声が!

 

やはりイケメンだからか!?

 

イケメンが良いのか!?

 

「・・・・・リュディガー・ローゼンクロイツ。元人間の転生悪魔にして最上級悪魔。しかもランキング七位の人です」

 

小猫ちゃんが説明をくれた。

 

元人間の最上級悪魔!

しかも、レーティングゲームの現役トップランカーときましたか!

 

イケメンでそんなに強けりゃモテるわな!

 

って、そんな人が審判するとか豪華すぎる!

 

「でも、グレイフィアさんじゃないんだな」

 

ライザーの時とシトリーとの時はあの人だったから、今回もそうなのかと思ってたんだけど。

 

俺がそう呟くと朱乃が言った。

 

「大王家が納得するわけがありませんわ。グレイフィアさんはグレモリー側ですから」

 

・・・・・そう言われたらそうだな。

 

グレイフィアさんはサーゼクスさんの『女王』だし、グレモリーのメイドでもあるしな。

 

『そして、今回の特別ゲスト! 解説として堕天使総督のアザゼル様にお越しいただいております! どうも初めまして、アザゼル総督!』

 

 

 

 

・・・・・・・へっ?

 

 

 

と、画面一杯に見知った男性が映される。

 

俺達は全員唖然としていた。

 

男性――――アザゼル先生がニッコリと挨拶をする。

 

『どうも初めまして。アザゼルです。今夜はよろしくお願い致します』

 

あ、あ、あんた何してんのぉぉおおおお!?

 

そういや、今夜は特別な仕事があるって言ってたけど・・・・・これのことだったのかよ!

 

そうですか、今夜は解説者ですか!

 

 

あっ!

 

先生の隣にレイナがいる!

 

こっちに向かって可愛く手を振ってるよ!

 

そうか、レイナは先生の秘書だからついていったんだな。

 

ってか、軽くお化粧してる?

 

映るから意識したのだろうか・・・・・・。

 

『アザゼル総督はサーゼクス・ルシファー様をはじめ、各勢力の首脳の方々と友好関係を持ち、神器研究の第一人者としても有名でありますが、今日の一戦、リアス・グレモリーチームの専属コーチをされた上で、どう注目されているのでしょうか?』

 

『そうですね。私としましては両チーム共に力を出しきれるのかという面で――――』

 

うわー、営業スマイルだ。

 

営業スマイルで生き生きと解説しだしたよ。

 

あんなスマイル見たことないや。

 

紹介が終わったところでカメラが隣に移り、灰色の髪と瞳を持つ男性を映した。

 

『更に、もう一方お呼びしております!レーティングゲームのランキング第一位! 現王者! 皇帝ディハウザー・ベリアルさんですッ!』

 

「「「うおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」」」

 

今までで一番の盛り上がりを見せる観客席!

 

会場全体の振動がこちらにまで届いてくる!

 

ディハウザー・べリアルが朗らかに口を開く。

 

『ごきげんよう、皆さん。ディハウザー・ベリアルです。今日はグレモリーとバアルの一戦を解説する事になりました。どうぞ、よろしくお願い致します』

 

――――あの人が皇帝べリアル。

 

レーティングゲーム現王者。

 

実況者がアザゼル先生とディハウザー・ベリアルに話を振る中、リアスは画面を通して真剣な表情で見ていた。

 

皇帝ベリアルはリアスの将来の目標。

 

俺達もいずれは戦うことになるであろう人物。

 

「ディハウザー・ベリアル。いつか必ず――――。けれど、今は目の前の強敵を倒さなければ、私は夢を叶えるための場所に立つ事すら出来ないわ」

 

その通りだ。

 

今の俺達の相手は皇帝ではない、サイラオーグさんだ。

 

舐めてかかっていい相手じゃないんだ。

 

『まずはフェニックスの涙についてです。皆さまもご存じの通り、現在テロリスト集団、禍の団の連続テロにより、各勢力間で緊張が高まり、涙の需要と価格が跳ね上がっております。そのた、用意するだけでも至難の状況です」

 

京都でも対テロ作戦なのに少ししか支給されなかったもんな。

 

だから、今回のゲームではおそらく支給されないだろうと踏んでいたんだが・・・・・・。

 

すると、実況者の声が弾んだものとなった。

 

「しかーーーーしっ! 涙を製造販売されているフェニックス家現当主のご厚意とバアル、グレモリー、両陣営を支持されるたくさんの皆さんの声が届きまして、今回のゲームで各チームに1つずつ支給される事となりました!』

 

その声と共に長巨大モニターには高価そうな箱に入った二つの瓶――――フェニックスの涙だ。

 

涙は支給されることになったのか。

 

そういや、レイヴェルも「なんとか用意したい」って言ってたな。

 

回復出来るのはありがたいが、逆にバアル側も一度だけ使える事にもなるな。

 

まぁ、使うのは勿論――――

 

「サイラオーグ・バアルを二度倒す覚悟を持たないといけないみたいだね」

 

木場が険しい面持ちで呟く。

 

こっちにはアーシアがいるから涙の重要度は低い。

 

となると、誰に持たせるかが問題となるが・・・・・・ここはリアスに持たせるのが妥当なところだろう。

 

王であるリアスが負けてしまえば、そこで俺達の敗北になるからな。

 

『このゲームには特殊ルールがございます!』

 

やっぱりあるのか特殊ルール!

 

レーティングゲームはエンターテイメントの要素も含んでいるから、今回は観客を盛り上げるためのルールになるだろうな。

 

『特殊ルールをご説明する前にまずはゲームの流れからご説明致します! ゲームはチーム全員がフィールドを駆け回るタイプの内容ではなく、試合方式で執り行われます! これは今回のゲームが短期決戦を念頭に置いたものであり、観客の皆さんが盛り上がるように設定されているからです! 若手同士のゲームとは言え、その様式はまさにプロ仕様!』

 

試合方式!

つまり、タイマンになるわけだ!

 

俺や木場はともかく、ギャスパーとかは誰かと組んだ方が力を発揮するから、そのあたりが不安なところだな。

 

『そして、その試合を決める特殊ルール!両陣営の王の方は専用の設置台の方へお進みください』

 

設置台というと、陣地にあるあの台のことか。

 

実況に促されたリアスとサイラオーグさんがそれぞれの設置台前に移動し、台から何かが現れた。

 

画面に映し出されたのは――――サイコロだった。

 

『そこにダイスがございます! それが特殊ルールの要! 今回のルールはレーティングゲームのメジャーな競技の1つ!――――ダイス・フィギュアです!』

 

ダイス・フィギュア・・・・・?

 

初めて聞く単語だ。

 

首をかしげる俺に木場が説明を始める。

 

「今まで僕達が体験してきたのは特殊なルールのない比較的プレーンなルールのゲームなんだ。本格的なレーティングゲームには幾つも特殊なルールがあって、今回のダイス・フィギュアもその一つさ。他にもフィールド中に設置された数多くの旗を奪い合う『スクランブル・フラッグ』と言うルールもあるよ」

 

「へぇ」

 

なるほど、レーティングゲームも奥が深いんだな。

 

この先もゲームをするとなるとルールもしっかり覚えないとな。

 

ルール解説が更に続く。

 

『ご存じではない方のために改めてダイス・フィギュアのルールをご説明致します! 使用されるダイスは通常のダイス同様六面、1から6までの目が振られております! それを振るい、出た数字の合計で試合に出せる手持ちが決まるのです! 人間界のチェスには駒の価値と言うものがございます!これは基準として「兵士」の価値を1とした上で盤上での活躍度合いを数値化したもの。悪魔の駒でもその価値基準は一定の目安とされております。勿論、眷属の方が潜在能力以上の力を発揮して価値基準を超越したり、駒自体にアジュカ・ベルゼブブ様の隠し要素が盛り込まれていたりして想定以上の部分も多々ありますが、今回のルールではその価値基準に準じたもので執り行います!』

 

駒の価値って確か・・・・・・『騎士』が3で『僧侶』も3、『戦車』が5で『女王』が9だったな。

 

『変異の駒』なんかはこの基準に当てはまらないみたいだけど。

 

『まず、両チームの王がダイスを振り、出た目の合計で出せる選手の基準が決まります! 例えば出た目の合計が「8」の場合! この数字に見合うだけの価値を持つ選手を試合に出す事が出来ます! 数字内であれば複数での出場も可能です! 「騎士」なら価値は3なので、2人まで出せますね! 駒消費1の「兵士」ならば場に8人も出せます! 駒価値5の「戦車」一名と駒価値3の「騎士」一名も合計数字が8なので出す事が可能となり、異なる駒を組み合わせて出場させることもできます! そして複数の駒を消費された眷属の方もその分だけの価値となりますので、グレモリーチームであれば「兵士」の駒を8つ使われたと言う赤龍帝の兵藤一誠選手が駒価値8となります』

 

俺は8か。

 

俺の転生にはアジュカさんの手が加わってるから何かあるかと思ったけど、そういうのは無いのか。

 

それにしたって大きい数字には変わらないけどね。

 

でも、出た目の合計が最小の2だったらどうなるんだ?

 

俺達にもバアル眷属にも駒価値1の兵士はいないぞ?

 

そんな疑問を抱いていると、ちょうどそのことが説明された。

 

『しかし、今回は両陣営とも駒価値1から2の選手がいません。そのため、合計数字が2になった場合は振り直しとなります。また、試合が進むにつれて手持ちも減りますので、当然出せる選手の数字にも変化があります。この場合も互いの手持ちと合致さるまで振り直しとなります!』

 

まぁ、当然だな。

 

それじゃあ、肝心の『王』の駒価値はどうなるんだ?

 

『王自身の参加は事前に審査委員会の皆様から出された評価によって、出場できる数字が決まります! 無論、基本ルール通り王が負ければその場でゲーム終了でございます!』

 

「審査委員会の評価?」

 

俺が疑問を口にすると朱乃が答えてくれた。

 

「ゲームの事前に審査委員会がリアスとサイラオーグ・バアルがどのぐらいの駒価値があるのか、それは主に王自身の実力であったり、眷属の評価、対戦相手からの比較などから算出しているのです。以前、アザゼルがグラフを見せてくれたでしょう? あれが参考にされるのです」

 

あー、そういえばあったな。

 

あれはディオドラとの一件の直前のことだ。

 

サイラオーグさんとヤンキー悪魔の試合映像を見た後、アザゼル先生が見せたくれたっけな。

 

サイラオーグさんのパワーがずば抜けてたのをよく覚えてるよ。

 

『それでは、審査委員会が決めた王の駒価値はこれですッ!』

 

実況者の叫びが合図となり、巨大モニターに表示された二人の名前の下に高速で数字が動き出す。

 

そして、ピコーンという軽快な音と共に数字が表示される。

 

『サイラオーグ・バアル選手が12!リアス・グレモリー選手が8と表示されました! おおっと、サイラオーグ選手の方が高評価ですが、逆に言いますとマックスの合計が出ない限りは出場できない事になります!』

 

サイラオーグさんの方がリアスより上か。

 

いや、でも待てよ・・・・・・。

 

俺はふと思ったので朱乃に耳打ちして尋ねる。

 

(この評価ってさ、いつのデータを使ってるの?)

 

(おそらく、ロキとの戦いまでのデータかと。参加した作戦などの評価も含まれていますから)

 

(ってことはさ、アスト・アーデでのことは入ってないんだよな?)

 

(そうなりますわね)

 

そうなると、リアスの8って評価も少し変わってくるな。

 

リアスはアスト・アーデに行ってからかなり力を伸ばしたし。

 

サイラオーグさんを上回るとは思えないけど、それでも実際は10くらいはありそうだ。

 

まぁ、10ってのは俺の勘だけど・・・・・・。

 

とにかく、リアスが8ってことはサイラオーグさんと違って誰かと組んで出場できるな。

 

『それともう1つルールを。同じ選手を連続で出す事は出来ません。これは王も同様です!』

 

「最初の数字が12だとしても、サイラオーグ自身が序盤から出てくるなんて事は無いと思うわ。彼の性格上、きっと自分の眷属をきちんと組み合わせて見せてくる。そのために厳しいトレーニングを重ねたのでしょうから。でも、必ず彼自身も出てくるわ。タイミングは合計数字次第だけど、バトルマニアなのは確かだと思うから」

 

ハハハハ・・・・・・バトルマニア、ね・・・・・。

 

「このルールだとアーシアとギャスパーを単独で出すのは悪手ね。特にアーシアの場合は組んで出すのも危険ということになるわ」

 

「アーシアはここに残った方がいいな。それは向こうだって読んでるだろうけど」

 

「ええ、こちらは実質、戦闘要員が八名となるわ」

 

八名・・・・・。

 

まぁ、戻ればアーシアの回復を受けられるだけでも大きいよな。

 

『さあ、そろそろ運命のゲームがスタートとなります!両陣営、準備はよろしいでしょうか?』

 

実況者が煽り、審判が手を大きく挙げた

 

『これより、サイラオーグ・バアルチームとリアス・グレモリーチームのレーティングゲームを開始致します! ゲームスタート!』

 


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