ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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10話 作戦会議と報告会!?

「ぷはー、風呂上がりの牛乳ってなんか良いよな!」

 

「あー、それ分かる分かる」

 

夕食後、風呂に入り、松田と元浜が満足そうに部屋でくつろいでいた。

 

松田が肩にタオルをかけて、自販機で買った牛乳をぐいっと飲みほしていた。

 

ちなみに俺はフルーツ牛乳だ。

 

 

流石はグレモリー運営のホテル。

その辺りも行き届いているね。

 

噂では部長が泊まるから設置したとか・・・・・・。

 

うん、あり得るな。

部長、風呂上がりの牛乳に強いこだわりを持ってるし。

 

 

渡月橋での戦いを終えた俺達は二条城を観光してからホテルに帰ってきたんだ。

 

今いるのは松田と元浜の部屋。

 

くそぅ・・・・・・こんなフカフカのベッドで寝やがって・・・・・・。

 

羨ましいぞ、こいつら!

 

 

明日は修学旅行の最終日。

京都駅周辺を見て回って、お土産を買うだけになる。

 

そんなわけで、今からこの三日間で回った京都の景色を部屋に備え付けてある薄型テレビで観賞することになったんだ。

 

元浜がデジカメの撮影データをテレビに接続していると、部屋の扉が開かれた。

 

「やっほー。風呂上がりの美少女軍団がやって来たわよ、エロども」

 

パジャマ姿の桐生が美羽達を連れて部屋に入ってくる。

 

桐生とアーシア、レイナはパジャマ。

 

美羽とゼノヴィア、イリナは浴衣か。

 

パジャマ組と浴衣組で別れてるわけね。

 

 

すると、浴衣姿の美羽と目が合う。

 

 

ヤバい・・・・・昨晩のことを思い出してしまった。

 

胸がドキドキしてる・・・・・。

 

 

多分、美羽も同じ気持ちなんだろうな。

徐々に頬が赤く染まってきてるし・・・・・・・。

 

 

「おーい、イッセー。どうした?」

 

「い、いやっ・・・・・・な、なんでもないよ」

 

「そのわりには声が裏返っているが・・・・・・」

 

「だ、大丈夫だって! ほ、ほら、メンバーも揃ったし早速観賞会といこうぜ!」

 

頼むから聞いてくれるな、松田よ!

 

ここに来るまで何度もゼノヴィア達に問い詰められ、その度に観光スポットの話題だの土産の話題だのを出すことで何とか受け流してきた。

 

おかげで、俺と美羽はまだハッキリとは明かしてない。

 

『(もう遅いだろ)』

 

・・・・・・・多分。

 

 

と、とにかくだ!

 

ここで、松田達にまで感づかれる訳にはいかんのだよ!

 

 

松田は俺の態度を怪訝に思いながら、再生ボタンを押して、最初の写真がテレビに写し出された。

 

新幹線発車から始まり、ホテル、伏見稲荷、清水寺。

 

三日間で巡った京都の景色がテレビに写し出される。

 

「このとき、元浜が階段で転びそうになってたな」

 

「そういう、松田こそ、茶店の団子を喉につまらせていたじゃないか」

 

「ていうか、あんたら、他校の女子が通りすぎる度にエロい視線を送ってたでしょ? いやらしい顔を京都のでまでさらして学園の恥だわ。・・・・・・っと、兵藤兄妹はバカップル炸裂ねー。兄妹で『あーん』なんてしてるし」

 

「「死ね! 裏切り者!」」

 

松田と元浜が殴りかかってきやがった!

 

桐生のやつめ、こいつらを煽って楽しんでるだろ!

 

 

とりあえず、俺は二人の拳を受け流す。

 

「「あべしっ!」」

 

上手い具合に松田と元浜が相討ちになった。

 

なんか、久しぶりに見た光景だな。

 

 

それからも俺達は思い出を語り合った。

バカ丸出しの話をしてはその度に爆笑した。

 

楽しかった修学旅行も明日で終わり。

 

最後まで楽しかった思い出にするためにも、俺達は―――――

 

 

 

 

 

 

 

観賞会も終わり、就寝時間になった頃。

 

俺達、オカ研メンバー、シトリー眷属、アザゼル先生、セラフォルーさんが俺の部屋に集まっていた。

 

 

これから、今夜のことについて話し合うところなんだが・・・・・・狭い。

 

十人以上も八畳一間にいるんだぜ?

 

そりゃ、ぎゅうぎゅうになるって。

 

教会トリオなんて押し入れの中から話し合いに参加してるし・・・・・。

 

 

昼間にあれだけ酔っ払っていたロスヴァイセさんは顔を真っ青にしながら参加していた。

酔い醒ましの薬を飲んだらしいけど、かなり気持ち悪そうだ。

 

・・・・・・・お願いだから、この部屋で吐かないで下さいよ?

 

俺、今日もこの部屋で寝る予定なんで。

 

 

先生が皆を見渡して口を開く。

 

「作戦を伝える。現在、二条城と京都駅を中心に非常警戒態勢を敷いた。京都で活動していた三大勢力の関係者および妖怪達を総動員して怪しい輩を探っている。今のところ、これといった報告は上がってきてはいないが、京都の各地から不穏な気の流れが二条城に集まってきているのは計測できている」

 

「不穏な気の流れ?」

 

木場が先生に尋ねる。

 

「ああ。そもそも京都ってのは陰陽道、風水に基づいて作られた巨大な術式都市だ。それゆえに各所にパワースポットを持つ。伏見稲荷とかもそうだな。おまえ達も観光でいくつか回ったはずだ。他にも挙げればキリがないほどの力場が京都には存在する。それらが現在、乱れて二条城の方にパワーを流し始めているんだよ。気の扱いに長けたイッセーは気づいてるんじゃないか?」

 

「まぁ、何となくは」

 

さっきから妙な気は感じてるよ。

 

流石に京都全体の気が乱れてることは分からなかったけどね。

 

そこまで範囲が広いと感知しづらいんだよ。

 

 

「ど、どうなるんですか?」

 

匙が生唾を飲み込みながら訊く。

 

「わからん。だが、ろくでもないことが起こるのは確かだ。奴らは九尾の御大将を使って実験すると言っていたからな。それを踏まえて作戦を伝える」

 

先生は部屋の中心に敷かれた京都の全体図を指示棒で指しながら改めて伝える。

 

「まず、シトリー眷属とレイナーレ。おまえ達は京都駅周辺で待機。このホテルを守るのもおまえらの仕事だ。相手はテロリストだ。ここを狙ってこないとは限らない。有事の際はおまえ達で当たってほしい。レイナーレは周辺に展開している堕天使への指示を出してくれ」

 

「了解です」

 

「次にグレモリー眷属とイリナと美羽、それから匙。おまえ達はオフェンスだ。イッセーを司令塔にして、英雄派幹部共の撃退および八坂姫を奪還をしてもらう」

 

「お、俺もっすか?」

 

匙が自分を指差していた。

 

先生は頷く。

 

「おまえのヴリトラの力――――特に龍王形態は使える。あの黒い炎は相手の動きを止めて力を奪うからな。今回もサポートにまわってくれ」

 

「り、了解です・・・・・」

 

なんか不安そうな顔してるな。

 

俺は匙の背中をバンバンと叩く。

 

「心配すんなって。おまえだって修行してんだ。何とかなるさ」

 

「何とかって・・・・・はぁ。仕方がねぇ、こうなったら、やってやるよ!」

 

おおっ、なんか吹っ切れた感じだな。

 

まぁ、修行の成果もあって、あの龍王形態は維持できるようになってるしな。

 

匙だって十分に戦力になる。

 

 

よし、ここでもう一押しくらいしてみるか。

 

「ここで頑張ればソーナ会長だって、おまえを認めてくれるかもしれないぜ?」

 

「マジか! うおおおおおっ!! 俄然、やる気出てきたぁぁああああ!!!」

 

おー、燃えてる燃えてる。

 

匙の背後に黒い龍が見えるぜ。

 

 

ま、ソーナ会長は既に匙のことを認めてるとは思うけどね。

 

一人燃えている匙を横目に先生は話を続ける。

 

「あまり良くない知らせなんだが、フェニックスの涙は三つしか支給されなかった」

 

「三つ・・・・・。もう少し何とかなりませんか? 対テロリストなんだし」

 

俺が言うと先生はため息と共に首を横に振った。

 

「すまんな。世界各地で禍の団がテロってくれてるおかげで涙の需要が跳ね上がってな。各勢力の重要拠点への支給もままならないのが現状だ。生産元のフェニックス家も大忙しみたいでな。今後はレーティングゲームでの使用も難しくなるだろう」

 

 

なるほど。

 

まぁ、考えてみれば当然か。

 

フェニックスの涙ってもともと大量生産出来ない高級品らしいし。

これだけテロが頻発していたら、品薄状態になっても不思議じゃない。

 

「その代わりと言っちゃあなんだが、助っ人も来てくれることになってる」

 

「助っ人?」

 

「そう、助っ人だ。各地で行われている禍の団のテロを幾度も制圧してきたテロリスト相手のプロフェッショナルだ」

 

そんな凄い助っ人が来てくれるのか。

 

それは心強い。

 

にしても、先生がそこまで言う人ってどんな人だろう?

 

 

イリナが手を上げる。

 

「この作戦は各勢力に伝わっているのですか?」

 

「当然だ。協力してくれている各勢力の人員が包囲網を張っている。英雄派だけじゃなく、それに乗じて動こうとする禍の団の構成員はこの機会に仕留めるつもりだ」

 

セラフォルーさんが先生の言葉に続く。

 

「外の指揮は私に任せてね☆ 悪い子を見つけたらお仕置きしちゃうんだから♪」

 

うん、この人のお仕置きは怖そうだ。

なんて言っても魔王だからな。

 

それから先生は俺に言う。

 

「包囲網にはティアマットにも参加してもらっている。本当ならおまえ達と二条城に向かって欲しいんだが、京都全体を包囲するには人員が足りなくてな。既に現地で動いてもらっている」

 

「あー、それでここにいないんですね」

 

どうりで、ここにティアの姿がないわけだ。

 

先生の言ってることもわかるし、ティアにはそっちで頑張ってもらおう。

 

「それと駆王学園にいるソーナにも連絡はしておいた。あちらもあちらで出来るバックアップをしてくれるようだ」

 

「あれ? うちの部長達は?」

 

俺の質問に先生は少し顔をしかめた。

 

「ああ、伝えようとしたんだが・・・・・・タイミングが悪かったらしくてな。あいつらはグレモリー領にいる」

 

「何かあったんですか?」

 

「どうやら、グレモリー領で旧魔王派の残党が暴動を起こしやがったみたいでな。禍の団に直接関与している輩ではないようだが・・・・・・。あいつらはそれの対応に向かっているのさ」

 

暴動って・・・・・・。

 

旧魔王派もとことん面倒なやつらだな!

 

「ちなみにグレイフィアとグレモリー現当主の奥方も出陣したそうだ。グレモリーの女を怒らせた奴らは・・・・・・大変だろうな」

 

先生が若干体を震わせながら言った。

 

先生が震えるほど恐ろしいのか・・・・・・。

 

セラフォルーさんが楽しげに言う。

 

「まあ、『亜麻髪の絶滅淑女(マダム・ザ・エクスティンクト)』、『紅髪の滅殺姫(ルイン・プリンセス)』、『銀髪の殲滅女王(クイーン・オブ・ディバウア)』が揃っちゃうのね☆ 暴徒の人達、本当にたいへんなことになっちゃうわね♪」

 

 

何その不吉な二つ名!?

 

絶滅、滅殺、殲滅って恐すぎる!

 

部長の二つ名は知ってたけど・・・・・

ヴェネラナさんと、グレイフィアさんまでそんな二つ名を持ってたの!?

 

「・・・・・・おまえも将来大変だな」

 

先生が俺の肩に手を置いて、頷いていた。

 

よく分からんけど、部長を絶対に怒らせたりはしないでおこう・・・・・・。

 

 

先生が咳払いをして、改めて皆に言う。

 

「とりあえず、作戦は以上だ。俺も京都上空から独自に奴らを探す。各員一時間後にはポジションについてくれ。――――死ぬなよ? 修学旅行は帰るまでが修学旅行だ。いいな?」

 

『はい!』

 

 

全員が返事をして、作戦会議は終わった。

 

 

 

 

 

 

作戦会議が終わった後、シトリー眷属やセラフォルーさんが部屋を出ていく中、俺とオカ研女子部員は先生に呼び止められた。

 

「作戦会議は終わったんじゃ・・・・・・?」

 

俺の質問に先生は頷く。

 

「ああ、作戦会議は終わりだ。だがな、今ここでハッキリさせておきたいことがある。とりあえず、イッセーと美羽はここに座れ」

 

「「?」」

 

怪訝に思いながらも先生が指定した場所に俺と美羽は座り込む。

 

向かいにはアーシア達教会トリオとレイナ。

 

 

 

すごーく、嫌な予感がする・・・・・・ってか、嫌な予感しかしない。

 

 

 

先生はアーシア達を指差して言った。

 

「こいつら、かなり気になっているようでな。このままだと、気になりすぎて戦闘に集中できないかもしれん」

 

 

そして、先生はスケベな笑みで言った。

 

「単刀直入に訊くぞ、イッセー、美羽。おまえ達、一線越えたな?」

 

「「くぁwせdrftgyふじこlp!!!」」

 

声にならない悲鳴が俺と美羽から出た!

 

な、ななななんつー質問してきやがるんだ、この人は!?

 

「「ゲッホッ! ゲホッゲホッ!!!」」

 

俺と美羽は今の悲鳴で喉をやられ、咳き込む!

 

 

み、水! 

 

水を!

 

 

俺達は冷蔵庫に駆け込み、置いてあった水を一気に飲み干す!

 

喉が落ち着いたところで、俺は先生に叫んだ!

 

「あんた教師だろ!? なんつー質問してきやがるんだよ!?」

 

そう言うと先生は嘆息しながら言った。

 

「俺だって普段ならこんなこと訊きやしねぇよ。だがな、こいつらを見てみろ。気になって気になって仕方がないってツラだろ」

 

再度、アーシア達に視線を送ると―――――

 

 

「「「「じーーー」」」」

 

 

自分で「じーっ」とか言いながら、こっちを見てきてるよ!

 

無駄に迫力ありすぎじゃね!?

 

「こんな状態で戦場に出てみろ。こいつら、おまえ達のことが気になりすぎて力を発揮できんかもしれん。そうなれば作戦もクソもないだろう?」

 

あんた、それっぽいこと言ってるけど楽しんでるだけだよな!

 

一見、顔は真面目だけど目は笑ってるぞ!

 

修羅場を見て心の中で爆笑してやがる!

 

ふざけやがって!

 

 

「アザゼル先生の言う通りだ。イッセー、私達は気になって思う存分力を発揮できないかもしれん」

 

うっ・・・・・

 

「イッセーさん、本当のことを仰ってください」

 

ううっ・・・・・・

 

「イッセー君。私もすごーく気になってるの」

 

うううっ・・・・・・

 

「義理とはいえ妹とって・・・・・二人の場合、愛を感じられるわ!」

 

一人だけ違うような・・・・・・

 

つーか、ハッキリ言っちゃってるよ・・・・・・

 

 

答えないとダメ・・・・・なのか?

 

決戦前だぜ?

 

いや、でも皆が気になりすぎて力が発揮できないってのも問題だし・・・・・・。

 

 

「お兄ちゃん、もう隠すのは無理だよ・・・・・・」

 

 

美羽はもう諦めモードに入っちゃったよ。

 

ま、まぁ、ほとんどバレてるしね。

昼間の戦闘の時に。

 

 

よし!

 

腹を括ろう、俺!

 

 

俺は皆と向かい合って正座。

 

そして―――――

 

 

 

「さ、昨晩・・・・・俺達は・・・・・・しました・・・・・・」

 

 

 

消え入りそうな声で俺は事実を明かした。

 

は、恥ずかしいっ!

恥ずかしすぎるっ!

 

何だよ、この報告は!?

 

つーか、しないといけなかったのか!?

 

俺も美羽も顔真っ赤だよ!

 

穴があったら六泊くらいしたい気分だわ!

 

 

「さて、と。俺はそろそろ行くわ」

 

ちょっと、先生!?

 

この空気のなか出ていくの!?

 

助けてくれよ!

 

 

「イッセー、童貞卒業おめでとう」

 

 

バタンッ

 

 

それだけ言い残して先生は行ってしまった。

 

 

 

 

 

その後、ゼノヴィアが事の詳細を聞いてきて、美羽が顔を真っ赤にしながら全てを明かしたのだった。

 

俺は止めに入ろうとしたが、その迫力にただ見てることしか出来なかった。

 

 

 

四人は美羽が語る内容をそれはそれは熱心に聞いていた。

 

 

 

 

とんでもない羞恥プレイをした俺は―――――このまま決戦へと向かうのだった。

 

 

 

 


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