ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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8話 英雄派、現る!

なんだ・・・・・・今のは・・・・・・・?

 

 

周囲を見渡すと、俺と美羽、アーシア、ゼノヴィア、イリナ、レイナ、九重。

それから少し離れたところにいる木場しか周辺に人がいなかった。

 

 

これは一体―――――

 

 

すると、俺達の足下に霧らしきものが立ち込めてきた。

 

それを見て最初に反応したのはアーシアだった。

 

「・・・・・この霧は・・・・・私が捕まった時と同じ・・・・・?」

 

「アーシア? 見覚えがあるのか?」

 

ゼノヴィアが尋ねるとアーシアは頷いた。

 

「はい。この感じは間違いありません。私がディオドラさんに捕まった時、神殿の奥で私はこの霧に包まれてあの装置に囚われたんです」

 

「――――絶霧(ディメンション・ロスト)

 

木場が俺達の方に歩みながら言う。

 

「神滅具の一つだったはずだよ。それもとびきり危険な」

 

 

ああ、その通りだ。

 

あのオーディンの爺さんですら解除できないほどの結界を作り出した神器。

俺やヴァーリが持つものと同じ、神をも滅ぼすという神器の一つ。

 

アーシアの言うことが正しいとすれば、こいつは――――

 

「ちっ・・・・とうとう出やがったなテロリスト共・・・・」

 

「禍の団、だね」

 

「そういうことだ。ったく、人が修学旅行中だってのに邪魔してくれるぜ」

 

 

すると、俺達のそばに降り立つ人影が一つ。

 

アザゼル先生だ。

 

「おまえら、無事か?」

 

「まぁ、今のところは」

 

「そうか」

 

先生は俺達の安否を確認すると周囲を見渡し、目を細める。

 

「俺達以外の存在はこの周囲からキレイさっぱり消えちまってるってことは・・・・・・ここは作られた空間、そこに俺達は強制的に転移させられたってところか」

 

転移させられる前兆なんてなかったんだけどな。

生暖かい感触を感じた瞬間にはこの場所にいた。

 

やっぱり、相手は相当な使い手らしい。

 

「ここを形作っているのは悪魔の作るゲームフィールドの空間と同じものですか?」

 

先生に聞いてみる。

この空間はどうにもレーティグゲームのフィールドと似ているような気がする。

 

「ああ、三大勢力の技術は禍の団にも流れているだろうからな。これはゲームフィールドの技術を用いたものだろう。そんでもって、神器で生み出した霧の力で俺達をこのフィールドに転移させたというわけだ。――――霧で包み込んだものを他の場所に転移する。これも絶霧の能力だ。ほとんどアクションなしで俺達を全員転移させるとはな・・・・・・。これだから神滅具は怖いもんだぜ」

 

そっか。

やっぱり、この空間はゲームフィールドの応用なんだな。

テロリストに技術が流れると碌なことに使わねぇな。

 

横の九重が震える声で口を開く。

 

「・・・・亡くなった母上の護衛が死ぬ間際に口にしておった。気づいたときには霧に包まれていた、と」

 

 

それを聞いて俺と先生は頷き合う。

 

・・・・・なるほど。

 

ってことは向こうから態々出向いてくれてくれたってことね。

探す手間が省けたな。

 

 

 

俺達の視線は渡月橋の向こう側へと向けられる。

 

薄い霧の中から人影がいくつか現れた。

 

「はじめまして、アザゼル総督、そして赤龍帝」

 

挨拶をくれたのは先頭に立つ黒髪の青年。

 

見た目的には俺達とそう変わらない。

学生服の上から漢服らしきものを羽織っていて、手には槍を持っている。

 

・・・・・・なんだ、あの槍から感じられる不気味なオーラは?

見るだけで少し悪寒がする。

感じとしては教会に近づいた時とか十字架を見たときに近い。

 

青年の周囲には似たような学生服を着た複数の人。

若い男女ばかりで、青年と同じく俺達と歳はそう変わらないように見える。

 

先生が一歩前に出て訊く。

 

「おまえが噂の英雄派を仕切ってる男か」

 

先生の問いに青年は槍の柄を肩でトントンとしながら答える。

 

「曹操と名乗っている。一応、三国志で有名な曹操の子孫さ」

 

曹操・・・・・曹操の子孫!?

 

マジかよ。

そんなのが目の前に現れるなんて思ってなかったぜ。

 

先生は視線を相手から外さずに俺達に向けて言った。

 

「全員、あの男の槍には注意しろ。あれは最強の神滅具『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』だ。神を貫く絶対の槍。神滅具の代名詞になった原物だ」

 

『――――っ!?』

 

先生の言葉に全員が狼狽した。

 

そんな危険な物がよりによってテロリストのところにあるのかよ!

 

「あれが天界のセラフの方々ですら恐れている聖槍・・・・・!」

 

「そうか・・・・・あれがイエスを貫いた槍。神をも貫く絶対の槍か!」

 

イリナとゼノヴィアは目を見開きながらも、より警戒を強めていた。

 

そういや、悪魔になってすぐに部長に教えてもらったな。

キリストさんを貫いた伝説の槍の話を。

 

あれが正にそれってことか。

 

「あれが聖槍・・・・・」

 

アーシアがうつろな双眸で槍を見つめていた。

まるであの槍に魅了されて、意識が吸い込まれていくような――――

 

先生が素早くアーシアの両目を手で隠した。

 

「信仰のある者はあの槍をあまり見るな。心を持っていかれてしまうからな。あれは聖十字架、聖杯、聖骸布、聖釘と並ぶ聖遺物(レリック)の一つ。アーシア、ゼノヴィア、イリナ。おまえらは特に注意しろ」

 

「なぁ、一つ確認したいんだけど」

 

「なんだい赤龍帝?」

 

「九重の母親、八坂さんをさらったのはおまえらか?」

 

すると、曹操はニヤッと笑みを浮かべて答えた。

 

「ああ、その通りさ」

 

「隠すつもりは全くなしか・・・・・。単刀直入に言うぜ。八坂さんを返せ。それから俺達の前から消え失せろ」

 

「ハハハ、それは無理な相談だ。彼女には俺達の実験に付き合ってもらう予定だからね」

 

「実験?」

 

「その通り。スポンサーの要望を叶えないといけないのでね」

 

それを聞いて、九重が歯をむき出しにして激怒していた。

目にはうっすらと涙。

 

母親をさらわれたあげく、訳のわからん実験に使われそうなんだ。

よほど、悔しいのだろう。

 

「スポンサー・・・・オーフィスのことか? それで突然姿を見せたのはどういうつもりだ?」

 

先生が問い詰める。

 

「隠れる必要がなくなったものでね。実験の前に軽い挨拶と、少し手合わせをお願いしようかと思いまして。それにアザゼル総督と噂の赤龍帝殿にお会いしたかったのですよ」

 

「俺に?」

 

堕天使のトップである先生はともかく、俺に態々会いに来たってのは・・・・・・。

 

「そうだよ。俺は特に君に興味があるのさ。三大勢力の会談の場ではあのヴァーリを倒し、オーフィスの蛇を得たシャルバとクルゼレイ、そしてその手下達を一人で倒したそうじゃないか。それに、君はこれまで誰にも確認されていない禁手の更に先に至った男。興味を持たないわけがない」

 

禁手の更に先・・・・・・第二階層(ツヴァイセ・ファーゼ)のことか。

 

はぁ・・・・・こいつもヴァーリと同じタイプか?

 

いや、こいつはヴァーリよりも不気味感じがする。

ヴァーリみたいに単なるバトルマニアじゃなくて、なんかこう――――

 

 

どっちにしても、男になんざ興味持たれたくないっての!

 

先生が手元に光の槍を出現させた。

 

「こいつは力ずくで聞き出すのが手っ取り早いか?」

 

先生の構えを見て俺達も戦闘体勢に入る。

 

俺は籠手を出現させてアスカロンを取り出す。

 

「ゼノヴィア!」

 

「すまない!」

 

ゼノヴィアもアスカロンをキャッチして構えを取る。

 

「美羽、おまえはアーシアと九重を頼む」

 

「わかった!」

 

美羽も素早くアーシアと九重の前に立つ。

 

さてと・・・・・・力が使えない以上、籠手は単なる防具としてしか使えないな。

どうしたものか。

 

ん?

そういや、ロスヴァイセさんは?

 

気は感じるけど、姿を見せない。

 

「先生、ロスヴァイセさんは?」

 

「あいつも俺達同様転移しているが、酔いつぶれて寝てる。一応、強固な結界を張っておいたから心配はいらない」

 

「そ、そうですか・・・・・」

 

酔いつぶれて寝てるのね・・・・・・。

ま、まぁ、酔った状態で戦闘に参加されるよりはマシか・・・・・・。

 

仕方がない、今回は美羽に魔法要員として頑張ってもらおう。

 

にしても、あいつら余裕の表情だな。

 

英雄派って神器を持った人間の集まりだっけか?

 

神器持ちが相手ってのは厄介だな。

神器は特殊な能力を持った物が多い。

 

例えば以前戦った影使い。

ああいう能力は直接的な攻撃が効かないから厄介極まりない。

 

曹操の横に小さな男の子と眼鏡をかけた青年が立った。

 

「レオナルド、悪魔用のアンチモンスターを頼む。ゲオルクはレオナルドの力を引き上げてやってくれ」

 

「了解した」

 

ゲオルクと呼ばれた眼鏡の青年が頷き、男の子の周囲に魔法陣を展開する。

 

すると、周囲に不気味な影が現れて広がっていく。

それは渡月橋全域を黒く染めたと思うと、最終的にはそれの三倍以上にも膨れ上がった。

 

その影が盛り上がり、形を為していく――――

 

腕、足、頭が形成されていき、目玉が生まれ、口が大きく裂けた。

その数は五百はいる。

 

『ギュ!』

 

『ゴギャ!』

 

『ギャッ!』

 

耳障りな声を発しながら現れたのは二本足で立つ黒いモンスター。

それが辺り一帯で蠢いている。

 

どこか、ロスウォードの眷獣に似ているな。

 

もしかして、あの男の子の能力は――――

 

先生がぼそりと呟いた。

 

「――――『魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)』か」

 

「先生、それってもしかして・・・・・・」

 

「ああ、おまえが察した通りだ。魔獣創造はその名の通り、魔獣を産み出す・・・・・いや、造り出す能力と言った方が正しいか。あの神器はあらゆる魔獣を造り出すことが出来るのさ。能力者次第では全長数百メートルの怪物も造れる」

 

曹操が先生の言葉に笑む。

 

「ご名答。そう、この子が持つ神器は神滅具の一つ、魔獣創造。俺が持つ聖槍とは別の意味で危険視されている神器だ」

 

っ!

 

おいおい・・・・・マジかよ。

 

あの男の子の神器も神滅具だってのか!

流石にそれには驚くぜ!

 

ここは神滅具の見本市かよ!?

 

先生も嘆息する。

 

「神を貫く『黄昏の聖槍』、世界規模で危険な『絶霧』と『魔獣創造』。上位神滅具四つのうち三つもテロリストが保有とはな・・・・・」

 

全くだ。

厄介にもほどがあるぜ。

 

ただの神器でも能力次第ではヤバいってのに。

 

「先生、その凶悪神器の弱点は?」

 

「本体狙いだ。まぁ、本人自体が強い場合もあるが、神器の凶悪さほどではないだろう。それに魔獣創造に関しては所有者がまだ成長段階なのは間違いない。やれるならとっくに各勢力の拠点に怪獣クラスを送り込んでいるはずだからな」

 

倒すなら今ってことか。

 

先生の言葉を聞いて、曹操が苦笑する。

 

「あららら。なんとなく魔獣創造を把握されたかな? その通りですよ、アザゼル総督。この子はまだそこまでの生産力と創造力はない。今、これだけの数を造り出せたのは魔法で可能な範囲でこの子の力を引き上げているからだ。普段、一度に造り出せる数は、これの三分の一程度かな?」

 

そこまで言うと、人指し指を立てる。

そして、言葉を続けた。

 

「ただし、この子の能力は一つの面には大変優れていましてね。相手の弱点をつく魔物――――つまりはアンチモンスターを造り出すことが出来るのですよ。そして、今出したのは対悪魔用のアンチモンスターだ」

 

曹操が手をフィールドにある店に向けた。

 

モンスターの一匹が口を大きく開け、一条の光が発せられる。

 

刹那――――

 

 

ドオオオォォォォォンッ!!

 

 

店がぶっ飛び、強烈な爆発を巻き起こす!

 

これは光の攻撃か!

光は俺達、悪魔にとっては猛毒!

 

対悪魔用ってのはそういうことかよ!

 

先生が叫ぶ。

 

「曹操! 各陣営の主要機関に刺客を送り込んでいたのは俺達のアンチモンスターを造り出すデータを揃えるためか!」

 

「半分正解かな。送り込んだ神器所有者の他に黒い兵隊もいただろう? あれもこの子が造った魔物さ。あれに君達の攻撃をあえめ受けさせることで、この子の神器にとって有益な情報を得ていた。おかげで禁手使いを増やしつつ、悪魔に天使、堕天使、ドラゴンなどのメジャーどころのアンチモンスターは造れるようになった。その魔獣も中級天使並の光力は放てるよ」

 

神器所有者の禁手使いを増やすと同時にあの黒い怪人で俺達のデータを収集してたってのか!

 

用意周到だな、こいつら。

 

マジで厄介すぎるぞ!

 

憎々しげに曹操を睨む先生だが、一転して笑みを浮かべた。

 

「だが、神殺しの魔物だけはまだ造り出せない。そうだろう?」

 

「・・・・・・・・」

 

その一言に曹操は反論しなかった。

 

俺は先生に問う。

 

「どうしてわかるんですか?」

 

「簡単な話だ。やれるならとっくにやっている。俺達に差し向けてきたみたいにな。もしそれが出来るのならば各陣営に差し向けて試すはずだ」

 

なるほど、言われてみれば確かにそうだ。

 

アンチ神モンスターが造り出せないってことが分かっただけでも大きい!

 

 

曹操が槍の切っ先をこちらに向けた。

 

「神はこの槍で屠るさ。―――――さ、はじめようか」

 

それが開戦の火蓋を切った。

 

『ゴガァァァァァァッ!!!』

 

奇声をあげながらアンチモンスターの大軍がこちらに向かってくる!

 

「イッセー、こっちはおまえに任せる。俺は曹操をやる――――禁手ッ!」

 

先生が懐から素早く人工神器を取りだし、黄金の鎧を身に纏う!

十二枚の黒い翼を展開して、高速で曹操に向かっていった!

 

「これは光栄の極み! 聖書に記されし、かの堕天使総督が俺と戦ってくれるとは!」

 

曹操は桂川の岸に降り立つと不敵な笑みで槍を構える!

 

槍の先端が開き、光輝く金色のオーラの刃を形成した!

それと同時にこの空間全体の空気が震える!

 

なんて、神々しさだよ!

悪魔の俺達があの槍に直接触れるのはマズい!

 

 

ドウゥゥゥゥゥゥンッ!!

 

 

先生の光の槍と曹操の聖槍がぶつかり、強烈な波動が生み出される!

 

その衝撃で桂川が大きく波打ち、川の水が津波のように陸地に乗り上げた!

 

先生と曹操は攻め合いながら川の下流へと向かって岸を駆けていく!

 

とりあえず、あっちは先生に任せるとしてだ。

 

俺達はこっちに集中するか!

 

「木場! ゼノヴィア! イリナ! おまえ達はアンチモンスターを蹴散らしてくれ! レイナは美羽とアーシアと九重を守りつつ、木場達を援護! アーシアは回復のオーラを送ってくれ!」

 

『了解!』

 

皆は俺の指示にしたがって、陣形を組む!

 

木場達三人は俺の前方に出て、各々武器を構えた。

 

「木場、悪いが聖剣を一振り創ってくれ」

 

「了解。君は二刀流の方が映えるからね」

 

木場が素早く手元に聖剣を一振り造り出すと、駆け出したゼノヴィア目掛けてそれを放り投げる。

空中で聖剣を受け取ったゼノヴィアはアスカロンとの二刀流で魔獣共を蹴散らしていく!

 

流石はパワータイプの騎士だ!

 

しかも、異世界に行ってからゼノヴィアのパワーは更に上がっているからデュランダル無しでも十分に強い!

 

アンチモンスターの一匹が口を大きく開き、ゼノヴィアを背後から狙う!

 

光が口内に溜まっていきそれが放たれる瞬間―――――

 

「させないわ!」

 

イリナが光の槍を投げ、アンチモンスターを口から貫いた!

 

貫かれたアンチモンスターは崩れるように塵になっていく。

 

ナイスだイリナ!

 

その近くでは光の攻撃が連続で木場へと放たれていた。

 

まともに受ければ防御力の薄い木場はアウトだ。

 

だが――――

 

「当たらなければどうということはない」

 

ジグサグと高速で光の攻撃を交わしながらアンチモンスターの群れに接近し――――

 

十体近くのアンチモンスターが細切れになり、四散した!

放たれたのは超高速の斬戟!

 

木場の動きもかなり磨きがかかっているな!

 

流石だぜ!

 

「あの白いやつには及ばないしね。これくらいは数がいても何とかなるかな」

 

木場は剣を振り払い、そう付け加える。

 

 

確かに目の前のアンチモンスターはロスウォードの眷獣に比べると攻撃力も防御力も格段に低い。

あの嫌になるくらいのしぶとさもない。

 

どれだけ数がいようとも今の俺達には余裕の相手だ。

 

よし!

俺もやりますか!

 

大きく跳躍してアンチモンスターが密集してる場所へと飛び込む!

 

拳に気を溜めて、そのまま!

 

 

ドゴォォォォォォォオオオオン!!!

 

 

地面は大きく抉れ、数十体のアンチモンスターが塵と化す!

 

向かってきたアンチモンスターの頭を掴み、そいつで反対側のやつを地面に叩きつける!

 

「オラァッ!!」

 

手元に特大の気弾を造り出して、ぶちかます!

 

それによってアンチモンスターの群れは難無く霧散していく。

 

後方からはレイナからのマシンガンのように撃たれる光の弾丸と美羽からの魔法砲撃。

 

俺達の連携攻撃により、五百はいたアンチモンスターの群れは開始早々に数十体まで数を減らしていた。

 

しかし、例の少年が次々と影からアンチモンスターを生み出していく!

 

やっぱり、本体を叩くのが手っ取り早いか?

 

 

そう考えた時、俺のもとに襲来する影が複数。

 

制服姿の女の子が数名。

 

「赤龍帝は私達が!」

 

槍や剣を携えて俺に突貫してくる。

 

「やめておけ、君達では赤龍帝に勝てない!」

 

腰に何本も帯剣した白髪の優男が叫ぶ。

 

確かにその通りだな。

 

この娘達では俺に傷をつけることは出来ない。

 

俺は振り下ろされた刀を人差し指と中指の間で挟み、サイドから迫ってきた槍は蹴りあげて弾き飛ばす。

 

更には俺の背後に回ってきた女の子の攻撃を紙一重でかわして手首を掴む。

 

「そんな!?」

 

「私達の連携が、こうも容易く!?」

 

女の子達は驚愕していた。

 

ま、確かに連携は悪くなかったよ。

動きもしっかり訓練されていたのが分かったし。

 

「相手の実力を測れないようじゃ、まだまだ修行不足だ」

 

俺はそう言うと不敵な笑みを浮かべる。

 

そして

 

「さて、悪いが君達にはここで退場してもらうよ! 洋服崩壊(ドレス・ブレイク)ッ!」

 

 

バババッ!!

 

 

女の子達の制服は下着もろとも弾け飛んでいった!

 

「「「い、いやぁあああああああっ!」」」

 

女の子達が悲鳴をあげて自身の大事なところを手で隠す!

 

うむ!

引き締まった良いプロポーションしてるぜ!

 

あの槍を持っていた娘なんて、結構胸があってスタイル抜群だ!

 

とりあえず脳内保存しとくか!

 

女の子達は恥ずかしさのあまり、素早く近くの家屋に逃げ込んでいった。

 

反応が可愛いぜ!

 

 

すると・・・・・・

 

 

「お兄ちゃん。あんなにしたのに、まだ元気なんだね」

 

うおっ!?

美羽が迫力のある笑顔で見てきた!?

 

ダメだった!?

洋服崩壊はダメですか!?

 

女の子と戦うときの楽しみなんだ!

そこは許してくれぇ!

 

 

美羽の隣で光の弾丸を撃っていたレイナが叫んだ。

 

「イッセー君!? 『した』ってどういうこと!?」

 

そ、そこに食いついたかぁぁああああ!

 

レイナちゃん、戦闘しながらもそこは聞き逃さなかったのか!

 

俺はアンチモンスターをなぎ倒しながら言葉を詰まらせる。

 

「い、いや、その・・・・・・」

 

「昨日の晩、美羽さんが部屋にいなかったけど・・・・・・それってまさか!」

 

それに便乗するように前衛で剣を振るっていたゼノヴィアが叫ぶ!

 

「なにぃっ!? まさか子作りか! 子作りなのか!?」

 

「ゼノヴィア! はっきり言い過ぎだ! 子供もいるんだぞ!?」

 

味方にも敵にもな!

 

「イッセーさん!? まさか、そんな!?」

 

アーシアまで!

 

「イッセー君、本当なの!?」

 

イリナまでもが入ってきたよ!

 

君達、今戦闘中だからね!?

 

それどころじゃないからね!?

 

「私達にはこっちの方が重要なことだ!」

 

「ゼノヴィアにも心を読まれた!? 嘘だろ!?」

 

「そんなことより、どうなんだ! はっきりしろ、イッセー!」

 

「頼むから敵に集中してくれーーーーー!!!!」

 

 

俺の心からの叫びだった。

 

 

 


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