「お兄ちゃんは・・・・・イッセーはボクのことを妹としてしか見れない? 一人の女の子としてはもう見れないかな・・・・・?」
「へっ・・・・・?」
一瞬、俺は美羽が何を言っているのか分からなかった。
この状況に思考がついてこれず、ただただ混乱するだけ。
部屋は真っ暗で(まぁ、消したのはイリナだけど)俺は布団に押し倒され、上には美羽がまたがってる状況だ。
突然こんなことをしてくるんだ、混乱しないわけがない。
俺が必死に状況を理解しようとする中、美羽は再度口を開く。
「どう・・・・・・かな?」
「どう、と言われても・・・・・・なんでそんなことを?」
一人の女の子としてって・・・・・・・。
しかも、美羽はいつものように「お兄ちゃん」とではなく「イッセー」と呼んだ。
それはつまり――――
「ボクは・・・・・イッセーが好き・・・・・大好き。お兄ちゃんとしても、一人の男の人としても」
「――――っ」
美羽が迫ってきて俺との距離が一気に近くなる。
「イッセーとお父さん、お母さんがボクを家族として迎え入れてくれてボクは幸せになれた。イッセーと出かけたり、勉強したり、毎日がとても楽しいんだ。・・・・・・その毎日の中でイッセーへの想いは強くなってきて・・・・・。覚えてる? 二年生になって少し経ったときにボクがイッセーのことを好きって言ったの」
「あ、ああ。覚えてるよ」
あれは俺が悪魔になる前、まだ部長やアーシアと出会う前のことだったな。
誰の目から見ても美少女な美羽に誰も告白とかしてこないから怪訝に思ってた時に松田と元浜からその事情を聞いた後。
美羽は誰の告白も受ける気はなく、俺のことが好きだと言ってきたんだ。
今でも鮮明に覚えてるよ。
あまりに突然の告白だったもんで・・・・・。
「あの気持ちは今でも変わらないよ。ううん、あの時よりも大きくなってる。それでも、少し我慢してたんだ」
「我慢? なんで?」
「それは・・・・・これ以上幸せになっても良いのかなって。魔族で敗戦国の姫だったボクは本当なら処刑されてもおかしくはなかった。けれど、イッセーがボクを助けてくれた。・・・・・・今もこうして笑えるのはイッセーのおかげなんだ」
「そんな大袈裟な」
俺がそう言うと美羽は首を横に振った。
「大袈裟なんかじゃないよ。ボクは本当にそう思ってる。だからこそ・・・・・・これ以上、イッセーに求めてしまったら何だかバチが当たる気がして・・・・・・・」
だけど、と美羽は続ける。
「アスト・アーデに戻って、ロスウォードとの戦いでイッセーが倒れた時、後悔したんだ。――――もっと自分の気持ちを伝えておけば良かったって。あの時はイッセーは生きて帰ってきてくれたけど・・・・・また同じことが無いとは限らない。今回だって、また危ないことになろうとしてる」
美羽の言う通りだ。
俺はロスウォードに胸を貫かれて一度死んでる。
それでも生き返れたのはイグニスやシリウスの力があったからこそ。
もう一度、生き返れるなんてことはないだろう。
そして、今回はまた禍の団が絡んでる。
前回の旧魔王派の襲撃の時は何とかなったけど、今度の敵もそうなるとは限らない。
しかも、今の俺は籠手の力を使えない。
相手次第では苦戦することもありうる。
それだけじゃないな。
これからだってどんな死線が待ち受けているかも分からない。
俺が再び命を落とすことだってありうるんだ。
美羽の手に力が入る。
「もう・・・・ボクは後悔したくない! だから、今、伝えておきたいんだ! ボクはイッセーが好き! 他の誰よりも、イッセーのことが好き!」
俺の頬に何かが落ちてきた。
ふと見ると美羽はポロポロと涙を溢していた。
その涙は俺の頬に落ち、皮膚を辿って布団へと流れていく。
それほどまでに俺のことを想ってくれていたのか・・・・・・。
美羽の気持ちはしっかり伝わった。
妹が――――美羽が泣いてまで気持ちを伝えてくれたんだ。
伝わらないはずがない。
じゃあ、俺の気持ちは?
「美羽、俺は――――」
そこまで言いかけた時だった。
ガチャ
突然、部屋の扉が開いた!
俺は咄嗟に美羽を引き寄せてしまう!
このタイミングで来るとか誰だよ!
扉のところにいるのは白衣姿の男。
「もう消灯時間だ。さっさと寝ろよ兵藤・・・・・ってもう寝てやがるのか」
うちの担任だったぁぁああああああ!!!
普通に巡回に来ただけだったよ!
うん、文句言ってすいませんでした!
先生は真面目に仕事してるだけだもんな!
ごめんなさい!
「寝る子は育つってか? 修学旅行に来た生徒ってもうちょい遅くまで起きてるもんじゃないの? まぁ、寝てるなら別にいいけど。俺も楽だし。さてと、借りてきたDVDでも見るとするか」
パタンッ
先生はそれだけ言うと扉を閉めて立ち去っていった。
なんだよ、この変なドキドキ感は!?
心臓がバクンッバクンッしてるんですけど!
あれ?
先生、今寝てるって言った?
「あ、そろそろ先生が巡回に来る時間だったから、結界を少し変更しといたよ。皆からはお兄ちゃんが布団で寝てるようにしか見えないんだ。こっちの姿も音も向こうに伝わらないのは同じだけど」
マジかよ・・・・・・。
用意周到だな・・・・・・。
「はぁ・・・・・」
あー、盛大にため息が出たぞ。
「ね、ねぇ・・・・・・」
美羽が顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしている。
「ん? どうした?」
「い、いや、えーと・・・・・・これ・・・・・」
美羽に言われて俺は状況を確認してみる。
「あ・・・・・」
そうでした!
俺と美羽は完全に密着しているんだった!
俺が抱き寄せたせいなのか、美羽の浴衣が少しはだけている!
「ご、ゴメン! つい・・・・・」
「う、ううん、大丈夫。今のは仕方がないよ・・・・・」
「「あはははは・・・・・・・」」
二人の苦笑が部屋に響く。
いやはや・・・・・毎回毎回タイミングが悪いことで・・・・・。
誰かが意図的に俺の邪魔をしてるんじゃないかと思えてくるよ。
俺の腕の中で美羽がモジモジしながら言う。
「え、えっと、それでどうかな? ボクのこと・・・・・・」
そうだ。
途中で予想外のことがあったけど、これにはしっかりと答えないと。
と言っても答えはとっくに決まってる。
俺は美羽を更に強く抱いて頭を撫でる。
「俺も美羽のことが好きだよ。妹としても。一人の女の子としてもな」
俺の本音だ。
確かに俺は周囲からはシスコンと呼ばれるほど妹の美羽を可愛がってる。
だけど、一人の女の子として好意があるのも事実だ。
これまで美羽は俺のことを兄として慕ってくれていたからそういった心情を表に出すことはしなかったけどね。
俺の答えに美羽はほっと胸を撫で下ろしている。
「良かった。いきなりこんなこと言っちゃったから嫌われるかと心配してたんだけど・・・・・」
「それはあり得ないよ。俺が美羽のことを嫌うはずがないだろ。俺は美羽の可愛いところ、おっちょこちょいなところ、全てが好きなんだからさ」
「・・・・・ありがとう、イッセー・・・・・お兄ちゃん」
そう言うと美羽は目元に涙を浮かべながら本当に嬉しそうに微笑んだ。
それからしばらく、俺達は互いを抱き締め合った。
この日、俺と美羽は兄妹の関係から少し進むことになった。
▽
すると、美羽が起き上がる。
時間的にボチボチ部屋に戻るのかな?
そんな風に思っていると、
「お兄ちゃん。もう一つだけ良いかな?」
「ん?」
俺が聞き返すと美羽はまるで決心したような瞳で答えた―――――
「お兄ちゃん・・・・・・・を・・・ください・・・・」
「・・・・・・・・」
その言葉に俺は今日二回目の思考停止に入った。
「ダメ・・・・・かな?」
再度声をかけられて俺はハッとなる。
そして、
「え、ええええええええっ!?」
「ちょ、声大きいよ!」
「ムグッ・・・・・! ムムム・・・・・」
驚愕の声をあげると両手で口を塞がれてしまった!
く、苦しい・・・・・・・。
俺は美羽の手にタップする!
そ、それ以上されたら死ぬ!
死んでしまう!
ギブッ! ギブッ!
窒息しかけてるのを見て、美羽はパッと手を離す。
「ご、ゴメン! お兄ちゃんがあんなに大きな声出すから・・・・・・つい」
「い、いや、俺の方こそゴメン。・・・・つーか、結界あるから大丈夫なんじゃ・・・・・・」
「あ、ホントだ・・・・・・・ゴメンなさい」
「う、うん。大丈夫だよ・・・・・。俺も大きな声だして悪かったよ」
危うく死にかけるところだったが・・・・・・。
今はそんなことどうでもよくて!
美羽は何て言った!?
俺の聞き間違いじゃなければ、その・・・・・あれだよな!?
つまり、そういうことだよね!?
「え、えっと・・・・・」
「やっぱりボクじゃイヤ? アリスさんや他の皆の方がいい?」
「そ、そんなことはない! 俺だって美羽にそう言ってもらえて嬉しい!」
美羽を嫌がるわけがない!
だけどね、展開が急すぎない!?
告白を受けてからの展開がマッハなんですけど!?
「急なんかじゃないよ。ボクはずっとお兄ちゃんとこうしたいと思ってたんだよ?」
「ずっと!? って、俺の心を読まれた!?」
「お兄ちゃん、普段は分かりやすいんだもん」
マジでか!?
もしかして、小猫ちゃんとかにもそう思われてるのか!?
普段から表情を読み取られないように訓練でもするか?
止めとこう。
もう遅いと思うし・・・・・。
とりあえず、深呼吸して心を落ち着かせよう。
美羽は俺のことを一人の男として好きで、俺もその気持ちは同じだ。
兄妹の関係から少し外れることになるけど、お互いの気持ちが通じているなら良いとも思う。
それで今。
美羽はその・・・・・俺と・・・・・・。
さっきも美羽に言ったけど、そう言ってくれるのはすごく嬉しい。
美羽が求めてくれるなら俺はいつでも受け入れる。
男として責任はとりますよ、もちろん。
だけど、ここで一つ問題があってだな。
「俺・・・・・『アレ』持ってないんだ・・・・・」
そう言うと美羽は可愛く首を傾げる。
「『アレ』って?」
「いや、そのー、アレだよ・・・・・・」
うぅ・・・・・美羽の前でこの名前を口にすることになるなんて・・・・・・・
超恥ずかしい・・・・・・!
だが、これは言わなければ・・・・・・・!
美羽のためにも!
「えっとだな・・・・・このまま、普通にしちゃうと、美羽に・・・・・出来ちゃうだろ? 流石に学生のうちにそれってのは不味いんじゃないかと・・・・・・」
「あ、もしかしてコ○ドームのこと?」
おいいいいいいいいいっ!?!?
かなり直球だな、おい!
ストレート過ぎるわ!
こっちは出来るだけカーブをかけてたのによ!
「大丈夫だよ! ボク、持ってるから!」
「な、なにぃぃいいいいい!?!?」
美羽は袖の中から取り出したものは確かにそれだった!
なんで美羽が持ってるの!?
しかも箱!?
12個入り!?
何回戦するつもりだ!?
いや・・・・・これは買っておいたのが箱で態々中身を出すのが面倒だったんだよな?
うん、そうに違いない。
つーか、いつ買ったんだよ!
「これで問題ないよね?」
「ま、まぁ、そう、なるな・・・・・・」
あれ?
気のせいだろうか?
美羽がやたらと気合いを入れているような・・・・・・
「じゃあ・・・・・」
スルッ
美羽が帯をほどき、浴衣が肩を滑るようにして脱げていく。
そこから現れるのは、一糸纏わぬ美羽の姿。
下着・・・・・・・着けてなかったのね・・・・・・。
「お兄ちゃん・・・・・・」
美羽は艶のある表情で俺に迫り――――唇を重ねてきた。
離れないようにするためか、俺の後ろに腕を回してしっかりと。
ああ・・・・・・ここまでされたら俺、限界だ。
「美羽」
「えっ? ひゃっ!」
今度は俺が美羽を布団に押し倒し、美羽の上で四つん這いになる。
一瞬、美羽の体が強張ったけど、それも直ぐに無くなった。
俺は真っ直ぐ美羽の瞳を見つめて最後の確認をした。
「俺も美羽が好きだ。だけど、美羽は本当に・・・・・俺で良いのか?」
すると―――――
「もちろんだよ。ボクはお兄ちゃん以外の人は考えられないよ」
美羽は俺の頬に手を当てて微笑んだ。
「そっか」
俺も微笑みを返す。
これ以上は聞かない。
俺は美羽と再びキスをする。
暗い部屋の中で俺達は重なりあった――――。
美羽を絶対に悲しませない。
悲しみの涙だけは絶対に流させやしない。
これで誓うのは何度目だろう。
ずっと言い続けている気がする。
それでも。
俺は改めて誓うよ。
美羽が心の底から笑顔でいられる日々を守り続けると―――――。
▽
「うっ・・・・・・もう朝か・・・・・・」
時計を見てみると朝の五時前。
修学旅行だってのにこの時間に起きてしまうのはもう習慣だな。
いつもはこの時間から修行してるし。
ただ、いつもと違うのは体がメチャクチャ重いということ。
なんというか、激戦を終えた後みたいな感じだ。
えーと、何があったんだっけ?
確か――――――
俺は慌てて上半身を起こす!
わおっ!
俺、全裸じゃねぇか!
隣には俺と同じく全裸の美羽!
「おはよ、お兄ちゃん」
「お、起きてたのね・・・・・・」
「うん。少し余韻に浸ってたから」
余韻・・・・・・
ちょ、ちょっと待てよ・・・・・・・
そんな、そんなまさか・・・・・!
俺は布団の側にあった箱を取る!
そう、美羽が持ってきていたアレの箱だ!
中身を確認すると―――――
「な、無い・・・・・・」
中身は空っぽだった。
そ、そんなバカな!
俺は辺りを見渡してみる!
ゴミ箱だ!
ゴミ箱はどこだ!
直ぐ様にゴミ箱をチェック!
中には使い終えたアレとティッシュが大量に・・・・・・。
ま、マジでかぁぁああああああ!!!
じゅ、12
ボクシングの世界タイトル戦か!?
と、途中から記憶が・・・・・・。
た、確か、ほとんど美羽が・・・・・・・。
まさか、美羽があそこまでスゴいとは・・・・・・・。
お兄さん、終始タジタジだったよ・・・・・・・。
ギギギッと後ろを振り返ると美羽はとても晴れやかな表情だった。
「お、おまえ、大丈夫なの・・・・? 体、重くない?」
「ボクは全然平気だよ?」
うそん。
お、恐ろしい・・・・・・。
流石は魔王の娘か・・・・・・。
スタミナが半端じゃねぇ。
「こ、声とか漏れてないよね?」
昨晩は結構声出てたから、周囲に響いてそうだ。
もし、聞かれてたらかなりヤバイだろうな。
だけど、美羽は首を横に振った。
「それも大丈夫だよ。結界はお兄ちゃんが寝てから解いたし、それまではちゃんと維持できてたからね。誰かに見られることも聞かれることもなかったと思うよ」
「そ、そうか。それは良かった」
つーか、俺の方が早くにダウンしてたんだ・・・・・。
美羽ちゃん、マジで半端ねぇ。
明かされた事実に衝撃を受けていると、美羽は頬を染める。
「ボク達、し、しちゃったんだね・・・・・」
「お、おう・・・・・」
大人の階段を猛スピードで駆け上がったな。
修学旅行先でこうなるとは思ってなかったよ。
美羽は布団の上に座り込み、モジモジし始める。
「これからどうしよっか? その・・・・・」
あー、なるほどね。
何となく言いたいことが分かったよ。
「これからも今までみたいに過ごせば良いんじゃないかな? 確かに俺達はお互いに気持ちを伝えあったけどさ、兄妹の関係が無くなったわけじゃないんだし」
「そっか・・・・そうだよね。ボクは一人の男の人としてもイッセーが好きだけど、お兄ちゃんとしてのイッセーも好きなんだし」
「そういうこった」
クスクスと笑う俺達。
「さて、と。目が覚めちまったし、朝食までは時間がある。散歩でも行くか?」
「そうだね。っとその前に」
そこまで言うと美羽は俺に抱きついてきた。
そして―――――
チュッ
俺の頬にキスをしてきた。
「なっ!?」
不意打ちに驚く俺。
そんな俺を見て美羽はクスッと笑った。
「大好きだよ、お兄ちゃん」
▽
散歩を終えて、俺達は朝食に向かう途中だった。
廊下の隅でバッタリと桐生と遭遇する。
「おっす、桐生」
「おはよー、桐生さん」
「おっ、朝から一緒とは相変わらず仲が良いわねーお二人さん」
「ま、まぁな」
修学旅行先のホテルで励んでいたなんて言えない・・・・・・。
ってか、桐生と美羽とレイナは同じ部屋じゃなかったか?
昨晩、美羽が部屋にいなかったことを不審に思わなかったのだろうか?
俺が怪訝に思っていると、桐生は眼鏡をキラーンと光らせて美羽に言った。
「で? 昨晩は上手くいったのかな?」
「うん。桐生さんのおかげで。貸してくれてありがとね」
「フッフッフッ。こんなこともあろうかと用意しといた甲斐があったわね」
・・・・・・・・・・え?
昨晩・・・・・・?
貸すって何を・・・・・・?
すいません、何か嫌な予感がするんですけど。
「でも、ゴメンね。全部使っちゃったんだ」
「全部!? ひゃー、流石にそれは予想外だわ。兵藤、あんたどれだけ出すのよ?」
桐生が心底驚いたようにオーバーなリアクションを取る。
あれ・・・・・・なんか、嫌な汗が・・・・・・・。
背中の方が冷たくなってきてるんですけど。
俺は恐る恐る口を開いた。
「な、なぁ、美羽。昨日のアレってもしかして・・・・・」
すると、桐生がそれに答えた。
「コ○ドームは私があげたのよ。修学旅行といえばこういうイベントもあると思ってね。まさか、全部使われることになるとは思わなかったけど」
美羽が持ってきたのは、自分で買ったのではなく、桐生に借りたものだと!?
ってことは昨晩のこと、こいつは―――――
「ま、あんたら兄妹というより、恋人に近かったんだから良いんじゃない? どーせ、そのうち合体すると思ってたし。良い思い出になったんじゃないの? あ、でもアーシアとかゼノヴィアのこともよろしく頼むわよ、兵藤」
「お、おい、き、桐生?」
呼び止めようとすると、桐生は口に手を当ててスケベな笑みを浮かべた。
「ムフフ、それじゃあ、私は先にいくわ。お二人とも末長くお幸せに~」
そう言い残すと桐生はホールの方へと姿を消した。
「な、なあぁぁぁぁぁああああああ!?!?」