ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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現在、百話突破記念の話を考えているのですが、中々上手く書けていません。

うーん、どうしよう・・・・・・。




番外編 焼き鳥復活計画!! 中編

俺達、オカ研メンバー+アリスは冥界のフェニックス家を訪れていた。

 

人間界からグレモリー領へ転移した後、アリスの手続きを済ませ、それから魔法陣を介して何度もジャンプをして到着したわけだが・・・・・・。

 

うーん、でかい。

 

部長の家も相当大きかったけど、ここも負けてない。

 

フェニックスの涙でかなり稼いでるってのは聞いてたけど、これを見てるとかなり儲けてるのが分かるな。

 

 

城門が重い音を立てながら開いていき、俺達は中へと進む。

すると、少し進んだところに数人の使用人を連れたレイヴェルが待っていた。

 

「ごきげんよう、ようこそフェニックス家へ」

 

「ごきげんよう、レイヴェル。ライザーはこの区画に住んでいたわよね?」

 

部長の問いにレイヴェルは頷く。

 

「はい、ここから入ってそちらまで行けますわ」

 

レイヴェル先導で建物の奥へと進んでいく。

 

 

あー、やっぱり天井も高いな。

廊下の脇には高そうな甲冑やら絵画やらが飾られてる。

 

流石は貴族ってところか。

 

「リアス様、お久しゅうございます。それと、久しいな、赤龍帝」

 

第三者の声。

見れば、見知った女性が立っていた。

 

顔に半分だけの仮面をつけているのが特徴的な女性。

イザベラさんだ。

ライザーの戦車でもある。

 

「久しぶり、イザベラさん」

 

「話は色々聞いているよ。あの北欧の悪神ロキとやり合ったそうじゃないか。流石だ。っと、今日はライザー様のために来てくれたのだったな。・・・・・・すまん、礼を言うよ」

 

「気にしないでくれ。・・・・・・ライザーってそんなに酷いのか?」

 

尋ねるとイザベラさんは嘆息した。

 

「部屋に引きこもり、一日中レーティングゲームの仮想ゲームをしているか、チェスの強い領民を呼び寄せて一局する。それをこの半年ずっと繰り返してる」

 

イザベラさんはそれから、と付け加える。

 

「テレビで君の話題が出てくると、怯えたようにベッドに逃げ込む始末だ・・・・・・。ほら、君が演じているおっぱいドラゴンなるものがあるだろう? あれが流れるだけでもダメみたいなんだ」

 

・・・・・重症だな。

 

そこまで俺が怖いのか・・・・・・?

 

アリスが俺を小突いてくる。

 

「あんた、やり過ぎたんじゃないの?」

 

「うーん、どうだろう・・・・・・」

 

 

フェニックスを倒すには何度も倒すか魔王クラスの一撃をくらわせるか。

そのどちらかだ。

 

だから、魔王クラスの一撃をぶっぱなしたんだけど・・・・・。

 

『それだけの攻撃を受けたのだ。あの小僧が恐怖するのも無理はない』

 

はははは・・・・・・。

 

やり過ぎたのかな?

 

 

ま、まぁ、これから何とかすればいいか・・・・・・。

そのために来たんだし・・・・・・。

 

 

レイヴェルとイザベラさんの足が大きな扉の前で止まる。

火の鳥らしき見事なレリーフが刻まれていた。

 

 

コンコン

 

 

扉をノックするレイヴェル。

 

「お兄様、お客様ですわ」

 

そう言うと部屋の中からは弱々しい声が返ってきた。

 

『レイヴェルか・・・・・。すまんが今日は誰とも会いたくない。嫌な夢を見たんだ・・・・・。今はそっとしておいてくれ』

 

 

おいおい・・・・・。

これがあのライザーかよ?

 

以前の高慢な態度とは正反対じゃねぇか。

 

レイヴェルは深くため息をつく。

 

「こういう感じですの。私がどれだけ言っても部屋から出てくる気配がないのです」

 

イザベラさんやさっき合流したライザーの眷属達もため息をついてる。

 

 

ったく、何してんだか。

 

 

俺はレイヴェルの肩に手を置いて言った。

 

「なぁ、レイヴェル。今からかなり無茶苦茶しようと思うんだけど、いいか?」

 

「え? あ、はい。お父様もお母様も好きにしてくれと仰っていたので・・・・・・」

 

「OK。じゃあ、皆は少し下がっていてくれ」

 

俺の言葉に皆は怪訝な表情を浮かべるけど、指示に従って後ろに下がってくれた。

 

それを確認した俺は錬環勁気功を発動。

右腕に気を循環させる。

 

 

そして―――――

 

 

ドッガァァァアアアアアアン!!!!

 

 

俺は扉をぶち抜いた。

 

吹き飛んだ扉が窓ガラスを突き破って外に飛び出す。

 

砕け散るガラス。

舞い上がる埃。

 

 

「な、なんだぁ!?」

 

 

そんな中、聞こえてくるのは慌てるライザーの声。

俺は扉の欠片を踏みながら中に入る。

 

そして、ライザーの姿を確認してからニヤリと笑った。

 

「よう、ライザー! 今からおまえの根性を叩き直す! 表出ろ!」

 

 

 

 

 

「せ、せ、せ、せ、赤龍帝ぇぇえええ!?」

 

 

 

 

 

 

俺の姿を見て、目が飛び出そうなくらい見開くライザー。

 

普通なら俺がここにいることを聞いてくるはずだ。

 

だけど、ライザーは俺の姿を見るなり、窓を突き破って逃げ出しやがった!

 

あの野郎、いきなりそれか!

 

「逃がすかよっ!」

 

 

ダンッ!

 

 

俺は床を蹴って外へと飛び出す!

 

いきなりトップスピードに至った俺はライザーに追い付き、頭を掴んで地面に叩きつけた!

 

 

ドゴォォオオオオオオン!!!

 

 

地面には巨大なクレーターが出来て、その中央にはライザーがめり込んでいた。

 

『いきなり無茶苦茶だな』

 

ま、いいだろ。

 

これで外には引きずり出せたわけだし。

 

レイヴェルの許可も得てるしな。

 

 

ライザーは体を起こし、俺に指を突き付けてくる。

 

「なんで貴様がここにいるんだ!?」

 

「レイヴェルに頼まれたんだよ。情けない兄貴を何とかしてくれってな」

 

「んなっ!?」

 

絶句するライザー。

 

俺はそんなライザーを無視して勝手に話を進めていく。

 

「今日からおまえの引きこもり生活を改善していくわけだけど・・・・・。とりあえず、山籠もりするからよろしく」

 

「勝手に話を進めるな! 山籠もりだと!? なぜ俺がそんなことをしなければならない!?」

 

「決まってるだろ。修行だよ修行。根性をつけるには修行が手っ取り早いからな」

 

「ふざけるな! 俺は上級悪魔だぞ! 貴族たる俺がそのようなことを―――――――」

 

ライザーがそこまで言いかけた時。

 

俺の隣にアリスが着地してきた。

それに続いて、美羽や部長、レイヴェル達も地上に降りてくる。

 

アリスはライザーの姿を見て、嘆息する。

 

「ホント・・・。話に訊いていた以上に情けない男ね」

 

アリスの言葉にライザーが激高する。

 

「なんだとっ!? 人間ごときが無礼な!」

 

「そうやって他人を見下してるうちは話にならないわ。と言うより、まずは今の自分の姿を見なさいよ。貴族というよりホームレスだから」

 

ま、まぁ、確かに・・・・。

 

今のライザーは髪は寝癖がついていて、髭も伸びてる。

おまけにボロボロの寝間着姿だ。

 

誰がどう見ても貴族だなんて思えないよな・・・・。

 

ボロボロにしたのは俺だけど。

 

「私、口だけの男って嫌いなのよ。特にあんたみたいな奴。そんなんだからリアスさんにもフラれるし、イッセーにボコボコにされるのよ。上級悪魔だから、貴族だから、修行しない? ふざけんじゃないわよ。自分を磨こうとしない人が貴族を名乗らないで。あなたについていくと決めたこの子達に迷惑かけてるとは思わないの?」

 

おおっ・・・・。

ライザーへのあたりが強いな・・・・。

 

アリスは一国の王女だったし、今のライザーに対して思うところがあるのかね?

 

 

アリスの言葉に言い返せないライザー。

だけど、何か言い返したかったのだろう。

 

ライザーはアリスに叫んだ。

 

 

 

 

 

 

「う、うるさいっ! 俺に指図するな! この貧乳女!」

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、時が止まった感じがした。

 

 

 

 

 

 

あ・・・・・ヤベ・・・・・。

 

 

 

 

 

人には絶対に触れてはならない領域がある。

それは人それぞれだけど、確実に存在するものだ。

 

 

そして、ライザーはそれに触れてしまった。

 

 

 

バチッ バチチチッ・・・・・

 

 

 

スパークが巻き起こり、空気中で弾けていく。

 

 

「・・・・・言ったわね・・・・・。よくも言ってくれたわね・・・・・・」

 

 

アリスは槍を自身の固有空間から取りだす。

 

 

その瞬間、体に悪寒が走った!

 

マズイ!

これはマズイ!

 

 

「み、皆! に、逃げるぞ!」

 

「えっ? イッセー?」

 

「良いから早く! 巻き込まれる前に早く!」

 

急いで!

お願いだから!

 

俺は全員に注意を促し、ライザーを残して遠くへと走る!

 

 

本能が俺に告げていた!

あそこにいたら死ぬ!

絶対に死ぬ!

 

 

 

 

数秒後・・・・・

 

 

 

 

 

この場にいた全員が知ることになった。

 

『白雷姫』を怒らせるとどうなるか。

 

 

 

白き雷が煌めくのが見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おまえ・・・・・・やり過ぎ・・・・・・」

 

「そ、そう?」

 

 

あれから数分後。

 

俺達が見たのは見る影もないくらいボロボロにされたライザーの姿だった。

 

体から炎が発せられ、傷は回復していってはいるが・・・・・。

顔はパンパンに膨れ上がり、もはや誰なのか分からない。

 

 

ライザー・・・・・。

不死身の体で良かったな。

 

そうじゃなかったら、確実にあの世行きだ。

 

 

「俺達はライザーを立ち直らせるために来たのに、これ以上使い物にならなくしてどーするよ?」

 

俺が言うとアリスは頬をかきながら苦笑する。

皆もどう反応すればいいのか分からず、対応に困っていた。

 

 

はぁ・・・・・・。

 

 

とりあえず、ライザーが気絶してる間に用意も出来たし、こうして外に連れ出すことも出来た。

第一段階は成功ってことでいいだろ。

 

次は・・・・。

 

 

部長が尋ねてくる。

 

「さっき山籠りするって言ってたけど、具体的にどうするつもりなの?」

 

「えーと、ちょっと待ってください。ボチボチ来るとは思うんですけど・・・・・」

 

「?」

 

俺は腕時計を確認してから空を見上げる。

 

もうすぐ待ち合わせの時間なんだけど・・・・・。

さっき連絡したら、もうすぐ着くと言っていたし。

 

と、遠くの空から大きな影が一つ飛来してきた。

 

「あ、来た。おーい!」

 

俺はそれに向かって手を振った。

 

 

そして――――

 

 

ズゥゥゥゥゥゥウンッ!!

 

 

大きな地響きを立てながら、巨大なドラゴンが俺達の前に降り立った。

 

「この間ぶりだな、おまえ達」

 

「おっさん、来てくれてありがとう」

 

そう、そのドラゴンとは元龍王のタンニーンのおっさんだ!

 

俺が礼を告げている横でライザーが叫んだ。

 

「タ、タタタタタタンニーンッ!? 最上級悪魔・・・・で、伝説の・・・・・・ドラゴン!」

 

 

あらら・・・・・。

 

そう言えば、俺だけじゃなくて他のドラゴンもダメなんだっけか?

龍のオーラを持つもの全てにビビるんだった。

 

おっさんがビビるライザーに視線を移す。

 

「ライザー・フェニックスか。将来有望な王として注目していたんだが・・・・・・。その様子だと確かに問題があるようだ。ところで・・・・・なぜ、既にボロボロになっているのだ?」

 

「あははは・・・・・・。まぁ、おっさんが来る前に色々あってね」

 

おっさんには既に事の顛末は話してある。

その話を聞いた時はおっさんも「情けない」と一蹴していたな。

 

「俺だけじゃなくて、ドラゴン関連全てがダメみたいでさ。暫くはドラゴンばっかりの場所で修行をつけてやりたいんだよね。そうすれば、ドラゴンに慣れると思うんだ」

 

「なるほど。それで俺を呼んだわけか」

 

「そうそう。そんでもって、ついでに山で修行でもすれば根性もつくだろ? もう準備もしてあるんだ」

 

「ほう、準備が良いな。分かった。それでは俺の領地に行くとしよう。ドラゴンも多くいるし、山もある。多少暴れても問題あるまい」

 

流石はおっさん。

話が早いぜ。

 

「そういうわけで、部長。俺はライザーを連れておっさんの領地に行ってきます」

 

山で修行。

夏休みの地獄を思い出すな。

 

龍王二人を相手に全力のスパーリング。

 

あの時は死ぬかと思ったね。

 

 

「い、いやだぁぁぁぁあああああっ!!」

 

ライザーが炎の翼を広げて逃げようとする。

 

ま、無駄だけどね。

 

「逃げるな。男なら覚悟を決めろ」

 

「ひぃぃぃいいいい!」

 

おっさんのデカい手に掴まれもがくライザー。

 

事情を知らない人が見たらドラゴンに食われそうになっている人にしか見えないだろうな。

 

 

さて、俺も行きますか。

 

 

「それじゃあ、俺は行ってきます」

 

俺はおっさんの背に飛び乗り、皆に別れを告げる。

 

部長が見上げながら言ってくる。

 

「イッセー。ライザーのことお願いするわね」

 

「任せてください」

 

「何かあったら連絡してちょうだいね」

 

「了解です、部長」

 

暫く皆と触れあえないとなると、寂しくはあるが・・・・・。

まぁ、レイヴェルのためだ。

ここは我慢するさ。

 

 

そんなことを思っているとレイヴェルが一歩前に出た。

 

「私も行きますわ!」

 

「っ!」

 

この申し出には驚いた!

 

マジか!

この山籠りについてきたいと!

 

うーん、どうしよう・・・・・。

女の子を山籠りに連れていくのは気が引ける。

 

 

「私も・・・・・兄を・・・・・兄を立ち直らせたいのです!」

 

 

決意の眼差しで告げてくるレイヴェル。

 

本当にライザーのことが心配なのだろう。

 

「何人増えようが俺は構わないぞ、兵藤一誠」

 

おっさんはそう言ってくれた。

 

俺は頷き、レイヴェルに言う。

 

「分かった。じゃあ、一緒に行くか!」

 

「はい!」

 

レイヴェルは嬉しそうに応じてくれた。

 

話が纏まると、レイヴェルは素早く魔力で衣装をドレスから動きやすい服装へとチェンジさせる。

 

そして、俺と同じくおっさんの背に乗った。

 

「それじゃあ、行こうか」

 

おっさんは俺達の準備が出来たのを確認すると大きな翼を広げて出発した。

 

 

ライザーが自分の眷属に助けを求めていたが、眷属達は手を振ってエールを送るだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

数時間後。

 

おっさんの領地に到着した俺達は早速、山籠りに入った。

 

 

 

「うおおおりゃあああああっ!!」

 

 

 

ドゴォォオオオオオオン!!!

 

 

 

「ギャァァアアアアアアッ!!」

 

 

俺の蹴りを間一髪で避けて転がるライザー。

 

さっきライザーがいたところに巨大なクレーターが咲いた。

 

ぜーはー、と呼吸を荒げながらライザーが叫んだ。

 

「お、俺を殺す気かぁあああああ!」

 

「あんた不死身なんだし大丈夫だろ?」

 

「そういう問題じゃない!」

 

じゃあ、どういう問題だよ?

 

まだ全力は出してないぞ?

今回は初日だから軽めにやってるんだけど・・・・・・。

 

「こんなもん、やってられるか! 俺は帰る!」

 

とライザーは俺に背を向けて走り出した。

 

 

また、往生際が悪いことで。

 

つーか、そんなことしても無駄だって。

 

「逃がしませんぞ、ライザー殿!」

 

逃げるライザーの前に立ちはだかったのは水色の大型ドラゴン。

 

あのドラゴンはおっさんの配下のドラゴンで、高位のドラゴンらしい。

 

「修行に戻るのです!」

 

ブフゥゥゥウウッ!!

 

水色のドラゴンがブレスを吐いて、ライザーを吹き飛ばす。

 

「俺の炎が凍るぅぅうううう!」

 

あ、ほんとだ。

 

炎の翼が凍ってるよ。

 

フェニックスだけあって、ライザーの炎は結構な熱量を持ってる。

それを凍らせるって凄いな、あのドラゴン。

 

 

 

ちなみに今の修行。

基本は俺とライザーのスパーリング。

その周囲には複数のドラゴンが俺達を見守っている(監視とも言う)

ライザーが弱音をあげた時はドラゴン達が励ましてくれるのだ!(襲われているようにしか見えない)

 

 

これだけドラゴンに囲まれていたら、そのうち慣れるだろう。

 

 

水色のドラゴンのブレスで俺の足元まで吹き飛ばされたライザー。

うつ伏せの状態でピクリとも動かない。

 

「お兄様! さっさと起きてください!」

 

水色のドラゴンの上からレイヴェルがライザーに檄を飛ばしていた。

 

うーん、中々に厳しい妹だ。

 

でも、それも兄貴を思ってのことだ。

良い妹じゃないか。

 

「ほら、レイヴェルもああ言ってることだし、早く続きをしようぜ。どうせ、ここにいてもやることは修行だけなんだしさ」

 

俺が声をかけてみると、小さな声でライザーが返してきた。

 

「・・・・・これは・・・・・・いつまで続くんだ?」

 

「そりゃあ、あんたが俺とドラゴンに慣れるまでかな」

 

「・・・・・・・・」

 

 

初日からこれじゃ、先が思いやられるな・・・・・・。

 

はぁ・・・・・・・。

 

 

俺はため息を吐いた後、ライザーに言う。

 

「あんた、レイヴェルに心配かけといて何も思わないのかよ?」

 

「何・・・・?」

 

ライザーはようやく顔を上げる。

 

「俺がこれを引き受けた理由の一つは同じ妹を持つ兄貴として、妹に心配かけるあんたが許せなかったからだ」

 

「俺は・・・・・」

 

「それにだ。アリスが言ってたけど、あんたの眷属に申し訳ないとは思わないのか? ・・・・・・いや、それだけじゃないか。部長もあんたのことを本気で心配してるぜ? このままで良いのかよ?」

 

何も返してこないライザーに俺は言葉を続ける。

 

「立てよ。あんたに上級悪魔としての誇りがまだあるんなら、俺達(・・)に一発ぶちかましてみろよ。それが出来ないなら、あんたは本当にただの焼き鳥だ」

 

 

その時、

 

 

 

ゴォォォオオオオオッ!!

 

 

 

 

ライザーの背から炎の翼が広がった。

先程よりもかなりの熱量だ。

 

ライザーは立ち上がり、俺に吠える。

 

「貴様ァァァアアア!! どこまでも俺を愚弄するか!」

 

 

へぇ・・・・・。

少しはやる気になったか?

 

 

俺はニヤッと笑う。

 

「おう。愚弄してるぜ。今のあんたはフェニックスでも何でもない。ただの焼き鳥だからな。なんなら、塩でもかけてやろうか? それともタレ?」

 

「こ、の・・・・・っ。下級悪魔の分際でぇぇえええ!」

 

ライザーは俺に向かって火球を放ってくる。

それなりの熱量だけど、この程度なら問題ない。

 

俺は手に気を集めて、軽く振り払う。

 

 

ようやく、まともな攻撃をしてきたか。

 

そろそろ本格的に修行に入れる・・・・・か?

 

ま、さっきまで逃げ回っていたから、ほんの少しだけ前進したな。

 

 

「じゃあ、修行を始めるか。おまえが俺達(・・)に食らいつくことが出来るようになれば、この山籠りを終わらせてやるよ!」

 

 

俺がそう叫んだ時だった。

 

 

 

俺の後ろに二つの影が降り立った。

 

それは二体のドラゴンだった。

 

 

「待たせたな」

 

「よう、イッセー。来てやったぞ」

 

「お、来てくれたのか、ティア。サンキューな。おっさんも用は済んだのか?」

 

「ああ」

 

 

俺は二人と軽く話すと再びライザーと向かい合った。

 

 

「さ、これからが修行の本番だ。俺とタンニーンのおっさん、そしてティア。天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)ティアマットって言えば分かるか? 俺達三人(・・・・)であんたの修行をつける。まぁ、頑張れ」

 

そこまで言って、俺は気づいた。

 

ついさっき燃え盛り始めたライザーの炎が小さくなってるような・・・・・・。

というか、白目むいてないかい?

 

「おーい、ライザー?」

 

俺はライザーの目の前で手を振ってみる。

 

すると―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁああああああああああああ!!!!!」

 

 

 

 

ライザーの絶叫が山にこだました。

 

 

 


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