ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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異世界編もクライマックス!

あと1~2話くらいで終わり・・・・・かな?


25話 滅びの終わり

[木場 side]

 

 

 

僕達は絶対的な危機に陥っていた。

 

 

 

ロスウォードの攻撃によってイッセー君は倒れた。

 

この場にいる皆にとってイッセー君は心の支えと言っても過言ではない存在。

それを失ったことは僕達にとっては致命的なものだった。

 

 

そして今。

 

 

ロスウォードに負わせた傷から流れ出た僅かな血。

そこから例の怪物が産まれ、僕達を包囲していた。

 

数は十体程度。

 

 

「祐斗! そっちは任せるぞ!」

 

「はいっ!」

 

僕は駆けつけてくれたモーリスさんと共に皆が逃げるための道を切り開いていた。

 

僕は新しい力の一部、七剣(セブン・ソード)を駆使して怪物を斬り刻んでいく。

怪物の手足を七剣で切断し、最後に本体にトドメをさす。

 

 

皆が戦える状態じゃない今、僕がやるしかない。

正直、僕も一杯一杯だ。

それでも、イッセー君の代わりに僕が皆を守らないといけない。

 

僕は流れる涙を拭い、新たな敵に斬りかかる。

 

 

モーリスさんもその卓越した剣技で一度に数体の怪物を塵にしていった。

 

 

怪物に関しては僕とモーリスさんだけで十分だろう。

 

 

 

問題は―――――

 

 

 

タンッ

 

 

 

地上に降り立つロスウォード。

その冷たい瞳が僕達を捉える。

 

「貴様らも赤龍帝の元へと送ってやる。それが、俺の意思(・・・・)で出来る唯一のことだからな」

 

そう言うと、周囲に黒い槍を無数に展開する。

宙を覆うそれらの穂先全てが僕達へと向けられていた。

 

 

「こいつは・・・・・ヤバイな・・・・・・」

 

モーリスさんが呟く。

剣聖と呼ばれる彼ですらこの反応だ。

 

あの無数の槍が放たれれば、僕達に防ぐ術はない。

 

 

「案ずるな。痛みすら感じない。・・・・・・一瞬だ」

 

ロスウォードが指を弾く。

 

それと同時に全ての槍が雨のごとく僕達に降り注いだ。

 

僕は・・・・・・っ。

 

親友の仇を討てないまま、こんなところで終わってしまうのか・・・・・・っ。

 

 

 

黒い槍が僕の眼前まで迫った。

 

 

 

 

その時――――――

 

 

 

 

 

オオオオオオオオオオオオッッッ

 

 

 

 

 

突然、現れた炎の壁。

 

それは赤と黒のオーラを雷のように弾けさせながら、僕達をドーム状に覆い、ロスウォードの黒い槍から僕達を守っていた。

 

 

「なんだ、それは・・・・・・・。なぜ、貴様が立っている・・・・・・」

 

 

ロスウォードもこの状況に目を見開いていた。

彼にとっても予想外の出来事だったのだろう。

 

 

僕はロスウォードの視線を追って、その先にあるものを見た。

 

 

 

「お兄・・・・・ちゃん・・・・・・・?」

 

 

 

そこには―――――

 

 

 

かつて無いほどのオーラをたぎらせたイッセー君が立ち上がっていた。

 

 

 

[木場 side out]

 

 

 

 

 

 

 

 

今から唱えるのは今回限りの呪文(うた)

 

俺とシリウス、そしてイグニス。

俺達三人で謳う最初で最後の三重奏(トリオ)だ。

 

 

「我、目覚めるは魔と真焱を纏いし赤龍帝なり―――」

 

 

 

胸に空いた穴に炎が宿り、穴を塞いでいく。

まるでフェニックスのように。

 

それと同時に赤龍帝の鎧が展開された。

 

 

 

『無限の想いを胸に抱き、救道を往く』

 

 

 

俺の赤いオーラとシリウスの黒いオーラが混ざり、膨れ上がる。

俺達のオーラは止まることを知らず、天を貫いていく。

 

 

 

『我ら、全てを守護する真の炎となりて』

 

 

 

 

鎧から莫大な熱量を持った炎が噴き出す。

紅蓮の炎は俺とシリウスのオーラを包み込む。

 

 

 

赤と黒。

そして、紅蓮の炎が鎧を覆う。

 

 

そして、俺達は同時に最後の一節を謳った――――。

 

 

 

 

 

「『汝に絶対の救いと希望を与えよう――――!』」

 

 

 

 

その瞬間、俺を覆っていたオーラが弾けた。

 

天と地が激しく揺れる!

 

 

 

『Welsh Burning Full Drive!!!!』

 

 

 

 

眩い光と共に揺れが収まる。

 

光が止み、皆の前に現れたのは通常の鎧よりも鋭角になった鎧だろう。

色も赤と黒を基調としたものになっている。

 

翼も四枚になっていて、鎧の各所から炎を噴出させている。

 

俺の右手には刀身が通常の鋼色から紅蓮に変わったイグニス。

普通だったら物凄い熱が俺の右手を焼いていただろうけど、今は右手を焼くような熱は感じられない。

 

 

『相棒、これは――――』

 

 

ああ、そうさ。

 

俺の赤龍帝としての力とシリウスの魔王としての力。

そしてイグニスの力を一斉解放した状態だ。

 

『そうか・・・・・。対話には成功したのだな』

 

そういうことだ。

 

まぁ、この状態になれるのは今回限りだけどな。

 

 

シリウスの声が聞こえてくる。

 

『そうだ。そして、私がおまえとイグニスを繋いでいられる時間も少ない。せいぜい二分といったところか』

 

二分ね・・・・・。

了解だ。

 

 

「なぜ、貴様が立っている? 心臓を消し飛ばしたはずだが・・・・・・・」

 

ロスウォードは俺がこうして立っていることに怪訝な表情をしている。

 

まぁ、普通はあり得ないよな。

胸にデカイ穴を空けられたのに、そこからまた立ち上がったんだからな。

 

「皆の声が聞こえたからさ。皆の俺を呼ぶ声が聞こえた。―――――皆を泣かせたまま死ねるわけないだろ?」

 

皆が呼んでくれたから、俺は再び立ち上がることが出来た。

諦めずに済んだ。

 

皆が一度消えかけた俺に灯をつけてくれたんだ。

 

 

・・・・・・・それに、俺は頼まれたしな。

 

「・・・・・・この力は皆を守るだけの力じゃない。おまえを救うための力でもある。俺が・・・・・・いや、俺達(・・)がおまえを永遠の滅びから解放してやる」

 

「ほう・・・・。何が起きたかは分からんが、貴様から感じられる力が先程とは全く別物だな・・・・・」

 

「ああ、そうだ。今ならおまえを止められる」

 

俺はそう言って一歩前に出る。

 

「・・・・・本当にイッセーなの?」

 

アリスが呆然とした表情で尋ねてきた。

俺が生き返ったことをまだ理解できていないようだ。

いや、アリスだけじゃないな。

皆も似たような表情だ。

 

モーリスのおっさんでさえ、言葉を失ってるくらいだしな。

 

 

俺は一度マスクを収納して、笑みを浮かべた。

 

「おう。心配かけて悪いな。・・・・・ありがとな。俺を呼んでくれて。聞こえたぜ、皆の声が」

 

「・・・・バカッ・・・・・! 私がどれだけ心配したと思ってんのよ!」

 

あらら・・・・・。

これは後でアリスからのお説教だな。

 

美羽や部長達もまた泣き始めたし・・・・・・。

 

「まぁ、お説教は後でいくらでも受けるよ。・・・・・皆はここで見ていてくれ。ここから先は俺達でやる。おっさん、皆を頼むな」

 

「俺達じゃあ、完全に足手まといにしかならねぇか・・・・。任せたぜ、イッセー」

 

おっさんの言葉に俺は頷きで返す。

 

 

いくぜ、ドライグ、シリウス、イグニス!

 

おまえ達の力を俺に貸してくれ!

 

『応ッ!』

 

『当然だ』

 

『さぁ、いきましょうか!』

 

 

俺はイグニスの切先をロスウォードに向けて叫んだ!

 

 

「ここでおまえを止める!」

 

 

『Accel Full Booster!!!!』

 

『BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBB!!!!!』

 

 

覇龍を使った影響か、更に加速できるようになった倍加。

それは俺に絶大な力を与える!!

 

ドォォォォォォッ!!!!

 

全身から炎を噴出して瞬時にロスウォードとの距離を詰める!

巻き起こる炎と爆風が炎の嵐を巻き起こし、周囲の景色を吹っ飛ばした!

 

イグニスの刀身には紅蓮の炎が渦巻くように起こり、その威力を絶大なものにする!

 

 

ガギィィィィィィンッ!!!!!

 

 

鳴り響く衝突音!

 

イグニスの刃が届く直前にロスウォードは黒い槍で防ぐが、あまりの衝撃に遙か後方に吹き飛んでいく!

 

ここではこれ以上戦いたくないからな。

皆から離れた場所で戦わせてもらうぜ!

 

俺は更にブースターから炎を噴出させて追撃を仕掛ける!

 

 

ロスウォードは翼を大きく広げて勢いを殺し、空中でくるりと宙返りして態勢を整える。

 

急激に上がった俺のスピードにロスウォードは目を見開いていた。

 

あいつは驚きながらも、こちらに黒い槍を数本投げてくる。

槍に籠められた力は一つ一つが凶悪で、まともに受けるのは得策じゃない。

だけど、この立ち位置で俺が避ければ皆が危ない。

 

 

俺は鎧から噴出させている炎を操り、炎の手の形成。

その手で黒い槍を掴み取り、そのまま燃やし尽くした。

 

「この炎は俺の手足も同然だ!」

 

炎の手を複数伸ばし、ロスウォードを掴みにかかる。

 

ロスウォードはそれを軽々とかわして、俺との間合い取る。

 

 

そして、両の手に黒い槍を持ち、周囲にはあの漆黒の球体を三つほど創り出した。

 

 

・・・・あんな技を一度に三つも出せるのかよ。

たった一つでも防ぎきるので精一杯だったってのに・・・・・。

 

ロスォードは容赦無く三つの球体を放ってきた!

 

 

『だが、今のおまえならば、なんとかなるだろう?』

 

まぁな。

今の俺ならな!

 

『BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBB!!!!』

 

『Transfer!!』

 

俺は瞬間的に倍加した力の全てをイグニスに譲渡!

イグニスの刀身を覆っていた炎が爆発的に膨れ上がった!

 

「斬り裂けぇぇぇェええええええええええッ!!!!!」

 

俺はイグニスを全力で振るい、紅蓮の斬撃を放った!

 

三つの球体と紅蓮の炎が衝突し―――――――――――

 

 

 

ドオォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!

 

 

 

上空で大爆発を起こした。

 

空一面が紅蓮と黒で染まる。

 

 

すると、ロスウォードは爆煙を振り払い、槍を振るってきやがった!

 

「ッ!」

 

俺は咄嗟に上体を反らして槍を避けるが・・・・・・

 

なんつースピードだよ・・・・

 

この状態でもギリギリのスピードだぞ、こいつは・・・・・!

 

 

 

それから、俺とロスウォードは上空で激しい剣戟の応酬を繰り広げた!

 

紅蓮の剣と化したイグニスとロスウォードの黒い槍とがぶつかり合い、空を、大地を揺らしていく。

 

まるで、世界の悲鳴を訊いているようだ。

 

「確かに力は遙かに上がった。だが、この程度では俺は倒せんぞ」

 

「ぐっ!」

 

黒い槍が俺の腕をかすり、鎧の部分を破壊される!

生身の腕にダメージを受けちまった!

 

だけど、俺だって負けられねぇ!

 

俺は脳に錬環勁気功を使用。

それと同時に俺の視界から色が消えた。

 

今回の戦闘で三度目の領域(ゾーン)に突入。

 

少々、キツイけどこれくらいなら!

 

「おおおおおおおおおおっ!!!!!」

 

俺はイグニスを振るい、ロスウォードの左腕を斬り落とす!

やっと大きなダメージを与えられたな!

 

「くっ・・・・」

 

ロスウォードは僅かに苦悶の声を漏らす。

しかし、片腕を失った状態でもその攻撃は衰えない。

 

ロスウォードは右手で俺の顔を掴むとそのまま地面に叩きつけた。

 

「ガハッ・・・・!」

 

叩きつけられた衝撃で肺が圧迫され、口から空気が漏れる。

痛ってぇ・・・・。

 

起き上がろうとすると、ズキンッと体に痛みが走る。

 

・・・・・今ので骨の何か所かにヒビがはいったか。

 

『来るぞ!』

 

「ッ!!」

 

ドライグに言われて、空を見上げるとロスウォードが巨大な槍を投げつけていた!

あんなのくらったら、ひとたまりもないぞ!

 

俺は急いで四枚の翼を羽ばたかせて上空へ退避。

 

何とか槍を回避することは出来たけど―――――

 

先程、俺がいたところには大きな穴が・・・・・・底が見えないくらいに深い穴が空いていた。

しかも、範囲が広すぎる。

 

山が谷に変わったって感じだな・・・・・・・。

 

 

「一人の相手にここまで力を使ったのは貴様が初めてだ」

 

そう言うとロスウォードは俺の近くで停止する。

 

「だが、そろそろ限界か・・・・・・。その疲労からして、もうすぐでその状態も解除されるのだろう?」

 

・・・・・・っ

 

確かにその通りだ。

俺は既に肩で息をしている状態。

 

この状態もあと三十秒程度で維持できなくなる。

 

今は何とか互角の戦いを繰り広げてはいるけど、この状態が解除されてしまえば、それも終わる。

 

そうなれば瞬く間に俺は殺されるだろうな。

 

 

どうする・・・・・・・。

 

 

 

すると、俺の耳元に魔法陣が展開された。

 

なんだ・・・・・?

 

『聞こえとるかの、イッセー? ワシじゃよ』

 

「師匠!?」

 

予想外の人からの通信に俺は驚きの声を上げた!

 

何でこのタイミングで師匠からの通信が入るんだよ!?

 

『お主がやられてしもうた時はどうしようかと思ったぞい。まぁ、よう分からんが、生き返ったようじゃの』

 

「見てたんですか?」

 

『うむ。こっちでもお主のサポートをしようと準備してたのでの。それが無駄にならずに済みそうじゃ』

 

サポート?

準備?

 

どういうことだよ?

神様は下界に降りられないだろ?

そうなったらサポートも何も・・・・・・・

 

俺が怪訝に思っていると師匠は少し笑った。

 

『なーに、お主が思うとることくらいは分かっとるよ。何もワシが下界に降りる訳ではない。ワシがしておったのは神層階に住まう神々から気を分けてもらい、それをお主に送る準備じゃよ』

 

「!?」

 

『苦労したぞい。ロスウォードに対抗できるほどの気を練るのはのぉ。それゆえに時間がかかってしもうたが・・・・・・。ま、とりあえず、そっちに送るから受けとるのじゃ』

 

とんでもないことをスゲー軽い口調で言ってない!?

 

いや、前からそういう人だけどさ!

 

 

すると、空から一筋の光が見えた。

それは真っ直ぐに俺へと落ちてきて――――――

 

 

カッ!

 

 

俺にぶつかり、激しく輝いた!

 

光は俺の体に染み込むように入ってくる。

入り込んだ気が俺の全身を駆け巡り、力を増大させていく!

 

 

『受け取ったかの? それだけあれば少しの間は何とかなるじゃろ?』

 

「ええ、ありがとうございます」

 

『すまんの。結果的にワシら神々がしなければならぬことをお主一人に任せてしもうた。・・・・・許せ、イッセー』

 

本当に申し訳なさそうに言う師匠。

師匠のこんな声音は初めて聞いた。

 

俺はそれに対して言葉を返そうとした。

 

 

その時、もう一つの通信用の魔法陣が俺の耳元に展開された。

 

 

 

 

 

 

[アザゼル side]

 

 

「待たせて悪かったな。こっちも準備が整ったぜ」

 

ロスウォード対策のための術を得た俺はそれの準備をするべく、オーディリア各地を回っていた。

 

かなり大がかりな術式な上に少しばかり変更もしたから、時間がかかっちまったがな。

 

『完成したんですか?』

 

「おう。色々変更があったせいで遅くなったがな」

 

 

イッセーとロスウォードの戦いを監視用の魔法陣で見ていたが・・・・・・。

一時はもうダメだとも思ったぜ。

 

イッセーがあそこから立ち上がるとは思わなかったからな。

 

 

『変更?』

 

 

イッセーが尋ねてくる。

 

 

まぁ、本来なら半日ほど早く術式を完成させる予定だったんだが・・・・・・。

 

 

オーディリアという国は四大神霊という火、水、土、風を司る神霊の加護を大昔から受け続けた国だ。

だから、この国は他国よりも土地が豊かで恵まれている。

 

今回はオーディリアの土地に長きに渡って溜まり続けた四大神霊の力。

これを利用して術式を発動する手筈だった。

 

 

だが、それがつい先日、少しばかり変更になった。

 

その理由は――――

 

 

「よう、スケベ勇者! 聞こえてるかよ!」

 

 

俺を押し退けてイッセーと通信する女が現れた。

 

その声を聞いてイッセーは驚きの声をあげる。

 

『エ、エルザ!? なんでそこにいるんだよ!?』

 

そう。

こいつはゲイルペインの森、フォレストニウムでイッセーを巨大ハンマーでボコボコにしていたあの女だ。

 

「んなもん決まってるだろうが! 私も戦うために来たんだよ! いや、正確には私達(・・)だけどな!」

 

「ふぉっふぉっふぉっ。イッセー殿。私もいますぞ」

 

『ウルムさんも!?』

 

「私とエルザだけではありませぬ。ゲイルペインの民、全てがここに集まっております」

 

『なっ!?』

 

 

再び驚愕するイッセー。

 

 

まぁ、俺も流石にこうなるとは思ってなかったからな。

 

人間と魔族。

この世界に住まう全ての民がこの術式を発動するために力を貸してくれることになるとは思ってなかったぜ。

 

だから、俺とロスヴァイセ、リーシャは急いで術式の変更を行ったわけだ。

 

オーディリアの土地に溜まっている力だけじゃなく、この世界の民、全ての力をこの術式に使えるように。

 

お陰で時間がかかっちまったが、効果は抜群だろうよ。

 

 

「ま、そういうこった。詳しく話すには時間がねぇ。今から術式の発動させる! おまえらは配置につけ!」

 

 

『おおっーーーー!!!』

 

 

俺達は各自の配置につき、足元の魔法陣に手を置いた。

 

 

 

 

 

[アザゼル side out]

 

 

 

 

 

 

 

各地から巨大な光の柱が走るのが見えた。

 

かなりの距離があるはずなのに一本一本がかなり太く見える。

 

光の柱は俺とロスウォードがいる遥か上空で重なり合い、巨大な魔法陣を描いた。

 

 

すると、ロスウォードの体から発せられていたオーラに変化が訪れる。

 

先程まで荒々しかったものが、徐々に小さくなっていく。

 

「これは・・・・・・。そうか、貴様らは俺が封印された時の術式を・・・・・・」

 

「ああ。・・・・・・これにはこの世界に住む全ての人の想いが籠められてるんだ」

 

俺はイグニスの切先に師匠から受け取った力の全てを注ぎ込んだ。

紅蓮の炎が更に燃え盛る。

目映い赤い光が周囲を照らしていく。

 

 

これが俺が出来る最後の攻撃になる。

 

こいつに全てを籠める!

 

俺は四枚のドラゴンの翼を広げて、ロスウォードに突っ込んだ!

 

 

「終わりにしようぜ、ロスウォードォォォオオオオオッ!!!」

 

 

俺は叫び、空を駆ける!

 

 

 

 

 

そして―――――――

 

 

 

 

イグニスの刃がロスウォードの胸を貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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