ある夏の日に   作:一級狙撃手

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皆さんどうも、一級狙撃手です。今回が第一章の最終話になりますが、連載自体は続けて行くつもりです。

それでは、本編をどうぞ。


第一章 最終話(六話)【告白の行方】

夜。なんとか当麻くんの横を勝ち取った私は布団に入って横になる。

当麻くんが私に遠慮して外側に逃げようとするが、逃がさない。

 

「この布団は、当麻くんの布団なんだから当麻くんが出ちゃだめだよ。出るなら私が…」

 

「わ、分かった!でない、出ないからその手を離して下さいアリサさん」

 

と、小声で話す当麻くん。…そんなに嫌だったのかな。

 

この布団はもともと二人用ではなく、少し動いたら当麻くんとぶつかってしまいそうなほど狭い。

 

ふと、隣りを見る。この部屋は位置的に街灯の光が入らないため、降り注ぐ光の元は月のみなのだ。夏の晴れた満月の日は幻想的になる、と当麻くんが言っていた。今日は満月ではないのだが、それでも一応目が慣れれば視界の確保はできるぐらいの光はある。

 

身体を横に倒して当麻くんの方をむく。当麻くんの横顔を見て少し安心して、そのまま眠りにおちた。

 

 

 

 

これは、どういう状況でせうか?

なぜ、アリサは緩み切った顔で俺の腕にしがみついているのでせうか?そんな事をされるといくら上条さんと言えども勘違いしてしまうのですが…

 

「当麻…くん………き、だよ…」

 

「なんて言ったんだ?俺の名前を言っていたみたいだけど、まぁいいか、上条さんも寝るとしますよ」

 

と言って俺は意識を手離した。

 

 

 

 

翌朝、俺は拘束されていた。どうしてこういう事になったのかと言うと、朝、俺より早く起きた美琴がアリサが俺に抱きついているところを見て(正確には故意にではなく、ただ寝ながら抱きついてきただけなので、特に意味はないのだが)怒り、ちょっと刺激的な起こされ方をされた後、拘束されたのである。ちなみに、寝方は、アリサの腕は俺の首にまわされ、足を絡めて寝ていた…らしい。

 

「さて、インデックスやアリサさんが起きる前にケリをつけましょうか。で?アンタはなんであんな姿勢で寝てたわけ?」

 

「だから、あれは俺がした訳じゃなく、アリサがやったことで…」

 

「へぇ~、アリサさんのせいにするんだ」

 

どうやら美琴は本気で怒っているらしい。そこに、さらにアリサが追い打ちをかけてくれました。

 

「当麻…くん」

 

「なるほどなるほど。問答無用ね♪」

 

「ふ、不幸だぁぁぁーーーー!!!!!」

 

朝から大変な日になった。

 

 

 

とりあえず、残り二人を起こし、朝食をつくる。四人で朝食を食べた後、美琴は帰って行った。インデックスはなんでも夜に小萌先生のところの焼肉パーティーに呼ばれているから、と言ってスフィンクスを連れて小萌先生のところに行った。俺は、久しぶりに第三学区の自然公園に足を運ぼうと思っていた。

 

「アリサ、今日は何か用事でもあるか?」

 

「今日?何もないと思うよ?」

 

「分かった。じゃあ、留守番…いや、アリサも来るか?自然公園。去年行きたがってたもんな」

 

「え、自然公園に行くの!?うん!行く!」

 

と言うわけで、アリサと当麻は第三学区にある自然公園に行く事になった。

 

 

移動中…

 

「そう言えば、シャットアウラってどこの学校に通ってるんだ?」

 

「シャットアウラちゃん?シャットアウラちゃんは霧ヶ丘女学院だよ?」

 

「そうだったのか?へぇー、しかしシャットアウラが霧ヶ丘ねぇ」

 

「うん。結構友達もいるみたいだよ?」

 

「へぇー、あ、成績はどうなんだ?」

 

「毎回二十位以内にはいるらしいよ?」

 

「…すげぇな。って、…んん?『いるらしい?』」

 

「うん、私はほら、意識はあったけど、意識しかなかったから。わからなかったんだよ」

 

「そう言えばそうだったな」

 

移動中も楽しむ二人だった。

 

 

自然公園に着くと、アリサは大きく伸びをしていた。俺は久しぶりに来たおかげで、前と若干異なる地図に戸惑いつつも、とりあえず、自販機を目指した。実に二年ぶりに自然公園に来たのだ。やっぱり満喫しないとダメだろう。そのためには、喉などかわかしている場合ではないのだ。

 

自販機に着くと、適当に一本選んで、近くにあった丁度木陰にあるベンチに腰掛ける。そこで、アリサに話しかけようとして、そっちを向いたとき、アリサの風になびく髪を掻き分ける仕草にドキッ、として、話しかけるのも忘れてアリサに見とれてしまっていた。

 

(アリサ、やっぱり可愛いし性格もいいから結構モテるのかな?)

 

アリサが告白されてる姿を考える、

 

ズキッ

 

(何でいま、胸が痛くなったんだ?)

 

もう一度アリサが告白されてる姿を考える

 

ズキッ

 

(やっぱり、これってもしかして妬いてるのか?アリサが告白されている事に)

 

(それじゃあ、俺は、アリサの事が…)

 

と、自分の世界に浸り過ぎていたらしい。

 

「…まくん、当麻くん!」

 

「うおっ!な、なんだ?」

 

「なんだ?じゃないよ!さっきからずっと呼んでたのに」

 

「はは、わりぃわりぃ。ははははははは」

 

「?本当に大丈夫?無理してないよね?」

 

「ああ、心配すんな」

 

「うん…」

 

「そう言えば、昼の自然公園も良いけど、夜の自然公園も結構いいもんだぜ?」

 

なんとか平常心を取り戻した当麻だった。

 

 

 

 

 

ーーアリサ目線(続き)

 

当麻くんとここに来てから四時間、日が斜めになり、空は薄くオレンジ色に染まりかけて来た。

 

私は、いま二つの悩みを抱えている。

一つは、『私が当麻くんを好き』だということ。

二つ目は、『さっきからずっと当麻くんの様子がおかしい』事だった。

 

一つ目は、まぁいい。自分自身の問題だから。問題なのは二つ目だ。これがなぜ問題なのかと言うと、まず、私が当麻くんに信用されてないんじゃないか、とかその他色々マイナス方向に想像がはたらいてしまうこと。次に悩んでいる人が私の好きな人なのに、力になれない事。

 

そんな感じで、私は少し気分がおちていた。そして、近くに人のいない木陰を見つけると、当麻くんに、ちょっときて、当麻くん。、と呼びかけて木陰に向かう。

木陰に着くと、私は

 

「悩み事があるなら言ってよ」

 

と言った。すると当麻くんは、

 

「その気持ちはありがたいんだけど、でも、アリサだから言えないんだ」

 

「私じゃ、力になれない事なの?」

 

「いや、そう言うわけじゃ…」

 

「じゃあ、教えてよ」

 

「いいのか?」

 

「うん」

 

「分かった。でも、少し時間をくれ」

 

「う、うん」

 

アリサは、この後予想にしていない事を言われる事になる。

 

「よ、よし!覚悟決まった!言うぞ!!」

 

「うん」

 

「わたくし、上条当麻はずっとあなたの事が好きでした!付き合って下さい!!」

 

「…………え?」

 

今、彼はなんと言った?

 

『あなたの事が好きでした!』

 

「……え!?えぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

「あ、あのー。返事をもらえるとありがたいのですが…アリサさん?」

 

「ぅわ、私も!当麻くんのことずっと前から好きでした!なので、これからよろしくお願いします!!」

 

随分勢いに任せた告白だが、それがこの二人らしくもあり、この思いは、永遠に終わることはない、と二人は確信していた。




どうでしたでしょうか。これで、第一章は全部終わりました。第二章は主に付き合っていくアリサと当麻、それの取り巻きの話にしようと思っています。

あと、まことに勝手ではありますが、四話のまえがきでも話したとおり、3/19(土曜日)と翌日の日曜日はこちらの都合上更新出来ません。なので次回投稿は月曜日の3/21日が投稿日になります。

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