ある夏の日に   作:一級狙撃手

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五ヶ月ぶりの投稿です。どうも、一級狙撃手です。

今回は、とある人からの依頼で久しぶりに起動させて書きました。
展開が急で、尚且つオリキャラが名前だけを含めて五人出て来ます。

話が分からないと思うんですが、何が分からないか書いて頂ければ対応します。


それでは、本編をどうぞ。


A S 第二話(三十三話)【変わり果てた現状】

「当麻様、アリサ様、お待ちしておりました」

 

「おはようございます!当麻さん、アリサさん!」

 

 

アパートを出た瞬間、二人の女性に声を掛けられる。

 

 

一人は金髪のショートカットで、凛とした雰囲気をまとわせている、いかにも真面目、と言った感じ。

 

もう一人は、黒髪のショートカットで、こちらは明るく元気な、という言葉が似合いそうな雰囲気。

 

二人とも土御門の妹のような服を着ているがそこの生徒ではない。──というか、言ってしまえば、俺とアリサの知り合いだった。

 

「来たのか………」

 

俺が呆れていると、その二人はそれぞれ別々の反応をする。

 

「……使用人ですから」

 

「当麻さんとアリサさんの行くところに私あり!です」

 

──驚く事に実はこの二人、なんと俺とアリサの専属メイドだったりする。金髪の方を赤月美穂。黒髪の方を赤月奈穂と言う。

 

 

その辺も含めて説明が必要なので、まずそこの説明からさせてもらおう。

 

 

 

──────────

─────

 

平日のいつもの風景と言ったな!あれはウソだ!!……いや、ウソと言うよりは現実逃避か。

 

……………。

 

事の発端は、俺とアリサのそれぞれが原因だったりする。

 

俺は毎度のパターン。アリサは音楽活動が理由だ。

 

 

まずアリサの方から行くと、アリサの音楽活動をバックアップする会社が現れたところが事の始まりだった。

 

学園都市に本社を置き、多国籍企業としてその分野ではそれなりに知名度の高い大企業──イルグランメート社である。

 

そのイルグランメート社がアリサに目を付け、この話が始まった。

 

 

そしてそこに俺の件が入り、更に話が進むのだが、アリサの方はここで終わってしまう事になる。

 

 

 

次は俺の方だが、事は二年前にまで遡り、ローマでの話。

 

ローマで、テロリストとローマ正教の反乱者達と戦った後、それらを焚きつけた大元である『聖正徒宗教団』と戦ったのだが、その際に途中から一緒に戦ったとある同年代の女性に、ついこの間再会したのだ。

 

その女性──女子は、俺の記憶喪失の事も知っていて、そして俺が記憶喪失になる前の知り合いだと言う。

 

名前を夜風(やふう)イリスと言う彼女は、つい最近、新たなLEVEL5として学園都市中にその名を知らしめていた。……しかも、それだけでも十分インパクトはあるが、それを更に高めたのはその順位だった。

 

 

LEVEL5──第一位である。

 

そう。

 

あの一方通行を超えたのだ。しかも俺みたいな魔神の力ではなく、純粋に能力で。

 

そんなイリスの能力は、絶対法則(アンリミットルール)という、ある種チートのような能力だった。……そのチート内容が、

 

この世に存在するありとあらゆる総ての法則を意のままに──自由に捻じ曲げ、更に新しく作る事も可能。

 

完璧に、チートだった。

 

流石にこの能力の前には一方通行もなす術なく、あえなく負けたわけなのだが、──なんの因果か、それともイリスの性格か。……俺は、イリスに言い寄られていた。まぁ、言い寄られたと言ったってイリスが面白がってやっているだけだが。

 

 

そこから話は発展し、イリスがイルグランメート社の社長の弟の娘だったというところに話は落ち着く。

 

そして、イリスはおちゃらけた態度を取っていたが、記憶喪失になる前の俺に助けられたから、とか言いながら俺にお礼と称して、社長の別荘らしい住まい一つと、使用人二人、更に護衛まで用意したのだった。しかも驚く事に、その護衛というのがシャットアウラ率いる黒鴉部隊なのだ。エンデュミオン以来大きい仕事が無かったらしい黒鴉部隊も、アリサと時を同じくして雇われ、そして俺のところに専属の護衛として就いたらしい。

 

流れとしては、

 

イリスと再会→イリスが社長の娘であるクリスタシアとタシアナに頼み込む→沢山ある別荘の一つと使用人二人、更には護衛を確保→俺に押し付けるように渡す→なし崩し的に決定する。の流れだ。

 

途中で出て来たクリスタシアとタシアナは、それぞれ社長令嬢で、クリスタシアが俺の二つ上、タシアナが一つ下で、それぞれニックネームがクリスとターシャだ。イリスとは小さい頃から一緒だったとのことだ。

 

 

 

 

──────────

─────

 

そんな事があってから俺たちはその別荘で暮らしていたのだが、急な生活の変化になれる事がまだ出来ていない為、たまにこうしてもともといたアパートに帰って来ては昔の生活をしていたりする。

 

「駐車場で黒鴉部隊()が待っています。行きましょう」

 

美穂のその言葉に従い、俺とアリサと美穂と奈穂、全員が一つの車に乗る。

 

この車は、黒鴉部隊の使っている光学迷彩機能を搭載したあの車を、わざわざ移動用に特化させ、更に乗り心地を快適にした特殊な車で、元の二倍の大きさがあるが、運動性能は落ちておらず、壁を走る事も可能という、特製のものだった。

 

そんな金のかかった車に乗り、渋滞している道の上をジャンプで飛び越え、時には壁に片輪を乗せ、気付けば学校前。

 

「行きましょう、当麻さん!アリサさんも!」

 

奈穂がドアを開け、更に手を差し伸べながらそう言ってくる。

 

 

その手を借り、車から降りる。その際に運転してくれた黒鴉部隊の人に「シャットアウラによろしく」と言って車から降りた。

 

「それじゃあ、行こっか。当麻くん」

 

「ああ。……行くk」

 

「当麻さーん!!」

 

行こうとした、まさにその瞬間。

 

向こうの方に知り合いが見えたと思ったら、俺の目の前にテレポートして来た。

 

ちなみにこの知り合い、テレポート系能力者ではない。こいつがテレポート出来るのは──“移動に関する法則を変えている”からに過ぎない。

 

つまりは、つい先日LEVEL5第一位になった、夜風イリスだった。

 

 

そのイリスは、俺の目の前に出現すると同時に俺に抱き付いてくる。

 

「イェーイ!転校初日に当麻さんゲッ……ト…ォ……」

 

イリスが喜んでいたのもつかの間。俺の背後から物凄い寒気が。

 

「当麻くん?」

 

ゆっくり。非常にゆっくり言われたその言葉に、LEVEL5第一位と俺が軽く震え出す。そして、振り返って見ると───それはもう、綺麗な笑顔でした。

 

一瞬の内に俺から離れるイリス。あくまでテレポートして消えるつもりはないらしい。

 

「あ、あー、そうだ。イリスは、なんて名前で登録したんだ?……まさかLEVEL5の時と同じ名前?」

 

逃げるように話題を変えると、イリスが、

 

「あー、うん。あの名前だよ……」

 

実はイリスは偽名で暮らしているのだが、その偽名がひたすら長いのだ。

 

試しに書いてみようか。

 

イルクレア・セルゼランイオンラーク・アシリストーケスファ・ナーツィクスレアビクリヤ・ユーウェンテスト

 

これが彼女の偽名だ。第一位の時もこの名前だった。

 

 

──こんな風に、俺の大学生活は高校の頃の面影をほとんど残さず、変わってしまっていたのだった。




イリスの偽名は完璧にネタ使用です。

尚、ネタバレOKな人のみですが、私のこのssに登場する予定、または登場したオリキャラの設定やらなんやらを書いた活動報告がありますので、オリキャラに関する設定などはそこで見て下さい。


下はそのURL


https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=134646&uid=138410

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