ある夏の日に   作:一級狙撃手

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どうも、一級狙撃手です。

今回は、一話分とばして投稿します。

本文には問題はでないので、大丈夫です。



それでは、本編をどうぞ。


第三章 五話(十九話)【大覇星祭・前夜祭《遅夏祭り(おそなつまつり)》】

遅夏祭り。大覇星祭の前夜祭という位置づけの夏祭り。前夜祭なのに開催されるのは大覇星祭が開催される三日前という、ちょっとナゾな前夜祭だ。

 

今はまだ午前中。本格的に祭りが始まるのは午後5時過ぎあたりからだろう。やっぱりメインイベントは花火大会だ。

 

現在、私(わたくし)、上条当麻がいるのは、紅と翔一の実家……………………の、前である。いや、本当に。本当に感動的な接待ですはい。嬉し過ぎて熱中症で倒れそう…。

 

まぁ、そんな事はどうでもよくないが、どうでもいい。なぜ、中津川家に来ているのかと言うと、今日のお祭りのためにアリサが貸してもらう浴衣とその着方を教えてもらっているのだ。俺が中津川家に入れないのは、サプライズのためらしい。そんな訳で、俺は中津川家の外で晩夏とはいえ、割と暑い陽射しを浴びながら壁に寄っかかりながら立っているのだ。

 

しばらくすると、翔一が家から出て来た。その手にはグラスと麦茶らしきものと氷が入ったボトル。どうやら俺にお茶を持って来てくれたらしい。

 

「当麻、麦茶飲まねえか?」

 

「ああ、もらうぜ。悪いな」

 

「いいさ。……しっかし、上条さん(この場合はアリサの事)何でも似合うのな。姉さんがあんなに着せる浴衣を迷ってたのは久しぶりだぜ」

 

中津川家は、浴衣のレンタルをしているため、そういうのも人にあったものを着る人の要望と照らし合わせて選んでくれるのだ。が、アリサはどれを着ても似合ってしまうため、選ぶのが難しいらしい。

 

「へぇ、早く見てみたいな。アリサの浴衣姿。やっぱり結構可愛いのか?」

 

「俺も手伝ったのは選ぶとこまでで、着てるところは見てないからな。上条さん(ここもアリサ)の浴衣姿が楽しみだぜ。な、上条さん。(こっちは当麻の事)」

 

「……悪りぃ、お前の言葉の意味が分かんねぇ。…何言ってんの?」

 

「あ、いや、何でもねぇよ。分かんねぇなら分かんねぇでいいさ」

 

「なんだそれ?」

 

そして、俺たちはしばらくいろんな事を話していた。

 

 

 

 

 

ーー(アリサside)ーー

 

……私は今、人形になっています。本当になっているわけじゃなくて、俗に言う【着せ替え人形】の状態。た、助けて、当麻く~ん!

 

まず、何でこうなったのかを説明するね。

 

私、鳴護アリサは、学校に【上条アリサ】として通っています。ここまでは知ってるよね?で、今日は大覇星祭の前夜祭、【遅夏祭り】で、当麻くんに浴衣姿を見せるために、当麻くんの友達で、最近知り合った中津川さんの家に来てるんだけど、……さっきから紅ちゃんが私の体に浴衣をあてては取り替え、あてては取り替えを繰り返してるんだよね…。これじゃ本当に着せ替え人形だよ……。

 

まぁ、いつか終わるから、と言い聞かせてすでに十分。ずっとこんな調子だ。……本当に着せ替え人形になっちゃったかな?と、思っていると、

 

「うん、アリサさんにはこれが一番似合うわね」

 

と言って浴衣を出して来た。先程の浴衣の中にあった、しかも、割と最初の方だったきがする浴衣を選んでくれたらしい。全体的に黄色系の色をした浴衣。それが紅ちゃんが選んでくれた浴衣だった。

 

「決まったの?ありがとう」

 

と、礼を言う。すると、紅ちゃんが、

 

「よし!これから着付けやるわよ!」

 

……………………え?嘘でしょ?嘘だと言ってよ!?助けて~!当麻く~ん!ああ…、当麻くん成分が足りないよ…。

 

そんな訳で、さっきからずっと解放されないの。当麻くん…、外で立ってたけど倒れてないかな。やっぱり私の大事な彼氏さんだもんね。心配にもなっちゃうよ。

 

そして、これから着付けをする事になったのだった。

 

 

 

 

ーー(再び上条【当麻】くんside)ーー

 

そろそろ外で立ち始めてから三十分になる。だが、アリサが出てくる気配がまったくない。さすがにおかしいと思い、翔一にお願いして見て来るように頼んだのだが……。

 

俺の前には、かろうじて人型をとどめていると言えるであろう物体が、転がっていた。

 

「お、おい、大丈夫……じゃねぇな。ま、いいか」

 

「よくねぇわ!!」

 

「なんだ?動けたのか、翔」

 

「うるせぇ。しっかし、久しぶりに姉さんの飛び回し二段蹴りをくらったぜ」

 

「怖えな。そんな技があんのかよ……」

 

「一回、当麻もくらってみるか?痛いなんてもんじゃないぜ。いや本当に」

 

「さすが紅だな。体術はお前もやってんじゃないのか?」

 

「ああ。俺もやってるけど、姉さんのが強いし、今回みたいに不意打ち気味にやられると死ぬわ」

 

「というかなぜこうなった?」

 

「姉さんの着替えを覗きました。……というか入ったら姉さんが着替えてた」

 

「……なんと言うか…、お、お疲れ様」

 

こんな感じで、俺と翔が話していると、中からアリサと紅が出て来た。

 

「ごめん当麻くん。遅くなっちゃった」

 

「いいさ。今日の午後が楽しみだよ。…楽しもうぜ、アリサ」

 

「うん♪」

 

そういいながら、俺に寄りかかるアリサ。すると、翔が、

 

「おい当麻。マジで目の前でいちゃつくなよな……」

 

そして、俺たちは四時半に再びここに集合する事を約束して、別れた。




終わったぜよ。次回は第三章 四話を投稿します。

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