やはり俺の青春にウルトラマンがいるのはまちがっている   作:ichika

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比企谷八幡は光の巨人と出会う

noside

 

これは、遠い遠い世界、我々の住む地球とは違う宇宙に存在する地球でのお話し・・・。

 

 

 

その日、地球のある地点でのみ観測された大流星群の存在があった。

 

一般的に流星群の正体は宇宙を漂うゴミや小惑星が、地球の大気圏に突入する際に摩擦熱で燃え上がる事により発生するものであった。

 

だが、その流星群は、他とは違っていた・・・。

 

その流星群が降り注ぐ中、その地域にある山中に、空を仰ぐ七人の男女の姿があった。

 

「くっ・・・!俺達の、力が・・・!」

 

その内の一人である長い黒髪の男性が、流星群を見上げながらも地面を殴りつけた。

端正であるその顔には、ただ焦りと憤りが伺えた。

 

「落ち着け、何とかあの力を封じる事は出来た・・・!まだ、遣り様は在る!」

 

そんな彼を宥める様に、短く切りそろえた金髪を持つ男性は話すが、完全に焦りを隠す事は出来ていなかった。

 

「どうするのさ、リーダー?アタシ等、完全に招かれざる客だけど?」

 

「このまま、手出しできないのかな・・・?」

 

そんな彼等を尻目に、茶髪の女性と眼鏡をかけた女性は、彼等七人の中心にいた人物にこれからの行動指針を求めた。

 

茶髪の女性が話す、招かれざる客の正体は、何を指す事なのか・・・?

 

「あの封印は、俺達の力と引き換えにした様なものだ・・・、そのうち、そう遠くない内に破れる・・・、だから、俺達はそれまでに俺達の力を取り戻さなくちゃならない。」

 

「そのためには、まずこの世界に溶け込みましょう、私達の手で、護るのです。」

 

「拠点はこの町、で良いよね、他にも行ってる可能性はあるかもだけど、まずはね?」

 

最も落ち着いていたその男性は、これからどうすべきかを的確に指示し、彼の両サイドにいた薄金髪の女性と濃金髪の女性はその方針を具体化させていた。

 

長い付き合いなのだろう、相手がなにを望んでいるのかを把握している様でもあった。

 

そんな彼等の言葉に落ち着きを取り戻したのか、他の四人の表情にも光が戻り、やってやると言わんばかりに頷いていた。

 

「行くぞ、時間は残されていない、彼等を、探そう。」

 

リーダー格の男が先導するように歩き始めると、他のメンバーも彼を追って歩き始めた。

 

それが、半年後から起こる出来事の、幕開けになるのであった・・・。

 

sideout

 

 

side八幡

 

――青春とは欺瞞である――

 

新学期始業式の日、俺こと比企谷八幡は何時も以上に目を腐らせて、学校に向かうための準備を始める。

千葉総武高校に通う二年の俺だが、正直言って学校に行くことほど憂鬱な事は無い。

 

「そいじゃ、行ってくるぞ、小町~。」

 

「は~い、いってらっしゃい~。」

 

マイスィートシスター小町に見送られて、家を出た俺は通学路を自転車を走らせて進んで行く。

 

この道も一年以上使っていると慣れるもんだが、今だにあの時の事故の記憶はこびり付いて剥がれないってもんだ。巻き添え喰っただけとは言え、流石に一か月近く入院なんて二度と御免だ。

 

そんな事を考えながらも周りを見れば、友達と談笑しながら騒いだり、彼氏彼女と周りを憚る事無くじゃれ合うリア充どもであふれかえっていた。

 

リア充爆発しろ、それが俺の心境だ。

生まれてこの方、友人なんて出来た事も無ければ、彼女なんて言わずもがな、いや、寧ろ欲しいなど思わないまである。

 

どうせ誰も・・・、な・・・。

 

しかし、それとこれとは話が違う、ここは精神衛生上よろしくない、一刻も早く立ち去りたい。

ボッチには、辛すぎる環境だ・・・、御勘弁願いたい。

 

あの~、そこのピンク髪御団子ヘアーの女子高生、俺の顔を見るなり顔をそむけないでくれませんかね?何かついてますかね?いや、付いてましたねこの腐った目が。

 

春の日差しも俺には似合わない・・・。

そんなどこぞの兄貴のセリフが思い浮かんだが、すぐさま思考の片隅へと追い遣る。

 

下らない事考えずに、安全運転で行きますかね。

 

そうやって暫く進んで行くと、空を見上げる人だかりを見付けた。

 

なにやってんだかとは思えど、それに釣られてしまうのが人間の性と言うものか、俺も釣られて空を見上げた。

 

都会の空らしく、青空だが霞がかった様な空の一点に、何かが見えた。

 

「なん、だ・・・?」

 

それは、青空の色よりも更に青く、それでいてどんどんこちらに向かってくるような錯覚を覚える。

いや、それは、間違いなくこっちに向かって来ている。

 

目を凝らさずとも、それは、青い球体だとハッキリ認識できるまで近付き、通学路から路地を数本挟んだ、ビルや住宅が立ち並ぶ場所に降り立つ。

 

それに伴って、野次馬共のざわめきが大きくなるが、誰もその場を離れようとはしなかった。

 

いや、離れればいけないのは俺にも分かっている、だけど、それ以上に何が起こるのか分からないから知りたいという好奇心も働いているんだろう、俺もその場から動く事は出来なかった。

 

だが、その時の俺は完全に忘れていた。

好奇心は猫をも殺す、と・・・。

 

そんな俺達の前で、光は内側から膨れ上がるように更に輝きを増し、一瞬にしてその姿を変えていた。

 

「な、なんだありゃっ・・・!?」

 

その光が晴れた時、そこには、巨大な何かがいた。

 

40Mは軽く超えるであろう身長、緑灰色で刺々しい表皮に小さい手、そして、こっちを見下ろす、不気味なまでの瞳・・・。

 

「怪、獣・・・?」

 

空想の中でしかいない筈の巨獣、怪獣が目の前にいる、俺はおかしくなってしまったのか?

だからなのだろうか、なるべく距離を取らないといけないなどと言う考えが、今の俺には浮かんでこなかった。

 

あまりにも巨大で、あまりにも不気味なそれは、身体を大きく揺さぶったかと思いきや、唸るように吠えた。

 

『――――!!』

 

恐怖、ただそれだけが思考を塗りつぶして行く。

 

逃げなければ、その先に待つのは、死だ・・・。

 

逃げの指令が完全に行きわたるより早く、その巨大な生物は口から青い光弾の様な物を発射し、手近なビルや家屋を破壊していく。

 

「に、逃げろぉー!!」

 

今の今になって、危険が迫っている事に改めて気づいたのだろう、野次馬の中の誰かが叫びながらも、ぶつかる事も気にせずに逃げ出した。

 

それにつられて、漸く他の野次馬達も悲鳴を上げながら散り散りに逃げ始める。

 

普段は、空気を読む事こそすれど、周りに合わせる事をしない俺でも、なるべく他の野次馬達とぶつからない様にわざと逃げた人間が少ない道を走って逃げた。

 

逃げ惑う俺達など見ていないのか、怪獣は手当たり次第に光弾を吐き、長い尾で当たりを蹴散らす。

 

その破壊力は凄まじく、一瞬にしてビルは崩れ、止めてあった車やトラックは爆風に煽られて宙を舞う。

逃げ遅れていたからだろうか、飛んで来た瓦礫や車の下敷きになる人間もいた。

 

灰色だと思っていた俺の日常は、十分にも満たない時間で地獄絵図と化していた。

 

「なんだよ・・・!なんなんだよぉぉ!!」

 

そのあまりにも強大な力の前には、俺は無力だった。

ただ逃げるしかなく、命の危機に晒されている。

 

まるで、小学生が悪戯で踏み潰す、蟻とまったく同じ存在でしかなかった。

 

自転車ではこの状況では小回りが利かないと判断して乗り捨ててきたが、普段は帰宅部なせいもあって息も絶え絶え、脚は震えて中々前に進めなかった。

 

だが、逃げなければ、逃げなければ命は無い、俺は言う事を聞かない脚を殴ってでも逃げるべく進もうとした。

 

その矢先だった、俺の視界に何かが飛び込んでくる。

 

それは、俺と同じ高校の制服を着た、御団子ヘアーの女子だった。

 

脚でも怪我したのか、蹲って動けなくなっていた。

 

怪獣がすぐ近くまで迫っている、これじゃあ遅かれ早かれ死ぬかもしれない。

だが、それは自分もそうじゃないのか、そう思い至るより前に、脚がその方向を向いていた。

 

「立て、早く逃げるぞ!」

 

怪我の具合なんて確かめてられん、担ぐ様に肩を貸し、引き摺るように逃げる。

 

「あぇっ・・・?」

 

絶望に染まっていた顔のまま、彼女は驚いた様に俺を見るが、今はそんな事を気にしている場合じゃない。

少しでも遠くへ逃げなければ・・・!

 

だが、それもそんなにうまくいかないのが現実らしい。

怪獣が吐いた光弾が俺達の頭の上を飛び、逃道の脇にあったビルにぶち当たった。

 

「あっ・・・!?」

 

あれは直撃したモノを破壊する破壊光弾なんだろう、そのビルはまるで特撮の爆破演出の様な爆ぜ方をして、残骸が俺達目掛けて降り注いでくる。

 

まずい、俺独りなら走れるかもしれないが、彼女は脚を怪我して走れない、このままじゃ下敷きになってしまうだろう。

 

だが、このまま肩を貸して逃げようとしたところで共倒れになるのは目に見えている。

 

なら、どちらか一人が助かるにはどうするか?その答えは、考えるまでも無く勝手に身体が実行していた。

 

「何があっても走れよ!」

 

「えっ?きゃあっ!?」

 

支えていた肩を抜きつつ、その勢いのまま彼女を瓦礫が落ちて来ない場所に向けてぶん投げる様にして突き飛ばす。

 

もしかしたら裏目に出るかもしれない、だが、ここにいて共倒れよりも、生き残れる確率は高い筈だ。

 

そのことを考えるより早く、俺の頭上にビルが崩れ落ちてくる。

これで、俺もゲームオーバーかよ・・・・。

 

その瞬間、俺の視界と意識は闇に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺を包む様に差し込む一筋の、暖かな光と共に・・・。

 

sideout

 

noside

 

「い、いやぁぁぁ!!」

 

自分を突き飛ばした少年が巨大な瓦礫の下敷きになるのを目の当たりにしてしまった少女は、こんな事は夢だと言わんばかりに両手で顔を覆った。

 

自分のせいだ、自分のせいで彼は死んでしまったのだ。

 

その現実を受け入れてしまうと、何かが壊れてしまうような恐怖に包まれていた。

 

「やだぁぁ!!やだよぉぉぉ!!返事!返事してよぉぉ!!」

 

自分のせいで、目の前で人が死んだのが耐えられないのだろう、彼女は狂乱した様に瓦礫の下に呼びかける。

 

美少女と形容すべきその顔は、今は恐怖と絶望、そして悲嘆に暮れた涙でぐちゃぐちゃになっていた。

 

『――――!!』

 

だが、その涙を踏みにじるように、その恐怖程度で待ってくれるほど怪獣は人間を理解していないのだろう、ゆっくりと、しかし、恐怖を与える威圧感と共に彼女の方へと歩いてくる。

 

「やっ・・・!!いやぁ・・・!!」

 

腰が抜けて逃げることすらままならない少女は、次に訪れる瞬間を予期して固く目を閉じた。

 

 

 

だが・・・。

 

 

「・・・、えっ・・・?」

 

その瞬間は、やっては来なかった。

 

彼女が顔を上げるとそこには光に包まれた巨大な何かがいた。

 

その何かは、怪獣を抑え込むように立ちはだかっていた。

 

 

彼女にはその巨大な何かの正体を知る由もなかったが、それは、まるで・・・。

 

「光の・・・、巨人・・・?」

 

sideout

 

side八幡

 

「ここは・・・。」

 

光の中で目を覚ました俺は、自分の体の感触に違和感を覚えた。

 

一体何がどうなってるんだ・・・?俺は確か、同じ学校の少女を庇って瓦礫の下敷きになったはずだ、間違いなく命はない筈だ。

 

なのになぜ、俺は生きている・・・?

生きている・・・、のか・・・?

 

そこまで考えた時だった、俺は、自分が怪獣と同じ高さの目線で立っている事に気付いた。

 

「なんだよこれっ・・・!?」

 

下を見渡せば、最低でも四十メートルはあるであろう高さ、そして、腕を腕を上げれば銀色に光るボディが見て取れた。

 

「どうなってんだよこれっ・・・!?」

 

自分は一体どうなってしまったのか、その答えが一向に見当たらず、俺は自分でも驚く程に取り乱してしまっていた。

 

というか、これ人間の肌じゃないぞ・・・!?

 

『八幡・・・、八幡・・・。』

 

「っ・・・!?誰だっ・・・!?」

 

そんな俺を宥める様に、誰かが俺の名前を呼ぶ。

 

聞き覚えのない声に、俺は自分の周りを見渡してその声の主を探そうとした。

 

すると、今の今まで俺以外誰もいないはずの空間に、突如として光が集い、銀と赤を基調とした人の形をした何かに姿を変えた。

 

『私はギンガ、ウルトラマンギンガ。』

 

「ウルトラマン・・・?」

 

ウルトラマンギンガと名乗ったその人物は、俺を見詰めながらも言葉を紡いだ。

 

『私は遥か宇宙より、あの怪獣、ベムラーを追ってこの地球にやってきた。』

 

「宇宙人・・・、なのか・・・?」

 

ギンガが語る言葉を静かに聞きながらも、俺はあり得ないものを見るような目をしているんだろうな、唖然と、馬鹿みたいに口を開いて、返事が出来なかった。。

だが、怪獣という常識外れの存在がいる時点で有り得ないとは言えないのだと気付くと、その思考すらすぐに消え去った。

 

無論、未知の存在に対する恐怖がないわけではない。

だが、それ以上に、自分を包む光が温かく、心地好いものであると感じていた。

 

『少女の代わりに自分を差し出した君の勇気に感動した、その勇気で、私と共にベムラーと戦ってほしい。』

 

戦ってくれ、か・・・。

 

ギンガの声に、俺は黙って考え込む。

自分の命を救ってくれたとはいっても、所詮は初対面の宇宙人だ、一蹴しても良かった。

 

だけど、今の俺にはそんな言葉が出てこなかった。

 

誰かのために戦うなんて、日曜朝のヒーローに任せてりゃ良い。

だけど、今は、一回ぐらいは恩返しのつもりで戦っても構わない!!

 

「分かった!行くぜギンガっ!!」

 

そう叫ぶと、手元に光る短剣の様な何かが下りてきて、俺は躊躇なくそれを掴んだ。

 

すると、ギンガの体が俺と重なり、俺が思う通りにギンガが動き、怪獣、ベムラーに向けて走っていく。

 

こっちに向かってくるトカゲ野郎(ベムラー)に、飛び蹴りを叩き込み、怯んだ所に更に追い打ちとしてアッパーカットを顎に叩き込む。

 

凄い、まるで自分の体が元からこんな身体能力を持っているみたいに、体がギンガの力を使えてる・・・!!

 

俺が感激している間にも、ベムラーは怒り狂った様に光弾を吐き続け、ギンガを打ち倒そうとしてくる。

だが、こっちは負ける気なんてねぇんだ!!

 

すかさずギンガハイパーバリアを広げ、撃ち掛けられる光弾を全て弾き返し、それを押し返して、ギンガハイパーチョップを顔面に叩き込み、怯んだ所にギンガハイパースロウで地に倒す。

 

バック転しながら距離を取り、ふらふらと立ち上がるベムラーの次の動きに備えて構える。

さぁ、どっからでも来い!!

 

『八幡、腕を組め、ベムラーを倒すんだ。』

 

「おうっ!!」

 

確かにチマチマやってても勝ちは来ないよな、なら、これで決める!!

 

ギンガの言葉に応じ、一旦両腕を真横に広げる。

 

「『ギンガクロスシュート!!』」

 

そして、腕をL字にクロスさせた必殺光線、ギンガクロスシュートを発射する。

 

それは狙い違わずべムラーの胸に直撃、それに耐えきれなかったベムラーは盛大な火花と閃光を散らして地に倒れ、盛大な爆発と青い光に包まれて消えた。

 

それは、この戦いが終わったという事の証でもあった。

 

「これで・・・、終わりか・・・。」

 

安堵して気を抜いた途端、急に疲れがやって来て、俺は地面に膝を付く。

 

っと言うか、どうやって元に戻るんだ・・・?

 

『ありがとう八幡、君のお陰でベムラーを倒す事が出来た、礼を言わせてくれ。』

 

「ギンガ・・・、礼を言わなきゃならんのは俺の方だよ、助けてくれてありがとう。」

 

瓦礫に潰されて死んだと思った俺を助けてくた上に、怪獣を倒す手伝いまでさせてくれた、これを感謝せずにどうしろって言うんだ、寧ろ、感謝しかないまである。

 

あぁ、そう言えば、俺って瓦礫に潰されたよな、結局生きてるのか死んでるのかどっちなんだ?

 

『君は今も瀕死、いや、死に片足を突っ込んだ状態という方が正しいだろう。」

 

「へー・・・、って!?マジかっ!?」

 

もう助からねぇって事なのかよ・・・!いや、その覚悟はしてたけど、これって走馬灯!?若しくはその中で考えてる都合の良い妄想!?

 

『安心してくれ、君の身体は私と一体化した事で再生を始めている、かなり酷い状態だったから時間は掛かるだろうが、君は死の淵から戻った。』

 

「な、何から何まで・・・、ホント、ありがてぇ・・・。」

 

って事は、暫くはギンガが一体化して俺と一緒にいるって事か・・・。

まぁ、別に悪かないが、もう怪獣は御免被りたい。

 

『だが、これで終わりでは無い・・・、ベムラーはこの地球に眠る力に引き寄せられて来たに過ぎない。』

 

「まさか・・・、まだまだ、怪獣が・・・?」

 

だとすれば、ギンガみたいな力が無いと、俺達は如何しようもないじゃないか・・・。

 

『それ以外の存在がいないとも限らない、もし、君さえ良ければ私に協力してほしい。』

 

「あぁ・・・、俺が出来る事が有るなら、やってみるさ。」

 

どうせ、俺の身体が再生するまではギンガも俺から離れられないんだ、それぐらいの期間なら、身体貸すぐらいやらなきゃならんな。

 

『よろしく頼む、君が望めば、私は君に力を貸そう、君が持っているそのギンガスパークが、君を導いてくれるだろう。』

 

ギンガの言葉が終わり、俺を包んでいた光が晴れると、俺は元いた瓦礫の中心にいた。

しかも、都合よく俺を避ける様に瓦礫が積もっていた為に、その気になれば楽に抜け出せるようになっていた。

 

俺が助けた(?)少女は、もうすでに何処かに逃げたみたいで、辺りには居なかった。

 

何時人間の姿に戻ったんだか・・・、今度、戻り方聞いとかないと・・・。

 

「これが・・・、ギンガの、力・・・。」

 

周囲の状況を把握した後、俺は自分が握っていた光の短剣、ギンガスパークを改めて見る。

 

これが、俺に与えられた力なんだろうか・・・。

 

さっきまで、これで戦ってたんだよな・・・。

そう考えた途端に、脚がガタガタと震えて、腰を抜かしてへたり込みそうになっていた。

 

だけど、ここに留まり続けるのは些かマズイと言う事も分かっている、だから、俺は存在の薄さを活かして、誰にも見付から無いように人気のない道を通って家への帰路を急いだ・・・。

 

sideout

 

noside

 

「あれが、新しいウルトラマン、か・・・。」

 

八幡が立ち去った後、物陰から白いローブで顔を隠した一人の男性が現れた。

 

背は高く、艶やかな黒髪がローブの陰から零れている事以外、彼が何者かを判別する事は出来なかった。

 

「遂に、ウルトラマンと怪獣が動き出した、か・・・、俺達も、早く動かないとな・・・。」

 

憂いを帯びた声色で呟きつつも、彼はその手の内で人形の様な何かを弄んだ。

 

「そのためには・・・、接触してみるとするか・・・。」

 

そう呟いた後、彼は身を翻して何処かへと歩いて行った。

これから起こりうる、何かを感じる様に・・・。

 

sideout




どうもです、作者のichikaです。

えー・・・、別の完結済み作品の続編より先にこの作品を出してしまいました・・・。
お待ちになられている方々には本当に申し訳ありませんが、お付き合い下さりますようお願い申し上げます。

タグは順次追加、削除、訂正していきますが、一つだけ・・・・。

八幡のヒロインは決定済みですので悪しからず。
それでは次回予告。

ウルトラマンの力を手にした八幡は、その力について知る男と出会う。

次回、やはり俺の青春にウルトラマンがいるのは間違っている

比企谷八幡はその教師と出会う

お楽しみに~。

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