IS-イカの・スメル-   作:織田竹和

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ああ、なんと愚かなラウラ・ボーデヴィッヒ。ラウラは知らない。あの日の弾はただ単に覚えたての自己効力という言葉を使ってみたかっただけだということを。ラウラは気付かない。故にその時の言葉を元に行った、ラウラによる五反田弾の分析が概ね大間違いであることに。ああ、なんと愚かなラウラ・ボーデヴィッヒ。彼女は自分が勝手に勘違いして作り上げた妄想上の五反田弾という男を敬い、信仰しているのである。
分かる? この罪の重さ(哲学)


11

落ちこぼれ。

 

皆が揃って口にする。

 

遺伝子強化試験体として生み出されたにもかかわらず、周りと比べても体躯が小さく、周囲は落胆の色を隠さなかった。

しかし彼女には才能があった。天性の戦闘センスだ。

周囲の落胆の視線の中、才能を開花させた彼女は成果を出した。そして期待された。さらに成果を出した。心地よかった。そしてそれを、ある兵器が破壊した。

 

兵器の登場により、その兵器への適性を高める手術が行われた。誰もが期待していた。彼女もまた、期待に応えようとした。

 

結果は、失敗。

 

再度張り付けられた落ちこぼれのレッテル。

まるで自分のパーツ一つ一つがそのレッテルを作り上げているような気がした。鏡を見る度に切り刻みたくなる。

変色した左目が彼女を嗤った。失敗を隠すかのような眼帯が彼女を見下した。

 

落ちこぼれ。

 

皆が揃って口にするこの言葉は、彼女を蝕む呪いだ。

 

 

否、

 

 

「そ、それは厨二にとって三種の神器に数えられる眼帯! イカすじゃねえかオイ!」

 

 

呪い()()()

 

落ちこぼれだったのは過去のこと。既に過ぎ去り、克服し、彼女は前を向いている。

 

 

 

 

 

 

『ホントウニ?』

 

左目が嗤った。

 

 

 

 

 

 

§

 

 

 

 

 

 

「……っ、ハアっ、ハアっ……!」

 

最悪の寝覚めだった。心臓がうるさい。呼吸は乱れ、額には汗が浮かぶ。細い腕で汗をぬぐうと、冷えた感触がべたりと腕に伸びた。

 

「…………今更、昔の夢なんて……」

 

つい先ほど見た夢のことを嫌でも考えてしまう。落ちこぼれと蔑まれ、劣等感の塊だった頃の自分を思い出す。胃が痛み、胸が張り裂けそうなほどの不安に押しつぶされる錯覚。何故今になって昔のことを思い出してしまったのか。

 

「あんな話、したからでしょうか……」

 

ふと、先日とある女子生徒と交わした会話の中で、かつての自分自身の話をしたことが思い起こされた。

 

『私、昔いろいろあって自分に自信が持てなかったんです』

 

そんな言葉から始まった、落丁と暈しだらけの昔話。しかし例えどんなに暈されていようとも、一度話し出してしまえば、彼女はいとも容易く鮮明に記憶を呼び起こせてしまう。切欠と言えばそれくらいしか思い当たらない。

 

仕切りの向こうから規則的な寝息が聞こえる。備え付けの壁掛け時計を見ると、時刻は午前4時。学生にしては些か早起き過ぎる。

 

締め切ったカーテンから僅かに漏れる日差しを見て、白く細い脚をベッドから下ろした。ずり落ちたシーツを踏みつけ、立ち上がる。

 

空調の効いた室内を足音を立てないように歩く。洗面所の扉を開くと、着けっ放しにしていた換気扇の音が耳についた。放り投げてあるタオルを洗濯籠に入れ直しながら、ルームメイトの大雑把な性格に思わずため息が出る。

 

蛇口から水を出して顔を洗う。肌に触れる冷たい感触。鏡に映った自分は、どこか疲れた顔をしていた。黄色く変色した左目がラウラを見つめる。

 

「……いつまで寝ぼけている。いい加減目を覚ませ。ラウラ・ボーデヴィッヒ」

 

自分に言い聞かせるように、鏡に向かって呟いた。

 

 

 

 

 

顔を拭きながらベッドへ戻ると、軍から支給された携帯端末のランプが点滅していた。どうやら昨晩送ったメールの返事が寝ている間に来ていたらしい。

 

指紋認証を終え、メール画面を開く。昨晩、部下とのやり取りを記録したログが表示された。

 

『クラリッサ。日本の『フツーノコーコーセー』は皆が特殊な能力を持っているのかと聞いたところ、それは違うと言われてしまいました……』

 

『隊長、それは日本人の『ケンソン』というものです。彼らはいかに優れた能力を持っていたとしても、得てしてそれを隠したがるのです。何故なら日本人はSHINOBI、NINJAとしての隠密教育を受けているため、能力を知られることを良しとしないのです。ご安心ください。特殊能力を持った『フツーノコーコーセー』はどこにでもいるはずです』

 

ラウラの目が驚愕に見開かれる。まるで高揚する気持ちを抑えきれないかのように、その小さい口を開いた。

 

「お、おおーっ! ではあれが噂に聞くJAPANISCHER-NINJAというやつだったんですね! さすがクラリッサです!」

 

早朝に響き渡るキラキラとした声に、彼女の隣人は未だ開ききらない瞼を眠そうに擦った。

 

 

 

 

 

 

§

 

 

 

 

 

 

嫌な予感というものは得てして当たるもので、俺がかつて、織斑一夏という男と会って間もない頃は、いつものように面倒事の予感を感じていた。今にして思えば当たっていたように思う。現に今、俺は非常に面倒なことに巻き込まれている。ただ今回というか一連のゴタゴタについては、俺がむしろ巻き込んだんじゃないかという説が挙がっているところがこれまた面倒ポイントだ。故にこのまま放っておくと手痛い被害を被る可能性がある。

 

「前に話したこと、覚えてる?」

 

「前、というと……」

 

「お姉さんの話だよ」

 

昼休みの喧騒を避けるように、俺は篠ノ之箒を屋上へ呼び出した。随分と過ごしやすくなった気候に思わず欠伸が出る。

 

「一夏くんを守るのに、お姉さんの力が必要かもねって話」

 

「ああ、もちろん覚えている。ただ……」

 

言いよどみ、俯く箒。俺は柵に寄り掛かって空を見上げた。良い天気だ。よく会話の始まりとして、今日はいい天気ですね、なんて言ったりするけど、あの後どう続けるんだろうか。じゃあ猫は顔を洗ってないんですね、不潔です。なんて言ったりして。

 

「……姉さんの足取りが全く掴めない。親戚や家族にも連絡してみたのだが、誰も……」

 

「そっか……」

 

「……な、なあ、八神。ふと思ったのだが、本当に姉さんの力が必要になる事態は来るのか?」

 

「と言うと?」

 

震える声で箒は言う。

 

「たしかに、この前のようなことを危惧しているのは分かる。私だって一夏が心配だ。しかしあの時、姉さんが居れば何かしてくれたかと言われると……」

 

「そうではない?」

 

「あ、ああ。それに、あの人自身、そもそも厄介事を引き連れて来る質だ」

 

「なるほどね……」

 

箒を見る。その目はどこか不安そうだ。そういえば箒は姉が苦手だった。もしかしたらこうしてコンタクトを取ろうとすることもあまり良く思ってないのかもしれない。まあ自分が嫌いな相手との橋渡しになってくれと言われれば俺だって多分嫌だ。気持ちは何となく分かる。実際しのののののの~地上最強のハカセ~の力なんて借りなくても済むならそれに越したことは無い。篠ノ之束の力を借りなければならないということは、俺なんかの手に負えないような状態ということだ。

 

ただこればっかりは楽観視していると俺まで痛い目を見ることになりかねない。

 

「多分、来るんじゃないかな」

 

篠ノ之束の力が必要な程の事態が。

 

昨晩ずっと考えていたことがある。どうしても頭にこびりついて離れなかった嫌な考えだ。何かと言われれば簡単な話。俺よりもはっきりとした強い目的を持った男がいて、そいつには俺の幸運が染っていて、そいつの目的を達成するためにはいくつか必要な物があって、そいつを用意されると困るという話だ。確信こそまだ持てないが、用心はしておいた方がいい。

 

それに現段階ではあくまで可能性の話だが、俺が原因を作っているのだとすれば、自分の尻拭いくらい自分でやらなければならない。正直、いつ俺の幸運を上回る何かが来るのかと気が気でないし、戦闘はできるだけ減らしたいのだが、何か起きてからこうして文句を言っても遅い。だから起きる前に準備をする。俺はまだ死にたくない。

 

「その時の戦力として、仮にお姉さん本人を使えなくても──」

 

箒の目をじっと見つめる。なぜか顔を赤くして目を逸らされた。

 

「──せめて箒には協力できる状態でいてほしい」

 

俺の嫌な予感が当たっているのであれば、戦力は多い方がいい。

 

「そのために、箒の専用機があればと思ってね」

 

もっと正直に言えば、俺が戦いたくないから代わりに戦ってくれる戦力が欲しい、という所が無いかと言われると嘘になる。くそみたいな考えだ。本当に最低だ。俺は目の前の少女を、自分の命惜しさに、恋心を利用して巻き込もうとしているのだ。

 

とはいえ、これは箒のためでもある。あの男の近くにいるということは、あの男を中心に巻き起こる騒動に巻き込まれる可能性が高いということなのだから。

 

今にして思えば、こんな風に見たことも無い人間を当てに戦力を確保しようなどと思う時点で、俺は相当追い込まれていて、且つこの予感に確信めいたものを抱いていたのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

§

 

 

 

 

 

 

客席の最後列。黄色い歓声の中で、一際異彩を放つ者達。

 

「なぁ一夏」

 

一面の女子生徒の中に花咲く紅一点ならぬ黒二点。

 

「俺は気付いたんだ」

 

「どうしたんだ?」

 

「俺はガンダムじゃない」

 

「はぁ」

 

「ならば俺はガンダムになれ」

 

「はぁ?」

 

「そう思わないか?」

 

「はぁ?」

 

五反田弾と織斑一夏は、他愛もない雑談をしながら今回の試合を観戦していた。

 

「お、あれがこの前言ってたラウラって子か?」

 

一夏の指差す先には、黒い装甲を纏い、空中で腕を組みながら佇む銀髪の少女。

 

「ああ。本当に何故かは分からんが懐かれてな」

 

「へえー、良い子じゃないか」

 

「まあ影響されやすいところもあるが、基本的に怖いくらい素直でいい子だぞ。閣下って呼べって言ったら本当に呼んでくれるし」

 

「サラッと流しそうになったけどどんな呼ばせ方してんだよ……」

 

「騙されやすそうという点ではセシリアやお前に似ているかもな」

 

「え、俺?」

 

次いでもう一人がピットから飛び出す。

 

銀髪の少女、ラウラの対戦相手は紫と黒を基調とした頑強な機体。肩付近には大型の非固定浮遊部位が静かに浮いている。

 

「相手は鈴か。そういえば弾、鈴が戦ってる所を見るのって初めてじゃないか?」

 

「くっ、なんて組み合わせだ! 運命感じちゃうぜ!」

 

「知り合い同士が戦うってのにテンション高いな」

 

「俺は一体どっちを応援したらいいんだ! どっちかだけを応援することなんて出来ない! 俺はみんなの俺でいたい!」

 

戦いの火蓋が切って落とされる。

 

 

 

 

 

 

§

 

 

 

 

 

 

第三アリーナを揺らす歓声。今年入学した1年生全員と、ルーキーの実力を見ようと足を運んだ2年生や3年生がアリーナのフィールドに視線を集中させている。

 

「当然の勝利ですわ!」

 

我らが1組クラス代表、セシリア・オルコットは、クラス対抗戦を無事勝ち進んでいた。

 

 

 

 

「おかえり、セシリア」

 

「あらユウさん、お出迎えありがとうございます」

 

ピットにてセシリアを迎える。今日俺は基本的にセシリアの近くをうろついていた。出来るだけ近くで今回のイベントを見届けるためだ。

 

「快勝だね。準決勝も終わったし、次で決勝かー」

 

「フフッ、なんだか負ける気がしませんわ! このまま優勝まで頂きますわよ!」

 

実際、今日のセシリアは調子がいい。俺が近くにいるから、というのは自惚れか。途中で4組の専用機持ちと当たるも、これを難なく撃破。まあ、向こうは第二世代でこちらは第三世代なのだから、むしろ作ったイギリスさんとしては負けてもらっては困るだろう。

 

(しっかし、不気味なほど何もない……)

 

何かが起きた時のため……というより、何かが起きて戦闘騒ぎに発展する前に防ぐために観客席よりもこのイベントに近い位置にいたのだが、今のところは安全だ。さらに代表候補生でもあるセシリアと行動を共にすることにより、織斑一夏に、自分がいなくても大丈夫だと思わせることができるかもしれない。ちなみにそれとなく一夏の動向にも気を配っているのだが、これといって動きはない。

 

「向こうの試合が終わったようですわね」

 

セシリアが壁にかかったモニターを見ながら言った。釣られてみてみると、鈴とラウラという、これまた専用機持ち同士の試合。勝ったのは──

 

「随分とお早い決着で……あら、少し意外ですわね」

 

──ラウラ・ボーデヴィッヒ。

 

 

 

 

 

§

 

 

 

 

 

 

「幸福の物差し、ねえ……」

 

決勝戦。セシリアは鈴を下したというラウラと思いの外いい勝負を繰り広げている。機体相性もあるのだろうか。

 

プラズマ刀やワイヤーを駆使し、なんとか距離を詰めようと動くラウラに対し、ビットで牽制しながら距離を保つセシリア。

 

「俺の目的、か……」

 

要するに願い事だとそういうのに近いのか。少なくとも今俺の頭の中にある願い事らしきものと言えば、死にたくないという、ただそれくらいだ。モニターの向こうで戦っているあの少女の言うことが正しければ、そう思っているうちは俺は死なない。そして俺が死ぬような危険イベントは回避……できるのだろうか。

 

「ていうかセシリア結構強くね?」

 

外からの歓声が聞こえる。戦況が動いた。

 

 

 

 

 

 

§

 

 

 

 

 

 

その日、セシリアはいつになく調子が良かった。青空を背景に、その空よりも尚深い青が縦横無尽に飛び回る。

 

「くっ、やはり手強いですわね!」

 

しかしそのセシリアを以ってしても尚、ラウラという少女は強い。

 

「ふっ、そうは言いながらも、シュバルツェア・レーゲンを前にここまで耐えるとはな。褒めてやろう」

 

伸縮自在。まるで意思を持つかのように跳ね回るワイヤーがセシリアに迫る。上下左右から襲い掛かる4本のワイヤーを、4機のブルーティアーズを使い迎撃。

 

「遅い! それが貴様の弱点だ!」

 

「しまっ──!」

 

ビットの操作に集中していたためだろう。硬直するセシリアに向かって伸びる2本のワイヤー。一瞬遅れてライフルを構えようとするセシリアだが、それよりも早くワイヤーがセシリアの動きを封じる。

 

「ワイヤーが4本だと言った覚えは無いぞ! これで終わりだ!」

 

シュバルツェア・レーゲンの肩に装着されているレールカノンに一瞬紫電が迸り、弾丸を弾き出す。疾走する弾丸を前に、しかしセシリアの表情に諦観の色は無い。

 

「わたくしも──」

 

セシリアの腰に装着された装甲が動きを見せる。

 

「──ブルーティアーズが4機などと言った覚えはありませんわ」

 

瞬間、放たれるミサイル。レールカノンの弾丸と激突し、セシリアの目の前で爆発が起こる。

 

「くっ……!」

 

爆風に顔をしかめるセシリア。爆発の煽りか、セシリアのブルーティアーズだけではなく、先程までこちらへ向けられていたワイヤーも吹き飛ばされたようだ。イメージインターフェースで生き残っているビットを操作し、自身の周辺へと集める。遮られた視界の向こうに注意を向けながら、手に持つ巨大ライフル、スターライトmkⅢを構えようとして、気づいた。後から放たれた2本のワイヤー。そのうちの1本がスターライトの銃身に絡みついているのだ。そう思ったのもつかの間、

 

「きゃあっ!?」

 

まるで強力な磁石に引き寄せられる鉄塊のように、セシリアは凄まじい勢いで目の前の煙幕へと落下していく。しかし一瞬で冷静さを取り戻し、ラウラによって引っ張られているのだと気付くや否や、再度ライフルを構えた。このワイヤーの先にはラウラがいるのだ。姿が見えた瞬間に引き金を引けるように、指に力を込める。

 

ワイヤーに身を任せ、煙幕へと突入する。やがて視界が晴れると、そこには────

 

「なっ!?」

 

────ラウラ・ボーデヴィッヒが、もう目と鼻の先まで迫っていた。

セシリアを引き寄せると同時に自身もまたセシリアに向けて飛び出したのだ。その手には光輝くプラズマ刀が握られている。

 

「はあっ!」

 

横薙ぎに一閃。何とか身を捻るセシリアだったが、反応が遅れたせいか躱しきれず、左肩にダメージを受ける。

 

「くっ、まだ、終わりませんわ……っ!」

 

弾かれながらも、生き残ったビットを操作し、ラウラへと向かわせる。

 

「残念だったな」

 

無駄に威圧的に、無駄に不敵に笑うラウラ。迫りくる3機のビットに向けて片手を構える。

 

「これぞ我が奥義! 停止結界!」

 

ラウラが叫ぶと、ラウラを守るようにしてエネルギーの膜のような物が広がっていく。ゆらゆらと揺らめくそれに触れると、ビットの動きがピタリと止まった。

 

「そ、それはまさかAIC!?」

 

アクティブ・イナーシャル・キャンセラー。

全てのISにはPICと呼ばれる慣性制御のための装置が標準搭載されている。AICは言わばそれを戦闘に転用したもので、対象の運動を停止させることができる。

 

(驚いている場合じゃない。切り替え、切り替えなさいセシリア!)

 

ブルーティアーズの制御を意識から外し、スターライトを構えるが……

 

「だから遅いと言っただろう! 全く同じミスだ!」

 

AICを解除したラウラがもうそこまで迫っていた。

 

「インターセプター!」

 

取りだしたナイフで応戦。構えながらワイヤーを切断する。しかし熟練度はラウラに遥か及ばない。プラズマ刀がセシリアのそれよりも速く、重く、鋭く振るわれる。

 

「くうっ……」

 

プラズマ刀の特性だろうか。セシリアの手に一瞬痺れが走り、ナイフが弾かれる。しかしセシリアは落ちていくナイフなど気にも留めない。一撃は防いだ。それで十分だった。

 

「この距離なら……っ!」

 

瞬間、二門の砲口がラウラに向けられる。火を噴き、砲身を揺らし、ミサイルが放たれた。至近距離だ。外しようがない。直後、セシリアをも巻き込むように起こる爆発。爆風と熱が吹き荒れる。

 

「さ、さすがにちょっときついですわ……」

 

爆風に身を任せるようにしてラウラがいるであろう場所から距離を取る。

 

「さすがに今のを受ければ……」

 

「受ければ、何だというのだ」

 

煙が晴れる。そこには、先程と変わらぬ姿のラウラ。恐らくミサイルはAICに阻まれてしまったのだろう。

 

「……っ!」

 

息を呑み、言葉を失うセシリア。まるで信じられない物を見るかのような目に、ラウラはニヤリと笑った。

 

「これで終わりか? 思ったよりも大したことは無いな」

 

その言葉に、セシリアのプライドに火がついた。

 

「……ふふふ、まだまだこれからですわ!」

 

ブルーティアーズを操作し、エネルギー弾を撃ち放つ。しかしそれらを難なく旋回しながら回避するラウラ。

 

「そこっ!」

 

ラウラの動きを観察し、予測軌道上に銃口を向ける。スターライトに切り替え、ビットに気を取られているラウラに向けてライフルが火を噴く。同じエネルギー弾が音をも超える速度で疾駆する。

 

「ははは! 遅い遅い!」

 

しかしやはり切り替えにラグがある。ラウラはその隙を突くように下方へ急降下。遥かな空へ向けてエネルギー弾は駆けていく。そこにラウラは居ない。

 

「だめ……もっと、もっと速くしないと」

 

セシリアの集中が研ぎ澄まされる。

 

再度ビットがラウラを追う。ラウラは逃げながらも、何とかセシリアとの距離を詰めようと上下左右へと駆け巡る。時折レールカノンから銃弾を放つも、ミサイルによって迎撃される。尋常ではない集中力だった。

 

「もっと早く」

 

再びスターライトに切り替え。しかしまたしても回避される。

 

「もっと迅く!」

 

追い立てるビットと予測軌道上のライフルによる連携攻撃。次第にラウラの表情に疲れと焦りが見え始める。

何とか距離を測りながら回避を続ける。ライフルを構えるのが見えた。ラウラは上空に身を捻るようにして──

 

「なっ──!」

 

ラウラのすぐ下。ほんの指一つ分を掠めるようにして青い光が駆け抜けた。確実に一歩一歩ラウラを追い詰めるように、切り替えスピードが上がっている。

 

「まだ遅い。もっとはやく……」

 

「チイッ!」

 

舌打ちし、今までよりも強引に距離を詰めようと動く。ラウラを追うビット。一気に至近距離まで持っていくかのように思われたが、セシリアまであと少しというところで、ラウラは自らビットにぶつかるように移動する。

 

「停止結界!」

 

目の前を走る3機のビットから動きを奪う。そしてすぐさま解除し、セシリアへと向き直る。謂わばこの時間は空白の時間。セシリアはビットに集中していたが、動きを止められた時点でコントロールを手放すだろう。そしてライフルを使おうと考えた瞬間、再度ビットの拘束が解ける。どちらでも使えるようになったと、セシリアの脳は嫌でも気付き、認識してしまう。一瞬であれど、どちらを使おうかと考えてしまう。しかもセシリアはただでさえこの切り替えにタイムラグがある。故に致命的な隙となる。ラウラはそう考え、セシリアへ向かって飛び出した。

 

しかしラウラは見誤っていた。

 

セシリアの集中力は今、極限の状態にある。少しずつタイムラグを縮め、それはラウラの動きにも迫る程だ。そしてこの瞬間、

 

「ハヤく──」

 

セシリアのラグはゼロに至る。切り替えにラグが無くなった時、そこからさらに進めばどうなるか。

 

「──ッ!」

 

光の弾丸がラウラを穿つ。弾かれるラウラ。しかしまだ終わらない。ラウラの背後からビットが火を噴く。さらに挟み込むように、2発のミサイルと青い光弾がラウラに向けて放たれる。着弾し、再度弾かれるラウラをビットが追い立てる。

 

もはや切り替えなど必要なかった。ラグの消失を成し遂げたセシリアは、一つの極致に至った。ビットとライフルが()()に襲い掛かる。

 

「調子にっ、乗るなああっ!」

 

迫りくるビットに向け、ライフルの一撃を躱しながらプラズマ刀を振るう。セシリアもまたその一撃を躱すように操作するが、それはラウラも予測していた。

 

「まずは一機!」

 

瞬間、ワイヤーが2本射出され、ビットを2つ絡め取る。そしてそのうちの一つのビットを、残ったビットに向けて叩き付けた。

 

「もう一機!」

 

ワイヤーに絡め取ったもう一機を、今度はセシリアに向けて叩き付けるようにして放つ。そしてすぐさまワイヤーのコントロールを手放す。慣性に身を任せ、ワイヤーはビットと共にセシリアを殴打せんと向かっていく。そして意識をレールカノンへとシフトし、弾丸を撃ち出した。しかしセシリアはそれを冷静に見やり、弾丸を迎撃する。そしてそのままセシリアへと伸ばされたワイヤーを、

 

「何!?」

 

掴み取った。瞬間、先程とは逆に、ラウラの身体が引っ張られる。視線の先にはスターライトmkⅢを構えるセシリア。そして既に放たれたミサイル。もはや遮蔽物や切り替えの隙をを利用して近接戦に持ち込むような余地は無い。さらには逃げようにもワイヤーのせいで自分自身の動きも制限してしまっている。確かにラウラは強かった。しかしそれ以上に、

 

セシリアは今日、いつになく調子が良かった。

 

「ぐあああっ!」

 

ライフルの光弾とミサイルが同時に襲い掛かる。AICは動きを止める対象に集中しなければならないため、エネルギー攻撃や複数相手からの攻撃に弱いという弱点を持っていた。故にこのエネルギー弾とミサイルの同時攻撃に対し、AICは効果を発揮できない。ミサイルを止めてもエネルギー弾が襲い掛かり、集中力が切れたところにミサイルが再度打ち込まれる。

 

(負けるのか……)

 

エネルギーが削られていく。

 

(私は、負けるのか……)

 

視界に見知った顔が映った。観客席の後方。己が師と仰ぐ人物。

 

(嫌だ。負けたくない。負けたら私は……)

 

負けたら何だというのか。一瞬自問しかけるも、すぐさま思考を打ち切る。

 

(駄目だ! 考えちゃ駄目だ!)

 

しかし一度回りだした思考は止まらない。

 

夢を思い出す。そこにいる自分は、成果を出せない落ちこぼれ。

 

(違う! 私は!)

 

周囲の落胆と嘲笑。「なんだ、負けたのか」そのうちの一人が言う。思い出してしまった物がこびりついて離れない。あの頃の胸の痛みが蘇る。

 

(嫌だ! もう戻りたくない!)

 

エネルギーが僅かになる。ISが警告を放つ。

 

(私はもう変わった! 劣等感など捨てた! あの頃とは違う!)

 

ふと、かつて自分を蔑んだ者と、観客席から見つめる男の姿が重なった。

 

『ホントウニ?』

 

左目が嗤った。

 

 

 

 

 

§

 

 

 

 

 

(あれは……まさか……)

 

織斑千冬は厳しい視線をモニターに向けている。眉間に皺がより、手に持ったカップが僅かに揺れる。ただそれだけで、同室にいた者達がびくりと肩をすくめた。

 

「VTシステム……まさかこんな遺物が残っているとはな」

 

千冬の呟きに反応したのは、メガネをかけたショートヘアの女性。山田麻耶だった。

 

「ヴァルキリー・トレースシステム……たしかモンドグロッソの部門優勝者の動きをデータ化してトレースするものですよね。でもあれは禁止されているはずじゃ……」

 

「守れと言われて全ての人間が全てのルールを守るわけではない。あれが現実だ」

 

そう言って千冬はカップを置いた。

 

「レベルDの警戒態勢を発令する! 総員、直ちに配置につけ!」

 

各々が慌ただしく動き回る。

アナウンスと共にシェルターが次々と閉じられ、教師陣の一部が訓練用ISを装着した。

 

「お、織斑先生!」

 

パソコンに向かっていた者の一人が声を上げた。

 

「どうした」

 

「何者かにセキュリティが乗っ取られました! 教師部隊の突入経路が塞がれています!」

 

「…………そうか」

 

前回と同じ手口。世界でもトップクラスのセキュリティを誇るIS学園を手玉に取れる人物となると、当然候補は限られる。千冬の頭を一人の悪魔の顔が過った。

 

(束……一体何を考えているんだ)

 

頭を振り、思考を中断する。

 

「すぐに動ける者はいないのか」

 

「少なくとも教師部隊は……」

 

「あっ!」

 

沈痛な呟きを、真耶の声が遮る。何かに気付いたかのように施設内のカメラ映像を見ている。

 

「どうした、山田先生」

 

「その、ピットに、八神さんが……」

 

「何……?」

 

真耶と同じように、千冬も映像を食い入るように見つめる。そこには、呆然とした表情でモニターを見つめる黒髪の少女が一人。

 

(八神……)

 

先日のやり取りを思い出す。随分と無茶苦茶なことを言った自覚はある。しかし弟のことを思うと、千冬には耐えられなかった。

 

(また、お前なのか……)

 

敵ではないと言った少女は、今なおモニターを見つめている。千冬もまたフィールドを映すモニターへと目を向けた。先程までの攻勢が一転、システムに取り込まれたラウラ・ボーデヴィッヒにより、セシリア・オルコットは窮地に立たされていた。

 

(早く、決断しろ。織斑千冬!)

 

唇を噛む。自分は彼女を信じていいのか。信じることを彼女は許すのか。信じた結果、何が起こるのか。

 

「先生……?」

 

真耶の小さな声が千冬を現実に引き戻す。

 

(そうだ。私情は捨てろ。今の私は教師であり、今は生徒の危機だ)

 

千冬はモニターから離れ、

 

「……八神、聞こえるか」

 

マイクを取った。

 

 

 

 

 

 

§

 

 

 

 

 

 

「な、なんだ、あれ」

 

呟く。思わず目が釘づけになる。俺はモニターの向こう側で蠢く黒い物体をただただ呆然と見つめた。

 

黒い物体はやがて何かを形作る。一本の刀を持った、剣士のような出で立ち。無機質な威圧がひどく嫌悪感を誘う。

 

異形の黒い剣士がセシリアへと襲い掛かる。ラウラも十分に強かったが、今のあの姿はそれ以上。烈火のごとく繰り出される剣閃がセシリアを襲う。あれはそう、見たことがある。たしか2年前……

 

『……八神、聞こえるか』

 

織斑千冬の声がスピーカーから聞こえる。どこかいつもより頼りないその声に耳を傾ける。

 

『事態の鎮圧に、これより教師部隊を送り込む、はずだったのだが……』

 

なんだか身に覚えがある展開だ。

 

『またしてもセキュリティがやられた。部隊到着まで時間がかかる』

 

まるで何かに仕組まれたような展開。

 

『今即座に動けるのはお前だけだ。少しでいい、時間を稼いでほしい』

 

遅かった。箒はまだ戦力として使えない。鈴も途中敗退でもう戻っているだろう。

 

『勝手なことを言っているのは分かっている。だが……』

 

気にするな。あんたの気持ちも分からなくはない。

 

『……頼めるか』

 

本当は戦いたくない。ISという兵器が恐ろしい。あんなのと戦って勝てるわけがない。しかしそれ以上に、俺の中に後悔の念が渦巻く。

もし俺があの時変に一夏の邪魔をしなければ、一体どうなっていたんだろうか。クラス代表は一夏となり、この結果は変わったのだろうか。もし俺がセシリアと一緒にいなければ、一体どうなっていたんだろうか。セシリアは決勝まで勝ち上がらず、結果は変わったのだろうか。

 

つばを飲み込む。渇いた喉がべたつく。このままではセシリアが死にかねない。ラウラもどうなってしまうのか。

 

「なんで、こうなるんだよ……」

 

 

 

 

俺はカメラに向かって、小さく頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

§

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日からずっと考えていたことがある。

 

(いつもより、ISが重い……? 気のせいか)

 

例えばヒーローがヒロインを悪役から救う物語があったとして。

 

「セシリア! しっかり!」

 

「ハアッ……ハアッ……ユウさん、ふふっ、最後の最後に不甲斐無いところをお見せしましたわね」

 

何故ヒーローはヒーローで居られるのか。

 

「私が注意を引くから、その隙に離れて」

 

「……わかりました」

 

物語に登場するのは3人。守るヒーローと守られるヒロイン、そして──

 

「……ッ!? なん、動かな……」

 

──悪役という、ヒロインを脅かす脅威。

 

 

 

「ユウさん!!」

 

剣が振るわれる。なぜかISは動かない。このままではやられる。まずい。どうにかしないと。どうすればいい。

 

死が、迫りくる。

 

「強制解除!」

 

ISが弾け、光の粒子となる。地面に落とされ、尻餅をついた。動けないなら捨てればいい。我ながら血迷った判断だが、今回ばかりは正解だったらしい。

 

「はあっ、はあっ、」

 

刀の切っ先が俺に向けられ、黒い剣士は動きを止めた。目と鼻の先。ほんの数センチ。呼吸が荒れ、額を汗が伝う。心臓がどくんどくんと跳ね回る。手足が震え、立っていられない。あの黒い剣士の気まぐれ次第で、俺は殺される。

 

だがまだ死んでない。これも幸運の力なんだろうか。

 

「このっ、離れなさい!」

 

セシリアが青い光弾を放つ。しかしそれをあっさりと切り払う剣士。全く効いていない。やはり敵わない。セシリアは既に瀕死。教師部隊はまだなのか。絶体絶命だ。

 

 

 

 

しかしここで事態は動きだす。

 

 

 

 

「うおおおおおおおおっ!」

 

雄叫びと共に、何かが盛大に割れる音。ガラス片のような物を煌めかせながら飛び出してきたのは、

 

「ユウ! 大丈夫か!」

 

白い剣士だった。

 

 

 

さて、ここで今回のケースを当てはめてみよう。

『俺は強くなりたい。守られてばかりじゃなくて……誰かを守れるくらい、強く』

織斑一夏はこの学園に来てから、守るということに執着を見せ始める。

 

 

 

「千冬姉を馬鹿にするだけじゃなく……優まで傷つけやがって……ッ!」

 

「大丈夫! 怪我してないから! ホントに!」

 

 

 

誰かを守るということを願うのは勝手だが、それだけでは『守る』という状態を達成することはできない。

誰かを守るということに必要なものとして、まず第一に行動主体である守る人間。これは織斑一夏本人だ。

次に守られる人間。今回の場合、それは俺だ。

 

 

 

「大丈夫だ。俺が───」

 

剣が開く。現れたのは青く輝く刃。目にも止まらぬ速さで振り下ろされたそれが、黒い剣士を切り裂く。

 

「───守ってみせる!」

 

 

 

守る人間と守られる人間。しかしまだ足りない。これでは守れない。一体何から守るというのか。

それはすなわち、守られる人間を脅かす脅威。敵の存在。

 

 

 

「ラウラ!」

 

シールドの向こうで弾が叫ぶ。黒い剣士の中から、銀髪の小さな女の子がずるりと吐き出された。

 

 

 

織斑一夏は運が良い。何故なら────

 

 

 

(やっぱり、そういうことなのか……)

 

俺は一夏を睨み付けるようにして見つめた。本当に、嫌な予感ほど良く当たる。

どうやら俺がトラブルを起こしているというこいつの姉の予想は半分ほど当たっていたらしい。

 

(もう半分はお前のせいだよ……織斑一夏!)

 

 

 

 

────彼の目的のために、こうして守られる人間とそれを脅かす脅威が存在してくれるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

§

 

 

 

 

 

 

 

あるところにお姉ちゃんが居ました。

 

「うーん、どうやら大事な妹ちゃんを利用しようとしている悪い奴がいるらしいぞー?」

 

お姉ちゃんはそいつを懲らしめてやろうと思いました。

 

「行けー!僕らの鉄人28号!」

 

なんとかその悪い奴を懲らしめたお姉ちゃん。しかし鉄人は壊されてしまいました。

 

「あちゃー壊されちゃったかー。まあでも、痛い目見せたしこれで懲りたよねー。もーまんたいもーまんたい。悪は滅びたのだー」

 

しかし予想に反して、そいつはまたしてもお姉ちゃんの妹にちょっかいを掛けたのです。こうなったらもう許しておけません。お姉ちゃんは怒りました。

 

「激おこだよー!」

 

しかしお姉ちゃんは考えます。お姉ちゃんは天才だったのです。何も考えずに動くのは馬鹿のやることなのです。

 

「でもまたゴーレム作って壊されちゃうのもやだなあ。出来ればここぞって時に使いたいし……ていうか今作ってるやつはまだ未完成だし……」

 

しかしお姉ちゃんは妙案を思い付きます。何故ならお姉ちゃんは、特別なお姉ちゃんだからです。

 

「ハッキングをしよう! ISのハッキングなんてやったことないけど、束さんは天才だから大丈夫! コアネットワークにアクセスしてくれればここからでも辿ることは可能!」

 

さすがお姉ちゃんです。

こうしてお姉ちゃんは虎視眈々とその時を狙っていました。

 

「まずは状況を用意しないとねー。ちゃんとISを起動してもらえるような状況を」

 

お姉ちゃんは手始めに、IS学園にハッキングを仕掛けました。どうやら今日はたくさん試合をする日のようです。しばらく見ていると、何やら事件の匂いがしてきました。

 

「はいセキュリティどーん」

 

さすがはお姉ちゃんです。見事な手際でした。

 

「おやおや?」

 

お姉ちゃんは眉を顰めました。

 

「ISとのリンクが弱まってる? もしかしてチャンス?」

 

ISのコアには意思のような物があります。使用者はISを受け入れ、コアは使用者を理解しようとします。そうしたことで成り立つはずの関係が、どうやら上手くいっていないようです。きっと使用者のガワだけ女がISという存在を拒みつつあるのでしょう。このような状況では、尚更コントロールを奪いやすくなってしまいます。お姉ちゃんは喜びました。

 

「よーし、いっくよー!」

 

カタカタと、キーボードの音が鳴り続けました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても……専用機、ねえ」

 

ニヤリと笑う横顔を、モニターが静かに照らす。

 

「いいよ。作ろう。とっておきのを」

 

舞台の楔は既に打った。




優「オレ ツヨイ オレ カワイイ オマエラ シヌ」
ヒロインズ「グワーーーーッ!」
一夏「素敵!抱いて!」
優「男にも穴はあるんだよな~気持ちいいし男でもいっか~」
一夏「アオオオオオオオオオッ!」
二人は幸せなキスをして終了

どうしてこうならなかった!どうしてこうならなかった!
もし今後何かを書く機会があれば日常ギャグコメディと割り切ろう。そうすればヒロインが主人公をスパンキングする展開に持っていきやすくなる。

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