【レイス】専用の格納庫になっている軍事施設でリョウトは新たに運び込まれたKMFを見上げていた。
「爺さん……コレも魔改造機か?」
「うむ、ワシが改造を手掛けた機体じゃな」
並んでKMFを見上げるリョウトとグラン。
新たに配備されたグラスゴーはグランが改造した機体だと判明した。
「えらく重武装だな……」
「コイツは砲戦仕様の機体に仕上げたからの。最もコイツはマシンガンやガトリングをメインにしてるがな」
リョウトの呟きやグランの発言から分かるようにこのグラスゴーは通常のグラスゴーとは比べ物にならない程に武装が付加されているのだ。
背面式大型ガトリング・腰部アサルトライフル・脚部ミサイルランチャー・腕部三連マシンガンと兎に角、重武装なのだ。
しかも固定武装の重量がハンパない為に重心が低く重火器を取り扱う為にパワー重視というアンバランスな機体になっている。
しかも火薬類の誘爆を防ぐ為に装甲がかなり厚い故に機動性が極端に悪い。
「この歩く火薬庫に乗る予定の人居るのかよ?」
「コレに最適な奴が来る。問題ないわい」
こんな危険な機体に誰が乗ろうと言うのか。そんな事を思っていたリョウトだがグランは笑っていた。
「その歩く火薬庫には私が乗ります」
「っと?」
突如、後ろから声を掛けられて戸惑うリョウト。振り返れば其処にはサングラスを掛けた男性が立っていた。
「私の名はケイン・サンドランド。若輩成れども【レイス】にてこの身を捧げたく思います」
「え、ああ……ヨロシク」
柔やかに握手を求めるケインにリョウトは途惑いながらも答えた。
「えーっとケイン・サンドランド……上官侮辱罪並びに上官反抗罪ってのは?」
「部下を見殺しにしようとした無能な上官にお仕置きしただけなんですけどね」
リョウトはデータを見ながらケインに問うがケインはニコニコと笑みを浮かべながら小さな丸型のサングラスを掛けた直した。
「つーか、元牧師?」
「はい。神を信じる者です」
リョウトはデータを改めて見直すと疑いの視線を送るがケインは意にも返していなかった。
「上官の侮辱罪はまだ分かるけど……上官暴行罪って何をしたんだよ?」
「火薬を抜いて威力を押さえた手榴弾を会議室に投げ込んだだけですよ。ま、精々火傷程度ですよ」
リョウトの質問にやれやれとケインは肩をすくめる。
「神に仕える身なんだろ、大丈夫なのかよ?」
「後で懺悔するから大丈夫ですよ」
リョウトはケインの発言に彼に『テロ牧師』の名を与えようと思った。
「噂通りの奴のようじゃな。お前さんにこの『グラスゴー・フルアーマー』を預けるわい」
「謹んでお受けいたします」
グランはケインに目の前のKMF『グラスゴー・フルアーマー』を預け、ケインは腰に手を当て頭を下げながら礼をした。
「フルアーマー(全装甲)ね……どっちかと言えばフルバレット(全弾丸)って気がする」
「お、上手い事、言いますね隊長。ではこのKMFは『グラスゴー・フルバレット』と命名したいですね」
「なら機体名は『グラスゴー・フルバレット』で通称が『フルバレット』じゃな」
リョウトが冗談で言った名がそのまま本決まりとなった。
ノリノリのグランとケインにリョウトはこれから【レイス】に集まるのはこんな人材ばかりなんだろうかと頭を痛めていた。
ケイン・サンドランド(31歳)
丸型のサングラスを掛けた物腰の柔らかい男性。
口調も柔らかいが言っている事は結構物騒。
元牧師だがブリタニア軍に所属する兵士。
上官侮辱罪並びに上官暴行罪で投獄されていたが【レイス】に参加する事で罪の軽減を求めた。
リョウト曰く『テロ牧師』
『グラスゴー・フルバレット』
背面式大型ガトリング・腰部アサルトライフル・脚部ミサイルランチャー・腕部三連マシンガンと重武装。
しかも固定武装の重量がハンパない為に重心が低く重火器を取り扱う為にパワー重視というアンバランスな機体になっている。
しかも火薬類の誘爆を防ぐ為に装甲がかなり厚い故に機動性が極端に悪い。
本来の名は『グラスゴー・フルアーマー』なのだがリョウトが名付けた『フルアーマー・フルバレット』の名を気に入っている。
これにより通称が『フルバレット』となった。