問題の起きたランスロット・プロトVSグラスゴー・リッパーもの模擬戦から数日後。リョウトはオデュッセウスと共にとある人物に会っていた。
コーネリア・リ・ブリタニアとユーフェミア・リ・ブリタニア。
オデュッセウスやギネヴィアの妹に当たる姉妹で普段はブリタニアの支配地以外のエリアに向かい、その地の平定に努めている。
今回はオデュッセウスの視察先がコーネリアの平定したエリアであった為にオデュッセウスと共にレイスが派遣された。
そしてオデュッセウスの気遣いから『妹に会うからリョウトもどうだい?』と断れない言葉を頂き、リョウトはレイスの代表としてオデュッセウスに随伴する事となった。
因みに他のメンバーやグランも誘おうとしたリョウトだが全員から断られて一人で来ていた。
そもそも国のトップの皇族との会合に行きたいと思う兵士はそうそいいないだろう。
そしてレイスの隊長のリョウトは断ると言う選択肢は無い為に随伴し、オデュッセウスの席の後ろに待機する形となった。
(しっかし……胃が痛くなりそう……)
リョウトは珍しく胃がキリキリとストレスを感じていた。
それと言うのもコーネリアがリョウトを時々睨んでいるのだ。
オデュッセウスとユーフェミアが和やかに話をしているのに対して、コーネリアはリョウトに殺気を孕んだ視線を送っているのだ。そもそもリョウトはオデュッセウスやビスマルクの支援があるとは言えど元一般人。しかも日本とブリタニアのハーフで元犯罪者の烙印も押されていた。元犯罪者に関してはブリタニア貴族の不正が原因なので咎められていないが一度着いた風潮は中々、消えないものだ。
そしてコーネリアは皇族の中でも「ブリタニア人とナンバーズを厳格に区別する」と言うブリタニアの国是に忠実な人物でそれ故にナンバーズや元犯罪者のレイスを毛嫌いしていた。
リョウトがコーネリアに視線に胃が痛くなった時、ユーフェミアが口を挟んだ。
「もう、お姉さまったらリョウトさんを睨んじゃって……そんなにリョウトさんがお嫌なんですか?」
「え、そうなのかいコーネリア?」
「あ、いや……その……」
ユーフェミアの超ストレートな物言い+気の良い兄の天然発言にコーネリアも驚く。二人の人成りを良く知っているコーネリアだがここまでストレートな物言いに流石のコーネリアも躊躇ぐ。その際にリョウトの事も睨んでいたが二人の手前、睨むのは止めたコーネリア。
「睨んでスマンな、だが私が気になっていたのは事実だ。オデュッセウス兄上やギネヴィア姉上が部隊運用している部隊だ……さぞ、強いんだろうな」
「い、いえ……そんな……」
先程から睨んでいた理由を話すコーネリア。ギラリと目を光らせてリョウトを見やる。
睨まれたリョウトは正しく、『蛇に睨まれた蛙』状態でダラダラと冷や汗を流していた。