コードギアス ナイトオブワンの義息子   作:残月

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とあるエリアへの視察

 

 

 

 

模擬戦から数日後、リョウトとグランは格納庫でボロボロになったKMFを見上げていた。

 

 

「修理そのものなら簡単じゃが、この際改造も視野に入れた方が良いの」

「そーだな。ケインとの模擬戦で色々と欠点も見えたし」

 

 

蜂の巣になったグラスゴーカスタムに所々パーツがヘコんだフルバレットが並ぶ。

グランは修理ではなく改修を施す事を考えていた。

 

 

「うむ。なら改造プランを出してくれるか?どうせならお主達が戦いやすい様に改造してやるわい」

「ん、わかったケインにも言っとくよ」

 

 

愛機の更なる改造にリョウトは胸を躍らせていた。どんな改造をするか考えていると部下から声が掛かる。

 

 

「隊長、オデュッセウス殿下とヴァルトシュタイン卿がお呼びです」

「殿下と親父が?わかった直ぐ行く」

 

 

リョウトは自身を呼び出した二人に若干の嫌な予感を走らせながらもオデュッセウスが居る政務室へと足を向けた。

 

 

「やあ、待っていたよリョウト」

「遅かったな」

「こんにちは」

 

 

政務室には既にオデュッセウスとビスマルク。そしてオデュッセウスに呼び出されたもう一人の人物が居た。

 

 

「初めまして。私はモニカ・クルシェフスキーです」

「あ、リョウト・T・ヴァルトシュタインです。ん……クルシェフスキー?もしかして最近ラウンズに入ったモニカ・クルシェフスキー卿ですか?」

 

 

リョウトはモニカから差し出された手に慌てて握手を返した。そして『モニカ・クルシェフスキー』の名を思い出す。

それは最近、ラウンズ入りを果たした者の名だった。

 

 

「ええ、よろしくねヴァルトシュタイン卿」

「あ、リョウトでお願いします。親父と一緒に居る時にヴァルトシュタインの名で呼ばれるとややこしいので」

 

 

モニカに『ヴァルトシュタイン』の名では無く『リョウト』と呼んで欲しいと頼むリョウト。

ビスマルクと一緒の時だと確かにややこしい事この上ないし、リョウトとビスマルクは共に行動する事が多い為に『ヴァルトシュタイン卿』と呼ばれた時は親子で同時に振り返るなど任務中でありながら笑いを取った事もあった位だ。

 

 

「わかったわリョウト。私もモニカで良いわ」

「わかりましたモニカさん」

 

 

クスッと笑みを零したモニカに少しドキッとしながらリョウトも笑顔で返した。

 

 

「んんっ!ゴホン。そろそろいいか?」

「あ、ス、スイマセン!?」

「っと!?」

 

 

ビスマルクの咳払いにモニカとリョウトは慌てて握手を解くとオデュッセウスと向きあってピシッと背を伸ばした。

 

 

「ハハハッ仲良くなって良かったよ。さて、リョウト新しい仕事を頼みたいんだ。と言っても今回も視察なんだけどね」

 

 

オデュッセウスはリョウトとモニカの仲が良くなった事を微笑ましく見ておりニコニコとしていた。

 

 

「視察……ですか?」

「うん。2日後に行くから着いてきてくれないかい?」

 

 

『視察』の言葉にリョウトは「ああ、いつものね」と言った表情になる。

オデュッセウスは第一皇子の立場で様々な場所や土地を視察に回る事が多い。

しかも視察と言っても様々で施設の運営視察の時もあれば南米のアマゾンまで行ったり、何処かの農家で芋掘りやトウモロコシの収穫もしたりと幅が広い。

本当にブリタニア第一皇子の仕事なのだろうかと思うがオデュッセウスの政策の第一にしてるのは国民の安寧秩序である為、オデュッセウスは国民の気持ちになる為に本来なら皇族がしない視察までこなしているのだ。

因みに余談だが芋掘りの際にオデュッセウスとリョウトはオーバーオールを着て作業をしたのだが、その姿は『農家のおじさんと親戚の子』と言った様子で周囲はそれはそれは温かい目で二人を見ていたりする。

 

 

「今回はラウンズが殿下の護衛として動向する」

「え、ラウンズが?」

 

 

ビスマルクの発言にリョウトは目を点にした。

ナイトオブラウンズは皇帝直属の剣。

任務以外で本国か自分の領地から離れる事は無い。

いくらブリタニアの第一皇子の護衛とは言えど簡単に動かせる筈が無いのだからリョウトの目が点になるのも無理は無い。

例外としてはリョウトを心配したビスマルクが共に行動する事なのだろうがソレは後割愛。

 

 

 

「実は今度の視察先が少々物騒な所らしくてね。いつもの警備でも構わないと言ったんだけど押し切られちゃってね」

「はあ……って事は親父が?」

 

 

オデュッセウスの追加説明にリョウトは生返事だ。そしてリョウトはビスマルクが同行するのかと思いソレを口にした。

 

 

「いや、私は別件で本国から離れられん。今回はモニカが同行する」

「よろしくねリョウト」

 

 

ビスマルクは首を横に振り否定した。そして同行するのはモニカであると説明し、モニカはニコッとリョウトに微笑む。

リョウトもこの流れで何故、モニカがこの場に居るのかを理解した。単純に視察に同行するナイトオブラウンズの顔合わせだったのだと思う。

リョウトは他のラウンズとも会っていたがモニカは今回会うのが始めてだったから説明と紹介をこの場で済ませたのだ。

 

 

「しかしラウンズが護衛とは行き先はどちらですか?」

「うん……行き先はね……」

 

 

 

リョウトの言葉にオデュッセウスは一呼吸開けてから口を開く。

 

 

 

「……エリア11だよ」

 

 

オデュッセウスの口から発せられた地はリョウトの故郷の新たな呼び名だった。


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