転生した俺のナルガ亜種人生。   作:ナルガ亜種

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どうも、水玉スフレです。
ガーグァの卵をとろうとして
ガーグァのヒップドロップを食らうのはいつものこと。

ー登場人物ー
・【主人公】ナルガクルガ亜種
主人公。毛繕いは欠かさなくなってきた。
出番が少なくても、
見せ場はしっかり作る主人公の鏡。

・【強個体】ロアルドロス
主人公の子分的な立ち位置。
ロアルドロス自身は「ナルガ亜種さん!あんたの強さに惚れました!」
みたいな風に思っている。

・太刀ハンター カタス
今回出番あり。
解毒薬を飲もうとして毒を食らうというコンボで力尽きてた。
武器:山刈鎌
防具:ドボル一式
スタイル:ギルドスタイル
狩技:桜花気刃斬Ⅰ、練気解放円月斬りⅠ

・銃槍ハンター ルソ
実は水属性武器が憧れ。水ガンランスを使うのが夢。
ただ、彼がいくら爆弾を置いてもハプルボッカは見向きもしない。
武器:フレイムスロワー
防具:アグナ一式
スタイル:ストライカースタイル
狩技:狩人のオアシス 絶対回避 覇山竜撃砲Ⅰ

・片手剣ハンター ゼル
ネコタクチケットと間違えて、
お食事券を納品しかけたいつもの人。
武器:アイシクルスパイク
防具:ベリオ一式
スタイル:エリアルスタイル
狩技:ブレイドダンスⅠ

・弓ハンター イクサ
相変わらずの爆破属性厨。
いつか爆破投げナイフを投げたいと思っている。
武器:ディオスアローⅠ
防具:ブラキ一式
スタイル:ブシドースタイル
狩技:トリニティレイヴンⅠ

・元軽弩ハンター フクロ
ゼルのお母さん。得意料理は揚げ物。
若い頃は男ハンターから大層人気だった。とは本人談。
武器:夜行弩【梟ノ眼】
防具:ナルガ一式
スタイル:ギルドスタイル
狩技:全弾装填Ⅲ、絶対回避【臨戦】

注意!今回も、大型モンスターと戦闘するので
少しだけ残酷な描写があるかもしれません!
苦手な方は、申し訳ないですが、ブラウザバックをオススメ致します!


6.陸姫竜舞!

─沼地─

ギルドの失態により勘違いされた元狩猟対象であるリオレイアには、

別のハンターが派遣された、というのは以前話した通りである。

 

こちらの方は元クエストにのっとり、一人専用クエストとなっていたので

派遣されたハンターも勿論一人なのだが...

 

ヴェル「ったく....なんで私がこんなクエストやらなきゃいけないのよ...」

 

派遣されたクエストにて、

ベースキャンプに着くやいなやいきなり愚痴をこぼしたこのハンターは、

ヴェルという名の双剣使いである。

 

水属性のガノカットラスという双剣を持ち、

腰だけを露出している(ガノス一式装備に腰部位は存在しないため)

そんな奇抜かつ大胆な格好の彼女は

ギルドからも珍しいと注目を集めていたが、

高い水属性による部位破壊を得意とした彼女はギルドの素材研究にも役に立っており、

その安定性のあるスタイルとギルドへの貢献度の高さからギルドからの評価も高かった。

しかし、彼女は他のハンターからは少し近寄りがたいとも言われていた。

その理由は...

 

ヴェル「ま、まぁ、他にやる人がいないなら、仕方ないものね?」

ヴェル「...いやいや、べ、別にカタスのためじゃないんだから...!」

 

いわゆるツンデレだったためである。

しかも超テンプレの。

 

彼女はその優しさから

オトモに辛い思いはさせたくない(本人は邪魔されそうで嫌なだけだ、と言い張っているが...。)

という考えを持ち、オトモは連れていなかった。

そのため、今キャンプにいる彼女の周りには完全に誰もおらず、

誰もいないのに自分にひたすら言い聞かせている姿は

とてもシュールなものがある...。

 

なお、先程のセリフも、彼女がカタスが好きなわけではなく、

ただ単に非常に照れ屋なだけである、と本人の名誉のため付け加えておこう。

 

カタスとは先輩後輩の仲だが、

カタスは先輩であるヴェルも名前で呼ぶくらい仲が良かった。

そしてヴェルもカタスは後輩の中でも一番できる奴だと思っているくらい信頼していたので、

実は今回劇毒により重体になったとき、誰よりも一番心配していたのは彼女だった。

まあ、本人は認めないのだが...。

 

しかし、この性格が様々な災いを呼び寄せていることを

彼女はまだ知らなかった。

 

 

 

 

 

ヴェル「リオレイア、発見ね」

ヴェル「...閃光玉、よし。怪力の種...ん...飲んだわ」

ヴェル「それ、突撃よ!」

 

リオレイア「!!」

リオレイア「ウォォゥァァァァァァァ!!!」

 

彼女はギルドスタイルであるが、段差を利用し咆哮を空中でわざと受けることで

耳を塞ぐことなく凌ぎ、そのまま右から頭に向けて三発入れ、

リオレイアがこちらに振り向くと同時に左へ回避した。

リオレイアの突進は誰もいないところへ行き、

突進終わりの尻尾が下がったタイミングでまた三発入れる。

 

リオレイアは後ろにいるヴェルにサマーソルトを当てるために

バックジャンプ飛行をしたが、

 

ヴェル「閃光玉よ!」

 

リオレイア「ウァァァ!?」

 

リオレイアは突然のことにバランスを崩し、墜落した。

ヴェルは既に鬼人化しており、右翼に猛攻を加え、弱点の水属性により破壊した。

そのまま、起き上がり威嚇する女王の顔面に乱舞を叩き込み、破壊する。

リオレイアは怒り咆哮をあげたが未だ目は見えず、尻尾を振り回すのみ。

ヴェルは左翼に鬼人回転斬りを6セット叩き込み破壊し、

怯んで下がった尻尾目掛けて突進斬り開きと斬り上げを命中させ、

 

ヴェル「あと乱舞2回分ってとこかしらね」

 

と呟くのである。

リオレイアは閃光から立ち直るも、閃光を警戒し飛ぼうとしない。

下がりながら高出力火炎ブレスを吐いたが、ヴェルはそれより早く後ろへ回り込んでおり

尻尾に鬼人回転斬りを2発入れ、シビレ罠を足元に置きに行く。

 

リオレイアは後ろにいたはずのヴェル目掛け尻尾を振り回すが当たらず、

そうしているうちにシビレ罠の設置が終わり、リオレイアは罠にかかってしまった。

 

リオレイア「ウゥゥォゥゥ...」

 

動けないリオレイアの足に乱舞を二発入れてから、

尻尾へ車輪斬りを浴びせ切断した。

そして尻尾を素早く剥ぎ取ると、

 

ヴェル「げ、逆鱗...!い、いや、別に欲しかったわけじゃないし」

 

と喜んだりするのがいつものことだった。

 

ヴェル「そろそろエリア移動かしら」

 

と言うと同時にリオレイアは空へ飛び立った。

普段なら追いかけ、トドメを刺しに行くのだが...

...リオレイアの移動する方向がおかしい。

 

ヴェル「あっちは...紫毒姫の逃げた方と同じね」

ヴェル「...嫌な予感がするわ...。沼地から移動しないでくれたら助かるのだけれど」

 

 

 

 

 

ーギルドー

千里眼の薬を飲んでも沼地内にはいなくなっていたため、

ヴェルは急いで帰還し、ギルドに報告した。

すると間も無く気球の観察員から、リオレイアが渓流に移動しているとの報告が入り、

ヴェルは紫毒姫と原種リオレイアは敵対関係にあることを知っていたため、

カタスの仲間達を信じ、ギルドから紫毒姫狩猟許可を得ていない彼女は

ギルドで待つことにした。

 

しかしすぐにギルドから、カタスが医療施設から姿を消したと教えられた。

しかも、慌てたヴェルが彼の家を確認したところ、BOXからドボル一式と山薙鎌と、

解毒薬を始めとした毒を持つ強力なモンスター用のアイテムのみ消え去っていたのだ。

 

ヴェル「まさか、あのバカ、渓流に行ったんじゃないでしょうね!?」

 

ヴェルはカタスのことが心配で仕方なかった。

しかしそれ故、紫毒姫のいる渓流へ向かってしまったのであった...

 

 

 

 

 

ー渓流ー

カタス「ゼェ....ハァ....やっとついたぜ」

カタス「俺の不始末だ....あいつらに任せるわけにはいかねぇ」

 

カタスは、紫毒姫に再び挑もうとしていた。

カタスは、仲間達を信じていた。

だからこそ、仲間達が紫毒姫を倒してしまう、と思っていた。

 

カタスというハンターは、これまで負けたことがなかった。

いや、負けたことがないと言えば語弊があるかもしれない。

つまりカタスは、負けたとしても、必ずリベンジを果たすハンターとして有名だった。

そんな彼は、紫毒姫にボロボロに負けたのが、悔しくて仕方がなかったのだ。

そして、リベンジの相手が討たれてしまうことを恐れているのである。

 

カタス「こんな状態でも、準備くらいはできた」

カタス「千里眼の薬で、激しく動いている反応はエリア6だけだ」

カタス「ちっ...震えが止まらねぇ」

 

彼が武者震いだと思い込んでいるこの震えは、

衰弱した身体と、恐怖した心から来る震えであった。

 

カタス「......大丈夫だ。俺は、」

カタス「...俺は、これまで最後は必ず勝ってきた」

カタス「俺に出来ないことはない。そうさ、勝てるに決まってる」

 

???「あなた、そんな自己暗示してまで怖いのを隠したいのね」

???「...バッカみたい。バカよ、あなた」

 

カタス「...ヴェル先輩」

 

ヴェル「ふん。あなたはいつもそうよ、勝手に一人で突っ走って」

 

カタス「俺が何しようと、俺の勝手です」

 

ヴェル「悔しいのはわかる」

ヴェル「私だって負けたら悔しいわ。人間だもの、当たり前じゃない」

ヴェル「でもね、あの子達も、仲間のあなたがやられたことを、相当悔しがってたのよ?」

 

カタス「...あいつらが」

 

ヴェル「同じ悔しい同士。先にリベンジに行ったあの子達を優先してあげなさい」

ヴェル「先輩命令。いい?」

 

カタス「...そうですね。俺は、自分の悔しさしか知りませんでした」

カタス「先輩、ありがとうございます。やっぱり優しいんですね」

 

ヴェル「ばっ、や、優しくなんてないわよ!!」

 

カタス「え!?怒るところですか!?!」

 

ヴェル「怒ってないわよ!!」

 

カタス「怒ってますよ!!」

 

ヴェル「ぬぬぬ...」

カタス「ぬぬぬ...」

 

彼女たちが我を忘れ、いつもの痴話ゲンカをしていると...

 

???「イクサ!!」

???「イクサ!」

 

と、遠くから微かに叫びが聞こえた。

仲間がピンチになっている、とカタスは思った。

 

カタス「イクサ!!くそ、助けにいかねぇと!」

 

ヴェル「待ちなさい、あなた、戦える身体じゃないわよ!」

 

カタス「足手まといになるか...くそっ!!」

 

ヴェル「わたしはアイテムなんて何も持ってないわ」

ヴェル「でも、あなたはアイテムがあるでしょう?」

ヴェル「そのアイテムをわたしにくれれば、私が助けにいってあげる」

 

カタス「先輩、後ろ!!」

 

ヴェル「!?」

 

カタスが叫んだ瞬間

ヴェルの背中に、突如現れたリオレイアの爪が突き刺さる!

 

ヴェル「ぐっ!!」

ヴェル「...ちっ、今渓流に着いたみたいね。間の悪い...」

ヴェル「あなた!アイテムポーチを早く寄越しなさい!」

 

カタス「は、はい!」

 

ヴェル「私はこいつの相手をするわ!」

ヴェル「あなたは、早く逃げなさい!!」

 

解毒薬を飲み干した彼女は勇ましくそう言うものの、

カタスは分かっていた。彼女は強がっているが

本当は不意打ちによってかなりの傷を負っていることが。

 

しかし、それでありながら、カタスはきづかぬフリをした。

そして、エリアから退避した。

自分が足手まといになることが分かっていたからだ。

 

 

そして───彼はある行動に、いや、賭けに出た。

「『あいつ』に助けてもらえるかもしれない」と、

何か理屈ではない感覚で、そう思ったのだ。

なぜそう思えたのかは、彼にも分からない。

 

カタスはエリア8へふらつきながらも辿り着き...

そして、大量のルドロス達の中にいる『あいつ』に向けて。

助けを求めたのだった。

 

カタス「頼む、ナルガ亜種、あいつらを助けてやってくれ!!」

 

 

 

 

 

─エリア4 原種リオレイア─

ヴェル「...ふぅ、カタス、ちゃんと行ってくれたわ」

ヴェル「うっ、背中が痛い...」

 

ヴェルは、かなり危険な状態だった。

動けるものの、出血が治まらない。

 

ヴェル「はぁはぁ...ふぁ...このままじゃ、まずいわね...」

 

ヴェルは、自分が窮地に陥ろうと、

カタスをリオレイアが追うのを恐れ、退こうとしなかった。

彼女は、優しい性格であるが、

 

ヴェル「鬼人化!はっ!はぁっ!」

 

優しい性格であるがために、自身を苦しめてしまうのだった。

 

ヴェル「う、尻尾回転!...ぐぅっ!しまった!」

 

そして、優しいだけでは、ときに残酷な結果を生むこともある──

 

ヴェル「そん...な...私、ここで終わりなの?」

ヴェル「まぁ、いいか。私、誰からも好かれないし...」

ヴェル「じゃあね、カタス。」

ヴェル「あなただけよ、私とちゃんと話してくれたのは」

 

カタス「勝手に別れの台詞吐いてんじゃねぇぞコラァ!」

 

ヴェル「あ、あなた、なんで!?」

 

(俺もいるぜ)

 

ヴェル「そっか。あなたが噂の緑迅竜ね」

ヴェル「リオレイアが気絶してるのも、あなたかしら」

 

(ああ)

 

ヴェル「私は背中と脚をやられて動けないけど...」

ヴェル「あなたにお願いするわ。あいつを倒して!」

 

(任せろ!!)

 

『俺』は気絶から立ち直ったリオレイアを見つめ、

戦いの構えをした。

リオレイアは、なんと───逃げ出そうとした。

ヴェルとの戦いで傷ついていたのもあるし、

せっかく追い詰めたのにやり直しになったのが

ショックだったのかもしれない。

 

リオレイアは、足の遅そうなこの竜から逃げるなら、

走ってエリアの端へ移動してから飛んだ方が良いと踏んだ。

しかし、それこそが間違いで───

リオレイアが走った先に既にいる!!

リオレイアは別の方向に走るが、そこにも既にいる!!

リオレイアはやけになって緑迅竜に走ってぶつかろうとしたが....

 

(甘いな)

 

渾身の、スピードアップした尻尾叩きつけをかましてやった。

ヴェルの食らわせたダメージが予想外に多かったのと、

今の一撃が首に刺さったこともあり、

リオレイアは静かに倒れ、息を引き取った。

 

強者は、弱者とは戦うくせに、

強者とは戦わずして逃げる者を許さない。

リオレイアは、まさにこの弱者だったのだ。

 

カタス「すげぇ」

ヴェル「すごいわ」

 

ヴェル「ちょっとなにハモってんのよ!」

 

カタス「え、えぇ!?」

 

(...俺はエリア5へさっさと行くか)

 

緑迅竜は、エリア5へ移動した。

 

カタス「...先輩。背中の手当しますよ」

ヴェル「じ、自分でできるわよ!......」

 

 

 

 

 

ーエリア5 紫毒姫リオレイアー

(紫毒姫、発見。棘...食らえ!!)

 

紫毒姫が横薙ぎに倒れる!

 

(この俺の棘...ナルガ亜種の棘はな、上手く当たれば一撃で気絶させるんだぜ...)

 

(俺の縄張りで好き勝手やってくれてんじゃねぇか!許さねぇぜ!!)

(...とか、カッコつけてみたりな!)

 

ルソ「お前は...!」

 

ゼル「ナルガ亜種さん...!」

 

首でクイッと紫毒姫を指し、

迅竜種特有の構えをとった。

 

ゼル「一緒に戦ってくれるんだね!」

 

(...あぁ!)

 

俺は頷き、イクサを見つめてやった。

ルソがイクサに秘薬を飲ませ、回復した!

 

イクサ「...あ...ナルガ亜種...」

 

イクサ「...もしかして...助けてくれたの!」

 

イクサが立ち上がると同時に、

紫毒姫も気絶から立ち直り、そして大きな咆哮を起こす!

 

紫毒姫リオレイア「ウォォゥァァァァァァァ!!!」

 

(今の俺は怒ってるから、大声でピーピー鳴いても無駄だぜ!)

 

ナルガクルガ亜種「アァァゥァァォゥアアッ!!!」

 

お互いの咆哮が交差し、そして...

 

(勝負だ!)

 

ゼル「せいやぁぁぁ!」

 

ルソ「おらあぁぁぁ!」

 

イクサ「はぁぁぁっ!」

 

ハンターたちも声をあげて臨戦態勢に入った!

 

ゼル「乗り、狙うよっ!」

 

ルソ「恐らく、ゼルが乗れるかで勝負が決まる。」

ルソ「みんな、ゼルを援護するんだ!!」

 

イクサ「了解よ!」

 

紫毒姫は不意打ちを食らわせた乱入者に

怒り狂い突進するが...

 

(おっと。無断で縄張りに侵入してるのは、

どこの誰だっけなぁ!!!)

 

緑迅竜は不意に入り込んできた侵入者に

怒り狂い返しの叩きつけを放つ。

 

飛行が得意でなく、かつ真っ直ぐ走るリオレイア種は

総じて叩きつけを上手く回避できないようで

叩きつけは全力で頭に突き刺さった。

 

しかし、紫毒姫もこの程度ではやられない。

紫毒姫は怯んで下がったが、そのいかにも燃えそうな身体を見て

火炎を放った。

 

(それを待ってた)

 

しかし、火炎を放ち、残り火を消したその僅かな隙に

緑迅竜が消え去った!!

 

紫毒姫「グォォォウ!」

 

紫毒姫は辺り一面を尻尾で薙ぎ払うが、

ゼルは足元に退避し、イクサは離れ、

ルソはガードした。

 

そして、再度薙ぎ払ったとき、

紫毒姫は尻尾に違和感を感じた。

 

尻尾が、ない。

 

紫毒姫「グォォォォォォォォォォァァァァウ!!!」

 

紫毒姫は激痛に悶えるが、その隙を

毒を壁にして消すことを怠らなかった。

だが、毒を壁にするということは、

紫毒姫自身も敵を見辛くなるということであり...

再度緑迅竜を見失ってしまった。

 

紫毒姫はとても焦った。

目の前で対峙しながら、不意打ちをされ続ける。

こんなことがあっただろうか?

あるわけがなかった。

黒の原種と戦ったことはあるが、

横に回り込んでくるだけで隠れることがなかった。

 

それが、今この状況である。

紫毒姫は、ジリ貧というにはあまりにもダメージが大きい

この状況がとにかく恐怖で仕方がなかった。

 

が、その時、正面に緑迅竜が突然現れた。

うっかりしたんだか知らないが、これはチャンスだ!!

と紫毒姫は突進した。

そこに巨大な刃が置いてあるとも知らずに。

 

紫毒姫「アァァァゥォォゥァゥァァァァアアア!!!」

 

悲鳴とも怒りとも悔しさともとれる声をあげながら、

紫毒姫はただ前に出された刃翼に正面から突っ込み

血を噴き上げた。

 

ルソ「ゼル、今だ!!」

 

ゼル「うん!!」

 

ゼルは見失うのを恐れ毒霧を出さない紫毒姫に

乗り攻撃を連発し、とうとう乗った!

 

紫毒姫「グォアウアアアアア!」

 

紫毒姫も、これが成功してしまえば負けると思い

必死でもがく。

だが、スタミナを温存していたイクサの剛射が連発され、

ルソも砲撃で援護するのでどうしようもなかった。

乗り───

───成功だ。

 

紫毒姫「ウゥォゥ、ゥゥォアアアアアア」

 

紫毒姫が弱った声を上げもがくが...

 

ルソ「よし、みんな、トドメだ!いくぞ!」

 

ゼル「うん!!」

 

イクサ「もちろん!!」

 

(ああ!)

 

ルソ「覇山竜撃砲!!!」

ゼル「ブレイドダンス!!!」

イクサ「トリニティレイヴン!!!」

 

(尻尾...叩きつけ!!!)

 

三人と一体の竜の全力の一撃が、紫毒姫を襲う!!

そして...

 

紫毒姫「グゥゥァゥ、アアアアァァァァ....」

 

紫毒姫は、

────倒れた。

 

ルソ「や...」

 

ゼル「や、やったー!!やったよ、カタスぅ!」

 

カタス「はぁ...デカイ音が聞こえたと思ったら...」

カタス「よかった...お前ら、本当によかった!」

 

イクサ「あれ、カタス!?」

 

ゼル「え!?なんでここに!!」

 

カタス「そろそろだと思って来ちまった、わりぃ...」

カタス「あ、安心したらなんだか眠気が...」

 

ゼル「カタス!」

 

ルソ「カタスが倒れた!」

 

ヴェル「───全く、世話が焼けるわね」

 

イクサ「ヴェル先輩もなんでここに!...って、ち、血だらけですよ!」

 

ヴェル「あ、あら...私も、人のこと...言えな...」

 

ゼル「ヴェル先輩!」

 

ルソ「ヴェル先輩が倒れた!」

 

イクサ「早く、医療施設へ運ばないと...」

 

ゼル「は、早く運ぼ!...あ、ありがと、ナルガ亜種さん!」

ゼル「あれ...?ナルガ亜種さん...?」

 

 

 

 

 

ーエリア8ー

(大丈夫か、ロアルドロス)

 

ロアルドロス「ヒュォオウ」

 

(まあ、これ食え。薬草だ、遠慮はいらん)

(じゃあな。俺も疲れた、もう寝るよ)

 

ロアルドロス「ヒュォォ!」

 

(またな)

 

 

 

 

 

ーエリア5ー

ゼル「うん、まぁ、ナルガ亜種さんもお家に帰ったよね!」

ゼル「さあ、みんなも帰ろ!おうちへ帰るんだ!」

 

ルソ「おう!」

イクサ「ああ!」

 

カタス「zzz」

ヴェル「zzz」

 

イクサ「...ふふ、幸せそうな顔。よかった、無事で」

 

 

 

 

 

ーギルドー

紫毒姫、並びに通常種リオレイアの討伐を確認。

ユクモ村への被害は事前に防ぐことができたようです。

突如消えた負傷したハンターも、

紫毒姫を狩ったハンター達が、渓流にて無事保護したようです。

 

なお、今回、強個体水獣と友好的緑迅竜が乱入してきたものの、

紫毒姫にのみ戦いを挑み、去った模様。

水獣は負けて撤退したものの、緑迅竜はハンターと協力し

紫毒姫を撃破したことから、

獣人族のように人間を敵だと考えていない可能性が高いでしょう。

 

ただ、これが草食モンスターのように

人間が危害を加えて来ていないからなだけなのか、

もしくは知能がとても高く人間を味方だと考えているのか。

ギルドとしてはあくまで前者だと考えるようですが、

私としては───いえ、なんでもありません。

 

ちなみに今回、優秀なハンター2名が負傷したために

ギルドはしばらく代わりの者をユクモ村に派遣しようと思います。

では、報告はここまでとします。

本当に、村が無事でよかった。




二話に渡る紫毒姫編はこれで完結です。
紫毒姫だけでなく、二つ名モンスターは
村を雪崩で壊滅させたりやりたい放題ですね。
一部の古龍並みの災害を引き起こしてるんじゃないでしょうかね。

さて。続々と登場する新キャラですが、
彼らは一応主人公の転生の謎に関係があります。
なのでこれから出てくる人数などはもう決まっていますが
実はハンマー、チャージアックス、操虫棍、ヘビィだけ
あまり装備を知らなかったりするので
その4つの装備使いが出るのは先かもしれません。

下位ハンターばかりで不思議かも知れないですが、
G級ハンターどころか上位ハンターも
フクロ達と一緒に引退したり、既にユクモ村にいなかったりします。
なのでそれを引き継ぐ形でルソ達がハンターとなったものの
ゲームと違い、この世界では上位の基準がとても厳しいです。
まあ本来、公式ではG級ハンターはごく僅かな人しかなれず
上位ハンターもかなりの凄腕という設定らしいので
この世界はそちらに準拠していると思って頂ければ。

次回は少し遅れるかも知れませんが
どんどん色んなモンスターを出していきたいですね!

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