ハイスクールD×D-Formal Abnormal-   作:素品

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最近エロって、どこまでがギリギリなのかを考えています。エロといっても色々方向性はありますし、ポロリするだけのエロってやつもつまらないものです。

そう考えてくると胸がアフロダイAなキャラって、どうやっても色物ネタになってしまう無情を感じました。だからなんだというわけではないんですが。

やっぱりエロより燃え(誤字にあらず)です


ということで、青春フルスイング回


第五話 変わらない友情

「アッハハハ!? おま、お前! マジでスゲーな!? で、その後どうしたんだよ?」

 

「そのときは、あと少しで全員の下着がコンプリートできそうな瞬間に松田がクシャミをしまして・・・・・・」

 

「ぶふっ、で、オチは?」

 

「生徒指導室です」

 

「ハハハハッハハハハハハハ!!」

 

それは至って普通の光景と言えるだろう。

 

休日の公園にて一人の男子高校生と、目に包帯を巻いた男が騒がしく日々の語らいをしていた。端から見れば、仲の良い先輩後輩といった印象を持つであろうが、一歩引いた距離から眺める二人の男女からは明らかな緊張が伝わってくる。

 

「スゲー青春してんなぁ、一誠! よくPTAが動かねぇよ」

 

「ふふん! PTAごときに俺たちの探求を阻むことはできませんよ?」

 

「増える草食系の真反対を行く、究極の特攻肉食系男子だな」

 

「変態三人組と言えば、この兵藤 一誠です!」

 

「そんな君の夢は?」

 

「ハーレム王に、俺はなる!」

 

「「ギャハハハハハハハハ!!」」

 

声高らかに公共の場で黒歴史を語り合う兵藤 一誠と双六、それを眺める塔城 小猫に匙 元士郎のもとへ、遅れてやって来たイリナとゼノヴィアが合流、計六人が集まった。

 

そう、一見これもまた有り体な青春の一頁に見えるだろうが、双方の関係に異常がありすぎた。

 

片や教会のエクソシスト、そして悪魔の眷属の組み合わせ。

 

止まらぬ猥談に花を咲かせる二人を除いた四人の気まずい空気も相まって、なんとも言えぬ混沌が形成されていた。

 

「でも、ハーレムか、いきなり難易度高いの来たな」

 

「やっぱり男ならハーレムって燃えますよね!」

 

「あー・・・・・・・・・、俺はそうでもねぇな」

 

「えっ!? 何でですか!?」

 

「いやまぁ、何つーの? 大人になると色々あるんだよ」

 

「つまり取っ替え引っ替えのヤりまくりってことですか!!」

 

「はぁっ!? いきなり話飛びすぎだろ! 色々だよ、色々」

 

「エロエロですか?!」

 

「言葉通じてる!? あれ、悪魔って自動翻訳機能ついてたよね!?」

 

「児童こんにゃく!!?」

 

「もはや意味不明!!!」

 

「いい加減戻ってきなさいよ!?」

 

場所は少し移動し、ベンチの並べられた公園の隅へ。

 

止まらぬ猥談がヒートアップする二人に、それぞれイリナが制止のツッコミを入れて静かにさせる。

 

類は友を喚ぶ、ここに種族や身分を超えた友情が生まれつつあった。

 

「・・・・・・それで、悪魔が私たちに何のようだ」

 

和気藹々とする馬鹿二人で弛んだ空気が、ゼノヴィアの声によって引き締まる。

 

事の発端は、やはり聖剣がこの町に持ち込まれたことだろう。

 

暗雲の内部で息を潜める外道の衆。歪んだ因果によって暴走する仲間。自分たちが関与せずとも進む事態に、痺れを切らすのも自明の理。

 

「つまり、聖剣の破壊に協力したい、てこと?」

 

イリナの疑問符に、一誠は力強く頷いた。

 

何故に悪魔がこんな厄介事に首を差し出すのか。

 

それは兵藤 一誠という元人間にして、左腕に龍を宿した今代の『赤龍帝』にしてみれば些事なこと。

 

死ぬのは御免だ。だが、苦しむ友に背を向けられるほどに、彼の心は冷徹にいられはしない。内心では戦々恐々しながらも、そのさらに深部にて、赤く輝く血潮の脈動は確固たる決意に天上を焼く炎を巻き上げる。

 

顔を見合わせる三人に心臓の音が脳内を席巻し、あわや爆発四散しそうになったとき思いがけない答えが響いた。

 

「いいんじゃないか?」

 

「はい?」

 

「ゼノヴィア!?」

 

あっさりと肯定の意を出したのは、最も難関と思われていたゼノヴィアだった。

 

思いっきりの肩透かしを食らった一誠を余所に、イリナがゼノヴィアに食ってかかるが、互いの信仰を貫くためにもここは悪魔と手を組み、生還率を上げることを最善とするべき、ということで話は纏まりつつあった。

 

「双六も、それでいいな?」

 

「いや、よくねぇよ」

 

胸を撫で下ろすような思いだった一誠一行に、突き落とすように否定してみせたのは双六だった。

 

小さな悲鳴をあげて一誠の背に縋りつく小猫を見えないながらに視線で捉えて、彼は苦笑いに髪を掻き回す。

 

「な、何でですか!?」

 

「純粋な戦力差だよ。今更、お前ら三人が混ざったところで、何かが変わるとは思えねぇ」

 

「だとしても・・・・・・!」

 

「二つに、お前ら主にちゃんと断って来てるのか?」

 

詰め寄り声を荒げる一誠を押し止めるように、問いを重ねる。

 

喉を詰まらせたように黙る彼に、やっぱりか、といったように双六は呆れたように口を歪ませた。

 

「別にかまわないだろ、双六。彼は悪魔であるが、望んで力を貸すというのだ」

 

「そういう問題じゃねーだろ。そもそも教会の面子とかどうすんだよ」

 

「確かに悪魔に力を借りるのは教会としても問題があるだろう。だが、彼はドラゴンだ。それに、報告しなければバレはしない」

 

「誰がトンチを言えといった。ていうか、お前の信仰的にアリなのかそれ?」

 

「私の信仰は柔軟なんだ」

 

「・・・・・・さいですか」

 

色々な諦めを込めた咳払いを一つし、双六は再び視線を一誠らに向ける。

 

「お前の仕えるグレモリー家は、情愛に深いって聞いてるぜ? そんな彼女が自分の知らないところで身内がっんなことになってるなんて知ったら、どう思う?」

 

「そ、それでも俺はッ!」

 

「一旦、冷静になれ。お前の力、そこの二人を天秤に賭けられるほどのもんなのか?」

 

完全に言葉を詰まらせる一誠の視界に、自分の裾を掴んで離さない小猫といたたまれずに顔を青くする匙が写る。

 

小猫も、ましてや匙に至っては自分が無理矢理巻き込んだようなものだ。

 

今さらながらに一誠は自分の肩に、二つの命が乗っていることを自覚する。相手は堕天使の幹部と聖剣。駆け出しの自分たちが相手取るにしては荷が重すぎる。

 

それでも、僅かながらに慢心できたのは、左腕の強大な神滅具(ロンギヌス)赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』の存在があったからか。

 

「でも・・・・・・!」

 

思い起こす。

 

いけ好かないあのイケメンを。いつも、困ったような笑顔を見せながらも助けてくれた仲間のことを。

 

そんなヤツが、今はいない。

 

一人で藻掻きながら、何もかもを片付けようとしている大馬鹿が。

 

一人だ。

 

一人でだ。

 

それが、一誠には我慢ならない。

 

「だとしても、仲間を簡単に切り捨てられるわけがありません!!」

 

「ならどうする。自分の命に代えても二人は守る、なんて寝言言うなら踵落とすぞ」

 

「言いません! あの馬鹿も纏めて四人であの学園に帰りついてみせます!!」

 

立ち上がり、眼前の双六に全霊の感情を叩きつける。

 

それは一誠という悪魔の生き様であり、在り方の全てだった。

 

「お節介だってならいくらでも押し付ける! 邪魔だって言われようと押し掛ける! 今までだってそうしてきた! 俺は悪魔だ!! 俺のやりたいようにやって、俺が護りたいものを護る! それが俺にできることです!!」

 

息切れを起こしながらも、その眼光に一切の衰えはない。

 

シスターを救うため堕天使とエクソシスト詰め寄せる廃屋に乗り込み、一度は負けようと龍に己を捧げ炎の不死鳥を打ち倒した。

 

その信念、折れぬ魂の柱は今なお健在である。

 

実に欲深き、悪魔らしい独占的な正義だった。

 

「・・・・・・でも、結局ご主人様はどうするんだ?」

 

「うぐっ」

 

対する双六はニヒャリと笑ってみせる。

 

楽しげに、面白げに、目を白黒させる二人の聖剣使いを差し置き、自分一人で浸るように笑っている。

 

「・・・・・・いいか、ヤバくなったら逃げろよ。俺が死体になってでもお前らの逃げ道作ってやる」

 

「えっ、どういう・・・・・・」

 

「ということらしいぜ、"木場くん"」

 

彼の口から出た名前に、三人が視線を周囲に走らせると、その背後から見慣れた男が歩いて来ていた。

 

「アイツは・・・」

 

「昨日話したろ、お前らの先輩だよ」

 

身構えるゼノヴィアとイリナを制しながら、祐斗と双六の視線が重なる。

 

互いに無言。

 

裕斗の目には訝しさと疑心が。双六は元より目なんて見えない。

 

いつでも飛び掛かることができる場所で、祐斗は二本の聖剣を一瞥し一誠たちに向き直る。

 

「・・・・・・僕は、復讐を止めるつもりはない」

 

視線を外すことなく、祐斗は独白する。

 

それが誰に向けてか、祐斗は一人語る。

 

己の憎悪の根源を。

 

地獄の底、生を否定され、消耗品として扱われる日々を死に怯えながら、それでも救いを信じて神への祈りを続けてきた。

 

だが、ついに被験者の全員が処分されるまで、神は降りてこなかった。

 

「神は僕たちを救いはしなかった。でも、僕は悪魔に救われた。だから僕は、聖剣を、教会を、神を憎む。復讐することこそ、彼らへの弔いだと思っている。だけど、君はどうやっても退かなんだろうね、イッセー君」

 

「あぁ、お前が自分から地獄に頭突っ込むっていうなら、それを引き抜いてやるのが仲間の仕事だからな」

 

睨み合う二人。だが、険悪とは違う。互いが互いを按じるが故の譲れぬ一線。

 

覚悟と決意の軋轢が、ギシリと噛み合いながら火花を散らす。

 

「なぁ、猫のお嬢ちゃん」

 

唐突に、双六は小猫の背中を指先で軽くつつく。

 

それに明確な恐怖の感情を露にしながら振り向くと、軽く両手を上げながら、苦みを滲ませる笑いを浮かべた双六がいた。

 

「こういう時はな、女の子が言ってやると効果的だぜ?」

 

「・・・・・・?」

 

「居なくならないでー、ってな感じでいいんだよ。そうすりゃ、途端にあいつらも笑い出すさ」

 

「・・・・・・そう、なんですか?」

 

「勿論! 女の子だけの特別な魔法だよ。上目遣いとか特に効果的。男ならイチコロ間違いなしだぜ?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

小柄な小猫に目線を合わせるように片膝をつきながら、双六はそっと彼女の背中を押してやる。

 

困惑と抜けきらない恐れこそあったが、何かを決心したように一つ頷くと、小猫は祐斗のもとへと駆けていく。

 

それを満足気に眺めながら、双六はより一層笑みを深めた。

 

「・・・・・・なんで、そんなに悪魔の肩を持つの?」

 

そんな双六へと複雑な心境を声音に隠さず、イリナが眉根を寄せながら消化不良な思いを告げる。

 

「変か?」

 

「変、っていうか・・・・・・」

 

「教会に属する者とは、とても思えないな」

 

「いや、俺って神の戦士っていうより、教会相手に仕事受けてる傭兵みたいなもんだし・・・・・・」

 

「それなら尚更だな」

 

キッパリと言いはねるゼノヴィアに、片膝を付いた姿勢のまま僅かに苦笑を浮かべる。

 

なんとか誤魔化そうと間を空ける双六だったが、突き刺さる視線は鋭さを増すばかりで衰えない。

 

「・・・・・・仲間を何とかしてやりてぇと思うヤツに、悪魔も人間もねぇさ。それに実家の弟と妹にこんくらいのがいると、なぁ?」

 

そう言って困ったように笑う双六に、二人は彼が孤児院育ちであることを思い出す。

 

彼の中の正義感、もしくは家族愛とでもいうものか、それはイリナとゼノヴィアにも理解できるものだったが、悪魔という事実が納得をさせないでいる。

 

「まぁ、何があろうと俺が何とかするよ。お前らは絶対に生きて帰す。任せときな」

 

「・・・・・・そういうお前が、私たちに守られぬようにするんだな」

 

「ハハッ、こいつは手厳しい」

 

ヘラヘラと笑う双六に、どこか諦めたように溜め息を吐くゼノヴィアとイリナだった。




今思ったんですけど、主人公の賽之目 双六って絶妙に微妙ですね。

こう、ダサいようでやっぱりダサい感じ

でも、気に入ってます


それではまた

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