やはり俺が元スプリガンなのはまちがっている。   作:世間で言うジョージさん

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八幡が戸塚の依頼をどう解決するのか?

奉仕部として彼のとった行動とは?




加筆、修正しました。




第9話 テニス部再興計画

 

 

 

あれから数日が過ぎた。

俺はテニスコートを一望できる、ベストプレイスで昼食をとっていた。今日は友達も一緒だ。といっても雪乃だが。この時間の風はとても心地よく、時間帯によって風向きが変わる。

 

 

そういえば、地中海でロシナンテに乗ってた時にもあったな。風向きや天候に左右されるのが航海だ。船長は俺に跡を継がせたがってたが、俺には性に合わないもんな。

 

 

とか、考えていると可愛らしい女の子?が話しかけてきた。

 

 

「比企谷くんだよね!いつもテニスを見てるけど、テニス好きなの?」

 

 

あぁ、コイツは戸塚彩加か。

例によって調べてある。

成績は平凡、運動神経無し、その容姿や言動、挙動により女性と間違われる事も多々あり。本人はコンプレックスに感じている。骨格や筋肉の付き方で男だと気づいていたがな。テニス部内では、意識が高く、他の部員とは上手くいってない様子。といったところか。そして横で雪乃が不機嫌な顔をしているが、男に嫉妬は止めてもらいたい。

 

 

「テニスは特に好きではないが、嫌いでもないぞ。運動神経は悪くないからな。」

 

 

「じつは、比企谷くんを授業で見てたんだけど、すごく綺麗なフォームだったんだ。良かったら、僕を強くしてくれないかな?お願いします!」

 

 

こいつは真面目なんだな。

真っ直ぐで熱いのは勘弁だがな。ボーの筋肉ダルマを思い出したじゃねーか。アイツみたいな奴はそうそういねーからな。

俺はそういう奴は嫌いじゃない。

 

 

 

 

「だが、断る!」

 

 

「えぇ!?ダメなの?」

 

 

 

俺は戸塚にそこからツラツラと説教をたれてやった。強くなってどうするのか?現実的に誰得なのか?強くなりたいなら素人の俺ではなく、どこかのテニススクールにでも入れと。現実を直視しろとは言わんが、他力本願では決して叶わないと。

 

 

説教をされてるのを見て、雪乃は「そのとおりよ」と言わんばかりだったが、あまりにも長かった為、少し拗ねていたらしい。何故だ??

 

 

昼休み、午後の授業も終わり、部活の時間だ。

いつもの定位置で、雪乃は読書を。俺はトレーニングを積んでいた。

直後、部室にうるさい声が響き渡る。由比ヶ浜だ。

 

 

 

「やっはろ~♪依頼人を連れて来たよー!」

 

 

 

そこに現れたのは、昼休みに会った戸塚だった。

 

 

 

「あの、奉仕部にお願いがあるんです。僕を鍛えてテニスを強くしてほしいんだ。そうしたら他の部員達もやる気を出すと思うんだけど、ダメかな……?」

 

 

両手を胸の前で軽く合わせながら懇願してくる。この挙動が女と間違われる原因の一つだ。俺がやるとキモいからね?

 

 

 

「その件は断ったはずだ。部長さんに聞いてみろよ。」

 

 

 

俺が話を振ると、少し嬉しそうに自分の出番が来た事を喜びながら、我らが部長は咳払いを一つすると、マニュアル的な返答をする。

 

 

 

「願いを叶えるのではなくて、私達はあくまでサポートをするのであって、強くなるかは貴方の努力次第よ。それに、貴方が強くなったとしても部員は貴方に着いてくるかはわからないわ。きっと人任せにするでしょうね。」

 

 

うんうん。もっと言ってやれ。この依頼内容では専門家に頼ったほうがいいだろう。そもそも素人に教えを乞うな。

 

 

 

「えー!なんで?お願い聞いてあげようよー!」

 

 

由比ヶ浜の援護射撃!

どーする?部長さん?

 

 

「それと、由比ヶ浜さん。貴女はまだ奉仕部の部員ではないわよ。貴女の軽率な行動によって、勝手に依頼人を連れて来た挙げ句、少年の淡い希望を打ち砕いたのよ。」

 

 

 

確かに。由比ヶ浜は奉仕部に所属していない。書類上は部員は俺達二人だけだ。由比ヶ浜は、「えー!書く書く、書くよー!」と言って、ノートの切れ端に『入部届け』と書いて平塚先生に提出に行った。

 

 

戻ってきた由比ヶ浜は、事情を聞くと一言。

 

 

「ゆきのんでも出来ない事があるんだね~。」

 

 

 

そこで火がついた、我らが部長。

話が長くなりそうなので、すぐに鎮火させる。

 

 

「ここは一つ、友達に任せてくれないか?雪乃。」

 

「ま、まぁ貴方がそう言うのなら任せるのも藪蛇ではないのだけれど。母性を求める男性的に、三歩下がって着いていく女はやはり私のような…」

 

 

 

うん。いつもどうりだな。

雪乃は放っておくとして、戸塚の依頼の核は、テニスが強くなる事ではなく、皆を引っ張っていけるカリスマ性、求心力といったところか。ならば、俺が奉仕部としてサポートするのならこれしかない。

 

 

 

「キツイぞ?ついて来れるか?」

 

「引き受けてくれるんだね!比企谷くん、ありがとう!」

 

 

ここからは線引きだ。

この瞬間から俺は鬼教官になろう。

 

 

 

「バカモン!誰に口を聞いている!返事は、サー!イエッサー!だっ!」

 

「え?え、えー??」

 

 

 

未だに状況を理解出来ていない戸塚の足元に、ホルスターから抜いたグロックで数発弾を撃ち込む。戸塚は慌てて、不器用なダンスを踊る羽目になる。

 

 

 

「私の事は教官と呼べ。返事は?」

 

「さ、サー!イエッサー!」

 

 

 

こうして、戸塚の依頼を受けた俺はテニス場へ。

新兵訓練を開始する。

 

 

 

 

 

「…総じて大和撫子と呼ばれる女性としては、奥ゆかしさを兼ね備えているもので、男性をたてるという所作として………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?比企谷くん??」

 

 

 

 




御神苗の訓練兵時代の記憶が戸塚を教育します。

次回で解決するかは、謎です(笑)

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