やはり俺が元スプリガンなのはまちがっている。 作:世間で言うジョージさん
近くに意見や感想をくれる同僚がいないので
大変嬉しく思います。
タグも少し増えたので御注意下さい。
加筆、修正しました。
由比ヶ浜からの御礼の鉱物(クッキー)を持ち帰り、成分分析しようと思うものの、よく考えたら機材も知識も無かった。まぁ、アテはあるんだが。
今日は小町が晩飯を作ってくれた。
俺は晩飯を食べると、最近日課になってきたトレーニングを始める。記憶が甦ってきてからは、あの頃の感覚を取り戻すようにトレーニングをしている。
格闘術は得意とするところだが、体がついてこない。今のところは朧の言うところの、鍛練あるのみ!と言うところだろう。
「うし。行くか。」
夜の街を疾駆する。
体力をつけながら、感覚を鈍らせない為に、アスレチック要素も道中に取り組んである。独自のトレーニングメニューを課す。障害物をかわしながら、時にセキュリティの高い場所に潜入したり、裏の世界と呼ばれるような場所に出入りしたりしていた。
そんな八幡は某検索サイトから最近見つけた施設に忍び込む事にした。リハビリには丁度よい難易度だろうと。
表向きは、ただの研究施設。
裏では様々な自社ブランドの兵器を開発している施設だ。その技術は既存する兵器類を凌駕し、オーパーツと呼ばれる物の技術を流用した物だ。
その施設名は、
『アーカム千葉技術研究所』
装備はあって困る事はない。
むしろ、いざという時に無ければ後悔だ。アーカムなら粗悪品を掴まされる事もないだろう。だが、まさか千葉にもあったとはな……。まぁここなら知った顔も居ないだろうし、山本さんに迷惑はかからんだろう。
俺はそんな事を考えながら、小町にセンスが悪いと言われながらも購入した(ネットで流出していた)軍服を着用した。フランスの外人部隊の物だが、万が一にも所属を悟らせない為のカモフラージュだ。決して、傭兵ではない。
目的地は郊外にあり、流石に徒歩では無理があったので自転車に乗って近くまで行く事にした。10キロ離れたポイントから目的地を目指す。ここからは徒歩と走りだ。
目的地周辺まで来たのだが、こんな都心から離れた場所でもアーカムのセキュリティは堅い。並のエージェントなら幾度かトラップの餌食になっているか、捕捉され包囲されていただろう。
「かと言って、この警備態勢はどーゆう事だ?」
独り呟く。
明らかにおかしい。まさか、何かの遺跡の封印でもしている施設なのか?歩哨の数が多い。双眼鏡で施設を確認する。塀の中には小銃を携行した警備員が多数確認できた。
「日を改めるべきか?」
少しばかり考え込んでいると、施設から爆発音と発砲音、警報が鳴り響いた。どこかのバカが潜入したらしい。しかしこれはチャンスだ。爆発音とは反対側から俺は潜入した。
反対側は思った通り警備が手薄になっており、自作の改造スタンガンで数人の警備員を気絶させて、目的の物を探し始める。
研究施設等はだいたい同じような構造なので、監視カメラに気をつけながら進んで行くと目的の部屋を見つけた。
(ん?気配がする!)
辿り着いた先は『技術開発室』。しかし、深夜帯なのか襲撃があったからなのか、一人しかいない。
いや、奥にももう一つ気配がある。二人ぐらいなら今の俺でも問題はないな。
手順は、ハンドガンで威嚇、スタンガンで気絶。早速行こうとして気づく。
「メイゼルのじーさんか?」
つい声を出してしまい気づかれてしまった。八幡ウッカリさん、テヘペロ☆
いかんいかん、緊張感が抜けてた!
「ほぅ。ワシを知っていて訪ねてくるとは。お前さんはどこの組織かの?スカウトに来たのか?」
元々じーさんだったからあんま変わらんなぁ、この人は。もう一人はマーガレット女史か。懐かしいなぁ。
「見たところ君はまだ若いが、その腐ったような目は何かの薬物の投与によるものかの?」
「これは自前だ。にしても久しぶりだな、じーさん。」
目の前のじーさんはメイゼル博士。俺はドクとかじーさんと呼んでいた。この人なら打ち明けても構わないだろう。むしろ今までの恩義を考えれば、充分信頼に足る人物だ。
「どこかで会った事あったかのう?マーガレットくん、覚えているか?」
「いえ、初めてお見かけしますわ。気を悪くしないで下さいね。けれど、どこか懐かしく感じます。」
「俺だよ。優、御神苗優だ。まぁイマイチ信じられんかもしれんが。」
そこで俺は今までの経緯を語った。ドクは興味津々で聞いてくれた。二人しか知らないエピソードも話して見たが、どうやらほぼ無条件で信じてくれたらしい。
「フムフム、じつに興味深い話じゃな。」
「理解してくれてなによりだ。」
さすがだな、じーさん。
聡明すぎんだろ。
「ところで、ここに何か用事があったんじゃろ?何しに来たんかの?」
「少しばかり装備を分けてもらおっかなーって。あ、ちなみに襲撃者は俺じゃないからな。」
ここは弁解しておかねばならない。
アーカムに狙われるのは嫌だし。
忍び込んだけどね。
「んな事は解っとるわい。それより、ちょっと待っておれ。マーガレットくん。アレを頼む。」
「はい、博士。」
やっぱドクは解ってくれたか。本当に頼りになるぜ。
マーガレットさんはケースを2つ持ってくるとドクは説明を始めた。
「まずは御存知、A・Mスーツじゃ。ほれ。」
俺は久しぶりのA・M(アーマードマッスル)スーツを着用する。オリハルコン製の特殊な繊維で出来たスーツで、筋力増強、防弾、防刃、耐熱、耐寒、耐電、etc…と、優れた機能を持つ。
「そしてこちらが、いつもの装備じゃ。ほれ。」
オリハルコン製のナイフ、ナックルガード付きか!いいねぇ!それとグロック17か。弾は各種アリってとこだな。
「じーさん、ありがとな。急に来たのに、いいのか?責任とか、色々とあるんじゃないか?」
「それこそ襲撃者に盗られた事にするわい。気にするな。」
いらん心配だったようだ。
この人も優秀だからな。きっと大丈夫なんだろう。
「そういえば、襲撃者は何が目的なんだ?ここにも何か遺跡の封印でもあるのか?」
危ない遺跡だったら千葉から引っ越さないといけないからな。嫌だ!愛する千葉から出たくない!
「餌じゃよ。遺跡の情報を流したんじゃよ。釣られた奴等は今頃、無能でなければ撤退しておるじゃろ。」
「トライデントあたりの仕業か?」
「ワシにはわからん。それより、今の名前を聞かせんかい!」
そーいえばそうだ。まだ名乗ってなかった。それにアーカムの事情に深入りするのは良くないな。
「あぁ、ゴメン。今は比企谷八幡って名前なんだ。普通の高校生をしているよ。」
俺の事情を簡単に説明した。
ドクは驚いていたが、納得すると紙に何やら書いて渡してきた。
「ワシのアドレスじゃ。何かあったら連絡せい。」
「サンキュな!今度、ドクの喜びそうな新しい鉱物を持ってきてやるよ!」
そして俺はアーカム千葉技術研究所から撤退した。
家に帰ると小町の気配がしたので、窓からコッソリ入る。着替えてなに食わぬ顔で部屋から出ると、どこに行ってたのか質問責めにあうが、疲れてるからと、上手く回避。
デカイ収穫だな。今度、ドクに鉱物(クッキー)を持って、行ってやるか。などと考えながら寝ることにした。
基本はあまりアーカム側の人間は絡みません。
今回は物資と人脈の確保がメインでした。
次回はテニスの話の予定です。