やはり俺が元スプリガンなのはまちがっている。 作:世間で言うジョージさん
八幡が御神苗っぽくなかったり御神苗っぽくないのは、元の八幡の性格と混ざっているからですね。
加筆、修正しました。
二人しか居ない静かな部室には不思議な落ち着いた空気が流れる。
俺はこの沈黙が嫌いではない。
「……何をしているのかしら?」
読書に一区切りついたのだろう。
コチラの様子を見た彼女は俺に尋ねてきた。
「ん?これか?体が鈍ってきてるからな。トレーニングだ。」
「……そういう事を聞いているのではないわ。何故、目隠しをしてモデルガンを組み立てているのかしら?」
しまった!集中してて気づかなかったけど、これって異常な行為じゃね?夜中につい、鈍った体が不安で、某団体事務所から無断で拝借したんだった。是非とも、モデルガンと勘違いしたままでいてもらおう。
「知り合いに教えてもらった訓練法なんだよ。勉強前に集中力を磨けるんだが、不味かったか?」
「まぁ、男の子はそういうものが好きなのでしょう?けれど学校に持ってきていい物でもないから、明日からは控えてくれるかしら。」
セーフ!次からは学校では筋トレをメインにしよう。バレると面倒だしな。
時折、こちらをチラチラ見る雪ノ下を横目に俺は筋トレを黙々とこなしていた。
このあとも依頼はなく、完全下校時間となったので帰る事にした。
そういや忘れてたけど、今日俺は女の子を泣かせたんだったな。中学の時に席替えで隣の席になった女の子が泣く時以来だな。やば。思い出したら目から汗が出ちゃう。(泣)
「んじゃな。お疲れさん。」
「えぇ、さようなら。比企谷くん。」
雪ノ下は部室の鍵を職員室へと返しにいくようだ。
さて、先に帰るとするか。
「待ちなさい。比企谷くん。」
「ん?どーした?連絡事項でもあったか?」
雪ノ下は何やらモジモジと体をくねらせている。そういや、くねくねって見たらダメなんだっけ。あ、これ俺が発狂するやつね。アカンやつやん。
「その……。あの、事故の事だけれど。許してくれてありがとう……。」
「気にしてねぇよ。あの時の俺には逆に文句を言いたいくらいだ。もっと上手くやれっ、てな。だからアンタも気にしないでくれ。」
そう言って平気アピールしてみる。
記憶を思い出してからはコミュ力が上がってる気がする。
「私は『アンタ』ではないわ。雪ノ下雪乃よ。」
「お、おう。雪ノ下。」
やば、ちょっとキョドっちゃう!
「……雪乃と呼んでちょうだい。私達は今日お互いのわだかまりが解けた。相互理解が深まったのよ。つまり、お友達と言える間柄にはなったんじゃないかしら。お友達なら下の名前で呼ぶのが通説だと聞くわ。よって私の事は正しく雪乃と呼ぶべきだと思うの。」
早口で捲し立てられた俺は、照れ隠しか?と思いながらも悪い気はしないので、少し嬉しく思う。
「そ、そうか。雪乃、じゃあな。」
「また明日ね、比企谷くん。」
て、お前は名字呼びかよ!
まぁいいや。帰ろう。
その日、帰宅した俺は人生で初の友達ができた嬉しさから、ふと顔がにやけてしまい小町からの質問責めにあったのは、また別の話。
御神苗のフレンドリーで気さくな性格が、八幡の捻くれた性格を緩和しています。
またその話もおいおい出てきます。