やはり俺が元スプリガンなのはまちがっている。 作:世間で言うジョージさん
物語はゆっくりだったり、
駆け足だったりします。
テンポが難しいですね~。
由比ヶ浜とも友達となった俺は、友達総数が二人となった。人生に於いてこれほどの快挙はない。御神苗優の時はもっといたけど。自分の前世なのに、なんだか悲しくなってきた。まぁ、ナニワトモアレ嬉しいもんだ。
翌日の部活での話。
由比ヶ浜は三浦達とカラオケに行くらしい。なんでも、回復祝い(正気戻りパーティー)だそうだ。
今日は雪乃と二人きりになるらしい。そして、雪乃から大事な話があると言われた。
「比企谷くん…あの、その…私と付き合って下さい!」
「ん?買い物か?いいぞ。」
「………えぇ。お願いするわ……。」
雪乃さん、なぜそんな沈んだ顔すんの?あの日かな?おっとセクハラじゃないぜ?友情だよ。
そして日曜日に、ららぽまで雪乃と買い物に行く事になった。なんと女の子と二人きりでだ。この事を1から10まで小町に自慢したら、「これだから、ゴミぃちゃんは~。」と、あきれていた。何が悪かったのだろう?
当日、俺は久しぶりの買い物なので出る前に、ラノベの新刊等をチェックしていた。あまりに楽しみだったので、少し早めに到着した。
時計を見ると、待ち合わせの時間よりも40分ほど早かった。暇潰しにゲーセンに行く事にした。100円で、ナンチャラ・オブ・ザ・デッドを全クリしていると、時間を10分もオーバーしている事に気付いた。慌てて待ち合わせ場所に向かうと、雪乃がチャラ男5人衆にナンパされていた。
「よぉよぉ、姉ちゃんYO~。可愛いねぇ~。」
「誰か待ってるの~?そんな待たせる奴ぁほっといてさぁ」
「俺達と遊ぼうぜぇ~?」
昭和の時代にタイムリープしたかと勘違いしたぜ!今時のナンパはあれがスタンダードなのか?
そんな事を考えていたら、男の一人が雪乃な手首をつかんで連れていこうとした。
「汚ならしい手で触らないでちょうだい。」
刹那、男は宙を1回転して投げ飛ばされた。おぉ!情報通り、合気道の有段者は伊達じゃない!その後、二人目、三人目と投げたあたりで残りの男達はナイフと警棒を取り出す。
「へへっ!どこの渋川先生か知らねぇけど、コイツにゃ敵わねぇだろ?」
「貴方たち、恥を知りなさい!」
さすがにやり過ぎだ。俺の琴線にコイツらは触れた。少し痛い目に合ってもらおう。
「おい。彼女は俺の大事なお友達でね。お前らは少しやり過ぎた。」
あっという間にチャラ男2体を気絶させていく。そして全てのチャラ男を制圧した。
「大丈夫か?雪乃。怪我はないか?」
「比企谷くん…遅いわよ。10分の遅刻よ。あと、もっと早く助けてほしかったのだけれど。」
うん。やはり遅刻したのは不味かったね。しかも暫く見てたのバレてた。だって、有段者の強さを見たかったんだもん。ちゃんと誉めておこう。
「雪乃の合気道だけど、綺麗な流れの体捌きだったぞ。技のチョイスも好きだな。」
「そ、そんな!綺麗だなんて…それに、好きって……」
あれ?なんか曲解されてねぇ?俺の日本語、間違ってなかったよね?
「合流できたことだし、いきますか。」
一人でアワアワなってる雪乃の手を引いて、ショッピングモールへと向かった。やはり、人混みの多い場所なだけに手を離すとはぐれそうだ。この状態では高確率で迷子になるだろう。主に雪乃が。
「それで、今日は何を買いに来たんだ?」
思っていた疑問をぶつけてみると、ハッとした顔の後で少し顎に手を添えて思案する。そこから、閃いた!と言わんばかりにアクションをとると、さもその用事の為に来たかのように喋りだした。
「6月18日。何の日か解る?」
「考古学出発の日だろ?1877年のこの日、大森貝塚を発見・発掘したアメリカの動物学者、E.S.モース博士が来日した。と、されている。それがどうした?」
アーカムで考古学関連の知識は半端なくあるからな。もしかしなくても雪乃も考古学や神秘なんかが好きなのかな?
「…確かにそうだけど、意図するものと違うわ。たぶん、由比ヶ浜さんの誕生日なのよ。アドレスに0618って入ってたもの。」
「ふーん。それで誕生日プレゼントを買いに来たって訳か。由比ヶ浜なら、銀行の暗証番号も0618にしてそうだな。」
「…それには激しく同感するわ。」
余談だが、後日、由比ヶ浜に銀行の暗証番号を当ててやると、急いで番号変更をして、特に思い入れのない番号に変えた為、口座がしばらく使えなくなったのは、また別のお話。
「とにかく、目的地を定めて廻ってみるか?その道中に良い物があれば買えばいいんじゃないか?」
「そうね。私は一般の女子高生とは感性がかけ離れてるもの。」
とはいえ、俺もJKの喜ぶ物なんてわからん。困った俺は、スーパーアドバイザー小町へと電話した。
「どうしたの?おにーちゃん?もしかして、もう振られたの??」
「いや、むしろ勘違いしてしまうレベル…じゃなくて!由比ヶ浜の誕生日プレゼントなんだが、小町の意見を聞きたい。」
プロフェッサー小町によると、中級ブランド物の小物やアクセがいいらしい。ただし、ブランドには好き嫌いがあるかも知れないから止めておいたほうがいいらしい。なら、なんでその情報言ったの?
「最終的には気持ちだよ!き、も、ち♪じゃ、小町勉強するからお土産忘れないでね~!」
結論。役に立たなかった。
アホっぽいビッチが喜びそうな物でも探そうと提案すると、雪乃も賛同してくれた。二人で小物雑貨店へと向かった。
雑貨店に着くと、物が多すぎて何を選べばいいのか余計に解らなくなってきた。とりあえず、各々見て廻ることにした。ボタンを押すと、「へぇ~」と鳴るスイッチを見つけて、これにしようか悩んでいると、雪乃が尋ねてきた。
「これなんて、どうかしら?」
青いエプロンを前にやり、感想を求めているようだ。俺は素直に答えてやった。
「なかなか似合ってるぞ。いい奥さんになれそうだな。色も雪乃にマッチしている。可愛いと思うぞ。」
「不束者ですが、宜しお願いし…、じゃなくて!由比ヶ浜さんへのプレゼントよ…」
素直に誉めたのに、顔を赤くして怒るなよ。全く。けど、その路線はアリだな。よし、便乗しよう。
「由比ヶ浜ならもっと、ゆるふわビッチ系のこれなんてどうだ?」
「いいんじゃないかしら?とてもイメージにピッタリだわ。」
俺が提唱したピンクのフリフリしたエプロンに決まり、時間も余ったのでお互いに寄りたい場所に交互に行く事になった。本屋は遠かったので、先に雪乃の希望したペットショップに向かう。ペットショップに着くと、猫のケージの前に雪乃は飛びつくと、ずっと眺めていた。
5分待っても微動だにしなかったので、個人的に犬関係の品を探してプレゼントすることにした。こないだ飼い主の責任云々の話もしたし、何か買ってやろうかと思い、バウリンガルを購入した。
雪乃のところへ戻ると、まだ同じ場所にいたので、先に店の前にあるベンチで待ってたら30分後に満足そうに出てきた。
「お待たせ、比企谷くん。少し疲れたから私もベンチに座ってもいいかしら?」
「あぁ、かまわないぞ。何か飲み物でも買ってくるわ。」
飲み物はもちろん、マッカンである。雪乃の分は野菜ジュースだが、いつかマッカンを飲ませてやりたいものだ。と、考えていたら前からすごい勢いで駆け寄ってくる女性がいた。
「あれ~?雪乃ちゃんじゃない。何をしてるのかな~?もしかして、デートかな?」
「そうよ、だから邪魔しないでちょうだい。姉さん。」
雪乃のお姉さんらしい。てゆーか、これデートだったんだ!知らなかった。帰ったら小町に自慢しよう。
と、考えたところで、友達とのデートは世間一般的にデートにカウントされるのだろうか?という疑問を残し、ずっと脳内会議をしていたのは内緒だ。
ついにあの人登場ですね。
次回は少し変化ある展開予定です。
あくまて予定日です。