やはり俺が元スプリガンなのはまちがっている。 作:世間で言うジョージさん
他の話も加筆、修正加えています。
材木座の依頼も無事解決し、俺は職場見学の件で平塚先生に呼び出しを喰らっていた。何故だ?何か不備でもあったか?
平塚先生と向かい合い座る。
複雑な表情を見せる平塚先生。この人は黙ってりゃ美人なんだけどなぁ。スタイルも良いし、面倒見もいい。何故、結婚出来ないんだろう? ?
「比企谷。この職場見学希望なんだが……正気か?」
「何もおかしいところは無いと思います。以前の俺なら専業主夫って書いてましたけど。」
確かに、前世の記憶を思い出してからは行動も思想も変わったように思える。俺も成長してるんだなぁ。シミジミする。
「君は理数系は壊滅的だった気がするんだがな。何故、『アーカム千葉研究所』なんだ?」
「将来的に興味がありまして。既知の研究者も働いてます。それでも先生は許可してくれないんですか?」
嘘は言ってない。ただ、じーさんに会いに行くのに昼間から堂々と行けるのだ。ただの高校生が入れる場所は知れてるだろーけど。
「はぁ、わかった。先方に伺ってみよう。無理なら諦めるんだぞ?」
先に根回しをしておこうっと。断られたら他を考えなきゃいけないからな。さすがにアーカムの日本支部には行けないからな。山本さんには会いたいが、ジャンのアホに出くわすかもしれんしな。
そして、指導室をあとにして部室へと向かった。部室に入ると、由比ヶ浜が俺を探していたらしく、あとから部室へと入ってきた。
「サー!教官殿!司令官が探しておられました!サー!」
「御苦労。すでにターゲットは確保してあるわ。下がっていいわよ。」
どうやら我らが部長さんは、由比ヶ浜に司令官と呼ばせているらしい。最近、読む本を間違えていないか?雪乃の将来が心配になるわ。あと、なんでコイツこんなに偉そうなの?
「サー!つきましては、教官殿の連絡先を教えて頂けないでしょうか!周辺の学徒に尋問してみましたが、誰も教官殿を存じてませんでしたので!サー!」
「わかった。ほらよっ。」
俺はスマホを渡すと由比ヶ浜は、俺の連絡先を登録した。…何故、コイツはこんなに嬉しそうなんだ?
不意に部室をノックする音が響き渡る。入室を許可され入ってきた男は、クラスのトップカーストであり、リア充である、葉山隼人だった。
「やぁ、ヒキタニくん。雪乃ちゃ…雪ノ下さんも頼みがあるんだけど、いいかな?」
コイツは葉山隼人だ。成績優秀、才色兼備、運動神経抜群で、カリスマ性があり、イケメンてモテモテ。モットーはみんな仲良く。リア充でトップカーストに属する。家柄も良く、雪ノ下建設の顧問弁護士の家系。雪ノ下家との結び付きは強いが、雪乃には嫌われてる。幼少期の確執が原因と思われる。俗にいう世間知らずなボンボンである。
「用件は何かしら?早く言ってちょうだい。」
「…このメールの件なんだけど。」
葉山は言いにくそうに切り出すと、1通のメールを見せてきた。メールの内容はこうだ。
戸部は稲毛のヤンキーで、カラーギャングで、悪そうな奴は大体友達。
大和は三股かけるクズヤロー。ついたアダ名がトライデント(三ツ又)。
大岡はラフプレーで相手校のエース潰し。ダイヤのエースならぬ、リタイヤのエース。
多分、こんな事が書いてありました。多分。
「友達が悪く言われてるのは気分が悪いんだ。このチェーンメールを止めさせてほしい。」
どうやらチェーンメールらしい。
聞くと、クラスの中だけに配信されているらしいが、俺には配信されてなかった。余談だが、由比ヶ浜もハブられてた。言動や挙動がおかしいからスルーされたのだろう。
雪乃は過剰に反応していた。
「チェーンメールなんてものは、人として最低最悪の行為よ。姿を見せない匿名性が、より悪意をばらまくわ。」
過去に何かあったのだろうか?最低最悪の行為なら俺も腐るほど見てきた。
トニー・べネット…子供に爆弾を持たせ、ターゲットと共に爆破する。他にも目的の為なら、最低最悪の行為を喜んでする野郎だ。思い出すだけで怒りが込み上げてくるぜ…!
怒りで長机の端を握り潰しかけた。
「比企谷くん!そんなに怒っているなんて。やはり犯罪は許せないのね?私もなのだけれど、理由は、当時に感銘を受けたFBIの公式記録にあった事件なのだけれど……」
うん。いつものが始まったか。雪乃は放置するとして。
止めさせるには、大元を叩かないといけない訳か?だが、説得されただけで止めるだろうか?相手の動機にもよるだろうが。
「確認なんだが、お前は犯人を特定した後の処置はどうするんだ?」
「止めてもらうように説得するさ。皆で仲良くしたほうがいいじゃないか。」
相変わらずだな。トップカースト様は。言ってる内容は綺麗に聞こえてくるだけに、新興宗教の教典でも説いてるのかと思ったぜ。だがコイツは気付いていないのか?
「多分なんだが…おおよその犯人の目星はついたぞ。知りたいか?」
「何か知ってるのかい?ヒキタニ君。」
ざっと推理を説明してやった。
葉山グループの男性だけがターゲットになってる事、職場見学が間近な事、その班決めが三人までという事。つまり、犯人は三人の内の誰かだと。
「ここまで説明してやったんだ。もう少し調べれば特定出来るが、どうする?」
「友達を疑うなんて出来ない!アイツらは皆いい奴等なんだ。」
そこで葉山は戸部、大和、大岡の良いところをツラツラと挙げていく。だが、それがどうした?
「話を変えるが、お前はアイツらに命を預けられるか?大事な者や、自分の命が懸かった場面で。俺なら信頼に値する奴にしか背中は預けれないぞ。お前はどうなんだ?」
「命?大事な者!?ヒキタニ君、話が飛躍し過ぎじゃないかな?」
こいつは何も解ってない。
まあ、そんな経験している奴はあんまりいないだろう。無理もないか。
「わかった。これくらいの依頼ならすぐに解決するさ。ただ、もう少し考えるんだな。それが最善策か、他の方法を模索してみるか。」
「あぁ、わかった。引き受けてくれてありがとう。ヒキタニ君。」
最後まで名前間違ってるけどな。
そして、事件の詳細を調査してみた。犯人も割り出した。しかし、これは奉仕部としての理念に反するからな。俺達はあくまでサポートだ。あとは葉山、お前次第だ。
「……つまり、プロファイリングでは導き出せない現場捜査官の閃きが……アレ?比企谷くん?」
次回、チェーンメール事件決着予定?