やはり俺が元スプリガンなのはまちがっている。   作:世間で言うジョージさん

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今回でテニス勝負になります。
戸塚の成長に期待ですね。




加筆、修正しました。


第10話 テニス勝負

 

 

 

 

訓練場(テニスコート)へとやって来た俺達は早速、戸塚の訓練を開始した。ちなみに由比ヶ浜はダイエット効果があると勘違い(某ブードキャンプと)していたが、本人のたっての希望なので参加させた。

 

 

とりあえず基礎訓練からだ。

一度、精神をボロボロにしてやり、今までの自分を否定し、キチンとした思考を持つ兵士にする洗礼からやることにした。

 

 

30kgの装備を持たせて(甘め)近くの山を行軍する。

 

 

道中に仕掛けた障害に手こずると、怒鳴りつける。

「バカヤロー!貴様はそんな事も出来ないのか?この蛆虫野郎!」

 

 

 

行軍中に足を休めて座り込むと、恫喝する。

「誰が休めと言った!立てっ!それとも永久に休みたいのか!!」

 

 

 

トラップに引っ掛かると、責任を追究する。

「貴様のようなマヌケな役立たずのせいで、部隊は全滅するだろうな!解ったら動け!クソ野郎!!」

 

 

尊厳を踏みにじられたのが気に障り、反抗心が芽生えそうになると、それを折ってやる。

「おい!ウスノロ!貴様は豚以下の蛆虫だ!解ったか?解ったら返事をしろぉ!!」

 

 

 

テニスコートまで戻って来ると、次は筋トレだ。ここでも思いっきり罵倒してやる。

 

 

「おい!蛆虫野郎!ペースが遅れているぞ!あと30回追加だ!」

 

 

 

由比ヶ浜は、最初の行軍でダウン。ボロボロになり、泣きながら下山。現在は泣き疲れて寝ている。ダイエットになっただろうか?(笑)

ちなみに雪乃は読書中だ。タイトルは『新兵を使い物にする100の方法』。お前も教官役したかったのかよ。

 

 

そんなシゴキを俺達は数日間続けていた。そして1週間たった、放課後。

 

 

 

「貴様っ!中々いい面構えになったな!」

 

「サー!教官殿の教育のおかげです!サー!」

 

 

戸塚はすっかり染まっていた。

 

 

「フンッ!貴様は蛆虫だ!だが、少しはマシな蛆虫になったようだな!」

 

「サー!ありがとうございます!サー!」

 

 

あの天使のような笑顔ではなくなり、精悍な面構えになっていた。もう女々しさはコンプレックスにならないだろう。たぶん。

 

 

「慢心せずに励め!解ったか!?」

 

「サー!イエッサー!」

 

 

 

うむ。中々いい仕上がりじゃないか。あとは実戦を積ませていけば、良い兵士になるな。

などと考えていたら、誰かがこちらに向かってくる。数人いるようだが、誰だ?

 

 

それはリア充グループのトップカーストの面々であった。

 

 

 

「あーし、テニス超したいし。隼人~?」

 

「そうだな、優美子。戸部も選択テニスだったか?」

 

「選択はサッカー1択っしょ!にしても、テニスとかマジっべーわ!」

 

 

 

リア充どもはテニスコートまで来ると、テニスをしたい旨を申し出る。まぁ正直テニスは一切してないから譲る気だったんだが、最後の奴の口調がムカついたから断った。

 

 

喰い下がるリア充グループに、これは戸塚の依頼であり、我々奉仕部が正式な依頼を受けて使用している事を丁寧に伝えると、「それなら、勝負しないか?」と、イケメンに持ちかけられた。

 

 

「勝った方が戸塚君にテニスを教える。戸塚も上手い方に教えてもらえる。どうかな?」

 

 

 

爽やかに言うコイツはきっとナルシストだろう。気持ち悪い。戦場で自分の手は汚さずに暖かい部屋の中で命令だけするタイプの奴だ。俺の嫌いなタイプだな。

 

 

「あ、じゃあ男女ミックスでやるし!あーし、マジ天才じゃね?」

 

「っべーわ!優美子、マジ天才じゃねー?」

 

 

 

よし、コイツら叩き潰そう。最後の奴の口調がムカついた。そう思ってたら先に戸塚が前に躍り出る。

 

 

 

「サー!失礼ながら教官!発言宜しいでしょうか!サー!」

 

「なんだ?発言を許可する!」

 

 

ほう。俺に意見するつもりか?成長したな。

 

 

「サー!この凡愚共を殲滅せよと、御命令下さい!教官殿の手を煩わせるまでもありません!サー!」

 

 

 

うむ。中々殊勝な心懸けじゃないか。だが、コイツではまだ練度が低い。テニスやらせてないからな。任せる訳にはいかない。戦うのならば、勝利を見据えねばならないからな。

 

 

 

「身の程を弁えろ!蛆虫野郎!だが、その心意気は良し!お前はマシな蛆虫に格上げだ!喜べ!」

 

「サー!出過ぎた真似をしてしまいすみません!サー!」

 

 

 

この光景をポカンとした顔で見てくるリア充ども。おいおい!顔がハニワのようになってるぜ?さっさと叩き潰そうか。

 

 

ボケッとしていた三浦の提案に乗ってやると、由比ヶ浜が参加したいと申し出るので、仕方なくパートナーにしてやった。

 

 

そういえば由比ヶ浜は、葉山のグループの一員だったんじゃね?と思ったら、やはり一悶着あった。

 

 

「なんで結衣がソッチいるし!あーしとやろうっての?」

 

「…教官の命令は絶対。自分は死を恐れない兵士…」

 

 

 

いかん。由比ヶ浜が何やらブツブツと言ってるが、まだコイツにも行軍での効果が残っていた。仕方ない。何か声でもかけてやるか。

 

 

「由比ヶ浜!貴様の生まれはどこだ!」

 

「ハッ!千葉でありますっ!サー!」

 

「いいか!千葉には二種類の人間しかいない!戦える千葉県民か、臆病で腰抜けの千葉県民だ!貴様はどっちだ!!」

 

「っ!!自分は戦える千葉県民です!サー!」

 

「よしっ!ならばそれを証明して見せろ!見敵必殺(サーチ&デストロイ)!!」

 

 

 

三浦達は超ドン引きのまま、試合は始まる。サクッと俺だけで1ゲームを先取する。焦った三浦は、素人の由比ヶ浜だけを執拗に攻める作戦にでた。

 

 

ボソッと、「ゴメン、結衣」と言ってたが、後程そのセリフを後悔する。

足を挫いてもなお立ち上がり、膝を擦りむき、顔面にボールを受けて腫れ上がっても立ち向かい、切った額や鼻から出血するも、血だらけになっても立ち上がり、「…自分はまだやれます…見敵必殺(サーチ&デストロイ)…」と言う由比ヶ浜の姿を見ると、三浦は「ヒッ!」と悲鳴をあげて震えていた。

 

 

2ゲーム目を取られ、さすがにこれ以上は由比ヶ浜では無理だと判断したので、本を読んでいて、全く試合を観ていなかった雪乃に声をかける。

 

 

「私の友人をよくも…!…あら?傷一つなさそうね、良かったわ。」

 

 

重傷の由比ヶ浜より、無傷の俺の心配からかよ。俺はお前の精神が心配だよ。また友達フィルター分厚くなりましたね、雪乃さん。

 

 

そして、由比ヶ浜を衛生兵(戸塚)に任せると試合を再開した。このゲームを取れば勝ちだ。

 

 

雪乃はさすがにテニスも強く、圧倒的勝利で終わった。最後のゲームで、葉山のムカツク面にボールを当ててたら、三浦を庇ってた美談になっていた。何?このプロパガンダ??

 

 

 

 

そして試合も終わり、無事に訓練を終えた戸塚が、新生テニス部を軍隊化したのは、また別の話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…自分は戦える千葉県民だ…自分は腰抜けじゃない…」

 

 

 

 




スマホでいつも書いてるんですが、誤字脱字ありますね。
見かけたら教えていただけると嬉しいです。

由比ヶ浜さんは純粋なので、
洗脳されやすい設定です(笑)



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