インフィニット・ストラトス 鋼鉄の銀龍    作:ユウキ003

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今回はラウラとセシリア達のバトルの回です。
途中で機龍が乱入してラウラをボコボコにします。


インフィニット・ストラトス 鋼鉄の銀龍 第7話

前回までのあらすじ 

IS学園にやって来た新たな生徒 男子で3番目のIS男性パイロット

『シャルル・デュノア』と軍人然とした謎が多い『ラウラ・ボーデヴィッヒ』

そんな中で機龍は、ラウラの中にある種の危機感を感じていた

しかし、それでも機龍、簪、セシリアの3人がお互いを認め合い

絆を深めていった

 

シャルルとラウラが転校してきてから早い物で一週間程が過ぎた

ちなみに、最近では一夏と機龍は一緒に昼食を取る事が少なくなった

一夏は箒、鈴、シャルルと一緒に取る事が多く、機龍は簪、セシリアと

ともに食事をする事が増えたためである

 

そんなある日 日曜の正午 

部屋で弐式の開発を続けていた簪と機龍 

   『コンコン』

機龍「はい。セシリアお姉ちゃん?どうぞ。」

セシリア「失礼します。」

ドアを開けて入ってくるセシリア 彼女ももう、ここにはよく来るようになっている

    「今日も弐式の開発ですか?」

機龍「うん。あとちょっとで完成なんだ。」

簪「この調子なら、タッグ戦のトーナメントに間に合いそうだよ。

  これも機龍のお陰だね。」

機龍「ううん。僕だけじゃなくて、簪も頑張ったからだよ。こんなに早く

   仕上がったのは。」

簪「う、うん、そうだね////」

セシリア「それより、御二人は昼食はまだなはずでしょう?ご一緒にいかがですか?」

機龍「そうだね。行こう。」

簪「うん。」

最近では簪も良く笑うようになった これも3人の絆が深くなりつつある証拠である

 

セシリア「そう言えば、昨日アリーナでかなり危ない事があったそうですわ。」

機龍「危ない事?」

セシリア「はい。なんでも、あのドイツの転校生がいきなり一夏さん目がけて

     発砲したとかで。」

機龍「一夏と試合したの?」

セシリア「いえ、一夏さんは申し込まれた試合を拒否したらしいのですが、

     関係なく発砲したそうですわ。」

簪「…なんか、かなり危険な人みたいだね。その人。」

機龍「…そうだね。」

少し、暗い表情になる機龍 

セシリア「あ、そ、そうでした!機龍から貰ったデータのレールガン、無事

     完成しましたわ!」

簪「本当に?」

セシリア「はい。先日の夕方、布仏さんから受け取りました。

     拡張領域にも余裕がありましたから、何とか搭載する事ができました。

     これも二人のお陰ですわ。」

機龍「それは、僕達がお姉ちゃんの夢を応援したいから送ったプレゼントだから、

   気にしないで。」

簪「でも、その分、頑張らないとね。」

セシリア「ウフフ♪重々承知しておりますわ。」

そんな会話をしながら3人は仲睦まじくなっていった

 

やがてある日の朝

セシリアや簪と普通に登校していた機龍

一夏「機龍~」

そこに一夏がやって来た

機龍「一夏、どうしたの?」

セシリア「おはようございます。一夏さん。」

簪「…おはよう。」

一夏「悪い、機龍を借りてくぞ。」

機龍「え?」

すると、一夏は機龍の手を引いて足早にどこかに行ってしまった

そしてその周りでは

女子「これは一夏×機龍確定ね!」 「やばっ!鼻血が!」

   「あぁ、妄想が!」 「ちょ、ちょっと下着が…」

このざまである

 

やがて一夏達がやって来たのは学園の屋上だった

そこにはシャルルの姿もあった

機龍「一夏お兄ちゃん…どうしたの?」

一夏「急に悪かったが、落ち着いて聞いてくれ。シャルルは『女』だったんだ。」

機龍「??」

首を傾げる機龍に説明を始める一夏 しばらくして

  「納得した。つまり、シャルルの事をばれないようにすれば良いんだね?」

一夏「悪いな。協力させちまって。」

機龍「気にしてない。僕も一夏なら、デュノアお姉ちゃ、ううん、お兄ちゃんを助けた。」

シャルル「どうして?僕は君のデータを盗むためにここに…」

機龍「僕がお兄ちゃんを助けたいから…人を利用する物としか考えていない人間

の下に、お兄ちゃんを返すわけには行かない。」

シャルル「機龍君……」

機龍「人は…確かに愚かかもしれないけど…それでも、世界には、優しい人だって

   居るんだ。」

機龍の言葉を聞いて、一夏に目を向けるシャルル

  「僕は人を信じているから…」

シャルル「…ありがとう。」

一夏「良し、これでOKだな…機龍、頼むぞ。」

機龍「うん、これは僕達3人だけの秘密。」

その後、機龍は二人より少し早めに教室に戻って行った

その途中で

  『気づけよ。あれが人間の本質だろ?』

  『黙れ…』

  『あんな人間たちなんて、生かして置く価値があるのかよ?』

  『黙れ!』

ここ最近、内なるもう一人の人格が現れ始めた それこそが、

『ゴジラ』として人間を否定した自分自身だった

唇を噛み締めながら教室に戻る機龍だった

 

何とか教室に着いた機龍 

その時、何やら中が騒がしいのに気付いた

  『何だろ?』

鈴「う、うそじゃないでしょうね!?」

セシリア「それは本当なのですか!?」

何やら女子の机の一つに多くの生徒が集まっていた

女子「本当だって!月末の学年別トーナメントで優勝したら、織斑君か

   機龍君と交際でき――」

機龍「僕たちがどうかしたの?」

女子「きゃあぁぁぁ!ききき、機龍君!?いつからそこに!?」

機龍「ついさっき…それより、僕と一夏がどうかしたの?」

女子「いやいやいや!何でもない!何でもないよ~!アハハハ!」

すると、集まっていた女子たちが蜘蛛の子を散らすように自分達の席に

行ってしまった

その様子に唯々首を傾げる機龍だった

 

時間は過ぎて放課後

第3アリーナにやってくる機龍とセシリア 

するとそこに鈴もやって来た

鈴「あら?あんた達も訓練?」

セシリア「えぇ、まぁ、新装備のテスト、と言った所ですわ。」

鈴「そ。でもここは今から私が使うから、少し待っててくれない?」

セシリア「でしたら、どちらが先にアリーナを使うか。勝負で決めません事?」

鈴「ふん…乗った!」

すると鈴とセシリアが同時にISを展開した

 

とその時、3人の居る位置目がけて砲弾が飛んできた

セシリアと鈴が驚く中、機龍は一瞬で尻尾を具現化させ、その砲弾を

弾いた

アリーナの遮断フィールドに命中する砲弾

セシリア「…何のおつもりですか?ラウラ・ボーデヴィッヒさん?」

そこには黒いIS『シュヴァルツェア・レーゲン』を纏ったラウラが立っていた

鈴「いきなりぶっ放すなんて、良い度胸しているじゃない!」

甲龍の衝撃砲を発射態勢にする鈴と、左腕部に新たに取り付けられた0式レールガン改を

レーゲンに向けるセシリア

ラウラ「中国の甲龍にイギリスのブルー・ティアーズか…ん?

    イギリスの方はデータと違うな……ち、無能どもめ。」

と、一人呟くラウラ

セシリア「どういうおつもりですか?今の攻撃、下手をすれば機龍を巻き込んでいた

     のですよ?」

ラウラ「そのような子供の生死など、些事に過ぎん。死のうが生きようがどうでも良い。」

その時、機龍は胸を押さえながら苦しみだした

   「ほらな。この程度の攻撃で取り乱すなど、子供…所詮はISが使えるだけの

    青臭い子供だ。」

だが、この時機龍が苦しんでいるのは恐怖では無く、内から目覚めつつある

『殺意』だった

今機龍が対峙しているラウラが他人を見下すという心に反応する『内なるゴジラ』を

抑え込むためだった

セシリア「何も知らないくせに、随分と傲慢で愚かな方ですわね。」

鈴「ふん!私達に喧嘩を吹っ掛けた事!後で後悔しても知らないからね!

  行くよ!セシリア!機龍は下がってなさい!」

機龍「わ、わかった。」

胸を押さえながら後退する機龍

 

そして、ラウラ対セシリア・鈴の戦いが始まった

だが、ラウラのIS、レーゲンの持つ機能『AIC』の前に

手も足も出ない鈴とセシリア

レーゲンから射出されたワイヤーが鈴の甲龍の足に絡みついた

そこにセシリアのブルー・ティアーズが攻撃をしかけ、

動きが止まった所をライフルで攻撃するが、レーゲンのレールガンと相打ちになった

そこに振り回された甲龍がブルー・ティアーズと接触

地面に打ち付けられた

だが、接近してきた所に隙を見て至近距離から衝撃砲を発射するが

それも効かなかった

さらにラウラはレーゲンから射出したワイヤーで二人の首を縛り上げ、

動けないのを良い事に、彼女達のISを殴り、蹴り、壊し始めた

 

そして、アリーナの隅でそれを見ていた機龍は

『箍が壊れ始めた』

機龍『やめて…それ以上は、やめて………』

  『殺せ………殺せ……人間を…あの銀髪を…殺せ』

  『やめて…やめてよ…』

  『殺せ…破壊しろ…グチャグチャに…バラバラに…』

  『やめ、ろ……や、めろ……』

  『燃やし尽くせ…教えてやれ…絶望を……』

  「………殺せ。」

その瞬間、機龍の中で何かが吹き飛んだ

  「GYAOOOON!」

次の瞬間機龍は人のまま、ラウラに一瞬で接近 AICで

防がれる前に、その剛腕でレーゲンを壁際まで吹き飛ばした

ラウラ「グハッ!」

その攻撃でワイヤーが外れ、喉を抑えながらなんとか起き上がるセシリアと鈴

だが、機龍は二人を気にしないままその体を黒い瘴気のような物で包んだ

そこから現れたのは…銀龍ではなく……黒龍だった

姿や装備は機龍のそれと同一だが、その体表はラウラのレーゲンと同じように黒く、

その目は血のように赤く、瞳から流れるラインは毒のような紫色をしていた

  「GURUUUU」

その口から漏れたのは、獣のうなりのような声

ラウラ「小賢しい真似を!」

次の瞬間、壁に激突し、舞い上がった煙の中から黒龍にむけてレールカノンが発射され、

命中した だが、それは機龍の胸に当たっただけで、何の効果も無かった

  「GYAOOOOOOOON!」

すると、まるで威嚇するかのように、アリーナ全体を震わせる声が響いた

そのまま、ゆっくりと歩き出す黒龍 やがてその背びれが

青白く発行し始めた そしてそれが臨界に達した時、

黒龍の口から膨大なエネルギーの塊が青白い閃光とともに発射された

それは機龍が放つメーサーの光では無かった メーサーを線に例えるなら、

この光線は太いパイプのようだった

 

それをAIC、『停止結界』で受け止めるラウラ 

ラウラ「ふん!そのような攻撃、この停止結界の前には......ッ!?」

確かに光線はそこで止まった だが、結界の前にエネルギーがたまり始めた

そしてそれが限界に達した瞬間

   『バゴオォォォン!』

   「うわあぁぁ!」

ものすごい爆風と衝撃を放ちながら爆発した 大量の砂埃が巻き上がり、

結界を破られ、ラウラは吹き飛ばされた

その元にゆっくりと近づいていく黒龍  そして、倒れたラウラを

その巨大な足で踏みつけた そのまま足で何度も何度も踏みつける黒龍

   「グッ!調子に乗るなぁ!」

黒龍の顔面に向けて右側のレールガンを向け、発射した

だが、それを紙一重で回避した黒龍はそのレールカノンの砲身を『口に銜えた』

足でラウラを抑えながら首を左右に振ってレールカノンを揺らす黒龍

やがて『バキバキ』と言う音とともに、ラウラのレールカノンを

中ほどからへし折る黒龍 

そのまま首を振ってあさっての方向にカノンの砲身を投げ捨てる黒龍

  『GYAOOOON!』

足でラウラを抑えながら三度咆哮を上げる黒龍 

すると黒龍はラウラを足で抑えたまま、背びれを発効させ始めた

やがて口内にそのエネルギーが溜まり、ラウラに向けて至近距離から発射した

先ほどよりもチャージが短いため、防御する事が出来た

 

が、何とか停止結界でそれを防御するが その余波でISは膨大な熱により高温になった

そして、黒龍は熱線をガードするためにクロスしていたレーゲンの両手首を片手で掴み、

力任せに引きちぎった 現れる、ラウラのただの人としての腕

手元のスクラップを放り投げ、両手のレールガンをラウラのバックユニットに向けて

斉射した 加熱でまともに機能しなくなっていたユニットは爆散した

そして、右手でラウラの頭を鷲掴みにして、ゆっくりと持ち上げる黒龍

そのまま次第に力を強めていく黒龍

『ミシミシ』とラウラのヘッドギアが割れる音がした

ラウラ「グッ!ぬあぁぁぁぁ!」

自身の頭が破壊される苦痛に悲鳴を上げるラウラ 

黒龍『そうだ!苦しめ!俺が、お前達人間が生み出した絶望の塊だ!』

  『こいつだけは!ここで始末する!』

だが、ある人物が黒龍に接近し、その首筋に何かを撃ち込んだ 

次の瞬間、黒かった機龍の体が、まるで毒気を抜かれたように銀色の

体に戻り、ラウラを掴んでいた腕を放した 

地面に落下すると同時に、倒れ、気絶したラウラのISが解除された

そして、機龍も人の姿に戻るのと同時に、意識も薄れて行った

 

機龍に何かを撃ち込んだのは千冬だった

千冬「問題を起こすなと言ったはずだ。バカ者。」

機龍「邪魔、するな…人間、風情が…」

そう言って千冬を見上げる目には、怒りと殺意だけしかなかった 

だが、注入された何かのせいで、機龍もやがて意識を手放した

 

場所は変わって学園の保健室

そこには、ISスーツの姿のままで包帯を巻かれ、治療された鈴とセシリア

気絶したままの機龍 見舞いに来た一夏、シャルル、千冬、真耶が集まっていた

一夏「二人とも、大丈夫か?」

鈴「当たり前よ!これくら、い!いたたた!」

セシリア「…無理をすると体に毒ですわよ。」

シャルル「…ひどかったね。あのラウラって人。」

一夏「全くだぜ。機龍が乱入しなきゃ……そういや、あの時の機龍、

   少し、怖かったな。」

シャルル「僕には…怒りの塊のように見えたよ。」

千冬「案外、一番怒らせてはいけないのは機龍かもしれんな。」

一夏「誰だって、友達をあんなにされたら切れるもんな。」

シャルル「機龍の場合、それは特にすごいって事だね。」

鈴「にしても!あのドイツ人!今度こそトーナメントでボコボコにしてやる!」

セシリア「…その体では、無理だと思いますわよ。それに、おそらく私達の

     ISはダメージレベルがCを超えていますわ。先生方が出場を

認めるとは思えません。」

鈴「あんたね!あれだけやられて悔しくないの!?」

セシリア「それもそうですが、お忘れですか?あの後機龍にボコボコにされた

     あの人の姿を?」

鈴「あ。」

この時鈴が思い出したのはカノンを食いちぎられ、腕部をスクラップにされ、

バックユニットを破壊され、ヘッドギアを潰されたラウラの姿だった

 「そっか、あいつのIS、私達よりもぶっ壊されてたもんね。

  アイツも出られないか。」

真耶「いえ、そうでもないんです。」

セ・鈴「「え?」」

真耶「どうやら、予め予備パーツを用意していたようで、破損部に新しい

   パーツをアセンブルして……私も出場は反対したんですが、

   聞いてくれなくて…」

鈴「じゃあ!アイツはトーナメントに出るって事!?…ッ!いたた...」

一夏「落ち着け、大声を出すと傷に響くぞ。」

鈴「う、わかってるわよ…」

その時

機龍「……うぅ...ここは何処?」

眠りについていた機龍が目を覚ました

一夏「機龍!良かった目が覚めたんだな!」

機龍「…一夏お兄ちゃん…それにみんなも…ここは?」

一夏「保健室だ。お前は、ドイツの奴と戦って…その、それで…」

機龍「……そうか…暴走したんだね、僕は……誰が止めてくれたの?」

一夏「それは…」

千冬「私だ。」

機龍「織斑先生......すみません。ご迷惑をおかけしました。」

千冬「全くだ。今後は起こらないようにしてくれ。あれを生身で止めるのは

   骨が折れるからもう御免だ。」

それだけ言うと、千冬と真耶は保健室を出て行った

一夏「機龍。大丈夫か?」

機龍「大丈夫…じゃないね。…あの時、僕は…復讐に囚われて…

   ゴメン。」

鈴「アンタが謝る必要なんてないからね!悪いのはあのドイツ人なんだから!」

セシリア「誰だって、友人をあそこまでやれたら怒りますわ。」

機龍「…うん…」

だが、やはり機龍の表情は暗かった

と、その時

『ドドドドド』とまるで雪崩のような音が廊下から聞こえて来た

  「な、何?」

鈴「じ、地震!?」

一夏「いや、なんか嫌な予感が…」

次の瞬間、保健室のドアが瞬間的に開いて、無数の女子が文字通り『雪崩れ込んできた』

その生徒たちは一夏やシャルル、機龍を確認すると3人を取り囲んだ

すると何やら紙のような物を3人の前に突きつけた

女子「「「「「「これ!これ読んで!」」」」」」

機龍「う、うん……変更の知らせ………トーナメントはタッグで行う?

   この用紙ってもしかして…」

女子「そ!ペアの申請用紙!だから!」

すると女子たちがそれぞれの獲物に群がり始めた

  「織斑君!私と組もう!」 「デュノア君は私とお願い!」

  「機龍君!私と一緒に出よう!」

まるで雪崩のように群がる女子たち 

これにはセシリアや鈴も唖然としていた

その時、

一夏「わ、悪い!俺はシャルルと組みから諦めてくれ!」

女子「そっか、男子同士ってのも、まぁ良いっか。」

  「他の女子と組まれるよりましよね。」「それにまだ機龍君が居るしね!」

そして、その場の全員の視線が機龍に向いた

機龍「ひぃ!」

女子全員の火照った顔と瞳が、機龍に戦い以外で初めて恐怖を感じさせた

女子「「「「「「機龍君!私とペアになって!!」」」」」」

見事に揃った女子の声に毛布を掴んで震える機龍

機龍「あ、あの、その…ぼ、僕は…どう、答えていいか…判らなくて…」

そのもじもじとした姿が逆の彼女達の感情を刺激した

女子「「「「「かわいい~~!」」」」」

機龍「ひゃあぁ!」

女子にビクビクしている機龍を見て、合掌する一夏

機龍自身もシャルルのためなのは理解しているが、この場の誰かを選ぶ、と言う事は

同時に他の生徒をがっかりさせる事になるし、と思い誰をと指定出来なかった

  「ご、ごめんなさい!ぼ、僕には誰か何て選べません!」

そう言った瞬間、女子たちの瞳がハートになった

そして結局、誰が抽選で機龍とペアになるか、それで恨みっこなし、と言う事になった。

 

その後、部屋に戻る機龍

機龍「ただいま。」

簪「機龍、無事だったんだね。良かった。」

機龍「ゴメン…心配かけたみたいで…」

簪「大丈夫なの?まだ顔色が悪いよ?」

機龍「う、うん…少しね…」

  『あ、あれは別の意味で怖かった。』

その後、弐式の開発もラストスパートとなった そして

簪「良し!これで!」

最後にENTERボタンを押して弐式のデータが出来上がった

機龍「後は、実機を組み立てるだけだね。」

簪「うん、そこは本音に任せれば大丈夫だから……ありがとね、機龍。

  私、機龍と一緒にがんばってたら、少しは前向きになれた気がするんだ。

  セシリアさんともお友達になれたし……ありがとう、機龍。」

機龍「僕は……何もしてないよ。ただ、簪を応援しただけ。」

簪「ねぇ、機龍…お願いがあるの…」

機龍「何?」

簪「私ね。今までずっと、何でもできるお姉ちゃんと比べられて来たの。

  でも、どれだけ頑張っても、周りの人は認めてくれなかった。むしろ、

  あの人の妹なら、もっとできるだろう、って言われた事もあった。

  だから、誰かに頼るのは甘えだって、ずっと言い聞かせてきたの。

  …でも、機龍と出会って、私は…誰かが隣に居てくれる幸せを、思い出す事

  ができた……だから、機龍…あなたには、ずっと私の隣に居てほしいの。」

それを聞いた機龍は唇を噛んだ

 「ねぇ、機龍の答えを聞かせて…」

機龍「…その前に、簪に話さなくちゃいけない事があるんだ。」

並んで座っていた椅子を立った

  「簪、僕は……人間じゃないんだよ。」

簪「え?」

すると機龍は3式改の姿になった

機龍『この姿を見て、簪はどう思う?』

簪「どうって……」

機龍『この世界には…『生物的な特徴を持ったIS』が存在するの?』

それを聞いてハッとなる簪 実際、フルスキンのISは存在しないわけではない

だが、尻尾を持ったISなど聞いた事もない

  『僕のこの姿はISなんかじゃない……僕の本当の姿なんだ。』

簪「どう、いう、事?」

機龍『簪。君には、僕の全てを話すよ。僕と言う…危険な存在の事を…

   そして、それを聞いた上で考えてほしい…僕が、君の隣にいるのに

   ふさわしいか。』

簪「…わかった。」

機龍「…始めるね……」

人の姿に戻り、語り始めた自分自身の過去

  「僕には、もう一つ、名前があるんだ。……それは『ゴジラ』別名、『破壊神』。

   僕は、この世界とは別の世界で生まれた『怪獣』なんだ。」

簪「え?どういう事?」

いきなりのぶっ飛んだ話に付いて行けない簪

機龍「僕は…現代…正確には…1950年代まで生き残っていた恐竜の子孫だった。

   でも、ある日、僕は水爆の放射能に、被爆した……そして50メートルを超える

   怪獣へと、突然変異したんだ。」

簪「で、でも、どうして、それなら、あの機械の姿が、本当の機龍になるの?」

機龍「恐竜から、怪獣へと姿を変えたあの時の僕は、人間に対する怒りから、

   当時の日本を…焼いた…そして、人間の兵器で、一度は海に中で死んだ。」

簪「死ん、だ?…機龍、が?」

機龍「僕は、人間の生存競争に負けたと思った…でも、それからしばらくして、

   残った僕の、ゴジラとしての骨格が、日本に回収され、僕とは別の

   同族…2体目のゴジラを倒すために…機龍の基礎フレームとして

   使われた。」

簪「じゃ、じゃあ、まさか…!」

機龍「そう…3式機龍……それが、僕の本当の名前で…僕は…対G兵器として、

   生み出されたんだ。」

簪「そんな…!」

そう言いながら両手で口を覆う簪

機龍「そして…ゴジラと僕の最後の戦いの時…僕は自分の意思を取り戻した。

   その後、僕は動けないゴジラと一緒に、日本海溝の中に、沈んだ、はずだった。

   でも…僕はこの世界、簪や束の世界にやって来たんだ。人間の姿で。

   それが僕なんだよ。」

その言葉にもはや何も言えない簪

  「もう一度だけ言うね…僕が、簪の隣に立つのにふさわしいか…

   決めてほしい……」

簪「き、機龍は、どうして、ここに?」

機龍「僕がISを動かせる、というのは本当だよ。でも、理由は知らない。

   ここには、束の勧めで来たんだ……簪、僕の事を周りに広めるのも

   別に構わない。後ろ指をさされるには慣れてるし…だから、簪の

   やりたい事をして。」

そう言って笑う機龍だったが、その瞳は泣いていた

それを見た瞬間、簪は機龍を抱きしめながらベッドに押し倒した

  「…簪?」

簪「……しない……機龍を一人になんかしない!」

そう言って顔を上げた簪の瞳にも、涙が浮かんでいた

 「私は、機龍に助けられてばかりだった…なのに…なのに、

  機龍が報われないなんて悲しいだけだよ!…私は、機龍の事が好き!

  だから、私は絶対に機龍の傍を離れないから。」

機龍「簪…僕は…」

簪「何も言わないで…ずっと、ずっと一緒だから。」

機龍「簪……ありがとう…」

そう言ってお互いを抱きしめ合う二人 やがてどちらとなく、腕を緩め、

お互いの顔を見つめ合った

  「簪…」

簪「何?」

機龍「僕、変なんだ……心臓がバクバクしてて、体が熱い…これ、何?」

簪「それはね。『恋』って言う感情だよ。」

機龍「恋…これが、そうなの?」

簪「うん。私もね。機龍に恋をしてるの。こういうのを、相思相愛って言うんだよ。」

機龍「そうなんだ……簪、お願いがあるんだ。」

簪「何?」

機龍「今日は、簪と一緒に寝たい…簪の、温もりを感じたいんだ。」

簪「うん。良いよ。」

 

その日の夜、二人はひとつのベッドにお互いを抱きしめ合ったまま、眠りについた

     第7話 END

 

 




次回はタッグ戦で暴走したラウラを機龍と一夏のどっちが助けるかで、
どっちのヒロインになるか決まります。コメントお願いします

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