インフィニット・ストラトス 鋼鉄の銀龍    作:ユウキ003

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今回で鈴が登場します


インフィニット・ストラトス 鋼鉄の銀龍 第4話

前回までのあらすじ

試合で倒れた機龍の事を気にする一夏、箒、セシリア達は

機龍自身の発言から、様々な疑問を持った そんな中で

通信してきた束に聞かされたゴジラ、機龍、そして決戦の話

それを聞いた3人は『力』の意味を考えるようになった

そして、後日行われた一夏とセシリアの戦いは一夏の敗北で

幕を閉じた

 

一夏とセシリアの対決の翌日 朝のSHR

真耶「それでは、一年一組の代表は織斑一夏君に決定しました...

   あ、一繋がりで良い感じですね。」

それの決定に首を傾げる一夏

一夏「あの、先生。」

真耶「何ですか?」

一夏「俺って、負けましたよね?なのにどうして俺が?」

真耶「それは...」

セシリア「それは、私がクラス代表を辞退したからです。」

立ち上がって真耶の代わりに答えるセシリア

    「エリートと言う階級に溺れ、一度は傲慢な態度を

     取ってしまったのも事実...それに、私は代表候補。

     その私とあそこまで戦える一夏さんであれば、代表には事欠かないと

     思い、クラス代表を辞退しました。」

一夏「そうだったのか......でも、俺で大丈夫かな?」

機龍「大丈夫。」

一夏「機龍?」

機龍「一夏お兄ちゃんは強い...これからももっと強くなる。

   だから、機龍はお兄ちゃんを信じてる。」

一夏「機龍......ありがとな。」

そう言って機龍の頭を撫でる一夏と目を細める機龍 

それを見ていた一部の女子は言った

女子「こ、このままじゃ、私血を流しすぎて死んじゃうよ。」

そう言っていた女子たちは仕切りに鼻を抑えていた

 

やがてISの授業が始まり、アリーナに集合する一夏達

ちなみに、本来なら機龍はISではないのでISスーツを着用する意味は無いのだが、

ばれないようにスーツを着用していた

千冬「それではこれよりISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。

   織斑、オルコット、試しに飛んで見せろ。...それと、機龍。

   お前も、出来るか?」

その言葉の意味を理解する一夏達 一夏やセシリア以外の生徒は

機龍が試合で倒れた事を知っていたので、そちらを心配していた

機龍「はい...飛ぶだけなら、何とか。」

千冬「そうか、では頼むぞ。」

白式、ブルー・ティアーズを展開した一夏とセシリアを見た

機龍は、全員から少し離れ、内なる力を呼び出した

頭の髪が角のようになり、腰の辺りから長い尻尾が展開され、

さらに機龍の目元に赤いラインが現れると、光が機龍を包み、

一気に3式機龍の姿へと変化した それを見た生徒たちは驚いていた

そんな中

静寐「あれ?何かこの前のと少し色が違くない?なんかこう......

   少し明るくなったような...」

彼女の指摘はもっともだった 今の機龍の姿は改、ではなく

バックパックを外した改修前の機龍の姿だった

一夏「機龍......お前、大丈夫か?無理はするなよ。」

機龍『平気、飛ぶだけならまだ大丈夫。』

一夏「そうか......でも、やばくなったら、絶対無理するなよ?」

セシリア「無理は体によくありませんからね。」

機龍『一夏お兄ちゃん、セシリアお姉ちゃん......ありがとう。』

スピーカー越しではあるが、そう言う機龍

だが、彼はこの時、セシリアが頬を赤くしているのを知らなかった

千冬「さて...では、始めろ。」

そう言われ、白式、ブルー・ティアーズ...そして、背中と脚部の

スラスターを展開した機龍が飛び上がった

上空200メートルに到達したのはブルー・ティアーズ、機龍、白式の順だった

実際、一夏の上昇速度は二人に比べて遅かった

千冬「何をやっている...3機の中ではお前のスペックが一番上なんだぞ。」

やがて、セシリア達と同じ高さに到着する白式

一夏「やっと追いついた......それにしても...ダメだ、全然イメージが

   つかめねぇ...」

セシリア「一夏さん、それはあくまでイメージ...自分がやりやすい方法を

     見つけた方が建設的ですわ。」

一夏「と、言われてもなぁ...」

機龍『じゃあ、お兄ちゃんにとって早いってどんなイメージ?』

一夏「?そうだな......戦闘機、とか?」

機龍『うん、それなら、お兄ちゃんの場合は飛ぶときは背中に

   エンジンを背負ってるってイメージすれば良いと思う。

   昨日習った三角錐のイメージはあくまでメジャーな考え方、

   それに縛られる必要はない。』

一夏「成程、参考にさせてもらうぜ。」

  『何だか、箒より機龍に教わった方が上手くなれそうな気がするぜ。』

と、その時

箒「一夏!いつまでそんな所にいる!さっさと降りて来い!」

と、箒の怒鳴り声が聞こえてきた グラウンドでは

真耶のインカムを奪った箒が居た

一夏「あいつ、何やってんだよ。」

案の定、千冬に叩かれる箒

千冬「オルコット、機龍、織斑、それぞれの順番で急降下と完全停止を

   して見せろ。目標は10センチ以内だ。」

一夏「マジかよ。」

セシリア「それでは、御先に失礼しますわ。」

そう言うと機体を急降下させたセシリアが目標をクリアした

機龍『それじゃ、次は僕が。』

そう言うと機龍はスラスターのエンジンを止め、重力に任せて落下していた

地面まで残り15メートル、と言う所でスラスターを全開にする機龍

少々の砂煙を上げながら地面から8センチ、と言う所で停止した

千冬「良し、では最後に織斑。やって見せろ。」

一夏「りょ、了解!」

そう息巻いたのは良いものの、結局は

 

千冬「バカ者。誰が激突しろと言った。グラウンドに穴をあけてどうする。」

止まり切れずにグラウンドに小さなクレーターを作ってしまった

一夏「す、すみません。」

機龍『一夏?大丈夫?』

倒れている一夏に近づき、手を差し出す機龍

一夏「悪い、助かるぜ。」

機龍の銀色の手を取り、起き上がる一夏

箒「情けないぞ、一夏。昨日私が教えてやっただろう。」

一夏「あんな擬音交じりの説明じゃわかんねぇって。」

機龍『擬音?教えるのに?』

セシリア「それはまぁ...教えるのは人それぞれですが...」

そう並んだ機龍とセシリアが言っている

 

そんな時、クラスの女子たちの視線は大半が機龍の尻尾に向いていた

なぜなら、その尻尾が伸びたり、先が動いたりしていたからだ

本音「ねぇねぇリュウ君。」

その時、近くにいたクラスメイトの布仏本音が話しかけた

機龍『え?何?』

本音「その尻尾ってリュウ君の思い通りに動くの?」

機龍『うん、できるよ。』

そう言って尻尾の先っぽを猫のように少しばかり左右に振る機龍

女子「「「「「おおぉぉぉ!」」」」」

と、反応があった  だが

千冬「そんな物に気を取られてどうする!」

と怒られた

  「全く...で次、武装の展開だ。織斑、やってみろ。」

一夏「はい!」

安全を確認してから突き出した右手を左手で握り、集中して

『雪片弐型』を取り出す一夏

千冬「...遅い。0,5秒で出せるようにしろ。」

と言われ、項垂れる一夏

  「次はオルコットだ。武装を展開しろ。」

セシリア「はい。」

右手を真横に掲げると一夏と同じように、手元に光の粒子が現れ、

粒子が形を成し、『スターライトmkⅢ』へと変化した 一夏よりは

早いが、結局ダメ出しを喰らってしまった

さらにセシリアの近接装備『インターセプター』に至っては

名前を叫ぶ、CALLする事で呼び出さなければならないという始末で、

さらに千冬にダメ出しを喰らってしまった

千冬「次は、機龍...行けるか?」

機龍「はい、展開するだけなら。」

千冬「そうか...では、始め。」

その言葉を聞くと、機龍の肩と両腕が光に包まれ、それぞれにバックユニットと

0式レールガンが展開された

  「早いな......そうだ。機龍、他には武器は無いのか?」

機龍『あるにはあります。』

千冬「何だ?」

機龍『これです。』

そう言うと、機龍の胸のパーツが開いた

周りでは驚くような声も上がっている

千冬「それは?」

機龍「『アブソリュート・ゼロ』です.....えぇっと、あの人が言っていた

   のは確か......絶対零度砲、って言ってました。」

  「そんな物まであるのか。......まぁ、専用機持ちの当面の目標は

オルコットと織斑の展開の時間短縮だな。」

一・セ「「は、はい。」」

千冬「さて、時間だな。今日の授業はここまで。織斑、グラウンドを片づけて

   おけよ。」

一夏「はい...」

機龍『一夏、手伝おうか?』

一夏「すまん...俺がお前の世話をするはずだったのに、色々と世話になっちまって。」

機龍『良いから、気にしないで。』

その後、機龍に手伝ってもらいながら、早めに整理を終えた一夏だった

 

その日の夕方 食堂には大勢の生徒たちが集まっていた

そこに下げられた紙には『織斑一夏クラス代表就任パーティー』と

書かれていた が、当の本人はプレッシャーに押しつぶされそうな

顔をしていた

機龍「一夏、大丈夫?顔色悪そうだよ?」   

一夏「あ、あぁ、大丈夫だ。」

と、そこに

「はいはーい!新聞部で~す!話題の新入生、織斑一夏君と、

 幼いドラゴンこと、機龍君に特別インタビューに来ました~!」

一夏「ドラゴン...?機龍が?」

  「はい!生徒たちの間の噂で持ち切りですよ!鈍い銀色に光り輝く

   その姿はまさにドラゴン!って......あ、申し遅れました。

   私は2年の黛薫子、新聞部部長ね。はいこれ、名刺。」

と言って名刺を取り出して一夏と機龍に渡した

  「それじゃ早速織斑君からインタビューに入ろうと思います!

   クラス代表になった織斑君...今の感想をどうぞ!」

と言ってボイスレコーダーを近づけて来る薫子

一夏「え~と、まぁ、がんばります。」

薫子「えー。もっとなんかコメント頂戴よ。『俺に触れるとヤケドするぜ!』とか

   みたいなさ!」

一夏「自分、不器用ですから。」

薫子「うわ!前時代的!......まぁ、適当にねつ造しておくからいいか。」

一夏「良くねぇ!?」

薫子「じゃあ次、セシリアちゃんもコメントよろしく。」

セシリア「私、こういうコメントはあまり好きではありませんが、

     仕方ありませんわね。」

そう言うと咳払いをしてから、代表を降りた説明を始めようとするが

薫子「あ、長いのは良いから写真だけ頂戴。」

セシリア「さ、最後までお聞きなさい!」

薫子「それじゃあ最後に機龍君!君は学園で最年少なわけだけど、

   どう?学園の生活には慣れた?」

機龍「はい。一夏お兄ちゃんや箒お姉ちゃん、セシリアお姉ちゃん達が

   優しくしてくれるので、毎日が楽しいです。」

と、屈託ない笑みを漏らしながら言う機龍

その笑顔に女子たちがクラッとなっている中 

薫子「その笑顔いただき!」

と言って持っていたカメラで瞬時に機龍の笑顔を取った

その瞬間、フラッシュが瞬き、もろに機龍の目に直撃した

機龍「み、見えない...」

目を瞑り、ソファの上を手探りする機龍 そして、その手がセシリアの

手と重なった

セシリア「////」

一瞬で顔を赤くするセシリア 

やがて眼が馴れたのか、ゆっくりと瞼を開ける機龍

一夏「大丈夫か?」

機龍「うん。少しびっくりしただけだから。」

だが

薫子「お!腐女子に売れそうなネタいただき!」

と言ってまたシャッターを切った

一夏「ちょっと待て~~!」

機龍「婦女子?」

薫子「あ、腐女子ってのはね......」

一夏「機龍!聞いちゃダメだ!」

機龍「ふやぁ!?」

いきなり機龍の両耳を塞ぐ一夏とそれにびっくりする機龍

薫子「お!熱いね~!それもいただき!」

さらに何枚も写真を撮る薫子

さらに後ろでは一部の女子が鼻を抑えている

  「それじゃ、最後に専用機持ち3人の写真を撮らせてもらうね。」

と言って強引に3人を握手させた 

格好としてはセシリアと一夏が手を繋ぎ、そこに機龍が手を乗せている

感じだった

  「それじゃあ撮るよー。35×51÷24は~?」

一夏「え~っと...2?」

機龍「.........74・375。」

薫子「おぉ!?機龍君天才!」

そう言いながらカメラのシャッターを切る薫子

そして3人の周りには1組の生徒が全員揃っていた

一夏「何で全員入ってるんだ?」

セシリア「あ、あなた達ねぇ!」

女子「まーまーまー」 「セシリアだけ抜け駆けは無いでしょ?」

   「みんなの思い出になって良いじゃない。」

と、口々に言うクラスメイト達

 

その後、1組の宴は夜の10時まで続いた

一夏「まさか、ここまでやるとは思いもしなかったぜ。なぁ、機龍。」

機龍「.........」

一夏「機龍?」

横に座っている機龍に話しかけるが、反応が無い 見ると

機龍「すぅ......すぅ......」

機龍は寝息を立てながら眠っていた やがて機龍は一夏の膝の上に

倒れた

一夏「おぉ......こいつもやっぱ子供だな......かわいい寝顔しやがって。」

ひと時の喧騒を忘れ、自分の膝の上で眠る機龍の髪をなでる一夏

  『子を持つ親って、こんな感じなのかな。』

感傷に浸る一夏 だが、

女子「「「「「きゃあぁぁぁぁ!」」」」」

急に周りから黄色い声が聞こえた 

そして次の瞬間、ものすごい量の携帯のカメラのシャッターを切る音が聞こえた

女子「来たコレ!」 「これで一夏×機龍のカップリングは確定ね!」

    「我が人生に、一片の悔いなし!(ガクッ!)」

   「しっかり!私達は、この美しき光景を後世に残さなければ

    いけないのよ!」

と、猛烈な撮影会が始まってしまった

一夏達の横では箒とセシリアが頬を膨らませていた

箒は機龍に  セシリアは一夏に

それぞれ嫉妬していた

箒『何故そこでお前は満足そうな顔をしているのだ一夏!お前はそう言うのが

  好きな変態だったのか!?』

セシリア『ずるいですわ!私だって、あの綺麗な銀色の髪を撫でてあげたいのに!』

結局その後、フラッシュや歓声で起きた機龍は、半分寝ぼけた状態で帰ると

言い出した

    「そ、それでしたら、私が。彼を送って差し上げますわ。」

機龍「良いの?」

セシリア「えぇ。これも年長者たる者の務めですから。」

機龍「あ、ありがとう。僕の部屋は...」

その後、機龍は自分の部屋の前までセシリアに手を引かれながら

帰って行った 

そしてセシリアは内心、ガッツポーズをしていたとさ

 

やがて次の日

機龍「おはよう。」

いつもより少し遅めに登校してきた機龍

一夏「お。おはよう機龍。昨日はよく眠れたか?」

機龍「うん...ぐっすり眠れた。」

一夏「そうか......そういや聞いたか?転校生が来るらしいぞ。」

機龍「転校生?...僕たちが入ったばかりなのに?」

女子「うん...まぁでも、クラス代表戦は問題ないでしょ。

   専用機持ちはうちと四組だけだから。」

機龍『...あ。四組の専用機持ちって簪だよね?......でも、打鉄弐式は

   まだ完成してないし......それは違うんじゃ...』

なんて思っていた時だった

???「その情報、古いよ。」

教室の入口に見知らぬ生徒が現れた

   「二組もクラス代表が専用機持ちになったの...

    そう簡単には優勝できないから。」

肩の部分を露出させた改造制服を着る彼女は

一夏「...お前、鈴か?」

鈴「そうよ。私は中国の代表候補生、凰鈴音。今日は宣戦布告に来たってわけ。」

一夏「何格好つけてるんだ?すげぇ似合わないぞ?」

鈴「んな!?何てこと言うのよ!あんたは!」

機龍「...一夏お兄ちゃんの...知り合い?」

一夏「あぁ、そうだ。中学の時の同級生だったんだ。」

機龍「へぇ。」

鈴「ん?...ていうか、何でこの学園にそんなガキが居るのよ。」

一夏「こいつの名前は篠ノ之機龍。束さんの所から送られてきた、

   世界で二番目の男ISパイロット兼世界最年少の専用機持ちだ。」

機龍「......待って、後半のって何?それ、初めて聞いた。」

一夏「え?だってお前より年下でISの専用機持ちなんていないだろ?」

という言葉に、うんうんと頷く女子たち

鈴「へ~...でも、子供がここの授業に付いて行けるの?」

一夏「安心しろ。」

鈴「何が?」

一夏「理系じゃ俺が機龍に教わってるほど出来る。」

と言った瞬間、後ろから教科書で箒に頭を叩かれる一夏

箒「自慢していう事か。」

一夏「いてて...お前だってこの前数式が分からないって言って機龍に

   教わってただろうが。」

箒「な!それは今言う事ではないだろう!」

鈴「へ~...って!話を逸らさないでよ!」

その時

  「おい。」

 「何よ!?」

と言った鈴の頭を千冬の出席簿攻撃が決まった

千冬「もうSHRの時間だ。自分の教室に戻れ。」

鈴「ち、千冬さん!?」

千冬「織斑先生と呼べ。さっさと戻れ、それと入口を塞ぐな、邪魔だ。」

鈴「す、すみません。...また後で来るからね!逃げないでよ!一夏!」

それだけ言い残すと鈴は自分の教室に戻って行った

 

その後、箒は鈴の事や一夏の事を気にしていて授業中に出席簿アタックを

何回も喰らってしまった

授業も終わり、食堂に移動する一夏達

 

ちなみに、機龍は一夏達と離れ、話があるとして簪と一緒に

食事をとる事になっていた...のだが...

機龍「どうして、セシリアお姉ちゃんも付いて来たの?」

機龍と簪、それにセシリアの3人が円形テーブルに座っていた

セシリア「こ、これはその...年長者たる者、幼い子供の面倒を見るのは

     当然の行為ですわ!」

と言って、相席していた

機龍「わかった......所で簪お姉ちゃん、話って何?」

簪「うん...実は、弐式についてなんだけど...食べてからで良いから。」

機龍「わかった。」

その後、少しの会話を交えながら食事をして、その後だった

  「それで...弐式がどうしたの?」

簪「うん。実は山嵐についてなんだけど...どうしてもマルチロックオン・

  システムが難しくて...」

機龍「成程......でも、あのシステムは搭乗者への負荷が大きい......

   それに、今の僕じゃ単一ロックシステムの構築が限界。

   ゴメン...そこは役に立てそうにない。」

簪「そう......でも、機龍には随分助けられてるし...文句はないよ。

  とにかく、それなら、また、夜に手伝って。」

機龍「うん。任せて。」

そう言った機龍の笑みに簪も薄く笑みも漏らした

その横では頬を膨らませたセシリアの姿が

 

その日の放課後、一夏は箒たちとアリーナで特訓をしていた頃、

機龍は部屋で簪と弐式の開発をしていた

機龍「ここはこうで......このラインはこっちに......」

簪「それじゃあ、春雷はどこに付けたら良いかな?」

機龍「夢現は薙刀、両手を使う武器。だったら常にハンズフリーが望ましい。

   手に持つんじゃなく、背中に接続すれば良い。

   そうすれば接近戦から射撃戦などへの移行も早くできる。」

簪「成程......なら次はここを...」

このようにずっと弐式の開発を進めていた

 

ある程度進んだので、お茶を淹れ、休憩する二人

簪「ゴメンね...いつも手伝って貰って。」

機龍「気にしないで。僕は簪お姉ちゃんの手伝いをしたい...それだけだから。」

簪「私って......情けないよね...機龍に手伝ってもらって、こんな...

  他人に頼るのは、甘えだって自分に言い聞かせてきたはずなのに...こんな...」

機龍「簪、それ、違う...人は誰も一人では生きていけない。

   簪が僕にやさしくしてくれたから、僕はあの時簪が優しくしてくれた

   から...」

簪「違うの!」

機龍の言葉を遮る簪

 「あの時...私は、泣いている機龍を慰めて...それで優越感に浸るような、

  最低な人間なの!...私は...優しくなんて...ないの...」

機龍「...簪......それは感情...誰もが持ってる事...

   簪、間違って無い......誰だって、支え合って生きてる......だから

   人は強くなれる......僕も、義人に助けられた事がある。...

   だから自分のやりたい事ができた。」

簪「でも......私は、機龍に頼ってばかりで......」

機龍「じゃあ...お願いがある。」

簪「え?」

機龍「機龍は...理系、得意......でも、国語が苦手。だから教えてほしい。

   簪に。......お互いにメリットはある...簪は弐式の開発が進む。

   僕は国語の学力があがる......誰も損しない。これじゃダメか?」

簪「どうして...そこまで...」

機龍「機龍は...最初は人間が憎かった......でも、人間の中にも良い人居た。

   命がけで何かのために戦う...心に熱い物を持ってる人が居た。

   だから信じたい。人間は...決して愚かじゃないって。

   だから......機龍は簪を信じる。」

その言葉を聞いた時、簪は両手で口を覆い、涙を流し始めた

簪『私は...ずっと...一人だった......誰も私の事なんて認めてくれなかった

  でも...機龍は...この子だけは...』

 「機龍は...私の事...信頼してくれるの?」

機龍「うん。僕は簪を支える。だから、もしもの時は簪に僕を

   支えてほしい。」

その言葉を簪は

『共にいて支え合う』=『いつも一緒』=『夫婦』=『結婚』と

結びつけてしまった

簪「そ、そんな!わ、私達はまだ学生だし、そこまでは!

  あぁでも機龍となら...」

と、口を覆っていた顔を頬に移動し顔を赤くする簪

機龍「?」

言った当の本人はなぜ簪が赤くなっているのか理解できないでいた

 

その後、落ち着いた簪

簪「え、えっと、それじゃあ...これからも、その、よろしく、お願いします。」

機龍「うん...僕たちは、一緒にがんばる。」

その言葉で再び顔を真っ赤してしまう簪だった

 

やがて翌日 廊下にはクラス対抗戦の日程表が張り出されていた

一組の、つまり一夏の相手は、鈴だった

それを見た機龍は大して驚きもしなかったが、その後、一夏と鈴が

喧嘩の事を知った機龍

機龍「凰さんと喧嘩したの?」

一夏「あぁ、小学校の頃の約束をちゃんと覚えてないとかでな。」

機龍「大変だね。一夏も...早く思い出すと良いね。」

一夏「それが、確かに覚えてるはずなんだが、どうにも

   噛み合わないというか、違うというか...」

機龍「ふぅん。」

箒「気にする事は無いぞ。機龍。」

機龍「箒お姉ちゃん。」

箒「それは自業自得、と言う物だ。」

一夏「ゔ!?そ、それはそうだが......」

箒「それより、代表戦はその鈴とやらが初戦の相手なのだろう?

  代表候補が最初の相手なのだ。気を抜いてかかれば即倒される。

  だからこそ、これからは特訓にもより一層力を入れていくぞ。」

一夏「ま、マジかよ~」

機龍「一夏、がんばって。」

 

そんなこんなであっという間に時間が過ぎ、ついに、クラス対抗戦の

日がやってきた  そして、今日と言う日が、

本当の意味で銀龍が戦う日となった

     第4話 END

 

 




次回はゴーレムの乱入、そして機龍のガチバトルまで書きます。
コメントあったらください。

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